説明

検波/整流回路

【課題】高周波信号を、その伝送経路上に反射させることなく、効率よく検波/整流することのできる検波/整流回路を提供する。
【解決手段】検波/整流回路は、入力端子Tiに入力された高周波信号を2分配して分配端子T1,T2から出力する一対のハイブリッド回路10、20を備える。第1ハイブリッド回路10の分配端子T1,T2にはダイオードD1,D2のアノードが接続され、第2ハイブリッド回路20のT1,T2にはダイオードD3,D4のカソードが接続されている。また、ダイオードD1,D2のカソードは、抵抗R1,R2を介してオペアンプOP1の反転入力端子に接続され、ダイオードD3,D4のアノードは、抵抗R3,R4を介してオペアンプOP1の非反転入力端子に接続される。オペアンプOP1は、差動増幅回路30として機能し、各ダイオードD1〜D4からの出力を逆相電力合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号を検波若しくは整流するのに好適な検波/整流回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波信号を検波若しくは整流するのに用いられる検波/整流回路は、通常、検波/整流用のダイオードと、このダイオードの前段に設けられて、検波/整流回路の入力インピーダンスと高周波信号の伝送経路の出力インピーダンスとを整合させる整合回路と、から構成されている(例えば、特許文献1〜3等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−94739号公報
【特許文献2】特開2007−300262号公報
【特許文献3】特開平11−122042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に整合回路は、スタブやマイクロストリップ線路等にて構成されており、その特性(線路の長さ等)は、検波又は整流対象となる高周波信号の中心周波数に対応して設定されている。
【0005】
このため、従来の検波/整流回路では、検波又は整流対象となる高周波信号の周波数帯域が広くなると、高周波信号の全周波数帯域で入力インピーダンスを整合させることができず、高周波信号を伝送経路上に反射させてしまうという問題があった。
【0006】
また、検波/整流用のダイオードは、高周波信号の信号レベルによって入力インピーダンスが変化することから、この入力インピーダンスの変化によっても、整合回路の入力インピーダンスを整合させることができなくなって、高周波信号を伝送経路上に反射させてしまうという問題があった。
【0007】
特に、ミリ波帯のような高い周波数においては、ダイオードのインピーダンスを測定すること自体も高価で精密な測定環境が必要であり、従来の回路形式では精度の高くないインピーダンスをもつダイオードとの整合をとることが難しいという問題もある。
【0008】
また、同じダイオードであっても、周囲温度が変化する場合や経年変化がある場合には、ダイオードのインピーダンスが微妙に変動してしまうことがあり、この場合にも整合条件が崩れて、反射による損失が増えるという問題がある。
【0009】
そして、ダイオードから伝送線路上へ反射が生じると、電力効率が劣化するだけでなく、高周波信号の周波数特性にリップルが生じるという問題もある。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、高周波信号を、その伝送経路上に反射させることなく、効率よく検波/整流することのできる検波/整流回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の検波/整流回路は、
入力端子、第1分配端子、第2分配端子、及び通過端子からなる4つの端子と、検波又は整流対象となる高周波信号の基準周波数において略1/4波長となる長さを有する4つの伝送線路とからなり、前記4つの伝送線路の内、伝送インピーダンスが基準値に設定された一対の第1伝送線路にて、前記入力端子と前記通過端子との間及び前記第1分配端子と前記第2分配端子との間をそれぞれ接続し、伝送インピーダンスが基準値の1/√2に設定された一対の第2伝送線路にて、前記入力端子と前記第1分配端子との間及び前記通過端子と前記第2分配端子との間をそれぞれ接続することにより、環状に形成されたハイブリッド回路を一対備え、
前記一対のハイブリッド回路の一方である第1ハイブリッド回路の入力端子を、前記高周波信号の入力経路に接続し、前記一対のハイブリッド回路の他方である第2ハイブリッド回路の入力端子を、前記第1ハイブリッド回路の通過端子に接続し、前記第2ハイブリッド回路の通過端子を、前記伝送インピーダンスの基準値を有する終端回路にて終端し、
前記第1ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子には、第1ダイオード及び第2ダイオードをそれぞれ接続し、
前記第2ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子には、第3ダイオード及び第4ダイオードを、それぞれ、前記第1ダイオード及び第2ダイオードとは異なる極性で接続し、
前記第1ダイオード及び第2ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子からの出力と、前記第3ダイオード及び第4ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子からの出力とを逆相電力合成して出力するよう構成してなることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検波/整流回路において、
