説明

楽譜用下敷き及び譜面台用補助具

【課題】携帯しやすいコンパクトな形状に折り畳むことができ、楽譜への書き込み等に好適に用いることができる、楽譜用下敷き、及び、この楽譜用下敷きを用いた譜面台用補助具を提供する。
【解決手段】この下敷き20は、並列して配置されたほぼ同じ幅の細長い複数枚の板材21と、これらの板材を蛇腹状に折り曲げ可能に連結する連結シート(表シート25及び裏シート27)とを備えている。板材の表面を内側にして折り曲げられる継ぎ目部分は、表シート25で連結されると共に、裏面には連結シートが設けられていないか、あるいは裏シート27にスリット29が形成されて分離されており、板材の裏面を内側にして折り曲げられる継ぎ目部分は、表シート25にスリット29が形成されて分離されると共に、裏シート27で連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、譜面台に載置される楽譜のための楽譜用下敷き、及び、この楽譜用下敷きを用いた譜面台用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
楽器は、楽譜を見ながら演奏することが多い。しかし、楽器を演奏する際には、手が塞がれるので、楽譜を譜面台に乗せて使用することが普通である。
【0003】
譜面台としては様々な形状のものがある。例えば、図8〜10には、持ち運びに便利な携帯用の譜面台50が図示されている。
【0004】
図10に示すように、この譜面台50は、縦長板状の支持フレーム51と、この支持フレーム51の下端に回動可能に取付けられたL字状の一対の棚部53,53と、支持フレーム51及び棚部53,53に連結されたリンクフレーム55,55と、前記支持フレーム51の下端裏面側に取付けられた伸縮可能な伸縮ポール57と、この伸縮ポール57の下方に設けられた折り畳み可能な三脚59とを有している。そして、伸縮ポール57を縮ませると共に三脚59を畳み、更にリンクフレーム55,55を適宜折り曲げて、棚部53,53を支持フレーム51に重ね合わせることにより、譜面台50をコンパクトに折り畳むことができるようになっている。
【0005】
上記譜面台50の場合、支持フレーム51に対して一対の棚部53,53を左右に広げた状態では、支持フレーム51、棚部53及びリンクフレーム55の間は、支持部分のない骨組み構造となっている。そのため、この譜面台50に載置した楽譜に、演奏中に気づいた点やその他の事項等を書き込みたい場合でも、楽譜を支持する部分がないため、楽譜に書き込みしにくいという問題があった。
【0006】
これに対して下記特許文献1には、左カバーと前記左カバーの右側に連設された左中片との間を谷折りにし、前記左中片と前記左中片の右側に連設された右中片との間を山折りにし、前記右中片と前記右中片の右側に連設された右カバーとの間を谷折りにして、前記左中片及び右中片を前記左カバーと右カバーの間に挟み込んだ開閉可能な譜面カバーが記載されている。そして、この譜面カバーを広げた状態で譜面台に乗せて、更に譜面カバーの上に譜面を乗せることにより、譜面カバーを台紙として用いることができ、譜面に書き込みをすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3134463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1記載の譜面カバーにおいて、左カバー及び右カバーは、楽譜1枚を配置できる程度の比較的大きなサイズとされており、左中片及び右中片は、左カバー及び右カバーよりも幅が狭い細長帯状をなしている。
【0009】
そのため、左中片及び右中片を介して、左カバー及び右カバーを互いに近づけて、譜面カバーを折り畳んだとしても、左カバー又は右カバーのサイズとなるので、コンパクトに折り畳むことができず、携帯に不便であるというデメリットがあった。
【0010】
