楽器
【課題】 気柱共振の共鳴音を利用して独特な音色を発する楽器に更なる機能を付加する。
【解決手段】 単数、または平行もしくはこれに準じた形で配置される複数の共鳴管2と、該共鳴管2の内部の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように各共鳴管2内に所定量ずつ収められている液体3と、共鳴管2内の液体3に向けて共鳴音発生用流体4を噴出するノズル装置5と、共鳴管2の下側から香りを有する気体を供給して気泡7を発生させる芳香性気体供給装置6とを備える。共鳴管2の下側から供給される気体の気泡7が液体3の液面3aで崩壊するタイミングと、共鳴音発生用流体4が液体3の液面3aに衝突するタイミングの同期をとる制御装置を備えていることが好ましい。
【解決手段】 単数、または平行もしくはこれに準じた形で配置される複数の共鳴管2と、該共鳴管2の内部の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように各共鳴管2内に所定量ずつ収められている液体3と、共鳴管2内の液体3に向けて共鳴音発生用流体4を噴出するノズル装置5と、共鳴管2の下側から香りを有する気体を供給して気泡7を発生させる芳香性気体供給装置6とを備える。共鳴管2の下側から供給される気体の気泡7が液体3の液面3aで崩壊するタイミングと、共鳴音発生用流体4が液体3の液面3aに衝突するタイミングの同期をとる制御装置を備えていることが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は楽器に関する。さらに詳述すると、本発明は共鳴管内の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように構成された楽器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプオルガンは、複数の共鳴管を用意して共鳴音が音階となるように気柱長さを設定しておき、演奏時には共鳴管に空気を送り込んで気柱共振を起こすようにした楽器のとしては例えばパイプオルガンがある。また、他にも、気柱共振による共鳴音を利用した楽器として、各共鳴管の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように液体を貯めた複数の共鳴管を用意しておき、この共鳴管中に共鳴音発生用の液体を垂らして気柱共振音を生じさせるようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3460670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の水の楽器は共鳴管が立ち並び、各共鳴管に水滴を噴出ないしは垂下させることによって美しい音色を響かせるというものではあるが、これのみの構成にとどまらない斬新で新たな付加価値を提供しうる楽器があれば需要者の選択の幅も広がることになる。
【0005】
本発明は、気柱共振の共鳴音を利用して独特な音色を発することに加えて更なる機能を付加した楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者はかかる付加機能の内容とそのための構成について検討した。従来の楽器によれば共鳴管に共鳴音発生用の液体を垂らすことによって共鳴音を生じさせ、美しい音色を奏でることができる。したがって、このような特有の作用効果を損なうことなく別の機能を付加しうる技術について検討し、新たな知見を得るに至った。
【0007】
本発明はかかる知見に基づくものであり、請求項1に記載の発明の楽器は、単数、または平行もしくはこれに準じた形で配置される複数の共鳴管と、該共鳴管内部の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように各共鳴管内に所定量ずつ収められている液体と、共鳴管内の液体に向けて共鳴音発生用流体を噴出するノズル装置と、共鳴管の下側から香りを有する気体を供給して気泡を発生させる芳香性気体供給装置とを備えるというものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の楽器において、共鳴管の下側から供給される気体の気泡が液体の液面で崩壊するタイミングと、共鳴音発生用流体が液体の液面に衝突するタイミングの同期をとる制御装置を備えているというものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の楽器において、液体を流動させて気泡群を生じさせる液体流動装置を備え、当該気泡群が崩壊することにより液体が流動していない場合とは異なった音質の音を発生させるというものである。
【0010】
さらに請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかひとつに記載の楽器において、共鳴管は相対スライド可能な内管と外管とからなる二重構造であり、スライダおよび制御装置によって所定の気柱長さLが得られるように内管と外管とを相対スライドさせることによって所定の音階の音を発生させるというものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の楽器によれば、共鳴音発生用流体を噴出して液面に衝突させることにより気泡を生じさせ、この気泡によって「ぽちゃん」というような音(本明細書ではこの音を「気泡音」と呼ぶ)が発生する。この気泡音は、共鳴管内で気柱共振を起こして大きな共鳴音を生じさせる。このようにして共鳴管から発せられる音は、基礎的な周波数の音(1次モード、m1)と、その高調波音(例えば2次モード、m2)と、気泡音とが入り交じった複雑で独特のものになる。また、水どうしが衝突して発生する音は静けさや心の安らぎを感じることができる癒しの効果を有するものであり、本発明に係る楽器は、このような安らぎのある音を利用することでこれと同様の効果を得ることができ、いわば水琴窟のようでもある。よって、単調な共鳴音を発するパイプオルガンとは異なり、音を聴くだけでも心地良くなれるような音楽を奏でることができる。
【0012】
しかも、本発明に係る楽器は、水面下に沈んだ部分の共鳴管の下部から香りを伴う気泡を発生させる構成となっていることから、気泡が水面に到達して崩壊したとき、共鳴音が生じると同時に香りを放つことになる。したがってこの楽器は、美しい音色を奏でることができるという特有の作用効果を損なうことなく、これと同時に香りを放つこともできるという斬新で新たな付加価値を有するものである。この場合、香りを放つだけであれば種々の方法を採りうるが、本発明においては気泡の中に香りを閉じ込め、それを水面にて崩壊させるという点が特徴的であり、例えば個々の共鳴管に異なった香りを入れて放つことも可能である。
【0013】
また、請求項2に記載の楽器によれば、水面にて気泡が崩壊する瞬間あるいはその前後に共鳴音発生用流体を当該気泡部分に衝突させることで通常とは異なる音色を生じさせることができる。また、音質が変わる上に香りも同時に放たれることになる。さらには、水面に気泡を形成しておいてそこに共鳴音発生用流体を勢いよく衝突させれば崩壊後の気泡の形や大きさが異なってくることになり、気泡から生じる音色が更に変わってくる。
【0014】
請求項3に記載の楽器によれば、揺れた液体3の一部を例えば共鳴管など衝突させ、場合によっては水跳ねを生じさせ、これらによって気泡群を生じさせることが可能となる。これら気泡群は、崩壊する際、液体が静止していたときとは異なった音源を作り出し、異なる音質の音を発生させることが可能となる。
【0015】
