説明

構造化文書生成装置ならびにそのためのプログラムおよび記録媒体

【課題】事業報告の語彙を定義する語彙定義文書と、当該語彙に含まれる項目間の親子関係を定義する親子関係定義文書とを少なくとも含む事業報告形式定義情報の処理、例えば、表示、通信等を容易にする。
【解決手段】事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報であって、当該事業報告の語彙を定義する語彙定義文書と、該語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目間の親子関係を定義する親子関係定義文書とを含む事業報告形式定義情報に基づいて、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目を要素とし、上記親子関係定義文書により定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を生成する構造化文書生成部111を備えている構造化文書生成装置100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報を処理する技術に関するものであり、特に、当該事業報告の語彙を定義する語彙定義文書と、該語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目間の親子関係を定義する親子関係定義文書とを含む事業報告形式定義情報を処理する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、事業報告を電子化するための技術として、XBRL(非特許文献1参照)が注目されている。XBRLは、財務情報の作成、流通、利用等を容易にするための技術であり、例えば、金融庁の提供するEDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)において、財務諸表を記載する形式として採用されている。
【0003】
XBRLとは、拡張可能な事業報告用の言語(eXtensible Bussiness Reporting Language)の略称であり、以下のような構造を有している。
【0004】
まず、XBRLでは、事業報告(例えば、財務諸表)の形式を定義するタクソノミと、タクソノミにより定義された形式に従ってデータが入力されたインスタンス文書が存在する。これらの文書は、XML形式によって記載される。
【0005】
タクソノミには、報告の語彙を定義する文書としてタクソノミスキーマが含まれている。タクソノミスキーマは、XMLスキーマ形式で記載されており、インスタンス文書を構成する要素の種類を、事業報告の語彙に含まれる項目(例えば、財務諸表における勘定科目)に対応するように規定する。
【0006】
タクソノミには、また、名称リンクベースおよび参照リンクベースが含まれる。名称リンクベースは、各項目の名称を定義するものであり、名称としては、例えば、標準ラベル、冗長ラベル、それらの各国語による表記等が含まれる。参照リンクベースは、各項目が基づく法律等を示すものである。
【0007】
タクソノミには、さらに、表示リンクベース、計算リンクベースおよび定義リンクベースが含まれる。これらは、それぞれ、上記各項目の表示上の親子関係、計算上の親子関係または概念上の親子関係を定義する文書である。表示上の親子関係とは、表をディスプレイ等に表示するとき、または紙上に印刷するときの階層構造を示す。表示リンクベースにはまた、そのような階層構造のほかに、表示または印刷する際の順番を規定するための各項目についての表示順序を示す情報が定義されている。計算上の親子関係とは、表を用いて計算する際の階層構造を示す。計算リンクベースはまた、そのような階層構造における計算上の重み付けを示す情報が定義されている。概念定義上の親子関係とは、各項目の概念定義上の階層構造である。
【0008】
このようなXBRLのタクソノミは、語彙を定義する文書と、語彙に含まれる項目についての付加的な情報および項目間の親子関係を定義する文書とが分離されているために、拡張、修正等が容易である。XBRLを利用した技術として、例えば、特許文献1から9がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−134864号公報(平成20年6月12日公開)
【特許文献2】特開2007−164591号公報(平成19年6月28日公開)
【特許文献3】特開2006−163876号公報(平成18年6月22日公開)
【特許文献4】特開2006−155136号公報(平成18年6月15日公開)
【特許文献5】特開2006−65382号公報(平成18年3月9日公開)
【特許文献6】特開2005−242855号公報(平成17年9月8日公開)
【特許文献7】特開2005−216000号公報(平成17年8月11日公開)
【特許文献8】特開2003−316765号公報(平成15年11月7日公開)
【特許文献9】特表2008−515061号公報(平成20年5月8日公開)
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】http://www.xbrl.org/Specification/XBRL-RECOMMENDATION-2003-12-31+Corrected-Errata-2008-07-02.htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のXBRLのような事業報告形式定義情報、すなわち、事業報告の語彙を定義する語彙定義文書と、当該語彙に含まれる項目間の親子関係を定義する親子関係定義文書とを少なくとも含む事業報告形式定義情報は、情報が複数の文書に分散されており、その処理、例えば、表示、通信等に煩雑な操作が必要である。これは、特許文献1〜9に記載の技術においても同様である。そのため、上記のような事業報告形式定義情報の処理を容易にする技術が求められている。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、事業報告の語彙を定義する語彙定義文書と、当該語彙に含まれる項目間の親子関係を定義する親子関係定義文書とを少なくとも含む事業報告形式定義情報の処理を容易にすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は新規な構造化文書生成装置を提供する。本発明に係る構造化文書生成装置は、特許文献1〜9のいずれにも開示も示唆もされていない独自の技術である。
【0014】
すなわち、本発明に係る構造化文書生成装置は、事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報であって、当該事業報告の語彙を定義する語彙定義文書と、該語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目間の親子関係を定義する親子関係定義文書とを含む事業報告形式定義情報に基づいて、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目を要素とし、上記親子関係定義文書により定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を生成する構造化文書生成手段を備えていることを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、本発明に係る構造化文書生成装置は、上記事業報告形式定義情報に基づいて、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目を要素とし、上記親子関係定義文書により定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を生成する。上記構造化文書は、事業報告の語彙に含まれる項目を要素として有しているとともに、入れ子構造によりそれら項目間の親子関係を表現しているため、上記語彙定義文書と、上記親子関係定義文書とに分散されている情報が集約されている。
