説明

楽譜表示装置、楽譜表示方法及びプログラム

【課題】楽器上の操作位置を容易に把握することができ、音符を容易に読み取ることができる楽譜表示装置、楽譜表示方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】楽譜の音符データを基に楽譜(11)上の音符(301〜305)を表示する楽譜表示手段と、前記楽譜の音符データを基に楽器上の操作位置を示す図形表示データ(311〜315)を生成する図形表示データ生成手段と、前記図形表示データの表示を指示する図形表示指示手段と、前記図形表示指示手段により指示されると、前記表示された楽譜(11)上の音符(301〜305)に対応させて前記図形表示データ(311〜315)を表示する図形表示手段とを有することを特徴とする楽譜表示装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽譜表示装置、楽譜表示方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
楽譜表示装置として、弦楽器の弦に対応する横線と、各弦を押さえるフレットポジションを数字や記号で表現する、いわゆるタブ譜を表示するものがある。しかし、楽譜上に細かい数字で表現されているため、演奏しながら瞬時に弦の押さえ方を読み取るのは容易でない。
【0003】
また、音符で表現された楽譜も、初心者にとってはどの鍵盤を弾けばよいのか瞬時に判断するのが容易ではない。
【0004】
一方、コードネームに対応する各弦のフレットポジションを弦楽器の指板を模した図形や、鍵盤を模した図形上に記号で表示する、いわゆるフレットボード、又はコードダイアグラムを表示するものがある。コードダイアグラムは、図形的にポジションを把握できるため、数字で表現されたタブ譜や、音符に比べて、読み取りは容易である。
【0005】
しかし、コードダイアグラムはコードネームに対応しており、タブ譜や五線譜の内容とは必ずしも一致するとは限らない。
【0006】
また、下記の特許文献1には、楽譜をタブラチュアで入力するためのタブラチュア入力手段を備え、タブラチュア楽譜を表示するタブラチュア楽譜入力方式が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平1−99088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、楽器上の操作位置を容易に把握することができ、音符を容易に読み取ることができる楽譜表示装置、楽譜表示方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の楽譜表示装置は、楽譜の音符データを基に楽譜上の音符を表示する楽譜表示手段と、前記楽譜の音符データを基に楽器上の操作位置を示す図形表示データを生成する図形表示データ生成手段と、前記図形表示データの表示を指示する図形表示指示手段と、前記図形表示指示手段により指示されると、前記表示された楽譜上の音符に対応させて前記図形表示データを表示する図形表示手段とを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の楽譜表示方法は、楽譜の音符データを基に楽譜上の音符を表示する楽譜表示ステップと、前記楽譜の音符データを基に楽器上の操作位置を示す図形表示データを生成する図形表示データ生成ステップと、前記図形表示データの表示を指示する図形表示指示ステップと、前記図形表示指示ステップにより指示されると、前記表示された楽譜上の音符に対応させて前記図形表示データを表示する図形表示ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のプログラムは、楽譜の音符データを基に楽譜上の音符を表示する楽譜表示ステップと、前記楽譜の音符データを基に楽器上の操作位置を示す図形表示データを生成する図形表示データ生成ステップと、前記図形表示データの表示を指示する図形表示指示ステップと、前記図形表示指示ステップにより指示されると、前記表示された楽譜上の音符に対応させて前記図形表示データを表示する図形表示ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