前記第1ダイオード及び第2ダイオードは、前記第1ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に極性を揃えて接続され、
前記第3ダイオード及び第4ダイオードは、前記第2ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に、前記第1ダイオード及び第2ダイオードとは異なる極性で接続されており、
前記第1ダイオード及び第2ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子が第1入力端子に接続され、前記第3ダイオード及び第4ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子が第2入力端子に接続され、各入力端子間の電位差を差動増幅する差動増幅回路、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の検波/整流回路において、
前記第1ダイオード及び第2ダイオードは、前記第1ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に逆極性で接続され、
前記第3ダイオード及び第4ダイオードは、前記第2ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に、前記第1ダイオード及び第2ダイオードとは異なる極性で接続されており、
前記第1ダイオード及び第4ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子が第1入力端子に接続され、前記第2ダイオード及び第3ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子が第2入力端子に接続され、各入力端子間の電位差を差動増幅する差動増幅回路、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の検波/整流回路において、前記差動増幅回路はオペアンプからなり、該オペアンプの非反転入力端子に接続されるダイオードには、前記非反転入力端子に接続される増幅率設定用の抵抗を介してバイアス電圧を印加するよう構成されたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の検波/整流回路において、第1〜第4ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子には、各ダイオードを通過した高周波信号成分を除去するための半円状若しくは扇形のラジアルスタブが設けられていることを特徴とする。
【0015】
一方、請求項6に記載の検波/整流回路は、請求項1に記載の検波/整流回路を、前記終端回路を外して複数段従属接続し、最終段の検波/整流回路を構成する第2ハイブリッド回路の通過端子を、前記伝送インピーダンスの基準値を有する終端回路にて終端してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の検波/整流回路においては、従来の整合回路を用いる代わりに、一対のハイブリッド回路を用いる。
各ハイブリッド回路は、上記のように構成されているので、入力端子に入力された高周波信号を2分配して第1分配端子及び第2分配端子から出力する分配回路(所謂ハイブリッドリング)として機能する。
【0017】
また、各ハイブリッド回路の第1、第2分配端子には、ハイブリッド回路毎に、第1,第2ダイオード又は第3,第4ダイオードが接続されるが、上記のように構成されたハイブリッド回路(ハイブリッドリング)では、分配端子の出力インピーダンスと分配端子に接続されるダイオードの入力インピーダンスとが異なり、分配端子で出力信号の一部が反射されたとしても、その反射信号は、通過端子側に出力され、入力端子側に戻ることはない。
【0018】
従って、請求項1に記載の検波/整流回路によれば、整合回路を用いることなく、高周波信号がその入力経路に反射されてしまうのを防止することができる。また、高周波信号が入力経路に反射されると、電力効率が劣化するだけでなく、高周波信号の周波数特性にリップルが生じるが、本発明によれば、こうした問題も防止できる。
【0019】
また、請求項1に記載の検波/整流回路によれば、整合回路を用いる必要がないので、検波/整流可能な高周波信号の周波数帯域が整合回路の周波数特性で制限されるのを防止し、検波/整流可能な高周波信号の周波数帯域を広くすることができる。
【0020】
一方、第1,第2ダイオード及び第3,第4ダイオードは、それぞれ、第1ハイブリッド回路及び第2ハイブリッド回路の2つの分配端子に接続されるが、第1,第2ダイオード及び第3,第4ダイオードは各ハイブリッド回路間で極性が異なるように分配端子に接続され、しかも、第1,第2ダイオードからの出力及び第3,第4ダイオードからの出力は逆相電力合成されるので、第1ハイブリッド回路の入力端子から入力された高周波信号は、第1ハイブリッド回路に接続された第1,第2ダイオードと、第2ハイブリッド回路に接続された第3,第4ダイオードとにより全波整流されることになる。
【0021】
このため、請求項1に記載の検波/整流回路によれば、高周波信号が各ダイオードの接続点(つまり、各ハイブリッド回路の第1、第2分配端子)で反射することによって生じる出力低下を、上記逆相電力合成(換言すれば全波整流)によって低減することができ、検波/整流回路の電力効率が低下するのを防止できる。
