説明

検体希釈液

【課題】食品中のアレルギー物質が感度よく検出され、検体由来成分の非特異的吸着を減じた精度よい免疫測定結果が得られる検体希釈液及び免疫測定法の提供。
【解決手段】0.05〜0.5w/v%の非イオン性界面活性剤と0.5〜2.5Mの無機塩を含有することを特徴とする、免疫測定法により食品中のアレルギー物質を検出するための検体希釈液、及び、この検体希釈液を用いる、食品中のアレルギー物質の免疫測定法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品中のアレルギー物質を特異的かつ高感度に検出する免疫測定法の検体希釈液及びこれを用いたに免疫測定法に関する。
【背景技術】
【0002】
食物の摂取によりアレルギー症状が出現する場合を食物アレルギーという。アレルギー症状は、アレルギー反応により口唇、口腔粘膜の接触皮膚炎様の症状から気管支喘息、蕁麻疹、胃腸障害を引き起こすものまでいろいろ見られる。時には血圧低下、顔面蒼白、呼吸困難、意識混濁など生命にかかわる急激な全身の反応(アナフィラキシーショック)を起こすこともある。
食物アレルギーを引き起こすことが明らかな食品のうち、三大アレルゲンとして知られているのが、卵、乳、小麦である。また、症状が重篤なものとして、そば、落花生が挙げられる。これらの品目は食品衛生法においても特定原材料として食品表示が義務付けられている。他に、あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、バナナの20品目について表示が奨励されている。食物アレルギーは年齢によって、アレルゲンが変化したり、新たに加わったりすることがある。牛乳、小麦及び鶏卵アレルギーは年齢が増すとともにしばしば消失する(自然寛解)が、そば、落花生、貝・甲殻類、魚等のアレルギーは生涯持続する傾向がある。このような背景から、食物アレルギー患者の食の安全を確保するために、早急な対策が必要とされており、信頼性のある表示を実施するためにも、加工食品中に含まれるアレルギー物質を検知し得る試験法の確立が望まれている。
【0003】
アレルギー物質の表示は、原材料としてアレルギー物質を使用していない食品を製造等する場合であっても、製造工程上の問題等により微量混入(コンタミネーション)してしまう場合にも混入の可能性が否定できない場合は、表示が必要とされている。表示が必要な量は、アレルギー症状を誘発する抗原量の観点から、一般的には総タンパク質濃度として数μg/g以上の混入で表示が必要とされている。従って、食品製造業者は、消費者の安全と適切な商品選択の機会を提供するため、自らの製品について十分な監視と高い測定感度での検査を行うことが望まれている。
【0004】
このような高度の検査が可能な方法としては、食物アレルギー物質に対する抗体を利用した免疫測定法が注目され、一部実用化されている。特に、免疫測定法は酵素免疫測定法(ELISA法)等として広く普及しており、高度な操作を必要とせず、短時間で測定結果も得られるので、食物アレルギー検査の目的には最適である。しかし、食物アレルギー検査に供試する食品は多種多様なことから、食品成分による妨害反応、非特異反応、交差反応が免疫測定法における課題であった。この課題を解決する手段として一般的には、選択性の高い抗体を使用することが挙げられる。しかし、高感度に精度の良い測定結果を得るには抗体選択だけでなく、当該抗体の目的物質との反応の最適化と、当該抗体以外のブロッキング剤や反応ウェルなどの測定系全体に対する検体由来成分の非特異的吸着やバックグランド上昇の防止を図る工夫が必要である(特許文献1参照)。しかしながら、目的物質との反応の最適化と、非特異反応の防止は相反する現象であり、一方を優先すると反応の低下や非特異反応の上昇を招く恐れがある。
【特許文献1】特開2006−126166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、免疫測定法における食品中のアレルギー物質の反応の最適化と、検体由来成分の非特異的吸着を回避することで精度よい測定結果を得るための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる実情に鑑み本発明者は、免疫測定法に供する試料溶液を調製するための検体希釈液の組成を鋭意研究したところ、0.05〜0.5w/v%の非イオン性界面活性剤と0.5〜2.5Mの無機塩を含有する検体希釈液を用いて免疫測定を行なえば、食品中のアレルギー物質が感度よく検出され、検体由来成分の非特異的吸着を減じた精度よい測定結果が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、0.05〜0.5w/v%の非イオン性界面活性剤と0.5〜2.5Mの無機塩を含有することを特徴とする、免疫測定法により食品中のアレルギー物質を検出するための検体希釈液を提供するものである。
また、本発明は、この検体希釈液を用いることを特徴とする、食品中のアレルギー物質の免疫測定法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の検体希釈液を用いて試料溶液を調製し、免疫測定法に供すると、測定時の食品中のアレルギー物質の反応の最適化と、擬似反応の要因となる検体由来成分の非特異的な吸着やバックグランドの発生を抑えることができ、非特異反応に起因する擬似陽性反応を有意に防止することができる。
