説明

極値距離メトリックの位置に基づく同期マーク検出のための方法および装置

【課題】極値距離メトリックの位置に基づいた同期マークの検出を提供する方法及び装置を提供する。
【解決手段】受信した信号と同期マークの読み取り時に予期される受信した信号の理想のバージョンとの間の距離メトリックを計算することで、受信した信号における同期マークを検出する。当該距離メトリックを検索ウインドウ内の複数の位置について計算し、検索ウィンドウ内で概ね極値の距離メトリックを決定し、概ね極値の距離メトリックの位置に基づいて同期マークを検出する。距離メトリックは、受信した信号と当該受信した信号の理想のバージョンとの間の平方差の和またはユークリッド距離を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期マーク(syncMark)検出のための技法に関し、さらに具体的には、極値距離メトリックの位置を使用してsyncMarkを検出するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク・ドライブのようなストレージ・システムは、通常、複数の同心のデータ・トラックを備える1つもしくは複数のディスクまたはその他の記憶媒体を含む。変換器は通常、書き込みまたは読み取り操作中に目的のトラック上に配置される。サーボ・ヘッド位置情報は通常、ディスクに記録される。図1に示される、ディスク・ドライブの1つの一般的な記録フォーマット100は、埋め込まれたサーボ情報の次のセットの始まりを識別するサーボ・アドレス・マーク(SAM:servo address mark)パターン110、ならびに記録されたデータ140の前のsyncMarkパターン120および後のポストアンブル・パターン130を含む。
【0003】
通常、サーボ復調器は、直前に検出されたSAMに基づいてSAMパターンの検索を開始すべき場所を決定する。通常、サーボ復調器は、直前に検出されたSAMのタイミングに基づく時間ウィンドウ中にSAMを検索する。SAMが検出されると、SAMとsyncMarkとの間隔は通常、高精度で認識されている。したがって、syncMarkロケーション検出器は通常、比較的小さいウィンドウ内でsyncMarkを検索することができる。syncMarkが識別されると、syncMarkロケーション検出器は、記録トラック内のデータ・セクションが位置する場所を決定することができる。syncMark検出器は、たとえば、syncMarkのリードバック信号が破損しているか、またはsyncMark検出器の許容範囲を超えて歪んでいる信号障害により、syncMarkを検出することができない場合もある。
【0004】
syncMarkの検出を向上させるために、多数の技法が提案または提唱されてきた。たとえば、それぞれ参照により本明細書に引用した「Method and Apparatus for Synchronization Mark Detection with DC Compensation」と題する米国特許第7,561,649号明細書、および「Method and Apparatus for Detecting a SyncMark in a Hard Disk Drive」と題する米国特許出願公開第2010/0115209号明細書を参照されたい。1つの技法は、syncMark検出ウィンドウ内で複数の位置に対してユークリッド距離メトリックのようなメトリックを計算し、計算されたメトリックをsyncMarkメトリックしきい値と比較する。位置に対して計算されたメトリックがsyncMarkメトリックしきい値を満足する場合、syncMarkはその位置に見出されたものと宣言される。計算されたメトリックがsyncMarkメトリックしきい値を満足しない場合、syncMarkメトリックしきい値は増分され、データは、この新しいsyncMarkメトリックしきい値を使用してsyncMarkを検出する別の試行のためにディスクから物理的に再読み取りされる。データを再読み取りすることで、付加的な読み取り時間および電力をまねくことになり、またチャネル読み取りスループットを減少させる。
【0005】
図2に示されるもう1つの技法は、2次syncMark240(syncMark2またはSM2と呼ばれることが多い)をデータに挿入する。syncMark検出器が第1のsyncMark120を検出できない場合、ハードディスク・ドライブは第2のsyncMark240に依存してデータを探し出し、検出することができる。第1のsyncMark120および第2のsyncMark240は通常、固定の長さによって分離される。通常、第1のsyncMark120および第2のsyncMark240との間のデータを格納するのに十分なバッファが、失われたsyncMarkのデータを処理中に回復するために使用される。しかし、第2のsyncMark240はデータに挿入される必要があり、そのためフォーマットの効率を損ない、結果として図1の技法と比較するとデータ容量を低減させることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,561,649号