楽譜上の音符に対応させて図形表示データを表示することにより、楽器上の操作位置を容易に把握することができ、音符を容易に読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図9は、本発明の実施形態による楽譜表示装置(コンピュータ)のハードウエア構成例を示すブロック図である。楽譜表示装置は、例えばパーソナルコンピュータで構成される。バス901には、中央処理装置(CPU)902、ROM903、RAM904、ネットワークインタフェース905、入力装置906、出力装置907及び外部記憶装置908が接続されている。
【0014】
CPU902は、データの処理又は演算を行うと共に、バス901を介して接続された各種構成要素を制御するものである。ROM903には、予めCPU902の制御手順(コンピュータプログラム)を記憶させておき、このコンピュータプログラムをCPU902が実行することにより、起動する。外部記憶装置908にコンピュータプログラムが記憶されており、そのコンピュータプログラムがRAM904にコピーされて実行される。RAM904は、データの入出力、送受信のためのワークメモリ、各構成要素の制御のための一時記憶として用いられる。外部記憶装置908は、例えばハードディスク記憶装置やCD−ROM等であり、電源を切っても記憶内容が消えない。CPU902は、RAM904内のコンピュータプログラムを実行することにより、楽譜表示装置の処理を行う。
【0015】
ネットワークインタフェース905は、インターネット等のネットワークに接続するためのインタフェースである。入力装置906は、例えばキーボード及びマウス等であり、各種指定又は入力等を行うことができる。出力装置907は、ディスプレイ及びプリンタ等である。出力装置907内のディスプレイには、図1〜図8の画面が表示される。
【0016】
図10は、上記のコンピュータプログラムの機能を説明するためのブロック図である。コンピュータプログラムの機能を実現することにより、楽譜表示装置が構成される。楽譜表示装置1000は、入力位置指定手段(ステップ)1001、ポジション指定手段(ステップ)1002、音符指定手段(ステップ)1003、音符入力指示手段(ステップ)1004、楽譜表示手段(ステップ)1005、図形表示データ生成手段(ステップ)1006、図形表示指示手段(ステップ)1007、及び図形表示手段(ステップ)1008を有する。
【0017】
図1は、出力装置907内のディスプレイに表示されるタブ譜入力画面の例を示す図である。以下、図1を参照しながら、タブ譜入力方法を説明する。図中、1で示されるのは音符の時間的な入力位置を指定する、入力位置指定手段1001である入力キャレットを表す。図中、2で示されるのは、弦楽器の各弦のフレットポジションを指定可能なポジション指定手段1002であるフレットボードを表す。図中、3で示されるのは、入力する音符の種類を指定する音符指定手段1003である音符パレットを表す。図中、4で示されるのは、音符入力指示手段1004である音符入力ボタンを表す。図中、5で示されるのは、図形表示データの表示を指示する図形表示指示手段1008である図形表示ボタンを表す。
【0018】
タブ譜入力画面は、上部にタブ譜11を表示し、下部にタブ譜入力パネル12を表示する。タブ譜11は、弦楽器の各弦の押さえるべきフレットポジションを数字で表した楽譜である(図2参照)。タブ譜の4本線は、弦楽器の4本の弦に対応する。
【0019】
入力位置指定手段1001は、入力キャレット1により、入力するタブ譜11上の時間的な位置を指定する。例えば、入力位置指定手段1001は、入力装置906内のマウスでタブ譜11上をクリックすることにより、その位置に入力キャレット1を表示し、タブ譜11上の時間的な位置を指定することができる。タブ譜11の左端の小節の上の「25」の番号は、小節番号を示す。例えば、図1では、第26小節の先頭の時間的位置が入力キャレット1により指定されている。
【0020】
音符指定手段1003は、音符パレット3を用いて、入力する音符の種類を指定する。音符の種類は、音の長さであり、二分音符、四分音符、八分音符等である。音符パレット3には、複数種類の音符が表示されている。例えば、音符指定手段1003は、音符パレット3上の音符をマウスでクリックすることにより、音符の種類を指定することができる。例えば、図1では、音符パレット3上の四分音符が点線により指定されている。
【0021】