【0022】
また、ハイブリッド回路は配線パターンとして基板上に形成することができ、ダイオードは回路基板に実装でき、しかも、逆相電力合成等のための回路も基板に形成された配線パターンと基板への実装部品とにより構成することができる。
【0023】
従って、請求項1に記載の検波/整流回路は、両面基板の片面に所定の配線パターンを形成して電子部品を実装することにより構成することができる。そして、検波/整流回路をこのように構成すれば、基板にスルーホールを形成する必要がないので回路パターンを小さくすることができ、しかも、両面基板の裏面をベタグランドとすることで、安定した特性が得られるようになる。
【0024】
ここで、第1,第2ダイオードからの出力と第3,第4ダイオードからの出力とを逆相電力合成することで、第1ハイブリッド回路の入力端子から入力された高周波信号を全波整流する回路としては、差動増幅回路を用いることができる。
【0025】
具体的には、第1ダイオード及び第2ダイオードが、第1ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に極性を揃えて接続され、第3ダイオード及び第4ダイオードが、第2ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に、第1ダイオード及び第2ダイオードとは異なる極性で、互いに極性を揃えて接続されている場合には、請求項2に記載のように、差動増幅回路の一方の入力端子(第1入力端子)に、第1ダイオード及び第2ダイオードの各分配端子とは反対側端子を接続し、差動増幅回路の他方の入力端子(第2入力端子)に、第3ダイオード及び第4ダイオードの各分配端子とは反対側端子を接続するようにすれば、第1ハイブリッド回路の入力端子から入力された高周波信号を全波整流することができる。
【0026】
また、第1ダイオード及び第2ダイオードが、第1ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に逆極性で接続され、第3ダイオード及び第4ダイオードが、第2ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に、第1ダイオード及び第2ダイオードとは異なる極性で、互いに逆極性で接続されている場合には、請求項3に記載のように、差動増幅回路の一方の入力端子(第1入力端子)に、第1ダイオード及び第4ダイオードの各分配端子とは反対側端子を接続し、差動増幅回路の他方の入力端子(第2入力端子)に、第2ダイオード及び第3ダイオードの各分配端子とは反対側端子を接続するようにすれば、第1ハイブリッド回路の入力端子から入力された高周波信号を全波整流することができる。
【0027】
また、このように、検波/整流回路に差動増幅回路を設けた場合、差動増幅回路の第1、第2入力端子には通常入力抵抗が設けられることから、その入力抵抗の抵抗値により、各ダイオードから各入力端子への高周波信号の入力特性を変化させることができる。
【0028】
このため、請求項2又は請求項3に記載の検波/整流回路によれば、各ダイオードやハイブリッド回路に特性のバラツキがあっても、差動増幅回路の各入力端子に接続された入力抵抗の抵抗値を調整することにより、各ダイオードやハイブリッド回路の特性のバラツキを吸収し、出力特性を改善することができる。
【0029】
次に、請求項4に記載の検波/整流回路においては、差動増幅回路がオペアンプにて構成されており、このオペアンプの非反転入力端子に接続されるダイオードには、非反転入力端子に接続される増幅率設定用の抵抗を介してバイアス電圧が印加される。
【0030】
このため、請求項4に記載の検波/整流回路によれば、オペアンプの非反転入力端子に接続されるダイオードから、各ハイブリッド回路及び他方のダイオードを通って、オペアンプの反転入力端子に至る経路で電流が流れることになり、第1〜第4ダイオードのいずれのダイオードにもバイアス電流を流して、これら各ダイオードの感度(延いては、検波/整流効率)を高めることができる。
【0031】
また、請求項5に記載の検波/整流回路においては、第1〜第4ダイオードの各分配端子とは反対側端子に、各ダイオードを通過した高周波信号成分を除去するための半円状若しくは扇形のラジアルスタブが設けられている。
【0032】
このため、請求項5に記載の検波/整流回路によれば、各ハイブリッドの分配端子から第1〜第4ダイオードを通って高周波信号成分が漏れ出したとしても、その高周波信号成分をラジアルスタブにより除去することができ、各ダイオードからの出力を逆相電力合成するにより得られる検波/整流信号に高周波信号成分が重畳されるのを防止できる。
【0033】
また次に、請求項6に記載の検波/整流回路は、請求項1に記載の検波/整流回路を、終端回路を外して複数段従属接続し、最終段の検波/整流回路を構成する第2ハイブリッド回路の通過端子を終端回路にて終端することにより構成される。
【0034】
つまり、請求項6に記載の検波/整流回路では、請求項1に記載の検波/整流回路を複数段従属接続することにより、前段の検波/整流回路の第2ハイブリッド回路の通過端子に生じる反射信号成分を次段の検波/整流回路に入力し、再度検波/整流させることで、最終段の検波/整流回路に接続される終端回路で消費される反射信号の消費電力量(換言すれば電力損失)を抑制している。
【0035】
