説明

標的化送達

多数の微生物から形成される多数のマイクロカプセルを含み、そしてこれらのマイクロカプセル内に親油性活性物質をカプセル化及び受動的に保持しているカプセル化プロダクトであって、この親油性活性物質は、これらの微生物の天然の構成要素ではなく、これらのマイクロカプセルは:(a)少なくとも実質的にインタクトな細胞壁;及び(b)インタクトな細胞膜を有し;ここで、これらのマイクロカプセルは、所望される少なくとも1つの粘膜への、これらのマイクロカプセル及び親油性活性物質の送達を標的とするように処方される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物により(microbially)カプセル化されたプロダクト、微生物(microbial)カプセル化、ならびに微生物マイクロカプセルを用いる活性物質(active)の標的化送達及び制御放出に関する。
【背景技術】
【0002】
合衆国食品医薬品局(FDA)のBiopharmaceutics Classification System(BCS)によれば、製剤は、所定の製剤原料が生体膜を透過する能力及びその水溶性に基づき4つのグループにクラス分けされる;クラスI薬物は、高度に透過性で、高度に溶解性であり;クラスII薬物は、高度に透過性で、溶解性に乏しく;クラスIIIは、透過性に乏しく、高度に溶解性であり;そしてクラスIV薬物は、透過性に乏しく、溶解性も乏しい(The biopharmaceutics classification system(BCS)guidance、Center for Drug Evaluation and Research、US Food and Drug Administration(FDA)、2001、www.fda.gov/cder)。製剤原料は、最高投与量(the highest dose strength)が1〜7.5のpHの範囲にわたって250mlの水に溶解する場合に、「高度に溶解性」とされ、そしてヒトにおける吸収度(extent of absorption)が、マスバランスに基づきまたは静脈内基準用量との関係で、投与量の90%であると決定される場合に「高度に透過性」とされる。速溶錠(rapdly disslving tablet)について、製剤原料の標識された量の85%が30分以内に溶解しなければならない。従って、速溶性固形経口剤形(rapidly dissolving solid oral dosage form)については、その薬物の用量と溶解度との比率(dose−to solubility ratio)(D:S)は、1〜7.5のpH範囲にわたって250mlでなくてはならない。生体膜に対する高度な透過性及び良好な水溶性の両方を保有する、クラスI製剤原料は、好ましい物理化学的特性を有する。ほとんどの新規に同定された化合物(new chemical identity)は、水不溶性の親油性化合物、言い換えると、有用な医薬品に処方することが従来から困難であるクラスIIまたはクラスIV化合物である(Cyclodextrin−based Drug Delivery、Loftsson,T.、及びO’Fee,R.、2002、Business Briefing:Pharmatech、p136−140)。
【0003】
相当な研究及び開発が、ヒト及び経済的に重要な動物への活性物質の送達に適用されている。活性物質は、経皮及び摂取の両方による、投与のために多数の方法によって処方されている。摂取による投与について、活性物質は、リポソーム、顆粒及び種々の型のマイクロカプセルに組み込まれている。フランス国特許第2179528号、米国特許第4001480号、欧州特許第0085805号、英国特許第2162147号及び欧州特許第0242135号は、全て、微生物内側への低分子のカプセル化のための方法/プロセスを記載する。活性物質を微生物にカプセル化させるために、脂溶性、すなわち、それがカプセル化される微生物の脂質膜を透過することができなくてはならない。BCSクラスII及びクラスIV化合物の親油性は、これらを、微生物カプセル化のために理想的な候補物にし、そして、このような微生物カプセル化は、従来処方不可能であったクラスII及びクラスIV化合物がここで、有用な医薬に処方され得る手段を示す。クラスII化合物の例としては、ケトプロフェン、ナプロキセン、カルバメザペン(Carbamezapene)が挙げられ、そしてクラスIV化合物としては、ヒドロクロロチアジド、及びフロセミドが挙げられる。
【0004】
米国特許第4001480号は、天然で高脂質含量の酵母(40〜60重量%)及び成長条件が脂質を蓄積するように設計された酵母の両方(例えば、Rhodotorula gracilis、Lipomyces種及びEndomyces vermalis)の脂質内に可溶性である活性物質のカプセル化を記載している。この酵母内に含まれる活性物質の放出は、物理的破壊を介してまたは生分解(例えば、消化管内に天然に存在する細菌による酵素消化)によって達成される。
【0005】
EP0085805号は、増殖した高脂質含量酵母(例えば、Lipomyces lipofer)及び低脂質含量酵母(例えば、Candida curvata)の使用を記載している。これらの酵母における高濃度の親油性活性物質をカプセル化する能力は、活性物質が溶解される、脂質増量物質(lipid extending substance)を用いて媒介される。これらのカプセルからの放出は、物理的破壊により達成される。
【0006】
FR2179528号は、プラスモライザー(plasmolyser)(細胞質液の外方浸透による微生物の細胞質の収縮(contraction)または収縮(shrinking)を引き起こす物質)での酵母の処置、引き続く酵母への水溶性物質の注入を記載している。この活性物質がどのように細胞から放出されるかは記載されていない。
【0007】
GB2162147号は、規定の有機性の液状脂質増量物質及びこれらの物質中に溶解またはマイクロ分散可能(micro−dispersible)である材料(material)の両方が微生物中に入りそして受動的に維持されるような、脂質増量物質及びその中に溶解またはマイクロ分散可能な材料の使用を介する、10%未満の脂質を含有する微生物を用いた生成物のカプセル化を記載している。これらのカプセル化プロダクトは、カプセルの破裂によって放出される。
【0008】
EP0242135号は、天然で低脂質含量を有する酵母及び他の微生物(例えば、10重量%未満の脂質含量を有する醸造酵母及びパン酵母)におけるカプセル化を記載している。このカプセル化プロセスは、連続的に攪拌しながら液状カプセル化剤(encapsulate)、水及び酵母を一緒に混合して、活性物質が細胞中に拡散するエマルジョンを維持する工程を含む。特定の例において、細胞内に維持されない低分子量の溶媒(例えば、エタノール、メタノールまたはイソプロパノール)が用いられる。他の特許と同様に、カプセルからの放出は、物理的破壊に起因するか、または生分解プロセス由来である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、微生物マイクロカプセル(EP0553176号に記載されるもののような細胞壁構造を維持する微生物由来の物質を含む、酵母、真菌、細菌、原生動物、及び他の単細胞生物)からの活性物質の放出が細胞壁の物理的破壊または細胞壁の化学的もしくは生物学的分解を伴わずに生じ得ることを発見した。実際、マイクロカプセルが配置される外相が粘膜である場合、活性物質は、活性物質のバースト(burst)または制御された様式で放出される。本発明者により見出されたように、マイクロカプセルが粘膜に接触した際に、マイクロカプセルの分解を伴わずに親油性活性物質が送達されるので、身体の所望の部分への活性物質の送達及び血流への吸収は、より効率的なプロセスである。改善された効率とは、任意の所定の処方物において、より少量の活性物質が用いられる必要があることを意味し、これにより製造コストが削減されるか、あるいはより高濃度の活性物質が直接的に膜表面に送達され/血流への取り込みを改善し得る。より効率的な標的化送達は、腸/小腸の刺激性の酸/アルカリ環境への活性物質の低減された暴露も可能にし、これにより活性物質の化学的/生物学的分解を減少させ、そしてその効力を潜在的に改善する。(例えば、胃の粘膜による)活性物質の改善された吸収速度とは、身体の所望の部分への活性物質の標的化がより特異的なプロセスであることを意味する。例えば、胃における薬物の迅速な取り込みは、非特異的な標的化及びその活性物質の浪費の必然的な減少を伴う、小腸への薬物の減少した流量をもたらす。