【0016】
ここで、上記事業報告形式定義情報は、複数の文書に情報が分散されているため、例えば、ツリービュー等の既存の装置またはソフトウェアへの入力として用いるデータ、SOAP規格に準拠した通信等に用いるデータ等として用いるために煩雑な処理が必要である。一方、上記構造化文書は、一つの単純な構造の文書により、上記事業報告形式定義情報に含まれる情報を定義しているため、上述したデータとして容易に用いることができる。
【0017】
よって、本発明に係る構造化文書生成装置によれば、複数の文書からなる事業報告形式定義情報を、単純な形式の構造化文書として表現することができ、当該事業報告形式定義情報のさらなる処理、例えば、表示、通信等を容易にするという効果を奏する。
【0018】
上記構造化文書生成装置では、上記親子関係定義文書が、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目に関連付けられた情報をさらに定義しており、上記要素はそれぞれ、上記親子関係定義文書により定義された、当該要素に対応する項目に関連付けられた情報を含んでいることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、上記構造化文書生成手段によって生成される構造化文書の各要素が、当該要素に対応する項目に関連付けられた、上記親子関係定義文書により定義された情報を含んでいる。これにより、上記構造化文書に、複数の文書に分散していた情報を集約させることができる。
【0020】
例えば、上記親子関係定義文書が、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目についてその表示順序を示す情報を定義していた場合、当該項目の表示順序を示す情報が、上記構造化文書の当該項目に対応する要素に含まれていることなる。このような構造化文書は、表示順序が含まれているため、上記事業報告形式定義情報の表示する際に好適に用いることができる。
【0021】
このように、上記構造化文書に複数の文書に分散していた情報を集約させることにより、より有用な構造化文書を提供することができる。
【0022】
上記構造化文書生成装置では、上記事業報告形式定義情報が、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目に関連付けられた情報を定義する関連情報定義文書をさらに含んでおり、上記要素はそれぞれ、上記関連情報定義文書により定義された、当該要素に対応する項目に関連付けられた情報を含んでいることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、上記構造化文書生成手段によって生成される構造化文書の各要素が、当該要素に対応する項目に関連付けられた、上記関連情報定義文書により定義された情報を含んでいる。これにより、上記構造化文書に、複数の文書に分散していた情報を集約させることができる。
【0024】
例えば、上記事業報告形式定義情報に、語彙定義文書とは別に、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目の表示名称を定義する文書が含まれていた場合、当該項目の名称が、上記構造化文書の当該項目に対応する要素に含まれていることなる。このような構造化文書は、表示名称が含まれているため、上記事業報告形式定義情報の表示する際に好適に用いることができる。
【0025】
このように、上記構造化文書に複数の文書に分散していた情報を集約させることにより、より有用な構造化文書を提供することができる。
【0026】
上記構造化文書生成装置では、上記事業報告形式定義情報が、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目間の表示上の親子関係を定義する表示親子関係定義文書と、当該項目間の計算上の親子関係を定義する計算親子関係定義文書と、当該項目間の概念定義上の親子関係を定義する定義親子関係定義文書とを含んでおり、上記入れ子構造は、上記表示親子関係定義文書、上記計算親子関係定義文書または上記定義親子関係定義文書のいずれか1つに定義された親子関係を表現することが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、上記構造化文書生成装置は、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目を要素とし、当該項目間の表示上の親子関係、計算上の親子関係または概念定義上の親子関係のいずれかの親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を生成する。
【0028】
これにより、用途に応じた構造化文書を好適に取得することができる。すなわち、表示上の親子関係とは、事業報告形式定義情報または当該事業報告形式定義情報によって定義された形式を有する事業報告を表示する際に用いられる各項目間の親子関係である。また、計算上の親子関係とは、事業報告形式定義情報によって定義された形式を有する事業報告において各項目を計算または検証する際に用いられる各項目間の親子関係である。また、概念定義上の親子関係とは、事業報告形式定義情報における各項目の概念的な親子関係を示すものである。よって、上述のそれぞれの目的で、上記構造化文書を取得することができる。
【0029】
上記構造化文書生成装置では、上記表示親子関係定義文書、上記計算親子関係定義文書および上記定義親子関係定義文書のうちのいずれかを指定する親子関係定義文書指定情報を含む構造化文書生成要求を外部から受信する受信部と、上記構造化文書生成手段が生成した構造化文書を外部に送信する送信部とをさらに備えており、上記構造化文書生成手段は、受信した構造化文書生成要求に含まれる親子関係定義文書指定情報により指定された親子関係定義文書により定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を生成することが好ましい。
【0030】
上記の構成によれば、上記構造化文書生成装置を外部から利用することができ、例えば、ウェブ型のアプリケーションとして構築することができる。また、上記構造化文書生成要求には、上記表示親子関係定義文書、上記計算親子関係定義文書および上記定義親子関係定義文書のうちのいずれかを指定する親子関係定義文書指定情報が含まれるため、外部から必要とする親子関係定義文書を指定して、当該親子関係定義文書によって定義される親子関係を表現する構造化文書を取得することができる。
【0031】
上記構造化文書生成装置では、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目のうち、いずれの項目を要素とするかを指定する項目指定情報を含む構造化文書生成要求を外部から受信する受信部と、上記構造化文書生成手段が生成した構造化文書を外部に送信する送信部とをさらに備えており、上記構造化文書生成手段は、受信した構造化文書生成要求に含まれる項目指定情報により指定された項目を要素とした構造化文書を生成することが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、上記構造化文書生成装置を外部から利用することができ、例えば、ウェブ型のアプリケーションとして構築することができる。また、上記構造化文書生成要求には、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目のうち、いずれの項目を要素とするかを指定する項目指定情報が含まれるため、外部から必要とする項目を指定して、当該項目に対応する要素を含む構造化文書を取得することができる。
