構造体
【課題】強度を向上させることが可能な例えば腰下等の構造体を提供すること。
【解決手段】腰下1は、滑材2とロード3と拘束部材を備える。滑材2は、断面逆ハット状で、2つの第1フランジ部が複数の第1長孔を有する。ロード3は、断面ハット状で、2つの第2フランジ部が、2つの第1フランジ部と重なり、第1長孔と交差する複数の第2長孔を有する。拘束部材は、第1長孔と第2長孔との交差部に挿入され、これらの長孔間の相対移動を拘束する。第1フランジ部と第2フランジ部との重合部に、拘束部材が挿入された少なくとも3つの交差部が設けられ、これらの交差部は、第1フランジ部の両方かつ第2フランジ部の両方に形成される。
【解決手段】腰下1は、滑材2とロード3と拘束部材を備える。滑材2は、断面逆ハット状で、2つの第1フランジ部が複数の第1長孔を有する。ロード3は、断面ハット状で、2つの第2フランジ部が、2つの第1フランジ部と重なり、第1長孔と交差する複数の第2長孔を有する。拘束部材は、第1長孔と第2長孔との交差部に挿入され、これらの長孔間の相対移動を拘束する。第1フランジ部と第2フランジ部との重合部に、拘束部材が挿入された少なくとも3つの交差部が設けられ、これらの交差部は、第1フランジ部の両方かつ第2フランジ部の両方に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、機械類や鋼製品などの貨物を輸送する輸送容器に好適な腰下等の構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば機械類や鋼製品などの貨物を輸送する場合、これら貨物を載置固定するために腰下と呼ばれる部材が使用される。
【0003】
この腰下の構成は貨物の種類等によって色々なものが提案されているが、例えば、特許文献1に開示された腰下は、複数本の断面コ字状の滑材とロードが井桁状に上下に組み合わされ固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−306469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の腰下は、滑材とロードが横向きの開口部を有する断面コ字状の鋼材である。このため、荷重がかかると滑材とロードの開口部が変形する可能性がある。また、滑材とロードは、断面が横向きの開口部を有するため鉛直線を対称軸とする線対称形ではないため、下向き荷重によりねじれる可能性がある。このため、特許文献1の腰下は、強度面で更に改良の余地があるものであった。
【0006】
同様の問題は、腰下に限らず、断面コ字状の鋼材を組み合わせて製作する構造体に共通するものである。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、強度を向上させることが可能な構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の構造体は、断面逆ハット状部位における2つの第1フランジ部の各々が、複数の第1長孔を有する第1部材と、断面ハット状部位における2つの第2フランジ部が前記第1フランジ部の両方と重なり、前記第1長孔と交差する複数の第2長孔を各第2フランジ部が有する第2部材と、前記第1長孔と第2長孔との交差部に挿入され、これらの長孔間の相対移動を拘束する拘束部材とを備え、前記第1フランジ部と第2フランジ部との重合部に、前記拘束部材が挿入された少なくとも3つの交差部が設けられ、これらの交差部は、第1フランジ部の両方かつ第2フランジ部の両方に形成されたことを特徴とする。
【0009】
この構成では、第1部材が断面逆ハット状部位と第2部材が断面ハット状部位を有する。断面逆ハット状部位と断面ハット状部位は、断面が沿直線を対称軸とした略線対称なので、第1部材と第2部材が下向き荷重によるねじれに強くなる。これにより、構造体全体の強度を向上させることができる。
【0010】
また、断面ハット状部位における2つの第2フランジ部が前記第1フランジ部の両方と重なる。すなわち、この第1フランジ部と第2フランジ部との重合部では、第1部材と第2部材の開口部が塞がる。よって、この重合部は開口部が広がらないから荷重に対して強くなる。重合部は荷重が集中する部位なので、構造体が効率的に荷重に対して強くなる。これにより、構造体全体の強度を向上させることができる。
【0011】
また、第1フランジ部と第2フランジ部との重合部に、拘束部材が挿入された少なくとも3つの交差部が設けられ、これらの交差部は、第1フランジ部の両方かつ第2フランジ部の両方に形成されている。従って、三角形を成す3点で重合部が拘束されるので、重合部の接合強度が向上する。これにより、構造体全体の強度を向上させることができる。
【0012】
第1フランジ部と第2フランジ部との重合部は、拘束部材を接近させる場合に干渉するものがほとんど無いので、拘束部材の選択の自由度が広く、また、拘束部材の取り付け作業も容易となる。
【0013】
上記構成において、前記第1部材を腰下の滑材とし、前記第2部材を腰下のロードとしてもよい。
【0014】
この構成によれば、腰下において、上記の作用・効果が享受できる。
【0015】
上記構成において、前記第1長孔を、同一形状とし、前記滑材の長手方向に対して同一角度で傾斜させて等間隔で連続して配設し、前記第1フランジ部の各々において、前記滑材の長手方向で、所定の距離より第1長孔が相互に離隔するように構成し、前記所定の距離を、隣接する第1長孔について、一方の第1長孔での他方の第1長孔側端の位置と、他方の第1長孔での一方の第一長孔側端の位置との間の領域で、拘束部材が両方の第1長孔にそれぞれ使用時の態様で挿入可能な状態であって、この領域の滑材の長手方向長さが最も短くなった状態における両方の第1長孔間の距離とし、前記第2長孔を、同一形状とし、前記ロードの長手方向に対して同一角度で傾斜させて等間隔で連続して配設し、前記第1長孔と第2長孔の形状を同一とし、前記第1長孔と第2長孔の傾斜角度を同一とし、前記第1長孔と第2長孔の配設間隔を同一としてもよい。
【0016】
この構成では、第1フランジ部の各々において、所定の距離より第1長孔が相互に離隔するように構成している。これにより、第1フランジ部、ひいては滑材の強度を向上させることができる。第2フランジ部の各々においても、同様の構成なので、第2フランジ部、ひいてはロードの強度を向上させることができる。これにより、構造体全体の強度を向上させることができる。
【0017】
また、上記構成により、滑材とロードのいずれの箇所でも3点で重合部を拘束できることが期待される。換言すれば、滑材とロードは、いずれの箇所でも切断して使用できることが期待される。これにより、1種類の滑材又はロードから製作できる腰下の大きさの自由度を、大幅に向上させることが期待される(詳細は[発明を実施するための形態]参照)。
【0018】
また、4点で重合部を拘束しない場合には、腰下の製作に要する拘束部材の数量を削減し、コストと作業量を削減することができる。
【0019】
上記構成において、前記2つの第1フランジ部の間で相互に、前記第1長孔を、前記滑材の長手方向にずらし、前記2つの第2フランジ部の間で相互に、前記第2長孔を、前記ロードの長手方向にずらしてもよい。
【0020】
この構成では、滑材とロードのいずれの箇所でも3点で重合部を拘束できることが、更に期待される。
【0021】
上記構成において、前記滑材又はロードの少なくとも一方を腰下の最も外側とし、その腰下外側の第1又は第2フランジ部における腰下外側端部に、上方に立ち上がる立ち上がり部を設けてもよい。
【0022】
この構成によれば、立ち上がり部を設けた部位では、水平方向にフランジ部のエッジが無いので、安全性を向上できる。また、ダンボール等を腰下に取り付けるための取付具を立ち上がり部に掛止することができる。
【0023】
上記構成において、前記立ち上がり部を設けた滑材と、前記立ち上がり部を設けていない滑材と、前記立ち上がり部を設けたロードと、前記立ち上がり部を設けていないロードとを備え、これらの滑材とロードを同一のロールでロール成形してもよい。
【0024】
この構成では、立ち上がり部を設けた滑材と、立ち上がり部を設けていない滑材と、立ち上がり部を設けたロードと、立ち上がり部を設けていないロードとを、同一のロールでロール成形するので、成形用ロールが一対で済み、コスト削減が可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、強度を向上させることが可能な構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る腰下を示す図で、(A)が斜視図、(B)が平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る両端滑材を示す図で、(A)が斜視図、(B)が横断面図、(C)が平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る中間滑材を示す図で、(A)が斜視図、(B)が横断面図、(C)が平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るヘッダーを示す図で、(A)が斜視図、(B)が横断面図、(C)が平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る中間ロードを示す図で、(A)が斜視図、(B)が横断面図、(C)が平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るロール成形用の一対のロールについての断面図で、(A)が成形していない状態、(B)〜(D)が成形中の状態である。