【0010】
これらのマイクロカプセルは、独立したプロダクトとしてエンドユーズにおいて使用され得、または所望される特異的な標的への送達を容易にするための賦形剤と共に処方され得る。種々の処方物の使用が、当業者に周知である(Remington’s Pharmaceutical Sciences and US Pharmacopoeia、1984、Mack Publishing Company、Easton、PA、USA;United States Pharmacopoeia、ISBN:1889788031)。
【0011】
本発明の第一の局面に従い、複数の微生物から形成される複数のマイクロカプセルを含み、そして親油性の活性物質をこれらのマイクロカプセル内にカプセル化及び受動的に維持させたカプセル化プロダクトが提供され、この親油性活性物質は、これらの微生物の天然の構成成分ではなく、これらのマイクロカプセルは:
(a)少なくとも実質的にインタクト(intact)な細胞壁;及び
(b)インタクトな細胞膜
を有し、
ここで、これらのマイクロカプセルは、所望される少なくとも1つの粘膜への、これらのマイクロカプセル及びこの親油性活性物質の送達を標的とするように処方される。
【0012】
本明細書中で用いられる場合、用語「活性物質」は、任意の治療剤または活性剤(すなわち、薬学的化合物または化学物質)を含むことが意味される。本発明に関して有用な活性物質の例示的カテゴリー及び特定の例としては:抗ウイルス剤、鎮痛薬、麻酔薬(anaesthetic)、食欲抑制薬、関節炎治療薬、抗うつ薬、抗糖尿病剤、抗炎症剤、抗パーキンソン症候群薬、抗そう痒薬、心臓血管薬、抗高血圧薬、ACEインヒビター、ホルモン、免疫抑制剤、筋弛緩剤、副交感神経遮断薬、副交感神経作動薬、精神刺激薬、抗結核剤、抗咳剤(例えば、デキストロメトルファン、臭化水素酸デキストロメトルファン、ノスカピン、クエン酸カルベタペンタン、及び塩酸クロフェジアノール);ヒスタミンH1−レセプターアンタゴニスト(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、酒石酸フェニンダミン、マレイン酸ピリラミン、コハク酸ドキシラミン及びクエン酸フェニルトロキサミン);ヒスタミンH2−レセプターアンタゴニスト(例えば、ラニチジン、ファモチジン、シメチジン、ニザチジン及びロキサチジン(roxatidine));うっ血除去薬(例えば、塩酸フェニレフリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、塩酸エフェドリン);種々のアルカロイド(例えば、リン酸コデイン、硫酸コデイン及びモルヒネ);ミネラルサプリメント(mineral supplement)(例えば、塩化カリウム及び炭酸カルシウム、酸化マグネシウム及び他のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩);緩下薬、ビタミン;制酸薬;イオン交換樹脂(例えば、コレスチラミン);コレステロール血症治療薬(anti−cholesterolemic)及び抗脂質剤(anti−lipidic agent)(例えば、ゲムフィブロジル);抗不整脈剤(例えば、N−アセチル−プロカインアミド);抗発熱剤(例えば、アセトミノフェン(acetominophen)、アスピリン);非ステロイド系抗炎症(NSAI)物質、そしてより詳細には、アリールカルボン酸誘導体(例えば、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、エトドラク(etodolac)及びナキソプレン(naxoprene));NSAIオキシカム(oxicam)誘導体(例えば、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、NSAIフェナメート(fenamate)、インドーリック、及びフェニルブタゾン誘導体;食欲抑制剤(例えば、塩酸フェニルプロパノールアミンまたはカフェイン);及び去痰薬(例えば、グアイフェネシン)が挙げられる。さらなる有用な活性物質医薬としては、冠血管拡張薬(coronary dilator)、大脳拡張薬(cerebral dilator)、末梢血管拡張薬(peripheral vasodilator)、抗感染症薬(anti−infective)、向精神薬、抗躁薬(anti−manic)、興奮薬、胃腸鎮静薬(gastro−intestinal sedative)及びバンデージ(bandage)、止痢薬及び抗便秘調製物(anti−constipation preparation)、抗狭心症薬、血管拡張薬、抗高血圧薬、血管収縮薬及び片頭痛治療薬(migraine treatment)、抗生物質、トランキライザー、抗精神病薬、抗腫瘍薬、抗凝固剤、及び抗血栓剤、催眠薬、鎮静剤、制吐剤(anti−emetic)、鎮吐剤(anti−nauseant)、鎮痙薬、神経筋薬(neuromuscular drug)、高及び低血糖剤(hyper− and hypoglycaemic agents)、甲状腺及び抗甲状腺調製物(thyroid and anti−thyroid preparation)、利尿薬、鎮痙薬、子宮弛緩薬、栄養添加剤、肥満抑制薬、蛋白同化薬(anabolic drug)、造血薬(erythropoietic drug)、ぜん息治療薬、抗ヒスタミン剤または抗コリン作動薬またはアヘン誘導体(例えば、コデイン、デキストロメトルファン、エチルモルヒネ、ノスカピン、フォルコジン)、咳止め、経口粘液溶解薬(oral mucolytic)(例えば、アセチルシステイン(acetylcisteine)、アンブロキソール、ブロムヘキシン、カルボシステイン(carbocisteine)、エルドステイン(erdosteine)、レトステイン(letosteine))、抗尿酸血症薬(anti−uricemic drug)等が挙げられる。活性物質の他の例は、当業者に周知である。
【0013】
マイクロカプセルの送達のための標的は、粘膜であり得る。
【0014】
粘膜は、口腔または口腔前庭、舌、胃、小腸(十二指腸または空腸)、大腸(結腸)、直腸、膣、頚部、鼻、鼻咽頭、または肺系(気管、喉頭、気管支、及び肺)を覆う(lining)膜であり得る。粘膜は、ヒト、家庭のペット、及び家畜の消化器系統の膜内層(membrane lining)であり得る。
【0015】
粘膜は、口腔、口腔前庭又は舌の内層であり得、ここで、マイクロカプセル中にカプセル化された活性物質が薬学的使用、オーラルヘルスケアのため、または大衆(OTC)薬として存在し得る。口内に吸収され得る薬物は、従来の嚥下錠剤(swallowed tablet)より迅速かつより高濃度で血流に入る。口腔の粘膜内層は、非常に血管に富み(highly vascular)そして心臓及び動脈循環に、薬物を、最初に肝臓を通すことなく移動させる。口または舌に送達するために、マイクロカプセルは、例えば、口内炎、塹壕口内炎、歯肉炎または口腔潰瘍を処置するために、散剤、ゲル剤、スプレー剤、または錠剤として処方され得る。例えば、口内炎の処置のために用いられる活性物質としては、サリチル酸コリン、リドカイン、塩化セタルコニウムが挙げられる。血流は、口または口腔前庭の内層を通って容易にアクセス可能であるので、口に関連しない状態を処置するための活性物質の送達も可能であり得る。そのような活性物質は、乾燥または液体(エマルジョンまたは懸濁液)シロップ、サシェ、チュアブル、チューイングガム、オロディスパーシブル(orodispersible)、ディスパーシブルエッファーベッセント(dispersible effervescent)、飛散性錠剤、圧縮バッカル錠、圧縮舌下錠、チュアブル錠、及びロゼンジの形態に処方され得る。薬物送達のためのチュアブル剤形は、製薬業界において周知である。
