検出器
【目的】 本考案は検出器に関し、特に、検出器を構成するステータコア等の部品の外面を案内として樹脂成形によりケース一体成形することを目的とする。
【構成】 本考案による検出器は、ボビン(4)の外面(4b)又はロータコア(16)のロータ外面(6a)に、これらの外面(4b)又はロータ外面(6a)を案内として一体状に樹脂成形した樹脂ケース(1)を有することにより、低コスト化、電気的絶縁化及び防爆構造化を得ることができる構成である。
【構成】 本考案による検出器は、ボビン(4)の外面(4b)又はロータコア(16)のロータ外面(6a)に、これらの外面(4b)又はロータ外面(6a)を案内として一体状に樹脂成形した樹脂ケース(1)を有することにより、低コスト化、電気的絶縁化及び防爆構造化を得ることができる構成である。
【考案の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】
本考案は、検出器に関し、特に、検出器を構成するボビン等の部品の外面を案内として樹脂成形によりケースを一体に樹脂成形するための新規な改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、用いられていたこの種の検出器としては、代表的なものとして、図３の直線型検出器及び図４の回転型検出器を挙げることができる。
すなわち、図３の直線型検出器（リニアセンサ）の場合、輪状の金属製のケース１の内壁面１ａには、輪状のシールド板２を介して巻線部３を有するボビン４が嵌合して設けられ、このボビン４の中心に形成された案内孔４ａ内には、コア５を有する検出器６が直線方向Ａに沿って出入自在に設けられている。
また、前記ボビン４の両端部には、金属製の蓋７が設けられ、リード線８はこの蓋７及びケース１を貫通して外部に引出されている。
【０００３】
また、図４の回転型検出器の場合、輪状の金属製のケース１の内壁面１ａには、巻線部３を有するボビン４及び回転トランスステータ巻線１０を有する回転トランスステータコア１１が嵌合して設けられており、このボビン４及び回転トランスステータコア１１の中心に形成された案内孔４ａ，１１ａ内には、ロータ巻線１５を有するロータコア１６及び回転トランスロータ巻線１７を有する回転トランスロータコア１８を備えた筒状のロータ１９が回転自在に設けられている。
また、リード線８はケース１から外部へ引出されている。
【０００４】
【考案が解決しようとする課題】
従来の検出器は、以上のように構成されているため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の従来構成のものは、ＭＩＬ規格、ＮＤＳ、ＪＩＳ等の規格に適合させるために、金属製のケースは必要不可欠であるが、その加工等のコスト及び全体の組立コストは極めて高価で、このような規格を必要としない使用目的に使う場合は、コストの面から採用が不可能であった。
【０００５】
本考案は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、検出器を構成するボビン等の部品の外面を案内として樹脂成形によりケースを一体に樹脂することによって、安価で検出性能は高レベルの検出器を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本考案による検出器は、巻線部を有するボビンの中心に形成された案内孔内に、コアを有する検出軸を出入自在に設け、直線移動位置を検出するようにした検出器において、前記ボビンの外面に、前記外面を案内として一体に樹脂成形した樹脂ケースを有する構成である。
【０００７】
さらに詳細には、前記ボビンの外面と前記樹脂ケースとの間に輪状のシールド板が設けられている構成である。
【０００８】
巻線部を有する輪状のボビンの中心に形成された案内孔内に、ロータ巻線を有するロータコアを設け、回転位置を検出するようにした検出器において、前記ボビンのボビン外面に、前記ボビン外面を案内として一体に樹脂成形したステータ用樹脂ケースを有し、前記ロータコアのロータ外面に、前記ロータ外面を案内として一体に樹脂成形したロータ用樹脂ケースを有する構成である。
【０００９】
さらに詳細には、前記ステータ用樹脂ケースの内周面及びロータ用樹脂ケースの外周面は、機械加工により形成された面−面を有する構成である。
【００１０】
さらに詳細には、前記ステータ用樹脂ケースは、回転トランスステータコアを有し、前記ロータ用樹脂ケースは、回転トランスロータコアを有する構成である。
【００１１】
【作用】
本考案による検出器においては、まず、巻線部を有するボビンを案内とし、このボビンの外面に、ディッピング成形等の樹脂成形によってケースを成形するため、このケースはボビンと一体となり、簡単にかつ安価に検出器を作ることができる。
また、ロータ巻線を有するロータコアの場合も前述と同様に、ロータコアのロータ外面を案内とし、このロータ外面に樹脂成形によってロータ用樹脂ケースを成形するため、このロータ用樹脂ケースとロータコアとは一体になる。