【図7】(A)が、固定された状態での滑材とロードの拡大平面図で、(B)が(A)のX−X線断面図である。
【図8】図1(B)のA部の拡大図である。
【図9】図1(B)のB部の拡大図である。
【図10】図1(B)のC部の拡大図である。
【図11】図1(B)のD部の拡大図である。
【図12】本発明の実施形態に係る長孔の間隔を説明するための滑材の平面図である。
【図13】長手方向で同位置の長孔を有する滑材とロードを示す模式的な平面図である。
【図14】図13の滑材とロードを重ねた状態を示す模式的な平面図である。
【図15】(A)が上側にダンボールを固定した腰下を示す斜視図、(B)が(A)の状態の腰下をワイヤで吊り上げた状態を示す斜視図である。
【図16】(A)が図15(A)のE部の拡大図、(B)が(A)のB1−B1線矢視断面図である。
【図17】(A)が図15(A)のF部の拡大図、(B)が(A)のB2−B2線矢視断面図である。
【図18】(A)が図15(A)のG部の拡大図(蓋部は図示省略)、(B)が(A)のB3−B3線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る腰下1を示す。この腰下1は、第1部材としての直線状に延在する滑材2と、第2部材としての直線状に延在するロード3を主な構成要素とする。腰下1は、所定間隔で平行に配設された3本の滑材2の上に、これら滑材2と直角に4本のロード3を所定間隔で平行に載置固定し、井桁状に組み立てたものである。
【0029】
滑材2には、腰下1の両端部に配される両端滑材2aと、腰下1の中間部に配される中間滑材2bの2種類がある。
【0030】
図2に示すように、両端滑材2aは、第1フランジ部4を2つ有する断面逆ハット状である。詳述すれば、両端滑材2aは、上側に開口する断面コ字状の本体部5における上側の両端部からそれぞれ左右外方側に延在する平板状の第1フランジ部4が設けられている。両端滑材2aの長手方向両端面は長手方向に対して垂直となっている。
【0031】
一方の第1フランジ部4における外方側の端部に、上方に立ち上がる補強用の立ち上がり部6が設けられている。この立ち上がり部6は、腰下1として組まれた場合に、腰下1外側の第1フランジ部4における腰下1外側端部に位置する。2つの第1フランジ部4は、互いに幅が異なっており、立ち上がり部6が設けられている方が相対的にやや幅広である。
【0032】
第1フランジ部4の各々には、第1長孔7が複数形成されている。第1長孔7は、全て同一形状であり、両端滑材2aの長手方向に対して同一角度で傾斜し、両端滑材2aの長手方向に沿って等間隔で連続して配設されている。第1フランジ部4の各々において、両端滑材2aの長手方向で、後述する「所定の距離」よりも第1長孔7が相互にさらに離隔するように構成されている。
【0033】
本実施形態では、第1長孔7の形状は、矩形長孔の両端を半円に丸めた形状であり、幅6.6mm、長さ28mmである。平面視で両端滑材2aの長手方向を横方向にした場合に、第1長孔7は、右側が上側になるように傾斜している。両端滑材2aの長手方向に対する第1長孔7の傾斜角度は45°である。両端滑材2aの長手方向に沿った第1長孔7の配設間隔は、20mmである。両端滑材2aの長手方向に沿った第1長孔7の配設位置は、2つの第1フランジ部4で相互にずれており、そのずれの大きさは10mmである。各第1フランジ部4において第1長孔7の中心の両端滑材2a幅方向での位置は、全て同じである。また、各第1フランジ部4における第1長孔7の中心は、本体部5の幅方向中心から等距離に位置する。各第1フランジ部4における全ての第1長孔7の長手方向中心を結ぶ直線の相互間の距離は80mmである。
【0034】
図3に示すように、中間滑材2bは、立ち上がり部6を設けていないことと、2つの第1フランジ部4の幅が同じであること以外は、両端滑材2aと同様の構成であり、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0035】
ロード3には、腰下1の両端部に配されるヘッダー3aと、腰下1の中間部に配される中間ロード3bの2種類がある。
【0036】
図4に示すように、ヘッダー3aは、第2フランジ部8を2つ有する断面ハット状である。詳述すれば、ヘッダー3aは、下側に開口する断面コ字状の本体部9における下側の両端部からそれぞれ左右外方側に延在する平板状の第2フランジ部8が設けられている。ヘッダー3aの長手方向両端面は長手方向に対して垂直となっている。
【0037】
一方の第2フランジ部8における外方側の端部に、上方に立ち上がる補強用の立ち上がり部10が設けられている。腰下1として組まれた場合には、立ち上がり部10は、腰下1外側の第2フランジ部8における腰下1外側端部に位置する。2つの第2フランジ部8は、互いに幅が異なっており、立ち上がり部10が設けられている方が相対的にやや幅広である。
【0038】
第2フランジ部8の各々には、第2長孔11が複数形成されている。詳述すれば、第2長孔11は、全て同一形状であり、ヘッダー3aの長手方向に対して同一角度で傾斜し、ヘッダー3aの長手方向に沿って等間隔で連続して配設されている。第2フランジ部8の各々において、ヘッダー3aの長手方向で、後述する「所定の距離」よりも第2長孔11が相互にさらに離隔するように構成されている。
【0039】
本実施形態では、第2長孔11は、形状、幅、長さともに第1長孔7と同一である。平面視でヘッダー3aの長手方向を横方向にした場合に、第2長孔11は、右側が上側になるように傾斜している。ヘッダー3aの長手方向に対する第2長孔11の傾斜角度は、第1長孔7の傾斜角度と同一である。ヘッダー3aの長手方向に沿った第2長孔11の配設間隔は、第1長孔7の配設間隔と同一である。ヘッダー3aの長手方向に沿った第2長孔11の配設位置は、2つの第2フランジ部8で相互にずれており、そのずれの大きさは、第1長孔7のずれの大きさと同一である。各第2フランジ部8において第2長孔11の中心のヘッダー3a幅方向での位置は、全て同じである。また、各第2フランジ部8における第2長孔11の中心は、本体部9の幅方向中心から等距離に位置する。各第2フランジ部8における全ての第2長孔11の長手方向中心を結ぶ直線の相互間の距離は、第1長孔7の長手方向中心を結ぶ直線の相互間の距離と同一である。
【0040】
図5に示すように、中間ロード3bは、立ち上がり部10を設けていないことと2つの第2フランジ部8の幅が同じであること以外は、ヘッダー3aと同様の構成であり、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
なお、本実施形態では、中間滑材2bと中間ロード3bは、180°水平方向に回転させても、第1長孔7と第2長孔11の傾斜角度、配置間隔及びずれが変化しないので、回転前と同様に使用可能である。すなわち、中間滑材2bと中間ロード3bは、向きを気にすることなく使用可能である。また、両端滑材2aとヘッダー3aについても、180°水平方向に回転させても、第1長孔7と第2長孔11の傾斜角度、配置間隔及びずれが変化しないので、それぞれ同一材を共用している。
【0042】
滑材2とロード3の材料としては特に限定されず、例えば鋼材、樹脂等である。
【0043】
材料が例えば鋼材のように塑性変形可能な場合には、滑材2とロード3がロール成形を用いて製造可能である。この場合に、同一のロールにより滑材2とロード3をロール成形可能である。
【0044】
詳述すれば、図6(A)に示すように、ロール成形に使用する一対のロールRにおける隙間の断面が、逆ハット状で、その両端の一方(図6で左側)が上方に屈曲し、他方(図6で右側)が下方に屈曲していればよい。広い幅の帯状鋼材を、幅方向中心がこのロールRの隙間において図6の左側にずれた状態で、ロールRでロール成形すれば、図6(B)のように一端に上方への屈曲部がある逆ハット状の断面になる。すなわち、この場合には、両端滑材2aが成形可能である。
【0045】
狭い幅の帯状鋼材を、幅方向中心がこのロールRの隙間の中心に合った状態で、ロールRでロール成形すれば、図6(C)のように逆ハット状の断面になる。すなわち、この場合には、中間滑材2bと中間ロード3bが成形可能である。広い幅の帯状鋼材を、幅方向中心がこのロールRの隙間において図6の右側にずれた状態で、ロールRでロール成形すれば、図6(D)のように一端に下方への屈曲部がある逆ハット状の断面になる。この断面は反転すれば一端に上方への屈曲部があるハット状の断面になる。すなわち、この場合には、ヘッダー3aが成形可能である。
【0046】
次に、滑材2とロード3との固定部分を説明する。
【0047】
図7(A)に、模式的に、固定された状態での滑材2とロード3の拡大平面図を示す。滑材2の上方に滑材2と直交するようにロード3が載置され、それらの互いに重なっている部位で、滑材2の第1フランジ部4の第1長孔7とロード3の第2フランジ部8の第2長孔11とが交差している。この第1長孔7と第2長孔11の交差部12に、図7(B)に示すように、拘束部材としてのブラインドリベット13(リベット13と以下記す)が挿入されており、リベット13により、第1長孔7と第2長孔11の相対移動が拘束される。これにより、滑材2とロード3が固定されている。拘束部材としては、特にブラインドリベットに限定されず、例えば、ボルトとナットであってもよい。なお、図7(A)では説明の便宜上リベット13の図示を省略している。
【0048】