【0016】
粘膜は、咽頭/喉を覆う膜であり得、ここで、カプセル化プロダクトは薬学的使用のためまたはOTC薬であり得る。マイクロカプセルは、圧縮スイート(sweet)または煮沸したスイート(例えば、喉飴(cough sweet))として処方され得、ここでこのマイクロカプセルは、うっ血除去薬として作用するノナノール及び/またはメントールを含み得る。鼻咽腔膜に活性物質を送達するために、マイクロカプセルは、散剤、ゲル剤、スプレー剤またはエアロゾル剤として処方され得る。鎮痛薬及び/または麻酔薬(anaesthetic)(例えば、リドカイン及びリグノカイン)が、例えば、扁桃炎を処置するためにカプセル化され、そしてスプレー剤として処方され得る。
【0017】
粘膜は、食道または胃を覆う膜であり得、ここでマイクロカプセル中にカプセル化された活性物質は、薬学的使用、栄養補助用途のため、またはOTC薬であり得る。マイクロカプセルは、嚥下を補助しそして口または舌の表面における活性物質の早すぎる(premature)放出を防ぐように1または2パーツのゼラチンカプセルまたは他の類似の材料中に組み込まれ得る。例えば、プロトンポンプインヒビター(例えば、オメプラゾール)は、胃潰瘍を処置するために、ゼラチンカプセル内にカプセル化及び処方され得る。
【0018】
粘膜は、小/大腸を覆う膜内層であり得、ここで、カプセル化活性物質は、薬学的使用のためまたはOTC薬であり得る。小腸において放出は、主に粘膜との接触に起因して生じるが、マイクロカプセルメンブレン内でトリグリセリドの乳化を助ける胆汁酸塩中に分泌される天然の乳化システムに起因する幾分かの効果も存在する。小腸に送達するために、マイクロカプセルは、アルカリ条件でのみ分解する酸安定性腸溶性コーティング(例えば、Eudragit(Rohm and Haas)、Aquacoat(FMC)、及びKollicoat(BASF))を用いて処方され得る。米国特許第4755387号に概説されるように、腸溶性コーティングの多くの例が存在する。そのような腸溶性コーティングの使用は、Fluoxetine(Prozac)のような薬物が小腸を標的化することを可能にする。ニンニク(心臓血管系に対する有益な効果を有することが知られておりそしてコレステロールを減少させることができる活性成分アラシンを含む)は、小腸への送達を標的とするために、腸溶性コーティングを用いてカプセル化及び処方され得、それにより、他のニンニク調製物に関連する強烈な臭い及び味の特徴を排除する。
【0019】
粘膜は、結腸/直腸を覆う膜であり得、ここで、マイクロカプセルは、薬学的使用のため、またはOTC薬であり得る。消化管内に含まれる細菌により産生されるβ−グルカナーゼは、結腸への送達の前に活性物質の放出を引き起こし得、従って特定の結腸送達因子が必要とされる。例えば、処方物は、ラクトース(結腸のミクロフローラに曝されると分解される)を含み得、従って薬物は、有機酸の形成に続いて結腸中に放出される。活性物質は、外側の腸溶性コーティング(例えば、Targit(West Pharmaceuticals))及び小腸から盲腸まで通過させるための内側のカチオン性ポリマーコーティングを用いることによって、結腸の前での分解/吸収が防がれ得る。例えば、腸溶性コーティングされたペパーミントオイルマイクロカプセルは、過敏性腸症候群(IBS)の症状を処置するために用いられ得る。胃及び上部腸において吸収される代わりに、腸溶性コーティングは、活性物質が小腸及び結腸(ここで、それは小腸筋を弛緩させる)に到達するまでその放出を防ぐ。結腸または直腸への活性物質の送達は、坐剤、軟膏剤(oinment)、クリーム剤、またはゲル剤として処方されるマイクロカプセルの使用を介しても達成され得、例えば、吉草酸ベタメタゾン、リグノカイン及びフェニレフリン(phenylphrine)が、痔の処置において用いられ得る。
【0020】
粘膜は、鼻を覆う膜であり得、ここで、カプセル化プロダクトは、薬学的使用のためまたはOTC薬物であり得る。例えば、微生物中にカプセル化された活性物質は、うっ血除去剤として枯草熱の処置のために用いられ得る。活性物質は、嗅剤として、またはエアロゾルとして送達され得る−例えば、活性物質を含む酵母または細菌のマイクロカプセルが、例えば、枯草熱の処置において、患者の鼻咽喉空間中に、粉末状の、薬学的に活性な医薬を導入するための補助としての鼻アプリケーター(nasal appicator)を介して、送達され得る。
【0021】
粘膜は、肺系統(すなわち、咽頭、気管、気管支、及び肺)を覆う膜であり得、ここで微生物中にカプセル化された活性物質は、例えば、薬学的使用、または抗菌使用のために用いられ得る。喘息は、カプセル化されたロイコトリエン修飾物質(例えば、モンテルカスト、ザフィルルーカスト、ジロートン(zileuton))、またはカプセル化されたβアゴニスト(例えば、アルブテロール、フォルモテロール、サルメトロール(salmetrol)、及びメタプロテレノール)の使用を介して処置され得る。肺炎は、カプセル化された抗生物質を用いて処置され得る。
【0022】
粘膜は、膣/頸部を覆う膜であり得、ここで、微生物中にカプセル化された活性物質は、薬学的使用のためまたはOTC薬物であり得る。マイクロカプセルは、ペッサリー、クリーム剤、軟膏剤(ointment)またはゲル剤として処方され得、そして鵞口瘡の予防及び処置のため(例えば、クロトリマゾールを用いる)、殺精子薬(例えば、ノンオキシオール−9を用いる)、抗炎症剤、抗菌剤(例えば、塩化ベンジルアルコニウムなど)として、または抗癌剤として用いられ得る。
【0023】
粘膜は、ヒト、家庭のペット、及び家畜の消化系を覆う膜であり得、ここで活性物質の部分的放出は、消化器系を通して生じる。例えば、活性物質の遅延(delayed)及び制御放出は、活性物質がヒトの消化器系全体を通して放出される場合に生じ得る。この例における生体膜は、上部胃腸管、胃、小腸及び結腸を覆う粘膜(tunica mucosa)である。
【0024】
従って、マイクロカプセルは、乾燥または液体(エマルジョンまたは懸濁液)シロップ、サシェ、チュアブル、チューイングガム、オロディスパーシブル、ディスパーシブルエッファーベッセント、飛散性錠剤、圧縮バッカル錠、圧縮舌下錠、チュアブル錠、メルト−イン−ザ−マウス(melt−in−the−mouth)、ロゼンジ、ペースト剤、散剤、ゲル剤、圧縮スイート、煮沸したスイート、クリーム剤、坐剤、嗅剤、スプレー剤、エアロゾル剤、ペッサリー、または軟膏剤(ointment)として処方され得る。
【0025】
本発明の第二の局面によれば、
(i)前記微生物と親油性活性物質とを接触させて、前記微生物内に前記親油性活性物質をカプセル化する工程であって;
前記親油性活性物質が、前記マイクロカプセル内にカプセル化されそして受動的に保持され、前記親油性活性物質が、前記微生物の天然の構成要素でなく、前記マイクロカプセルが;
(a)少なくとも実質的にインタクトな細胞壁;及び
(b)インタクトな細胞膜、
を有する工程、
を含み、
(ii)所望される少なくとも1つの生体膜への前記マイクロカプセル及び前記親油性活性物質の送達を標的とするように前記マイクロカプセルを処方する工程、
をさらに含む、
カプセル化プロダクトが複数の微生物から形成される複数のマイクロカプセルを含む、カプセル化プロダクトの製造方法が提供される。
【0026】
カプセル化の種々の方法が公知であり、そしてFR2179528号、US4001480号、EP0085805号、GB2162147号及びEP0242135号に記載されているものが挙げられる。
【0027】