ポジション指定手段1002は、フレットボード2を用いて、弦楽器の各弦のフレットポジションを指定可能である。フレットボード2は、4本の横線が4本の弦を示し、下部の「1、2、3、4」の番号がフレット番号を示す。下の3本の弦は、左端に白丸(○)が表示され、フレットポジションとして開放状態(フレットを押さえないで弦を発音させる状態)が指定されている。上の1本の弦は、フレット番号「3」に黒丸(●)が表示され、フレットポジションとしてフレット番号「3」が指定されている。すなわち、フレット番号「3」のフレットを押さえて弦を発音させることを意味する。例えば、ユーザが、入力装置906内のマウスを用いて、各弦と各フレットポジションとの交点をクリックすると、その交点に対応する弦のフレットポジションが指定される。例えば、1番上の弦のフレット番号「3」の交点がクリックされると、その交点に黒丸(●)が表示され、1番上の弦のフレット番号「3」が指定される。また、上から2番目の弦の左端の外側の位置をクリックすると、その位置に白丸(○)が表示され、上から2番目の弦のフレットポジションとして開放状態が指定される。
【0022】
音符入力指示手段1004は、音符入力ボタン4がマウスによりクリックされると、入力位置指定手段1001(入力キャレット1)により指定された位置に、音符指定手段1003(音符パレット3)により指定された音符の種類と、ポジション指定手段1002(フレットボード2)により指定された各弦のフレットポジションとに応じてタブ譜11に音符入力を指示する。その指示後の状態を図2に示す。
【0023】
図2は、音符入力ボタン4のクリック後のタブ譜入力画面の例を示す図である。音符入力ボタン4がクリックされると、入力指示された音符データが生成される。楽譜表示手段1005は、タブ譜(楽譜)の音符データを基に、タブ譜(楽譜)11上に、上記の入力指示に応じた音符13を表示する。例えば、音符パレット3では、音符の種類として点線で示す四分音符が指定されているので、音符13の上部には四分音符を示す棒が表示される。また、音符の種類として二分音符が指定されれば、音符13にさらに白い玉が表示される。図3の音符301〜304は、二分音符を示し、音符305は全音符を示す。
【0024】
また、フレットボード2で指定された各弦のフレットポジションに応じて、タブ譜11上の音符13では、上から1番目の弦にフレットポジションとしてフレット番号の「3」が表示され、上から2〜4番目の弦にフレットポジションとしてフレット番号の「0」が表示される。フレット番号「0」は、弦の開放状態を意味する。入力キャレット1は、タブ譜11上の次の入力タイミング位置に移動して表示される。
【0025】
以上のように、ユーザがタブ譜11上に音符13を入力しようとするときは、入力したい時間に入力キャレット1を移動し、音符パレット3で入力する音符の種類を指定し、フレットボード2で各弦毎のフレットポジションを指定して、音符入力ボタン4をクリックすることにより、入力キャレット1が示す時間に、フレットボード2で示される各弦のフレットポジションと、音符パレット3で示される音符の種類に応じて、タブ譜11上に音符13が入力される。
【0026】
図形表示データ生成手段1006は、タブ譜(楽譜)の音符データを基に弦楽器上の操作位置を示す図形表示データを生成する。図形表示指示手段1007は、図形表示ボタン4がマウスによりクリックされると、図形表示データの表示を指示する。図形表示手段1008は、図形表示指示手段1007により指示されると、図3〜図8に示すように、上記の表示されたタブ譜(楽譜)11上の音符に対応させて図形表示データを表示する。
【0027】
図3は、タブ譜11上の音符301〜305に対応させて図形表示データ311〜315を表示した楽譜表示画面の例を示す図である。音符301〜304は二分音符を示し、音符305は全音符を示す。上記のように、楽譜表示手段1005は、タブ譜11上に、弦楽器の弦の数、音符の発音タイミング、音符の種類(発音時間)、フレット番号等の情報に基づいた音符301〜305を表示する。図形表示ボタン4により図形表示が指示されると、図形表示データ生成手段1006は、先頭から順に、弦楽器の弦の数、同一発音タイミングにあるすべての音符のフレット番号、音符が表示されている縦位置に対応する弦番号、等の情報を含む音符301〜305の音符データを基に、弦毎に押さえるべきフレットポジションを表す図形表示データ311〜315を生成する。図形表示データ311〜315は、弦楽器の指板を模したフレットポジションを示し、かつ弦楽器上の操作位置を示す。図形表示手段1008は、各音符301〜305に対応させて各音符301〜305付近にそれぞれ図形表示データ311〜315を表示する。タブ譜11上で各弦を表す水平線は、そのまま図形表示データ311〜315では各弦を表す水平線として表示される。タブ譜11上の音符301〜305のフレット番号は、図形表示データ311〜315上では音符が所属している弦のフレット位置に黒丸(●)で表示される。図形表示データ311〜315において、どこのフレットも押さえない開放弦は左端に白丸(○)で表示され、弾かない弦は左端に「×」印で表示される。同一タイミングについてのすべての音高の処理を終えると、次の発音タイミングについて同様に処理を進める。