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0115209号
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0243455号
【特許文献4】2008年10月31日に出願した米国特許出願「Methods and Apparatus for Detecting a SyncMark in a Hard Disk Drive」(出願人整理番号08−0283)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「VLSI Architectures for Iterative Decoders in Magnetic Recording Channels」IEEE Trans. on Magnetics、Vol.37、No.2(2001年3月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、ハードディスク・ドライブにおいてsyncMarkを検出するための改良された技法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
概して言えば、極値距離メトリックの位置に基づく同期マーク検出のための方法および装置が提供される。同期マークは、磁気媒体に記録されてもよいか、または通信チャネルで受信されてもよい。本発明の1つの態様によれば、同期マークは、受信された信号と、同期マークの読み取り時に予期される受信された信号の理想のバージョンとの間の距離メトリックを計算することであって、距離メトリックは検索ウィンドウ内で複数の位置について計算されることと、検索ウィンドウ内で概ね極値の距離メトリックを決定すること、および概ね極値の距離メトリックの位置に基づいて同期マークを検出することによって、受信された信号から検出される。
【0010】
1つの実施形態において、同期マークは、距離メトリックがしきい値を下回るなどのような、事前定義された基準を満足する場合に検出される。もう1つの実施形態において、同期マークは、事前定義されたメトリックしきい値Tが満足されないときに、概ね極値の距離メトリックの位置を使用して検出される。さらなる実施形態において、同期マークは、事前定義された距離メトリックしきい値を考慮することなく、概ね極値の距離メトリックの位置を使用して検出される。さらにもう1つの実施形態において、概ね極値の距離メトリックは、受信された信号の再読み取りのためのメトリックしきい値Tを決定するために使用される。たとえば、受信された信号の再読み取りのためのメトリックしきい値Tは、概ね極値の距離メトリックまたは概ね極値の距離メトリックの関数である。
【0011】
同期マーク検出は、任意で、概ね極値の距離メトリックが第2のしきい値Tを下回ることを必要条件としてもよい。さまざまなしきい値は、ユーザによって事前定義および/またはプログラムされてもよい。距離メトリックは、受信された信号と受信された信号の理想のバージョンとの間の平方差の和またはユークリッド距離を備えることができる。
【0012】
本発明と、本発明のさらに多くの特徴および利点は、以下の詳細な説明および図を参照することによってさらに深く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ディスク・ドライブの例示的な標準的記録フォーマットを示す図である。
【図2】ディスク・ドライブの代替の例示的な標準的記録フォーマットを示す図である。
【図3】本発明の特徴を組み入れるディスク・ドライブの例示的な記録フォーマットを示す図である。
【図4】例示的な反復型ハードディスク・ドライブを示す概略ブロック図である。
【図5】本発明の特徴を組み入れるsyncMark検出プロセスの例示的な実施態様を説明する流れ図である。
【図6】本発明の特徴を組み入れるsyncMark検出プロセスの例示的な実施態様を説明する流れ図である。