したがって、本発明の目的は、携帯しやすいコンパクトな形状に折り畳むことができ、楽譜への書き込み等に好適に用いることができる、楽譜用下敷き、及び、この楽譜用下敷きを用いた譜面台用補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の楽譜用下敷きは、譜面台に載置される楽譜のための下敷きであって、並列して配置されたほぼ同じ幅の細長い複数枚の板材と、これらの板材を蛇腹状に折り曲げ可能に連結する連結シートとを備え、前記連結シートは、折り曲げられる継ぎ目部分の内側に少なくとも被覆されており、折り曲げられる継ぎ目部分の外側は、スリットが形成されて連結シートが分離されているか、あるいは連結シートが設けられていないことを特徴とする。
【0012】
上記発明によれば、ほぼ同じ幅の細長い複数枚の板材を連結シートで連結し、かつ、蛇腹状に折り畳み可能とされているので、折り畳んだ状態では1枚の板材と同じ幅となり、携帯しやすいコンパクトな形状にすることができる。そして、例えばフレームだけで形成された折り畳みの譜面台等に楽譜を載せるとき、該譜面台の支持フレーム上にこの下敷きを広げて載せてその上に楽譜を載せることにより、楽譜をしっかりと保持することができると共に、楽譜に筆記具で書き込みをすることも可能となる。また、折り畳まれた下敷きを広げることにより、1枚の大きな下敷きにすることができるので、サイズの大きな楽譜であってもしっかりと支持することができる。
【0013】
本発明の楽譜用下敷きにおいては、最も両側に配置された板材とそれに隣接する板材との継ぎ目部分は、表面に被覆された連結シートで連結され、裏面はスリットが形成されて連結シートが分離されているか、あるいは連結シートが設けられておらず、かつ、いずれか一方の側縁部から他方の側縁部の背面側に当接するように延出された延出片が設けられ、両板材を開いたとき、前記延出片が他方の側縁部の背面側に当接して、逆方向への折れ曲がりを規制する平面保持機構をなすことが好ましい。
【0014】
この態様によれば、譜面台の支持幅が下敷きを広げた幅よりも狭くて、下敷きの最も両側に位置する板材が譜面台の両側からはみ出した場合であっても、平面保持機構によって両側に位置する板材が背面側に折れ曲がるのが防止されるので、下敷きを全幅にわたって平面状に維持することができ、大きな楽譜であってもしっかりと保持することができる。
【0015】
本発明の楽譜用下敷きにおいては、板材どうしの継ぎ目部分のうち一つ置きに配置された部分は、表面に被覆された連結シートで連結され、裏面はスリットが形成されて連結シートが分離されているか、あるいは連結シートが設けられておらず、かつ、いずれか一方の側縁部から他方の側縁部の背面側に当接するように延出された延出片が設けられ、両板材を開いたとき、前記延出片が他方の側縁部の背面側に当接して、逆方向への折れ曲がりを規制する平面保持機構をなすことが好ましい。
【0016】
この態様によれば、板材どうしの継ぎ目部分に、平面保持機構が一つ置きに配置されるので、板材を広げたときの背面側への折れ曲がりをより効果的に防止することができ、平面性をより良好に保つことができる。
【0017】
本発明の楽譜用下敷きにおいては、前記延出片は、最も両側に配置された板材とそれに隣接する板材のいずれか一方の側縁部から、背面側に段状をなして板厚分突出し、そこから更に板面方向に延出された形状をなすことが好ましい。この態様によれば、延出部を同じ厚さの板部で形成できるので、下敷きを広げたときに、両側の板材の背面側への折れ曲がりを、より確実に防止することができる。
【0018】
本発明の楽譜用下敷きにおいては、前記板材は、炭素繊維の織布に樹脂を含浸させて形成された炭素繊維強化樹脂からなることが好ましい。この態様によれば、比較的薄い板材であっても十分な剛性を付与でき、湾曲したりすることなく、楽譜をしっかりと支持することができる。また、板材を薄くして軽量化できるので、携帯性をより向上させることができる。
【0019】
本発明のもう一つは、上記発明の楽譜用下敷きと、譜面台の下辺に設けられる棚部に装着可能な小物置き台とを備えた譜面台用補助具であって、前記小物置き台は、並列して配置されたほぼ同じ幅の細長い複数枚の板材と、これらの板材の表裏面に被覆された連結シートとを備え、前記板材の継ぎ目に位置する表裏の連結シートのいずれか一方に、該継ぎ目に沿ったスリットが形成され、該スリットを外側にして板材どうしが折り曲げ可能に連結されて構成されており、そのうちの2枚の板材が折り曲げ状態で部分的に面接合されて前記棚部を挟持する挟持部をなし、該挟持部の下方に連結された少なくとも2枚の板材が開き止め機構によってL字状に延出される小物置き部をなし、前記挟持部の上方に連結された少なくとも1枚の板材が、前記楽譜用下敷きの下縁部に重なって、該楽譜用下敷きを広げた状態に保持するサポート部をなすことを特徴とする。