このため、請求項6に記載の検波/整流回路によれば、請求項1に記載の検波/整流回路が複数段必要になるものの、その接続段数に応じて、高周波信号の検波/整流効率を高めることができるようになり、電力効率のよい検波/整流回路を実現できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1実施形態の検波/整流回路の構成を表す回路図である。
【図2】第1実施形態の検波/整流回路各部の特性を解析した結果を表す説明図である。
【図3】第2実施形態の検波/整流回路の構成を表す回路図である。
【図4】第3実施形態の検波/整流回路の構成を表す回路図である。
【図5】第1実施形態の変形例を表す回路図である。
【図6】検波/整流回路を電力変換器として利用する変形例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態の検波/整流回路には、検波若しくは整流対象となる高周波信号がカップリングコンデンサC1を介して入力される第1ハイブリッド回路10と、第1ハイブリッド回路10を通過した高周波信号が入力される第2ハイブリッド回路20との、2つのハイブリッド回路が設けられている。
【0038】
これら各ハイブリッド10、20は、入力端子Ti、第1分配端子T1、第2分配端子T2、及び通過端子Toからなる4つの端子部と、検波若しくは整流対象となる高周波信号の基準周波数において略1/4波長となる長さを有する4つの伝送線路とからなる。
【0039】
そして、入力端子Tiと通過端子Toとの間及び第1分配端子T1と第2分配端子T2との間は、伝送インピーダンスが高周波信号の入力経路と同じ基準値(本実施形態では50Ω)に設定された一対の第1伝送線路L1にてそれぞれ接続され、入力端子Tiと第1分配端子T1との間及び通過端子Toと第2分配端子T2との間は、伝送インピーダンスが基準値の略1/√2の値(本実施形態では35Ω)に設定された一対の第2伝送線路L2にてそれぞれ接続されている。
【0040】
つまり、本実施形態において、各ハイブリッド回路10、20は、一対の第1伝送線路L1と一対の第2伝送線路L2とを交互に連結することにより、矩形のリング状に形成されている。そして、第1伝送線路L1の伝送インピーダンスと第2伝送線路L2の伝送インピーダンスは、1:1/√2に設定されているので、各ハイブリッド回路10、20は、入力端子Tiに入力された高周波信号を2分配して第1分配端子T1及び第2分配端子T2から出力する分配回路(所謂ハイブリッドリング)として機能する。
【0041】
また、第2ハイブリッド回路20の入力端子Tiは、第1ハイブリッド回路10の通過端子Toに接続されており、第2ハイブリッド回路20の通過端子Toは、伝送インピーダンスの基準値(本実施形態では50Ω)を有する終端抵抗R0を介して、高周波信号除去用のラジアルスタブRS0に接続されている。
【0042】
一方、第1ハイブリッド回路10の第1分配端子T1及び第2分配端子T2には、それぞれ、検波/整流用のダイオードD1,D2のアノードが接続されており、これら各ダイオードD1,D2のカソードには、高周波信号除去用のラジアルスタブRS1、RS2が接続されている。
【0043】
また、第2ハイブリッド回路20の第1分配端子T1及び第2分配端子T2には、それぞれ、検波/整流用のダイオードD3,D4のカソードが接続されており、これら各ダイオードD3,D4のアノードには、高周波信号除去用のラジアルスタブRS3、RS4が接続されている。
【0044】
なお、高周波信号の入力経路、第1ハイブリッド回路10、第2ハイブリッド回路20、及び、ラジアルスタブRS0〜RS4は、両面基板の片面に形成された導電体パターンにより構成されており、各ハイブリッド回路10、20は、高周波信号の入力経路から真っ直ぐ延びる延長線上に、各ハイブリッド回路10、20の一方の第1伝送線路L1を順次配置し、その第1伝送線路L1の両端から、延長線を挟んで異なる方向に一対の第2伝送線路L2を延設し、その延設された第2伝送線路L2の端部同士をもう一方の第1伝送線路L1で接続したものとして形成されている。
【0045】
次に、第1ハイブリッド回路10の各分配端子T1,T2にアノードが接続されたダイオードD1,D2のカソードは、それぞれ、抵抗R1,R2を介して、オペアンプOP1の反転入力端子(−)に接続されており、第2ハイブリッド回路20の各分配端子T1,T2にカソードが接続されたダイオードD3,D4のアノードは、それぞれ、抵抗R3,R4を介して、オペアンプOP1の非反転入力端子(+)に接続されている。
【0046】
オペアンプOP1は、差動増幅回路30を構成するものであり、反転入力端子(−)と出力端子とが抵抗R6を介して接続されており、非反転入力端子(+)には、抵抗R8を介して所定のバイアス電圧が印加されている。
【0047】
このように構成された本実施形態の検波/整流回路においては、ハイブリッド回路10,20の分配端子T1,T2に、それぞれ、ダイオードD1〜D4が接続されているため、各ハイブリッド回路10、20で2分配された高周波信号は、それぞれ、ダイオードD1,D2或いはD3,D4にて検波/整流される。
【0048】
そして、ハイブリッド回路10、20において、各分配端子T1,T2の出力インピーダンスとダイオードD1,D2或いはD3,D4の入力インピーダンスとが異なり、各分配端子T1,T2で高周波信号の一部が反射されたとしても、その反射信号は、通過端子To側に出力され、入力端子Ti側に戻ることはない。
【0049】