【図7】本発明の特徴を組み入れるsyncMark検出プロセスの例示的な実施態様を説明する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、syncMarkを検出するための改良された技法を提供する。本発明の1つの態様によれば、同期マークは、検索ウィンドウ内で複数の位置について距離メトリックを計算することによって受信された信号から検出される。同期マークは、極値距離メトリックの位置に基づいて検出される。1つの例示的な実施形態において、同期マークは、事前定義されたメトリックしきい値が満足されないときに、極値距離メトリックの位置を使用して検出される。もう1つの実施形態において、同期マークは、事前定義されたメトリックしきい値を考慮することなく、極値距離メトリックの位置を使用して検出される。さらにもう1つの例示的な実施形態において、極値距離メトリックは、受信された信号の再読み取りのための事前定義されたメトリックしきい値として使用される。本発明は本明細書において例示的なハードディスク・ドライブのコンテキストで説明されるが、本発明は、ユーザデータ内に埋め込まれている1つまたは複数の同期マークの検出を必要とする任意のシステムにおいて採用されてもよい。
【0015】
本発明は、距離メトリックと1つまたは複数の対応するしきい値との比較に基づいて同期マークを検出するための複数の既存の技法を改良する。距離メトリックを使用する適切な同期マーク検出技法の説明については、たとえば、それぞれ参照により本明細書に引用した「Method and Apparatus for Synchronization Mark Detection with DC Compensation」と題する米国特許第7,561,649号明細書、および「Method and Apparatus for Detecting a SyncMark in a Hard Disk Drive」と題する米国特許出願公開第2010/0115209号明細書を参照されたい。
【0016】
上記で説明されるように、図1および図2は、ディスク・ドライブの例示的な標準的記録フォーマットを示す。図3は、本発明の特徴を組み入れるディスク・ドライブの代替の記録フォーマット300を示す。図3に示されるように、開示される記録フォーマット300は、図1と同様に、埋め込まれたサーボ情報の次のセットの始まりを識別するサーボ・アドレス・マーク(SAM)パターン110、および第1のsyncMarkパターン120を含む。
【0017】
後段において説明されるように、第1のsyncMarkパターン120は、ビット・インデックスkおよびkの間の検索ウィンドウ320内にあるものと予期される。ビット・インデックスkおよびkの位置は、SAMからの距離、または収集(ACQ)の終わりに基づいて決定されてもよい。ACQは、プリアンブル2Tパターン上で生じ、ACQの終わりは、2Tパターン上で実際のsyncMark位置の前にある必要がある。syncMarkの検索ウィンドウは、ACQの終わりから開始して、プログラムされたクロック周期の数だけ継続する。2Tパターンおよびプリアンブルの説明については、たとえば、「Method and Apparatus for Improved Address Detection」と題する米国特許出願公開第2005/0243455号明細書を参照されたい。
【0018】
加えて、開示される記録フォーマット300は、任意で、セクタの終わりに第2のsyncMarkパターン330を含み、ここでポストアンブル・パターン130は通常、図1のフォーマットであることが予期される。第2のsyncMarkパターン330は、検索ウィンドウ340内にあるものと予期される。このように、開示される記録フォーマット300は、第1のsyncMarkパターン120がハードディスク・ドライブに見逃される場合、第2のsyncMarkパターン330が検出されるようにすることができる。したがって、データの回復は、図1のフォーマットと比較してデータ容量を減少させることなく、処理中に達成されうる。2つのsyncMark120、330の分離は、syncMarkの検出が失敗する原因となるメディアの障害その他の要因に対する確かな保護をもたらす。
【0019】
ハードディスク・ドライブ・コーダ/デコーダ(コーデック)は通常、複数の復号化反復のために受信された信号および検出されたデータの完全なセクタを保持することができる。復号化プロセスは通常、既知の方法で検出および復号化の複数の段階を伴う。
【0020】
本発明は本明細書において、各々の実施形態が図5〜図7に関連して説明される図3の記録フォーマット300のコンテキストで説明されるが、本発明は、当業者には明らかであるように、図1〜図3に示される例示的な記録フォーマット(および追加の記録フォーマット)のいずれかで実施されてもよい。
【0021】