図8〜11に主な滑材2とロード3の固定部を示す。図8は、図1(B)のA部であり、図9は、図1(B)のB部、図10は、図1(B)のC部であり、図11は、図1(B)のD部である。いずれの場合も、滑材2とロード3の接合部14において、滑材2の2つの第1フランジ部4が、ロード3の2つの第2フランジ部8と重なっている。また、1つの接合部14において、リベット13が挿入された交差部12が3つあり、これらの交差部12は、第1フランジ部4の両方かつ第2フランジ部8の両方に存在する。リベット13が挿入された3つの交差部12を直線で結ぶと略直角三角形になる。
【0049】
また、図10に示した滑材2とロード3の接合部14では、図10で右下の第1フランジ部4と第2フランジ部8の交差部位に、リベット13が挿入可能な交差部12が形成されていない。図10以外の図8,9,11に示した滑材2とロード3の接合部14では、リベット13が挿入された3つの交差部12以外に、リベット13が挿入可能な交差部12が1つ形成されている。すなわち、滑材2とロード3の相対的位置関係によってはリベット13が挿入された交差部12を4つにすることも可能である。
【0050】
なお、図9では、中間ロード3は、図5(C)に対して180°水平方向に回転させた状態である。これは、上述のように、中間ロード3bは、180°水平方向に回転させても、第2長孔11の傾斜角度、配置間隔及びずれが変化しないからである。
【0051】
次に、前述の第1長孔7と第2長孔11についての「所定の距離」について説明する。 なお、この説明では、便宜上、滑材2の第1長孔11の形状・傾斜角度は、本実施形態と同様としているが、これに限定されるものではない。
【0052】
図12(A),(B)に示すように、2つの第1フランジ部4の間で相互に、第1長孔7が、滑材2の長手方向にずれていない場合、すなわち、第1長孔7が、滑材2の長手方向で同一位置の場合を考える。また、この滑材2は、接合対象のロード3と直交し、このロード3の第2長孔がこの第1長孔と同様の条件とする。
【0053】
滑材2とロード3との接合強度を向上するためには、接合部14で4点固定にすることが望ましい。さらに、腰下1の製作の利便性からすると、滑材2とロード3のいずれの箇所でも接合できることが望ましい。そのためには、図12(A)に示す滑材2長手方向の距離DP(デッドポイントDPと以下記す)が、図12(B)に示すように0となる必要がある。デッドポイントDPは、本実施形態では、隣接する第1長孔7について、一方の第1長孔7での他方の第1長孔7側の端部と、他方の第1長孔7での一方の第1長孔7側の端部とにおける半円の中心間の滑材2長手方向での距離である。図12(B)における滑材2の長手方向での隣接する第1長孔7の相互間の距離D(距離Dと以下記す)が前述の「所定の距離」である。なお、本実施形態の条件では、距離Dは、図12(B)での1つの第1長孔7の両端における半円の中心間の滑材2長手方向での距離と同一である。
【0054】
本実施形態では、第1長孔7の両端における半円の中心の位置は、第1長孔7における両端にリベット13を挿入した場合のリベット13の軸心位置と実質的に同一である。第1長孔7における両端の半円の直径は、滑材2とロード3との拘束時にリベット13の第1長孔7内に挿入されている円柱状部位の直径と実質的に等しい。
【0055】
しかし、「所定の距離」を規定する状態は、本実施形態では図12(B)に示す状態であるが、拘束部材の形状等により変化する。例えば、滑材2とロード3との拘束時に第1長孔7に挿入されている拘束部材の部位が、円柱状であっても直径がリベット13より小さい場合、あるいは円柱状でなく多角柱である場合等がある。
【0056】
これらの場合も本実施形態も含めて「所定の距離」を規定する状態は、滑材2の長手方向で、隣接する第1長孔7について、一方の第1長孔7での他方の第1長孔7側端の位置と、他方の第1長孔7での一方の第1長孔7側端の位置との間の領域で拘束部材が両方の第1長孔にそれぞれ使用時の態様で挿入可能な状態であって、この領域の滑材2の長手方向長さが最も短くなった状態である。ここで、使用時の態様とは、拘束部材で、滑材2とロード3とを拘束するために使用する場合の状態である。この態様には、例えば拘束部材の第1長孔7に挿入される部位が多角柱の場合であれば、第1長孔7に対する当該多角柱の側面の向き等が含まれる。
【0057】
図12(B)右側の拡大図で具体的に説明すると、滑材2の長手方向で、隣接する第1長孔7a,7bについて、第1長孔7aでの第1長孔7b側端の位置P1と、第1長孔7bでの第1長孔7a側端の位置P2との間の領域でリベット13が第1長孔7a,7bにそれぞれ使用時の態様で挿入可能な状態であって、この領域の滑材2の長手方向長さLが最も短くなった状態である。なお、図示されたリベット13は、滑材2とロード3との拘束時に第1長孔7内に挿入されている円柱状部位である。
【0058】
図12(C)で示すように、本実施形態での滑材2は、デッドポイントDPが0ではなく、短い距離ではあるが存在する。滑材2の長手方向での隣接する第1長孔7の相互間の距離は、距離Dと図12(C)でのデッドポイントDPとの和となる。すなわち、本実施形態では、滑材2において、第1フランジ部4のそれぞれで、滑材2の長手方向での隣接する第1長孔7の相互間の距離は、距離Dより大きい。
【0059】
ロード3の第2長孔11も同様の構成であるので、「所定の距離」は同様に定義され、本実施形態では、ロード3において、第2フランジ部8のそれぞれで、ロード3の長手方向での隣接する第2長孔11の相互間の距離は、距離Dより大きい。
【0060】
以上の構成により、本実施形態では以下の効果が享受できる。
【0061】
本実施形態の滑材2が断面逆ハット状でロード3が断面ハット状である。従って、滑材2とロード3は断面が沿直線を対称軸として略線対称なので、滑材2とロード3が下向き荷重に対してねじれにくくなる。これにより、腰下1全体の強度を向上させることができる。
【0062】
また、滑材2とロード3との接合部14では、滑材2とロード3の開口部が塞がる。よって、この接合部14は開口部が広がらないから荷重に対して強くなる。接合部14は荷重が集中する部位なので、腰下1が効率的に荷重に対して強くなる。これにより、腰下1全体の強度を向上させることができる。
【0063】
第1長孔7の相互間の距離と第2長孔11の相互間の距離は、距離Dより大きい。このため、第1及び第2長孔7,11の打ち抜きの際における各長孔の相互間の部位にかかる負荷が小さくなる。また、第1フランジ部及び第2フランジ部の強度も向上する。これにより、腰下1全体の強度を向上させることができる。
【0064】
本実施形態の滑材2とロード3は、リベット13が挿入された交差部12が必ず3つある接合部14を任意の位置とすることができる。換言すれば、滑材2とロード3は、任意の位置でリベット13により必ず3箇所で固定可能である。また、このことは、滑材2とロード3の長手方向の長さを自由にできることを意味する。また、組み合わせる滑材2とロード3の本数も自由にできることも意味する。従って、腰下1の大きさや強度が自由に変更可能となる。
【0065】
また、接合部14に、リベット13が挿入された交差部12が必ず3つあり、これらは略直角三角形を形成するので、接合部14の接合強度が向上する。これにより、腰下1全体の強度を向上させることができる。
【0066】
滑材2とロード3を、リベット13により4箇所でなく必ず3箇所で固定することにすれば、使用するリベット13の本数やリベット取り付け作業を削減することができる。
【0067】
腰下1の製作時に、両端滑材2aの立ち上がり部6に、ロード3の長手方向端面を当接させることにより、両端滑材2aとロード3との位置合せが容易となる。また、ロード3の長手方向端面は長手方向に垂直なので、ロード3の両端滑材2aに対する垂直度が良好となる。また、腰下1の製作時に、ヘッダー3aの立ち上がり部10の長手方向端面を、両端滑材2aの立ち上がり部6における長手方向端部の側面に合わせることにより、ヘッダー3aと両端滑材2aの位置合せが容易となる。
【0068】
上記実施形態では、2つの第1フランジ部4の間で、第1長孔7が、滑材2の長手方向にずれている。すなわち、第1長孔7が、滑材2の長手方向で同位置ではない。第2長孔11についても同様である。この条件で、滑材2とロード3は、任意の位置でリベット13により必ず3箇所で固定可能である。しかし、2つの第1フランジ部4の間で、第1長孔7が、滑材2の長手方向で同位置であり、かつ、2つの第2フランジ部8の間で、第2長孔11が、ロード3の長手方向で同位置である場合でも、同様の効果が期待される場合がある。
【0069】
例えば、図13に示すように、模式的に示したロード3を白矢印の方向に移動させ、滑材2と直交させた場合、図14に示す状態が現れる。なお、図13では、2つの第1フランジ部4の間で、第1長孔7が、滑材2の長手方向で同位置であり、かつ、2つの第2フランジ部8の間で、第2長孔11が、ロード3の長手方向で同位置である。第1長孔7と第2長孔11は中心線のみを示しており、滑材2とロード3の本体部5,9は省略している。図14では第1長孔7と第2長孔11の中心線のみを示している。
【0070】
図13は、滑材2において、第1長孔7を、滑材2の長手方向に対して45°で傾斜させて等間隔20mmで連続して配設した状態を示すものとする。各第1フランジ部4における全ての第1長孔7の中心を結ぶ直線の相互間の距離は70mmである。ロード3における第2長孔11についても同様である。
【0071】
図14(A)では、点C3では第1長孔7と第2長孔11の中心線が接するだけで交差していないが、点C1,C2,C4で第1長孔7と第2長孔11の中心線が交差しており、この3点において、リベット13により、第1長孔7と第2長孔11は拘束できる。
