説明

検体検査装置の処理能力情報生成装置、検体検査装置、検体検査装置の処理能力情報生成方法、及びコンピュータプログラム

【課題】実際に検体検査装置に検体測定を実行させることなく、検体検査装置の処理能力情報を生成することができる検体検査装置の処理能力情報生成装置、検体検査装置、検体検査装置の処理能力情報生成方法、及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】
検体検査装置1は、測定装置2と情報処理装置3とを備える。情報処理装置3は、複数の測定項目を含む複数の測定オーダの入力を受け付け、受け付けた前記複数の測定オーダ及び検体の測定順序に基づいて、検体検査装置1による各検体についての測定動作に含まれる各工程のスケジュールを作成し、作成されたスケジュールに基づいて、検体検査装置1の処理能力値を取得し、取得された処理能力値を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の検体を分析する検体検査装置の処理能力を示す処理能力情報を生成する処理能力情報生成装置、検体検査装置、及び検体検査装置の処理能力情報生成方法、並びにコンピュータに検体検査装置の処理能力情報を生成させるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院又は検査センター等の施設に検体検査装置を導入する際には、その検体検査装置の処理能力を参考にして、機種及び導入台数並びに検査業務における検体検査装置の運用方法等が決定される。このため、検体検査装置のカタログには、通常処理能力を示す指標として、単位時間当たりの検査数(テスト数)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−109743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検体検査には、例えば血液凝固測定のように、検査項目に応じて検体の測定に要する時間が異なるものも存在する。この種の検体検査を行う検体検査装置では、キュベットに小分けした複数の検体を並列で処理する構成となっているが(例えば、特許文献1参照)、単位時間当たりの検査数は、どのような検査項目について検査が行われたかによって異なる。また、どのような検査項目についてどのような割合で検体検査を実施するかは検査施設毎に異なるため、上記の検体検査装置の場合、施設において当該検体検査装置を稼働したときの処理能力と、カタログ等に掲載された処理能力とが乖離することがある。そのため、実際の使用状況に応じた正確な処理能力を把握することが困難であった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、検体検査装置を実際に稼動させたときの検体検査装置の処理能力を容易に推定することができる検体検査装置の処理能力情報生成装置、検体検査装置、検体検査装置の処理能力情報生成方法、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体検査装置の処理能力情報生成装置は、測定時間が互いに異なる複数の測定項目について検体を測定可能な検体検査装置が検体の測定を実行した場合における処理能力を示す処理能力情報を生成する検体検査装置の処理能力情報生成装置であって、複数の測定オーダの入力を受け付ける入力部と、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダに基づいて、前記検体検査装置の処理能力を示す処理能力情報を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記処理能力情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
この態様において、前記処理能力情報生成装置は、測定項目毎に、前記検体検査装置が実行すべき複数の工程と各工程の所要時間に関する工程情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記生成手段は、前記記憶部に記憶された工程情報を用いて処理能力情報を生成するように構成されていてもよい。
【0008】
上記態様において、前記生成手段は、前記複数の測定オーダの測定に含まれる各工程のスケジュールを作成するスケジュール作成手段を含み、前記スケジュール作成手段により作成されたスケジュールに基づいて処理能力情報を生成するように構成されていてもよい。
【0009】
上記態様において、前記スケジュール作成手段は、一の検体についての測定動作に含まれる各工程のスケジュールを、他の検体についての測定動作に含まれる各工程のスケジュールに基づいて作成するように構成されていてもよい。
【0010】
上記態様において、前記工程情報は、前記複数の工程の実行順序を含んでいてもよい。
【0011】
上記態様において、前記記憶部は、検体の分注工程、試薬の分注工程、及び検体と試薬とが混合された測定試料の測定工程を含む前記検体検査装置が実行すべき複数の工程、各工程の実行順序及び各工程の所要時間に関する工程情報を記憶するように構成されていてもよい。
【0012】
上記態様において、前記スケジュール作成手段は、前記工程情報に示される各工程の実行順序及び各工程に要する時間に基づいて、連続する時間を区切った各時間帯に対して実行可能な工程を割り当てることにより、各工程のスケジュールを作成するように構成されていてもよい。
【0013】
上記態様において、前記出力部は、前記スケジュール作成手段によって、第1の検体の分注工程と、当該第1の検体の分注工程の次に実行される第2の検体の分注工程とが時間を隔てて実行される前記スケジュールが作成された場合に、前記第1の検体の分注工程と前記第2の検体の分注工程との間の期間が分注工程が行われない期間であることを示す情報を出力するように構成されていてもよい。
【0014】
上記態様において、前記生成手段は、前記検体検査装置が検体の測定動作を開始してから完了する迄の測定時間を示す前記処理能力情報を生成するように構成されていてもよい。
【0015】
上記態様において、前記生成手段は、前記スケジュール作成手段により作成された各工程のスケジュールにより指定される最初に実行される工程に係る実行時刻と、前記スケジュールにより指定される最後に実行される工程に係る実行時刻とに基づいて、前記測定時間を示す前記処理能力情報を生成するように構成されていてもよい。
【0016】
上記態様において、前記生成手段は、単位時間当たりに前記検体検査装置によって検体の測定が実行される測定項目数を示す前記処理能力情報を生成するように構成されていてもよい。
【0017】
上記態様において、前記スケジュール作成手段は、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダに含まれる測定項目のそれぞれについての検体の分注工程に係る実行時刻を含む前記スケジュールを作成するように構成されており、前記生成手段は、前記スケジュール作成手段により作成された前記スケジュールにより指定される最初の検体の分注工程に係る実行時刻と、最後の検体の分注工程に係る実行時刻と、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダに含まれる測定項目数とに基づいて、前記単位時間当たりに前記検体検査装置によって検体の測定が実行される測定項目数を示す前記処理能力情報を生成するように構成されていてもよい。
【0018】
上記態様において、前記検体検査装置は、血液凝固測定装置であり、前記入力部は、血液の凝固時間測定項目を含む測定オーダの入力を受付可能に構成されていてもよい。
【0019】
上記態様において、前記スケジュール作成手段は、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダを実行するために前記検体検査装置が各検体について実行すべき測定動作に含まれる各工程に係る実行時刻を含む前記スケジュールを作成するように構成されており、前記出力部は、前記スケジュール作成手段により作成された前記スケジュールに含まれる各工程に係る実行時刻を出力するように構成されていてもよい。
【0020】
上記態様において、前記処理能力情報生成装置は、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダの実行順序を決定する実行順序決定手段をさらに備え、前記スケジュール作成手段は、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダ及び前記実行順序決定手段により決定された前記複数の測定オーダの実行順序に基づいて、前記検体検査装置による各検体についての測定動作に含まれる各工程のスケジュールを作成するように構成されていてもよい。
【0021】
上記態様において、前記入力部は、測定オーダの実行順序の変更指示を受付可能に構成されており、前記実行順序決定手段は、前記入力部により測定オーダの実行順序の変更指示が受け付けられたときに、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダの実行順序を決定するように構成されていてもよい。
【0022】
上記態様において、前記出力部は、前記スケジュール作成手段により作成されたスケジュールに含まれる各工程を時系列に示すタイミングチャートを出力するように構成されていてもよい。
【0023】
上記態様において、前記記憶部は、第1の工程及び第2の工程を含む前記検体検査装置が実行すべき複数の工程、各工程の実行順序及び各工程の所要時間に関する工程情報を記憶するように構成されており、前記出力部は、前記第1の工程及び前記第2の工程を互いに異なる形式で示した前記タイミングチャートを出力するように構成されていてもよい。
【0024】
上記態様において、前記検体検査装置は、検体を収容する複数の容器を保持可能であり、保持された容器中の検体に対して所定の処理工程を実行する処理部を具備し、前記処理能力情報生成装置は、前記スケジュール作成手段によって作成された前記スケジュールに基づいて、前記処理部における容器の保持状況を時系列に示す保持状況情報を取得する保持状況情報取得手段をさらに備え、前記出力部は、前記保持状況情報取得手段によって取得された前記保持状況情報を出力可能に構成されていてもよい。
【0025】
上記態様において、前記入力部は、前記各検体が前記検体検査装置に到着する到着時刻の入力をさらに受け付けるように構成されており、前記生成手段は、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダ及び前記到着時刻に基づいて、前記処理能力情報を生成するように構成されていてもよい。
【0026】
上記態様において、前記生成手段は、検体が前記検体検査装置に到着してから測定が完了するまでの時間を前記各検体について生成するように構成されており、前記出力部は、前記各検体について、前記生成手段によって生成された前記時間を出力するように構成されていてもよい。
【0027】
上記態様において、前記生成手段は、検体の測定完了時刻を前記各検体について生成するように構成されており、前記出力部は、前記各検体について、前記生成手段によって生成された前記測定完了時刻を出力するように構成されていてもよい。
【0028】
上記態様において、前記出力部は、前記各検体について、前記入力部により受け付けられた前記到着時刻を出力するように構成されていてもよい。
【0029】
また、本発明の一の態様の検体検査装置は、測定時間が互いに異なる複数の測定項目について検体の測定を実行可能な検体検査装置であって、複数の測定オーダの入力を受け付ける入力部と、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダに基づいて、前記検体検査装置の処理能力を示す処理能力情報を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記処理能力情報を出力する出力部と、を備える。
【0030】
また、本発明の一の態様の検体検査装置の処理能力情報生成方法は、測定時間が互いに異なる複数の測定項目について検体を測定可能な検体検査装置が検体の測定を実行した場合における処理能力を示す処理能力情報を生成する検体検査装置の処理能力情報生成方法であって、複数の測定オーダの入力を受け付けるステップと、受け付けた前記複数の測定オーダに基づいて、前記検体検査装置の処理能力を示す処理能力情報を生成するステップと、生成された前記処理能力情報を出力するステップと、を有する。
【0031】