図4は、例示的な反復型ハードディスク・ドライブ400を示す概略ブロック図である。図4に示されるように、アナログおよびデジタルフロントエンド405は、等化サンプルYを生成する。たとえば、等化サンプルYは、有限インパルス応答(FIR:finite impulse response)フィルタリングの後に取得されてもよい。標準的な反復型復号化技法の詳細な説明については、たとえば、参照により本明細書に引用した「VLSI Architectures for Iterative Decoders in Magnetic Recording Channels」IEEE Trans. on Magnetics、Vol.37、No.2(2001年3月)を参照されたい。
【0022】
ソフト・チャネル検出器420は、等化サンプルYを処理し、各Yサンプルについて一連の信頼性情報を、対数尤度比(LLR:log likelihood ratio)のような、軟ビット判定の形態で生成する。LLR値は、既知の反復の方法で、LPDCデコーダ430によって処理されて、硬判定および軟判定を生成する。硬判定は、硬判定バッファ440に格納される。一般に、硬ビット判定は、それぞれの検出器およびデコーダの軟出力(LLR)値に密接な関連がある。同様に、検出器およびデコーダ出力LLR値の大きさは、硬ビット判定の信頼性の指標となる。
【0023】
上記で示されているように、復号化プロセスは通常、既知の方法で、検出および復号化の複数の段階を伴う。LDPCデコーダ430はローカル反復を採用し、LDPCデコーダとソフト・チャネル検出器420の間では、復号化がLDPCデコーダのローカル反復内で収束しない場合、グローバル反復が採用される。グローバル反復ごとに、デコーダの軟出力(LLR)は、別の一巡の検出のために検出器に返送される。
【0024】
図5は、本発明の特徴を組み入れるsyncMark検出プロセス500の例示的な実施態様を説明する流れ図である。概して言えば、図5の例示のsyncMark検出プロセス500は、最も低い距離メトリックを有する検索ウィンドウ内の位置を記憶し、事前定義されたしきい値Tが満足されない場合にこの位置を使用してsyncMarkを確立する。
【0025】
図5に示されるように、syncMark検出プロセス500は最初に、検索ウィンドウ320のビット・インデックス・レンジ[k,k]にわたりステップ510の間、ビット・インデックスtを増分する。その後、例示のsyncMark検出プロセス500は、ステップ520の間に、受信された等化信号サンプルrについて、受信されたサンプル{ri−L+1,ri−L+2,...,r}のブロックと同期マーク
【数1】

を読み取るときに予期される理想的なサンプルのブロックとの間の、サイクルiにおけるSyncMark検出器メトリック値Mを以下のように計算する、
【数2】

ここでLは同期マークの長さである。本明細書において使用される場合、「極値距離メトリック」という用語は、最小または最大の距離メトリックを含むものとする。式(1)の定義が距離メトリックに使用される場合、syncMarkを検出するために最小距離メトリックが採用される。しかし、式(1)の定義の否定のバージョンが距離メトリックに使用される場合、syncMarkを検出するために最大距離メトリックが採用される。平方差の和またはユークリッド距離のような、SyncMark検出器メトリック値を計算する適切な技法のさらに詳細な説明については、たとえば参照により本明細書に引用したものとする米国特許第7,561,649号明細書を参照されたい。ステップ530の間に、ビット・インデックスが、検索ウィンドウ320の第1の位置であるkと等しいかどうかを決定するためにテストが実行される。ステップ530の間に、ビット・インデックスがkと等しいと決定される場合、ステップ540の間に、MminがMk1に初期化される。しかし、ステップ530の間に、ビット・インデックスがkと等しくないと決定される場合、ステップ550の間に、Mminが(Mmin,M)の低いほうに設定され、新しいMminに対応するビット・インデックスkもまた記録される。
【0026】
ステップ560の間に、Mが事前定義されたしきい値Tを満足するかどうかを決定するためにさらなるテストが実行される。例示的な実施形態において、Mがしきい値Tを下回る場合、しきい値Tは「満足される」ものと考えられることに留意されたい。代替的な実施形態において、Mがしきい値Tを上回る場合、しきい値Tは「満足される」ものと考えられる。ステップ560の間に、Mが事前定義されたしきい値Tを満足することが決定される場合、ステップ565の間にSyncMarkがtにおいて見出され、それに応じて信号は再構成される。しかし、ステップ560の間に、Mが事前定義されたしきい値Tを満足しないことが決定される場合、ステップ570の間に、ビット・インデックスtが、検索ウィンドウ320の最終位置であるkと等しいかどうかを決定するためにさらなるテストが実行される。