【0033】
上記構造化文書生成装置では、上記構造化文書生成要求および上記構造化文書がSOAPメッセージを構成していることが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、上記構造化文書生成要求および上記構造化文書がSOAPメッセージを構成しているため、上記構造化文書生成装置と外部との間の通信をSOAP規格に準拠して行うことができる。そのため、上記構造化文書生成装置と外部との間の通信を例えば、インターネットを介して行うことが容易となる。
【0035】
上記構造化文書生成装置では、上記構造化文書は、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目に対応する要素を、同一のタグを用いて表現していることが好ましい。
【0036】
上記の構成によれば、上記構造化文書は、ある要素の子要素として現れ得る要素が限られているので、妥当性の検証が容易である。そのため、妥当性の検証が必要である市販の装置またはソフトウェア、例えばツリービュー等に容易に適用することができる。
【0037】
上記構造化文書生成装置では、上記事業報告は、財務諸表であることが好ましい。
【0038】
上記の構成によれば、上記構造化文書生成装置は、財務諸表の形式を定義する財務諸表形式定義情報のさらなる処理を容易に行なうことができる。
【0039】
また、本発明に係る構造化文書生成装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として駆動させるプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る構造化文書生成装置によれば、事業報告の語彙を定義する語彙定義文書と、当該語彙に含まれる項目間の親子関係を定義する親子関係定義文書とを少なくとも含む事業報告形式定義情報を、単純な形式の構造化文書として表現することができ、当該事業報告形式定義情報のさらなる処理、例えば、表示、通信等を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態の論理的な層構造を説明する図である。
【図2】本発明の一実施形態の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態における事業報告形式定義情報の概略構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態における事業報告の形式の表示例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態における語彙定義文書を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態における親子関係定義文書を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態における関連情報定義文書を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態において構造化文書生成装置が生成する構造化文書を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態において構造化文書生成装置が生成する構造化文書の内容を説明する表である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、事業報告形式定義情報に基づいて構造化文書を生成する構造化文書生成装置を提供する。事業報告形式定義情報とは、事業報告の形式を定義する情報を指し、例えば、事業報告の雛形を提供するものである。本明細書において、事業報告とは、企業等の財務情報および企業等が行った経済活動に関する情報を記述するものを指し、例えば、財務諸表等の財務報告、残高情報、在庫情報ならびに仕入情報、注文情報、請求情報、出荷送品情報等の具体的な情報およびそれらに基づく仕訳情報等が挙げられる。以下、事業報告として財務諸表を対象とした場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本明細書に接した当業者は、後述する本発明に係る構造化文書生成装置が用いる事業報告形式定義情報によって記述し得る事業報告であれば、本発明を適用し得ることを容易に理解する。
【0043】
本明細書において、財務諸表とは、企業等の財務状態および経営成績を開示する書類であり、例えば、貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)、株主資本等変動計算書(S/S)が挙げられる。財務諸表には、副次的な情報(例えば、財務諸表注記等の定量または定性的な情報)が含まれてもよい。また、単一企業についての個別財務諸表であってもよいし、企業グループについての連結財務諸表であってもよい。なお、四半期決算、中間決算等における財務諸表も含まれる。
【0044】
本発明に係る構造化文書生成装置が用いる事業報告形式定義情報は、事業報告の語彙を定義する語彙定義文書と、該語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目間の親子関係を定義する親子関係定義文書とを含むものである。このような事業報告形式定義情報としては、これに限定するものではないが、例えば、XBRLのタクソノミがある。以下、XBRLのタクソノミを例に用いて、上記事業報告形式定義情報を説明する。
【0045】
図3は、XBRLのタクソノミの一例を示す図である。図3中、スキーマとあるのが、上記語彙定義文書であり、Assets Abstract(AA)、Current Asstes Abstract(CAA)およびCash And Deposits(CAD)の各項目(勘定科目)からなる事業報告(財務諸表)の語彙を定義している。また、図3中、関係層に含まれる表示LB(リンクベース)、計算LBおよび定義LBが、上記親子関係定義文書である。これら関係層に含まれるリンクベースは、表示LBについて図3に示すように、上記AA、CAAおよびCADの各項目間の親子関係を定義している。
【0046】
上記語彙定義文書は、事業報告の語彙、すなわち、事業報告を構成する項目の集まりを定義する文書であれば特に限定されないが、例えば、図3に示すように、項目を要素として列挙する文書とすることができる。また、各項目にどのような種類の値(金額、文字列、日付等)を与えるか等の関連情報を含んでいてもよい。XBRLのタクソノミでは、図5に示すように、上記語彙定義文書は、XBRLのインスタンス文書に含まれるべき要素を規定するXMLスキーマ(http://www.w3.org/XML/Schema)として記載される。図5に示すXMLスキーマでは、上記AA、CAA、CADおよびBalanceSheetsAbstract(BSA)の各項目がelementタグによって列挙されている。
【0047】