さらに、請求項4に記載の楽器ならば、少なくとも1本(1組)の共鳴管で構成することが可能となる。また、このように外管と内管とを組み合わせて構成した共鳴管を数本(数組)設ければ和音を奏でることも可能となる。さらには、気柱長さの異なる共鳴管を組み合わせれば音階を低周波数から高周波数の音域までさらに広げることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1〜図5に本発明の一実施形態を示す。本発明にかかる楽器1は、単数、または平行もしくはこれに準じた形で配置される複数の共鳴管2と、該共鳴管2の内部の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように各共鳴管2内に所定量ずつ収められている液体3と、共鳴管2内の液体3に向けて共鳴音発生用流体4を噴出するノズル装置5と、共鳴管2の下側から香りを有する気体を供給して気泡7を発生させる芳香性気体供給装置6とを備えているものである(図1参照)。共鳴管2の下側から香りを有する気体が供給されることによって発生した気泡7は、液体3を上昇し、水面3aに到達したとき崩壊することによって周囲に香りを放つ。
【0018】
共鳴管2には上端と下端のそれぞれが開口している筒状の開管が利用されている(図1参照)。なお、図1等においては共鳴管2が開管であることを解りやすく示すため実際には図面上に表れる線を一部省略している(図1等参照)。また本実施形態における共鳴管2は、下端側の開口縁が外側に開いた裾広がりの形状となっており、芳香性気体が管内に導入されやすくなるようになっている(図1参照)。また、共鳴管2は複数の管が平行にまたはこれに準じた形で配置されることによって構成されている。ここでいう「平行に準じた形」というのは、厳密な意味では平行ではないが平行とほぼ同様の状態となっているものをいう。具体的には、管長および曲率の異なる複数の曲管を並べて配置したような場合が該当する。これら共鳴管2の本数に関しては、楽器1として必要とする音階の数と同数ということになる。また、これら共鳴管2としてガラス管やアクリル管を用いて透明ないしは半透明にすると、管内の気泡の動きおよび気泡が崩壊する様子を観察することが可能となり、視覚的にも楽しめる構造となる。さらに、共鳴管2ごとに異なったLED等を取り付けて光らせると更に気泡の色も楽しめるようになる。
【0019】
これら複数の共鳴管2の内部には液体3が収められた状態となっている。例えば本実施形態の場合であれば、容器15に液体(例えば水)3を張っておき、この液体3に共鳴管2の下部の一部を浸漬させた状態で保持している(図1参照)。こうした場合の各共鳴管2は、その下部側の一部に液体3が収まった状態となっている。また、この場合は液面から各共鳴管2の上部開口端までの気柱の長さLk(k=1,2,3,…,n)によって共鳴音つまり音階が定まることになるから、各共鳴管2は所望の気柱長さLkが得られる高さに配置されている。したがって、この共鳴管2中の液面3aに共鳴音発生用流体4が衝突すると各音階の音(共鳴音)が発生することになる。
【0020】
ここで、気柱共振を利用した共鳴音の周波数を数式で表すと次の数式1のようになる。
[数1]
f=m・a0/(4・(L+ΔL))
但し、m=1,3,5,… :モード数
a0=340(m/s) :音速
L:気柱長さ
ΔL=0.6×(d2/2)
d2:共鳴管2の内径
【0021】
すなわち、気柱長さLを変更することにより共鳴音の周波数fを調整することができる。このため、共鳴管2内の液体3の液位を相対的に変更すれば楽器1から発せられる音の高さを調整でき、例えばパイプオルガンのように共鳴管の固定された底部を移動させる必要はない。したがって気柱長さLないしは音階高さの調整作業が比較的容易である。しかも、気柱長さLを数値計算で容易に求めることができるので設計が容易になるという利点もある。
【0022】
なお、特に図示していないが、各共鳴管2の背面側には音響反射板が設置されている。この音響反射板は、各共鳴管2から背面側に発生する共鳴音を正面側に反射させるものであり、これによって楽器1の正面側に大きな音を発生させることができるようになる。
【0023】
ノズル装置5は、共鳴管2内の液面に向けて共鳴音発生用流体(以下、「ジェット水」ともいう)4を噴出するノズル5aと、このノズル5aを開閉する電磁弁5b等によって構成されている(図1参照)。電磁弁5bは電子制御可能なバルブで、いずれかの電磁弁5bを選択して開閉することにより対応する共鳴管2にジェット水4を噴出して共鳴音を生じさせることができるようになっている。このような電子制御可能なバルブを利用した場合には、例えばコンピュータやシーケンサ回路等を用いて自動演奏を行うことも可能となる。また、特に図示していないが、このノズル装置5の他、ジェット水4を貯めるタンク、このタンクに水(ジェット水)を供給する給水管、タンクの貯水量が一定量を越えた場合のその分を排水するための排水管などが併せて設けられている。このようなノズル装置5は、各共鳴管2毎に一対一で設置されている(図1参照)。以上のようなノズル装置5には、ノズル5aの先端から滴を自然落下させる(滴下させる)装置も含まれるが、本実施形態では電磁弁5bに接続された図示しないポンプ装置を利用し、ジェット水4を高圧噴出するようにしている。この場合、ポンプの圧力を調整することにことによりジェット水4の速度を変えて発生する音の強弱を変えることができる。
【0024】
各ノズル5aの開放時間は、発生させる共鳴音の長さに応じ、また音の強さなど他の要素も加味して適宜変えることができる。例えば、短い共鳴音を発生させる場合にはこの開放時間を一例として0.5秒ないし1秒程度の短い間隔に設定すればよく、この場合のジェット水4は滴のような状態で噴出されることになる。また、長い共鳴音を発生させる場合には開放時間をもっと長くすればよく、この場合のジェット水4は液流のような状態で噴出されることになる。
【0025】
芳香性気体供給装置6は、共鳴管2の下部開口端側から香りを有する気体(以下「香気」とも表現し、図1中においては符号11で表す)を供給して気泡7を発生させるために設置されている装置であり、例えば本実施形態の装置は、空気12を供給するノズル10と、香気11を供給して空気12に香りを付加するための香り供給管13と、香気11が混合した空気12を送り出す空気管8と、この空気管8から送り出された空気12および香気11を気泡7の状態で共鳴管2の下側開口端に導く供給管9と、ノズル10および供給管9の間に設置された空気弁14とを備えた構成となっている(図1参照)。また、特に図示していないがこのような構成の他にも送風機あるいは圧縮機を備えている。
【0026】
ここで芳香性気体供給装置6による動作について説明すると、まず送風機あるいは圧縮機を利用して空気12をノズル10へと供給し、このノズル10から空気管8へと空気12を送り込むようにする。この際、ジェット水4のような流れが形成されることにより空気管8の内部が負圧となり、香り供給管13の開口部から香気11がジェット水4の周囲の負圧によって吸い込まれるようになり、空気12とこの香気11とが混合する(図1参照)。この際、空気弁14を開いておけば香気11が混合したこの空気12を連続的に供給管9側へと送り込むことができるし、空気弁14を適宜開閉することによって気泡7の供給量や供給タイミングを制御することもできる。空気弁14を通過した後、香気11が混合した空気12は液体(水)3で満たされた供給管9に送られ、ここで気泡7を形成する。当然、この気泡7中には香気(香り)も封じ込められた状態となっている。気泡7は浮力により上昇し、供給管9を出て共鳴管2に入り、水面3aで崩壊する。この時、水面3a上に香気(香り)11が放たれる。
【0027】