【0072】
図14(B)では、点C7では第1長孔7と第2長孔11の中心線が接するだけで交差していないが、点C5,C6,C8で第1長孔7と第2長孔11の中心線が交差しており、この3点において、リベット13により、第1長孔7と第2長孔11は拘束できる。
【0073】
従って、第1長孔7と第2長孔11が、長手方向で同位置であっても、適切に設計すれば、滑材2とロード3は、任意の位置でリベット13により必ず3箇所で固定可能となる。
【0074】
次に、腰下1の使用例を説明する。
【0075】
図15(A)に示すように、腰下1には、この腰下1上に載置した貨物を囲むためのダンボール20を設置することができる。ダンボール20は、壁部21と蓋部22から構成される。壁部21は、角筒状で、その下端部は、腰下1のヘッダー3aと両端滑材2aに沿って延在する。蓋部22は、上方に底を有する角筒状であり、角筒状の部位の内側で、壁部21の上端部の外側と嵌合している。
【0076】
壁部21は、ヘッダー3aの上方に位置する2つの部位23(つま部23と以下記す)と両端滑材2aの上方に位置する2つの部位24(側部24と以下記す)とから構成される。壁部21の各側部24は、両端滑材2aの長手方向中央位置で上下方向に2つに分割されている。
【0077】
図15(A)の右下に拡大して示すように、壁部21のつま部23と側部24の境界(角部)の下端には切り欠き25が形成されている。この切り欠き25を境界として、壁部21のつま部23の下端は、ヘッダー3aの立ち上がり部10の内側に沿って延在する。一方、切り欠き25を境界として、壁部21の側部24の下端は、両端滑材2aの立ち上がり部6の外側に沿って延在する。
【0078】
壁部21の各つま部23の下端は、2つのつま部用取付具30を介して、ヘッダー3aの立ち上がり部10に取り付けられている。図16に拡大して示すように、つま部用取付具30は、上側に開口した断面コ字状の本体部30aと、本体部の上側一端に形成された断面逆U字状の掛止部30bと、本体部30aの上側他端に形成された上側に向かって漸次掛止部30bから離隔する斜板部30cとから成る。本体部30aの底部でつま部23の下端を支持し、掛止部30bは本体部30aを立ち上がり部10に掛止する。斜板部30cはつま部23の側面を支持すると共に、つま部23の下端を本体部30aに挿入し易くする機能を有する。
【0079】
壁部21の各側部24の下端は、2つの側部用取付具31を介して、両端滑材2aの立ち上がり部6に取り付けられている。図17に示すように、側部用取付具31は、上側に開口した断面コ字状の本体部31aと、本体部31aの上側一端に形成された断面逆U字状の掛止部31bと、掛止部31bの下端に形成された下側に向かって漸次本体部31aから離隔する斜板部31cとから成る。本体部31aにおける掛止部31bとは反対側の側板部には3箇所にエンボス加工により本体部31a内側に突出するエンボス部31dが形成されている。本体部31aの底部は側部24の下端を支持し、掛止部31bは本体部31aを立ち上がり部6に掛止する。斜板部31cは、掛止部31bを立ち上がり部6に嵌合し易くする機能を有する。エンボス部31dは側部24の側面を支持する機能を有する。
【0080】
図15、図18に示すように、壁部21の側部24における分割された分割部24aの上端は、連結具32により連結されている。分割部24aのその他の部位は例えばガムテープ等により連結されている(図示省略)。図18に拡大して示すように、連結具32は、下側に開口した断面コ字状であり、側部24の内側の側板部が、側部24の外側の側板部より長い。側部24の外側の側板には4箇所にエンボス加工により連結具32内側に突出するエンボス部32aが形成されている。エンボス部32aは側部24の側面を支持する機能を有する。
【0081】
図15(A)に示すように、ダンボール20は、上記態様で、腰下1に、2つの例えば樹脂バンドTにより固定される。詳述すれば、2つの樹脂バンドTはそれぞれ、両端滑材2aの本体部5内を挿通して、腰下1のロード3とダンボール20の蓋部22と2つのつま部23とを固定する。
【0082】
ダンボール20の組み立て方を以下に説明する。
【0083】
まず、ダンボール20の壁部21における分割された一方の部位の組み立て方を説明する。この部位は、つま部23の両端に分割された側部24を有し、その境界部分が屈曲しやすい一枚のダンボールである。最初に、2つのつま部用取付具30の掛止部30bを、1つのヘッダー3aの立ち上がり部10に嵌合させる。次に、2つの側部用取付具31のそれぞれの本体部31aを、両端の側部24下端に嵌合させる。この状態で、ダンボール20のつま部23の下端を、ヘッダー3aに取り付けたつま部23用取付部の本体部30aに挿入すると共に、側部24下端に取り付けた側部用取付具31の掛止部31bを両端滑材2aの立ち上がり部6に嵌合させる。この際に、つま部用取付具30の斜板部30cにより、つま部23の下端を本体部30aに挿入しやすい。また、側部用取付具31の斜板部31cにより、側部用取付具31の掛止部31bを立ち上がり部6に嵌合させ易い。
【0084】
分割されたダンボール20の壁部21における他方の部位の組み立ても同様に行なう。次に、ダンボール20の壁部21における分割部24aの上端を連結具32により連結する。そして例えばガムテープで分割部24aにおける上端以外の部位を連結する。その後に、ダンボール20の壁部21の上端に、予め製作された蓋部22を嵌合させる。
【0085】
図15(A)に示したダンボール20を載置した腰下1は、図15(B)に示すように、例えばワイヤWを両端滑材2aの第1フランジ部4と本体部5の境界に係合させて、そのワイヤWを例えばクレーンにより吊り上げて移動させる。本実施形態では、天梁と呼ばれる部材Hを、ダンボール20の蓋部22上に載置する。天梁Hは、ヘッダー3a上方のダンボール20の蓋部22における一対の辺に沿う一対の棒材H1とそれらに対して直角を成すと共にそれらを連結する一対の棒材H2からなり、一対の棒材H1にワイヤWを係合させる。これにより、天梁Hは、ダンボール20がワイヤ吊りによる絞り荷重に耐えられるようにする。天梁Hは、必要に応じてダンボール20内に配設してもよいし、また、使用しなくてもよい。
【0086】
上記実施形態では、本発明を、構造体としての腰下1に適用しているが、これには限定されず、類似の構造を有する構造体であれば適用可能である。
【0087】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内であれば、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 腰下(構造体)
2 滑材(第1部材)
2a 両端滑材
2b 中間滑材
3 ロード(第2部材)
3a ヘッダー
3b 中間ロード
4 第1フランジ部
5 本体部
6 立ち上がり部
7 第1長孔
8 第2フランジ部
9 本体部
10 立ち上がり部
11 第2長孔
12 交差部
13 ブラインドリベット(拘束部材)
L 領域の長さ
P1 第1長孔端の位置
P2 第1長孔端の位置
R 成形用ロール
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、機械類や鋼製品などの貨物を輸送する輸送容器に好適な腰下等の構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば機械類や鋼製品などの貨物を輸送する場合、これら貨物を載置固定するために腰下と呼ばれる部材が使用される。
【0003】
この腰下の構成は貨物の種類等によって色々なものが提案されているが、例えば、特許文献1に開示された腰下は、複数本の断面コ字状の滑材とロードが井桁状に上下に組み合わされ固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−306469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の腰下は、滑材とロードが横向きの開口部を有する断面コ字状の鋼材である。このため、荷重がかかると滑材とロードの開口部が変形する可能性がある。また、滑材とロードは、断面が横向きの開口部を有するため鉛直線を対称軸とする線対称形ではないため、下向き荷重によりねじれる可能性がある。このため、特許文献1の腰下は、強度面で更に改良の余地があるものであった。
【0006】
同様の問題は、腰下に限らず、断面コ字状の鋼材を組み合わせて製作する構造体に共通するものである。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、強度を向上させることが可能な構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の構造体は、断面逆ハット状部位における2つの第1フランジ部の各々が、複数の第1長孔を有する第1部材と、断面ハット状部位における2つの第2フランジ部が前記第1フランジ部の両方と重なり、前記第1長孔と交差する複数の第2長孔を各第2フランジ部が有する第2部材と、前記第1長孔と第2長孔との交差部に挿入され、これらの長孔間の相対移動を拘束する拘束部材とを備え、前記第1フランジ部と第2フランジ部との重合部に、前記拘束部材が挿入された少なくとも3つの交差部が設けられ、これらの交差部は、第1フランジ部の両方かつ第2フランジ部の両方に形成されたことを特徴とする。
【0009】
この構成では、第1部材が断面逆ハット状部位と第2部材が断面ハット状部位を有する。断面逆ハット状部位と断面ハット状部位は、断面が沿直線を対称軸とした略線対称なので、第1部材と第2部材が下向き荷重によるねじれに強くなる。これにより、構造体全体の強度を向上させることができる。