従って、本実施形態の検波/整流回路によれば、従来のように整合回路を用いることなく、高周波信号がその入力経路に反射されてしまうのを防止することができる。また、高周波信号が入力経路に反射されると、電力効率が劣化するだけでなく、高周波信号の周波数特性にリップルが生じるが、本実施形態によれば、こうした問題も防止できる。
【0050】
また、本実施形態の検波/整流回路によれば、整合回路を用いる必要がないので、検波/整流可能な高周波信号の周波数帯域が、整合回路の周波数特性で制限されるのを防止し、検波/整流可能な高周波信号の周波数帯域を広くすることができる。
【0051】
また、ダイオードD1とD2、及び、ダイオードD3とD4は、各ハイブリッド回路10,20の分配端子T1,T2に、異なる極性で接続されるが、ダイオードD1,D2からの出力とダイオードD3,D4からの出力は、それぞれ、差動増幅回路30を構成するオペアンプOP1の反転入力端子及び非反転入力端子に入力され、差動増幅回路30にて逆相電力合成されることから、第1ハイブリッド回路10の入力端子Tiに入力された高周波信号は、各ハイブリッド回路10,20に接続されたダイオードD1〜D4により全波整流されることになる。
【0052】
このため、本実施形態の検波/整流回路によれば、各ハイブリッド回路10,20の第1分配端子T1及び第2分配端子T2と各ダイオードD1〜D4との接続点で高周波信号が反射することによって生じる出力低下を、上記逆相電力合成(換言すれば全波整流)によって低減することができ、延いては、検波/整流回路の電力効率を高めることができる。
【0053】
また、上記のように、高周波信号の入力経路、第1ハイブリッド回路10、第2ハイブリッド回路20、及び、ラジアルスタブRS0〜RS4は、両面基板の片面に形成された導電体パターンにより構成されるため、本実施形態の検波/整流回路は、カップリングコンデンサC1、ダイオードD1〜D4、抵抗R0〜R8、オペアンプOP1等を、その導電体パターンが形成された基板面に実装することにより作製することができる。
【0054】
そして、このようにすれば、基板にスルーホールを形成する必要がないので、回路パターンを小さくすることができ、しかも、両面基板の裏面をベタグランドとすることで、安定した特性が得られるようになる。
【0055】
また、このオペアンプOP1の非反転入力端子には、抵抗R8を介してバイアス電圧が印加されることから、ダイオードD3,D4及びD1,D2には、このバイアス電圧が順方向に印加されて、バイアス電流が流れることになる。このため、本実施形態によれば、各ダイオードD1〜D4の感度、延いては、検波/整流回路による検波/整流効率を、高めることができる。
【0056】
また、各ダイオードD1〜D4は、差動増幅回路30を構成するオペアンプOP1の各入力端子に、抵抗(所謂入力抵抗)R1〜R4を介して接続されるため、各ダイオードD1〜D4に特性のバラツキがある場合には、この入力抵抗R1〜R4の抵抗値を個々に調整することで、各ダイオードD1〜D4の特性のバラツキによる出力特性の劣化を改善できる。
【0057】
また更に、各ダイオードD1〜D4には容量があるので、各ダイオードD1〜D4から高周波信号成分が漏れ出すことがあるが、本実施形態では、各ダイオードD1〜D4の出力側に高周波信号除去用の扇形のラジアルスタブRS1〜RS4が設けられているので、ダイオードD1〜D4から差動増幅回路30への出力信号に高周波信号成分が重畳されるのを防止できる。
【0058】
なお、上記ダイオードD1〜D4の内、ダイオードD1は本発明の第1ダイオードに、ダイオードD2は本発明の第2ダイオードに、ダイオードD3は本発明の第3ダイオードに、ダイオードD4は本発明の第4ダイオードに、それぞれ相当する。
(回路特性の解析)
本実施形態の検波/整流回路によれば、整合回路の代わりに、ハイブリッド回路10,20を用いているので、ダイオードD1〜D4と各ハイブリッド回路10,20との接続点で、高周波信号の一部が反射されたとしても、その反射信号は入力端子Ti側に戻ることはない筈であるが、この効果を確認するために、本実施形態の検波/整流回路各部の高周波信号入力端(図2に示すPort1)からの結合量、及び、高周波信号入力端(図2に示すPort1)からの反射量を、電磁界シミュレーションにより解析した。
【0059】
その解析に用いた回路パターン及び解析結果は図2に示す通りである。
すなわち、このシミュレーションでは、検波若しくは整流対象となる高周波信号は、中心周波数が76.5GHzで、その帯域幅が±9GHzのミリ波(つまり、67.5GHz〜85.5GHzのミリ波)であるとして、高周波信号の入力端(Port1)からの第1ハイブリッド回路10までの入力経路の長さを、その高周波信号の略中心周波数に対応した基準波長λgの約1/2(約0.84mm)とし、各ハイブリッド回路10、20の第1伝送線路L1及び第2伝送線路L2の長さを、約λg/4(約0.42mm若しくは約0.40mm)とし、裏面がベタグランドとなっている両面基板の表面に回路パターンを形成したものを利用した。
【0060】
そして、シミュレーションでは、各ダイオードD1〜D4が接続される各ハイブリッド回路10,20の分配端子を、それぞれ、Port2〜Port5とし、終端抵抗R0が接続される第2ハイブリッド回路20の通過端子ToをPort6とし、これら各Port2〜Port6におけるPort1からの結合量と、Port1から入力経路に反射される高周波信号の反射量とを、中心周波数76.5GHz、最小周波数67.5GHz、最大周波数85.5GHzで、それぞれ評価した。
【0061】
