説明

構内交換機におけるトランク捕促方式

【発明の詳細な説明】
[概要]
外線トランクへの発信についてコールバイコールに課金することができる構内交換機であって、構内交換機の外線トランクと接続する公衆電話交換機の加入電話回線の使用料が基本度数内では同一である場合の構内交換機のトランク捕捉方式に関し、外線トランクへの発信がある毎に各外線トランク毎の度数情報を基にして最適な外線トランクを選択して接続する構内交換機におけるトランク捕捉方式を提供することを目的とし、 公衆電話交換機の加入電話回線の所定期間の使用料が基本度数まで固定料金である方式の加入電話回線にそれぞれ接続する外線トランクを複数個備えた構内交換機におけるトランク捕捉方式において、交換機の制御装置に課金対象となる各トランク毎にそれまでの度数情報を蓄積する度数記憶部を備え、外線トランクへの発信時に、最低度数トランク検出部により空き状態の外線トランクの中から上記度数記憶部をチェックして、使用度数が基本度数以下でありかつ最も少ない度数の外線トランクを検出し、検出した外線トランクと発信電話機とを接続制御部の制御により接続し、通話終了後度数計算部により該通話に対する度数計算を行って前記度数記憶部の内容を更新するよう構成する。
[産業上の利用分野]
本発明は、外線トランクへの発信についてコールバイコールに課金することができる構内交換機であって、構内交換機の外線トランクと接続する公衆電話交換機の加入電話回線の使用料が基本度数内では同一である場合の構内交換機のトランク捕捉方式に関する。
構内交換機には公衆電話交換機へ接続された外線(局線)に接続されたトランクが設けられ、構内の電話機から特番(通常数字の0)をダイヤルすることによりトランクに接続され、その後相手の電話番号をダイヤルすることにより接続が行われる。その場合、各トランクに接続された回線は公衆電話交換機により通話度数に応じて使用料(通話料)が課される。その回線使用料(または通話料金)としては、我が国では従来通話度数に比例した料金(度数×単位料金)が課される(基本料は別に課す)。ところが、最近他の料金体系により課金を行うことが提案されており、その方式では回線の使用料(通話料)として、一定の度数までは同一料金とし、それ以上の度数については度数に比例した料金を課すという方式である。
そのような料金体系においては、多数の公衆電話回線を収容する構内交換機から通話を行う場合に従来と同様に外線(局線)を使用することは不経済となり、効果的な接続を行うことが望まれている。
[従来の技術]
従来の構成図を第4図に示す。
第4図の構内交換機40には複数の内線電話機41〜43が収容され、さらに公衆交換機46と接続する外線トランク44、45・・が複数収容され、構内交換機40の内線電話機41から外線へ接続するには、電話機41から特番(0番)をダイヤルする。これにより、例えば空きの外線トランク44が捕捉され、公衆交換機46の発信レジスタトランクから発信音が送られてくる。この後は相手電話番号をダイヤルすることにより市内、市外の相手に接続される。従来はこのような構内交換機40に収容されたトランク44、45に接続された各電話回線47、48は構内交換機からの通話が行われる毎(コールバイコール)に回線別に通話に応じた度数が加算されて、毎月1回度数に応じた使用料が構内交換機40の利用者に請求されている。
ところが、最近公衆回線の運用者が増え、その中に公衆交換機に収容する加入電話回線の使用料の体系が従来と異なる方式を採ることが考慮されている。その中で、各通話に対して距離と時間により度数が計算され、一定期間(1ヵ月)の通話度数が一定の度数(基本度数という)以下なら同じ料金にし、それを越える分については度数に比例する料金を加算するという方式が考えられている。これは、一定の度数以下の場合でもコストがかかるので一種の基本料金として課金を行うものである。その新しい回線使用料を説明する図を第5図に示す。
この第5図に示されるように、通話度数がK以下の場合料金は一定の基本料が課され、その度数Kを越えた分については度数に比例した料金が加算される。
[発明が解決しようとする課題]
第4図の従来の構成によると、各外線44、45・・は発信電話機からの特番ダイヤルに対して、一定の順序で、空き塞がりのチェックを行い、最初に空きである外線を捕捉して市内または市外への電話接続が実行されるので、例えば外線の若番順(若い番号)にトランクの捕捉を行うと、一定期間内のトランクの使用率が若番程高くなる。そうすると、第5図に示すように外線トランク(公衆回線の加入回線)の通話度数として、若番のトランクの方が基本度数Kに達してしまい、他のトランクがまだ基本度数Kにならない状態が生ずる。また、構内交換機が外線トランクの捕捉をランダムに選ぶように変更したとしても同様に基本度数に達するものと、達しないものが生じる。
その場合、基本度数に達したトランクを捕捉すると、度数が新たに加算されて料金は基本料に新たな度数に比例した料金が加算される。ところが、他の外線トランクの場合は、まだ基本度数に達してないので、そのトランクを通して公衆交換機に接続する方が経済的であることは明らかである。このように、構内交換機において従来のような方式で外線トランクを捕捉すると回線毎のコストが不均一になり、一部の外線トランクの使用料だけ高くなり、構内交換機の運用上問題があった。本発明は、外線トランクへの発信がある毎に各外線トランク毎の度数情報を基にして最適な外線トランクを選択して接続する構内交換機におけるトランク捕捉方式を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段]
第1図は本発明の原理的構成図を示す。
10は交換機のネットワーク、11は交換機の制御装置、12は回線状態保持部、13は接続制御部、14は最低度数トランク検出部、15は度数記憶部、16は度数計算部、17、18は外線トランク、19は発信レジスタトランクを表す。
各外線トランク17、18はそれぞれ図示されない公衆交換機に収容された電話回線により接続され、各回線の使用料が基本度数(Kとする)以下の場合は同一料金で、それを越える度数に対しては越えた度数に単価をかけた料金が加算されるものとする。
度数記憶部15には、各外線トランクの現在の度数(一定期間毎にクリアされる)が格納され、各通話毎の度数がその都度加算される。
本発明は、制御装置に各外線トランクの度数が個別に記憶された度数記憶部を備え、外線への発信が行われるとその時の各トランクの度数を調べ基本度数に達してないトランクの中で最も低い度数のトランクを検出し、発信電話機をそのトランクに接続して通話を行わせ、通話終了時に通話度数計算をして度数記憶部の内容を更新するものである。
[作用]