【0010】
また、断面ハット状部位における2つの第2フランジ部が前記第1フランジ部の両方と重なる。すなわち、この第1フランジ部と第2フランジ部との重合部では、第1部材と第2部材の開口部が塞がる。よって、この重合部は開口部が広がらないから荷重に対して強くなる。重合部は荷重が集中する部位なので、構造体が効率的に荷重に対して強くなる。これにより、構造体全体の強度を向上させることができる。
【0011】
また、第1フランジ部と第2フランジ部との重合部に、拘束部材が挿入された少なくとも3つの交差部が設けられ、これらの交差部は、第1フランジ部の両方かつ第2フランジ部の両方に形成されている。従って、三角形を成す3点で重合部が拘束されるので、重合部の接合強度が向上する。これにより、構造体全体の強度を向上させることができる。
【0012】
第1フランジ部と第2フランジ部との重合部は、拘束部材を接近させる場合に干渉するものがほとんど無いので、拘束部材の選択の自由度が広く、また、拘束部材の取り付け作業も容易となる。
【0013】
上記構成において、前記第1部材を腰下の滑材とし、前記第2部材を腰下のロードとしてもよい。
【0014】
この構成によれば、腰下において、上記の作用・効果が享受できる。
【0015】
上記構成において、前記第1長孔を、同一形状とし、前記滑材の長手方向に対して同一角度で傾斜させて等間隔で連続して配設し、前記第1フランジ部の各々において、前記滑材の長手方向で、所定の距離より第1長孔が相互に離隔するように構成し、前記所定の距離を、隣接する第1長孔について、一方の第1長孔での他方の第1長孔側端の位置と、他方の第1長孔での一方の第一長孔側端の位置との間の領域で、拘束部材が両方の第1長孔にそれぞれ使用時の態様で挿入可能な状態であって、この領域の滑材の長手方向長さが最も短くなった状態における両方の第1長孔間の距離とし、前記第2長孔を、同一形状とし、前記ロードの長手方向に対して同一角度で傾斜させて等間隔で連続して配設し、前記第1長孔と第2長孔の形状を同一とし、前記第1長孔と第2長孔の傾斜角度を同一とし、前記第1長孔と第2長孔の配設間隔を同一としてもよい。
【0016】
この構成では、第1フランジ部の各々において、所定の距離より第1長孔が相互に離隔するように構成している。これにより、第1フランジ部、ひいては滑材の強度を向上させることができる。第2フランジ部の各々においても、同様の構成なので、第2フランジ部、ひいてはロードの強度を向上させることができる。これにより、構造体全体の強度を向上させることができる。
【0017】
また、上記構成により、滑材とロードのいずれの箇所でも3点で重合部を拘束できることが期待される。換言すれば、滑材とロードは、いずれの箇所でも切断して使用できることが期待される。これにより、1種類の滑材又はロードから製作できる腰下の大きさの自由度を、大幅に向上させることが期待される(詳細は[発明を実施するための形態]参照)。
【0018】
また、4点で重合部を拘束しない場合には、腰下の製作に要する拘束部材の数量を削減し、コストと作業量を削減することができる。
【0019】
上記構成において、前記2つの第1フランジ部の間で相互に、前記第1長孔を、前記滑材の長手方向にずらし、前記2つの第2フランジ部の間で相互に、前記第2長孔を、前記ロードの長手方向にずらしてもよい。
【0020】
この構成では、滑材とロードのいずれの箇所でも3点で重合部を拘束できることが、更に期待される。
【0021】
上記構成において、前記滑材又はロードの少なくとも一方を腰下の最も外側とし、その腰下外側の第1又は第2フランジ部における腰下外側端部に、上方に立ち上がる立ち上がり部を設けてもよい。
【0022】
この構成によれば、立ち上がり部を設けた部位では、水平方向にフランジ部のエッジが無いので、安全性を向上できる。また、ダンボール等を腰下に取り付けるための取付具を立ち上がり部に掛止することができる。
【0023】
上記構成において、前記立ち上がり部を設けた滑材と、前記立ち上がり部を設けていない滑材と、前記立ち上がり部を設けたロードと、前記立ち上がり部を設けていないロードとを備え、これらの滑材とロードを同一のロールでロール成形してもよい。
【0024】
この構成では、立ち上がり部を設けた滑材と、立ち上がり部を設けていない滑材と、立ち上がり部を設けたロードと、立ち上がり部を設けていないロードとを、同一のロールでロール成形するので、成形用ロールが一対で済み、コスト削減が可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、強度を向上させることが可能な構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る腰下を示す図で、(A)が斜視図、(B)が平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る両端滑材を示す図で、(A)が斜視図、(B)が横断面図、(C)が平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る中間滑材を示す図で、(A)が斜視図、(B)が横断面図、(C)が平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るヘッダーを示す図で、(A)が斜視図、(B)が横断面図、(C)が平面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る中間ロードを示す図で、(A)が斜視図、(B)が横断面図、(C)が平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係るロール成形用の一対のロールについての断面図で、(A)が成形していない状態、(B)〜(D)が成形中の状態である。
【図7】(A)が、固定された状態での滑材とロードの拡大平面図で、(B)が(A)のX−X線断面図である。
【図8】図1(B)のA部の拡大図である。
【図9】図1(B)のB部の拡大図である。
【図10】図1(B)のC部の拡大図である。
【図11】図1(B)のD部の拡大図である。
【図12】本発明の実施形態に係る長孔の間隔を説明するための滑材の平面図である。
【図13】長手方向で同位置の長孔を有する滑材とロードを示す模式的な平面図である。
【図14】図13の滑材とロードを重ねた状態を示す模式的な平面図である。
【図15】(A)が上側にダンボールを固定した腰下を示す斜視図、(B)が(A)の状態の腰下をワイヤで吊り上げた状態を示す斜視図である。
【図16】(A)が図15(A)のE部の拡大図、(B)が(A)のB1−B1線矢視断面図である。
【図17】(A)が図15(A)のF部の拡大図、(B)が(A)のB2−B2線矢視断面図である。
【図18】(A)が図15(A)のG部の拡大図(蓋部は図示省略)、(B)が(A)のB3−B3線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る腰下1を示す。この腰下1は、第1部材としての直線状に延在する滑材2と、第2部材としての直線状に延在するロード3を主な構成要素とする。腰下1は、所定間隔で平行に配設された3本の滑材2の上に、これら滑材2と直角に4本のロード3を所定間隔で平行に載置固定し、井桁状に組み立てたものである。
【0029】
滑材2には、腰下1の両端部に配される両端滑材2aと、腰下1の中間部に配される中間滑材2bの2種類がある。
【0030】
図2に示すように、両端滑材2aは、第1フランジ部4を2つ有する断面逆ハット状である。詳述すれば、両端滑材2aは、上側に開口する断面コ字状の本体部5における上側の両端部からそれぞれ左右外方側に延在する平板状の第1フランジ部4が設けられている。両端滑材2aの長手方向両端面は長手方向に対して垂直となっている。
【0031】
一方の第1フランジ部4における外方側の端部に、上方に立ち上がる補強用の立ち上がり部6が設けられている。この立ち上がり部6は、腰下1として組まれた場合に、腰下1外側の第1フランジ部4における腰下1外側端部に位置する。2つの第1フランジ部4は、互いに幅が異なっており、立ち上がり部6が設けられている方が相対的にやや幅広である。
【0032】
第1フランジ部4の各々には、第1長孔7が複数形成されている。第1長孔7は、全て同一形状であり、両端滑材2aの長手方向に対して同一角度で傾斜し、両端滑材2aの長手方向に沿って等間隔で連続して配設されている。第1フランジ部4の各々において、両端滑材2aの長手方向で、後述する「所定の距離」よりも第1長孔7が相互にさらに離隔するように構成されている。
【0033】
本実施形態では、第1長孔7の形状は、矩形長孔の両端を半円に丸めた形状であり、幅6.6mm、長さ28mmである。平面視で両端滑材2aの長手方向を横方向にした場合に、第1長孔7は、右側が上側になるように傾斜している。両端滑材2aの長手方向に対する第1長孔7の傾斜角度は45°である。両端滑材2aの長手方向に沿った第1長孔7の配設間隔は、20mmである。両端滑材2aの長手方向に沿った第1長孔7の配設位置は、2つの第1フランジ部4で相互にずれており、そのずれの大きさは10mmである。各第1フランジ部4において第1長孔7の中心の両端滑材2a幅方向での位置は、全て同じである。また、各第1フランジ部4における第1長孔7の中心は、本体部5の幅方向中心から等距離に位置する。各第1フランジ部4における全ての第1長孔7の長手方向中心を結ぶ直線の相互間の距離は80mmである。
【0034】
