説明

検体前処理装置および方法

【課題】使用者が患者の試料(検体)の所在を迅速に検索できると共に試料の保管経過時間等を容易に、かつ迅速に判断可能な検体前処理装置を実現する。
【解決手段】1次元及び2次元バーコード読み取り部21a、21bは検体容器に貼付された1次元及び2次元バーコードの情報を読み取り、その情報を振り分けユニット29に供給する。振り分けユニット29は検体が親検体である場合は遠心分離ユニット24に搬送し、検体が子検体である場合は分析装置振り分けユニット28に搬送する。親検体は遠心分離された後分注ユニット25に供給され、子検体容器に分注され、1次元、2次元バーコード作成ユニット26により作成されたバーコードが1次元、2次元バーコード貼付ユニット26により子検体容器に貼付され分析装置振り分けユニット28に供給される。分析装置振り分けユニット28は、各分析装置21に親検体容器または子検体容器を振り分ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学分析、尿分析、免疫血清学的検査に使用する分析装置に試料(検体)を搬送する先だって、検体を前処理する検体前処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置に血清、尿などの試料を搬送するに先立って、前処理を行う検体前処理システムがある。この検体前処理装置で処理する試料(親検体)容器には、その検体の情報を示すバーコード等の認識情報記録媒体が貼付されている。
【0003】
前処理システムにおいては、親検体容器に収容された試料を別の試料容器に取り分け、子検体とする場合、試料(子検体)容器に対して、元の試料(親検体)と同じ認識情報(バーコード等)を貼付ける、そして、子検体容器を前処理システムから分析装置に搬送し、分析装置に検体容器に添付された認識情報が自動分析装置で認識され、測定が行われる。
【0004】
この場合、複数の試料(子検体)に分けることが多く、同じ親検体の認識情報が複数存在することになる。
【0005】
また、元の試料(親検体)についても、同じ患者から複数の試料として採取するのが常であり、これも複数存在する場合が珍しくない。
【0006】
検体前処理システムでは、元の試料(親検体)が複数存在する場合は、その認識コードを検体IDとして各々別個のIDを決定し、患者の認識コード(患者ID)は使用しない運用を行うことを行う場合がある。
【0007】
または、重複を許可するシステムとし、同一の親検体に対して複数の試料が存在して同一の検体IDを用いる場合もある。さらに、同一の検体について複数の試料が存在する場合、重複を避けるために、検体情報の数値に付加情報の桁コードを追加するなどして、個々の試料について別のコードとして扱うことも行っている。
【0008】
なお、検体処理システムとして、特許文献1に記載された技術がある。この特許文献1には、検体容器に検体識別情報を表すバーコードラベルが貼付され、バーコード読取装置により読み取られたれバーコードの情報に基づいて、複数存在する前処理モジュールのうちのどの前処理モジュールに搬送するかが判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−304812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、一人の患者に対し測定する依頼項目を決定し、検体前処理システムの周辺装置(項目依頼ホストコンピュータ)において、患者情報を登録して運用することが通常であるが、同一検体から分けた試料毎に異なる認識コードを付ける場合、分析装置が測定依頼された検体について、ホストコンピュータに問い合わせる際の認識コードは当然異なる。
【0011】
昨今の病院等においては、試料(検体)の採取から測定結果報告までの時間短縮、試料の保管や測定結果の信頼性向上意識の高まりから、トレーサビリティが高い測定記録が求められるようになってきている。
【0012】
また、近年、検体前処理システムを使用するユーザの一人当たりの作業量も増加し、複数の作業を並行して行うことも求められている。このため、検体前処理システムの使用ユーザは、採取した試料(検体)の検索、試料(検体)の装置投入、結果確認を迅速に行う必要がある。
【0013】