なお、本実施形態では上述したようにジェット水4の周囲の負圧を利用して空気12と香気11とを混合する構造としたがこれは一例に過ぎず、この他にも、例えばベンチュリー管の喉部での負圧を利用して混合させる等の構成としてもよい。あるいは、香り供給管13で香気11を供給する代わり、空気12の流路のいずれかに香気11を発する芳香性物質(香料)を設置しておき、ここに空気12を流して芳香性の気体となるような構成としてもよい。あるいは、遅くとも共鳴管2に供給される時点で香りを有していればいいという考え方からすれば、あらかじめ香りが付されている芳香性の気体をそのまま利用しても構わない。
【0028】
以上のような構成の楽器1においては、もちろん、空気12および香気11を送らない状態で、つまり気泡7を生じさせない状態で動作させることもできる。この場合には、ジェット水4が液面3aに衝突して気泡7ができ、「ぽちゃん」という気泡音が発生し、この気泡音が共鳴管2内で気柱共振を起こして共鳴音を発する。一方で、空気12および香気11を送り込みながらジェット水4を衝突させるようにした場合にはこれとは異なった気泡群が形成され、上記の場合とは異なった共鳴音が得られるようになる。さらにこの場合には、気泡7の崩壊とジェット水4の噴出との同期をとることも好ましい。より具体的には、水面3aにて気泡7が崩壊する瞬間あるいはその前後にジェット水4を当該気泡部分に衝突させることで通常とは異なる音色を生じさせることができる。また、音質が変わる上に香りも同時に放たれることになる。さらには、水面3aに気泡7を形成しておいてそこにジェット水4を勢いよく衝突させれば崩壊後の気泡7の形や大きさが異なってくることになり、気泡7から生じる音色が更に変わってくることになる。以上のように、気泡7の崩壊とジェット水4の噴出との同期をとった場合にはそれ以外の場合と異なる音色を生じさせることができ、例えば、楽器1の動作途中で意図的に音色を変えることも可能となる。
【0029】
ここで、気泡7の崩壊とジェット水4の噴出との同期をとる手法の一例としてはセンサによるセンシングを挙げることができる。具体的には、例えば共鳴管2の出口(上側開口端)付近に圧力センサ(図示省略)を設置しておき、共鳴管2に気泡7を生じさせたときこの圧力センサで感知して信号をフィードバックする。この信号に基づき、気泡7が液面3aに達する時間を考慮して電磁弁5bおよび空気弁14を開放することによりジェット水4を制御する。
【0030】
あるいはフィードバック以外の制御とすることもできる。例えば、空気弁14を開放してから気泡7が水面3aに到達するまでの時間、およびノズル5aで噴出したジェット水4が水面3aに到達するまでの時間をデータとして事前に用意しておき、このデータに基づき電磁弁5bおよび空気弁14を動作させるというようなプログラム制御あるいはこれに基づくシーケンス制御を行うことも可能である。このように気泡7が発生してから崩壊するまでに要する時間と、ジェット水4が水面3aに到達するまでの時間を事前に求めておけば、電磁弁5bと空気弁14の一方を開放した後、所定時間遅らせてもう一方の弁を開放すれば水面3a付近で気泡7とジェット水4との同期をとることができる。この場合、気泡7は必ずしも厳密に水面3aに到達している必要はなく、例えば水面3a付近にありさえすれば上部からジェット水4が衝突することによって崩壊し、音と香りを放つことができる。また、この場合には、
・供給管9の管長を短くする
・供給管9の上部開口端から水面3aまでの距離を短くする(例えば数mm〜数cm程度)
・供給管9の上部開口端と共鳴管2との間隔を狭める
等の条件をできるだけ採り入れることが好ましい。これらの条件を満たすようにすれば気泡7が発生してから水面3aに到達するまでの時間にばらつきが少なくなり、同期をとりやすくなる。また、空気の圧力が変わると気泡7の上昇スピードも変わるので、気泡7を発生させる供給管9の圧力を一定に保つようにする。
【0031】
以上のように、異なる長さの共鳴管2を複数本設け、尚かつ各共鳴管2と対となるノズル装置5を共鳴管2と同数だけ設けてジェット水4の噴出をコンピュータやシーケンサ等で制御することにより、希望する音楽を演奏することが可能となる。このとき、共鳴管2から周囲に響く音は、水面3aにて発生するジェット水4の衝突音、あるいは気泡7により発生する気泡音を音源とするものであり、これらの音が共鳴管2内で気柱共振を起こして大きな共鳴音を発する。
【0032】
また、この共鳴音の音質と音階は共鳴管2中の水面3aから上部開口端までの距離すなわち気柱長さLkに影響を受ける。あるいは、気柱長さLkは変えることなく水中に浸されている管の長さを徐々に長くしても音質と音階を変えることができる。水中に浸されている管長によって気泡7の形成ないし上昇の様子が変わるためであり、例えばこの管長を長くすると音圧スペクトルのピークが低周波数側にシフトして音色が低くなる。
【0033】
ここで、水面から上部がなく水面下のみに配置された共鳴管2に液を落下させた場合の様子を参考までに簡単に説明しておく(図2〜図5参照)。水面3a下の管長さが長くなるにつれ、ジェット水4の衝突時にできる凹状の気柱部(凹部の底部分3cから頂上部3bまでの部分)の高さが高くなる(図3参照)。ここで気柱部における音質を近似的に考える手法の一つとして、ジェット水4の衝突時にできる気柱部を円柱形状に置き換えるというものがある(図4参照)。例えば、ジェット水4の通過領域を底面積とし、尚かつ上述した底部分3cから頂上部3bまでの高さを高さとした円柱に近似して音質を考えることができる(図5参照)。この場合、ジェット水4の最大直径と円柱直径とがほぼ一致することになる。発生音源の音は、気泡の振動のみならず、この気柱長さによっても左右される。この場合、気柱長さが長くなるにつれてこの音源から発生する音は低周波数側にシフトすることになる。ただし、水面下の長さが30mmを超えると音のシフトはない。すなわち、水中長さが30mm以下の範囲内に限って長さが長くなるとともに音色が低くなる。これら水面下の管に水面上の共鳴部を取り付けると、共鳴周波数は水面から共鳴管2の開口端部までの長さ(気柱長さLk)に依存することになるので、発生する音の共鳴周波数に変わりはないが、音源の音が変わるので全体的な音圧レベルにわずかに影響を及ぼすことになる。
【0034】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した実施形態においては、複数の共鳴管2のそれぞれに供給管9を配するという構成としたが、これは好適な一例であって他の態様、例えば横向きに配置した1本の供給管9によって空気12や香気11を供給することも可能である。すなわち、図6に示すように、共鳴管2の下部開口端に対応して複数の空気孔9aを設けた横向きの供給管9を利用すれば、単一の供給管9によって空気12と香気11を同時に供給することができる(図6参照)。あるいは、共鳴管2の下部開口端に対応する位置以外にも空気孔9aを設けることができる。こうした場合、気泡7の崩壊・振動によるブクブク音が聞こえるようになり、これらブクブク音と、ジェット水4が液面3aに到達したときに発生する共鳴音とが一緒に聞こえるように融合させることが可能となる。
【0035】
また、本実施形態では蓋のない開放容器15に複数本の共鳴管2を配置して楽器1を構成したが、蓋付きの密閉容器15’を利用することもできる(図7参照)。こうした場合、液体3が揺れるといった影響を受けにくいという利点がある。この場合、共鳴管2の管長のうち液体3に沈んでいる部分の長さAは0mm(A=0)でもかまわない。また、図示するように容器15’の側面に設けられた連通管16およびこの連通管16の上部に設けられた液体3の貯液部17を利用すれば、貯液部17内の貯液量を変えることによって各共鳴管2内における液面3aの液位を変えることができる。
【0036】
また、共鳴管2の下部から香りを有する気体を供給するにあたり、上述した実施形態においては香気11と空気12を混合して供給することとしていたが、これも好適な実施の一例に過ぎない。上述のようにあらかじめ香りが付加された気体を供給してもよい。また、空気12以外の気体を利用してもよい。例えば、気体に希ガス等を利用することによって空気12の場合とは異なる周波数の音色を生じさせることも可能となる。