また、本発明の一の態様のコンピュータプログラムは、入力部と、出力部とを備えるコンピュータに、測定時間が互いに異なる複数の測定項目について検体を測定可能な検体検査装置が検体の測定を実行した場合における処理能力を示す処理能力情報を生成させるコンピュータプログラムであって、複数の測定オーダの入力を受け付けるステップと、受け付けた前記複数の測定オーダに基づいて、前記検体検査装置の処理能力を示す処理能力情報を生成するステップと、生成された前記処理能力情報を出力するステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る検体検査装置の処理能力情報生成装置、検体検査装置、検体検査装置の処理能力情報生成方法、及びコンピュータプログラムによれば、実際に検体検査装置に検体測定を実行させることなく、検体検査装置の処理能力を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施の形態1に係る検体検査装置の構成を示す斜視図。
【図2】実施の形態1に係る検体検査装置が備える測定装置の概略構成を示す平面図。
【図3】測定装置の回路構成を示すブロック図。
【図4】実施の形態1に係る検体検査装置が備える情報処理装置の構成を示すブロック図。
【図5】実施の形態1に係る検体検査装置のメニュー画面を示す図。
【図6】実施の形態1に係る検体検査装置の測定オーダ登録処理の手順を示すフローチャート。
【図7】実施の形態1に係る検体検査装置の測定オーダ登録画面の一例を示す図。
【図8】実施の形態1に係る検体検査装置の測定オーダ登録画面の他の例を示す図。
【図9】実施の形態1に係る検体検査装置の検体処理能力推定処理の手順を示すフローチャート。
【図10】実施の形態1に係る検体検査装置の測定シミュレーション画面の一例を示す図。
【図11】実施の形態1に係る検体検査装置による検体測定のスケジュールの一例を部分的に示すタイミングチャート。
【図12】実施の形態1に係る検体検査装置の測定シミュレーション処理の手順を示すフローチャート。
【図13】実施の形態1に係る検体検査装置の測定シミュレーション画面の他の例を示す図。
【図14】検出ユニットの各保持孔の使用状況を示すタイミングチャートの一例を示す図。
【図15】測定オーダに測定項目PTのみが含まれる場合の検体測定のスケジュールを示すタイミングチャート。
【図16】測定オーダに測定項目PT及びAPTTが含まれる場合の検体測定のスケジュールを示すタイミングチャート。
【図17】測定項目PT及びAPTTが指示された4つの検体を先に測定し、測定項目PTのみが指示された6つの検体を後に測定する場合の検体測定のスケジュールを示すタイミングチャート。
【図18】図17の検体の測定順を変更した場合の検体測定のスケジュールを示すタイミングチャート。
【図19】実施の形態2に係る検体検査装置の検体処理能力推定処理の手順を示すフローチャート。
【図20】実施の形態2に係る検体検査装置の測定シミュレーション画面の一例を示す図。
【図21】測定オーダファイルの内容の一例を示す模式図。
【図22】実施の形態2に係る検体検査装置の測定シミュレーション処理の手順を示すフローチャート。
【図23】実施の形態2に係る検体検査装置の測定シミュレーション画面の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0035】
(実施の形態1)
[検体検査装置の構成]
図1は、本実施の形態に係る検体検査装置1の構成を示す斜視図である。検体検査装置1は、検体(血液)に含まれる成分を光学的に測定する測定装置2と、測定装置2による測定データを処理して検体の分析結果を得るとともに、測定装置2に操作指示を与える情報処理装置3とで構成されている。
【0036】
図2は、測定装置2の概略構成を示す平面図である。測定装置2は、測定ユニット10と、検出ユニット40と、搬送ユニット50とによって構成されている。
【0037】
測定ユニット10は、第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、第1容器ラック13と、第2容器ラック14と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16と、テーブルカバー17と、第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25と、第1キャッチャユニット26と、第2キャッチャユニット27と、第3キャッチャユニット28と、キュベット搬送器32と、希釈液搬送器33と、キュベット口34と、廃棄口35,36とを備えている。
【0038】
第1試薬テーブル11、第2試薬テーブル12、キュベットテーブル15、及び加温テーブル16のそれぞれは、円形状のテーブルであり、時計回り及び反時計回りの両方向に、独立して回転駆動される。これらのテーブルの回転駆動は、それぞれ、下面裏側に配された複数のステッピングモータ(図示せず)により行われる。
【0039】
第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12の上面には、図示の如く、それぞれ、5つの第1容器ラック13と5つの第2容器ラック14が着脱可能に配置されている。第1容器ラック13と第2容器ラック14には、試薬容器を保持するための保持部が形成されている。
【0040】
第1試薬テーブル11及び第2試薬テーブル12に保持されている各試薬の種別及び保持位置の情報が、後述する測定装置2の制御部300に設けられたハードディスク304に記憶されている。これにより、検体の測定が行われるときに、検体の測定に使用する試薬がどの保持位置に配置されているかを特定することができる。
【0041】
キュベットテーブル15と加温テーブル16には、図示の如く、それぞれ、円周に沿って複数のキュベット保持孔15a,16aが形成されている。キュベット保持孔15a,16aにキュベットがセットされると、かかるキュベットは、それぞれ、キュベットテーブル15と加温テーブル16の回転に合わせて、円周位置を移動することとなる。また、加温テーブル16は、保持孔16aにセットされたキュベットを、所定の温度にて加温する。
【0042】
第1試薬テーブル11、第2試薬テーブル12、及びキュベットテーブル15の上面を覆うように、テーブルカバー17が設けられている。かかるテーブルカバー17は、試薬を交換するとき等に開放することができるようになっている。また、テーブルカバー17には、複数の孔(図示せず)が設けられている。第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、及び第3試薬分注ユニット25は、これら複数の孔を介して試薬の分注を行う。
【0043】
第1検体分注ユニット21は、図示の如く、支持部21aと、アーム21bと、分注部21cとを備えている。支持部21aは、下面裏側に配されたステッピングモータ(図示せず)により回転駆動される。また、支持部21aは、アーム21bを支持しており、アーム21bは、上記ステッピングモータにより上下方向に駆動される。分注部21cは、アーム21bの先端に取り付けられており、ピペットを有する。かかるピペットを用いて検体が吸引され吐出される。
【0044】
支持部21aが回転駆動されると、分注部21cが支持部21aを中心とした円周上を移動する。分注部21cは、検体吸引位置において、真下位置にある検体を吸引し、検体吐出位置において、真下位置にあるキュベットに検体を吐出する。なお、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、及び第3試薬分注ユニット25についても、第1検体分注ユニット21と同様の構成となっている。すなわち、第2検体分注ユニット22は支持部22aを備え、支持部22aは、下面裏側に配されたステッピングモータ(図示せず)により回転駆動される。また、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25は、それぞれ、支持部23a、支持部24a、支持部25aを備え、支持部23a、支持部24a、支持部25aは、それぞれ、下面裏側に配された複数のステッピングモータ(図示せず)により回転駆動される。
【0045】
第1キャッチャユニット26は、アーム26bを支持する支持部26aと、伸縮可能なアーム26bと、把持部26cとで構成されている。支持部26aは、下面裏側に配されたステッピングモータ(図示せず)により回転駆動される。把持部26cは、アーム26bの先端に取り付けられており、キュベットを把持することができる。なお、第2キャッチャユニット27についても、第1キャッチャユニット26と同様の構成となっており、ステッピングモータ(図示せず)により回転される。
【0046】
第3キャッチャユニット28は、図示の如く、アーム28bを支持する支持部28aと、伸縮可能なアーム28bと、アーム28bの先端に取り付けられた把持部28cとで構成されている。支持部28aは、左右方向に配されたレールに沿って駆動される。把持部28cは、キュベットを把持することができる。
【0047】
キュベット搬送器32及び希釈液搬送器33は、レール上を左右方向に駆動する。また、キュベット搬送器32と希釈液搬送器33には、それぞれ、キュベット及び希釈液容器を保持するための孔が設けられている。
【0048】
キュベット口34には、常に新しいキュベットが供給される。新しいキュベットは、第1キャッチャユニット26及び第2キャッチャユニット27により、キュベット搬送器32のキュベットを保持する孔及びキュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされる。廃棄口35、36は、分析が終了し不要となったキュベットを廃棄するための孔である。
【0049】
検出ユニット40は、上面にキュベットを収容する20個の保持孔41が設けられており、下面裏側に検出部(図示せず)が配されている。保持孔41にキュベットがセットされると、検出部により、キュベット中の測定試料から光学的情報が検出される。
【0050】
搬送ユニット50は、搬送路51を備えている。搬送路51の底面は、右側に分析前ラック保持領域、中央に搬送領域、左側に分析後ラック保持領域を有し、コの字型に形成されている。検体バーコードリーダ52は、搬送領域を搬送される検体ラック60に収容された検体容器61に貼付されたバーコードラベルのバーコードを読み取る。
【0051】
図3は、測定装置2の回路構成を示すブロック図である。
【0052】
測定装置2は、制御部300と、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、キュベットテーブルステッピングモータ313と、加温テーブルステッピングモータ314と、キャッチャユニットステッピングモータ部315と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部321と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、試薬テーブル原点センサ部331と、分注ユニット原点センサ部332とを有している。制御部300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、通信インターフェース305と、I/Oインターフェース306とを有する。
【0053】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302及びハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。ハードディスク304には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク404には、CPU301に測定装置2の各部を制御するための制御プログラムがインストールされている。また、通信インターフェース305により、情報処理装置3に対してデータの送受信が可能となる。
【0054】
また、CPU301は、I/Oインターフェースを介して、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部321と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、試薬テーブル原点センサ部331と、分注ユニット原点センサ部332とを制御する。
【0055】
試薬テーブルステッピングモータ部311は、第1試薬テーブル11を回転駆動させるステッピングモータと、第1試薬テーブル11とは独立して第2試薬テーブル12を回転駆動させるステッピングモータとを備えている。分注ユニットステッピングモータ部312は、第1検体分注ユニット21の支持部21a、第2検体分注ユニット22の支持部22a、第1試薬分注ユニット23の支持部23a、第2試薬分注ユニット24の支持部24a、第3試薬分注ユニット25の支持部25aをそれぞれ独立して回転駆動させる複数のステッピングモータを備えている。キャッチャユニットステッピングモータ部315は、第1キャッチャユニット26の支持部26aを回転駆動させるステッピングモータと、第2キャッチャユニット27を回転させるステッピングモータとを備えている。