上記親子関係定義文書は、上記語彙定義文書により定義される上記語彙に含まれる項目間の親子関係を定義する文書であれば特に限定されないが、例えば、図3に示すように、上記語彙定義文書により定義される各項目へ参照を示すロケータと、各ロケータ間を結び、当該ロケータ間の親子関係を定義するアーク(図3の場合は、表示アーク)とによって構成することができる。これにより、各ロケータによって参照された項目間の親子関係を定義することができる。なお、XBRLのタクソノミでは、図6に示すように、上記親子関係定義文書は、XLink(http://www.w3.org/TR/xlink/)を用いて記載される。図6に示す親子関係定義文書では、上記BSA、AA、CAAおよびCADのそれぞれを参照を示すロケータと、上記BSAを親としAAを子とするアーク、上記AAを親としCAAを子とするアーク、上記CAAを親としCADを子とするアークのそれぞれが示されている。
【0048】
本発明に係る構造化文書生成装置は、このような事業報告形式定義情報によって定義される事業報告の形式を、例えば、図4に示すように表示したり、外部の装置に送信したりするために好適に用いることができる。
【0049】
すなわち、本発明に係る構造化文書生成装置は、上記事業報告形式定義情報に基づいて、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目を要素とし、上記親子関係定義文書により定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を生成する構造化文書生成手段を備えている。本明細書において、構造化文書とは、文書に含まれる文字または文章そのものが有する内容に加えて、当該構造化文書が有する構造(例えば、配置、並び順、タグ、デリミタのような特殊な記号等)を用いて特定の内容を表現する文書を指す。本発明に係る構造化文書生成装置が生成する構造化文書は、入れ子構造により親子関係を階層的に表現するものであればよく、例えば、XML(http://www.w3.org/XML/)等を用いることができる。
【0050】
図8は、このような構造化文書の一例を示す図である。図8では、図3に示す上記AA、CAAおよびCADの親子関係を、タグを用いた入れ子構造によって表現している。
【0051】
このような構造化文書は、事業報告の語彙に含まれる項目を要素として有しているとともに、入れ子構造によりそれら項目間の親子関係を表現しているため、例えば、図4のように、項目の親子関係を階層的に表示する、いわゆるツリービューの表示のために好適に用いることができる。また、事業報告形式定義情報のように複数の文書からなるものではないため、外部の装置への送信等が煩雑にならずに済み、また解釈も容易である。
【0052】
また、上記親子関係定義文書は、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目に関連付けられた情報をさらに定義していてもよい。例えば、XBRLのタクソノミにおいて、表示リンクベースは、各項目の表示順序を示す情報をさらに定義している。この各項目の表示順序を示す情報を用いれば、事業報告の表示装置等において、事業報告形式定義情報または当該事業報告形式定義情報によって定義された形式を有する事業報告を適切に表示することができる。また、例えば、同様にXBRLのタクソノミでは、計算リンクベースは、各項目を演算に用いる際の重み付け(例えば、親に対して加算する(+)か減算する(−)か)を示す情報をさらに定義している。この各項目の重み付けを示す情報を用いれば、事業報告形式定義情報または当該事業報告形式定義情報によって定義された形式を有する事業報告について、適切な演算関係を示すことができる。この演算関係を用いれば、事業報告の計算装置等において、自動的に演算を行なうことができる。
【0053】
以上のように、上記親子関係定義文書が、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目に関連付けられた情報をさらに定義しているとき、上記構造化文書生成手段が、各要素について、上記親子関係定義文書により定義された、当該要素に対応する項目に関連付けられた上記情報を含ませることが好ましい。
【0054】
例えば、図8に示すように、構造化文書には、表示上の表示順序を示す情報(odr)が各要素の属性として記載されている。図9は、各要素に含まれる情報の詳細を示す表である。図9に示すように、各要素には、表示リンクベースに定義されている、各項目に関連付けられた情報が属性として記載されている。
【0055】
上記構造化文書生成手段によって生成される構造化文書の各要素が、当該要素に対応する項目に関連付けられた上記情報を含んでいることにより、当該情報を用いて当該構造化文書をより適切に表示することができるとともに、より多くの情報を外部の装置等へ送信することができるにもかかわらず、依然、事業報告形式定義情報のように複数の文書からなるものではなく、外部の装置への送信および解釈が煩雑にならずに済む。
【0056】
さらに、上記事業報告形式定義情報は、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目に関連付けられた情報を定義する関連情報定義文書をさらに含んでいてもよい。例えば、XBRLのタクソノミは、各項目の名称を定義する名称リンクベースおよび各項目に関連付けられた参照情報を定義する参照リンクベースといった関連情報定義文書をさらに含んでいる。このように付加的な情報を語彙定義文書とは別の文書とすることにより、例えば、名称リンクベースのみを差し替えることにより、言語の異なる国でも用いることができる事業報告形式定義情報を容易に提供することができる上、語彙定義文書を簡易な文書とすることができる。なお、XBRLのタクソノミでは、図7に示すように、上記親子関係定義文書は、XLink(http://www.w3.org/TR/xlink/)を用いて記載される。図7に示す関連情報定義文書では、上記BSAについて、その標準ラベル「貸借対照表」と、冗長ラベル「貸借対照表、タイトル項目」とを記載し、BSAを参照するロケータに対してアークにより関連付けている。また、タクソノミスキーマ(語彙定義文書)と、各リンクベース(親子関係定義文書)との関連付けも、タクソノミスキーマ中に各リンクベースへの参照をXLinkを用いて記載することにより行われている。
【0057】
以上のように、上記事業報告形式定義情報は、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目に関連付けられた情報を定義する関連情報定義文書をさらに含んでいるとき、上記構造化文書生成手段が、生成する構造化文書の各要素について、上記関連情報定義文書により定義された、当該要素に対応する項目に関連付けられた上記情報を含ませることが好ましい。
【0058】
例えば、図8および図9に示すように、構造化文書には、標準的な表示名(標準ラベル:lbl)および冗長的な表示名(冗長ラベル:vbsLbl)を示す情報が各要素の属性として記載されている。
【0059】
上記構造化文書生成手段によって生成される構造化文書の各要素が、当該要素に対応する項目に関連付けられた上記情報を含んでいることにより、当該情報を用いて当該構造化文書をより適切に表示することができるとともに、より多くの情報を外部の装置等へ送信することができるにもかかわらず、依然、事業報告形式定義情報のように複数の文書からなるものではなく、外部の装置への送信および解釈が煩雑にならずに済む。
【0060】
また、上記事業報告形式定義情報は、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目間の表示上の親子関係を定義する表示親子関係定義文書と、当該項目間の計算上の親子関係を定義する計算親子関係定義文書と、当該項目間の概念定義上の親子関係を定義する定義親子関係定義文書とを含んでいるものであってもよい。例えば、XBRLのタクソノミは、表示親子関係定義文書である表示リンクベース、計算親子関係定義文書である計算リンクベースおよび定義親子関係定義文書である定義リンクベースを含んでいる。
【0061】