【0037】
また、ここまでは共鳴管2を直立させた構成の楽器1について説明してきたが、このように直立した場合に限られることはなく、例えば鉛直軸に対して角度θだけ傾斜させることもできる(図8参照)。こうした場合、ノズル装置5によるジェット水4の噴出速度、噴出角度、噴出位置、さらに気柱長さLなどは少なくとも噴出されたジェット水4が液面3aに到達できるように設定されている必要がある(図8参照)。ジェット水4が液面3aに到達した場合、共鳴管2の気柱長さLに応じた周波数の共鳴音が発生する。なお、このような楽器1においてはジェット水4が水面3aに斜めに衝突しているので、鉛直に衝突する場合と比べると音源の音(音圧スペクトル)が変わる。すなわち、共鳴管2の出口から放射される音は音源の音と共鳴管2の共鳴音に左右されるので、共鳴管2の出口から放射される音圧スペクトルが変化することになる。
【0038】
あるいは、図8に示したような傾斜した直管以外として、曲管を共鳴管2として利用することもできる(図9参照)。具体例を挙げると、例えばビニールチューブ等を利用してこのような曲管を構成してもよい。この場合にも、ノズル装置5によるジェット水4の噴出速度、噴出角度、噴出位置、さらに気柱長さLなどは少なくとも噴出されたジェット水4が液面3aに到達できるように設定されている必要があることは上述の場合と同様である(図9参照)。つまり、ジェット水4の軌跡が共鳴管2の内面に接触しないようになっている必要がある。このような楽器1においては共鳴管2の形状に合わせてジェット水4が斜めに飛ぶことになり、あたかも噴水が上がっているような雰囲気をかもし出ことができる。特に、図10に示すように複数の曲管で共鳴管2を構成した場合にはさらに雰囲気作りしやすい構成となる。なお、複数の曲管群を利用する場合において複数の音階を生じさせるには、各々の共鳴管2の長さ(気柱長さL)を異ならせる必要が生じる。この場合の一例としては、各曲管の曲率を異ならせることによって気柱長さLを異ならせることが考えられる。こうした場合、各曲管は平行あるいはこれに準じた形で配置されることになる(図10参照)。
【0039】
また、ここまで説明した実施形態では、共鳴管2から生じる共鳴音の音色を変化させる手法として気泡7の崩壊とジェット水4の噴出との同期をとる場合について説明したが、音色を変化させる手法はこれには限られない。一例として、液体3を流動させることによって音色を変化させるという手法も採用可能である。これは、液体3を流動することにより揺れた液体3の一部が共鳴管2に衝突することになり、あるいは別個に設けられた障害物(例えば石や突起など)に衝突することになり、場合によってはさらに水跳ねが生じ、これらによって生じる気泡群が崩壊することにより、液体3が静止していたときの音源とは異なった音源が作り出されることになる。この場合、液面3aが揺れることによって液位が変化するが、共鳴管2の内部まで大きな影響を受けることはなく、共鳴管2内の液面が大きく変化するようなことはない。このような楽器1においては、上述した楽器1とは異なる音質の音が発生することになる。本実施形態では特に図示していないが、このように流体3を流動させるための装置としてはモータを駆動源として液体3を周期的に揺らす波動装置等が考えられる。
【0040】
さらには、気柱長さLが可変の共鳴管2によって楽器1を構成することもできる。図11にその一例を示す。ここに示す共鳴管2は外管2aと内管2bとが相対スライド可能な二重管構造であり、管長を自在に変化させることによって気柱長さLを変えることができるというものである。例えば図11においては固定的な内管2bに対し外管2aを上下にスライドさせる構造としている。具体的には、この外管2aの外周には突起18が設けられ、この突起18に環状や矩形状など、スライド軸20の形状に合わせて形成されたスライダ19が設けられている。スライド軸20は、共鳴管2の中心軸と平行(この実施形態であれば鉛直)に設置されている。ここでは特に図示していないが、スライダ19には駆動源であるモータおよびコンピュータが接続され、高速移動が可能なリニアスライダを構成している。外管2aの下端付近には両管2a,2b間の隙間を塞ぐシール21が設けられている。
【0041】
このような楽器1の動作について簡単に説明すると、コンピュータから送られた信号が電磁弁5b、空気弁14、モータ(図示省略)に送信される。これに応じてノズル5aがジェット水4を噴出し、その瞬間にモータも作動して外管2aを所定の音階を発する所定位置までスライドさせる。ちなみに、コンピュータからモータヘの信号は電磁弁5bへの信号と同時にあるいはそれより若干早く送られる。また、次の音階に対応した信号が続けざまに送信され、これに対応して電磁弁5b、空気弁14、モータが引き続き動作する。以上の動作を繰り返して音楽が奏でられる。
【0042】
以上のような可動式の楽器1によれば共鳴管2が1本で済むという利点がある。すなわち、非可動式の楽器1においては例えば1オクターブの音階(半音を含む)を発生させるには少なくとも13本の共鳴管2を要していたが、上述のように外管2aをスライドさせるだけで1本(1組)の管で足りるようになる。また、このように外管2aと内管2bとを組み合わせて構成した共鳴管2を数本(数組)設ければ和音を奏でることも可能となる。さらには、気柱長さLの異なる共鳴管2を組み合わせれば、音階を低周波数から高周波数の音域までさらに広げることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明にかかる楽器の一実施形態を示す図であり、正面からみた場合の構成の概略を表したものである。
【図2】水面から上部がなく水面下のみに配置された共鳴管内にジェット水が衝突する瞬間の様子を示す図である。
【図3】ジェット水の衝突時にできる凹状の気柱部の形状を示す図である。
【図4】ジェット水の衝突時にできる気柱部を円柱形状に置き換える考え方を示す図である。
【図5】近似された円柱の直径と高さを示す図である。
【図6】共鳴管に対して横向きの供給管を利用する構成とした楽器の構成を示す図である。
【図7】蓋付きの密閉容器を利用した楽器の構成を示す図である。
【図8】鉛直軸に対して共鳴管を傾斜させた楽器の構成を示す図である。
【図9】曲管を共鳴管として利用した楽器の構成を示す図である。
【図10】複数の曲管で共鳴管を構成した楽器の構成を示す図である。
【図11】外管と内管とが相対スライド可能な二重管構造の楽器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 楽器
2 共鳴管
2a 外管
2b 内管
3 液体
4 ジェット水(共鳴音発生用流体)
5 ノズル装置
6 芳香性気体供給装置
7 気泡
L 気柱長さ
【技術分野】
【0001】
本発明は楽器に関する。さらに詳述すると、本発明は共鳴管内の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように構成された楽器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプオルガンは、複数の共鳴管を用意して共鳴音が音階となるように気柱長さを設定しておき、演奏時には共鳴管に空気を送り込んで気柱共振を起こすようにした楽器のとしては例えばパイプオルガンがある。また、他にも、気柱共振による共鳴音を利用した楽器として、各共鳴管の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように液体を貯めた複数の共鳴管を用意しておき、この共鳴管中に共鳴音発生用の液体を垂らして気柱共振音を生じさせるようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3460670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の水の楽器は共鳴管が立ち並び、各共鳴管に水滴を噴出ないしは垂下させることによって美しい音色を響かせるというものではあるが、これのみの構成にとどまらない斬新で新たな付加価値を提供しうる楽器があれば需要者の選択の幅も広がることになる。