【0056】
試薬テーブルロータリーエンコーダ部321は、第1試薬テーブル11のステッピングモータに配されたロータリーエンコーダと、第2試薬テーブル12のステッピングモータに配されたロータリーエンコーダとを備えている。分注ユニットロータリーエンコーダ部322は、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のそれぞれのステッピングモータに配された複数のロータリーエンコーダを備えている。なお、ここでは、インクリメンタル方式のロータリーエンコーダが用いられている。このロータリーエンコーダは、ステッピングモータの回転変位量に応じたパルス信号を出力するように構成されており、ロータリーエンコーダから出力されたパルス数をカウントすることで、ステッピングモータの回転量を検出することができる。
【0057】
試薬テーブル原点センサ部331は、第1試薬テーブル11のステッピングモータ及び第2試薬テーブル12のステッピングモータのそれぞれの回転位置が原点位置にあることを検出する原点センサを備えている。分注ユニット原点センサ部332は、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のそれぞれのステッピングモータの回転位置が原点位置にあることを検出する原点センサを備えている。
【0058】
図4は、情報処理装置3の構成を示すブロック図である。
【0059】
情報処理装置3は、パーソナルコンピュータからなっており、本体400と、入力部408と、表示部409とから構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース410とを有する。
【0060】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラム及びRAM402にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402及びハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0061】
ハードディスク404には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。つまり、かかるハードディスク404には、コンピュータを本実施の形態に係る情報処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。
【0062】
読出装置405は、CDドライブ又はDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラム及びデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウス及びキーボードからなる入力部408が接続されており、ユーザが入力部408を使用することにより、情報処理装置3にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、CRT又は液晶パネル等で構成された表示部409に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部409に出力する。表示部409は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また情報処理装置3は、通信インターフェース410により測定装置2に対してデータの送受信が可能となる。
【0063】
[検体検査装置の動作]
以下、本実施の形態に係る検体検査装置1の動作について説明する。
【0064】
<検体毎の分析手順>
まず、検体の分析の手順について説明する。検体の分析手順は、検体の測定項目(PT,APTT等)によって異なる。検体の測定項目は、測定オーダにより指定される。検体検査装置1では、ユーザによる測定オーダの登録が可能であり、また図示しないサーバ装置から測定オーダを受け付けることも可能である。つまり、ユーザが測定オーダを登録する場合は、ユーザが情報処理装置3の入力部408を操作することにより、測定オーダを検体検査装置1に入力する。サーバ装置から測定オーダを受け付ける場合には、予めユーザがサーバ装置に測定オーダを登録しておく。本実施形態において、測定オーダとは、個々の検体に対して測定項目を一つ又は複数指定し、指定した測定項目の測定を検体検査装置1に命令することを意味する。したがって、一つの検体に対しては一つの測定オーダが入力され、一つの測定オーダには一又は複数の測定項目が含まれる。
【0065】
複数の検体容器61を収容した検体ラック60が、ユーザによって搬送路51の分析前ラック保持領域にセットされる。検体ラック60は、分析前ラック保持領域において後方に移動された後、搬送領域において左方向に移動される。このとき、検体容器61に貼付されたバーコードラベルが、検体バーコードリーダ52により読み取られる。検体容器61のバーコードには検体IDが記録されており、情報処理装置3は、読み取られた検体IDをキーにして当該検体の測定オーダを取得する。つまり、測定オーダがユーザにより検体検査装置1に登録された場合には、当該検体IDに対応する測定オーダを情報処理装置3のハードディスク404から読み出され、測定オーダをサーバ装置から取得する場合には、検体IDが情報処理装置3からサーバ装置へ送信され、サーバ装置が、受信した検体IDに対応する測定オーダを情報処理装置3へと送信し、情報処理装置3が測定オーダを受信する。
【0066】
続いて、検体ラック60が、搬送領域の所定の場所に位置づけられる。搬送領域にて検体の吸引が終了すると、検体ラック60は、搬送領域において左方向に移動された後、分析後ラック保持領域において前方に移動される。
【0067】
検体の一次分注
第2キャッチャユニット27は、キュベット口34に供給されたキュベットを、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットする。第1検体分注ユニット21は、搬送路51の搬送領域の所定の検体吸引位置53に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第1検体分注ユニット21によって吸引された検体は、キュベットテーブル15の前方位置にある検体吐出位置18に位置づけられたキュベット保持孔15aにセットされたキュベットに吐出される。検体吐出後、第1検体分注ユニット21の分注部21cの洗浄が行われる。
【0068】
検体の二次分注
第1キャッチャユニット26は、キュベット口34に供給されたキュベットを、キュベット搬送器32のキュベット保持孔にセットする。第2検体分注ユニット22は、検体吸引位置19にあるキュベットに収容されている検体、又は、搬送路51の搬送領域の所定の検体吸引位置54に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第2検体分注ユニット22よって吸引された検体は、キュベット搬送器32にセットされたキュベットに吐出される。なお、第2検体分注ユニット22は、希釈液搬送器33にセットされた希釈液を吸入することができる。この場合、第2検体分注ユニット22は、検体の吸引前に希釈液吸引位置37にて希釈液を吸引した後、検体吸引位置19又は54にて検体を吸引する。
【0069】
1つの検体について複数の測定項目を含む測定オーダが取得された場合、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされたキュベットから、測定項目数分のキュベットに検体が小分けされる(二次分注)。各キュベットは1つずつ測定項目に対応しており、キュベットに小分けされた検体は、当該キュベットに対応する測定項目について測定される。
【0070】
キュベット搬送器32は、収容したキュベットに検体が吐出(二次分注)されると、所定のタイミングにて、レール上を右方向に駆動される。続いて、第1キャッチャユニット26により、キュベット搬送器32にセットされた検体を収容しているキュベットが把持され、加温テーブル16のキュベット保持孔16aにセットされる。
【0071】
キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aに保持されているキュベットは、検体が吸引されて不要となると、キュベットテーブル15が回転され、第2キャッチャユニット27に近い場所に位置づけられる。第2キャッチャユニット27は、キュベット保持孔15aに保持されている不要となったキュベットを把持し、廃棄口36に廃棄する。
【0072】
検体の加温
キュベットに収容された検体は、加温テーブル16において測定項目に応じた時間加温される。例えば、測定項目がPTの場合には、検体が3分間加温され、測定項目がAPTTの場合には、検体が1分間加温される。
【0073】
検体が加温された後、検体にトリガ試薬が混和される。測定項目によっては、所定時間検体が加温された後、中間試薬がキュベット内に分注され、再度キュベットが所定時間加温された後、トリガ試薬が分注されるものもある。例えば、測定項目がPTの場合、加温された検体を収容するキュベットにPT試薬(トリガ試薬)が分注され、その後検出ユニット40において光学測定される。
【0074】
この場合、加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39a又は39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24又は第3試薬分注ユニット25により、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内のトリガ試薬が吸引され、試薬吐出位置39a又は39bにてトリガ試薬が吐出される。
【0075】
次に、加温された検体に中間試薬が混和された後、再度加温される場合について説明する。例えば、測定項目がAPTTの場合、加温された検体を収容するキュベットにAPTT試薬(中間試薬)が分注され、再度加温テーブル16において2分間加温される。その後、当該キュベット内に塩化カルシウム溶液(トリガ試薬)が分注され、検出ユニット40において光学測定される。このように検体を2回加温する測定項目の場合、加温テーブル16において検体が所定時間加温された後、第2キャッチャユニット27が、保持孔16aにセットされた当該検体を収容しているキュベットを把持し、試薬吐出位置38まで移動させる。ここで、第1試薬分注ユニット23は、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の中間試薬を吸引し、試薬吐出位置38にて中間試薬を吐出する。こうして、中間試薬が吐出されると、第2キャッチャユニット27は、かかるキュベットを攪拌した上で、再び加温テーブルのキュベット保持孔16aにセットする。
【0076】
加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、次に、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39a又は39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24又は第3試薬分注ユニット25は、第1試薬テーブル11又は第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内のトリガ試薬を吸引し、試薬吐出位置39a又は39bにてトリガ試薬を吐出する。
【0077】
測光
上記のようにトリガ試薬が吐出された後には、第3キャッチャユニット28は、試薬が吐出されたキュベットを検出ユニット40の保持孔41にセットする。その後、検出ユニット40においてキュベットに収容された測定試料から光学的情報が検出される。
【0078】
検出ユニット40による光学測定が終了し不要となったキュベットは、第3キャッチャユニット28によって、把持されたまま、廃棄口35の真上まで移動させられ、廃棄口35に廃棄される。
【0079】
測定データ解析
検出ユニット40によって検出された光学的情報は、情報処理装置3へと送信される。情報処理装置3のCPU401は、取得した光学的情報を処理し、検体の分析結果を得る。こうして得られた分析結果は、検体ID等の検体情報と対応付けてハードディスク404に記憶され、表示部409に出力される。
【0080】
<処理能力推定動作>