また、このシミュレーションは、各Port1〜Port6に接続される電子部品(高周波信号の入力回路、ダイオードD1〜D4、終端抵抗R0等)のインピーダンスが全て基準値(50Ω)である場合と、Port1、Port6に接続される電子部品(高周波信号の入力回路、終端抵抗R0)のインピーダンスは基準値(50Ω)で、Port2〜Port5に接続されるダイオードD1〜D4のインピーダンスが基準値とは大きく異なる6Ωである場合との2つの条件下で行った。
【0062】
その結果、何れの条件下でも、Port1からの高周波信号の反射量を充分小さくできることが確認できた。
一方、ダイオードD1〜D4のインピーダンスが基準値(50Ω)から外れた6Ωである場合は、Port2〜Port5での反射が大きくなるため、ダイオードD1〜D4のインピーダンスが基準値(50Ω)である場合に比べ、Port1に対するPort2、Port3の結合量が小さくなり、Port4〜Port6の結合量が大きくなる。
【0063】
しかし、終端抵抗R0で消費される電力量を表すPort6での結合量は、中心周波数(76.5GHz)で42%、最小周波数(67.5GHz)で38.1%、最大周波数(85.5GHz)で37.1%となっている。
【0064】
このため、本実施形態の検波/整流回路によれば、電力効率を、広帯域に渡って所定値(略60%)に保持できることが判る。
[第2実施形態]
次に、図3は本発明が適用された第2実施形態の検波/整流回路の構成(差動増幅回路30を除く)を表している。
【0065】
本実施形態の検波/整流回路は、上記第1実施形態において、第1,第2ハイブリッド回路10,20とダイオードD1〜D4とラジアルスタブRS1〜RS4により構成される検波/整流回路の基本回路を、カップリングコンデンサC2を介して前後2段に配置し、後段の基本回路を構成する第2ハイブリッド回路20の通過端子Toを、終端抵抗R0を介して終端することにより構成されている。
【0066】
また、カップリングコンデンサC2を挟んで前段に配置される基本回路と、後段に配置される基本回路とでは、ダイオードD1〜D4の向き(極性)がそれぞれ逆方向になっており、前後の基本回路においてそれぞれ第2ハイブリッド回路20に接続されるダイオードD3,D4,D3,D4の出力を共通の信号線にて接続し、前段の基本回路において第1ハイブリッド回路10に接続されるダイオードD1,D2を、差動増幅回路30を構成するオペアンプOP1の反転入力端子(−)に接続し、後段の基本回路において第1ハイブリッド回路10に接続されるダイオードD1,D2を、差動増幅回路30を構成するオペアンプOP1の非反転入力端子(+)に接続するようにされている。
【0067】
このように構成された本実施形態の検波/整流回路によれば、前段の基本回路において第2ハイブリッド回路20の通過端子Toに生じる反射信号成分が、後段の基本回路に入力され、後段の基本回路にて再度検波/整流されることになる。この結果、後段の基本回路に接続される終端抵抗R0で消費される反射信号の消費電力量(換言すれば電力損失)を抑制することができる。
【0068】
よって、第2実施形態の検波/整流回路によれば、第1実施形態の検波/整流回路に比べ、第1,第2ハイブリッド回路10,20とダイオードD1〜D4とラジアルスタブRS1〜RS4とにより構成される基本回路の数が増えるものの、2つの基本回路で2段階に高周波信号を検波/整流するので、検波/整流回路の電力効率を高めることができる。
[第3実施形態]
次に、図4は本発明が適用された第3実施形態の検波/整流回路の構成を表している。
【0069】
本実施形態の検波/整流回路は、基本的には、図1に示した第1実施形態の検波/整流回路と同様の構成をしており、第1実施形態と異なる点は、ダイオードD2及びD4を、第1ダイオードD1及びD3とは逆極性で各ハイブリッド回路10、20へ接続し、ダイオードD2の分配端子T2とは反対側の端子(つまりアノード)を、抵抗R4を介してオペアンプOP1の非反転入力端子(+)に接続し、ダイオードD4の分配端子T2とは反対側の端子(つまりカソード)を、抵抗R2を介してオペアンプOP1の反転入力端子(−)に接続した点である。
【0070】
このように構成された本実施形態の検波/整流回路によれば、第1ハイブリッド回路10におけるダイオードD1,D2の接続方向、及び、第2ハイブリッド回路20におけるダイオードD3,D4の接続方向が異なるものの、ダイオードD2のアノードがオペアンプOP1の非反転入力端子(+)に接続され、ダイオードD4のカソードがオペアンプOP1の反転入力端子(−)に接続されることから、上記実施形態と同様、第1ハイブリッド回路10の入力端子Tiに入力された高周波信号を、ダイオードD1〜D4及び差動増幅回路30により全波整流して、検波/整流回路の電力効率を高めることができる。
【0071】
ところで、第2ハイブリッド回路20には、第1ハイブリッド回路10のダイオードD1,D2で反射した高周波信号が入力されることから、第2ハイブリッド回路の分配端子T1,T2から出力される高周波信号の電力は、第1ハイブリッド回路10の分配端子T1,T2から出力される高周波信号の電力よりも低くなる。このため、第1実施形態では、オペアンプOP1の各入力端子(+,−)への入力電力のバランスが崩れ、整流効率(延いては電力効率)が低下することも考えられる。
【0072】