【0005】
本発明は、気柱共振の共鳴音を利用して独特な音色を発することに加えて更なる機能を付加した楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者はかかる付加機能の内容とそのための構成について検討した。従来の楽器によれば共鳴管に共鳴音発生用の液体を垂らすことによって共鳴音を生じさせ、美しい音色を奏でることができる。したがって、このような特有の作用効果を損なうことなく別の機能を付加しうる技術について検討し、新たな知見を得るに至った。
【0007】
本発明はかかる知見に基づくものであり、請求項1に記載の発明の楽器は、単数、または平行もしくはこれに準じた形で配置される複数の共鳴管と、該共鳴管内部の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように各共鳴管内に所定量ずつ収められている液体と、共鳴管内の液体に向けて共鳴音発生用流体を噴出するノズル装置と、共鳴管の下側から香りを有する気体を供給して気泡を発生させる芳香性気体供給装置とを備えるというものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の楽器において、共鳴管の下側から供給される気体の気泡が液体の液面で崩壊するタイミングと、共鳴音発生用流体が液体の液面に衝突するタイミングの同期をとる制御装置を備えているというものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の楽器において、液体を流動させて気泡群を生じさせる液体流動装置を備え、当該気泡群が崩壊することにより液体が流動していない場合とは異なった音質の音を発生させるというものである。
【0010】
さらに請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかひとつに記載の楽器において、共鳴管は相対スライド可能な内管と外管とからなる二重構造であり、スライダおよび制御装置によって所定の気柱長さLが得られるように内管と外管とを相対スライドさせることによって所定の音階の音を発生させるというものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の楽器によれば、共鳴音発生用流体を噴出して液面に衝突させることにより気泡を生じさせ、この気泡によって「ぽちゃん」というような音(本明細書ではこの音を「気泡音」と呼ぶ)が発生する。この気泡音は、共鳴管内で気柱共振を起こして大きな共鳴音を生じさせる。このようにして共鳴管から発せられる音は、基礎的な周波数の音(1次モード、m1)と、その高調波音(例えば2次モード、m2)と、気泡音とが入り交じった複雑で独特のものになる。また、水どうしが衝突して発生する音は静けさや心の安らぎを感じることができる癒しの効果を有するものであり、本発明に係る楽器は、このような安らぎのある音を利用することでこれと同様の効果を得ることができ、いわば水琴窟のようでもある。よって、単調な共鳴音を発するパイプオルガンとは異なり、音を聴くだけでも心地良くなれるような音楽を奏でることができる。
【0012】
しかも、本発明に係る楽器は、水面下に沈んだ部分の共鳴管の下部から香りを伴う気泡を発生させる構成となっていることから、気泡が水面に到達して崩壊したとき、共鳴音が生じると同時に香りを放つことになる。したがってこの楽器は、美しい音色を奏でることができるという特有の作用効果を損なうことなく、これと同時に香りを放つこともできるという斬新で新たな付加価値を有するものである。この場合、香りを放つだけであれば種々の方法を採りうるが、本発明においては気泡の中に香りを閉じ込め、それを水面にて崩壊させるという点が特徴的であり、例えば個々の共鳴管に異なった香りを入れて放つことも可能である。
【0013】
また、請求項2に記載の楽器によれば、水面にて気泡が崩壊する瞬間あるいはその前後に共鳴音発生用流体を当該気泡部分に衝突させることで通常とは異なる音色を生じさせることができる。また、音質が変わる上に香りも同時に放たれることになる。さらには、水面に気泡を形成しておいてそこに共鳴音発生用流体を勢いよく衝突させれば崩壊後の気泡の形や大きさが異なってくることになり、気泡から生じる音色が更に変わってくる。
【0014】
請求項3に記載の楽器によれば、揺れた液体3の一部を例えば共鳴管など衝突させ、場合によっては水跳ねを生じさせ、これらによって気泡群を生じさせることが可能となる。これら気泡群は、崩壊する際、液体が静止していたときとは異なった音源を作り出し、異なる音質の音を発生させることが可能となる。
【0015】
さらに、請求項4に記載の楽器ならば、少なくとも1本(1組)の共鳴管で構成することが可能となる。また、このように外管と内管とを組み合わせて構成した共鳴管を数本(数組)設ければ和音を奏でることも可能となる。さらには、気柱長さの異なる共鳴管を組み合わせれば音階を低周波数から高周波数の音域までさらに広げることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1〜図5に本発明の一実施形態を示す。本発明にかかる楽器1は、単数、または平行もしくはこれに準じた形で配置される複数の共鳴管2と、該共鳴管2の内部の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように各共鳴管2内に所定量ずつ収められている液体3と、共鳴管2内の液体3に向けて共鳴音発生用流体4を噴出するノズル装置5と、共鳴管2の下側から香りを有する気体を供給して気泡7を発生させる芳香性気体供給装置6とを備えているものである(図1参照)。共鳴管2の下側から香りを有する気体が供給されることによって発生した気泡7は、液体3を上昇し、水面3aに到達したとき崩壊することによって周囲に香りを放つ。
【0018】
共鳴管2には上端と下端のそれぞれが開口している筒状の開管が利用されている(図1参照)。なお、図1等においては共鳴管2が開管であることを解りやすく示すため実際には図面上に表れる線を一部省略している(図1等参照)。また本実施形態における共鳴管2は、下端側の開口縁が外側に開いた裾広がりの形状となっており、芳香性気体が管内に導入されやすくなるようになっている(図1参照)。また、共鳴管2は複数の管が平行にまたはこれに準じた形で配置されることによって構成されている。ここでいう「平行に準じた形」というのは、厳密な意味では平行ではないが平行とほぼ同様の状態となっているものをいう。具体的には、管長および曲率の異なる複数の曲管を並べて配置したような場合が該当する。これら共鳴管2の本数に関しては、楽器1として必要とする音階の数と同数ということになる。また、これら共鳴管2としてガラス管やアクリル管を用いて透明ないしは半透明にすると、管内の気泡の動きおよび気泡が崩壊する様子を観察することが可能となり、視覚的にも楽しめる構造となる。さらに、共鳴管2ごとに異なったLED等を取り付けて光らせると更に気泡の色も楽しめるようになる。
【0019】