脂溶性活性物質のカプセル化の方法は、細胞内の脂質の蓄積を促進する条件において増殖する微生物を用いてもよい。細胞の脂質含量を増加すること(例えば、40〜60%まで)によって、より多量の脂溶性活性物質が細胞内に蓄積され得る。活性物質は、微生物と接触され得、そしてそれをカプセル化するために所望される期間にわたりインキュベートされ得、そして得られたカプセル化物質は、回収され得る。カプセル化及び回収の後、この微生物は、該マイクロカプセルを軟化させるためにタンパク質分解酵素で処理され得る。この軟化処理は、脂溶性活性物質のカプセル化の前にも実施され得る。より効率的なカプセル化は、この微生物/活性物質混合物への物理的圧力の適用を介して、またはカプセル化プロセスの間の加熱を通して得ることができる。
【0028】
微生物は、10%未満から50%を超える範囲の天然の脂質含量を有し得る。あるいは、微生物細胞内の脂質の貯蔵を促進し、それによって天然の脂質含量より高い値まで脂質含量を増加させる増殖培地が用いられ得る。
【0029】
カプセル化の前に、プラモライザー(plamolyser)が使用され得る。この物質は、細胞質液(cytoplasmic fluid)の外方浸透により微生物細胞質の収縮(contraction)または収縮(shrinking)を引き起こす。
【0030】
微生物は、増殖した形態であり(すなわち、それは増殖期後の培養培地から回収されている)、そしてそれは、インタクトでありかつ溶解されていない。より効率的なカプセル化が通常達成されるので、好ましくは、この微生物は、カプセル化プロセスの開始時に生きているが、しかし(その増殖する能力を破壊するための)放射、(滅菌目的の)マイクロウェーブ照射または噴霧乾燥のような条件に供された微生物も使用され得る。
【0031】
活性物質は、カプセル化プロセスの間、液体形態または溶液であるべきである。活性物質は、その通常の状態で液体(油を含む)であり得、または、固体であり得る(この場合それは、脂溶性の溶媒中に溶解もしくはマイクロディスパーズされるべきである)。適切な溶媒としては:
(a)C4〜C12の範囲内の一級アルコール(例えば、ノナノール及びデカノール)(12個より多い炭素原子の直鎖を含むより高分子の(higher)アルコールは、カプセル化には大きすぎる);
(b)二級及び三級アルコール;
(c)グリコール(例えば、ジエチレングリコール)
(d)エステル−直鎖の炭素鎖が2より大きく、12以下である任意のエステル(例えば、エチルブチレート、トリアセチン);
(e)芳香族炭化水素(例えば、キシレン、及びアセトフェノン)、
(f)12個より多い炭素の直鎖の枝を有さない任意の芳香族親油性油、
(g)C3〜C12の間のカルボン酸、
が挙げられる。
【0032】
あるいは、固体の活性物質がカプセル化され得るが(例えば、メントール)、しかし、それは、好首尾にカプセル化されるように親油性でなくてはならず、そしてそれは上記の溶媒の1つに可溶性であるかまたは80℃未満で融解するべきである。長時間の80℃より高い温度は、細胞膜に修復不可能な損傷を与える。より高い温度は、活性物質の分解を生じ得るので、このプロセスに関して理想的には、活性物質は、40〜65℃の間の液体であるべきである。
【0033】
複数の活性物質−例えば、一般的な風邪、またはインフルエンザの処置のためのカフェイン及びアスピリン/パラセタモール、が、同時カプセル化(co−encapsulated)され得る。
【0034】
メタノール、エタノール及びイソプロパノールは、非常に低分子量の揮発性溶媒であり、これらは、カプセル化を補助するために用いられ得るが、実際には、これら自体をカプセル化はしない。材料をカプセル化するために用いられる場合、活性物質は、例えば、エタノール中に可溶性でなくてはならず、そして例えば、3または4部の水に添加される場合、活性物質は溶液中にとどまらなくてはならない。酵母を湿潤させ、それによりその膜を水和させるために、常に、幾分かの水分が存在していなければならず、そうでないと、カプセル化は生じない。このプロセスの間、エタノールは蒸発し、そして活性物質(酵母の膜内に少なくとも部分的に可溶性でなくてはならない)がカプセル化される。残留エタノールは、カプセル化後処理(例えば、噴霧乾燥)の間に蒸発する。
【0035】
活性物質がカプセル化され得るか否かを予想するために、いくつかの基準が考慮されなくてはならない。ベンゼンまたはナフタレン環を有する活性物質は、特に、カプセル化に適しているようである。0.5〜4.0の間のオクタノール/水分配係数(logP)を有する活性物質は、充分にカプセル化される。分子量も考慮されなくてはならない−1000ダルトン未満の分子量を有する活性物質は、一般的にカプセル化され得る。サイズも重量である−なぜなら、C12より大きい直鎖の炭化水素は、カプセル化せず、直鎖のC12以上のストレッチ(stretch)を含む任意の分子も、C12鎖までの同様の長さのリジッドな(rigid)構造を有する分子もカプセル化しないからである。C12より多い数の炭素を有する分子は、その構造がベンゼン環を含む限りにおいて(例えば、フェノールまたはナフタレン環等)、カプセル化され得る。小さい分子直径を有する分子(活性物質)は、最も良好に作用する。1〜3個の炭素を有する揮発性分子(例えば、エタン、エタノール、プロパノール)はカプセル化しないが、4個以上の炭素原子を含有する分子は、一般にカプセル化する。直鎖炭素原子に関するカプセル化のための範囲は、C4〜C12の間である。これらの基準以外に、活性物質のカプセル化についての適性は、本発明の方法の単純な実施により見出され得る。
【0036】
カプセル化処理は、通常の周囲温度で実施され得るが、好ましくは、この温度は、カプセル化処理を促進するために、昇温される。適切な昇温された温度は、35〜60℃の範囲であり得る。
【0037】
好ましくは、このカプセル化処理は、微生物と液体媒体、特に水性媒体中の活性物質とを混合して、微生物と活性物質との良好な分散及び接触を得る工程を含む。
【0038】
カプセル化処理は、最適なカプセル化が達成されるまで継続され得る。酵母が過酷な環境(例えば、高アルコール含量)において増殖(この場合、その細胞壁は厚くなり得、このことは光学顕微鏡による可視化をより困難にし得る)しない限り、カプセル化は、通常、微生物細胞内に含まれた活性物質の1つ以上の液滴として顕微鏡で観察され得る。そのような例において、透過型電子顕微鏡(TEM)が必要とされ得る。カプセル化処理には、最適なレベルのカプセル化が達成されるまでに2〜3時間がかかり得る。
【0039】
カプセル化後、残った低分子量溶媒(例えば、エタノール、メタノール及びプロパノール)が、エバポレーションまたは他の空気乾燥プロセスによりカプセル化プロセス後に除去され得る。不活性ガスまたは酸素非含有大気におけるエバポレーションによる乾燥も、敏感な活性物質が用いられるプロセスを補助し得る。水も、噴霧乾燥または凍結乾燥によって除去され得る。水は、マイクロカプセル懸濁液を乾燥器に入れることによるエバポレーションによっても除去され得る。
【0040】
処理前漂白工程が、カプセル化の前に実施され得る。例えば、この処理は、室温で1時間まで実施され得、ここで、微生物が、0.2M水酸化ナトリウム/1%w/v過酸化水素溶液中を含む9〜10の間のpH値のアルカリ漂白溶液で処理される。珪酸ナトリウムがこの混合物に消泡剤として添加され得る。得られた微生物は、一般的に、オフホワイトの色であり、そして細胞壁(cell well)は、より多孔質であり得る。例えば、自身の重量の2〜3倍の水を吸収し得る未処理の酵母細胞に対し、漂白された酵母の場合、乾燥時の細胞は、自身の重量の5〜10倍の水を吸収し得る。漂白した酵母の増加した吸水能力とは、カプセル化が通常、より多い容量の液体中で実施され、それにより増加した粘度に伴う問題を回避することを意味する。
【0041】