【0028】
以上のように、楽譜表示手段1005は、タブ譜11の音符データを基に楽譜11上の音符301〜305を表示する。図形表示データ生成手段1006は、タブ譜11の音符データを基に弦楽器上の操作位置を示す図形表示データ311〜315を生成する。図形表示指示手段1007は、図形表示ボタン4がマウスによりクリックされると、図形表示データ311〜315の表示を指示する。図形表示手段1008は、図形表示指示手段1007により指示されると、上記の表示されたタブ譜11上の音符301〜305に対応させて図形表示データ311〜315を表示する。
【0029】
図4は、タブ譜11上の音符に対応させて図形表示データ401〜404を表示した楽譜表示画面の例を示す図であり、タブ譜11上の音符が変化する場合のみ図形表示データ401〜404を表示する例である。以下、図3と異なる点を説明する。図形表示手段1008は、図形表示ボタン5がクリックされると、タブ譜上の音符に対応させて図形表示データ401〜404を表示する。図形表示ボタン5により図形表示が指示されると、図形表示データ生成手段1006は、今回の音符が直前の音符と比較して相違点がある場合のみ、図形表示データ401〜404を生成する。図形表示手段1008は、上記の相違点がある図形表示データ401〜404のみを表示する。図形表示手段1008は、今回の音符が前回の音符と同じ場合には、今回の音符に対応する図形表示データを表示しないで、次にステップに進む。次のステップでは、次の発音タイミングについて順次同様の処理を行う。このように、今回の音符とその直前の音符とを順次比較して、図形表示データ401〜404の生成及び表示を判断することによって、音符に変化があったときのみ図形表示データ401〜404を表示する。以上のように、図形表示手段1008は、タブ譜(楽譜)11上の音符がその直前の音符と相違している場合にのみタブ譜(楽譜)11上の音符に対応させて図形表示データ401〜404を表示する。
【0030】
図5は、タブ譜11上の音符に対応させて図形表示データ501〜504を表示した楽譜表示画面の例を示す図であり、直前の音符に対して弦楽器上の操作位置が共通の部分と変化した部分とが判別可能になるように図形表示データ501〜504を表示する。上記の図4と同様に、図形表示手段1008は、タブ譜11上の音符が変化する場合のみ図形表示データ501〜504を表示する。図形表示データ生成手段1006は、直前に表示した図形表示データに対して弦楽器上の操作位置が共通する部分と変化した部分とが判別可能になるように今回の図形表示データを生成する。例えば、操作位置が共通する弦のフレット番号の黒丸(●)は、小さい白い円を追加表示することにより、操作位置が変化した弦のフレット番号の黒丸(●)とは異なる表示にしている。操作位置が共通する弦のフレット番号の黒丸(●)は、小さい白い円を追加表示する形態に限らず、形状、色、記号、文字の追加等の表示をすることにより、操作位置が変化した弦のフレット番号の黒丸(●)とは異なる表示にしてもよい。また、操作位置が共通する部分を図3の通常表示とは異なる表示にする場合を例に説明したが、操作位置が変化した部分を通常表示とは異なる表示にしてもよいし、操作位置が共通する部分と変化した部分の両方を通常表示とは異なる表示にしてもよい。以上のように、タブ譜11上の同一タイミングの音符は、複数の音高からなる和音の音符である。図形表示手段1008は、直前に表示した図形表示データ501等の音符に対して、弦楽器上の操作位置が共通の部分と変化した部分とが判別可能になるように今回の音符の図形表示データ502等を表示する。
【0031】