図3に示すように、中間滑材2bは、立ち上がり部6を設けていないことと、2つの第1フランジ部4の幅が同じであること以外は、両端滑材2aと同様の構成であり、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0035】
ロード3には、腰下1の両端部に配されるヘッダー3aと、腰下1の中間部に配される中間ロード3bの2種類がある。
【0036】
図4に示すように、ヘッダー3aは、第2フランジ部8を2つ有する断面ハット状である。詳述すれば、ヘッダー3aは、下側に開口する断面コ字状の本体部9における下側の両端部からそれぞれ左右外方側に延在する平板状の第2フランジ部8が設けられている。ヘッダー3aの長手方向両端面は長手方向に対して垂直となっている。
【0037】
一方の第2フランジ部8における外方側の端部に、上方に立ち上がる補強用の立ち上がり部10が設けられている。腰下1として組まれた場合には、立ち上がり部10は、腰下1外側の第2フランジ部8における腰下1外側端部に位置する。2つの第2フランジ部8は、互いに幅が異なっており、立ち上がり部10が設けられている方が相対的にやや幅広である。
【0038】
第2フランジ部8の各々には、第2長孔11が複数形成されている。詳述すれば、第2長孔11は、全て同一形状であり、ヘッダー3aの長手方向に対して同一角度で傾斜し、ヘッダー3aの長手方向に沿って等間隔で連続して配設されている。第2フランジ部8の各々において、ヘッダー3aの長手方向で、後述する「所定の距離」よりも第2長孔11が相互にさらに離隔するように構成されている。
【0039】
本実施形態では、第2長孔11は、形状、幅、長さともに第1長孔7と同一である。平面視でヘッダー3aの長手方向を横方向にした場合に、第2長孔11は、右側が上側になるように傾斜している。ヘッダー3aの長手方向に対する第2長孔11の傾斜角度は、第1長孔7の傾斜角度と同一である。ヘッダー3aの長手方向に沿った第2長孔11の配設間隔は、第1長孔7の配設間隔と同一である。ヘッダー3aの長手方向に沿った第2長孔11の配設位置は、2つの第2フランジ部8で相互にずれており、そのずれの大きさは、第1長孔7のずれの大きさと同一である。各第2フランジ部8において第2長孔11の中心のヘッダー3a幅方向での位置は、全て同じである。また、各第2フランジ部8における第2長孔11の中心は、本体部9の幅方向中心から等距離に位置する。各第2フランジ部8における全ての第2長孔11の長手方向中心を結ぶ直線の相互間の距離は、第1長孔7の長手方向中心を結ぶ直線の相互間の距離と同一である。
【0040】
図5に示すように、中間ロード3bは、立ち上がり部10を設けていないことと2つの第2フランジ部8の幅が同じであること以外は、ヘッダー3aと同様の構成であり、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
なお、本実施形態では、中間滑材2bと中間ロード3bは、180°水平方向に回転させても、第1長孔7と第2長孔11の傾斜角度、配置間隔及びずれが変化しないので、回転前と同様に使用可能である。すなわち、中間滑材2bと中間ロード3bは、向きを気にすることなく使用可能である。また、両端滑材2aとヘッダー3aについても、180°水平方向に回転させても、第1長孔7と第2長孔11の傾斜角度、配置間隔及びずれが変化しないので、それぞれ同一材を共用している。
【0042】
滑材2とロード3の材料としては特に限定されず、例えば鋼材、樹脂等である。
【0043】
材料が例えば鋼材のように塑性変形可能な場合には、滑材2とロード3がロール成形を用いて製造可能である。この場合に、同一のロールにより滑材2とロード3をロール成形可能である。
【0044】
詳述すれば、図6(A)に示すように、ロール成形に使用する一対のロールRにおける隙間の断面が、逆ハット状で、その両端の一方(図6で左側)が上方に屈曲し、他方(図6で右側)が下方に屈曲していればよい。広い幅の帯状鋼材を、幅方向中心がこのロールRの隙間において図6の左側にずれた状態で、ロールRでロール成形すれば、図6(B)のように一端に上方への屈曲部がある逆ハット状の断面になる。すなわち、この場合には、両端滑材2aが成形可能である。
【0045】
狭い幅の帯状鋼材を、幅方向中心がこのロールRの隙間の中心に合った状態で、ロールRでロール成形すれば、図6(C)のように逆ハット状の断面になる。すなわち、この場合には、中間滑材2bと中間ロード3bが成形可能である。広い幅の帯状鋼材を、幅方向中心がこのロールRの隙間において図6の右側にずれた状態で、ロールRでロール成形すれば、図6(D)のように一端に下方への屈曲部がある逆ハット状の断面になる。この断面は反転すれば一端に上方への屈曲部があるハット状の断面になる。すなわち、この場合には、ヘッダー3aが成形可能である。
【0046】
次に、滑材2とロード3との固定部分を説明する。
【0047】
図7(A)に、模式的に、固定された状態での滑材2とロード3の拡大平面図を示す。滑材2の上方に滑材2と直交するようにロード3が載置され、それらの互いに重なっている部位で、滑材2の第1フランジ部4の第1長孔7とロード3の第2フランジ部8の第2長孔11とが交差している。この第1長孔7と第2長孔11の交差部12に、図7(B)に示すように、拘束部材としてのブラインドリベット13(リベット13と以下記す)が挿入されており、リベット13により、第1長孔7と第2長孔11の相対移動が拘束される。これにより、滑材2とロード3が固定されている。拘束部材としては、特にブラインドリベットに限定されず、例えば、ボルトとナットであってもよい。なお、図7(A)では説明の便宜上リベット13の図示を省略している。
【0048】
図8〜11に主な滑材2とロード3の固定部を示す。図8は、図1(B)のA部であり、図9は、図1(B)のB部、図10は、図1(B)のC部であり、図11は、図1(B)のD部である。いずれの場合も、滑材2とロード3の接合部14において、滑材2の2つの第1フランジ部4が、ロード3の2つの第2フランジ部8と重なっている。また、1つの接合部14において、リベット13が挿入された交差部12が3つあり、これらの交差部12は、第1フランジ部4の両方かつ第2フランジ部8の両方に存在する。リベット13が挿入された3つの交差部12を直線で結ぶと略直角三角形になる。
【0049】
また、図10に示した滑材2とロード3の接合部14では、図10で右下の第1フランジ部4と第2フランジ部8の交差部位に、リベット13が挿入可能な交差部12が形成されていない。図10以外の図8,9,11に示した滑材2とロード3の接合部14では、リベット13が挿入された3つの交差部12以外に、リベット13が挿入可能な交差部12が1つ形成されている。すなわち、滑材2とロード3の相対的位置関係によってはリベット13が挿入された交差部12を4つにすることも可能である。
【0050】
なお、図9では、中間ロード3は、図5(C)に対して180°水平方向に回転させた状態である。これは、上述のように、中間ロード3bは、180°水平方向に回転させても、第2長孔11の傾斜角度、配置間隔及びずれが変化しないからである。
【0051】
次に、前述の第1長孔7と第2長孔11についての「所定の距離」について説明する。 なお、この説明では、便宜上、滑材2の第1長孔11の形状・傾斜角度は、本実施形態と同様としているが、これに限定されるものではない。
【0052】
図12(A),(B)に示すように、2つの第1フランジ部4の間で相互に、第1長孔7が、滑材2の長手方向にずれていない場合、すなわち、第1長孔7が、滑材2の長手方向で同一位置の場合を考える。また、この滑材2は、接合対象のロード3と直交し、このロード3の第2長孔がこの第1長孔と同様の条件とする。
【0053】
滑材2とロード3との接合強度を向上するためには、接合部14で4点固定にすることが望ましい。さらに、腰下1の製作の利便性からすると、滑材2とロード3のいずれの箇所でも接合できることが望ましい。そのためには、図12(A)に示す滑材2長手方向の距離DP(デッドポイントDPと以下記す)が、図12(B)に示すように0となる必要がある。デッドポイントDPは、本実施形態では、隣接する第1長孔7について、一方の第1長孔7での他方の第1長孔7側の端部と、他方の第1長孔7での一方の第1長孔7側の端部とにおける半円の中心間の滑材2長手方向での距離である。図12(B)における滑材2の長手方向での隣接する第1長孔7の相互間の距離D(距離Dと以下記す)が前述の「所定の距離」である。なお、本実施形態の条件では、距離Dは、図12(B)での1つの第1長孔7の両端における半円の中心間の滑材2長手方向での距離と同一である。
【0054】
本実施形態では、第1長孔7の両端における半円の中心の位置は、第1長孔7における両端にリベット13を挿入した場合のリベット13の軸心位置と実質的に同一である。第1長孔7における両端の半円の直径は、滑材2とロード3との拘束時にリベット13の第1長孔7内に挿入されている円柱状部位の直径と実質的に等しい。
【0055】
しかし、「所定の距離」を規定する状態は、本実施形態では図12(B)に示す状態であるが、拘束部材の形状等により変化する。例えば、滑材2とロード3との拘束時に第1長孔7に挿入されている拘束部材の部位が、円柱状であっても直径がリベット13より小さい場合、あるいは円柱状でなく多角柱である場合等がある。
【0056】