これら複数の共鳴管2の内部には液体3が収められた状態となっている。例えば本実施形態の場合であれば、容器15に液体(例えば水)3を張っておき、この液体3に共鳴管2の下部の一部を浸漬させた状態で保持している(図1参照)。こうした場合の各共鳴管2は、その下部側の一部に液体3が収まった状態となっている。また、この場合は液面から各共鳴管2の上部開口端までの気柱の長さLk(k=1,2,3,…,n)によって共鳴音つまり音階が定まることになるから、各共鳴管2は所望の気柱長さLkが得られる高さに配置されている。したがって、この共鳴管2中の液面3aに共鳴音発生用流体4が衝突すると各音階の音(共鳴音)が発生することになる。
【0020】
ここで、気柱共振を利用した共鳴音の周波数を数式で表すと次の数式1のようになる。
[数1]
f=m・a0/(4・(L+ΔL))
但し、m=1,3,5,… :モード数
a0=340(m/s) :音速
L:気柱長さ
ΔL=0.6×(d2/2)
d2:共鳴管2の内径
【0021】
すなわち、気柱長さLを変更することにより共鳴音の周波数fを調整することができる。このため、共鳴管2内の液体3の液位を相対的に変更すれば楽器1から発せられる音の高さを調整でき、例えばパイプオルガンのように共鳴管の固定された底部を移動させる必要はない。したがって気柱長さLないしは音階高さの調整作業が比較的容易である。しかも、気柱長さLを数値計算で容易に求めることができるので設計が容易になるという利点もある。
【0022】
なお、特に図示していないが、各共鳴管2の背面側には音響反射板が設置されている。この音響反射板は、各共鳴管2から背面側に発生する共鳴音を正面側に反射させるものであり、これによって楽器1の正面側に大きな音を発生させることができるようになる。
【0023】
ノズル装置5は、共鳴管2内の液面に向けて共鳴音発生用流体(以下、「ジェット水」ともいう)4を噴出するノズル5aと、このノズル5aを開閉する電磁弁5b等によって構成されている(図1参照)。電磁弁5bは電子制御可能なバルブで、いずれかの電磁弁5bを選択して開閉することにより対応する共鳴管2にジェット水4を噴出して共鳴音を生じさせることができるようになっている。このような電子制御可能なバルブを利用した場合には、例えばコンピュータやシーケンサ回路等を用いて自動演奏を行うことも可能となる。また、特に図示していないが、このノズル装置5の他、ジェット水4を貯めるタンク、このタンクに水(ジェット水)を供給する給水管、タンクの貯水量が一定量を越えた場合のその分を排水するための排水管などが併せて設けられている。このようなノズル装置5は、各共鳴管2毎に一対一で設置されている(図1参照)。以上のようなノズル装置5には、ノズル5aの先端から滴を自然落下させる(滴下させる)装置も含まれるが、本実施形態では電磁弁5bに接続された図示しないポンプ装置を利用し、ジェット水4を高圧噴出するようにしている。この場合、ポンプの圧力を調整することにことによりジェット水4の速度を変えて発生する音の強弱を変えることができる。
【0024】
各ノズル5aの開放時間は、発生させる共鳴音の長さに応じ、また音の強さなど他の要素も加味して適宜変えることができる。例えば、短い共鳴音を発生させる場合にはこの開放時間を一例として0.5秒ないし1秒程度の短い間隔に設定すればよく、この場合のジェット水4は滴のような状態で噴出されることになる。また、長い共鳴音を発生させる場合には開放時間をもっと長くすればよく、この場合のジェット水4は液流のような状態で噴出されることになる。
【0025】
芳香性気体供給装置6は、共鳴管2の下部開口端側から香りを有する気体(以下「香気」とも表現し、図1中においては符号11で表す)を供給して気泡7を発生させるために設置されている装置であり、例えば本実施形態の装置は、空気12を供給するノズル10と、香気11を供給して空気12に香りを付加するための香り供給管13と、香気11が混合した空気12を送り出す空気管8と、この空気管8から送り出された空気12および香気11を気泡7の状態で共鳴管2の下側開口端に導く供給管9と、ノズル10および供給管9の間に設置された空気弁14とを備えた構成となっている(図1参照)。また、特に図示していないがこのような構成の他にも送風機あるいは圧縮機を備えている。
【0026】
ここで芳香性気体供給装置6による動作について説明すると、まず送風機あるいは圧縮機を利用して空気12をノズル10へと供給し、このノズル10から空気管8へと空気12を送り込むようにする。この際、ジェット水4のような流れが形成されることにより空気管8の内部が負圧となり、香り供給管13の開口部から香気11がジェット水4の周囲の負圧によって吸い込まれるようになり、空気12とこの香気11とが混合する(図1参照)。この際、空気弁14を開いておけば香気11が混合したこの空気12を連続的に供給管9側へと送り込むことができるし、空気弁14を適宜開閉することによって気泡7の供給量や供給タイミングを制御することもできる。空気弁14を通過した後、香気11が混合した空気12は液体(水)3で満たされた供給管9に送られ、ここで気泡7を形成する。当然、この気泡7中には香気(香り)も封じ込められた状態となっている。気泡7は浮力により上昇し、供給管9を出て共鳴管2に入り、水面3aで崩壊する。この時、水面3a上に香気(香り)11が放たれる。
【0027】
なお、本実施形態では上述したようにジェット水4の周囲の負圧を利用して空気12と香気11とを混合する構造としたがこれは一例に過ぎず、この他にも、例えばベンチュリー管の喉部での負圧を利用して混合させる等の構成としてもよい。あるいは、香り供給管13で香気11を供給する代わり、空気12の流路のいずれかに香気11を発する芳香性物質(香料)を設置しておき、ここに空気12を流して芳香性の気体となるような構成としてもよい。あるいは、遅くとも共鳴管2に供給される時点で香りを有していればいいという考え方からすれば、あらかじめ香りが付されている芳香性の気体をそのまま利用しても構わない。
【0028】
以上のような構成の楽器1においては、もちろん、空気12および香気11を送らない状態で、つまり気泡7を生じさせない状態で動作させることもできる。この場合には、ジェット水4が液面3aに衝突して気泡7ができ、「ぽちゃん」という気泡音が発生し、この気泡音が共鳴管2内で気柱共振を起こして共鳴音を発する。一方で、空気12および香気11を送り込みながらジェット水4を衝突させるようにした場合にはこれとは異なった気泡群が形成され、上記の場合とは異なった共鳴音が得られるようになる。さらにこの場合には、気泡7の崩壊とジェット水4の噴出との同期をとることも好ましい。より具体的には、水面3aにて気泡7が崩壊する瞬間あるいはその前後にジェット水4を当該気泡部分に衝突させることで通常とは異なる音色を生じさせることができる。また、音質が変わる上に香りも同時に放たれることになる。さらには、水面3aに気泡7を形成しておいてそこにジェット水4を勢いよく衝突させれば崩壊後の気泡7の形や大きさが異なってくることになり、気泡7から生じる音色が更に変わってくることになる。以上のように、気泡7の崩壊とジェット水4の噴出との同期をとった場合にはそれ以外の場合と異なる音色を生じさせることができ、例えば、楽器1の動作途中で意図的に音色を変えることも可能となる。
【0029】
ここで、気泡7の崩壊とジェット水4の噴出との同期をとる手法の一例としてはセンサによるセンシングを挙げることができる。具体的には、例えば共鳴管2の出口(上側開口端)付近に圧力センサ(図示省略)を設置しておき、共鳴管2に気泡7を生じさせたときこの圧力センサで感知して信号をフィードバックする。この信号に基づき、気泡7が液面3aに達する時間を考慮して電磁弁5bおよび空気弁14を開放することによりジェット水4を制御する。
【0030】