図6は、タブ譜11上の音符に対応させて図形表示データ601及び602を表示した楽譜表示画面の例を示す図であり、弦楽器上の操作位置が平行移動したことが判別可能な図形表示データ602を表示する。上記の図4と同様に、図形表示手段1008は、タブ譜11上の音符が変化する場合のみ図形表示データ601及び602を表示する。図形表示データ生成手段1006は、今回の音符が直前の音符に対して各弦のフレットを平行移動する場合には、平行移動したことを示す矢印図形603を付加した図形表示データ602を生成する。例えば、図形表示データ602は、図形表示データ601に対して、4本の弦のすべてについて、2フレット分右に平行移動させて弦を押さえることを意味する。2フレット分、右に平行移動させることを知らせるために、矢印図形603に「+2」の表示を付加してもよい。同一タイミングの音符は、複数の音高からなる和音の音符である。図形表示手段1008は、直前に表示した図形表示データ601の音符に対して、弦楽器上の相対的な操作位置が変わらずに操作位置が平行移動している場合には、操作位置が平行移動していることを示す図形表示データ602(矢印図形603を含む)を表示する。
【0032】
図7は、タブ譜11上の音符に対応させて図形表示データ701及び702を表示した楽譜表示画面の例を示す図であり、弦楽器上の操作位置が部分的に平行移動したことが判別可能な図形表示データ702を表示する。上記の図4と同様に、図形表示手段1008は、タブ譜11上の音符が変化する場合のみ図形表示データ701及び702を表示する。図形表示データ生成手段1006は、直前の図形表示データ701の各弦のフレットポジションを、今回の音符と同じフレットポジションの数が最も多くなる位置にまで平行移動したとき、同じフレットポジションの数が予め決められた閾値(例えば2)より多い場合は、平行移動したときに同じフレットポジションになる弦の位置に、平行移動したことを示す矢印図形703を付加して生成する。例えば、図形表示データ702は、下から1、3及び4番目の弦のみ右に2フレット分平行移動させることを意味する。なお、矢印図形703の表示位置はフレットポジション表示付近等も考えられるが、これに限らない。また、閾値は、定数、弦の数に応じた数にする等が考えられるが、これに限らない。以上のように、同一タイミングの音符は、複数の音高からなる和音の音符である。図形表示手段1008は、直前に表示した図形表示データ701の音符に対して、一部の音高を除き弦楽器上の相対的な操作位置が変わらずに操作位置が平行移動している場合には、相対的な操作位置が変わらない音高の部分のみが平行移動していることを示す図形表示データ702(矢印図形703を含む)を表示する。
【0033】
図7のタブ譜11の先頭の音符に対応する図形表示データ701は、弦の数が4、表示開始フレット番号が1、表示フレット数が4、第1の弦のフレットポジションが1、第2の弦のフレットポジションが1、第3の弦のフレットポジションが2、第4の弦のフレットポジションが3の情報を有する。
【0034】
図8は、五線譜800上の音符に対応させて図形表示データ801及び802を表示した楽譜表示画面の例を示す図である。上記の図3〜図7の実施形態は、弦楽器の楽譜表示を例に説明したが、鍵盤楽器の楽譜表示にも適用することができる。この場合、楽器は鍵盤楽器であり、楽譜は五線譜800である。以下、図5の実施形態を鍵盤楽器の楽譜表示に適用する例を説明する。図形表示手段1008は、直前の音符に対して鍵盤楽器上の操作位置が共通の部分と変化した部分とが判別可能になるように図形表示データ801及び802を表示する。上記の図4と同様に、図形表示手段1008は、五線譜800上の音符が変化する場合のみ図形表示データ801及び802を表示する。楽譜表示手段1005は、音符の発音タイミング、音符の縦位置、発音時間等の情報を含む音符データを基に五線譜800上の音符を表示する。図形表示指示手段1007により図形表示データの表示が指示されると、図形表示データ生成手段1006は、先頭から順に、同一発音タイミングにある音符の縦位置、調号、臨時記号等から求められる鍵番号の情報を基に、図形表示用データ801及び802を生成する。また、図形表示データ生成手段1006は、直前の音符と比較して、相違点がある場合は、押さえるべき鍵ポジションを表示する鍵盤を模した図形表示データ801及び802を生成する。図形表示手段1008は、対応する五線譜8001上の音符付近に図形表示データ801及び802を表示し、次のステップに進む。直前の音符と相違点がない場合はそのまま次のステップに進む。次のステップでは、次の発音タイミングについて順次同様の処理を行う。