【0020】
上記発明によれば、小物置き台の板材のうち、挟持部をなす2枚の板材の間に、譜面台の棚部を挟み込ませることにより、小物置き台を譜面台の下辺に装着することができる。そして、挟持部の下方に連結された板材を広げて、開き止め機構によりL字状に延出された形状にすることにより、前方に突出した板材の上に筆記具等の小物を置くことが可能になる。また、挟持部の上方に連結された板材からなるサポート部を、楽譜用下敷きの下縁部と重ならせてサポートさせることにより、楽譜用下敷きをより確実に平面状に保持させることができる。
【0021】
本発明の譜面台用補助具においては、前記サポート部には、磁気吸着シートが添設されており、前記楽譜用下敷きの少なくとも下縁部に位置する表面又は裏面には、前記磁器吸着シートに吸着可能な磁気吸着面が形成されていることが好ましい。
【0022】
この態様によれば、サポート部を楽譜用下敷きの下辺部に重ならせることにより、楽譜用下敷きの少なくとも下縁部に形成された磁気吸着面が、サポート部に添設された磁気吸着シートに吸着されるので、楽譜用下敷きを容易に平面状に保持させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、折り畳んだ状態では1枚の板材と同じ幅となり、携帯しやすいコンパクトな形状にすることができ、折り畳み用の譜面台等に楽譜を載せるとき、該譜面台の支持フレーム上にこの下敷きを広げて載せてその上に楽譜を載せることにより、楽譜をしっかりと保持することができると共に、楽譜に筆記具で書き込みをすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の楽譜用下敷きの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同下敷きの拡大断面図である。
【図3】同下敷きの断面図である。
【図4】同下敷きを折り畳むときの説明図である。
【図5】同下敷きを折り畳んだ状態の斜視図である。
【図6】本発明の譜面台用補助具を構成する小物置き台を示しており、(a)は広げたときの斜視図、(b)は譜面台に装着する際の折り曲げ途中を示す斜視図である。
【図7】本発明の譜面台用補助具を構成する小物置き台を示しており、(a)は譜面台に装着する際の状態の斜視図、(b)は折り畳んだ状態の斜視図である。
【図8】本発明の譜面台用補助具の側面図である。
【図9】同譜面台用補助具を正面側から見た場合の斜視図である。
【図10】同譜面台用補助具を背面側から見た場合の斜視図である。
【図11】本発明の楽譜用下敷きの他の実施形態を示す側面図及び拡大断面図である。
【図12】同楽譜用下敷きの折り畳み途中の斜視図である。
【図13】同楽譜用下敷きを折り畳んだ状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の楽譜用下敷き及び譜面台用補助具の一実施形態について説明する。
【0026】
図8〜10に示すように、譜面台用補助具10は、譜面台50に載置される楽譜用下敷き20(図1〜5参照)と、譜面台下辺の棚部53,53に装着可能な小物置き台30(図6,7参照)とからなる。まず、楽譜用下敷き20(以下、「下敷き20」)について説明する。
【0027】
図1及び図3に示すように、この下敷き20は、並列して配置されたほぼ同じ幅の複数枚の板材21(ここでは8枚)と、複数枚の板材21の楽譜1の載置面となる表面側に被覆された連結シート25(以下、「表シート25」)と、複数枚の板材21の裏面側に被覆された連結シート27(以下、「裏シート27」)とを備えている。なお、本発明においてほぼ同じ幅という意味は、全板材の幅の平均値に対して、各板材の幅が±30%以内にされていることを意味する。
【0028】