【００１２】
【実施例】
以下、図面と共に本考案による検出器の好適な実施例について詳細に説明する。なお、従来例と同一又は同等部分については、同一符号を用いて説明する。
図１に示す直線型検出器の場合、符号１で示されるものはディッピング成形等で樹脂成形された輪状のケースであり、このケース１の内壁側１ａには、輪状のシールド板２を介して巻線部３を有するボビン４が設けられ、このボビン４の中心に形成された案内孔４ａ内には、コア５を有する検出軸６が直線方向Ａに沿って出入自在に設けられている。
【００１３】
前記ケース１は、前記ボビン４の外面４ｂ及びシールド板２を案内として、このボビン４を組立てた後に成形型（図示せず）の中へディッピングして成形したもので、このボビン４とケース１とは一体状に成形されていると共に、このケース１からリード線８が外部に引出されている。
【００１４】
また、図２の回転型検出器の場合、符号１で示されるものはディッピング成形等で樹脂成形された輪状のステータ用樹脂ケースであり、このケース１の内壁面１ａには、巻線部３を有するボビン４及び回転トランスステータ巻線１０を有する回転トランスステータコア１１が設けられている。この各ボビン４及び回転トランスステータコア１１の中心に形成された案内孔４ａ，１１ａ内には、ロータ巻線１５を有するロータコア１６及び回転トランスロータ巻線１７を有する回転トランスロータコア１８を備えた筒状のロータ用樹脂ケース１９からなる筒状のロータ２０が回転自在に設けられている。
【００１５】
前記ステータ用樹脂ケース１は、前記ボビン４及び回転トランスステータコア１１を図示しない成形型内に位置決めして、周知のディッピング成形により一体に樹脂成形して形成されており、前記ロータ用樹脂ケース１９も、前述のステータ用樹脂ケース１と同様にロータコア１６と回転トランスロータコア１８とを図示しない成形型内に位置決めしてディッピング成形により一体に樹脂成形して形成している。
【００１６】
前述の各ステータ用樹脂ケース１の内周面１Ａ及びロータ用樹脂ケース１９の外周面１９Ａは、成形後に、一方の端から他方の端まで連続して２次加工として機械加工によって面−面となるように形成されている。
【００１７】
【考案の効果】
本考案による検出器は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、直線型及び回転型の何れにおいても、ステータ及びロータを構成するケースが、ボビン及びロータコアを案内として樹脂成形によって形成されているため、従来よりも、部品点数の削減による低コスト化、樹脂成形による軽量化、目的と用途に応じた成形材料の選択、複雑形状の自在成形、電気的絶縁構造の容易化、防爆構造の容易化及び量産化の容易等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本考案による検出器を示す断面図である。
【図２】他の実施例を示す断面図である。
【図３】従来の検出器を示す断面図である。
【図４】他の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
１ 樹脂ケース
１Ａ 内周面
２ シールド板
３ 巻線部
４ ボビン
４ａ 案内孔
４ｂ ボビン外面
５ コア
６ 検出軸
１１ 回転トランスステータコア
１５ ロータ巻線
１６ ロータコア
１６ａ ロータ外面
１８ 回転トランスロータコア
１９ ロータ用樹脂ケース
１９Ａ 外周面
【０００１】
【産業上の利用分野】
本考案は、検出器に関し、特に、検出器を構成するボビン等の部品の外面を案内として樹脂成形によりケースを一体に樹脂成形するための新規な改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、用いられていたこの種の検出器としては、代表的なものとして、図３の直線型検出器及び図４の回転型検出器を挙げることができる。
すなわち、図３の直線型検出器（リニアセンサ）の場合、輪状の金属製のケース１の内壁面１ａには、輪状のシールド板２を介して巻線部３を有するボビン４が嵌合して設けられ、このボビン４の中心に形成された案内孔４ａ内には、コア５を有する検出器６が直線方向Ａに沿って出入自在に設けられている。
また、前記ボビン４の両端部には、金属製の蓋７が設けられ、リード線８はこの蓋７及びケース１を貫通して外部に引出されている。
【０００３】
また、図４の回転型検出器の場合、輪状の金属製のケース１の内壁面１ａには、巻線部３を有するボビン４及び回転トランスステータ巻線１０を有する回転トランスステータコア１１が嵌合して設けられており、このボビン４及び回転トランスステータコア１１の中心に形成された案内孔４ａ，１１ａ内には、ロータ巻線１５を有するロータコア１６及び回転トランスロータ巻線１７を有する回転トランスロータコア１８を備えた筒状のロータ１９が回転自在に設けられている。
また、リード線８はケース１から外部へ引出されている。
【０００４】
【考案が解決しようとする課題】