しかしながら、従来の技術においては、同一の検体が、複数の容器に収容されている場合、それぞれ認識コードを異ならせている場合、各検体間の関係性(同一の親検体であるか否か)等の判断に長時間が必要である。さらに、親検体から分離された日時や、保管経過時間等の判断も、別個の記憶装置に格納された情報を検索しなければならず、短時間で終了することができなかった。
【0014】
また、同一の親検体から分けられた複数の子検体について、同一の認識番号を付し、個々の検体について、異なる番号を同一認識番号に付加しておけば、検査結果を迅速に統合することが可能である。
【0015】
しかし、この場合も、親検体から分離された日時や、保管経過時間等の判断も、別個の記憶装置に格納された情報を検索しなければならず、その判断を短時間で終了することができなかった。
【0016】
本発明の目的は、使用者が、患者の試料(検体)の所在を迅速に検索できると共に、試料の保管経過時間等を容易に、かつ、迅速に判断可能な検体前処理装置および方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
【0018】
検体を分析する分析装置に供給する前段階で、検体の前処理を行う検体前処理装置および方法において、検体容器に貼付された情報記録媒体の記録情報を読み取り、読み取った情報に基づいて、親検体が収容された親検体収容容器と、子検体が収容された子検体容器とを振り分け、振り分けた親検体について前処理を行い、親検体を子検体収容容器に分注し、子検体容器に親検体の検体識別番号を記録する第1の情報記録部と、検体投入日時又は前処理日時を記録する第2の情報記録部とを作成し、子検体容器に貼付し、第1の情報記録部及び第2の情報記録部が貼付された子検体容器を分析装置に振り分ける。
【発明の効果】
【0019】
使用者が、患者の試料(検体)の所在を迅速に検索できると共に、試料の保管経過時間等を容易に、かつ、迅速に判断可能な検体前処理装置および方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例が適用される検体前処理装置のホストコンピュータ等を含めた全体システムの説明図である。
【図2】本発明の一実施例が適用される検体前処理装置の内部構成図である。
【図3】本発明の一実施例における検体容器への二種類以上の認識コード貼付例を示す図である。
【図4】本発明の一実施例における検体容器への認識コードの説明図である。
【図5】本発明の一実施例における検体容器への認識コードの説明図である。
【図6】本発明の一実施例における動作フローチャートである。
【図7】本発明の一実施例における2次元バーコードへの付加情報による試料由来の測定結果の判断フローチャートである。
【図8】本発明の一実施例における検体容器の2次元バーコードに付加した認識情報を別個のバーコード読み取り装置により直接的に読み取る例の説明図である。
【図9】本発明の一実施例における検体前処理装置の親検体容器搬送ルートを示す図である。
【図10】本発明の一実施例における検体前処理装置の子検体容器搬送ルートを示す図である。
【図11】本発明とは異なる例における検体前処理装置の親検体容器搬送ルートを示す図である。
【図12】本発明とは異なる例における検体前処理装置の子検体容器搬送ルートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0022】
図1は、本発明の一実施例が適用される検体前処理装置の説明図であり、ホストコンピュータ等を含めた全体システムの説明図である。
【0023】
検体前処理装置20は、検体(試料)に関する情報について、ホストコンピュータ23と相互通信が可能となっている。検体前処理装置20にて前処理が行われた検体は、自動分析装置21に搬送され、測定、分析が行われる。そして、残余する検体は、検体容器に収容された状態で冷凍保管庫22に保管される。保管された検体について、再度、検査が必要となった場合は、保管庫22からその検体を収容する検体容器が検体前処理装置20に搬送される。ホストコンピュータ23は、複数の検体前処理装置20に接続されている。
【0024】
図2は、本発明の一実施例である検体前処理装置20の内部構成ブロック図である。
【0025】