本実施の形態1に係る検体検査装置1は、当該検体検査装置1の処理能力を推定する処理能力推定動作を実行することができる。この処理能力推定動作は、情報処理装置3のCPU401が下記の検体処理能力推定処理を実行することにより実現される。
【0081】
検体検査装置1は、複数のユーザによって使用される。また、ユーザには、検体検査装置1を操作して検体検査を行うオペレータ、検体検査装置1の管理を行う管理者、及び検体検査装置1の保守点検を行うメーカのサービスマン等が含まれる。このため、情報処理装置3のハードディスク404には、ユーザ情報が格納されており、各ユーザのユーザID、パスワード、権限等が登録されている。ユーザは、検体検査装置1を使用するときには、検体検査装置1を起動し、情報処理装置3の入力部408を操作して、ユーザID及びパスワードを入力し、情報処理装置3にログインを試みる。検体検査装置1へのユーザログインが成功すると、メニュー画面が表示部409に表示される。図5は、メニュー画面を示す図である。メニュー画面D1には、複数のボタンが一列に並んだツールバーA1と、ツールバーA1の下方に設けられたワーク領域A2とを備えている。情報処理装置3の表示画面は、何れもツールバーA1及びワーク領域A2が共通して設けられており、表示画面によってワーク領域A2の表示内容が異なる。ツールバーA1には、検体測定の開始を指示するスタートボタンB1及び検体測定を中断する中断ボタンB2等、頻繁に使用される機能を呼び出すためのボタンが設けられている。
【0082】
メニュー画面D1のワーク領域A2には、複数のアイコンが表示される。これらのアイコンには、測定オーダ入力機能、シャットダウン機能、設定機能、及び検体処理能力推定機能等、検体検査装置1の各種機能を呼び出すためのアイコンが含まれており、各アイコンは、マウスのダブルクリック操作等により選択可能であり、アイコンが選択されることで対応する機能が呼び出されるようになっている。「オーダ」の文字列が付されたアイコンROは、測定オーダ登録処理を呼び出すためのアイコンであり、当該アイコンROが選択されることで、後述する測定オーダ登録処理が起動される。また、「測定シミュレーション」の文字列が付されたアイコンSSは、検体処理能力推定処理を呼び出すためのアイコンであり、当該アイコンSSが選択されることで、後述する検体処理能力推定処理が起動される。アイコンSSは、サービスマンとしての権限を有するユーザがログインしたときにしかメニュー画面D1に表示されない特別なアイコンである。つまり、検体検査装置1が処理能力推定動作を実行するためには、サービスマンが検体検査装置1にログインする必要がある。
【0083】
なお、ここでいう「アイコン」とは、特定の機能が割り当てられ、当該機能を象徴的に表すようにデザインされた画像をいい、ウィンドウ内において表示されるものを含む。
【0084】
ユーザは、処理能力推定動作に先だって、検体検査装置1に測定オーダの登録を行う。図6は、測定オーダ登録処理の手順を示すフローチャートである。CPU401は、上記のメニュー画面D1を表示した状態で、ユーザから測定オーダ登録処理の実行指示を受け付ける。ユーザが入力部408を操作してアイコンROを選択し、測定オーダ登録処理の実行を情報処理装置3に指示すると、CPU401は、測定オーダ登録処理を開始し、測定オーダ登録画面を表示部409に表示させる(ステップS101)。
【0085】
図7は、測定オーダ登録画面の一例を示す図である。図7においては、測定オーダが入力されていない状態を示している。測定オーダ登録画面D2のワーク領域A2には、1つの検体ラックに保持される検体容器と同数である10個の測定オーダを表示するためのリスト領域A21が設けられている。かかるリスト領域A21には、1行毎に検体ラックにおける保持位置、検体番号、及び各測定項目についてのオーダ情報が表示されるようになっている。オーダ情報は、対応する測定項目についての検体測定の実行指示を示す情報であり、チェック記号として表示される(図8参照)。なお、処理能力推定動作において入力される測定オーダは、実在の検体の分析を実際に検体検査装置に命令するための測定オーダと異なり、仮想の測定オーダである。したがって、処理能力推定動作において測定オーダを入力したとしても、ここで入力された測定オーダに基づいて検体検査装置による分析が実行されることはない。
【0086】
また、測定オーダ登録画面D2のワーク領域A2には、検体ラックのラック番号を入力するためのラック番号入力領域、及びリスト領域A21の表示をスクロールさせるためのスクロールボタンB21及びB22、予め記憶されたオーダ情報を入力するためのプリセットボタンB23、並びに一旦入力されたオーダ情報を繰り返し入力するためのリピート入力ボタンB24等が設けられている。また、測定オーダ登録画面D2のワーク領域A2には、入力された測定オーダをハードディスク404に設けられた測定オーダデータベースへ登録するための登録ボタンB25が設けられている。ボタンB21〜B25は、選択用グラフィカルユーザインタフェースオブジェクト(コントロール)であって、マウスのクリック操作により選択が可能であり、選択されることにより割り当てられた機能(スクロール機能、測定オーダの登録機能等)を実行するようになっている。
【0087】
ユーザは、上記の測定オーダ登録画面D2において、情報処理装置3に測定オーダを入力する。図8は、測定オーダ登録画面の他の例を示す図である。図8には、測定オーダが入力された後の画面例を示している。ユーザは、ラック番号入力領域にラック番号を入力し、リスト領域A21に検体番号及びオーダ情報を入力する。測定オーダの入力には、プリセットボタンB23及びリピート入力ボタンB24等も利用可能である。図に示す例においては、リスト領域A21に表示されている10個の検体の全てについて、測定項目“PT−THS”にオーダ情報が入力されており、保持位置1〜3、6及び7の検体について、測定項目“APTT−FS”にオーダ情報が入力されている。つまり、保持位置1〜10の検体については、“PT−THS”の測定指示が与えられており、保持位置1〜3、6及び7の検体については、“APTT−FS”の測定指示が与えられている。
【0088】
CPU401は、上記のようにして測定オーダの入力を受け付ける(ステップS102においてYES)。測定オーダの入力を受け付けた場合、CPU401は、ユーザが登録ボタンB25を選択することによる測定オーダの登録指示を受け付ける(ステップS103においてYES)。測定オーダの登録指示を受け付けると、CPU401は、入力された測定オーダをハードディスク404の測定オーダデータベースに登録し(ステップS104)、処理を終了する。また、測定オーダが入力されない場合(ステップS102においてNO)、及び測定オーダが入力されても登録指示が与えられない場合には(ステップS103においてNO)、CPU401は、処理を終了する。
【0089】
ユーザは、上記のように登録した測定オーダについて、検体検査装置1の処理能力を知りたい場合には、情報処理装置3に下記の検体処理能力推定処理を実行させる。図9は、検体処理能力推定処理の手順を示すフローチャートである。CPU401は、上記のメニュー画面D1を表示した状態で、ユーザから検体処理能力推定処理の実行指示を受け付ける。ユーザが入力部408を操作してアイコンSSを選択し、検体処理能力推定処理の実行を情報処理装置3に指示すると、CPU401は、検体処理能力推定処理を開始し、測定シミュレーション画面を表示部409に表示させる(ステップS201)。
【0090】
図10は、測定シミュレーション画面の一例を示す図である。図10においては、測定シミュレーションが実行されていない状態の測定シミュレーション画面を示している。測定シミュレーション画面D3のワーク領域A2には、測定シミュレーションにより作成される検体測定のスケジュールをタイミングチャート形式で表示するためのスケジュールテーブル表示領域A31が設けられている。スケジュールテーブル表示領域A31の下方には、測定シミュレーションにより得られた加温テーブル16及び検出ユニット40の使用状況を表示するためのキュベット情報表示領域A32と、測定シミュレーションにより得られた総処理時間A331及び単位時間当たりの平均処理テスト数A332を含む処理能力情報A330を表示するためのスケジュール結果表示領域A33とが設けられている。測定シミュレーションが実行される前は、スケジュールテーブル表示領域A31、キュベット情報表示領域A32及びスケジュール結果表示領域A33には何も表示されない。
【0091】
ワーク領域A2のキュベット情報表示領域A32及びスケジュール結果表示領域A33の下方には、選択用グラフィカルユーザインタフェースオブジェクトであるボタンB31〜38が設けられている。
【0092】
ボタンB31は、過去の測定シミュレーションの結果を示すバイナリ形式の出力ファイルを読み込み、測定シミュレーションの結果を再表示するためのボタンである。ボタンB32は、表示されている測定シミュレーションの結果をバイナリ形式のファイルとして出力するためのボタンである。ボタンB33は、表示されている測定シミュレーションの結果をCSV(Comma Separated Values)形式のファイルとして出力するためのボタンである。ボタンB34は、表示されている測定シミュレーションの結果をバイナリ形式の出力ファイル及びCSV形式の出力ファイルを含むセットデータを生成し、新規フォルダ内に格納するためのボタンである。
【0093】
ボタンB35は、登録されている測定オーダによる測定シミュレーションの開始を指示するためのボタンである。ボタンB36は、登録されている測定オーダの各検体の測定順をランダムに変更して測定シミュレーションの開始を指示するためのボタンである。ボタンB37は、測定シミュレーション画面D3の表示を初期化する(測定シミュレーションの結果が表示されていない状態にする)ためのボタンである。ボタンB38は、測定シミュレーション画面D3を閉じるためのボタンである。
【0094】
CPU401は、上記の測定シミュレーション画面D3において、ボタンB36の選択を受け付けたか否か、即ち、登録されている測定オーダの各検体の測定順をランダムに変更して測定シミュレーション(以下、「オーダーシャッフルシミュレーション」という。)の開始することの指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS202)。オーダーシャッフルシミュレーションの開始指示を受け付けた場合には(ステップS202においてYES)、CPU401は、測定オーダが登録されているか否かを判定し(ステップS203)、測定オーダが登録されていない場合には(ステップS203においてNO)、ステップS209へ処理を移す。
【0095】
ステップS203において測定オーダが登録されている場合には(ステップS203においてYES)、CPU401は、登録されている測定オーダの検体の測定順序をランダムに変更し(ステップS204)、測定シミュレーション処理を実行する(ステップS207)。
【0096】
また、ステップS202においてオーダーシャッフルシミュレーションの開始指示を受け付けていない場合には(ステップS202においてNO)、CPU401は、ボタンB35の選択を受け付けたか否か、即ち、登録されている測定オーダによる測定シミュレーションの開始の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS205)。測定シミュレーションの開始指示を受け付けた場合には(ステップS205においてYES)、CPU401は、測定オーダが登録されているか否かを判定し(ステップS206)、測定オーダが登録されていない場合には(ステップS206においてNO)、ステップS209へ処理を移す。ステップS205において測定シミュレーションの開始の指示を受け付けていない場合にも(ステップS205においてNO)、CPU401は、ステップS209へ処理を移す。
【0097】
ステップS206において測定オーダが登録されている場合には(ステップS206においてYES)、CPU401は、測定シミュレーション処理を実行する(ステップS207)。ここで、ステップS205において測定シミュレーションの開始指示が与えられた場合は、各測定オーダの登録順に検体が測定されるものとして測定シミュレーションが実行される。
【0098】