板材21は、例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ナイロン、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂等で形成することができる。この場合、補強繊維で強化された樹脂で形成することが好ましく、炭素繊維の織布に樹脂を含浸させて形成された炭素繊維強化樹脂からなることがより好ましい。ただし、板材21をアルミニウムなどの比較的軽い金属板で形成することもできる。
【0029】
表シート25及び裏シート27としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂のシートやフィルム、紙、布等を用いることができる。表シート25及び裏シート27は、例えば接着、溶着等の手段で板材21に接合されて被覆されている。また、この実施形態では、表シート25及び/又は裏シート27の少なくとも下縁部に磁性金属粉、例えば鉄粉等が含有され、本発明における「磁気吸着面」をなしている。なお、磁性金属粉を板材21に含有させてもよい。
【0030】
隣接する板材21どうしの継ぎ目に位置する表シート25又は裏シート27のいずれか一方には、継ぎ目に沿ったスリット29が形成され、図4に示すように、スリット29を外側にして、板材21どうしが折り曲げ可能に連結され、板材21どうしを継ぎ目の部分で折り曲げることにより、図5に示すように、下敷き20を蛇腹状に折り畳むことが可能となっている。
【0031】
この実施形態では、図1及び図3に示すように、最も両側に配置された板材21と、それに隣接する2番目の板材21との間の継ぎ目に位置する部分には、裏シート27にスリット29が形成されている。また、両側から2番目の板材21及び3番目の板材21間には表シート25にスリット29が形成され、両側から3番目の板材21及び4番目の板材21間には裏シート27にスリット29が形成され、両側から4番目の板材21,21間には表シート25にスリット29が形成されている。すなわち、板材の並列方向に沿って、表シート25又は裏シート27に互い違いとなるように、スリット29が形成されている。
【0032】
また、図3に示すように、最も両側の板材21,21と、それに隣接する2番目の板材21,21との側縁部22a,22bどうしに、互い違いに入り込む段部23が板材の厚さ方向に形成された構造をなしている。上記において背面側に重なる側縁部22bが、本発明における延出片をなしており、両板材21,21を開いたとき、前記側縁部22bが他方の側縁部22aの背面側に当接して、逆方向への折れ曲がりを規制する平面保持機構をなしている。なお、一方の板材21の背面側に、他方の板材に向けて延出される延出片が取付けられ、この延出片が他方の板材の背面に当接して、逆方向への折れ曲がりを規制する平面保持機構をなすように構成してもよい。
【0033】
また、この実施形態における下敷き20は、8枚の板材21を並列配置したが、この枚数に限定されるものではない。
【0034】
次に上記構造の楽譜用下敷き20の使用方法について説明する。すなわち、この下敷き20は、ほぼ同じ幅の細長い複数枚の板材21を、表シート25及び裏シート27で連結すると共に、両シート25,27の一方に継ぎ目に沿ってスリット29を設けたことにより、図4に示すように、継ぎ目部分でスリット29を外側にして隣接する板材どうしを折り曲げることで、図5に示すように蛇腹状に折り畳むことができる。このように、下敷き20を折り畳んだ状態では1枚の板材と同じ幅となり、携帯しやすいコンパクトな形状にすることができる。
【0035】
そして、このような下敷き20は、例えば、図8〜10に示す折り畳み可能な譜面台50に楽譜1を載せるときに利用することができる。ただし、この下敷き20は、ピアノの譜面台に載せる楽譜用の下敷きとしても利用することができる。
【0036】
この譜面台50の構造については既に説明したので省略するが、支持フレーム51に対し一対の棚部53,53を左右に広げた状態では、支持フレーム51、棚部53及びリンクフレーム55の間に支持部分のない骨組み構造となっている(図10参照)。
【0037】