これらの場合も本実施形態も含めて「所定の距離」を規定する状態は、滑材2の長手方向で、隣接する第1長孔7について、一方の第1長孔7での他方の第1長孔7側端の位置と、他方の第1長孔7での一方の第1長孔7側端の位置との間の領域で拘束部材が両方の第1長孔にそれぞれ使用時の態様で挿入可能な状態であって、この領域の滑材2の長手方向長さが最も短くなった状態である。ここで、使用時の態様とは、拘束部材で、滑材2とロード3とを拘束するために使用する場合の状態である。この態様には、例えば拘束部材の第1長孔7に挿入される部位が多角柱の場合であれば、第1長孔7に対する当該多角柱の側面の向き等が含まれる。
【0057】
図12(B)右側の拡大図で具体的に説明すると、滑材2の長手方向で、隣接する第1長孔7a,7bについて、第1長孔7aでの第1長孔7b側端の位置P1と、第1長孔7bでの第1長孔7a側端の位置P2との間の領域でリベット13が第1長孔7a,7bにそれぞれ使用時の態様で挿入可能な状態であって、この領域の滑材2の長手方向長さLが最も短くなった状態である。なお、図示されたリベット13は、滑材2とロード3との拘束時に第1長孔7内に挿入されている円柱状部位である。
【0058】
図12(C)で示すように、本実施形態での滑材2は、デッドポイントDPが0ではなく、短い距離ではあるが存在する。滑材2の長手方向での隣接する第1長孔7の相互間の距離は、距離Dと図12(C)でのデッドポイントDPとの和となる。すなわち、本実施形態では、滑材2において、第1フランジ部4のそれぞれで、滑材2の長手方向での隣接する第1長孔7の相互間の距離は、距離Dより大きい。
【0059】
ロード3の第2長孔11も同様の構成であるので、「所定の距離」は同様に定義され、本実施形態では、ロード3において、第2フランジ部8のそれぞれで、ロード3の長手方向での隣接する第2長孔11の相互間の距離は、距離Dより大きい。
【0060】
以上の構成により、本実施形態では以下の効果が享受できる。
【0061】
本実施形態の滑材2が断面逆ハット状でロード3が断面ハット状である。従って、滑材2とロード3は断面が沿直線を対称軸として略線対称なので、滑材2とロード3が下向き荷重に対してねじれにくくなる。これにより、腰下1全体の強度を向上させることができる。
【0062】
また、滑材2とロード3との接合部14では、滑材2とロード3の開口部が塞がる。よって、この接合部14は開口部が広がらないから荷重に対して強くなる。接合部14は荷重が集中する部位なので、腰下1が効率的に荷重に対して強くなる。これにより、腰下1全体の強度を向上させることができる。
【0063】
第1長孔7の相互間の距離と第2長孔11の相互間の距離は、距離Dより大きい。このため、第1及び第2長孔7,11の打ち抜きの際における各長孔の相互間の部位にかかる負荷が小さくなる。また、第1フランジ部及び第2フランジ部の強度も向上する。これにより、腰下1全体の強度を向上させることができる。
【0064】
本実施形態の滑材2とロード3は、リベット13が挿入された交差部12が必ず3つある接合部14を任意の位置とすることができる。換言すれば、滑材2とロード3は、任意の位置でリベット13により必ず3箇所で固定可能である。また、このことは、滑材2とロード3の長手方向の長さを自由にできることを意味する。また、組み合わせる滑材2とロード3の本数も自由にできることも意味する。従って、腰下1の大きさや強度が自由に変更可能となる。
【0065】
また、接合部14に、リベット13が挿入された交差部12が必ず3つあり、これらは略直角三角形を形成するので、接合部14の接合強度が向上する。これにより、腰下1全体の強度を向上させることができる。
【0066】
滑材2とロード3を、リベット13により4箇所でなく必ず3箇所で固定することにすれば、使用するリベット13の本数やリベット取り付け作業を削減することができる。
【0067】
腰下1の製作時に、両端滑材2aの立ち上がり部6に、ロード3の長手方向端面を当接させることにより、両端滑材2aとロード3との位置合せが容易となる。また、ロード3の長手方向端面は長手方向に垂直なので、ロード3の両端滑材2aに対する垂直度が良好となる。また、腰下1の製作時に、ヘッダー3aの立ち上がり部10の長手方向端面を、両端滑材2aの立ち上がり部6における長手方向端部の側面に合わせることにより、ヘッダー3aと両端滑材2aの位置合せが容易となる。
【0068】
上記実施形態では、2つの第1フランジ部4の間で、第1長孔7が、滑材2の長手方向にずれている。すなわち、第1長孔7が、滑材2の長手方向で同位置ではない。第2長孔11についても同様である。この条件で、滑材2とロード3は、任意の位置でリベット13により必ず3箇所で固定可能である。しかし、2つの第1フランジ部4の間で、第1長孔7が、滑材2の長手方向で同位置であり、かつ、2つの第2フランジ部8の間で、第2長孔11が、ロード3の長手方向で同位置である場合でも、同様の効果が期待される場合がある。
【0069】
例えば、図13に示すように、模式的に示したロード3を白矢印の方向に移動させ、滑材2と直交させた場合、図14に示す状態が現れる。なお、図13では、2つの第1フランジ部4の間で、第1長孔7が、滑材2の長手方向で同位置であり、かつ、2つの第2フランジ部8の間で、第2長孔11が、ロード3の長手方向で同位置である。第1長孔7と第2長孔11は中心線のみを示しており、滑材2とロード3の本体部5,9は省略している。図14では第1長孔7と第2長孔11の中心線のみを示している。
【0070】
図13は、滑材2において、第1長孔7を、滑材2の長手方向に対して45°で傾斜させて等間隔20mmで連続して配設した状態を示すものとする。各第1フランジ部4における全ての第1長孔7の中心を結ぶ直線の相互間の距離は70mmである。ロード3における第2長孔11についても同様である。
【0071】
図14(A)では、点C3では第1長孔7と第2長孔11の中心線が接するだけで交差していないが、点C1,C2,C4で第1長孔7と第2長孔11の中心線が交差しており、この3点において、リベット13により、第1長孔7と第2長孔11は拘束できる。
【0072】
図14(B)では、点C7では第1長孔7と第2長孔11の中心線が接するだけで交差していないが、点C5,C6,C8で第1長孔7と第2長孔11の中心線が交差しており、この3点において、リベット13により、第1長孔7と第2長孔11は拘束できる。
【0073】
従って、第1長孔7と第2長孔11が、長手方向で同位置であっても、適切に設計すれば、滑材2とロード3は、任意の位置でリベット13により必ず3箇所で固定可能となる。
【0074】
次に、腰下1の使用例を説明する。
【0075】
図15(A)に示すように、腰下1には、この腰下1上に載置した貨物を囲むためのダンボール20を設置することができる。ダンボール20は、壁部21と蓋部22から構成される。壁部21は、角筒状で、その下端部は、腰下1のヘッダー3aと両端滑材2aに沿って延在する。蓋部22は、上方に底を有する角筒状であり、角筒状の部位の内側で、壁部21の上端部の外側と嵌合している。
【0076】
壁部21は、ヘッダー3aの上方に位置する2つの部位23(つま部23と以下記す)と両端滑材2aの上方に位置する2つの部位24(側部24と以下記す)とから構成される。壁部21の各側部24は、両端滑材2aの長手方向中央位置で上下方向に2つに分割されている。
【0077】
図15(A)の右下に拡大して示すように、壁部21のつま部23と側部24の境界(角部)の下端には切り欠き25が形成されている。この切り欠き25を境界として、壁部21のつま部23の下端は、ヘッダー3aの立ち上がり部10の内側に沿って延在する。一方、切り欠き25を境界として、壁部21の側部24の下端は、両端滑材2aの立ち上がり部6の外側に沿って延在する。
【0078】
壁部21の各つま部23の下端は、2つのつま部用取付具30を介して、ヘッダー3aの立ち上がり部10に取り付けられている。図16に拡大して示すように、つま部用取付具30は、上側に開口した断面コ字状の本体部30aと、本体部の上側一端に形成された断面逆U字状の掛止部30bと、本体部30aの上側他端に形成された上側に向かって漸次掛止部30bから離隔する斜板部30cとから成る。本体部30aの底部でつま部23の下端を支持し、掛止部30bは本体部30aを立ち上がり部10に掛止する。斜板部30cはつま部23の側面を支持すると共に、つま部23の下端を本体部30aに挿入し易くする機能を有する。
【0079】
壁部21の各側部24の下端は、2つの側部用取付具31を介して、両端滑材2aの立ち上がり部6に取り付けられている。図17に示すように、側部用取付具31は、上側に開口した断面コ字状の本体部31aと、本体部31aの上側一端に形成された断面逆U字状の掛止部31bと、掛止部31bの下端に形成された下側に向かって漸次本体部31aから離隔する斜板部31cとから成る。本体部31aにおける掛止部31bとは反対側の側板部には3箇所にエンボス加工により本体部31a内側に突出するエンボス部31dが形成されている。本体部31aの底部は側部24の下端を支持し、掛止部31bは本体部31aを立ち上がり部6に掛止する。斜板部31cは、掛止部31bを立ち上がり部6に嵌合し易くする機能を有する。エンボス部31dは側部24の側面を支持する機能を有する。
【0080】
図15、図18に示すように、壁部21の側部24における分割された分割部24aの上端は、連結具32により連結されている。分割部24aのその他の部位は例えばガムテープ等により連結されている(図示省略)。図18に拡大して示すように、連結具32は、下側に開口した断面コ字状であり、側部24の内側の側板部が、側部24の外側の側板部より長い。側部24の外側の側板には4箇所にエンボス加工により連結具32内側に突出するエンボス部32aが形成されている。エンボス部32aは側部24の側面を支持する機能を有する。