表示上の親子関係とは、XBRLのタクソノミにおける表示リンクベースのように、事業報告形式定義情報または当該事業報告形式定義情報によって定義された形式を有する事業報告を表示する際に用いられる各項目間の親子関係であり、例えば、各項目をグルーピングして表示する際には、そのグループのメンバーを子とし、グループを親として親子関係を構築することができる。
【0062】
計算上の親子関係とは、XBRLのタクソノミにおける計算リンクベースのように、事業報告形式定義情報によって定義された形式を有する事業報告において各項目を計算する際に用いられる各項目間の親子関係であり、例えば、特定の項目のデータが、他の項目群のデータに対する演算の結果得られるデータと等しい場合には、その項目群を子とし、上記特定の項目を親として親子関係を構築することができる。
【0063】
概念定義上の親子関係とは、XBRLのタクソノミにおける定義リンクベースのように、事業報告形式定義情報における各項目の概念的な親子関係を示すものであり、例えば、各項目が概念的にグルーピングされる場合には、そのグループのメンバーを子とし、グループを親として親子関係を構築することができる。
【0064】
以上のように、上記事業報告形式定義情報が、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目間の表示上の親子関係を定義する表示親子関係定義文書と、当該項目間の計算上の親子関係を定義する計算親子関係定義文書と、当該項目間の概念定義上の親子関係を定義する定義親子関係定義文書とを含んでいることにより、事業報告形式定義情報または当該事業報告形式定義情報によって定義された形式を有する事業報告等の表示、計算および概念理解を首尾よく行うことができる。
【0065】
このとき、上記構造化文書生成手段は、上記表示親子関係定義文書、上記計算親子関係定義文書または上記定義親子関係定義文書のいずれか1つに定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を生成することが好ましい。
【0066】
例えば、図8に示す構造化文書は、表示リンクベースにより定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する。上記構造化文書生成手段は、表示リンクベースの代わりに、計算リンクベースまたは定義リンクベースにより定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を生成してもよい。すなわち、いずれか1つの親子関係定義文書により定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書が生成されるため、例えば、表示を行う際には、表示親子関係定義文書により定義された親子関係を容易に取得し、演算関係を理解する際には、計算親子関係定義文書により定義された親子関係を容易に取得し、概念定義関係を理解する際には、定義親子関係定義文書により定義された親子関係を容易に取得することができるなど、その用途に応じた親子関係を容易に取得することができる。
【0067】
また、上記事業報告形式定義文書は、拡張機能を有していてもよい。本明細書において、事業報告形式定義文書の拡張機能とは、既存の事業報告形式定義文書に対し、情報を追加して新しい事業報告形式定義文書を構成するための機能を指す。言い換えれば、任意の事業報告形式定義文書において、他の事業報告形式定義文書の内容を取り込むための機能を指す。
【0068】
上記拡張機能は、第1の事業報告形式定義文書と、第2の事業報告形式文書とを、第1事業報告形式定義文書に、第2の事業報告形式文書を取り込むことを示して関連付けることによって実現することができる。例えば、XBRLでは、第1の事業報告形式定義文書(のタクソノミスキーマ)内で、importタグを用いて、第2の事業報告形式定義文書(のタクソノミスキーマ)を参照することによって、実現される。
【0069】
第1の事業報告形式定義文書における、第2の事業報告形式文書に対する変更は例えば、優先度の属性を用いることによって以下のように記述することができる。例えば、特定の項目の表示上の親子関係を修正する場合には、第1の事業報告形式定義文書(の表示上の親子関係定義文書)にて修正前の親子関係を禁止し、修正後の親子関係を、第2の事業報告形式文書に記述された修正前の親子関係よりも優先度を高くして記述する。これにより、修正前の親子関係が禁止されて、修正後の親子関係が優先され、親子関係の修正をすることができる。例えば、XBRLでは、関係の禁止を示す属性(値)としてuse(prohibited)、優先度を示す属性として、priorityという属性を用いている。
【0070】
そして、以上に示した事業報告形式定義文書に加え、上記語彙定義文書において定義された語彙に含まれる各項目のそれぞれの値を示す文書を用いれば、事業報告を首尾よく行なうことができる。例えば、XBRLでは、タクソノミスキーマにより定義された要素に、所定の値を記述したインスタンス文書が後者として用いられる。
【0071】
上記構造化文書生成装置は、上記表示親子関係定義文書、上記計算親子関係定義文書および上記定義親子関係定義文書のうちのいずれかを指定する親子関係定義文書指定情報を含む構造化文書生成要求を外部から受信する受信部と、上記構造化文書生成手段が生成した構造化文書を外部に送信する送信部とをさらに備えており、上記構造化文書生成手段は、受信した構造化文書生成要求に含まれる親子関係定義文書指定情報により指定された親子関係定義文書により定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を生成することが好ましい。
【0072】
すなわち、上記構造化文書生成装置と、構造化文書生成要求を当該構造化文書生成装置に対して発し、当該構造化文書生成装置が生成した構造化文書を受け取る外部端末を備えたシステムを構築することができる。このような外部端末は、例えば、図4に示すようなツリービューを備えたものであってもよい。
【0073】
このようなシステムを用いれば、ユーザは、上記外部端末を操作することにより、首尾よく所定の用途(表示、計算または概念定義)に応じた親子関係を表現する構造化文書を取得することができる。
【0074】
また、上記構造化文書生成装置は、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目のうち、いずれの項目を要素とするかを指定する項目指定情報を含んでおり構造化文書生成要求を外部から受信する受信部と、上記構造化文書生成手段が生成した構造化文書を外部に送信する送信部とをさらに備えており、上記構造化文書生成手段は、受信した構造化文書生成要求に含まれる項目指定情報により指定された項目を要素とした構造化文書を生成するものであってもよい。
【0075】
このような構造化文書生成装置と外部端末とで構成されるシステムを用いれば、ユーザは、上記外部端末を操作することにより、首尾よく特定の要素を含んだ構造化文書を取得することができる。特定の要素としては、例えば、事業報告の何れの表(例えば、財務諸表の何れかの表)について表示するかを特定するものであってもよく。特定の表(リンクロール)を指定する情報であってもよい。
【0076】
上記構造化文書生成要求の外部からの受信および上記構造化文書の外部への送信を行う上記構造化文書生成装置では、上記構造化文書生成要求および上記構造化文書がSOAPメッセージを構成していることが好ましい。
【0077】
上記構造化文書生成要求および上記構造化文書がSOAPメッセージを構成していることにより、例えば、インターネットを介して外部端末と通信することを首尾よく行うことができ、ウェブ型のアプリケーションを好適に構築することができる。