交換機の電話機Aから発信すると発信レジスタトランク19に接続され、発信電話機Aからのダイヤル情報が受信される。受信したダイヤルが特番(0ダイヤル)であることを制御装置11の接続制御部13で識別すると、最低度数トランク検出部14が起動して検出動作を開始する。
最低度数トランクの検出は、外線トランクの最初(若番)のトランクについて回線状態保持部12の回線空き塞がり状態を表す情報を調べ、空き状態である場合、度数記憶部15に格納されているそのトランクの度数(または通話料金)を読出して、基本度数Kより小さいかどうかを判別する。
Kより小さい場合は、その数値とトランク情報を保持して、次のトランクについて同様に判別し、Kと等しいか大きい場合はそのトランクについての検出動作は行わず次のトランクについて調べる。Kより小さい度数が検出されて最低度数トランク検出部14に保持されると、それ以後のトランクの度数がKより小さいことが判別された時は、その新しい度数と前に保持された度数とを比較して新しい度数の方が小さい場合はその度数とトランク情報を保持して、前に保持された内容はクリアされる。
こうして全ての外線トランクについて検出動作が行われると、最後に最低度数トランク検出部14には最低度数のトランク情報が得られ、この検出情報を接続制御部13に供給すると、接続制御部13では発信電話機Aと検出されたトランク情報に基づき接続制御を行って、ネットワーク10上で両者の接続路を形成する。
接続路が形成されて、電話機Aからダイヤル(市内または市外への接続)すると、当該交換機においてもトランクを介してダイヤル情報を検出し通話の開始時間情報とともに度数計算部16に供給する。度数計算部16は通話終了により終話時間情報が得られると、そのトランクについての通話度数を計算して、得られた度数(その時の通話度数)は度数記憶部15の内容に加算されて再び記憶される。
[実施例]
本発明の実施例構成図を第2図に示す。
第2図の20−1〜20−pは構内交換機の内線電話機、21は交換機のネットワーク、22は情報受信分配装置(SRDで表示)、23は制御装置(メモリを含む)、24〜26は外線トランク(TRK1〜TRKmで表示)、27は発信レジスタトランク(ORTで表示)を表す。
第2図の各外線トランク24〜26は公衆交換機に収容された回線と接続され、その使用料の体系は第1図の場合と同様に基本度数以下の場合同一料金となっている。
制御装置23には制御処理を行う装置の他のトランクや電話機の空、塞の状態を記憶するメモリ231と各外線トランクの通話度数の積算値(所定時期に初期化される)を記憶するメモリ232が備えられている。また、交換機の各トランク24〜27、ネットワーク21と制御装置23とは情報受信分配装置22(以下、SRDという)を介して接続され、各種の情報がこの情報受信分配装置22を通って授受される。
第2図の動作を第3図(a)に示す制御装置の制御フロー図と、第3図(b)に示す接続トランク判別フロー図を用いて説明する。
電話機20−1から発信するとネットワークの内のライン回路により検出され、制御装置23に通知され、発信レジスタトランク(以下、ORTという)27との接続をネットワーク21に指示する。この後、発信電話機20−1から最初のダイヤルが受信されると、ORT27からSRD22を通って制御装置23に与えられる。制御装置23はこの内容が特番ダイヤル(通常数字0)か否かを判断(第3図(a)の320)して、そうであれば度数情報に基づき接続トランクを判別し(同340)、そうでなければその後のダイヤルに応じた相手への接続を行う(同330)。
この接続トランクの判別フローを第3図(b)により説明すると、最初変数レジスタnに1をセットし(第3図(b)の341)、その番号の外線トランク(以下、TRKという)の番号のTRKn、この場合TRK1の状態をメモリ231の番号1を参照して調べる。即ち、メモリ231の1番の状態情報が空き(“1")かどうか判別する。その状態情報が“0"で塞がり状態(ビジー)であれば変数レジスタnを+1して、次のトランク番号2について判別を行う。空き状態(“1")の場合、そのTRKnの度数情報Cn(この場合C1)をメモリ232から読みだして、基本度数であるKより小さいかどうか判別する(同343)。もしKより小さい場合は、最低値レジスタMi(初期値はKが設定されている)の数値より小さいかが判別されて(同344)、最初はKの値より小さいのでレジスタMiの数値部にそのC1の度数が書き込まれる(Kは消去される)。また、この時、そのトランクの番号である1が最低トランク番号部レジスタTiに書き込まれる(同345)。
次にレジスタnの内容がプラス1されて(同346)、その数が外線トランクの総数Nを越えているか判別し(同347)、越えてなければ次のトランク番号2(TRK2)について同様の処理を行い、順次空きの外線トランクについて度数を調べて、全ての外線トランクの判別が終了すると最低トランク番号レジスタTiの内容が出力される(同348)。
ここで、第3図(a)に移ってその判別トランク情報を用いて制御装置23はネットワーク21に対して発信端末(電話機)との接続路を形成する制御信号をSRD22を介して指示する。これにより、発信電話機20−1は最低度数の外線トランクを通って公衆交換機に接続され、その交換機からのダイヤルトーンを聞いてダイヤルを行う。この時、その外線トランクを介してそのダイヤル信号を検出し(第3図(a)360)、通話相手の帯域(市内または市外番号)を識別して記録する(後の度数計算に利用)。
次に相手が応答すると、回線の極性反転により検出し、その外線トランクよりSRD22を通って制御装置23に与えられ、その時間情報を記録し、通話が終了すると制御装置23はその時間情報を同様に記録して、通話度数の計算を実行する(同390)。通話度数の計算は従来から行われている方法により、帯域情報から1度数当たりの時間を得て、通話時間(終了時間−開始時間)から度数を算出する。
次にメモリ232に格納されている当該外線トランクの前回迄の度数を取り出して、上記算出された今回の度数と加算して、その結果をメモリ232の元の位置に格納することにより度数の更新を行う(同400)。
[発明の効果]
本発明によれば回線毎に一定度数まで基本料金が同一になっている場合、回線使用料金が最も安価になる様に外線トランクを自動的に選択することができ、電話による通話コストを低減化する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の原理的構成図、第2図は本発明の実施例構成図、第3図(a)は制御装置の制御フロー図、第3図(b)は接続トランク判別フロー図、第4図は従来の構成図、第5図は新しい回線使用料を説明する図である。
第1図中、
10:ネットワーク
11:制御装置
12:回線状態保持部
13:接続制御部
14:最低度数トランク検出部
15:度数記憶部
16:度数計算部
17、18:外線トランク
19:発信レジスタトランク