【0081】
図15(A)に示すように、ダンボール20は、上記態様で、腰下1に、2つの例えば樹脂バンドTにより固定される。詳述すれば、2つの樹脂バンドTはそれぞれ、両端滑材2aの本体部5内を挿通して、腰下1のロード3とダンボール20の蓋部22と2つのつま部23とを固定する。
【0082】
ダンボール20の組み立て方を以下に説明する。
【0083】
まず、ダンボール20の壁部21における分割された一方の部位の組み立て方を説明する。この部位は、つま部23の両端に分割された側部24を有し、その境界部分が屈曲しやすい一枚のダンボールである。最初に、2つのつま部用取付具30の掛止部30bを、1つのヘッダー3aの立ち上がり部10に嵌合させる。次に、2つの側部用取付具31のそれぞれの本体部31aを、両端の側部24下端に嵌合させる。この状態で、ダンボール20のつま部23の下端を、ヘッダー3aに取り付けたつま部23用取付部の本体部30aに挿入すると共に、側部24下端に取り付けた側部用取付具31の掛止部31bを両端滑材2aの立ち上がり部6に嵌合させる。この際に、つま部用取付具30の斜板部30cにより、つま部23の下端を本体部30aに挿入しやすい。また、側部用取付具31の斜板部31cにより、側部用取付具31の掛止部31bを立ち上がり部6に嵌合させ易い。
【0084】
分割されたダンボール20の壁部21における他方の部位の組み立ても同様に行なう。次に、ダンボール20の壁部21における分割部24aの上端を連結具32により連結する。そして例えばガムテープで分割部24aにおける上端以外の部位を連結する。その後に、ダンボール20の壁部21の上端に、予め製作された蓋部22を嵌合させる。
【0085】
図15(A)に示したダンボール20を載置した腰下1は、図15(B)に示すように、例えばワイヤWを両端滑材2aの第1フランジ部4と本体部5の境界に係合させて、そのワイヤWを例えばクレーンにより吊り上げて移動させる。本実施形態では、天梁と呼ばれる部材Hを、ダンボール20の蓋部22上に載置する。天梁Hは、ヘッダー3a上方のダンボール20の蓋部22における一対の辺に沿う一対の棒材H1とそれらに対して直角を成すと共にそれらを連結する一対の棒材H2からなり、一対の棒材H1にワイヤWを係合させる。これにより、天梁Hは、ダンボール20がワイヤ吊りによる絞り荷重に耐えられるようにする。天梁Hは、必要に応じてダンボール20内に配設してもよいし、また、使用しなくてもよい。
【0086】
上記実施形態では、本発明を、構造体としての腰下1に適用しているが、これには限定されず、類似の構造を有する構造体であれば適用可能である。
【0087】
本発明は上記実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内であれば、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 腰下(構造体)
2 滑材(第1部材)
2a 両端滑材
2b 中間滑材
3 ロード(第2部材)
3a ヘッダー
3b 中間ロード
4 第1フランジ部
5 本体部
6 立ち上がり部
7 第1長孔
8 第2フランジ部
9 本体部
10 立ち上がり部
11 第2長孔
12 交差部
13 ブラインドリベット(拘束部材)
L 領域の長さ
P1 第1長孔端の位置
P2 第1長孔端の位置
R 成形用ロール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面逆ハット状部位における2つの第1フランジ部の各々が、複数の第1長孔を有する第1部材と、
断面ハット状部位における2つの第2フランジ部が前記第1フランジ部の両方と重なり、前記第1長孔と交差する複数の第2長孔を各第2フランジ部が有する第2部材と、
前記第1長孔と第2長孔との交差部に挿入され、これらの長孔間の相対移動を拘束する拘束部材とを備え、
前記第1フランジ部と第2フランジ部との重合部に、前記拘束部材が挿入された少なくとも3つの交差部が設けられ、これらの交差部は、第1フランジ部の両方かつ第2フランジ部の両方に形成されたことを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記第1部材を腰下の滑材とし、前記第2部材を腰下のロードとした請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記第1長孔を、同一形状とし、前記滑材の長手方向に対して同一角度で傾斜させて等間隔で連続して配設し、
前記第1フランジ部の各々において、前記滑材の長手方向で、所定の距離より第1長孔が相互に離隔するように構成し、
前記所定の距離を、隣接する第1長孔について、一方の第1長孔での他方の第1長孔側端の位置と、他方の第1長孔での一方の第一長孔側端の位置との間の領域で、拘束部材が両方の第1長孔にそれぞれ使用時の態様で挿入可能な状態であって、この領域の滑材の長手方向長さが最も短くなった状態における両方の第1長孔間の距離とし、
前記第2長孔を、同一形状とし、前記ロードの長手方向に対して同一角度で傾斜させて等間隔で連続して配設し、
前記第1長孔と第2長孔の形状を同一とし、前記第1長孔と第2長孔の傾斜角度を同一とし、前記第1長孔と第2長孔の配設間隔を同一とした請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記2つの第1フランジ部の間で相互に、前記第1長孔を、前記滑材の長手方向にずらし、
前記2つの第2フランジ部の間で相互に、前記第2長孔を、前記ロードの長手方向にずらした請求項3に記載の構造体。
【請求項5】
前記滑材又はロードの少なくとも一方を腰下の最も外側とし、
その腰下外側の第1又は第2フランジ部における腰下外側端部に、上方に立ち上がる立ち上がり部を設けた請求項3又は4に記載の構造体。
【請求項6】
前記立ち上がり部を設けた滑材と、前記立ち上がり部を設けていない滑材と、前記立ち上がり部を設けたロードと、前記立ち上がり部を設けていないロードとを備え、これらの滑材とロードを同一のロールでロール成形した請求項5に記載の構造体。
【請求項1】
断面逆ハット状部位における2つの第1フランジ部の各々が、複数の第1長孔を有する第1部材と、
断面ハット状部位における2つの第2フランジ部が前記第1フランジ部の両方と重なり、前記第1長孔と交差する複数の第2長孔を各第2フランジ部が有する第2部材と、
前記第1長孔と第2長孔との交差部に挿入され、これらの長孔間の相対移動を拘束する拘束部材とを備え、
前記第1フランジ部と第2フランジ部との重合部に、前記拘束部材が挿入された少なくとも3つの交差部が設けられ、これらの交差部は、第1フランジ部の両方かつ第2フランジ部の両方に形成されたことを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記第1部材を腰下の滑材とし、前記第2部材を腰下のロードとした請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記第1長孔を、同一形状とし、前記滑材の長手方向に対して同一角度で傾斜させて等間隔で連続して配設し、
前記第1フランジ部の各々において、前記滑材の長手方向で、所定の距離より第1長孔が相互に離隔するように構成し、
前記所定の距離を、隣接する第1長孔について、一方の第1長孔での他方の第1長孔側端の位置と、他方の第1長孔での一方の第一長孔側端の位置との間の領域で、拘束部材が両方の第1長孔にそれぞれ使用時の態様で挿入可能な状態であって、この領域の滑材の長手方向長さが最も短くなった状態における両方の第1長孔間の距離とし、
前記第2長孔を、同一形状とし、前記ロードの長手方向に対して同一角度で傾斜させて等間隔で連続して配設し、
前記第1長孔と第2長孔の形状を同一とし、前記第1長孔と第2長孔の傾斜角度を同一とし、前記第1長孔と第2長孔の配設間隔を同一とした請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記2つの第1フランジ部の間で相互に、前記第1長孔を、前記滑材の長手方向にずらし、
前記2つの第2フランジ部の間で相互に、前記第2長孔を、前記ロードの長手方向にずらした請求項3に記載の構造体。
【請求項5】
前記滑材又はロードの少なくとも一方を腰下の最も外側とし、
その腰下外側の第1又は第2フランジ部における腰下外側端部に、上方に立ち上がる立ち上がり部を設けた請求項3又は4に記載の構造体。
【請求項6】
前記立ち上がり部を設けた滑材と、前記立ち上がり部を設けていない滑材と、前記立ち上がり部を設けたロードと、前記立ち上がり部を設けていないロードとを備え、これらの滑材とロードを同一のロールでロール成形した請求項5に記載の構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−126586(P2011−126586A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289169(P2009−289169)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(593232402)親和パッケージ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(593232402)親和パッケージ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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