【0078】
上記構造化文書生成手段は、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目に対応する各要素を、同一のタグを用いて表現することが好ましい。各要素に同一のタグを付して構築することにより、上記構造化文書の構造を単純なものとすることができ、当該構造化文書の検証等を容易にする。例えば、図8では、各要素をaccタグを用いて表現している。このとき、accタグを有する要素の子要素はaccしか存在し得ないため、上記構造化文書の妥当性を検証するためのXMLスキーマ、DTD等のスキーマ言語を容易に記載することができる。従って、上記構造化文書は、構造化文書を入力とする市販のソフトウェア部品、例えばツリービュー等に容易に適用することができる。なぜなら、これらのソフトウェア部品は、入力する構造化文書の妥当性の検証が求められる場合があり、本発明に係る構造化文書によれば、妥当性の検証が容易であるからである。
【0079】
また、本発明に係る構造化文書生成装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを上記の各手段として駆動させるプログラムおよび該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
【0080】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0081】
図1は、本発明の一実施形態の論理的な構成を示す図である。図1に示すように、XBRL処理システム1は、ユーザインタフェース層2、ビジネスロジック層3およびデータアクセス層4からなる一般的な3層構造のウェブアプリケーションとして構築される。
【0082】
このようなXBRL処理システム1は、例えば、以下のように動作する。まず、ユーザインタフェース層2は、ユーザからの入力を受け付ける。ユーザからの入力は、例えば、事業報告のうちの特定の表(例えば、連結貸借対照表)を指定し、その表について、如何なる用途の親子関係(例えば、表示上の親子関係)を表示すべきかを指定するものである。ユーザインタフェース層2は、上記入力に基づき、上記表示を行うために用いる中間XML(構造化文書)をビジネスロジック層3に対して要求する。ビジネスロジック層3は、上記要求に従い、データベース層4から上記XBRLタクソノミを取得し、当該XBRLタクソノミを処理して、上記特定の表(リンクロール)についての上記特定の用途の親子関係を表現した入れ子構造を有する中間XMLを生成して、ユーザインタフェース層2に出力する。ユーザインタフェース層2は受け取った中間XMLを用いて、例えば、上記特定の表についての上記特定の用途の親子関係を表示する。なお、上記中間XMLが、本発明に係る構造化文書生成装置が生成する構造化文書に相当する。
【0083】
このとき、一実施形態において、ユーザインタフェース層2とビジネスロジック層3との間の通信はネットワークを介して行われる。上記通信は、例えば、SOAP規格に準拠して行われることが好ましい。本発明によれば、後述するように、このような通信を行うためのデータを容易に作成することができる。
【0084】
ただし、以上の構成は、あくまでも上述した各機能を論理的な階層モデルに振り分けることにより、開発効率、拡張性、柔軟性、メンテナンス性等を向上させることを目的としたものであって、必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、XBRL処理システム1は、上述した各機能を実施するように構成されていればよく、上記機能の論理的な構成および振り分けは当業者が適宜設計することができる。
【0085】
図2は、本発明の一実施形態のより詳細な構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、本実施形態では、XBRL処理システム1が、中間XML生成装置(構造化文書生成装置)100および外部端末200を含んで構成される。
【0086】
中間XML生成装置100は、外部端末200との通信のための通信部(受信部、送信部)102、主制御部110およびタクソノミ記憶部120を備えている。主制御部110は、SOAPメッセージ処理部112、中間XML生成部(構造化文書生成手段)111を備えている。中間XML生成部111は、入れ子構造生成部113、第1属性付与部114および第2属性付与部115を備えている。タクソノミ記憶部120は、タクソノミスキーマ(語彙定義文書)を記憶するタクソノミスキーマ記憶部121、表示リンクベース(表示親子関係定義文書)を記憶する表示リンクベース記憶部122、計算リンクベース(計算親子関係定義文書)を記憶する計算リンクベース記憶部123、定義リンクベース(定義親子関係定義文書)を記憶する定義リンクベース記憶部124、名称リンクベース(関連情報定義文書)を記憶する名称リンクベース記憶部125および参照リンクベース(関連情報定義文書)を記憶する参照リンクベース記憶部126を備えている。
【0087】
外部端末200は、表示部201、中間XML生成装置200との通信のための通信部202、ユーザからの入力を受け付ける入力部203および端末制御部210を備えている。端末制御部210は、表示部201に要素を階層構造、すなわち、いわゆるツリービュー形式で表示させるツリービュー表示制御部211、SOAPメッセージ処理部212および中間XML生成要求作成部213を備えている。
【0088】
外部端末200は、入力部201からの入力に基づいて、中間XML生成要求作成部213において中間XML生成要求(構造化文書生成要求)を作成する。入力部201からの入力は、例えば、対象とする事業報告(例えば、連結貸借対照表等)および親子関係(例えば、表示上の親子関係、計算上の親子関係または概念定義上の親子関係)を、リスト状に表示部201に表示させ、そこから選択させることによって受け付けることができる。中間XML生成要求作成部213は、上記入力に基づいて、表(例えば、連結貸借対照表)を特定する情報、および特定の親子関係(例えば、表示上の親子関係)を指定するパラメータを設定する。上記パラメータを受け取ったSOAPメッセージ処理部212は、当該パラメータをSOAPエンベロープに包含されたSOAP本体中に記載して、SOAPメッセージに構成して、中間XML生成要求として通信部202から中間XML生成装置100へと送信する。
【0089】
中間XML生成装置100の通信部102が受信した上記中間XML生成要求は、SOAPメッセージ処理部112において解析され、上述した、特定の表および特定の親子関係を指定するパラメータが取り出され、中間XML生成部111へと伝えられ、中間XML生成部111は、当該パラメータに基づいて中間XML(構造化文書)を生成する。生成された中間XMLは、SOAPメッセージ処理部112において、SOAPエンベロープに包含されたSOAP本体中に埋め込まれ、SOAPメッセージに構成されて、通信部102から外部端末200へと送信される。
【0090】
続いて、外部端末200のSOAPメッセージ処理部212は、通信部202が受信したSOAPメッセージを処理して、上記中間XMLを取り出し、ツリービュー表示制御部211に伝える。ツリービュー表示制御部211は、XMLをその入れ子構造に従った階層構造により表示部201に表示させるものであり、例えば、マイクロソフト社等の公知のツリービューを用いてもよい。
【0091】
以上により、事業報告形式定義情報を首尾よく表示することができる。すなわち、上記中間XMLは、各要素に対応する項目の親子関係を入れ子構造によって表現している他、各要素に対応する項目の名称および表示順序を属性として含んでいるため、ツリービュー表示制御部211は、当該中間XMLに基づいて、各要素の階層関係、表示名称および表示順序を適切に表示させることができる。