図2において、検体前処理装置20は、1次元バーコード読み取り部21aと、2次元バーコード読み取り部21bと、振り分けユニット29と、遠心分離ユニット24と、分注ユニット25と、1次元バーコード及び2次元バーコード作成ユニット26と、1次元バーコード及び2次元バーコード貼付ユニット27と、分析装置振り分けユニット28と、管理ユニット(制御部)30とを備える。この管理ユニット30は、バーコード読み取り部21a、21b、振り分けユニット29、遠心分離ユニット24、分注ユニット25、1次元バーコード及び2次元バーコード作成ユニット26、1次元バーコード及び2次元バーコード貼付ユニット27、分析装置振り分けユニット28の動作を制御する制御部である。
【0026】
1次元バーコード読み取り部21a及び2次元バーコード読み取り部21bは、検体容器に貼付された1次元バーコード及び2次元バーコードを読み取り、その読み取った情報を振り分けユニット29に供給する。振り分けユニット29は、供給された情報に基づいて、その検体が親検体である場合は遠心分離ユニット24に搬送し、その検体が子検体である場合は、分析装置振り分けユニット28に搬送する。
【0027】
振り分けユニット29により遠心分離ユニット24に振り分けられた親検体は、遠心分離された後、分注ユニット25に供給される。そして、この分注ユニット25にて、親検体が子検体容器に分注される。続いて、1次元バーコード及び2次元バーコード作成ユニット26により作成されたバーコードが、1次元バーコード及び2次元バーコード貼付ユニット26により子検体容器に貼付され、分析装置振り分けユニット28に供給される。
【0028】
分析装置振り分けユニット28は、各分析装置21に親検体容器または子検体容器を振り分ける。
【0029】
管理ユニット30は、保管庫22に保管された検体容器の保管位置及び保管時間を記憶して管理し、ホストコンピュータ23からの情報に基づいて、保管庫21に保管された検体について、再度、前処理を行うように、読み取り部21a、21b、振り分けユニット29、遠心分離ユニット24、分注ユニット25、1次元バーコード及び2次元バーコード作成ユニット26、1次元バーコード及び2次元バーコード貼付ユニット27、分析装置振り分けユニット28の動作を制御する。
【0030】
次に、本発明の一実施例における1次元バーコード、2次元バーコードについて説明する。
【0031】
図3は、検体容器(試料容器)に二種類以上の認識コードを貼付した例を示す図である。
【0032】
従来技術においては、認識情報として1次元のバーコードに検体もしくは患者の認識コードを示すラベルが貼付されていた。
【0033】
本発明の一実施例においては、図1に示すように、1次元バーコード(第1の記録媒体)に、2次元のバーコード(第2の記録媒体)もしくはRFIDを追加して、検体容器に貼付する。1次元バーコードには検体IDまたは患者IDを示す情報が示され、2次元バーコードには、付加情報として、親検体種別識別コード(血液、尿等の種別)、遠心分離日時(試料投入日時)、親検体であるか子検体か、患者ID(1次元バーコードが検体IDを示す場合)等を示す情報が示されている。親検体種別については、管理ユニット30がホストコンピュータ23から情報を入手することが可能である。
【0034】
検体前処理装置20、分析装置21、ホストコンピュータ23は、検体容器に貼付された1次元バーコード情報を従来のバーコード情報と同様に運用することができ、親検体から分離された子検体の所在位置等を迅速に検索可能である。
【0035】
また、2次元バーコードが示す情報に基づいて、試料の検体種別、遠心分離日時が判断でき、遠心分離を実行した日時から現在までの経過時間情報を迅速に判断することができる。
【0036】
つまり、図4の(A)に示すように、従来のシステムでは、一患者の複数の試料に検体毎に異なる認識コード(検体ID)を使用して運用する場合、親検体から分離された子検体の所在位置等の検索に時間を要してしまう(対応テーブル等が必要である)。
【0037】
一方。図4の(B)に示すように、親検体IDと子検体IDとが、1次元バーコードにより一致する情報が示されていれば、親検体から分離された子検体の所在位置等の検索は、容易に実行可能である。
【0038】
これにより、測定結果を患者毎に統合し、一患者の試料のトレースが容易にできるようになり、患者Aの試料を測定した結果を患者Bの測定結果と誤って判断してしまうことを容易に防ぐことができる。
【0039】