【0027】
ステップ570の間に、ビット・インデックスがkと等しくないと決定される場合、プログラム制御はステップ510に戻り、上記で説明される方法で続行する。しかし、ステップ570の間に、ビット・インデックスがkと等しいと決定される場合、ステップ580の間にSyncMark発見信号が生成され、信号はkにおける検出されたSyncMarkの位置に基づいて再構成される。図5の例示的な実施形態において示されるように、ステップ580は任意で、Mminの値が第2のしきい値Tを下回ることを必要条件としてもよい。このようにして、最小距離メトリックMminが高すぎてsyncMarkを検出することができない場合、読み取り障害が宣言されてもよい。次いで、データはディスクから物理的に再読み取りされてもよく、プロセス500を使用してsyncMarkを検出する別の試行が実行されてもよい。任意で、syncMarkメトリックしきい値Tは、データが物理的に再読み取りされるときに増分されてもよい。
【0028】
しきい値TおよびTのうちの1つまたは複数は、ユーザによって事前定義/またはプログラム可能であってもよいことに留意されたい。距離メトリックMがしきい値Tを満足する代替的な実施形態において、MがTよりも大きい場合、ステップ580は任意で、Mminの値が第2のしきい値Tを上回ることを必要条件としてもよい。この場合、ステップ550における最小操作は、最大操作に置き換えられる。言い換えれば、次いでsyncMarkが最大距離メトリックに基づいて決定される。
【0029】
図6は、本発明の特徴を組み入れるsyncMark検出プロセス600の例示的な代替的実施態様を説明する流れ図である。概して言えば、図6の例示のsyncMark検出プロセス600は、最も低い距離メトリックを有する検索ウィンドウ内の位置を使用して、事前定義された最小距離しきい値Tには関係なく、syncMarkを確立する。
【0030】
図6に示されるように、syncMark検出プロセス600は最初に、検索ウィンドウ320のビット・インデックス・レンジ[k,k]にわたりステップ610の間、ビット・インデックスtを増分する。その後、例示のsyncMark検出プロセス600は、図5のステップ520と類似する方法で、ステップ620の間、SyncMark検出器メトリック値Mを計算する。
【0031】
ステップ630の間に、ビット・インデックスが、検索ウィンドウ320の第1の位置であるkと等しいかどうかを決定するためにテストが実行される。ステップ630の間に、ビット・インデックスがkと等しいと決定される場合、ステップ640の間に、MminがMk1に初期化される。しかし、ステップ630の間に、ビット・インデックスがkと等しくないと決定される場合、ステップ650の間に、Mminが(Mmin,M)の低いほうに設定され、Mminに対応するビット・インデックスkもまた記録される。
【0032】
ステップ670の間に、ビット・インデックスが、検索ウィンドウ320の最終位置であるkと等しいかどうかを決定するためにさらなるテストが実行される。ステップ670の間に、ビット・インデックスがkと等しくないと決定される場合、プログラム制御はステップ610に戻り、上記で説明される方法で続行する。しかし、ステップ670の間に、ビット・インデックスがkと等しいと決定される場合、ステップ680の間にSyncMark発見信号が生成され、信号はkにおける検出されたSyncMark位置に基づいて再構成される。図6の例示的な実施形態において示されるように、ステップ680は任意で、Mminの値が第2のしきい値Tを下回ることを必要条件としてもよい。このようにして、最小距離メトリックMminが高すぎてsyncMarkを検出することができない場合、読み取り障害が宣言されてもよい。この場合、syncMarkを検出する別の試行が、図5と合わせて説明されるように、ディスクから物理的にデータを再読み取りすることによって実行されてもよい。
【0033】
しきい値TおよびTのうちの1つまたは複数は、ユーザによって事前定義またはプログラム可能であってもよいことに留意されたい。代替的な実施形態において、距離メトリックの異なる計算により、ステップ650における最小操作は最大操作に置き換えられ、ステップ680は任意で、Mminの値が第2のしきい値Tを上回ることを必要条件としてもよい。この場合、syncMarkが最大距離メトリックに基づいて決定される。
【0034】