従って、本発明によれば、食品中のアレルギー物質が感度よく検出され、精度よい測定結果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(検体希釈液)
本発明の検体希釈液は、上記のとおり、非イオン性界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤としてポリオキシアルキレン系界面活性剤が好ましい。ポリオキシアルキレン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンショ糖脂肪酸エステル及びポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン縮合物等が挙げられるが、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルが好ましく、さらにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20の商品名で市販されている)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(Tween 40の商品名で市販されている)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート (Tween 60の商品名で市販されている)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80の商品名で市販されている)等のポリオキシエチレンソルビタンモノC8−20脂肪酸エステルが挙げられるが、この内、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween20)が好ましい。また、本発明で用いられる非イオン性界面活性剤のHLB値は10から20であることが好ましい。主なる非イオン性界面活性剤のHLB値を示すと、Tween 20は16.7、Tween 60は14.9、Tween 80は15である。
非イオン性界面活性剤の含有量は、交差反応低減の観点から検体希釈液全体に対し0.05〜0.5w/v%の範囲であり、特に0.08〜0.2w/v%が好ましい。
【0010】
本発明の検体希釈液は、さらに、無機塩を含む。これらの無機塩を含むことにより、上記した本発明の効果がさらに高まる。本発明で用いる無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウムが挙げられるが、塩化ナトリウムが好ましい。
検体希釈液中の無機塩の濃度は、測定感度の観点から0.5〜2.5Mの範囲であり、好ましくは 0.7 〜 1.4 Mである。
【0011】
そして、特に好ましい本発明の検体希釈液は0.1w/v%のTween 20と1Mの塩化ナトリウムを含むリン酸緩衝液等である。
【0012】
(食品中のアレルギー物質の測定法)
本発明では、免疫測定法に供する試料溶液を調製するために上記検体希釈液を用いる。本発明が適用される免疫測定法は、例えば、酵素免疫測定法(EIA)、固相酵素免疫測定法(ELISA)、放射線免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、ウエスタンブロット法、イムノクロマトグラフ法等の公知の免疫学的測定法が挙げられる。上記の各種免疫学的測定法は、競合法やサンドイッチ法等により、標識剤で標識された抗原又は2次抗体を用い、目的とする抗原又は抗体を測定するものである。これらのうちもっとも好ましい方法は、サンドイッチ法である。
【0013】
本発明の測定法の一つであるサンドイッチELISA法についてより詳細に説明すると、該方法では、まず、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼなどの酵素で標識した抗体を調製する。また、使用する固相には標的とする抗原を認識する抗体を固定させておく。次に固相の抗体非吸着面に対し、その反応系には影響しないタンパク質、例えばウシ血清アルブミンなどでブロッキング処理を行う。なお、上記で用いられる抗体やその適用量は、所望とする検出感度に応じて、適宜、選択・調整することができる。次いで、測定溶液と、検量線を作成するための標準溶液を上記の固相に添加し、第一ステップの抗原抗体反応を行わせる。反応後、固相を洗浄し、上述の酵素標識抗体を添加して固相化抗体と反応した抗原と、第二ステップの抗原抗体反応を行わせる。酵素標識抗体の反応後、洗浄操作を行い、使用した酵素に応じた発色基質、例えば1、2−フェニルジアミンとH22、P−ニトロフェニルリン酸、2−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシド、3、3'、5、5'−テトラメチルベンジジン等を反応系に加えてこれらを酵素と反応させる。基質の発色は、酵素量、ひいては試料中の抗原量に依存するため、発色最終産物の量を測定することにより、標的とする抗原を定量することが出来る。