あるいはフィードバック以外の制御とすることもできる。例えば、空気弁14を開放してから気泡7が水面3aに到達するまでの時間、およびノズル5aで噴出したジェット水4が水面3aに到達するまでの時間をデータとして事前に用意しておき、このデータに基づき電磁弁5bおよび空気弁14を動作させるというようなプログラム制御あるいはこれに基づくシーケンス制御を行うことも可能である。このように気泡7が発生してから崩壊するまでに要する時間と、ジェット水4が水面3aに到達するまでの時間を事前に求めておけば、電磁弁5bと空気弁14の一方を開放した後、所定時間遅らせてもう一方の弁を開放すれば水面3a付近で気泡7とジェット水4との同期をとることができる。この場合、気泡7は必ずしも厳密に水面3aに到達している必要はなく、例えば水面3a付近にありさえすれば上部からジェット水4が衝突することによって崩壊し、音と香りを放つことができる。また、この場合には、
・供給管9の管長を短くする
・供給管9の上部開口端から水面3aまでの距離を短くする(例えば数mm〜数cm程度)
・供給管9の上部開口端と共鳴管2との間隔を狭める
等の条件をできるだけ採り入れることが好ましい。これらの条件を満たすようにすれば気泡7が発生してから水面3aに到達するまでの時間にばらつきが少なくなり、同期をとりやすくなる。また、空気の圧力が変わると気泡7の上昇スピードも変わるので、気泡7を発生させる供給管9の圧力を一定に保つようにする。
【0031】
以上のように、異なる長さの共鳴管2を複数本設け、尚かつ各共鳴管2と対となるノズル装置5を共鳴管2と同数だけ設けてジェット水4の噴出をコンピュータやシーケンサ等で制御することにより、希望する音楽を演奏することが可能となる。このとき、共鳴管2から周囲に響く音は、水面3aにて発生するジェット水4の衝突音、あるいは気泡7により発生する気泡音を音源とするものであり、これらの音が共鳴管2内で気柱共振を起こして大きな共鳴音を発する。
【0032】
また、この共鳴音の音質と音階は共鳴管2中の水面3aから上部開口端までの距離すなわち気柱長さLkに影響を受ける。あるいは、気柱長さLkは変えることなく水中に浸されている管の長さを徐々に長くしても音質と音階を変えることができる。水中に浸されている管長によって気泡7の形成ないし上昇の様子が変わるためであり、例えばこの管長を長くすると音圧スペクトルのピークが低周波数側にシフトして音色が低くなる。
【0033】
ここで、水面から上部がなく水面下のみに配置された共鳴管2に液を落下させた場合の様子を参考までに簡単に説明しておく(図2〜図5参照)。水面3a下の管長さが長くなるにつれ、ジェット水4の衝突時にできる凹状の気柱部(凹部の底部分3cから頂上部3bまでの部分)の高さが高くなる(図3参照)。ここで気柱部における音質を近似的に考える手法の一つとして、ジェット水4の衝突時にできる気柱部を円柱形状に置き換えるというものがある(図4参照)。例えば、ジェット水4の通過領域を底面積とし、尚かつ上述した底部分3cから頂上部3bまでの高さを高さとした円柱に近似して音質を考えることができる(図5参照)。この場合、ジェット水4の最大直径と円柱直径とがほぼ一致することになる。発生音源の音は、気泡の振動のみならず、この気柱長さによっても左右される。この場合、気柱長さが長くなるにつれてこの音源から発生する音は低周波数側にシフトすることになる。ただし、水面下の長さが30mmを超えると音のシフトはない。すなわち、水中長さが30mm以下の範囲内に限って長さが長くなるとともに音色が低くなる。これら水面下の管に水面上の共鳴部を取り付けると、共鳴周波数は水面から共鳴管2の開口端部までの長さ(気柱長さLk)に依存することになるので、発生する音の共鳴周波数に変わりはないが、音源の音が変わるので全体的な音圧レベルにわずかに影響を及ぼすことになる。
【0034】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば上述した実施形態においては、複数の共鳴管2のそれぞれに供給管9を配するという構成としたが、これは好適な一例であって他の態様、例えば横向きに配置した1本の供給管9によって空気12や香気11を供給することも可能である。すなわち、図6に示すように、共鳴管2の下部開口端に対応して複数の空気孔9aを設けた横向きの供給管9を利用すれば、単一の供給管9によって空気12と香気11を同時に供給することができる(図6参照)。あるいは、共鳴管2の下部開口端に対応する位置以外にも空気孔9aを設けることができる。こうした場合、気泡7の崩壊・振動によるブクブク音が聞こえるようになり、これらブクブク音と、ジェット水4が液面3aに到達したときに発生する共鳴音とが一緒に聞こえるように融合させることが可能となる。
【0035】
また、本実施形態では蓋のない開放容器15に複数本の共鳴管2を配置して楽器1を構成したが、蓋付きの密閉容器15’を利用することもできる(図7参照)。こうした場合、液体3が揺れるといった影響を受けにくいという利点がある。この場合、共鳴管2の管長のうち液体3に沈んでいる部分の長さAは0mm(A=0)でもかまわない。また、図示するように容器15’の側面に設けられた連通管16およびこの連通管16の上部に設けられた液体3の貯液部17を利用すれば、貯液部17内の貯液量を変えることによって各共鳴管2内における液面3aの液位を変えることができる。
【0036】
また、共鳴管2の下部から香りを有する気体を供給するにあたり、上述した実施形態においては香気11と空気12を混合して供給することとしていたが、これも好適な実施の一例に過ぎない。上述のようにあらかじめ香りが付加された気体を供給してもよい。また、空気12以外の気体を利用してもよい。例えば、気体に希ガス等を利用することによって空気12の場合とは異なる周波数の音色を生じさせることも可能となる。
【0037】
また、ここまでは共鳴管2を直立させた構成の楽器1について説明してきたが、このように直立した場合に限られることはなく、例えば鉛直軸に対して角度θだけ傾斜させることもできる(図8参照)。こうした場合、ノズル装置5によるジェット水4の噴出速度、噴出角度、噴出位置、さらに気柱長さLなどは少なくとも噴出されたジェット水4が液面3aに到達できるように設定されている必要がある(図8参照)。ジェット水4が液面3aに到達した場合、共鳴管2の気柱長さLに応じた周波数の共鳴音が発生する。なお、このような楽器1においてはジェット水4が水面3aに斜めに衝突しているので、鉛直に衝突する場合と比べると音源の音(音圧スペクトル)が変わる。すなわち、共鳴管2の出口から放射される音は音源の音と共鳴管2の共鳴音に左右されるので、共鳴管2の出口から放射される音圧スペクトルが変化することになる。
【0038】
あるいは、図8に示したような傾斜した直管以外として、曲管を共鳴管2として利用することもできる(図9参照)。具体例を挙げると、例えばビニールチューブ等を利用してこのような曲管を構成してもよい。この場合にも、ノズル装置5によるジェット水4の噴出速度、噴出角度、噴出位置、さらに気柱長さLなどは少なくとも噴出されたジェット水4が液面3aに到達できるように設定されている必要があることは上述の場合と同様である(図9参照)。つまり、ジェット水4の軌跡が共鳴管2の内面に接触しないようになっている必要がある。このような楽器1においては共鳴管2の形状に合わせてジェット水4が斜めに飛ぶことになり、あたかも噴水が上がっているような雰囲気をかもし出ことができる。特に、図10に示すように複数の曲管で共鳴管2を構成した場合にはさらに雰囲気作りしやすい構成となる。なお、複数の曲管群を利用する場合において複数の音階を生じさせるには、各々の共鳴管2の長さ(気柱長さL)を異ならせる必要が生じる。この場合の一例としては、各曲管の曲率を異ならせることによって気柱長さLを異ならせることが考えられる。こうした場合、各曲管は平行あるいはこれに準じた形で配置されることになる(図10参照)。
【0039】