図7は、本発明の特徴を組み入れるsyncMark検出プロセス700のもう1つの代替的実施態様を説明する流れ図である。概して言えば、図7の例示的なsyncMark検出プロセス700は、最小距離メトリックを、(たとえば、従来のsyncMark検出障害に続く)受信された信号の再読み取りのための事前定義されたメトリックしきい値として動的に使用する。たとえば、次の読み取りサイクルのしきい値は、最小距離メトリックMminに設定されてもよいか、もしくは最小距離メトリックMminに倍率を乗算した値、またはオフセット値を加算した値に設定されてもよい。倍率およびオフセット値は、任意で、ユーザによって事前定義されるかまたはプログラム可能であってもよい。
【0035】
図7に示されるように、syncMark検出プロセス700は最初に、検索ウィンドウ320のビット・インデックス・レンジ[k,k]にわたりステップ710の間、ビット・インデックスtを増分する。その後、例示のsyncMark検出プロセス700は、図5のステップ520と類似する方法で、ステップ720の間、SyncMark検出器メトリック値Mを計算する。
【0036】
ステップ730の間に、Mが事前定義されたしきい値Tを満足するかどうかを決定するためにテストが実行される。ステップ730の間に、Mが事前定義されたしきい値Tを満足することが決定される場合、ステップ740の間にSyncMarkがtにおいて見出され、それに応じて信号は再構成される。しかし、ステップ730の間に、Mが事前定義されたしきい値Tを満足しないことが決定される場合、ステップ750の間に、ビット・インデックスが、検索ウィンドウ320の第1の位置であるkと等しいかどうかを決定するためにさらなるテストが実行される。
【0037】
ステップ750の間に、ビット・インデックスがkと等しいと決定される場合、ステップ760の間に、MminがMk1に初期化される。しかし、ステップ750の間に、ビット・インデックスがkと等しくないと決定される場合、ステップ770の間に、Mminは(Mmin,M)の低いほうに設定される。任意で、Mminに対応するビット・インデックスkもまた記録されてもよい。
【0038】
ステップ780の間に、ビット・インデックスが、検索ウィンドウ320の最終位置であるkと等しいかどうかを決定するためにさらなるテストが実行される。ステップ780の間に、ビット・インデックスがkと等しくないと決定される場合、プログラム制御はステップ710に戻り、上記で説明される方法で続行する。しかし、ステップ780の間に、ビット・インデックスがkと等しいと決定される場合、ステップ790の間に、しきい値Tはディスクの再読み取りのためにMminに設定される。代替的な実施形態において、しきい値Tは、次の読み取りサイクルのMminの関数として設定されてもよく、たとえば、最小距離メトリックMminに倍率を乗算した値、またはオフセット値を加算した値に等しく設定されてもよい。倍率およびオフセット値は、任意で、ユーザによって事前定義されるかまたはプログラム可能であってもよい。代替的な実施形態において、追加のステップが加えられてもよい。ディスクの再読み取りのための新しく計算されたしきい値Tが第2のしきい値Tを上回る場合、新しいしきい値TはTに設定される。最小距離メトリックはこの例示的な実施形態について使用されるが、図5および図6と合わせて上記で説明されるように、最大距離メトリックも採用されてもよい。
【0039】
たとえばセクタの終わりに第2のSyncMarkを使用する改良された検出技法のさらに詳細な説明については、たとえば参照により本明細書に引用した2008年10月31日に出願した「Methods and Apparatus for Detecting a SyncMark in a Hard Disk Drive」と題する米国特許出願(整理番号08−0283)を参照されたい。
【0040】
その他の同期マーク検出技法の説明については、たとえば、「Method and Apparatus for Improved Address Detection」と題する米国特許出願公開第2005/0243455号明細書を参照されたい。
【0041】
結論
本発明の例示的な実施形態はデジタル論理ブロックに関して説明されてきたが、当業者には明らかなように、さまざまな機能が、ソフトウェア・プログラム、回路要素または状態機械によるハードウェア、またはソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせで処理ステップとしてデジタル領域において実施されてもよい。そのようなソフトウェアは、たとえば、デジタル信号プロセッサ、マイクロ・コントローラ、または汎用コンピュータにおいて採用されてもよい。そのようなハードウェアおよびソフトウェアは、集積回路内で実施される回路内で具現されてもよい。
【0042】