これに対し、本実施形態では、オペアンプOP1の各入力端子(+,−)に、第1ハイブリッド回路10及び第2ハイブリッド回路20の第1分配端子T1からの出力と、第1ハイブリッド回路10及び第2ハイブリッド回路20の第2分配端子T2からの出力とが入力されることから、オペアンプOP1の各入力端子(+,−)への入力電力のバランスがとれて、整流効率(延いては電力効率)を高めることができる、といった効果も期待できる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
例えば、上記各実施形態においては、高周波信号の入力経路から真っ直ぐ延びる延長線上に、各ハイブリッド回路10,20の一方の第1伝送線路L1を順次配置し、各第1伝送線路L1の両端から、第1線路L1毎に異なる方向にそれぞれ一対の第2伝送線路L2を延設し、その一対の第2伝送線路L2の端部同士をもう一方の第1伝送線路L1で接続することにより、一対のハイブリッド回路10,20を基板上に形成するものとして説明した。
【0074】
しかし、この種のハイブリッド回路(分配回路を構成するハイブリッドリング)においては、通常、高周波信号の入力経路から真っ直ぐ延びる延長線上に、第2伝送線路L2を配置して、その先端を第1分配端子T1とするようにされている。
【0075】
これは、高周波信号の入力経路に対してハイブリッド回路をこのように配置すると、ハイブリッド回路の設計周波数において、分配端子T1,T2での結合量の位相差を略設計値(90°)にすることができるためである。
【0076】
このため、上記実施形態のようにハイブリッド回路を形成すると、ハイブリッド回路の設計周波数において、分配端子T1,T2での結合量の位相差が例えば80°となって、設計値からずれてしまうことが考えられる。
【0077】
本実施形態の検波/整流回路は、検波/整流可能な高周波信号の周波数帯域を広くすることができるので、上記のように分配端子T1,T2での結合量の位相差が多少ずれても、特に問題になることはないが、このずれを考慮して、第1ハイブリッド回路10に接続される高周波信号の入力経路を、図5に示すように形成してもよい。
【0078】
すなわち、図5に示す検波/整流回路は、図1に示した第1実施形態の検波整流回路において、第1ハイブリッド回路10の入力端子Tiに、第2伝送線路から真っ直ぐ延びる入力経路Linを接続し、この入力経路Linの先端に、外部から高周波信号を入力するための入力経路を直交するように接続したものである。なお、図5では、入力経路Linの長さは、第2伝送線路L2と略同じ長さ(略1/4波長)となっている。
【0079】
そして、検波/整流回路への高周波信号の入力経路をこのように構成すれば、第1ハイブリッド回路10において、その設計周波数における分配端子T1,T2での結合量の位相差を略設計値(90°)にすることができるようになる。
【0080】
また、第2実施形態では、第1,第2ハイブリッド回路10,20とダイオードD1〜D4とラジアルスタブRS1〜RS4とにより構成される基本回路を、前後2段に配置するものとして説明したが、この基本回路の数を更に増加することにより、検波/整流回路の電力効率をより高めることができる。
【0081】
一方、上記各実施形態では、第1,第2ハイブリッド回路10,20とダイオードD1〜D4とラジアルスタブRS1〜RS4とにより構成される基本回路、若しくは、この基本回路を前後2段に接続した多段回路に対し、差動増幅回路30を設け、この差動増幅回路30にて、各ダイオードD1〜D4からの出力を逆相電力合成するものとして説明したが、例えば、図6に示すように、差動増幅回路30に代えて、一対の蓄電用コンデンサCa、Cbを設けるようにしてもよい。
【0082】
つまり、各ダイオードD1〜D4からの出力を、両面基板の裏面のベタグランドと同電位のグランドラインに一端が接続された蓄電用コンデンサCa、Cbの他端に接続することで、蓄電用コンデンサCa、Cbを充電し、その充電電圧+V、−Vを、蓄電用コンデンサCa、Cbの他端に接続されたDC出力端子から出力するようにしてもよい。
【0083】
この場合、各ダイオードD1〜D4からの出力は、蓄電用コンデンサCa、Cbにて逆相電力合成され、各蓄電用コンデンサCa、Cbを、それぞれ逆極性で充電することができるようになる。
【0084】
そして、検波/整流回路をこのように構成した場合、例えば、図6に示すように、検波/整流回路への高周波信号の入力経路に同軸入力端子を設け、この入力端子に、同軸ケーブルを介して、パラボラアンテナの一次放射器を接続すれば、パラボラアンテナにて受信された高周波信号を整流して蓄電用コンデンサCa、Cbに充電し、その充電電圧(電力)をDC出力端子から外部負荷に出力する電力変換器として使用することができ、延いては、高周波信号の無線伝送によって電力伝送を行う宇宙発電や非接触給電に利用することができるようになる。
【0085】
なお、図6に示す検波/整流回路は、図3に示した第2実施形態の検波/整流回路において、差動増幅回路30の代わりに、一端がグランドラインに接続された一対の蓄電用コンデンサCa、Cbを設けたものであり、差動増幅回路30の反転入力端子(−)に接続される側のダイオードD1,D2の出力(カソード)を、蓄電用コンデンサCaの他端に接続し、差動増幅回路30の非反転入力端子(+)に接続される側のダイオードD1,D2の出力(アノード)を、蓄電用コンデンサCbの他端に接続することにより構成されている。
【符号の説明】
【0086】