図5は、二種類以上の認識コードを貼付する変易例の説明図である。図5において、検体容器(試料容器)に情報を付加できるタイミングは試料を前処理装置に投入し、分析装置に搬送する前、もしくは、分析装置から搬出され、試料を保管庫に収納する前に存在する。
【0040】
試料容器に、新規に情報を貼り付ける場合は、あらかじめバーコードシール上に2つのコードを書き込んだ後貼り付ける。この際、測定する前に認識している情報(親試料の検体IDや患者ID情報、分離した日時等)を書き込むことができる。
【0041】
また、バーコードラベルが試料容器に既に貼り付けてある場合(収納前など)は、バーコードラベル貼付位置に試料容器を回転させ、新たな情報が付加されたバーコードを書き込む。この際は、測定後に認識した情報(測定項目、測定結果、測定した装置等)を書き込むことができる。
【0042】
次に、本発明の一実施例である検体前処理装置の動作について説明する。
【0043】
図6は、本発明の一実施例における動作フローチャートである。
【0044】
検体容器が検体前処理装置20に投入されると(ステップS1)、バーコード読み取り部21a、21bが検体容器に貼付されたバーコードを読み取り、検体を認識する(ステップS2)。新規に投入された親検体の場合は、2次元バーコードラベルが検体容器に貼付されていないが、その場合は、2次元バーコードラベルが貼付されていないことを検知し、親検体が収容された検体容器であると判断する。
【0045】
ステップS2において、親検体を収容した容器と判断した場合は、振り分けユニット29で遠心分離ユニット24に搬送され、遠心分離処理が行われる(ステップS8)。そして、分注ユニット25にて、子検体に小分け分注される(ステップS9)。その後、親検体は、保管庫22に収納され(ステップS10)、親検体の収納位置情報が管理ユニット30に格納される(ステップS11)。
【0046】
ステップS9で小分け分注された子検体容器は、バーコード作成ユニット26で作成されたバーコードがバーコード貼付ユニット27により貼付される(ステップS4)。なお、子検体容器の準備が小分け動作に先立って行われる(ステップS3)。
【0047】
1次元及び2次元バーコードラベルが貼付された子検体容器は、分析装置21に搬送され(ステップS5)、検体が分析された後、保管庫22に収納され(ステップS6)、子検体の収納位置情報が管理ユニット30に格納される(ステップS7)。
【0048】
なお、親検体が小分けされた後、残余の親検体を収容する容器について、バーコード作成ユニット26で作成された2次元バーコードがバーコード貼付ユニット27により貼付された後に、保管庫22に保管するように構成することも可能である。
【0049】
管理ユニット(操作端末)30においては、患者ID(検体ID)を検索することにより(ステップS20)、子検体容器及び親検体容器の収納位置が検索され(ステップS21)、検索された収納位置が操作端末30の表示部(図6に図示)に表示される(ステップS22)。
【0050】
本発明の一実施例においては、検体容器に貼付された2次元バーコードに遠心分離日時(試料投入日時)情報が含まれている。この情報により、試料の保存期間について管理することが容易であり、検体前処理システムへの試料投入日時から保管期間を過ぎた際に、ユーザに注意喚起の旨を通知し、廃棄すべき試料の認識を容易にすることができる。
【0051】
図7は、試料の再測定の際、2次元バーコードへの付加情報による試料由来の測定結果の判断フローチャートを示す図である。
【0052】
図7において、試料が投入されると(ステップS40)、2次元バーコード読み取り部21bで読み取られた情報から、管理ユニット30は、保管時間について、指定時間を越えているか否かを判断する(ステップS41)。指定時間を越えていなければ、該当する自動分析装置に搬送し、測定結果を出力させる(ステップS45)。
【0053】
ステップS41において、指定時間を超えている場合は、自動分析装置にその旨を通知し、自動分析装置が、測定した結果について、先に測定した結果を項目毎に比較して変動を判断するように自動分析装置に指令する(ステップS42)。
【0054】
そして、自動分析装置は、変動幅が一定値以上であるか否かを判断し(ステップS43)、一定値以上である場合には、測定結果にその情報を付加し(ステップS44)、自動分析装置の表示部に表示する(ステップS45)。