【0014】
また、本発明は、イムノクロマト法によっても実施することができる。例えば、イムノクロマト法を行うため、まず、酵素(例えば、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ)、着色粒子(例えば、金コロイド、カラーラテックス)、蛍光物質、発光物質などで標識した抗体を調製し、標識抗体保持部材を調製する。次に、使用する固相(例えばニトロセルロースの多孔体からなるクロマト用膜担体)には標的とする抗原を認識する抗体を固定させておく。次に固相の抗体非吸着面に対し、その反応系には影響しないタンパク質、例えばウシ血清アルブミンなどでブロッキング処理を行う。次いで、標識抗体保持部材、クロマト用担体、吸水部材、試薬添加用部材を組み合わせてイムノクロマトグラフィーキットを作製する。測定は試薬添加用部材に測定溶液を添加すると毛細管現象により、測定溶液が標識抗体保持部を通過して標識抗体と免疫複合体を形成する。前述の免疫複合体は更に移動してクロマト用担体に固相された抗体と免疫複合体を形成してクロマト用担体上にバンドが出現する。
【0015】
本発明の食品中のアレルギー物質の検出方法は、食品原材料だけでなく、製造工程中のコンタミネーションや加工食品中に含まれる食品中のアレルギー物質の有無を判別することができる。よって、測定対象となる検体は植物、動物、油性、水溶性、粘性等を問わず食品全般の抽出液である。さらに動物又は植物の抽出液が好ましく、更に農産物、水産物、畜産物などの食品および加工食品の抽出液、特に特定原材料等の「卵、乳、小麦、そば、落花生、あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、バナナ」を含む食品および加工食品の抽出液が好ましい。
【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0017】
試験例1
比較例1〜10、実施例1〜3:サンドイッチELISA法による、甲殻類タンパク質の測定
甲殻類(ブラックタイガー)タンパク質のサンドイッチELISA法における検体希釈液の甲殻類タンパク質の感度への影響を検証した。
【0018】
(1)抗甲殻類トロポミオシン抗体の固相化
抗甲殻類トロポミオシンモノクローナル抗体溶液10μg/mLをELISAプレート(Nunc社)に100μLずつ分注し、4℃で一晩放置した。
【0019】
(2)マイクロタイタープレートのブロッキング
各ウェルから上記抗体溶液を除去後、リン酸緩衝液(PBS;pH7.4)で2回洗浄し、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma社)含有PBS溶液(ブロッキング液)を加え4℃で一晩放置した。
【0020】
(3)試料溶液の調製
ホモジナイザーで均一化した市販の食品1gを0.6Mの塩化カリウムを含むPBS19mLと混合して100℃ 10分間の抽出を行った。抽出液を10000×gで30分間遠心分離して上清を回収し、試料抽出液とした。得られた試料抽出液はBCA Protein Assay Kit(Pierce社)を用いてタンパク質濃度を測定した。試料抽出液を適宜希釈して試料溶液とした。
【0021】
(4)検体希釈液の調製
ブラックタイガー抽出液を以下の検体希釈液(1)〜(11)で希釈して25ng/mL試料溶液(1)〜(11)を調製した。
(1) 0.5%(w/v)BSA、10mM リン酸緩衝液(pH7.2) (比較例1)
(2) 0.5%(w/v)BSA、0.05%Tween 20、10mM リン酸緩衝液(pH7.2) (比較例2)
(3) 0.5%(w/v)BSA、0.5%Tween 20、10mM リン酸緩衝液(pH7.2) (比較例3)
(4) 0.5%(w/v)BSA、0.3M NaCl、10mM リン酸緩衝液(pH7.2) (比較例4)
(5) 0.5%(w/v)BSA、0.5M NaCl、10mM リン酸緩衝液(pH7.2) (比較例5)
(6) 0.5%(w/v)BSA、1M NaCl、10mM リン酸緩衝液(pH7.2) (比較例6)
(7) 0.5%(w/v)BSA、2.5M NaCl、10mM リン酸緩衝液(pH7.2) (比較例7)
(8) 0.5%(w/v)BSA、0.1%Tween 20、0.3M NaCl、10mM リン酸緩衝液(pH7.2) (比較例8)
(9) 0.5%(w/v)BSA、0.1%Tween 20、0.5M NaCl、10mM リン酸緩衝液(pH7.2) (実施例1)
(10) 0.5%(w/v)BSA、0.1%Tween 20、1.0M NaCl、10mM リン酸緩衝液(pH7.2) (実施例2)
(11) 0.5%(w/v)BSA、0.1%Tween 20、2.5M NaCl、10mM リン酸緩衝液(pH7.2) (実施例3)
【0022】
(5)甲殻類タンパク質の測定