10…第1ハイブリッド回路、20…第2ハイブリッド回路、Ti…入力端子、To…通過端子、T1…第1分配端子、T2…第2分配端子、L1…第1伝送線路、L2…第2伝送線路、D1〜D4…ダイオード、R0…終端抵抗、RS0〜RS4…ラジアルスタブ、C1,C2…カップリングコンデンサ、30…差動増幅回路、OP1…オペアンプ、R1〜R4,R6,R8…抵抗、Lin…入力経路、Ca,Cb…蓄電用コンデンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子、第1分配端子、第2分配端子、及び通過端子からなる4つの端子と、検波又は整流対象となる高周波信号の基準周波数において略1/4波長となる長さを有する4つの伝送線路とからなり、前記4つの伝送線路の内、伝送インピーダンスが基準値に設定された一対の第1伝送線路にて、前記入力端子と前記通過端子との間及び前記第1分配端子と前記第2分配端子との間をそれぞれ接続し、伝送インピーダンスが基準値の1/√2に設定された一対の第2伝送線路にて、前記入力端子と前記第1分配端子との間及び前記通過端子と前記第2分配端子との間をそれぞれ接続することにより、環状に形成されたハイブリッド回路を一対備え、
前記一対のハイブリッド回路の一方である第1ハイブリッド回路の入力端子を、前記高周波信号の入力経路に接続し、前記一対のハイブリッド回路の他方である第2ハイブリッド回路の入力端子を、前記第1ハイブリッド回路の通過端子に接続し、前記第2ハイブリッド回路の通過端子を、前記伝送インピーダンスの基準値を有する終端回路にて終端し、
前記第1ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子には、第1ダイオード及び第2ダイオードをそれぞれ接続し、
前記第2ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子には、第3ダイオード及び第4ダイオードを、それぞれ、前記第1ダイオード及び第2ダイオードとは異なる極性で接続し、
前記第1ダイオード及び第2ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子からの出力と、前記第3ダイオード及び第4ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子からの出力とを逆相電力合成して出力するよう構成してなることを特徴とする検波/整流回路。
【請求項2】
前記第1ダイオード及び第2ダイオードは、前記第1ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に極性を揃えて接続され、
前記第3ダイオード及び第4ダイオードは、前記第2ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に、前記第1ダイオード及び第2ダイオードとは異なる極性で接続されており、
前記第1ダイオード及び第2ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子が第1入力端子に接続され、前記第3ダイオード及び第4ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子が第2入力端子に接続され、各入力端子間の電位差を差動増幅する差動増幅回路、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検波/整流回路。
【請求項3】
前記第1ダイオード及び第2ダイオードは、前記第1ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に逆極性で接続され、
前記第3ダイオード及び第4ダイオードは、前記第2ハイブリッド回路の第1分配端子及び第2分配端子に、前記第1ダイオード及び第2ダイオードとは異なる極性で接続されており、
前記第1ダイオード及び第4ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子が第1入力端子に接続され、前記第2ダイオード及び第3ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子が第2入力端子に接続され、各入力端子間の電位差を差動増幅する差動増幅回路、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の検波/整流回路。
【請求項4】
前記差動増幅回路はオペアンプからなり、該オペアンプの非反転入力端子に接続されるダイオードには、前記非反転入力端子に接続される増幅率設定用の抵抗を介してバイアス電圧を印加するよう構成されたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の検波/整流回路。
【請求項5】
前記第1〜第4ダイオードの前記各分配端子とは反対側端子には、各ダイオードを通過した高周波信号成分を除去するための半円状若しくは扇形のラジアルスタブが設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の検波/整流回路。
【請求項6】
請求項1に記載の検波/整流回路を、前記終端回路を外して複数段従属接続し、最終段の検波/整流回路を構成する第2ハイブリッド回路の通過端子を、前記伝送インピーダンスの基準値を有する終端回路にて終端してなることを特徴とする検波/整流回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−130430(P2011−130430A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259082(P2010−259082)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)