また、図形表示データ生成手段1006は、直前の図形表示用データ8001に対して同じ押鍵ポジションの鍵では、通常表示とは異なる図形の図形表示データ802を生成する。例えば、鍵盤の操作位置が共通の押鍵ポジションは長方形の図形を付加し、鍵盤の操作位置が異なる押鍵ポジションは円の図形を付加する。ただし、これに限らず、形状、色、記号、文字の追加等で表現する方法も考えられる。上記では共通する押鍵ポジションに対して通常状態と異なる表示する例を示したが、相違する押鍵ポジションに対して通常状態と異なる表示にしたり、共通する押鍵ポジション及び相違する押鍵ポジションの両方を通常状態とそれぞれ異なる表示にしてもよい。
【0035】
鍵盤楽器の場合、楽譜表示手段1005は、五線譜(楽譜)800の音符データを基に五線譜800上の音符を表示する。図形表示データ生成手段1006は、五線譜800の音符データを基に鍵盤楽器上の操作位置を示す図形表示データ801及び802を生成する。図形表示指示手段1007は、図形表示データ801及び802の表示を指示する。図形表示手段1008は、図形表示指示手段1007により指示されると、表示された五線譜800上の音符に対応させて図形表示データ801及び802を表示する。
【0036】
図形表示手段1008は、五線譜800上の音符がその直前の音符と相違している場合にのみ五線譜800上の音符に対応させて図形表示データ801及び802を表示する。同一タイミングの音符は、複数の音高からなる和音の音符である。図形表示手段1008は、直前に表示した図形表示データ801の音符に対して、鍵盤楽器上の操作位置が共通の部分と変化した部分とが判別可能になるように今回の音符の図形表示データ802を表示する。
【0037】
なお、上記では、4本の弦の弦楽器のタブ譜を例に説明したが、これに限定されない。当然、6本の弦の弦楽器のタブ譜にも適用することができる。また、楽譜表示装置は、弦楽器及び鍵盤楽器以外の楽器の楽譜表示にも適用することができる。
【0038】
本実施形態によれば、楽譜上の音符に対応させて図形表示データを表示することにより、楽器上の操作位置を容易に把握することができ、音符を容易に読み取ることができる。これにより、演奏が容易になる。また、図4〜図8のように、直前の音符に対して今回の音符が変化したときのみ図形表示データを生成及び表示することにより、必要以上に楽譜が煩雑にならず、より演奏しやすい楽譜を表示できる。また、図5及び図8のように操作位置が変化した部分のみ図形表示データを表示したり、図6及び図7のように操作位置が平行移動したことを示す図形表示データを表示することにより、より操作位置の把握が容易な楽譜を表示できる。
【0039】
本実施形態は、図9のコンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体又はかかるプログラムを伝送するインターネット等の伝送媒体も本発明の実施形態として適用することができる。また、上記のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。上記のプログラム、記録媒体、伝送媒体及びコンピュータプログラムプロダクトは、本発明の範疇に含まれる。記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0040】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】タブ譜入力画面の例を示す図である。
【図2】音符入力ボタンのクリック後のタブ譜入力画面の例を示す図である。
【図3】タブ譜上の音符に対応させて図形表示データを表示した楽譜表示画面の例を示す図である。
【図4】タブ譜上の音符が変化する場合のみ図形表示データを表示する例を示す図である。
【図5】直前の音符に対して弦楽器上の操作位置が共通の部分と変化した部分とが判別可能になるように図形表示データを表示する例を示す図である。
【図6】弦楽器上の操作位置が平行移動したことが判別可能な図形表示データを表示する例を示す図である。
【図7】弦楽器上の操作位置が部分的に平行移動したことが判別可能な図形表示データを表示する例を示す図である。