カプセル化プロセスの前、またはいくつかの場合においてはその間に、微生物は、カプセル化の効率を改善するために、高温及び/または酵素及び/または化学物質(例えば、水酸化ナトリウムまたはマグネシウム塩)で処理され得る。酵素(例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、キチナーゼ、b−グルカナーゼ)は、微生物細胞壁を分解する役割を果たす。水酸化ナトリウムまたはマグネシウム塩は、微生物の透過性を増強する。次いで、微生物は、カプセル化される活性物質と混合され得、そして最適なカプセル化が達成されるまで(マイクロカプセルの光学または電子顕微鏡分析により決定される)インキュベートされ得る。高剪断混合(high shear mixing)が、酵母の分散を助けそして酵母と活性物質との間の接触を改善してカプセル化を助けるために用いられ得る。
【0042】
活性物質のカプセル化の後、得られたマイクロカプセルのコンディショニング処理が、微生物マイクロカプセルの色、風味及び臭いを除去するために実施され得る。このコンディショニング処理は、これらのマイクロカプセルを乾燥環境(例えば、オーブンまたはヒートチャンバー)中で、室温で数週間もしくは数ヶ月、または40℃までの高温で数時間/数日間、インキュベートすることを含む。
【0043】
酵母の場合、カプセル化プロセスは、天然の二重壁カプセル内での活性物質の蓄積を生じる。酵母細胞壁は、一般的に、大部分グルカン(例えば、1,3−β−グルカン)を含み、そして細胞に剛性及び構造的支持を付加する長鎖炭水化物ポリマーキチンも含む、80〜90%多糖である。タンパク質(例えば、マンノプロテイン(mannoprotein))、脂質及びポリホスフェートは、無機イオンと共に、細胞壁接着マトリクスを形成する。この内膜は、代表的な脂質二重層である。酵母細胞壁は、多くの食品グレードのカプセルと異なり、不溶性であり、従って、これらのマイクロカプセルは、湿式及び乾式の加工をされ得る。酵母のマイクロカプセルが噴霧乾燥される場合、多数の酵母細胞を含む凝集した粒子からなる易流動性の粉末が生成される。乾燥条件に依存して、乾燥粒径は、10〜300ミクロンの間の範囲をとり得る。大きな粒子については、流動床(fluidised bed)が必要とされる。プロダクトは、圧縮、またはロータリードライング(rotary drying)により生成される、ケーク、懸濁液としても調製され得る。粒径及び複数の粒径の混合は、放出速度を調節するために有用であり得る。
【0044】
マイクロカプセルは、残りのカプセル化していない材料を除去するためにカプセル化後に洗浄され、そして遠心分離、凍結乾燥または噴霧乾燥によって単離され得る。
【0045】
好ましくは、微生物は、真菌である。代表的な真菌は、酵母(例えば、Saccharomyces cerevisiae(醸造酵母及びパン酵母)、Kluyveromyces fragilis(デイリーイースト(dairy yeast))及びCandida utilis)である。酵母は、分類学上のEndomycetales目から選択され得る。微生物は、糸状菌(例えば、Aspergillus niger)でもよい。胞子、菌糸体及び巨細胞形態の糸状菌が使用され得る。微生物は、原型(例えば、Fusarium graminearium)でもよい。使用され得る他の微生物は、細菌及び藻類である。任意の相対的に大きな原生動物も用いられ得る−そのような原生動物の例としては、Bacteriodes succinogenes、Etidinium ecaudatum、Entodinium caudatum、Eudipolodinium neglectum、Eudiplodinium maggii、Diplodinium dentatum、及びPolyplastron multivesticulatumが挙げられる。
【0046】
本発明の第三の局面によれば、本発明の第一の局面に従うカプセル化プロダクト、すなわち、親油性の活性物質を含む実質的にインタクトなマイクロカプセル、を含む医薬を患者に投与し、その結果、これらのマイクロカプセルが患者の粘膜と接触する工程を含む、患者の処置法が提供され、ここで、前記マイクロカプセルは、身体の所望の部分への活性物質の送達を標的化するような処方でコーティングされる。当然、この患者は、前記医薬での処置を必要とするものであり得る。
【0047】
本発明は、標的化された送達の形態を例示によってのみ示す、以下の記載及び図からさらに明らかになる。
【0048】
実験
以下の実施例は、種々のカプセル化プロダクトの生成及び処方を詳述する。さらに、活性物質をカプセル化するために使用される方法も記載される。
【実施例1】
【0049】
酵母Saccharomyces cerevisiaeを、MYGP寒天斜面培地(麦芽エキス及び酵母エキス各0.3%(w/v)、0.5%細菌ペプトン、2%(w/v)グルコース;2%(w/v)寒天)上に維持した。1白金耳(loop)の酵母を、10mlのMYGPブロス(上記の通りであるが寒天なしで調製した培地)に無菌的に移し、そして30℃で一晩インキュベートした。5リットルの作動容量のMYGPブロスを含む発酵器に、このブロスを無菌的に移した。この培養物を、30℃で3日間インキュベートし、そしてMSE Mistral 3000i遠心分離機を用いる遠心分離(2000×g)によって、酵母を回収した。回収した酵母を、水洗して過剰の培地を除去し、そしてジャケット付ガラス容器中で、55℃の温度で、最終固形分33%w/vまで水に懸濁した。Teflonパドル(Stuart Scientific SS 10)を用いるトップスターリング(top stirring)で、約300rpmで酵母を攪拌した。予め融解したメントールを、酵母の乾燥重量の半分まで、この混合物に添加し、そして混合物を連続的にさらに5時間攪拌した。次いで、メントールを含む酵母細胞を、遠心分離により取り出し、温水で洗浄し、そして噴霧乾燥により乾燥した。得られた酵母カプセルは、メントールの結晶を、33%w/wで含有していた。
【0050】
メントールマイクロカプセルを、製薬工業における当業者に公知の従来法を用いて、錠剤に組み込み口内に入れた場合、粘膜との接触の際にメントールのフレーバー及び臭いが放出された。唾液の作用により口内で分散される錠剤としてより多くメントールが放出され、長時間のうっ血除去効果を提供する。
【実施例2】
【0051】
酵母、Saccharomyces cerevisiae(62F)を、噴霧乾燥した粉末としてWilliam Bioenergyから得た。この酵母は、色が明るく、そして選択された培養培地に起因して(コーンシロップに基づく)わずかな酵母のフレーバーを有していた。乾燥粉末を水洗して過剰の培地成分を除去し、そして得られた酵母(約65%の乾燥重量の噴霧乾燥粉末)を、ジャケット付ガラス容器中、42℃の温度で、最終固形分35%w/vまで水に懸濁した。酵母を、Teflonパドルを用いるトップスターリング(Stuart Scientific SS10)で、約300rpmで攪拌した。この混合物に、トリアセチン中に溶解したイブプロフェン(10%w/v)を、洗浄した酵母の乾燥重量の約半分まで添加し、そしてこの混合物を、連続して6時間攪拌した。次いで、トリアセチン及びイブプロフェンを含む酵母細胞を、遠心分離によって取り出し、温水で洗浄し、そして噴霧乾燥により乾燥した。得られた酵母カプセルは、36%w/wトリアセチン及び3.7%w/wイブプロフェンを含有していた。
【0052】
得られた粉末を、2パーツのゼラチンカプセル中に入れ、そしてより迅速な取り込み及びより早い疼痛の緩和を可能にするように、胃の内層にイブプロフェンを直接送達するために用いることができた。
【実施例3】
【0053】
40g/リットルの珪酸ナトリウムを含有する0.2Mの水酸化ナトリウム水溶液1リットル中に、市販の乾燥パン酵母(300g)(Saccharomyces cerevisiae)を懸濁した。過酸化水素を、その濃度が1%w/vに達するまで添加し、次いで、得られた懸濁液を、室温で1時間、穏やかに攪拌した。次いで、酵母を、遠心分離により取り出し、水洗して過剰の漂白剤を除去し、そして噴霧乾燥により乾燥した。生産された酵母は、白色〜オフホワイトの色であり、そして懸濁液において、クリーム状のテクスチャーを有しており、識別可能な酵母の臭いを有さなかった。