従来の検出器は、以上のように構成されているため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の従来構成のものは、ＭＩＬ規格、ＮＤＳ、ＪＩＳ等の規格に適合させるために、金属製のケースは必要不可欠であるが、その加工等のコスト及び全体の組立コストは極めて高価で、このような規格を必要としない使用目的に使う場合は、コストの面から採用が不可能であった。
【０００５】
本考案は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、検出器を構成するボビン等の部品の外面を案内として樹脂成形によりケースを一体に樹脂することによって、安価で検出性能は高レベルの検出器を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本考案による検出器は、巻線部を有するボビンの中心に形成された案内孔内に、コアを有する検出軸を出入自在に設け、直線移動位置を検出するようにした検出器において、前記ボビンの外面に、前記外面を案内として一体に樹脂成形した樹脂ケースを有する構成である。
【０００７】
さらに詳細には、前記ボビンの外面と前記樹脂ケースとの間に輪状のシールド板が設けられている構成である。
【０００８】
巻線部を有する輪状のボビンの中心に形成された案内孔内に、ロータ巻線を有するロータコアを設け、回転位置を検出するようにした検出器において、前記ボビンのボビン外面に、前記ボビン外面を案内として一体に樹脂成形したステータ用樹脂ケースを有し、前記ロータコアのロータ外面に、前記ロータ外面を案内として一体に樹脂成形したロータ用樹脂ケースを有する構成である。
【０００９】
さらに詳細には、前記ステータ用樹脂ケースの内周面及びロータ用樹脂ケースの外周面は、機械加工により形成された面−面を有する構成である。
【００１０】
さらに詳細には、前記ステータ用樹脂ケースは、回転トランスステータコアを有し、前記ロータ用樹脂ケースは、回転トランスロータコアを有する構成である。
【００１１】
【作用】
本考案による検出器においては、まず、巻線部を有するボビンを案内とし、このボビンの外面に、ディッピング成形等の樹脂成形によってケースを成形するため、このケースはボビンと一体となり、簡単にかつ安価に検出器を作ることができる。
また、ロータ巻線を有するロータコアの場合も前述と同様に、ロータコアのロータ外面を案内とし、このロータ外面に樹脂成形によってロータ用樹脂ケースを成形するため、このロータ用樹脂ケースとロータコアとは一体になる。
【００１２】
【実施例】
以下、図面と共に本考案による検出器の好適な実施例について詳細に説明する。なお、従来例と同一又は同等部分については、同一符号を用いて説明する。
図１に示す直線型検出器の場合、符号１で示されるものはディッピング成形等で樹脂成形された輪状のケースであり、このケース１の内壁側１ａには、輪状のシールド板２を介して巻線部３を有するボビン４が設けられ、このボビン４の中心に形成された案内孔４ａ内には、コア５を有する検出軸６が直線方向Ａに沿って出入自在に設けられている。
【００１３】
前記ケース１は、前記ボビン４の外面４ｂ及びシールド板２を案内として、このボビン４を組立てた後に成形型（図示せず）の中へディッピングして成形したもので、このボビン４とケース１とは一体状に成形されていると共に、このケース１からリード線８が外部に引出されている。
【００１４】
また、図２の回転型検出器の場合、符号１で示されるものはディッピング成形等で樹脂成形された輪状のステータ用樹脂ケースであり、このケース１の内壁面１ａには、巻線部３を有するボビン４及び回転トランスステータ巻線１０を有する回転トランスステータコア１１が設けられている。この各ボビン４及び回転トランスステータコア１１の中心に形成された案内孔４ａ，１１ａ内には、ロータ巻線１５を有するロータコア１６及び回転トランスロータ巻線１７を有する回転トランスロータコア１８を備えた筒状のロータ用樹脂ケース１９からなる筒状のロータ２０が回転自在に設けられている。
【００１５】
前記ステータ用樹脂ケース１は、前記ボビン４及び回転トランスステータコア１１を図示しない成形型内に位置決めして、周知のディッピング成形により一体に樹脂成形して形成されており、前記ロータ用樹脂ケース１９も、前述のステータ用樹脂ケース１と同様にロータコア１６と回転トランスロータコア１８とを図示しない成形型内に位置決めしてディッピング成形により一体に樹脂成形して形成している。
【００１６】
前述の各ステータ用樹脂ケース１の内周面１Ａ及びロータ用樹脂ケース１９の外周面１９Ａは、成形後に、一方の端から他方の端まで連続して２次加工として機械加工によって面−面となるように形成されている。
【００１７】
【考案の効果】