各ウェル中のブロッキング溶液を除去し、PBST(0.05%Tween20含有PBS pH7.4) 300μLで2回洗浄後、各ウェルに0ng/mL(検体希釈液(1)〜(11)のみ)、25ng/mL試料溶液(1)〜(11)を100μL加え、常温で1時間放置した(各サンプルは2重測定)。次いで、各ウェルをPBST 300μLで5回洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗甲殻類トロポミオシンポリクローナル抗体溶液を100μLずつ加え、常温で1時間放置した。次に、各ウェルをPBST 300μLで5回洗浄後、3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン溶液を100μLずつ加え、常温で遮光し20分間反応させた。その後、1規定硫酸を100μLずつ各ウェルに加え反応を停止させた。各ウェルの吸光度をマイクロプレートリーダーを用いて主波長450nm、副波長650nmで測定した。結果を下記表1に測定結果の平均吸光度示す。
【0023】
【表1】

【0024】
表1に示すように、0.1%Tween20、0.5〜2.5M NaClの添加で比較例1に対して1.4〜1.7倍の吸光度が得られた。
【0025】
試験例2
比較例1〜10、実施例1〜3:甲殻類タンパク質のサンドイッチELISA法における交差性の影響
甲殻類タンパク質のサンドイッチELISA法における検体希釈液の甲殻類以外の食品タンパク質(マダコ)に対する交差反応性の影響を検証した。
【0026】
(1)交差性タンパク質の測定
比較例1〜10、実施例1〜3は上記試験例1と同様の方法でマダコ抽出液を調製し、検体希釈液(1)〜(11)を用いて100μg/mLに希釈して試料溶液を作製した。測定は上記試験例1と同様にして行った。
結果を上記表1に示す。
【0027】
表1に示すように、0.1%Tween20、0.5〜2.5M NaClの添加で比較例1に対する吸光度の低減すなわちマダコとの交差反応の低減が確認された。NaClのみでは吸光度に差がほとんど認められなかった。
【0028】
試験例3:サンドイッチELISA法による魚類タンパク質の測定
魚類タンパク質のサンドイッチELISA法における検体希釈液の影響を検証した。
【0029】
(1)魚類タンパク質の測定
抗魚類パルブアルブミンポリクローナル抗体を用いて上記試験例1と同様の方法で、魚類タンパク質のサンドイッチELISA系を構築し、魚類タンパク質を測定した。試料抽出液は市販の魚類を購入し調製した。更に試料抽出液を検体希釈液で適宜希釈して測定用試料溶液を調製した。
結果を下記表2に示す。
【0030】
【表2】

【0031】
表2に示すように、各種魚類で、NaCl、Tween20の添加した検体稀釈液を用いた測定系で良好な吸光度が得られた。
【0032】
試験例4:イムノクロマト法における、甲殻類タンパク質の測定
甲殻類タンパク質のイムノクロマト法における検体希釈液の甲殻類以外の食品タンパク質に対する交差反応性の影響を検証した。
【0033】
(1)イムノクロマトグラフィーキットの作製
塩化金酸をクエン酸で還元して調製した金コロイドに抗甲殻類トロポミオシンポリクローナル抗体を感作させ、金コロイド標識抗甲殻類トロポミオシンウサギポリクローナル抗体を調製した。調製した金コロイド標識抗甲殻類トロポミオシンポリクローナル抗体はBSAでブロッキングした後、BSA含有リン酸緩衝液中に分散させた。標識抗体を標識抗体保持パッドに浸漬して、標識抗体保持パッドを調製した。イムノクロマト用のニトロセルロースメンブラン上に抗甲殻類トロポミオシンモノクローナル抗体を塗布して反応物捕獲ラインを作成した。これらの部材を組み合わせてイムノクロマトグラフィーキットを調製した。
【0034】
(2)イムノクロマトグラフィーキットにおける測定
上記試験例1で用いた試料抽出液を検体希釈液で希釈してイムノクロマトグラフィーキットで分析した。その結果を表3に示した。
【0035】
【表3】

【0036】
表3に示すようにNaCl、Tween20添加マダコとの交差反応性の低減が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.05〜0.5w/v%の非イオン性界面活性剤と0.5〜2.5Mの無機塩を含有することを特徴とする、免疫測定法により食品中のアレルギー物質を検出するための検体希釈液。
【請求項2】
非イオン性界面活性剤のHLB値が10〜20である請求項1記載の検体希釈液。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである請求項1又は2記載の検体希釈液。
【請求項4】
無機塩が、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムである請求項1〜3の何れか1項記載の検体希釈液。
【請求項5】
無機塩が塩化ナトリウムである請求項1〜3の何れか1項記載の検体希釈液。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項記載の検体希釈液を用いることを特徴とする、食品中のアレルギー物質の免疫測定法。

【公開番号】特開2009−85911(P2009−85911A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259553(P2007−259553)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(000226862)日水製薬株式会社 (35)