【0055】
この場合、検体前処理装置20の管理ユニット30が、自動分析装置が測定した結果を自動分析装置から受信し、検体毎に蓄積して、変動を判断し、管理端末30に表示することもできる。
【0056】
なお、検体容器の2次元バーコードに付加した認識情報を、別個のバーコード読み取り装置により直接的に読み取ることが可能である。
【0057】
つまり、図8に示すように、検体予期容器40に貼付された二次元バーコードラベル42が示す付加情報をハンディリーダ(携帯電話等)43により、読み込み可能とすることができる。
【0058】
これにより、従来の試料認識コード(1次元バーコードラベル)をそのままに、システムとは別個のリーダによる読み込みが可能となり、試料の保管庫内で検体の確認および過去の結果の確認などが可能となる。よって、再分析や廃棄対象の試料を誤って測定のために取り出すという事態の発生を防ぐことができる。
【0059】
次に、本発明による検体前処理装置20における、親検体の搬送経路と、子検体再投入時の搬送経路とを、本発明とは異なる例を参照して説明する。
【0060】
図9は本発明の一実施例における検体前処理装置の親検体容器搬送ルートを示す図であり、図10は本発明の一実施例における検体前処理装置の子検体容器搬送ルートを示す図である。
【0061】
また、図11は本発明とは異なる例における検体前処理装置の親検体容器搬送ルートを示す図であり、図12は本発明とは異なる例における検体前処理装置の子検体容器搬送ルートを示す図である。
【0062】
図9において、検体投入ユニット2に設置された検体1a、1b(図9の場合親検体容器)は、検体分類ユニット3aに搬送ライン12aを介して搬送され、分類トレー4a〜4fに分類される。そして、親検体容器は、遠心バッファユニット5に搬送され、遠心分離ユニット6により遠心分離される。そして、搬送ライン12bにより開栓ユニット7に搬送された後、オンライン分注ユニット8により、子検体容器に分注され、搬送ライン12cにより検体収納部9に搬送される。なお、搬送ライン12a、12b、12c等の動作制御は、コントローラ10により行われる。11は情報システムである。
【0063】
また、1次元バーコード読み取り部21aと2次元バーコード読み取り部21b、振り分けユニット29は、検体投入ユニット2に配置されている。また、分注ユニット25はオンライン分注ユニット8に配置され、1次元バーコード及び2次元バーコード作成ユニット26及び1次元バーコード及び2次元バーコード貼付ユニット27は、ラベル作成と貼り付けユニット13に配置されている。
【0064】
なお、分析装置振り分けユニット28は、図9〜図12では省略されている。
【0065】
また、コントローラ10は管理ユニット30に対応し、情報システム11はホストコンピュータ23に対応する。
【0066】
子検体が検体前処理装置に再投入された場合は、図10の破線で示すように、検体投入ユニット2から、搬送ライン12a〜12cを介して分析装置振り分けユニット28に搬送される。
【0067】
図11に示した例と、図9に示した例との相違点は、図11に示した例には、2次元バーコード読み取り部21b、振り分けユニット29、2次元バーコード作成ユニット26及び2次元バーコード貼付ユニット27が備えられておらず、図9には配置されていない第2の検体分類ユニット3bが備えられている点である。
【0068】
親検体容器の搬送ルートは、図11に示した例と図9に示した例とは、同一となっている。
【0069】
次に、図12に示した例における子検体容器の投入、再投入は、第2の検体分類ユニット3bから行われる。これは、図12に示した例では、2次元バーコード読み取り部21b及び振り分けユニット29は備えられておらず、投入された検体容器が、親検体容器であるか、子検体容器であるかが判断できず、投入ユニット2から子検体容器を投入することができないからである。
【0070】
このため、第2の検体分類ユニット3bを追加する必要がある。
【0071】
これに対して、図10に示した本発明の一実施例の場合は、親検体容器と子検体容器の投入場所は一つであり、検体容器に貼付された1次元バーコード、2次元バーコードにより示される情報により、自動的に親検体容器か子検体容器化を判断し、適切な搬送ルートを設定すること可能である。