【0092】
続いて、中間XML生成部111による中間XMLの生成について詳細に説明する。
【0093】
一実施形態において、中間XML生成部111は、入れ子構造生成部113、第1属性付与部114および第2属性付与部115を備えている。
【0094】
入れ子構造生成部113は、指定された親子関係に対応するリンクベースをタクソノミ記憶部120から取得して、当該リンクベースとタクソノミスキーマ記憶部121から取得したタクソノミスキーマとから入れ子構造を構築する。指定された親子関係に対応するリンクベースとは、例えば、表示上の親子関係が指定された場合には、表示リンクベース記憶部122から取得される表示リンクベースであり、計算上の親子関係が指定された場合には、計算リンクベース記憶部123から取得される計算リンクベースであり、概念定義上の親子関係が指定された場合には、定義リンクベース記憶部124から取得される定義リンクベースである。以下では、表示上の親子関係が指定された場合について説明する。
【0095】
入れ子構造生成部113は、指定された表(リンクロール)を示す情報を用いて、取得した表示リンクベースを探索して、親子関係を取得する。表示リンクベースにおいて、親子関係は、特定の二つの項目(以降、第1の項目および第2の項目と呼ぶ)への参照(ロケータ)と、その間の親子関係(アーク)の組によって示される。上記アークは、例えば、第1の項目は、第2の項目の表示上の親であることを示す(表示アーク)。図5は、タクソノミスキーマの一例、図6は表示リンクベースの一例である。図6に示すように、各ロケータは、図5に示されるタクソノミスキーマの要素を参照している。そして、各アークは、二つのロケータがそれぞれ参照する項目間の親子関係を定義している。なお、図6に示すように、上記組は、親子関係定義文書中において必ずしもまとまって記載されている必要はなく、分散して記載されていてもよい。また、各ロケータは、複数の組に属し得る。
【0096】
入れ子構造生成部113は、上記表示リンクベースを探索して、上記リンクロールを第1の項目として含んでいる上記組を取得し、当該組において第2の項目として参照されている項目を取得する。そして、上記リンクロールに対応する要素内に、取得した第2の項目に対応する要素を入れ子とする。続いて、入れ子とされた要素に対応する項目を第1の項目として含んでいる上記組を取得し、当該組において第2の項目として参照されている項目を取得し、この項目に対応する要素を、上記入れ子とされた要素内にさらに入れ子とする。これを繰り返すことによって、表示リンクベースにより定義された表示上の親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を作成することができる。ここで、各要素のタグの識別子は、同一のもの(例えば、acc)とすることができる。
【0097】
次に、第1属性付与部114は、入れ子構造生成部113が生成した入れ子構造に含まれるそれぞれの要素に対して、表示リンクベースに基づき、表示順序等の属性を付与する。表示リンクベースの上記組には、さらに第1の項目または第2の項目についての表示順序が定義されており、この表示順序を示す情報を、第1の項目または第2の項目に対応する要素に属性として付与する。すなわち、要素の属性定義部(タグ内)に、属性の識別子(表示順序:@odr)と、表示順序を示す情報とからなる属性定義情報を付加すればよい。
【0098】
さらに、第2属性付与部115は、入れ子構造生成部113が生成した入れ子構造に含まれるそれぞれの要素に対して、第1属性付与部114が属性を付与した後、さらに、名称リンクベースおよび参照リンクベースに基づき、標準ラベル、冗長ラベル等の属性を付与する。名称リンクベースおよび参照リンクベースには、特定の項目への参照(ロケータ)と、標準ラベル等と、その間の関係を示す情報(アーク)の組が含まれている。図7に、名称リンクベースの一例を示す。
【0099】
第2属性付与部115は、上記入れ子構造に含まれるそれぞれの要素に対応する項目を参照するロケータを、名称リンクベースおよび参照リンクベースにおいて探索して、当該ロケータとアークにより関連付けられた標準ラベル等を取得する。そして、取得した標準ラベルを、上記要素に属性として付与する。すなわち、要素の属性定義部(タグ内)に、属性の識別子(例えば、標準ラベルであれば@lbl)と、上記標準ラベルとからなる属性定義情報を付加すればよい。
【0100】
以上のように構成された中間XMLの一例が、図8に示される。図8に示す中間XMLでは、連結貸借対照表の各項目が、その表示上の親子関係を表現する入れ子構造によって記述されている。図9は、図8に示す中間XMLの各要素の属性を説明する表である。図9に示すように、各要素には、タクソノミスキーマから取得された属性情報、名称リンクベースから取得された属性情報(標準ラベルおよび冗長ラベル)、表示リンクベースから取得された属性情報(親ロケータ、子ロケータ、優先度等)が付与されている。
【0101】
なお、上述した事業報告形式定義文書の拡張機能が用いられていた場合には、入れ子構造生成部113は、上記タクソノミスキーマ、各リンクベースに加えて、当該タクソノミスキーマにおいてimport要素によって参照された第2のタクソノミスキーマおよび第2のリンクベース群についても検索の対象とする。同一の項目に対する定義情報が複数検出された場合(例えば、特定の項目に対して複数の標準ラベルが関連付けられていた場合)には、禁止されている情報についての処理を止め、優先度(priority)が高い方の情報についてのみ処理を行うことができる。
【0102】
また、上記では、まず、入れ子構造を形成してから属性を付与しているが、これに限定されず、入れ子構造の形成と属性の付与は並行して行う事も可能である。すなわち、要素について、当該要素に対応する項目の名称等を名称リンクベース記憶部125から取得した名称リンクベースを探索して取得し、当該要素に対応する項目の参照情報を参照リンクベース記憶部126から取得した参照リンクベースを探索して取得する。続いて、例えば、表示上の親子関係が指定されていた場合には、上記要素に対応する項目の表示順序を表示リンクベース記憶部122から取得した表示リンクベースを探索して取得する。また、例えば、計算上の親子関係が指定されていた場合には、上記要素に対応する項目の重み付けを計算リンクベース記憶部123から取得した計算リンクベースを探索して取得する。その上で、指定された親子関係に対応するリンクベースを、表示リンクベース記憶部122、計算リンクベース記憶部123および定義リンクベース124から取得して、入れ子構造を構築してもよい。
【0103】
なお、他の実施形態において、XBRL処理システム1は、同一のコンピュータに設けられていてもよい。その場合、通信部102および202は必要ない。
【0104】
(プログラムおよび記録媒体)
最後に、中間XML生成装置100に含まれている主制御部110は、ハードウェアロジックによって構成することもできるが、次のように、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0105】
すなわち、主制御部110は、各機能を実現するプログラムの命令を実行するMPUなどのCPU、このプログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを実行可能な形式に展開するRAM(Random Access Memory)、および、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)を備えている。
【0106】