このような譜面台50に、図1に示すように下敷き20を広げて、支持フレーム51、棚部53及びリンクフレーム55に支持させた後、その上に楽譜1を乗せることにより、図9に示すように、楽譜1をしっかりと保持することができ、楽譜1に筆記具で書き込みすることができる。また、折り畳まれた下敷き20を広げることにより、1枚の大きな下敷き20にすることができるので、サイズの大きな楽譜であってもしっかりと支持することができる。
【0038】
更に、この実施形態の下敷き20は、広げたときの幅が譜面台50の支持幅よりも広く、最も両側の板材21,21が譜面台50の両側からはみ出すが(図9,10参照)、表シート25と、段部23によって形成された側縁部22a、22bによる平面保持機構により、最も両側の板材21,21の背面側への折れ曲がりを防止することができるようになっている。すなわち、最も両側の板材21,21が背面側に折れ曲がろうとすると、スリット29のない表シート25が引っ張られると共に、図3に示す一方の側縁部22b(本発明における延出片をなす)が他方の側縁部22aの背面に当接して、背面側への折れ曲がりが防止される。その結果、下敷き20を全幅にわたって平面状に維持することができ、大きな楽譜であってもしっかりと保持することができる。
【0039】
また、この実施形態における板材21は、炭素繊維の織布に樹脂を含浸させて形成された炭素繊維強化樹脂からなるので、比較的薄い板材であっても十分な剛性を付与でき、湾曲したりすることなく、楽譜をしっかりと支持することができると共に、板材を薄くして軽量化できるので、携帯性をより向上させることができる。
【0040】
次に、本発明の譜面台用補助具10を構成する小物置き台30について説明する。
【0041】
図6及び図7に示すように、この小物置き台30は、並列して配置されたほぼ同じ幅の複数枚(この実施例では5枚)の板材31と、複数枚の板材31の表面側に被覆された連結シート35(以下、「表シート35」とする)と、複数枚の板材31の裏面側に被覆された連結シート37(以下、「裏シート37」とする)とを備えている。更に、最も上側の板材31には、表シート35の更に表面側に、前記下敷き20の磁気吸着面に吸着する磁気吸着シート36が添設されている(図6(a)参照)。
【0042】
板材31は、前述の下敷き20と同様な樹脂で形成でき、補強繊維で強化された樹脂で形成することが好ましく、炭素繊維の織布に樹脂を含浸させて形成された炭素繊維強化樹脂からなることがより好ましい。表シート35及び裏シート37の材質も、前述の下敷き20と同様に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂のシートやフィルム、紙、布等を用いることができる。
【0043】
隣接する板材31の継ぎ目に位置する表シート35又は裏シート37のいずれか一方には、継ぎ目に沿ったスリット39が形成され、このスリット39を外側にして板材31どうしが折り曲げ可能に連結されている。
【0044】
この実施形態では、図6(a)に示すように、上から2番目の板材31と3番目の板材31との間には、表シート35にスリット39が形成され、その他の板材31どうしの間には、裏シート37にスリット39が形成されている。
【0045】
そして、図6(b)に示すように、上から2番目の板材31と3番目31の板材31との間で山折りし、折り曲げ辺に近い部分をハトメ等の留め具33で部分的に面接合させることにより、譜面台50の棚部53を挟持する挟持部Aが構成されている。また、最下方の板材31を下から2番目の板材31に対してL字状に折り曲げることにより、挟持部Aの下方に連結されたL字状に延出される小物置き部Bが構成されている。更に、最も上方の板材31は、前述した下敷き20の下縁部に重なって、下敷き20を広げた状態に保持するサポート部Cをなしている。
【0046】
なお、図7(a)及び図8に示すように、下から3番目の板材31及び2番目の板材31の両側部にワイヤー38が連結されると共に、下から2番目の板材31及び最下方の板材31の両側部にもワイヤー38が連結され、前記挟持部Aで譜面台50の棚部53を挟持したときに、ワイヤー38が張られて、最下方の板材31が下から2番目の板材31に対して90度以上開かないように構成されている。このワイヤー38が、本発明の「開き止め機構」をなしている。ただし、開き止め機構としては、上記ワイヤー38の他に様々な構造のものを採用できる。