【0072】
以上にように、本発明の一実施例によれば、検体容器に検体ID又は患者IDを示す1次元バーコードと、親検体種別識別コード、遠心分離日時(試料投入日時)等を示す2次元バーコードとを貼付し、これらの1次元、2次元バーコードを読み取るように構成したので、使用者が、患者の試料(検体)の所在を迅速に検索できると共に、試料の保管経過時間等を容易に、かつ、迅速に判断可能な検体前処理装置、方法およびシステムを実現することができる。
【0073】
なお、上述した実施例においては、1次元バーコード読み取り部21a及び2次元バーコード読み取り部21bを検体前処理装置20にのみ配置する構成としたが、1次元バーコード読み取り部21a及び2次元バーコード読み取り部21bを個々の分析装置21に配置し、読み取った情報を記憶し、自動分析装置からホストコンピュータに検体についての情報について、双方向通信を行うように構成することも可能である。
【0074】
また、上述した例は、1次元、2次元バーコードを用いた例であるが、例えば、磁気情報記録方式等の他の形式の情報記録方式を用いた記録媒体を使用することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
20・・・検体前処理装置、21・・・分析装置、21a・・・1次元バーコード読み取り部、21b・・・2次元バーコード読み取り部、22・・・保管庫、23・・・ホストコンピュータ、24・・・遠心分離ユニット、25・・・分注ユニット、26・・・1次元バーコード2次元バーコード作成ユニット、27・・・1次元バーコード2次元バーコード貼付ユニット、28・・・分析装置振り分けユニット、29・・・振り分けユニット、30・・・管理ユニット、40・・・検体容器、41・・・1次元バーコードラベル、42・・・2次元バーコードラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を分析する分析装置に供給する前段階で、検体の前処理を行う検体前処理装置において、
検体容器に貼付された情報記録媒体の記録情報を読み取る情報読み取り部と、
上記情報読み取り部により読み取られた情報に基づいて、親検体が収容された親検体収容容器と、子検体が収容された子検体容器とを振り分ける検体容器振り分け部と、
上記検体容器振り分け部により振り分けられた親検体について所定の前処理を行う前処理部と、
上記前処理部により処理された親検体を子検体収容容器に分注する分注処理部と、
上記子検体容器に、上記親検体の検体識別番号を記録する第1の情報記録部と、少なくとも検体投入日時又は上記前処理日時を記録する第2の情報記録部とを作成し、上記子検体容器に貼付する情報記録貼付部と、
上記第1の情報記録部及び第2の情報記録部が貼付された子検体容器を分析装置に振り分ける分析装置振り分け部と、
上記情報読み取り部、上記検体容器振り分け部、上記前処理部、上記分注処理部、上記情報記録貼付部、及び上記分析装置振り分け部の動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする検体前処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検体前処理装置において、
上記第1の情報記録部及び第2の情報記録部には、バーコードで情報が記録されていることを特徴とする検体前処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検体前処理装置において、
上記第1の情報記録部には1次元バーコードで情報が記録され、上記第2の情報記録部には2次元バーコードで情報が記録されていることを特徴とする検体前処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検体前処理装置において、
上記前処理部は、親検体の遠心分離処理を行うことを特徴とする検体前処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の検体前処理装置において、
上記第2の記録部には、親検体の種別を示す識別コードを含むことを特徴とする検体前処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検体前処理装置において、