測定シミュレーション処理においては、実際の測定装置2によって実行可能な検体測定のスケジュールが作成される。図11は、検体測定のスケジュールの一例を部分的に示すタイミングチャートである。図に示すように、検体測定のスケジュールは、所定の時間間隔(例えば、9秒間)で区切られた連続するターン毎に実行すべき動作を割り当てることで作成される。図11の例においては、検体番号1〜3の検体のそれぞれについて、測定項目PT及びAPTTの測定が指示されている。検体番号1の検体については、1〜4ターン目において検体の一次分注が予定されており、2〜3ターン目においてPT用の検体の二次分注(第2検体分注ユニット22によるキュベットテーブル15に保持されているキュベットからキュベット搬送器32にセットされているキュベットへの検体の分注)が予定されており、3〜4ターン目においてAPTT用の検体の二次分注が予定されている。また、PT用の検体については、4〜6ターン目において検体の加温が予定されており、7ターン目において検体へのPT試薬の分注が予定されており、8〜11ターン目において光学測定が予定されている。一方、APTT用の検体については、5ターン目において検体の加温が予定されており、6ターン目において検体へのAPTT試薬の分注が予定されており、7〜8ターン目において検体の2度目の加温が予定されており、9ターン目において検体への塩化カルシウム溶液の分注が予定されており、10〜13ターン目において光学測定が予定されている。検体番号2の検体については、検体番号1と同様の予定が、数ターン後から開始されるように予定されており、検体番号3の検体については、検体番号1と同様の予定が、さらに数ターン後から開始されるように予定されている。
【0099】
このように、検体検査装置1においては、同時に複数の動作が並行して実行される。例えば、検体番号1の測定項目PTの検体についての加温動作、検体番号2の検体についての二次分注動作、検体番号3の検体についての二次分注動作等が並行して実行される。測定装置2においては、同一の機構部分(例えば、第1試薬分注ユニット23)が同一のターンで2つの動作に使用されないように、しかも検体の測定動作全体ができるだけ少ないターン数で終了するように、検体動作が実行される。測定シミュレーション処理においては、このような測定装置2の実際の動作と同一の検体測定のスケジュールが作成される。
【0100】
ここで、測定シミュレーション処理について詳細に説明する。図12は、測定シミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。測定シミュレーション処理においては、CPU401は、まず、登録されている測定オーダにおいて測定順序が1の検体を選択する(ステップS301)。ハードディスク404には、測定項目毎に検体測定のプロトコール(検体の量、検体の加温時間、試薬の種別、量等)の情報が記憶されており、CPU401は、選択されている検体について測定が指示されている測定項目を特定し、その測定項目についてのプロトコール情報をハードディスク404から読み出す(ステップS302)。続いてCPU401は、既に確定されている検体についてのスケジュールを参照し、同一の機構部分が同一のターンで2つの動作に使用されないように、しかも何れの機構部分も使用されないターンができるだけ発生しないように、選択している検体についてのスケジュールを確定する(ステップS303)。
【0101】
次にCPU401は、選択している検体が測定オーダにおいて測定順序が最後の検体であるか否かを判定する(ステップS304)。現在選択している検体が測定順序が最後の検体でない場合には(ステップS304においてNO)、CPU401は、次の測定順序の検体を選択し(ステップS305)、ステップS302へ処理を戻す。
【0102】
ステップS304において、現在選択している検体が測定順序が最後の検体である場合には(ステップS304においてYES)、CPU401は、作成したスケジュールにおいて、最初の検体の二次分注が割り当てられたターンのターン数(以下、「初回分注ターン数」という。)を取得し(ステップS306)、最後の検体の二次分注が割り当てられたターンのターン数(以下、「最終分注ターン数」という。)を取得する(ステップS307)。次にCPU401は、総処理時間、即ち、検体測定の開始から最後の検体の測定が完了するまでの時間を算出する(ステップS308)。総処理時間は、式(1)により与えられる。
【数1】

ここで、timeSpanSecは総処理時間を、lastDispTurnは最終分注ターン数を、firstDispTurnは初回分注ターン数を、turnSecは1ターンにかかる時間をそれぞれ示している。
【0103】
続いてCPU401は、作成された検体測定のスケジュールにおける二次分注の総数を取得し(ステップS309)、1時間あたりの平均処理テスト数を算出する(ステップS310)。1時間当たりに処理される平均テスト数は、式(2)により与えられる。なお、テスト数とは、登録された全測定オーダに含まれる測定項目数、即ち検出ユニット40による光学測定の回数をいう。また、テスト数とは、二次分注によってキュベットに小分けされた検体数ということもできる。
【数2】

ここで、throughputは1時間あたりの平均処理テスト数を、dispCountは作成された検体測定のスケジュールにおける二次分注の総数をそれぞれ示している。
【0104】
ステップS310の処理が終了すると、CPU401は、メインルーチンにおける測定シミュレーション処理の呼出アドレスへ処理を戻す。
【0105】
CPU401は、上記のような測定シミュレーションの結果を表示部409に表示させる(ステップS208)。図13は、測定シミュレーション画面の他の例を示す図である。図13においては、測定シミュレーションが実行された状態の測定シミュレーション画面を示している。図に示すように、測定シミュレーションが実行された後においては、スケジュールテーブル表示領域A31に、作成された検体測定のスケジュールのタイミングチャートが表示される。また、スケジュール結果表示領域A33には、総処理時間A331及び単位時間当たりの平均処理テスト数A332を含む処理能力情報A330が表示される。処理能力情報A330の下方には、上記の測定シミュレーション処理におけるスケジュール作成のログが表示される。
【0106】
スケジュールテーブル表示領域A31に表示されているタイミングチャートの各ターンはマウスにより選択可能であり、1つのターンが選択されると、そのターンにおいて加温テーブル16及び検出ユニット40のそれぞれにセットされているキュベット数がキュベット情報表示領域A32に表示される。また、キュベット情報表示領域A32には、測定シミュレーションによって推定された加温テーブル16の使用状況を詳細に表示するためのボタンB321及び測定シミュレーションによって推定された検出ユニット40の使用状況を詳細に表示するためのボタンB322が設けられている。
【0107】
ボタンB321及びB322は、選択用グラフィカルユーザインタフェースオブジェクトである。ボタンB321がマウスのクリック操作により選択されると、測定シミュレーションによって推定された加温テーブル16の使用状況を詳細に表示するダイアログ画面が表示される。ボタンB322がマウスのクリック操作により選択されると、測定シミュレーションによって推定された検出ユニット40の使用状況を詳細に表示するダイアログ画面が表示される。これらの使用状況ダイアログ画面には、加温テーブル16の各キュベット保持孔16a又は検出ユニット40の各保持孔41の使用状況がタイミングチャート形式で表示される。図14は、検出ユニット40の各保持孔41の使用状況を示すタイミングチャートの一例を示す図である。当該タイミングチャートでは、各保持孔の使用状況のそれぞれが一行毎に表示され、使用されていないターン、及び使用されているターンが区別可能に色分けして表示される。
【0108】
ステップS209において、CPUは、ボタンB37が選択されたか否か、即ち、測定シミュレーション画面D3の表示の初期化が指示されたか否かを判定する(ステップS209)。測定シミュレーション画面D3の表示の初期化が指示された場合には(ステップS209においてYES)、CPU401は、測定シミュレーション画面D3の表示の初期化し(ステップS210)、ステップS202へ処理を戻す。
【0109】
ステップS209において、測定シミュレーション画面D3の表示の初期化が指示されていない場合には(ステップS209においてNO)、CPU401は、ボタンB38が選択されたか否か、即ち、検体処理能力推定処理の終了が指示されたか否かを判定する(ステップS211)。検体処理能力推定処理の終了が指示されていない場合には(ステップS211においてNO)、CPU401は、ステップS209へ処理を戻す。一方、ステップS211において検体処理能力推定処理の終了指示を受け付けた場合には(ステップS211においてYES)、CPU401は、処理を終了する。
【0110】
上記の測定シミュレーション処理の結果について説明する。図15は、測定オーダに測定項目PTのみが含まれる場合の検体測定のスケジュールを示すタイミングチャートであり、図16は、測定オーダに測定項目PT及びAPTTが含まれる場合の検体測定のスケジュールを示すタイミングチャートである。図15に示す例では、検体の二次分注における第2検体分注ユニット22の検体分注動作(図中△印で示す。)が3ターン目以降の全てのターンで実行され、検体の加温におけるトリガ試薬の分注動作(図中◎印で示す。)が7ターン目以降の全てのターンで実行されるようにスケジュールが作成されている。このように、図15に示す例では、二次分注における検体分注動作及び検体の加温におけるトリガ試薬の分注動作を実行しない空白のターンが生じず、総ターン数が最小とされている。この場合に推定される処理能力は、当該検体検査装置1による最大処理能力(400テスト/時)となる。
【0111】
一方、図16に示す例では、PTの加温には4ターンが必要であり、APTTの加温には5ターンが必要である等、測定項目によってプロトコールが異なっている。このため、図15に示す例のように、1ターン毎に同じ検体測定動作を繰り返し実行するようにスケジュールを作成すると、同一の機構部分を2以上の動作において使用するターンが発生してしまう。例えば、図16において検体ID“8818”の検体のPTのスケジュールは、検体ID“8817”の検体のAPTTのスケジュールより2ターン遅れて開始されるようになっている。これは、検体ID“8818”の検体のPTのスケジュールを、検体ID“8817”の検体のAPTTのスケジュールの1ターン遅れで開始するようにすると、トリガ試薬の分注動作が同一ターンに重なって割り当てられることになるため、検体ID“8818”の検体のPTのスケジュールをさらに1ターン遅らせたためである。このため、図16に示す例において推定される処理能力は、図15に示す例よりも低い値(275テスト/時)となる。また、図16に示すスケジュールのタイミングチャートでは、最上段のターン数の表示領域において、遅れが生じた空白のターンを特定可能とするために、他のターンと色分けされて表示されている。当該タイミングチャートが測定シミュレーション画面D3に表示されることで、ユーザは空白ターンが発生しているか否か、また発生している場合にはどのターンが空白ターンであるかを容易に特定することができる。また、タイミングチャートには詳細な検体測定動作のスケジュールが示されているため、ユーザはタイミングチャートを確認することで、空白ターンがどのような理由で発生したかを容易に確認することができる。
【0112】
次に、検体の測定順の違いによるシミュレーション結果の違いについて説明する。図17は、測定項目PT及びAPTTが指示された4つの検体を先に測定し、測定項目PTのみが指示された6つの検体を後に測定する場合の検体測定のスケジュールを示すタイミングチャートであり、図18は、図17の検体の測定順を変更した場合の検体測定のスケジュールを示すタイミングチャートである。図17の例においては、上述した図16に示す例と同様に、同一の機構部分を2以上の動作において使用するターンが発生することを防ぐようにスケジュールの調整が行われ、その結果処理能力が低下する。具体的には、検体ID“8768”、“8769”、“8770”、及び“8771”の検体のPTのスケジュールのそれぞれにおいて1ターンずつ遅れが生じており、その結果スケジュール全体で4ターンのロスが発生している。このため、図17の例においては、処理能力の推定値が311テスト/時となった。
【0113】
図17に示す例の測定オーダにおいて、オーダシャッフルシミュレーションを実行した場合の結果が図18に示されている。図18で示す例では、APTTの測定の次にPTの測定が行われる回数が3回であり、図17に示す例よりも1回少ない。この結果、上記のターンのロスが1回少なくなっている。このため、図18の例においては、処理能力の推定値が329テスト/時となり、図17の例とは異なる推定値が得られた。
【0114】
上記のように、本実施の形態に係る検体検査装置1においては、実際の検体検査装置1の測定動作のように、機構部分の干渉を考慮して正確な検体検査装置1の処理能力を推定することが可能となる。
【0115】