【0047】
そして、この小物置き台30では、図7(a)に示すように、下から2番目の板材31をベースとして、他の板材31を折り重ねることにより、コンパクトな形状に折り畳むことができる(図7(b)参照)。
【0048】
この小物置き台30を、下敷き20と併せて譜面台用補助具10として用いる場合には、次のようにして使われる。
【0049】
すなわち、図8に示すように、小物置き台30の挟持部Aをなす板材31,31の間に、譜面台50の棚部53を挟み込むことにより、小物置き台30を譜面台50の下辺に装着することができる。そして、挟持部下方の板材31,31を適宜広げて、ワイヤー38からなる開き止め機構により、L字状に延出された小物置き部Bとすることにより、前方に突出した板材31の上に、筆記具等の小物を置くことが可能となる。
【0050】
また、挟持部上方のサポート部Cの上に、下敷き20の下縁部を重ねて置いてサポートすることにより(図8参照)、下敷き20の磁気吸着面が、サポート部Cに添設された磁気吸着シート36に吸着されるので、図9,10に示すように、下敷き20をより確実に平面状に保持させることができる。
【0051】
図11〜13には、本発明の楽譜用下敷きの他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。なお、図11は図中上方が背面側、下方が表面側をなしている。
【0052】
この実施形態に係る楽譜用下敷き20a(以下、「下敷き20a」)は、並列配置された複数枚(8枚)の板材21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21hを有している。
【0053】
そして、図11中の紙面左から2番目の板材21b、4番目の板材21d、6番目の板材21f、8番目の板材21hには、それらの左側縁部に延出片24が設けられている。この延出片24は、それぞれの板材の左側縁部から背面側に板厚分だけ段状に突出し、更に板面に沿って所定長さ延出され、各板材を広げた状態で、隣接する板材の右側縁部の背面に当接する形状をなしている。例えば、左から2番目の板材21bの延出片24は、左から1番目の板材21aの右側縁部の背面に当接し、左から4番目の板材21dの延出片24は、左から3番目の板材21cの右側縁部の背面に当接する。
【0054】
板材21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21hの表面には、表シート25が全面に被覆されており、延出部24が配置された継ぎ目部分では、表シート25によって両板材が連結され、表面を内側にして折曲可能とされている。また、延出部24が配置された継ぎ目部分では、裏面側に連結シートは被覆されておらず、延出部24が隣接する板材の背面に当接するようになっている。
【0055】
また、延出部24が配置されていない継ぎ目部分、例えば図11における板材21bと板材21cとの継ぎ目部分には、裏面側に連結シート(裏シート27a)が部分的に被覆されて、この裏シート27aによって両板材が連結されている。また、表シート25には継ぎ目に沿ってスリット29が形成されている。その結果、裏面を内側にして折曲可能とされている。
【0056】
この下敷き20aは、図12に示すように、延出片24を設けた部分においては、隣接する板材の表面どうしを内側にして折曲でき、一方、延出片24がない部分では、裏面どうしを内側にして折曲できるので、図13に示すように蛇腹状にコンパクトに折り畳むことができる。
【0057】
また、図11に示すように、下敷き20aを広げたときには、それぞれの延出片24が隣接する板材の背面に当接して、背面側への折れ曲がりが防止されるので、全体としての剛性が向上して、楽譜をよりしっかりと保持することができる。特に、最も両側に配置されたそれぞれの板材21a、21hが、延出片24によって背面側に折れ曲がることが防止されることにより、譜面台50の支持幅を超えて、両側の板材21a、21hが配置されても、平面性を保って楽譜を支持することが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 楽譜
10 譜面台用補助具