【0054】
噴霧乾燥した物質を、将来のカプセル化プロセスに備えて、室温で乾燥状態で貯蔵した。
【0055】
乾燥前の懸濁液の一部を、固形分20%まで水で調整した。漂白及び脱臭した酵母の粘度は、漂白していない酵母と同様の濃度で用いて所望のエマルジョン特性を得るには高すぎた。この漂白及び脱臭した酵母の懸濁液を、テルペン油中に15%w/vの濃度で溶解したロラチジン(loratidine)の存在下で(ロラチジン/テルペン油混合物を、乾燥酵母の重量の約50%まで添加した)、44℃で、ロータリースターラーを用いて350rpmで4時間、攪拌した。次いで、テルペン油中のロラチジン含有酵母細胞を、遠心分離によって取り出し、水洗し、そして噴霧乾燥により乾燥した。乾燥生成物は、約24%のテルペン油及び3.3%のロラチジンを含有していた。
【0056】
この粉末は、枯草熱症状を軽減する、計量粉末アプリケーター(measured dose powder applicator)にて、鼻の膜に適用され得る。
【実施例4】
【0057】
実施例2に記載されるようにコーンシロップに基づく培地中で増殖した酵母を、実施例3に記載される手順を用いて漂白及び脱臭し、そして得られた酵母を、固形分約20%まで水に懸濁した。ロータリースターラーを用いて350rpmで攪拌しながら、この酵母懸濁液に、ティーツリー油を添加した。この混合物を、酵母中のティーツリー油の濃度が増加しなくなるまで、60℃で攪拌した。次いで、ティーツリー油を含有する酵母細胞を、遠心分離により取り出し、水洗し、そして噴霧乾燥により乾燥した。次いで、45重量%のティーツリー油を含む粉末を、チュアブル錠に処方した。錠剤内の酵母マイクロカプセルは、湿気の存在する口内において粘膜と接触した際に(両方がティーツリー油の放出に必須である)、ティーツリー油を放出し、持続的かつ長時間の様式で、天然の抗菌効果をもたらした。
【実施例5】
【0058】
漂白及び脱臭したTorula酵母(Candida utilis)を、固形分約18%で水中に懸濁した。ロータリースターラーを用いて320rpmで攪拌しながら、酵母懸濁液に、ノナノール中に溶解したオメプラゾールを8%w/vの最終濃度まで添加した;ノナノール/オメプラゾール混合物を乾燥酵母の濃度に対して約40%の最終濃度まで添加した。この混合物を、40℃で、8時間、連続的に攪拌した。インキュベーションの後、酵母細胞を、遠心分離により回収し、そして2回水洗した。酵母ペレットを−20℃で凍結し、そして凍結乾燥により、24〜48時間、乾燥した。得られた乾燥ケークを、100%の粒子が直径100ミクロン未満となるように粉砕した。分析の際、乾燥カプセルが、約26%のノナノール及び2%のオメプラゾールを含有することが測定された。
【0059】
これらのカプセルを、胃潰瘍の処置におけるレディートゥーユーズ(ready to use)のハードゼラチンカプセルに処方した。
【実施例6】
【0060】
漂白及び脱臭したKluyveromyces fragilisを、固形分約23%まで、水に懸濁した。320rpmでロータリースターラーを用いて攪拌しながら、酵母懸濁液に、トリアセチン中10%w/vの最終濃度まで溶解したクロラムフェニコールを、添加した;トリアセチン/クロラムフェニコール混合物を、乾燥酵母の約50%の最終濃度まで添加した。混合物を、50℃で、6時間連続的に攪拌した。インキュベーションの後、酵母細胞を、遠心分離によって回収し、そして水で2回洗浄した。32%w/wのトリアセチン及び3%w/wのクロラムフェニコールを含有する酵母細胞を、固形分25%まで希釈し、そして噴霧乾燥によって乾燥した。
【0061】
これらのクロラムフェニコールマイクロカプセルを、製薬工業における当業者に公知の従来法を用いて、錠剤に組み込んだ。次いで、これらの錠剤は、嚥下され、これらの内容物を、消化管の表面上に放出させた。
【実施例7】
【0062】
クエン酸工業から得られるAspergillus oryzaeの細胞塊を水洗し、次いで、実施例3におけるように漂白して、インタクトの細胞壁及び細胞膜を有する白色〜オフホワイトの菌糸状株を産生した。この塊を、2リットルのロータリーシェーカーに、固形分30%で入れ、そして真菌菌糸の重量の50%のベルガモット及びマヌカ(manuka)オイル混合物を添加した。菌糸状の塊/精油混合物を、60℃で、3時間、密閉容器中で連続的に振盪した。精油混合物を含有する真菌菌糸を、ワイアメッシュ(100ミクロン)を介するろ過によって取り出した。菌糸を水に再懸濁し(10g/2L水)そして紙状のシートを従来の試験紙作製装置を用いてキャストした。いくつかの場合において、追加の多孔質キャリアシートが、製紙グリッド(paper−making grid)からの湿った真菌菌糸の容易な取り出しを確保するために必要とされた。この物質の一部を、65%の最終固形分まで水に再懸濁した。この物質を直径約9cm、及び深さ1cmの型に入れ、そして−20℃で一晩冷凍し;次いで、冷凍したパッドを凍結乾燥により乾燥した。両方のフォーマットにおいて、精油含量は、マヌカ油19重量%及びベルガモット油18重量%であった。紙状の物質またはパッドは、口内または歯茎の下に入ると、これらの精油を放出し、口内炎及び細菌感染の処置に有用な、抗菌及び抗炎症効果をもたらした。
【実施例8】
【0063】
漂白及び脱臭したSaccharomyces cerevisiaeを、固形分約20%まで水に懸濁し、そしてメントン中に溶解したケトプロフェン(20%w/v)を(55℃で)、乾燥酵母の重量の50%に等しい最終濃度まで添加した。この混合物を、65℃で1時間、攪拌し、その時点で、カプセル化されたメントン中のケトプロフェンを含む酵母細胞を、遠心分離によって回収した。
【0064】
これらのケトプロフェンマイクロカプセルを、製薬工業における当業者に公知の従来法を用いて、錠剤に組み込んだ。そして、これらの錠剤は、嚥下された際、これらの内容物を、消化管の表面上に放出させた。
【実施例9】
【0065】
Saccharomyces cerevisiae(62F)細胞(William Bioenergyから入手した)を、水洗により前処理して、過剰の培地及び酵母エキス成分(例えば、単純及び複合糖質(単一及び複数のグルコース単位)、グリセロール、酢酸及び乳酸(発酵培地))(本明細書中において、酵母以外のものとして規定される)を除去した。この加工した酵母(300kg乾燥粉末)を、1,500Lのステンレス鋼ジャケット付丸底容器中で、700Lの水と混合した。この混合は、以下のような多数の形態をとった:
高剪断Silversonミキサーを用いてタンクを攪拌しながら、酵母を、20分間にわたり添加した。均一な分散には約25分間かかった。
【0066】
あるいは、酵母及び水を添加し、そしてタンク上に配置したボルテックス分散(ウェッティングシステム(wetting system))を用いてタンク中で分散させた。次いで、この混合物を、スローパドルスターラー(slow paddle stirrer)またはマリンプロップミキサー(marine prop mixer)(Lightnin)を用いて攪拌した。均一な分散には、10分間かかり、そして攪拌を、分離段階まで継続した。
【0067】
別の代替的な混合レジメにおいて、タンクに酵母及び水を添加し、そして水に酵母を添加し、次いでインラインミキサーを介する、閉じたリターンシステム(return system)中でこの物質をポンピングすることによって分散させた。均一な分散には20分間かかり、そして攪拌を分離段階まで継続した。
【0068】
一旦、均一な分散を達成した後、この混合物を、40℃で、30分間、連続的に攪拌した。60〜80℃での熱水の使用により、第一の洗浄において非酵母フラクションの40%を洗い出した。一旦この物質が30分間洗浄された後、Westfalia 300デキャンターを介して、それを10L/分で通した。洗浄後、300kgの酵母粉末のうち90kg(酵母以外)が除去され、210kgの酵母細胞が残留した。カプセル化のために、酵母を、セパレーターを介し、そしてカプセル化容器まで通した。この段階での酵母の濃度は、固形分65%程度に高かった。このカプセル化容器に水を添加して固形分約30%まで酵母を希釈した。