また、図17に示す例のように、同じ測定項目の測定オーダが連続して入力されることで、測定オーダが簡易的に入力された場合であっても、オーダシャッフルシミュレーションによって、測定オーダの測定順を変更することで、無作為の順番に検体が測定される実際の測定動作に近いシミュレーション結果を得ることができる。
【0116】
(実施の形態2)
[検体検査装置の構成]
実施の形態2に係る検体検査装置の構成は、実施の形態1に係る検体検査装置の構成と同様であるので、同一構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0117】
[検体検査装置の動作]
以下、本実施の形態に係る検体検査装置1の動作について説明する。なお、検体の分析手順については実施の形態1に係る検体検査装置と同様であるので、その説明は省略する。
【0118】
<処理能力推定動作>
本実施の形態2に係る検体検査装置1は、当該検体検査装置1の処理能力を推定する処理能力推定動作を実行することができる。この処理能力推定動作は、情報処理装置3のCPU401が下記の検体処理能力推定処理を実行することにより実現される。
【0119】
本実施の形態に係る検体検査装置1のメニュー画面は、実施の形態1において説明したメニュー画面(図5参照)と同様である。また、本実施の形態に係る情報処理装置3の表示画面は、実施の形態1と同様に、何れもツールバーA1及びワーク領域A2が共通して設けられており、表示画面によってワーク領域A2の表示内容が異なる。ツールバーA1には、検体測定の開始を指示するスタートボタンB1及び検体測定を中断する中断ボタンB2等、頻繁に使用される機能を呼び出すためのボタンが設けられている。
【0120】
実施の形態2に係る検体検査装置1に処理能力推定動作を実行させるためには、実施の形態1と同様に、サービスマンが検体検査装置1にログインし、メニュー画面D1に表示されているアイコンSS(図5参照)を選択する必要がある。
【0121】
図19は、実施の形態2に係る検体検査装置の検体処理能力推定処理の手順を示すフローチャートである。CPU401は、上記のメニュー画面D1を表示した状態で、ユーザから検体処理能力推定処理の実行指示を受け付ける。ユーザが入力部408を操作してアイコンSSを選択し、検体処理能力推定処理の実行を情報処理装置3に指示すると、CPU401は、検体処理能力推定処理を開始し、測定シミュレーション画面を表示部409に表示させる(ステップS401)。
【0122】
図20は、測定シミュレーション画面の一例を示す図である。図20においては、測定シミュレーションが実行されていない状態の測定シミュレーション画面を示している。測定シミュレーション画面D4のワーク領域A2には、測定シミュレーションにより作成される検体測定のスケジュールをタイミングチャート形式で表示するためのスケジュールテーブル表示領域A31が設けられている。スケジュールテーブル表示領域A31の下方には、測定シミュレーションにより得られた加温テーブル16及び検出ユニット40の使用状況を表示するためのキュベット情報表示領域A32と、測定シミュレーションにより得られた総処理時間A331及び単位時間あたりの平均処理テスト数A332を含む処理能力情報A330を表示するためのスケジュール結果表示領域A33とが設けられている。測定シミュレーションが実行される前は、スケジュールテーブル表示領域A31、キュベット情報表示領域A32及びスケジュール結果表示領域A33には何も表示されない。
【0123】
ワーク領域A2のキュベット情報表示領域A32及びスケジュール結果表示領域A33の下方には、選択用グラフィカルユーザインタフェースオブジェクトであるボタンB41〜43及びB35〜B38が設けられている。
【0124】
本実施の形態に係る情報処理装置3は、CSV形式の測定オーダのファイルを入力可能に構成されている。ボタンB41は、CSV形式の測定オーダファイルを読み込むためのボタンである。ボタンB41が選択されると、入力する測定オーダファイルを指定するためのダイアログ(図示せず)が表示部409に表示される。このダイアログでは、測定オーダファイルが格納されているフォルダ、及び読み出す測定オーダファイルを指定することが可能である。
【0125】
図21は、測定オーダファイルの内容の一例を示す模式図である。測定オーダファイルMOFは、CSV形式のファイルであり、1行に1つの測定オーダが記述される。測定オーダファイルには、検体IDのカラムC401と、検体の到着時刻のカラムC402と、測定項目のカラムC403,C404,C405,C406,C407,C408,…とが設けられている。ここで「到着時刻」とは、検体が検体検査装置1の分析前ラック保持領域にセットされる時刻を意味する。検体は、検体検査装置1による検査を実施する前に、各種の工程を経る場合がある。例えば、検体検査装置1によって検査される検体は血漿であるため、遠心分離器により全血から血漿を抽出する必要がある。通常、遠心分離器により複数の検体がまとめて処理されるため、この遠心分離器による処理が完了した複数の検体は、一度に検体検査装置1の分析前ラック保持領域にセットされることとなる。また、検体検査装置1による血液凝固検査の前に、生化学検査、免疫検査、血球計数検査等の他の検体検査に検体が供される場合もある。このような場合には、各検体は他の検体検査が終了した後に、検体検査装置1へ搬送されることとなり、それぞれの検体は、別々に検体検査装置に到着したり、一度にまとめて検体検査装置に到着したりする。このように、血液凝固検査以前に検体に対して実施される処理は施設によって異なることが多く、検体検査装置1に検体が到着するタイミングも施設毎に様々である。そこで、測定オーダファイルMOFでは、検体毎に到着時刻を指定することが可能となっている。ユーザは、ユーザの施設に応じた各検体の到着時刻を指定した測定オーダファイルMOFを作成する。図21の例では、検体ID“Test1”〜“Test10”の各検体は9:00から1分おきに到着し、“Test11”〜“Test25”の各検体は10:00に一度に到着し、“Test26”〜“Test29”の各検体は11:00に一度に到着し、“Test30”の検体は12:00に到着するように到着時刻が指定されている。
【0126】
また、図21に示すように、検体の測定項目は、対応するセルに“*”を挿入することにより指定される。図21の例では、検体ID“Test1”の検体の測定項目として“PT”及び“APTT”が指定されており、検体ID“Test5”の検体の測定項目として“PT”が指定されている。
【0127】
ユーザは、上記のような測定オーダファイルを、上記ダイアログにおいて指定する。これにより、指定された測定オーダファイルが情報処理装置3により読み出される。
【0128】
ボタンB42は、表示されている測定シミュレーションの結果を保存(出力)するためのボタンである。このボタンB42が選択されると、測定シミュレーション結果保存ダイアログ(図示せず)が表示され、ユーザはこのダイアログにおいて出力先のフォルダ、ファイル名及びファイル形式(CSV又はバイナリ)を指定することが可能である。測定シミュレーション結果保存ダイアログにおいて測定シュミレーション結果の出力が指示されると、各検体の情報、検体ID、測定モード、測定項目、各検体の到着時刻、結果取得時刻(測定完了時刻)、検体到着から結果取得までの時間(待機時間)、単位時間当たりの平均処理テスト数、及び総処理時間を含む測定シミュレーション結果ファイルが出力される。また、ボタンB43は、過去の測定シミュレーションの結果を示すバイナリ形式の出力ファイルを読み込み、測定シミュレーションの結果を再表示するためのボタンである。
【0129】
ボタンB35〜B38は、実施の形態1において説明したボタンB35〜B38と同様であるので、その説明を省略する。
【0130】
上記のように、本実施の形態においては、上記のような測定シミュレーション画面から測定オーダのファイルが入力可能である。CPU401は、上記のようにして測定オーダファイルの指定を受け付ける(ステップS402)。測定オーダファイルの指定を受け付けると、CPU401は、指定された測定オーダファイルを読み出す(ステップS403)。次にCPU401は、読み出した測定オーダを到着時刻順に並び替える(ステップS404)。この処理では、到着時刻が指定されていない測定オーダが存在する場合には、その測定オーダは最先の到着時刻に到着したものとして取り扱われる。ステップS404の処理が完了すると、CPU401は、入力された測定オーダをハードディスク404の測定オーダデータベースに登録する(ステップS405)。
【0131】
次にユーザは、上記のように登録した測定オーダについて、検体検査装置1の処理能力を知りたい場合には、測定シミュレーション画面D4のボタンB35を選択する。CPU401は、ボタンB35の選択を受け付けたか否か、即ち、登録されている測定オーダによる測定シミュレーションの開始の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS406)。測定シミュレーションの開始指示を受け付けた場合には(ステップS406においてYES)、CPU401は、測定シミュレーション処理を実行する(ステップS407)。ここで、ステップS205において測定シミュレーションの開始指示が与えられた場合は、各測定オーダの到着時刻に検体が到着したものとして測定シミュレーションが実行される。一方、ステップS406において測定シミュレーションの開始の指示を受け付けていない場合には(ステップS406においてNO)、CPU401は、ステップS409へ処理を移す。
【0132】
ここで、本実施の形態に係る測定シミュレーション処理について詳細に説明する。図22は、本実施の形態に係る測定シミュレーション処理の手順を示すフローチャートである。測定シミュレーション処理においては、CPU401は、まず、ターン数の初期値として“1”を選択し(ステップS501)、登録されている測定オーダにおいて測定順序が1の検体を選択する(ステップS502)。
【0133】
次にCPU401は、選択されている検体について測定が指示されている測定項目を特定し、その測定項目についてのプロトコール情報をハードディスク404から読み出す(ステップS503)。続いてCPU401は、その時点で選択されているターン数が、入力された測定オーダファイルにおいて指定されている当該検体の到着時刻以降か否かを判定する(ステップS504)。この処理において、最初のターンであるターン数“1”の時刻は、測定オーダファイルにおいて指定されている検体の到着時刻のうち最先の時刻とされる。つまり、ターン数“1”が選択されている場合には、選択されている検体(測定順序が1の検体)の到着時刻と一致すると常に判断される。また、例えば選択されているターン数が“5”であり、このターンに対応する時刻が“9:10”である場合において、到着時刻が“9:11”の検体が選択されているときには、ステップS504では、当該ターンが到着時刻以降ではないと判断される。到着時刻が“9:11”の検体が選択されており、選択されているターン数が“6”に対応する時刻が“9:11”である場合には、当該ターンが到着時刻以降であると判断される。さらに、選択されているターン数に対応する時刻の方が到着時刻よりも遅い場合、例えば、到着時刻が“9:11”であり、選択されているターン数に対応する時刻が“9:20”の場合には、当該ターンが到着時刻以降であると判断される。
【0134】
ステップS504において、選択されているターンが到着時刻以降ではないと判断された場合には(ステップS504においてNO)、CPU401はターン数を1つインクリメントし(ステップS505)、ステップS504へ処理を戻す。
【0135】
一方、ステップS504において、選択されているターンが到着時刻以降であると判断された場合には(ステップS504においてYES)、CPU401は、既に確定されている検体についてのスケジュールを参照し、当該スケジュールと確定している他のスケジュールとにおいて、同一の機構部分が同一ターンにおいて2以上の動作に使用されているか否かを判定する(ステップS506)。ステップS506において、同一の機構部分が同一ターンにおいて2以上の動作に使用されていると判定された場合には(ステップS506においてNO)、CPU401はターン数を1つインクリメントし(ステップS505)、ステップS504へ処理を戻す。
【0136】
ステップS506において、選択されているターンにおいて、同一の機構部分が2以上の動作に使用されていないと判定された場合には(ステップS506においてYES)、CPU401は、選択されているターンから開始されるように当該検体のスケジュールを確定し(ステップS507)、当該検体の測定完了時刻(スケジュールの最後のターンに対応する時刻)及び待機時間(到着時刻から測定完了時刻までの時間)を算出する(ステップS508)。次にCPU401は、選択されている検体が測定順序で最後の検体か否かを判定し(ステップS509)、最後の検体でない場合には(ステップS509においてNO)、測定順序が次の検体を選択し(ステップS510)、ステップS503へ処理を戻す。