したがって、本発明の機能は、それらの方法を実施するための方法および装置の形態で具現されうる。本発明の1つまたは複数の態様は、たとえば、記憶媒体に格納されるか、マシンにロードおよび/または実行されるか、もしくは一部の伝送媒体を介して伝送されるかにかかわらず、プログラム・コードの形態で具現されてもよく、プログラム・コードがコンピュータのようなマシンによってロードおよび実行される場合、マシンは本発明を実施するための装置となる。汎用プロセッサで実施される場合、プログラム・コード・セグメントは、プロセッサと結合して、特定の論理回路と同様に動作するデバイスを提供する。本発明は、集積回路、デジタル信号プロセッサ、マイクロ・プロセッサ、およびマイクロ・コントローラのうちの1つまたは複数で実施されてもよい。
【0043】
複数の同一のチップが通常、ウェハーの表面上に反復パターンで形成される。各チップは、本明細書において説明されるデバイスを含み、その他の構造体または回路を含むことができる。個々のチップは、ウェハーから切り取られるかまたは切り離され、次いで集積回路としてパッケージングされる。当業者であれば、ウェハーを切り離してチップをパッケージングし、集積回路を作成する方法を知っているであろう。そのように製造された集積回路は、本発明の一部であると見なされる。
【0044】
本明細書において述べてきた実施形態および変形は、本発明の理念を示したものに過ぎず、当業者により本発明の範囲および精神を逸脱することなくさまざまな変更が実施されうることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した信号の同期マークを検出する方法であって、
前記受信した信号と、前記同期マークの読み取り時に予期される前記受信した信号の理想のバージョンとの間の距離メトリックを計算することを含み、前記距離メトリックが検索ウィンドウ内の複数の位置について計算され、さらに、
前記検索ウィンドウ内で概ね極値の距離メトリックを決定し、
前記概ね極値の距離メトリックの位置に基づいて前記同期マークを検出する、ことを含む方法。
【請求項2】
前記同期マークは、事前定義されたメトリックしきい値Tが満足されないときには、前記概ね極値の距離メトリックの前記位置を使用して検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記同期マークは、事前定義された極値距離メトリックしきい値を考慮することなく、前記概ね極値の距離メトリックの前記位置を使用して検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記概ね極値の距離メトリックを使用して、前記受信した信号の再読み取りのためのメトリックしきい値Tを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記同期マークは、セクタ信号のデータに続く第2の同期マークを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記概ね極値の距離メトリックは、最小距離メトリック及び最大距離メトリックのうちの1またはそれ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
読取チャネルであって、
記憶媒体からセクタ信号を得る読み取りヘッドを含み、前記セクタ信号は少なくとも1つの同期マークとデータとを含み、さらに、
メモリと、
前記メモリへ結合された少なくとも1つのプロセッサとを含み、前記プロセッサは、
受信した信号と、前記同期マークの読み取り時に予期される前記受信した信号の理想のバージョンとの間の距離メトリックを計算するよう動作し、前記距離メトリックが検索ウィンドウ内の複数の位置について計算され、前記プロセッサはさらに、
前記検索ウィンドウ内で概ね極値の距離メトリックを決定するよう動作し、そして、
前記概ね極値の距離メトリックの位置に基づいて前記同期マークを検出するよう動作する、読取チャネル。
【請求項8】
前記受信した信号の再読み取りのための前記メトリックしきい値Tは、前記概ね極値の距離メトリック及び前記概ね極値の距離メトリックの関数のうちの1またはそれ以上である、請求項7に記載の読取チャネル。
【請求項9】
前記同期マークは、磁気媒体に記録される、及び、通信チャネルで受信される、のうちの1またはそれ以上である、請求項7に記載の読取チャネル。
【請求項10】
前記距離メトリックは、前記受信した信号と前記受信した信号の理想のバージョンとの間の平方差の和及びユークリッド距離のうちの1つまたはそれ以上を含む、請求項7に記載の読取チャネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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