本考案による検出器は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、直線型及び回転型の何れにおいても、ステータ及びロータを構成するケースが、ボビン及びロータコアを案内として樹脂成形によって形成されているため、従来よりも、部品点数の削減による低コスト化、樹脂成形による軽量化、目的と用途に応じた成形材料の選択、複雑形状の自在成形、電気的絶縁構造の容易化、防爆構造の容易化及び量産化の容易等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本考案による検出器を示す断面図である。
【図２】他の実施例を示す断面図である。
【図３】従来の検出器を示す断面図である。
【図４】他の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
１ 樹脂ケース
１Ａ 内周面
２ シールド板
３ 巻線部
４ ボビン
４ａ 案内孔
４ｂ ボビン外面
５ コア
６ 検出軸
１１ 回転トランスステータコア
１５ ロータ巻線
１６ ロータコア
１６ａ ロータ外面
１８ 回転トランスロータコア
１９ ロータ用樹脂ケース
１９Ａ 外周面
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項１】 巻線部(3)を有するボビン(4)の中心に形成された案内孔(4a)内に、コア(5)を有する検出軸(6)を出入自在に設け、直線移動位置を検出するようにした検出器において、前記ボビン(4)の外面(4b)に、前記外面(4b)を案内として一体に樹脂成形した樹脂ケース(1)を有することを特徴とする検出器。
【請求項２】 前記ボビン(4)の外面(4b)と前記樹脂ケース(1)との間に輪状のシールド板(2)が設けられていることを特徴とする請求項１記載の検出器。
【請求項３】 巻線部(3)を有する輪状のボビン(4)の中心に形成された案内孔(4a)内に、ロータ巻線(15)を有するロータコア(16)を設け、回転位置を検出するようにした検出器において、前記ボビン(4)のボビン外面(4b)に、前記ボビン外面(4b)を案内として一体に樹脂成形したステータ用樹脂ケース(1)を有し、前記ロータコア(16)のロータ外面(16a)に、前記ロータ外面(16a)を案内として一体に樹脂成形したロータ用樹脂ケース(19)を有することを特徴とする検出器。
【請求項４】 前記ステータ用樹脂ケース(1)の内周面(1A)及びロータ用樹脂ケース(19)の外周面(19A)は、機械加工により形成された面−面を有することを特徴とする請求項３記載の検出器。
【請求項５】 前記ステータ用樹脂ケース(1)は、回転トランスステータコア(11)を有し、前記ロータ用樹脂ケース(19)は、回転トランスロータコア(18)を有することを特徴とする請求項３又は４記載の検出器。
【請求項１】 巻線部(3)を有するボビン(4)の中心に形成された案内孔(4a)内に、コア(5)を有する検出軸(6)を出入自在に設け、直線移動位置を検出するようにした検出器において、前記ボビン(4)の外面(4b)に、前記外面(4b)を案内として一体に樹脂成形した樹脂ケース(1)を有することを特徴とする検出器。
【請求項２】 前記ボビン(4)の外面(4b)と前記樹脂ケース(1)との間に輪状のシールド板(2)が設けられていることを特徴とする請求項１記載の検出器。
【請求項３】 巻線部(3)を有する輪状のボビン(4)の中心に形成された案内孔(4a)内に、ロータ巻線(15)を有するロータコア(16)を設け、回転位置を検出するようにした検出器において、前記ボビン(4)のボビン外面(4b)に、前記ボビン外面(4b)を案内として一体に樹脂成形したステータ用樹脂ケース(1)を有し、前記ロータコア(16)のロータ外面(16a)に、前記ロータ外面(16a)を案内として一体に樹脂成形したロータ用樹脂ケース(19)を有することを特徴とする検出器。
【請求項４】 前記ステータ用樹脂ケース(1)の内周面(1A)及びロータ用樹脂ケース(19)の外周面(19A)は、機械加工により形成された面−面を有することを特徴とする請求項３記載の検出器。
【請求項５】 前記ステータ用樹脂ケース(1)は、回転トランスステータコア(11)を有し、前記ロータ用樹脂ケース(19)は、回転トランスロータコア(18)を有することを特徴とする請求項３又は４記載の検出器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【登録番号】第３０１１１９９号
【登録日】平成７年（１９９５）３月８日
【発行日】平成７年（１９９５）５月１６日
【考案の名称】検出器
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平６−１４１３３
【出願日】平成６年（１９９４）１１月１６日
【出願人】（０００２０３６３４）多摩川精機株式会社 (669)
【登録日】平成７年（１９９５）３月８日
【発行日】平成７年（１９９５）５月１６日
【考案の名称】検出器
【国際特許分類】
【出願番号】実願平６−１４１３３
【出願日】平成６年（１９９４）１１月１６日
【出願人】（０００２０３６３４）多摩川精機株式会社 (669)
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