そして、本発明の目的は、主制御部110のプログラムメモリに固定的に担持されている場合に限らず、上記プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、または、ソースプログラム)を記録した記録媒体をデータ表示/センサ装置100に供給し、中間XML生成装置100が上記記録媒体に記録されている上記プログラムコードを読み出して実行することによっても、達成可能である。
【0107】
上記記録媒体は、特定の構造または種類のものに限定されない。すなわちこの記録媒体は、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などとすることができる。
【0108】
また、主制御部110(または中間XML生成装置100)を通信ネットワークと接続可能に構成しても、本発明の目的を達成できる。この場合、上記のプログラムコードを、通信ネットワークを介して主制御部110に供給する。この通信ネットワークは主制御部110にプログラムコードを供給できるものであればよく、特定の種類または形態に限定されない。たとえばインターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等であればよい。
【0109】
この通信ネットワークを構成する伝送媒体も、プログラムコードを伝送可能な任意の媒体であればよく、特定の構成または種類のものに限定されない。たとえばIEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0110】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲において種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、企業等の会計業務において利用可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 XBRL処理システム
2 ユーザインタフェース層
3 ビジネスロジック層
4 データベース層
100 中間XML生成装置(構造化文書生成装置)
102 通信部(送信部、受信部)
110 主制御部
111 中間XML生成部(構造化文書生成手段)
112 SOAPメッセージ処理部
113 入れ子構造生成部
114 第1属性付与部
115 第2属性付与部
120 タクソノミ記憶部
200 外部端末
201 表示部
202 通信部
203 入力部
210 端末制御部
211 ツリービュー表示制御部
212 SOAPメッセージ処理部
213 中間XML生成要求作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
事業報告の形式を定義する事業報告形式定義情報であって、当該事業報告の語彙を定義する語彙定義文書と、該語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目間の親子関係を定義する親子関係定義文書とを含む事業報告形式定義情報に基づいて、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目を要素とし、上記親子関係定義文書により定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を生成する構造化文書生成手段を備えていることを特徴とする構造化文書生成装置。
【請求項2】
上記親子関係定義文書が、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目に関連付けられた情報をさらに定義しており、
上記要素はそれぞれ、上記親子関係定義文書により定義された、当該要素に対応する項目に関連付けられた情報を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の構造化文書生成装置。
【請求項3】
上記事業報告形式定義情報が、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目に関連付けられた情報を定義する関連情報定義文書をさらに含んでおり、
上記要素はそれぞれ、上記関連情報定義文書により定義された、当該要素に対応する項目に関連付けられた情報を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の構造化文書生成装置。
【請求項4】
上記事業報告形式定義情報が、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目間の表示上の親子関係を定義する表示親子関係定義文書と、当該項目間の計算上の親子関係を定義する計算親子関係定義文書と、当該項目間の概念定義上の親子関係を定義する定義親子関係定義文書とを含んでおり、
上記入れ子構造は、上記表示親子関係定義文書、上記計算親子関係定義文書または上記定義親子関係定義文書のいずれか1つに定義された親子関係を表現することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の構造化文書生成装置。
【請求項5】
上記表示親子関係定義文書、上記計算親子関係定義文書および上記定義親子関係定義文書のうちのいずれかを指定する親子関係定義文書指定情報を含む構造化文書生成要求を外部から受信する受信部と、上記構造化文書生成手段が生成した構造化文書を外部に送信する送信部とをさらに備えており、
上記構造化文書生成手段は、受信した構造化文書生成要求に含まれる親子関係定義文書指定情報により指定された親子関係定義文書により定義された親子関係を表現する入れ子構造を有する構造化文書を生成することを特徴とする請求項4に記載の構造化文書生成装置。
【請求項6】
上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目のうち、いずれの項目を要素とするかを指定する項目指定情報を含む構造化文書生成要求を外部から受信する受信部と、上記構造化文書生成手段が生成した構造化文書を外部に送信する送信部とをさらに備えており、
上記構造化文書生成手段は、受信した構造化文書生成要求に含まれる項目指定情報により指定された項目を要素とした構造化文書を生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の構造化文書生成装置。
【請求項7】
上記構造化文書生成要求および上記構造化文書がSOAPメッセージを構成していることを特徴とする請求項5または6に記載の構造化文書生成装置。
【請求項8】
上記構造化文書は、上記語彙定義文書により定義された語彙に含まれる項目に対応する要素を、同一のタグを用いて表現していることを特徴とする請求項1から7に記載の構造化文書生成装置。
【請求項9】
上記事業報告が、財務諸表であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の構造化文書生成装置。
【請求項10】
コンピュータを請求項1から9のいずれか1項に記載の構造化文書生成装置として動作させるためのプログラムであって、上記コンピュータを上記構造化文書生成装置が備えている各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−186325(P2010−186325A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29982(P2009−29982)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(597095599)株式会社プロネクサス (8)
【Fターム(参考)】