【特許請求の範囲】
【請求項1】公衆電話交換機の加入電話回線の所定期間の使用料が基本度数まで固定料金である方式の加入電話回線にそれぞれ接続する外線トランク(17,18)を複数個備えた構内交換機におけるトランク捕捉方式において、交換機の制御装置(11)に課金対象となる各トランク毎にそれまでの度数情報を蓄積する度数記憶部(15)を備え、外線トランクへの発信時に、最低度数トランク検出部(14)により空き状態の外線トランクの中から上記度数記憶部(15)をチェックして、使用度数が基本度数以下でありかつ最も少ない度数の外線トランクを検出し、検出した外線トランクと発信電話機とを接続制御部(13)の制御により接続し、通話終了後度数計算部(16)により該通話に対する度数計算を行って前記度数記憶部(15)の内容を更新することを特徴とする構内交換機におけるトランク捕捉方式。

【第4図】
image rotate


【第1図】
image rotate


【第2図】
image rotate


【第3図(a)】
image rotate


【第3図(b)】
image rotate


【第5図】
image rotate


【特許番号】第2539881号
【登録日】平成8年(1996)7月8日
【発行日】平成8年(1996)10月2日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−64344
【出願日】昭和63年(1988)3月17日
【公開番号】特開平1−236853
【公開日】平成1年(1989)9月21日
【出願人】(999999999)富士通株式会社
【参考文献】
【文献】特開昭63−74251(JP,A)
【文献】特開昭61−251398(JP,A)