また、ここまで説明した実施形態では、共鳴管2から生じる共鳴音の音色を変化させる手法として気泡7の崩壊とジェット水4の噴出との同期をとる場合について説明したが、音色を変化させる手法はこれには限られない。一例として、液体3を流動させることによって音色を変化させるという手法も採用可能である。これは、液体3を流動することにより揺れた液体3の一部が共鳴管2に衝突することになり、あるいは別個に設けられた障害物(例えば石や突起など)に衝突することになり、場合によってはさらに水跳ねが生じ、これらによって生じる気泡群が崩壊することにより、液体3が静止していたときの音源とは異なった音源が作り出されることになる。この場合、液面3aが揺れることによって液位が変化するが、共鳴管2の内部まで大きな影響を受けることはなく、共鳴管2内の液面が大きく変化するようなことはない。このような楽器1においては、上述した楽器1とは異なる音質の音が発生することになる。本実施形態では特に図示していないが、このように流体3を流動させるための装置としてはモータを駆動源として液体3を周期的に揺らす波動装置等が考えられる。
【0040】
さらには、気柱長さLが可変の共鳴管2によって楽器1を構成することもできる。図11にその一例を示す。ここに示す共鳴管2は外管2aと内管2bとが相対スライド可能な二重管構造であり、管長を自在に変化させることによって気柱長さLを変えることができるというものである。例えば図11においては固定的な内管2bに対し外管2aを上下にスライドさせる構造としている。具体的には、この外管2aの外周には突起18が設けられ、この突起18に環状や矩形状など、スライド軸20の形状に合わせて形成されたスライダ19が設けられている。スライド軸20は、共鳴管2の中心軸と平行(この実施形態であれば鉛直)に設置されている。ここでは特に図示していないが、スライダ19には駆動源であるモータおよびコンピュータが接続され、高速移動が可能なリニアスライダを構成している。外管2aの下端付近には両管2a,2b間の隙間を塞ぐシール21が設けられている。
【0041】
このような楽器1の動作について簡単に説明すると、コンピュータから送られた信号が電磁弁5b、空気弁14、モータ(図示省略)に送信される。これに応じてノズル5aがジェット水4を噴出し、その瞬間にモータも作動して外管2aを所定の音階を発する所定位置までスライドさせる。ちなみに、コンピュータからモータヘの信号は電磁弁5bへの信号と同時にあるいはそれより若干早く送られる。また、次の音階に対応した信号が続けざまに送信され、これに対応して電磁弁5b、空気弁14、モータが引き続き動作する。以上の動作を繰り返して音楽が奏でられる。
【0042】
以上のような可動式の楽器1によれば共鳴管2が1本で済むという利点がある。すなわち、非可動式の楽器1においては例えば1オクターブの音階(半音を含む)を発生させるには少なくとも13本の共鳴管2を要していたが、上述のように外管2aをスライドさせるだけで1本(1組)の管で足りるようになる。また、このように外管2aと内管2bとを組み合わせて構成した共鳴管2を数本(数組)設ければ和音を奏でることも可能となる。さらには、気柱長さLの異なる共鳴管2を組み合わせれば、音階を低周波数から高周波数の音域までさらに広げることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明にかかる楽器の一実施形態を示す図であり、正面からみた場合の構成の概略を表したものである。
【図2】水面から上部がなく水面下のみに配置された共鳴管内にジェット水が衝突する瞬間の様子を示す図である。
【図3】ジェット水の衝突時にできる凹状の気柱部の形状を示す図である。
【図4】ジェット水の衝突時にできる気柱部を円柱形状に置き換える考え方を示す図である。
【図5】近似された円柱の直径と高さを示す図である。
【図6】共鳴管に対して横向きの供給管を利用する構成とした楽器の構成を示す図である。
【図7】蓋付きの密閉容器を利用した楽器の構成を示す図である。
【図8】鉛直軸に対して共鳴管を傾斜させた楽器の構成を示す図である。
【図9】曲管を共鳴管として利用した楽器の構成を示す図である。
【図10】複数の曲管で共鳴管を構成した楽器の構成を示す図である。
【図11】外管と内管とが相対スライド可能な二重管構造の楽器の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 楽器
2 共鳴管
2a 外管
2b 内管
3 液体
4 ジェット水(共鳴音発生用流体)
5 ノズル装置
6 芳香性気体供給装置
7 気泡
L 気柱長さ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単数、または平行もしくはこれに準じた形で配置される複数の共鳴管と、該共鳴管内部の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように各共鳴管内に所定量ずつ収められている液体と、前記共鳴管内の液体に向けて共鳴音発生用流体を噴出するノズル装置と、前記共鳴管の下側から香りを有する気体を供給して気泡を発生させる芳香性気体供給装置とを備えることを特徴とする楽器。
【請求項2】
前記共鳴管の下側から供給される気体の気泡が前記液体の液面で崩壊するタイミングと、前記共鳴音発生用流体が前記液体の液面に衝突するタイミングの同期をとる制御装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の楽器。
【請求項3】
前記液体を流動させて気泡群を生じさせる液体流動装置を備え、当該気泡群が崩壊することにより前記液体が流動していない場合とは異なった音質の音を発生させることを特徴とする請求項1または2に記載の楽器。
【請求項4】
前記共鳴管は相対スライド可能な内管と外管とからなる二重構造であり、スライダおよび制御装置によって所定の気柱長さが得られるように前記内管と外管とを相対スライドさせることによって所定の音階の音を発生させることを特徴とする請求項1から3のいずれかひとつに記載の楽器。
【請求項1】
単数、または平行もしくはこれに準じた形で配置される複数の共鳴管と、該共鳴管内部の気柱の共鳴周波数が音階を形成するように各共鳴管内に所定量ずつ収められている液体と、前記共鳴管内の液体に向けて共鳴音発生用流体を噴出するノズル装置と、前記共鳴管の下側から香りを有する気体を供給して気泡を発生させる芳香性気体供給装置とを備えることを特徴とする楽器。
【請求項2】
前記共鳴管の下側から供給される気体の気泡が前記液体の液面で崩壊するタイミングと、前記共鳴音発生用流体が前記液体の液面に衝突するタイミングの同期をとる制御装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の楽器。
【請求項3】
前記液体を流動させて気泡群を生じさせる液体流動装置を備え、当該気泡群が崩壊することにより前記液体が流動していない場合とは異なった音質の音を発生させることを特徴とする請求項1または2に記載の楽器。
【請求項4】
前記共鳴管は相対スライド可能な内管と外管とからなる二重構造であり、スライダおよび制御装置によって所定の気柱長さが得られるように前記内管と外管とを相対スライドさせることによって所定の音階の音を発生させることを特徴とする請求項1から3のいずれかひとつに記載の楽器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−47450(P2006−47450A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225234(P2004−225234)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
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