20,20a 譜面台用下敷き(下敷き)
21 板材
22 側縁部
23 段部
24 延出片
25 表面側の連結シート(表シート)
27,27a 裏面側の連結シート(裏シート)
29 スリット
30 小物置き台
31 板材
33 留め具
35 表面側の連結シート(表シート)
36 磁気吸着シート
37 裏面側の連結シート(裏シート)
38 ワイヤー
39 スリット
50 譜面台
51 支持フレーム
53 棚部
55 リンクフレーム
57 伸縮ポール
59 三脚
A 挟持部
B 小物置き部
C サポート部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
譜面台に載置される楽譜のための下敷きであって、並列して配置されたほぼ同じ幅の細長い複数枚の板材と、これらの板材を蛇腹状に折り曲げ可能に連結する連結シートとを備え、前記連結シートは、折り曲げられる継ぎ目部分の内側に少なくとも被覆されており、折り曲げられる継ぎ目部分の外側は、スリットが形成されて連結シートが分離されているか、あるいは連結シートが設けられていないことを特徴とする楽譜用下敷き。
【請求項2】
最も両側に配置された板材とそれに隣接する板材との継ぎ目部分は、表面に被覆された連結シートで連結され、裏面はスリットが形成されて連結シートが分離されているか、あるいは連結シートが設けられておらず、かつ、いずれか一方の側縁部から他方の側縁部の背面側に当接するように延出された延出片が設けられ、両板材を開いたとき、前記延出片が他方の側縁部の背面側に当接して、逆方向への折れ曲がりを規制する平面保持機構をなす請求項1記載の楽譜用下敷き。
【請求項3】
板材どうしの継ぎ目部分のうち一つ置きに配置された部分は、表面に被覆された連結シートで連結され、裏面はスリットが形成されて連結シートが分離されているか、あるいは連結シートが設けられておらず、かつ、いずれか一方の側縁部から他方の側縁部の背面側に当接するように延出された延出片が設けられ、両板材を開いたとき、前記延出片が他方の側縁部の背面側に当接して、逆方向への折れ曲がりを規制する平面保持機構をなす請求項1又は2記載の楽譜用下敷き。
【請求項4】
前記延出片は、最も両側に配置された板材とそれに隣接する板材のいずれか一方の側縁部から、背面側に段状をなして板厚分突出し、そこから更に板面方向に延出された形状をなす請求項2又は3記載の楽譜用下敷き。
【請求項5】
前記板材は、炭素繊維の織布に樹脂を含浸させて形成された炭素繊維強化樹脂からなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の譜面台用下敷き。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の楽譜用下敷きと、譜面台の下辺に設けられる棚部に装着可能な小物置き台とを備えた譜面台用補助具であって、前記小物置き台は、並列して配置されたほぼ同じ幅の細長い複数枚の板材と、これらの板材を折り曲げ可能に連結する連結シートとで構成されており、前記板材のうちの2枚の板材が折り曲げ状態で部分的に面接合されて前記棚部を挟持する挟持部をなし、該挟持部の下方に連結された少なくとも2枚の板材が開き止め機構によってL字状に延出される小物置き部をなし、前記挟持部の上方に連結された少なくとも1枚の板材が、前記楽譜用下敷きの下縁部に重なって、該楽譜用下敷きを広げた状態に保持するサポート部をなすことを特徴とする譜面台用補助具。
【請求項7】
前記サポート部には、磁気吸着シートが添設されており、前記楽譜用下敷きの少なくとも下縁部に位置する表面又は裏面には、前記磁器吸着シートに吸着可能な磁気吸着面が形成されている請求項6記載の譜面台用補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−227327(P2011−227327A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97665(P2010−97665)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(510111700)有限会社メリーミュージック (1)
【Fターム(参考)】