【0137】
ステップS509において、測定順が最後の検体が選択されている場合には(ステップS509においてYES)、CPU401はステップS511へ処理を移す。ステップS511〜S515の処理は、実施の形態1において説明したステップS306〜S310の処理と同様であるので、その説明を省略する。CPU401は、ステップS515の処理を完了すると、検体処理能力推定処理における測定シミュレーション処理の呼出アドレスへ処理を戻す。
【0138】
CPU401は、上記のような測定シミュレーションの結果を表示部409に表示させる(ステップS408)。図23は、測定シミュレーション画面の他の例を示す図である。図23においては、測定シミュレーションが実行された状態の測定シミュレーション画面を示している。図に示すように、測定シミュレーションが実行された後においては、スケジュールテーブル表示領域A31に、作成された検体測定のスケジュールのタイミングチャートが表示される。また、スケジュール結果表示領域A33には、総処理時間A331及び単位時間当たりの平均処理テスト数A332を含む処理能力情報A330が表示される。処理能力情報A330の下方には、上記の測定シミュレーション処理におけるスケジュール作成のログが表示される。スケジュールテーブル表示領域A31のタイミングチャートにおいて、各検体のスケジュールに対応付けて、検体の到着時刻T1、測定完了時刻T2、及び待機時間T3が表示される。これにより、ユーザは測定シミュレーション画面において、各検体の到着時刻T1を確認することができ、到着時刻T1の妥当性を判断することができる。例えば、測定シミュレーションにおいて用いられた到着時刻が、その施設の実際の運用と合っていない場合には、ユーザは到着時刻を修正した測定オーダファイルを再度作成し、これに基づいて測定シミュレーションをやり直すことができる。また、この画面では、待機時間T3の長さに応じて待機時間T3の文字色が変更されて表示される。具体的には、T3<15分であればT3は黒色の文字色で表示され、15分≦T3<30分であればT3は黄色の文字色で表示され、30分≦T3であればT3は赤色の文字色で表示される。これにより、待機時間が長い検体を容易に見つけることができる。なお、図23に表示されている検体はいずれも待機時間T3が15分未満であるため、全て黒色の文字色で表示されている。また、測定シミュレーション結果に測定完了時刻T2及び待機時間T3が表示されるため、各検体がいつ測定完了するか、また各検体の測定が開始から完了までどの程度かかるかをユーザが確認することができる。例えば検体検査装置を施設に新規に導入することを検討する場合、その施設において実際に運用されている検体の到着時刻において、どの程度の時刻に測定が完了し、測定開始から完了までの時間がどの程度かかるかが分かれば、その検体検査装置が当該施設において使用可能か否かを正確に評価することができる。このように、本実施の形態に係る検体検査装置1の処理能力推定機能によれば、検体検査装置の導入を検討する場合に有用な各検体の測定完了時刻及び待機時間の情報をユーザに提供することができる。
【0139】
次にステップS409において、CPU401は、測定シミュレーション画面の表示の初期化が指示されたか否かを判定する(ステップS409)。測定シミュレーション画面の表示の初期化が指示された場合には(ステップS409においてYES)、CPU401は、測定シミュレーション画面の表示の初期化し(ステップS410)、ステップS402へ処理を戻す。
【0140】
ステップS409において、測定シミュレーション画面の表示の初期化が指示されていない場合には(ステップS409においてNO)、CPU401は、検体処理能力推定処理の終了が指示されたか否かを判定する(ステップS411)。検体処理能力推定処理の終了が指示されていない場合には(ステップS411においてNO)、CPU401は、ステップS409へ処理を戻す。一方、ステップS411において検体処理能力推定処理の終了指示を受け付けた場合には(ステップS411においてYES)、CPU401は、処理を終了する。
【0141】
上記のように、本実施の形態に係る検体検査装置1においては、施設の運用に適合した検体の到着時刻を指定して測定シミュレーションを行うことができるので、施設に実際に検体検査装置1を導入した場合における正確なシミュレーション結果を得ることができる。これにより、例えば検体検査装置を施設に新規に導入することを検討する場合、その施設に検体検査装置を導入したときの正確なシミュレーションを行うことができ、ユーザはこのシミュレーション結果を検体検査装置の導入の可否の決定の支援情報として利用することができる。
【0142】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態1及び2においては、検体検査装置1の情報処理装置3によって上述した処理能力推定処理が実行される構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体検査装置とは別個に構成された処理能力情報生成装置により、処理能力推定処理を実行する構成としてもよい。また、コンピュータにより構成されたサーバ装置によって情報処理能力推定処理を実行し、この処理結果を、ネットワークを介してサーバ装置に接続されたクライアント装置へとサーバ装置が送信し、クライアント装置が処理結果を表示する構成としてもよい。また、情報処理装置3の機能を複数のコンピュータで分散して行う分散システムとしてもよい。
【0143】
また、上述した実施の形態1及び2においては、処理能力を示す情報として、総処理時間及び1時間当たりに処理される平均テスト数を出力する構成について述べたが、これに限定されるものではない。処理能力を示す情報として、総処理時間及び二次分注の総数を出力する構成としてもよい。
【0144】
また、上述した実施の形態1及び2においては、数式によって単位時間当たりの平均処理テスト数を算出する構成について述べたが、これに限定されるものではない。作成された検体測定のスケジュールにおける二次分注の総数、即ち、検出ユニット40による光学測定の回数(二次分注により小分けされた検体の数)及び総処理時間と、対応する処理能力の値との関係を示すルックアップテーブルをハードディスク404に記憶しておき、二次分注の総数及び総処理時間が得られたときに、当該ルックアップテーブルを参照することにより単位時間当たりの平均処理テスト数を取得し、これを出力する構成とすることもできる。
【0145】
また、上述した実施の形態1及び2においては、検体検査装置1を血液凝固測定装置とし、情報処理装置3によって血液凝固測定装置である検体検査装置1の処理能力を推定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体検査装置を、血球計数装置、免疫分析装置、尿中有形成分分析装置、又は尿定性分析装置のような血液凝固測定装置以外の検体検査装置とし、情報処理装置3によってその検体検査装置の処理能力を推定する構成としてもよいし、検体検査装置1の情報処理装置3によって、その検体検査装置とは異なる種類の検体検査装置(例えば、検体検査装置1が血液凝固測定装置である場合に、血球計数装置)の処理能力を推定する構成としてもよい。この場合、処理能力を推定する対象の検体検査装置の種類をユーザが選択可能とし、ユーザによって選択された検体検査装置についての処理能力を情報処理装置が推定する構成とすることもできる。
【0146】
また、上述した実施の形態1及び2においては、一の検体に対して一の測定オーダを入力する形態を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば測定項目毎に測定オーダを入力する形態であってもよい。この場合、一の検体に対して複数の測定オーダが入力されることになる。
【0147】
また、上述した実施の形態1及び2においては、ハードディスク404に、測定項目毎に検体測定のプロトコールの情報を記憶している。変形例として、このハードディスク404に記憶されたプロトコール情報をユーザが変更できるようにしてもよい。例えば、加温時間や測光時間を任意に変更できるようにしてもよい。このように、プロトコール情報を変更できるようにすることで、施設毎に測定プロトコールが異なる場合にも、施設毎の状況に応じた処理能力を算出することができる。
【0148】
また、上述した実施の形態1及び2においては、情報処理装置3のCPU401が数式によって検体検査装置の総処理時間を算出する構成について述べたが、これに限定されるものではない。初回分注ターン数と、最終分注ターン数との各組み合わせに対応する総処理時間の値を格納したルックアップテーブルをハードディスク404に設けておき、CPU401が当該ルックアップテーブルを参照して、取得された初回分注ターン数及び最終分注ターン数に対応する総処理時間を読み出すことにより、総処理時間を示す情報を生成する構成とすることもできる。
【0149】
また、上述した実施の形態1及び2においては、情報処理装置3のCPU401が数式によって検体検査装置の処理能力を算出する構成について述べたが、これに限定されるものではない。総処理時間と、二次分注の総数との各組み合わせに対応する処理能力の値を格納したルックアップテーブルをハードディスク404に設けておき、CPU401が当該ルックアップテーブルを参照して、取得された総処理時間及び二次分注の総数に対応する処理能力を読み出すことにより、処理能力を示す情報を生成する構成とすることもできる。
【0150】
また、上述した実施の形態2においては、測定シミュレーション画面において、到着時刻、測定完了時刻、及び待機時間のそれぞれを表示する構成について述べたが、これに限定されるものではない。到着時刻のみを表示し、測定完了時刻及び待機時間を表示しない構成とすることもできるし、測定完了時刻及び待機時間を表示し、到着時刻を表示しない構成とすることもできる。また、到着時刻と測定完了時刻とを表示し、待機時間を表示しない構成とすることもできるし、到着時刻と待機時間とを表示し、測定完了時刻を表示しない構成とすることもできる。また、測定完了時刻のみを表示する構成とすることもできるし、待機時間だけを表示する構成とすることもできる。
【0151】
また、上述した実施の形態2においては、各検体の到着時刻を指定した測定オーダファイルを検体検査装置に入力し、この測定オーダファイルに指定された測定オーダに基づいて測定シミュレーションを実行する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、実施の形態1において説明した測定オーダ登録画面において、各検体の到着時刻を入力可能とし、この測定オーダ登録画面において指定された到着時刻及び測定オーダに基づいて測定シミュレーションを実行する構成としてもよい。
【0152】
また、上述した実施の形態2においては、「到着時刻」として、検体が検体検査装置1の分析前ラック保持領域にセットされる時刻を例として説明したが、これに限られない。例えば、検体検査装置1が、検体ラックがセットされるストックヤードと、ストックヤードから分析前ラック保持領域へ検体を搬送する搬送装置とに接続されている形態であって、到着時刻は、ストックヤードに検体がセットされる時刻であってもよい。この場合、ストックヤードから分析前ラック保持領域への検体の搬送に要する時間も含めてスケジュールを作成すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明に係る検体検査装置の処理能力情報生成装置、検体検査装置、検体検査装置の処理能力情報生成方法、及びコンピュータプログラムは、血液、尿等の検体を分析する検体検査装置の処理能力を示す処理能力情報を生成する処理能力情報生成装置、検体検査装置、及び検体検査装置の処理能力情報生成方法、並びにコンピュータに検体検査装置の処理能力情報を生成させるコンピュータプログラム等として有用である。
【符号の説明】
【0154】
1 検体検査装置
2 測定装置
3 情報処理装置
10 測定ユニット
40 検出ユニット
50 搬送ユニット
401 CPU
402 ROM
403 RAM
404 ハードディスク
405 読出装置
406 入出力インターフェース
407 画像出力インターフェース
408 入力部
409 表示部
410 通信インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定時間が互いに異なる複数の測定項目について検体を測定可能な検体検査装置が検体の測定を実行した場合における処理能力を示す処理能力情報を生成する検体検査装置の処理能力情報生成装置であって、