上記制御部は、上記情報読み取り部が読み取った情報媒体に第2の情報記録部が存在し、この第2の情報記録部に記録された検体投入日時又は前処理日時から、一定時間以上経過しているか否かを判断し、一定時間以上経過している場合は、測定項目毎に以前の測定結果と、新たな測定結果との変動を判断することを分析装置に指令することを特徴とする検体前処理装置。
【請求項7】
検体前処理装置と、この検体前処理装置から検体容器に収容された検体が供給似され、供給された検体を分析装置と、上記検体前処理装置又は上記分析装置から搬送された検体収容容器を保管する保管庫と、上記検体前処理装置と情報を相互通信し、検体容器に収容された検体に関する情報を相互通信するホストコンピュータとを有する検体前処理システムにおいて、
上記検体前処理装置は、検体容器に貼付された情報記録媒体の記録情報を読み取る情報読み取り部と、この情報読み取り部により読み取られた情報に基づいて、親検体が収容された親検体収容容器と、子検体が収容された子検体容器とを振り分ける検体容器振り分け部と、上記検体容器振り分け部により振り分けられた親検体について所定の前処理を行う前処理部と、上記前処理部により処理された親検体を子検体収容容器に分注する分注処理部と、上記子検体容器に、上記親検体の検体識別番号を記録する第1の情報記録部と、少なくとも検体投入日時又は上記前処理日時を記録する第2の情報記録部とを作成し、上記子検体容器に貼付する情報記録貼付部と、上記第1の情報記録部及び第2の情報記録部が貼付された子検体容器を分析装置に振り分ける分析装置振り分け部と、上記情報読み取り部、上記検体容器振り分け部、上記前処理部、上記分注処理部、上記情報記録貼付部、及び上記分析装置振り分け部の動作を制御すると共に、上記保管庫に保管された検体容器の検体保管位置及び保管時間を記憶する制御部とを備えることを特徴とする検体前処理システム。
【請求項8】
検体を分析する分析装置に供給する前段階で、検体の前処理を行う検体前処理方法において、
検体容器に貼付された情報記録媒体の記録情報を読み取り、
読み取った情報に基づいて、親検体が収容された親検体収容容器と、子検体が収容された子検体容器とを振り分け、
振り分けた親検体について所定の前処理を行い、
上記前処理された親検体を子検体収容容器に分注し、
上記子検体容器に、上記親検体の検体識別番号を記録する第1の情報記録部と、少なくとも検体投入日時又は上記前処理日時を記録する第2の情報記録部とを作成し、上記子検体容器に貼付し、
上記第1の情報記録部及び第2の情報記録部が貼付された子検体容器を分析装置に振り分けることを特徴とする検体前処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の検体前処理方法において、
上記第1の情報記録部及び第2の情報記録部には、バーコードで情報が記録されていることを特徴とする検体前処理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の検体前処理方法において、
上記第1の情報記録部には1次元バーコードで情報が記録され、上記第2の情報記録部には2次元バーコードで情報が記録されていることを特徴とする検体前処理方法。
【請求項11】
請求項9に記載の検体前処理方法において、
上記前処理は、親検体の遠心分離処理であることを特徴とする検体前処理方法。
【請求項12】
請求項10に記載の検体前処理方法において、
上記第2の記録部には、親検体の種別を示す識別コードを含むことを特徴とする検体前処理方法。
【請求項13】
請求項11に記載の検体前処理方法において、
上記読み取った情報記録媒体に第2の情報記録部が存在し、この第2の情報記録部に記録された検体投入日時又は前処理日時から、一定時間以上経過しているか否かを判断し、一定時間以上経過している場合は、測定項目毎に以前の測定結果と、新たな測定結果との変動を判断することを分析装置に指令することを特徴とする検体前処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−73138(P2012−73138A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218706(P2010−218706)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】