【図8】五線譜上の音符に対応させて図形表示データを表示した楽譜表示画面の例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態による楽譜表示装置(コンピュータ)のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図10】コンピュータプログラムの機能を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0042】
1 入力キャレット
2 フレットボード
3 音符パレット
4 音符入力ボタン
5 図形表示ボタン
11 タブ譜
12 タブ譜入力パネル
13 音符
301〜305 音符
311〜315 図形表示データ
1001 入力位置指定手段
1002 ポジション指定手段
1003 音符指定手段
1004 音符入力指示手段
1005 楽譜表示手段
1006 図形表示データ生成手段
1007 図形表示指示手段
1008 図形表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽譜の音符データを基に楽譜上の音符を表示する楽譜表示手段と、
前記楽譜の音符データを基に楽器上の操作位置を示す図形表示データを生成する図形表示データ生成手段と、
前記図形表示データの表示を指示する図形表示指示手段と、
前記図形表示指示手段により指示されると、前記表示された楽譜上の音符に対応させて前記図形表示データを表示する図形表示手段と
を有することを特徴とする楽譜表示装置。
【請求項2】
前記楽譜はタブ譜であり、前記図形表示データは弦楽器上の操作位置を示すことを特徴とする請求項1記載の楽譜表示装置。
【請求項3】
前記楽譜は五線譜であり、前記図形表示データは鍵盤楽器上の操作位置を示すことを特徴とする請求項1記載の楽譜表示装置。
【請求項4】
前記図形表示手段は、前記楽譜上の音符がその直前の音符と相違している場合にのみ前記楽譜上の音符に対応させて前記図形表示データを表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の楽譜表示装置。
【請求項5】
前記音符は、複数の音高からなる和音の音符であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の楽譜表示装置。
【請求項6】
前記図形表示手段は、直前に表示した図形表示データの音符に対して、楽器上の操作位置が共通の部分と変化した部分とが判別可能になるように今回の音符の図形表示データを表示することを特徴とする請求項5記載の楽譜表示装置。
【請求項7】
前記図形表示手段は、直前に表示した図形表示データの音符に対して、楽器上の相対的な操作位置が変わらずに操作位置が平行移動している場合には、操作位置が平行移動していることを示す図形表示データを表示することを特徴とする請求項5又は6記載の楽譜表示装置。
【請求項8】
前記図形表示手段は、直前に表示した図形表示データの音符に対して、一部の音高を除き楽器上の相対的な操作位置が変わらずに操作位置が平行移動している場合には、相対的な操作位置が変わらない音高の部分のみが平行移動していることを示す図形表示データを表示することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の楽譜表示装置。
【請求項9】
楽譜の音符データを基に楽譜上の音符を表示する楽譜表示ステップと、
前記楽譜の音符データを基に楽器上の操作位置を示す図形表示データを生成する図形表示データ生成ステップと、
前記図形表示データの表示を指示する図形表示指示ステップと、
前記図形表示指示ステップにより指示されると、前記表示された楽譜上の音符に対応させて前記図形表示データを表示する図形表示ステップと
を有することを特徴とする楽譜表示方法。
【請求項10】
楽譜の音符データを基に楽譜上の音符を表示する楽譜表示ステップと、
前記楽譜の音符データを基に楽器上の操作位置を示す図形表示データを生成する図形表示データ生成ステップと、
前記図形表示データの表示を指示する図形表示指示ステップと、
前記図形表示指示ステップにより指示されると、前記表示された楽譜上の音符に対応させて前記図形表示データを表示する図形表示ステップと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−122616(P2010−122616A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298328(P2008−298328)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】