複数の測定オーダの入力を受け付ける入力部と、
前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダに基づいて、前記検体検査装置の処理能力を示す処理能力情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記処理能力情報を出力する出力部と、
を備える、検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項2】
測定項目毎に、前記検体検査装置が実行すべき複数の工程と各工程の所要時間に関する工程情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記生成手段は、前記記憶部に記憶された工程情報を用いて処理能力情報を生成するように構成されている、
請求項1に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記複数の測定オーダの測定に含まれる各工程のスケジュールを作成するスケジュール作成手段を含み、前記スケジュール作成手段により作成されたスケジュールに基づいて処理能力情報を生成するように構成されている、
請求項2に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項4】
前記スケジュール作成手段は、一の検体についての測定動作に含まれる各工程のスケジュールを、他の検体についての測定動作に含まれる各工程のスケジュールに基づいて作成するように構成されている、
請求項3に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項5】
前記工程情報は、前記複数の工程の実行順序を含む、
請求項3又は4に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項6】
前記記憶部は、検体の分注工程、試薬の分注工程、及び検体と試薬とが混合された測定試料の測定工程を含む前記検体検査装置が実行すべき複数の工程、各工程の実行順序及び各工程の所要時間に関する工程情報を記憶するように構成されている、
請求項5に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項7】
前記スケジュール作成手段は、前記工程情報に示される各工程の実行順序及び各工程に要する時間に基づいて、連続する時間を区切った各時間帯に対して実行可能な工程を割り当てることにより、各工程のスケジュールを作成するように構成されている、
請求項5又は6に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記スケジュール作成手段によって、第1の検体の分注工程と、当該第1の検体の分注工程の次に実行される第2の検体の分注工程とが時間を隔てて実行される前記スケジュールが作成された場合に、前記第1の検体の分注工程と前記第2の検体の分注工程との間の期間が分注工程が行われない期間であることを示す情報を出力するように構成されている、
請求項7に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項9】
前記生成手段は、前記検体検査装置が検体の測定動作を開始してから完了する迄の測定時間を示す前記処理能力情報を生成するように構成されている、
請求項3乃至8の何れか1項に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項10】
前記生成手段は、前記スケジュール作成手段により作成された各工程のスケジュールにより指定される最初に実行される工程に係る実行時刻と、前記スケジュールにより指定される最後に実行される工程に係る実行時刻とに基づいて、前記測定時間を示す前記処理能力情報を生成するように構成されている、
請求項9に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項11】
前記生成手段は、単位時間当たりに前記検体検査装置によって検体の測定が実行される測定項目数を示す前記処理能力情報を生成するように構成されている、
請求項3乃至10の何れか1項に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項12】
前記スケジュール作成手段は、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダに含まれる測定項目のそれぞれについての検体の分注工程に係る実行時刻を含む前記スケジュールを作成するように構成されており、
前記生成手段は、前記スケジュール作成手段により作成された前記スケジュールにより指定される最初の検体の分注工程に係る実行時刻と、最後の検体の分注工程に係る実行時刻と、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダに含まれる測定項目数とに基づいて、前記単位時間当たりに前記検体検査装置によって検体の測定が実行される測定項目数を示す前記処理能力情報を生成するように構成されている、
請求項11に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項13】
前記検体検査装置は、血液凝固測定装置であり、
前記入力部は、血液の凝固時間測定項目を含む測定オーダの入力を受付可能に構成されている、
請求項3乃至12の何れか1項に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項14】
前記スケジュール作成手段は、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダを実行するために前記検体検査装置が各検体について実行すべき測定動作に含まれる各工程に係る実行時刻を含む前記スケジュールを作成するように構成されており、
前記出力部は、前記スケジュール作成手段により作成された前記スケジュールに含まれる各工程に係る実行時刻を出力するように構成されている、
請求項3乃至13の何れか1項に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項15】
前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダの実行順序を決定する実行順序決定手段をさらに備え、
前記スケジュール作成手段は、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダ及び前記実行順序決定手段により決定された前記複数の測定オーダの実行順序に基づいて、前記検体検査装置による各検体についての測定動作に含まれる各工程のスケジュールを作成するように構成されている、
請求項3乃至14の何れか1項に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項16】
前記入力部は、測定オーダの実行順序の変更指示を受付可能に構成されており、
前記実行順序決定手段は、前記入力部により測定オーダの実行順序の変更指示が受け付けられたときに、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダの実行順序を決定するように構成されている、
請求項15に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項17】
前記出力部は、前記スケジュール作成手段により作成されたスケジュールに含まれる各工程を時系列に示すタイミングチャートを出力するように構成されている、
請求項3乃至16の何れか1項に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項18】
前記記憶部は、第1の工程及び第2の工程を含む前記検体検査装置が実行すべき複数の工程、各工程の実行順序及び各工程の所要時間に関する工程情報を記憶するように構成されており、
前記出力部は、前記第1の工程及び前記第2の工程を互いに異なる形式で示した前記タイミングチャートを出力するように構成されている、
請求項17に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項19】
前記検体検査装置は、検体を収容する複数の容器を保持可能であり、保持された容器中の検体に対して所定の処理工程を実行する処理部を具備し、
前記スケジュール作成手段によって作成された前記スケジュールに基づいて、前記処理部における容器の保持状況を時系列に示す保持状況情報を取得する保持状況情報取得手段をさらに備え、
前記出力部は、前記保持状況情報取得手段によって取得された前記保持状況情報を出力可能に構成されている、
請求項3乃至18の何れか1項に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項20】
前記入力部は、前記各検体が前記検体検査装置に到着する到着時刻の入力をさらに受け付けるように構成されており、
前記生成手段は、前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダ及び前記到着時刻に基づいて、前記処理能力情報を生成するように構成されている、
請求項1乃至19の何れか1項に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項21】
前記生成手段は、検体が前記検体検査装置に到着してから測定が完了するまでの時間を前記各検体について生成するように構成されており、
前記出力部は、前記各検体について、前記生成手段によって生成された前記時間を出力するように構成されている、
請求項20に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項22】
前記生成手段は、検体の測定完了時刻を前記各検体について生成するように構成されており、
前記出力部は、前記各検体について、前記生成手段によって生成された前記測定完了時刻を出力するように構成されている、
請求項20又は21に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項23】
前記出力部は、前記各検体について、前記入力部により受け付けられた前記到着時刻を出力するように構成されている、
請求項20乃至22の何れか1項に記載の検体検査装置の処理能力情報生成装置。
【請求項24】
測定時間が互いに異なる複数の測定項目について検体の測定を実行可能な検体検査装置であって、
複数の測定オーダの入力を受け付ける入力部と、
前記入力部により受け付けられた前記複数の測定オーダに基づいて、前記検体検査装置の処理能力を示す処理能力情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記処理能力情報を出力する出力部と、
を備える、検体検査装置。
【請求項25】
測定時間が互いに異なる複数の測定項目について検体を測定可能な検体検査装置が検体の測定を実行した場合における処理能力を示す処理能力情報を生成する検体検査装置の処理能力情報生成方法であって、
複数の測定オーダの入力を受け付けるステップと、
受け付けた前記複数の測定オーダに基づいて、前記検体検査装置の処理能力を示す処理能力情報を生成するステップと、
生成された前記処理能力情報を出力するステップと、
を有する、検体検査装置の処理能力情報生成方法。
【請求項26】
入力部と、出力部とを備えるコンピュータに、測定時間が互いに異なる複数の測定項目について検体を測定可能な検体検査装置が検体の測定を実行した場合における処理能力を示す処理能力情報を生成させるコンピュータプログラムであって、
複数の測定オーダの入力を受け付けるステップと、
受け付けた前記複数の測定オーダに基づいて、前記検体検査装置の処理能力を示す処理能力情報を生成するステップと、
生成された前記処理能力情報を出力するステップと、
を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図13】
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【図20】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−32371(P2012−32371A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53457(P2011−53457)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】