【0069】
この段階でのカプセル化の代替として、さらなる洗浄プロセスを用いることができる。洗浄プロセスを繰り返すことによってさらに8%の非酵母が除去され、そして2回目にはさらに5%が除去された。酵母を損傷して細胞の凝集をもたらし得、下流のプロセスを非常に困難にする、過剰な洗浄を避けるように注意した。210kgの酵母細胞を含有する固形分30%の酵母懸濁液に、マヌカ油、ティーツリー油及びレモングラス油の等量混合物を100kg添加し、そして攪拌しながら、45℃で2時間インキュベートした。Westfaliaデキャンターを用いて、これらの細胞を、42〜45%の固形分まで濃縮し、そして噴霧乾燥によって乾燥した。より多くのカプセル化プロダクトを回収することを助けるために、Westfalia SA1(自洗式遠心分離機)を用いた。この場合、さらに10%のカプセル化精油混合物が回収された。
【0070】
作製した標準的な生成物は、30ミクロンの粒径を有する粉末であった(粒子の90%がこの範囲内であった)。あるいは、二流体ノズル(two fluid nozzle)を用いて、生成物を乾燥して、30〜90ミクロンの範囲に均一に分布した粒子をもたらした。別のフォーマットにおいて、より高い圧力を用いて、噴霧器をより速く回転させた(35,000rpm)(この場合、カプセル化精油混合物の粒径は、20ミクロンまで減少した)。これらの酵母カプセルは、およそ、12重量%のマヌカ油、10重量%のティーツリー油及び13重量%のレモングラス油を含んでいた。
【0071】
噴霧乾燥の際、酵母カプセル化精油の一部を第二のサイクロンを通してブローして生成物を冷却し、その後、それをパッケージングした。これは、生成物に付随して生じ得る「酵母様」または「かび様」の臭いを軽減した。
【0072】
冷却乾燥空気のベッドを横切るようにブローし、そして冷却したサイクロン中の生成物を回収することによってさらに一部をコンディショニングした。パッケージングされた最終物質のヘッドスペースへの不活性ガス(例えば、窒素)の添加も望まれない腐敗/臭いを削減する。
【0073】
あるいは、カプセル化スラリーの一部を、乾燥前にさらに加工した。精油が酵母細胞に入る際に、さらなる酵母エキスが産生され、そして酵母細胞の表面上に残留する精油残留物が存在しない状態を確保するために、酵母カプセルを、インラインミキサーにより供給される、2つのセパレーターを用いて(超高純度サンプルについては、5つまでのセパレーターを用いた)、向流により洗浄した。この洗浄水は、各々の洗浄工程において再利用され、そしてその洗浄液を濃縮する。第二タンクに酵母をポンピングし、ここで、水道水を用いて酵母を50%に希釈した。次いで、スローパドルミキサーを用いて酵母スラリーを攪拌し、その後、NA7 Westfaliaセパレーターへと7L/分でポンピングした(遠心分離においてノズルをブロックし得る任意の大きな粒子を除去するために、インラインのブラシストレーナーを介してこの供給物を通した)。第一のNA7への供給物は、固形分約15%であり、そして固形分20%で第一のセパレーターに残留し、ここで、それを第二のセパレーターに供給した(これらのセパレーターを4×0.5mmノズルで作動させた)。酵母を固形分15%まで希釈し洗浄するインラインミキサーを介して第二のセパレーターに供給した。次いで、デキャンター遠心分離機を用いて、これを固形分42〜45%まで濃縮し、そして噴霧乾燥するか、または固形分約62%までさらに濃縮し、そしてケークとして加工した。
【0074】
カプセル化された精油を含む濃縮した酵母の一部を、流動床上で乾燥して300〜500ミクロンの範囲の酵母カプセルの凝集物を生成した。
【0075】
「酵母」臭を軽減するためのいずれの前処理も後処理もせずにパッケージングした生成物において、冷暗条件における3ヶ月後、「酵母様」の特徴は消えていた;このプロセスは、基本的に週毎にパッケージングをローテーションすることによって容易になった。マイクロカプセルを、抗菌及び抗真菌の応用において用いた。
【実施例10】
【0076】
Tricor(RTMフェノフィブレート(fenofibrate))カプセル(Abbott Laboratoriesから入手可能)と、本発明に従うWilliams酵母(Saccharomyces cerevisiae(Aventine Renewable Energy Co.Inc.から入手可能なWilliam’s 酵母))内にカプセル化したフェノフィブレートとを、バイオアベイラビリティーについて比較した。
処方1:フェノフィブレートコントロール(Tricorカプセル、67及び200mgカプセルでAbbott Laboratoriesから市販されている微粉化フェノフィブレート)
処方2:Micap 2(Williams酵母1g当り135mg)、Lot P0207
処方3:Micap 3(医療用酵母1g当り180mg)、Lot P0204
Micap2処方(135mg/g)の投薬調製物を、30mgフェノフィブレート/mLの最終濃度まで水と混合することによって調製した。例えば、60mLの最終処方物(水中のMicap 2)を調製するためには、重量13.3gのMicap2(135mgのフェノフィブレート/1gのMicap 2)及び60mLまでの十分量の水。この懸濁液を、動物の体重1kg当り1mL(30mg/kg)で投与した。種々のクラスの化学物質の毒性を評価するために広く用いられるモデルであるので、用いた実験系は、純粋種のビーグル犬を用いるイヌモデルからなった。
【0077】
Micap3(180mg/g)についての投薬調製を、30mgフェノフィブレート/mLの最終濃度まで水を混合することによって実施した。例えば、60mLの最終処方物(水中のMicap 3)を調製するために、10gのMicap 3を計量し(180mgのフェノフィブレート/1gのMicap 3)及び60mLまでの十分な量の水を計量した。この懸濁液を1mL/kg(30mg/kg)で投与した。
【0078】
試験動物は、少なくとも5月齢であり、そして約9.0〜12.0Kgの体重であった。
【0079】
【表1】

【0080】
PKサンプルを、各々の動物から収集した。サンプルは、投薬前ならびに投薬後0.5、1、2、3、4、6、8及び24時間後に収集した。
30mg/kgを達成するために必要とされる、200mg及び67mgカプセルの推定の数。
Micap懸濁液中30mg/mLのフェノフィブレートに基づく。
【0081】
グループ1についての投与経路は、カプセルを介する経口であったが、グループ2及び3の投与については、内視鏡を用いた十二指腸経由であった。グループ2及び3における動物を、Telazol 5mg/kg以下で筋肉注射して麻酔した。ノーズコーンを用いる吸入器を介してO中で送達されるイソフルランを必要に応じて用いた。気管内チューブを配置し、そしてO中のイソフルランを用いて全身麻酔を維持した。可撓性の内視鏡を食道の下、胃を介して十二指腸まで通した。引き続き、カテーテルを通してその作動チャネル(working channel)を下ろし、そして試験物質を送達した。次いで、カテーテルを3mlの水道水リンスでフラッシングし、そして内視鏡及びカテーテルを引き抜いた。動物がその嚥下反射を取り戻したときに、気管内チューブを取り出し、そしてこの動物の麻酔からの自然の回復をモニターした。
【0082】
経口経路が、市販のフェノフィブレート、Tricor(RTM)の薬物動態学的評価を提供するための試験物質送達の正確な手段であることが認められる。Micap処方物の十二指腸送達は、胃における損傷を避けるために必要であった。
【0083】
1日目に、試験組成物を、試験動物の体重1Kg当り30mgの投薬量で、一度に投与した。
【0084】
組成物投与
全ての3つのグループについて、試験組成物投与前、少なくとも18時間、試験動物を絶食させた。
【0085】
薬物動態学サンプル
頚静脈または他の適切な血管を介して血液サンプルを収集する(約2mLの全血)。サンプルをEDTAを含むチューブに入れ、そして遠心分離するまで氷の塊上に保存する。血漿を分離し、そして収集の60分間以内に約−70℃で凍結させた。次いで、サンプルを試験組成物の血清濃度について分析した。
【0086】
引き続いて、EDTAを含むイヌの血漿中のフェノフィブリックアシッド(fenofibric acid)の定量測定を実施した。0.100μg/mL〜10.0μg/mLの検出の線形範囲が達成されるように、フェノフィブリックアシッドでスパイクしたイヌの血漿における検量線を準備した。このアッセイには、メタノールを用いるタンパク質沈降を使用した。ボルテックス及び遠心分離の後、上清を取り出し、そしてHPLCに直接注入した。
【0087】
【表2】

【0088】
サンプル調製
1.2.0mLマイクロ遠心管に100μLのサンプルをピペッティングした。
【0089】
2.20μLのメタノールを添加した。
【0090】
3.簡単に手で振盪した。
【0091】
4.500μLの沈降溶液(メタノール)を添加し、そしてサンプルを約20分間ボルテックスした。
【0092】
5.約14,000rpmで、数分間程度、遠心分離した。
【0093】
6.HPLCバイアルに上清を直接移した。
【0094】
1/濃度で加重した8点線形曲線に基づいてピークの高さから濃度を直接的に逆算するために、Waters HPLC instrument softwareを用いた(ここで、Y=mX+b(Y=ピークの高さ、m=傾き、X=濃度及びb=切片))。
【0095】
【表3】

【0096】
William’s酵母=135mgフェノフィブレート/g(Micap 2)を水と混合して30mg/mLとした。
【0097】
医療用酵母=180mgフェノフィブレート/g(Micap 3)を水と混合して30mg/mLとした。
【0098】
個々及び平均のフェノフィブリックアシッドの血漿濃度を本明細書中上記に列挙する。
【0099】
個々及び平均のフェノフィブリックアシッド血漿濃度−時間プロファイルを処理グループ毎に、図1a、b及びcに示す。
【0100】
薬物動態学的分析の結果を以下の表に示す。
【0101】
個々及び平均のフェノフィブリックアシッドの血漿濃度
【0102】
【表4】

【0103】
薬物動態学的分析
PK分析からの結果を以下の表に示す。
【0104】
【表5】

【0105】
メジアンはTricor Tmaxについて計算されている。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1a】図1a、b、及びcは、個々及び平均の試験化合物の血漿濃度−時間プロファイルを例示する。
【図1b】図1a、b、及びcは、個々及び平均の試験化合物の血漿濃度−時間プロファイルを例示する。
【図1c】図1a、b、及びcは、個々及び平均の試験化合物の血漿濃度−時間プロファイルを例示する。
【図2】図2は、比較試験の統計的解析を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の微生物から形成され、そしてマイクロカプセル内にカプセル化されかつ受動的に保持された親油性活性物質(lipophilic active)を有する複数のマイクロカプセルを含むカプセル化プロダクトであって、該親油性活性物質は、該微生物の天然の構成成分ではなく、該マイクロカプセルは:
(a)少なくとも実質的にインタクトな(intact)細胞壁;及び
(b)インタクトな細胞膜、
を有し、
ここで、該マイクロカプセルは、所望される少なくとも1つの粘膜への該マイクロカプセル及び該親油性活性物質の送達を標的とするように処方されている。
【請求項2】
前記マイクロカプセルが、シロップ、サシェ、チュアブル、チューイングガム、オロディスパーシブル(orodispersible)、ディスパーシブルエッファーベッセント(dispersible effervescent)、飛散性錠剤、圧縮バッカル錠、圧縮舌下錠、チュアブル錠、口腔内溶解錠(melt−in−the−mouth)、ロゼンジ剤、ペースト剤、懸濁剤、散剤、ゲル剤、錠剤、圧縮スイート(sweet)、煮沸スイート、クリーム剤、坐剤、嗅剤、噴霧剤、エアロゾル剤、ペッサリー、及び軟膏剤(ointment)からなる群のうちの1つとして処方される、請求項1に記載のカプセル化プロダクト。
【請求項3】
前記マイクロカプセルが、1または2パートのゼラチンカプセルまたは腸溶性コーティング内に処方される、請求項1に記載のカプセル化プロダクト。
【請求項4】
カプセル化プロダクトが、複数の微生物から形成される複数のマイクロカプセルを含む、カプセル化プロダクトの製造方法であって、
(i)微生物と親油性活性物質とを接触させて該微生物中に該親油性活性物質をカプセル化する工程であって;
該親油性活性物質が該マイクロカプセル内にカプセル化されそして受動的に保持され、該親油性活性物質は、該微生物の天然の構成成分ではなく、該マイクロカプセルは:
(a)少なくとも実質的にインタクトな細胞壁;及び
(b)インタクトな細胞膜
を有する工程、
を含み、
(ii)所望の少なくとも1つの生体膜への該マイクロカプセル及び該親油性活性物質の送達を標的とするように該マイクロカプセルを処方する工程、
をさらに含む、
カプセル化プロダクトの製造方法。
【請求項5】
前記カプセル化工程の前に:前記微生物とアルカリ漂白溶液とを接触させる工程、該微生物を45〜60℃でインキュベートする工程、及び該微生物とタンパク質分解酵素とを接触させる工程からなる群より選択される少なくとも1つの処理工程をさらに含む、請求項4に記載のカプセル化プロダクトの製造方法。
【請求項6】
前記カプセル化工程または前記さらなる処理工程の後に、前記マイクロカプセルが乾燥環境において15〜50℃の間でインキュベートされるコンディショニング工程をさらに含む、請求項4及び5のいずれか一項に記載のカプセル化プロダクトの製造方法。
【請求項7】
前記カプセル化工程が、前記微生物と液体形態の親油性活性物質とを接触させる工程を含み、該親油性活性物質が該微生物の細胞壁に、その全体としての溶解を引き起こすことなく拡散することを可能にし、該処理が、該活性物質についての溶媒またはマイクロディスパーサント(micro dispersant)としての脂質増量物質(lipid extending substance)の非存在下及びプラスモライザー(plasmolyser)の非存在下で実施され、それにより該活性物質が該細胞壁を横切る拡散により微生物に吸収され、そして該微生物内に受動的に保持される、請求項4〜6のいずれか一項に記載のカプセル化プロダクトの製造方法。
【請求項8】
前記微生物が:真菌、細菌、藻類及び原生動物からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカプセル化プロダクトまたは請求項4〜7のいずれか一項に記載のカプセル化プロダクトの製造方法。
【請求項9】
前記微生物が、分類学上Endomycetales目から選択される酵母である、請求項8に記載のカプセル化プロダクトまたはカプセル化プロダクトの製造方法。
【請求項10】
患者に、請求項1〜3、8または9のいずれか一項に記載のプロダクトを含む医薬を投与する工程を含む、患者の処置方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−510731(P2006−510731A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501544(P2005−501544)
【出願日】平成15年10月23日(2003.10.23)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004554
【国際公開番号】WO2004/037232
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFLON
【出願人】(504370298)マイカップ ピーエルシー (1)
【Fターム(参考)】