説明

模型試験用自航装置及び模型試験用自航システム

【課題】例えば、水槽試験による実海域性能の直接評価を行うことができる模型試験用自航装置及び模型試験用自航装置を用いた模型試験用自航システムを提供すること。
【解決手段】自航可能な模型10を用いて試験を行い、模型10を自航させる動力を得る模型用原動機11と、模型用原動機11により駆動される模型用駆動手段12と、模型用原動機11の出力を検出する出力検出手段13と、実際の機関系を数学的に特性模擬した機関モデル20とを備え、出力検出手段13からのフィードバック信号と機関モデル20に入力される目標値に基づいて機関モデル20で処理を行い模型用原動機11に対する指令値を得たことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機関特性を模擬する模型試験用自航装置及び模型試験用自航装置を用いた模型試験用自航システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水槽実験では、曳航台車によって模型を牽引し、この牽引の力を速度の関数として求めて抵抗計測を行う。この場合には、模型船に駆動動力を一切搭載せずに行われる。
水槽実験では、平水中での抵抗計測の他、波浪中での抵抗増加量の計測を行うが、曳航模型による間接的な推定にすぎない。
実海域における実船は、船体が前後に運動しながら航行するため、プロペラや機関には負荷変動が常に生じており、負荷変動による影響が生じている直接的な船速低下量を測定する必要がある。
【0003】
非特許文献1では、波浪中における船速低下の推定計算法と主機特性を模擬した自航装置を用いた模型試験について提案している。
また、特許文献1では、ウオータージェット推進船の自航試験方法を提案している。
また、特許文献2では、航行計画の変更が遠隔操作で行える模型船試験装置を提案している。
また、特許文献3では、運転技術者向けの模擬運転装置を提案している。
また、特許文献4では、自由な走行ラインに従って自在に走行させることのできる自走社の走行制御方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】三菱重工技報 Vol.15 No.3(1978−5)
【特許文献1】特開2005−225419号公報
【特許文献2】特開2009−264781号公報
【特許文献3】特開2002−244543号公報
【特許文献4】特開平9−179627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1は、自航モータの電流、電圧を検出して定電圧、定電流又は定電力となるような制御を行い、それによってそれぞれ定回転、定トルク、定馬力に対応する特性を得るもので、自航モータの電流、電圧を自航モータの入力側で制御するという間接的な方法であり、自航モータの実際のトルクや回転数を計測してフィードバックするものではなく、自航モータに、実船における機関と同じ特性を持たせることができていない。すなわち、検出した電流や電圧のフィードバックは、定電流、定電圧を得るために利用されるだけで、自航モータはオープンループで制御されるため、実船における機関特性を詳細に模擬できるものでなく、波浪中における船速低下を精度良く得ることができない。
また特許文献1では、曳航電車によって模型船を曳航するものであり、間接的な推定であり、機関特性を模擬した直接的な船速低下量を測定するものではない。
また、特許文献2から4についても、機関特性を模擬するものではない。
【0006】
本発明は、例えば、水槽試験による実海域性能の直接評価を行うことができる模型試験用自航装置及び模型試験用自航装置を用いた模型試験用自航システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載に対応した模型試験用自航装置においては、自航可能な模型を用いて試験を行う模型試験用自航装置において、模型を自航させる動力を得る模型用原動機と、模型用原動機により駆動される模型用駆動手段と、模型用原動機の出力を検出する出力検出手段と、実際の機関系を数学的に特性模擬した機関モデルとを備え、出力検出手段からのフィードバック信号と機関モデルに入力される目標値に基づいて機関モデルで処理を行い模型用原動機に対する指令値を得ることを特徴とする。請求項1に記載の本発明によれば、機関モデルを有し、また模型には模型用原動機と模型用駆動手段とを有しており、模型の自航時における実際の出力を検出し、実際の出力のフィードバック信号と機関モデルに入力される目標値とから模型用原動機に対する指令値を得ることで、実際の機関と同じ特性を模型用原動機に持たせることができ、また外部からの影響を模型用駆動手段が受けることで、試験区による負荷変動を反映させ、実性能の直接評価を行うことができる。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の模型試験用自航装置において、フィードバック信号を機関モデルに適用するための補正手段を有したことを特徴とする。模型試験においては、複数の相似則を満たす必要があることが多いため、一つの相似則に従って計画された試験の検出値を他の相似則を満たす値に補正する必要が生じることがある。請求項2に記載の本発明によれば、模型から得られた信号を他の相似則を満たす信号に補正することができる。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の模型試験用自航装置において、模型として模型船を用い、模型用駆動手段をプロペラとしたことを特徴とする。請求項3に記載の本発明によれば、実船の機関と同じ特性を模型用原動機に持たせることができ、また例えば、波浪中における影響を模型用駆動手段が受けることで、波浪中における負荷変動を反映させ、水槽試験による実海域性能の直接評価を行うことができる。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の模型試験用自航装置において、補正手段では、実船スケールのレイノルズ数相当の値に補正することを特徴とする。請求項4に記載の本発明によれば、計測トルク等を実船スケールのレイノルズ数相当の値に補正することができる。
請求項5記載の本発明は、請求項3又は請求項4に記載の模型試験用自航装置において、模型用原動機としてサーボモータを用いたことを特徴とする。請求項5に記載の本発明によれば、サーボモータがフィードバック制御に適し、回転数検出が行えるものにあっては出力検出手段の一部を兼ねることができる。
請求項6記載の本発明は、請求項3から請求項5に記載の模型試験用自航装置において、機関モデルには、ガバナーモデル、熱機関のトルク発生モデル、及び回転運動モデルを含むことを特徴とする。請求項6に記載の本発明によれば、これらの3つのモデルを含むことで、実船の機関特性を模擬することができる。
請求項7記載の本発明は、請求項3から請求項6に記載の模型試験用自航装置において、出力検出手段では、回転数及び/又はトルクを検出し、目標値を回転数としたことを特徴とする。請求項7に記載の本発明によれば、出力を直接検出し、目標値を回転数とすることで実船の機関の運転状態を模擬し、例えば、水槽試験による実海域性能の直接評価を行うことができる。
請求項8記載の本発明は、請求項6又は請求項7に記載の模型試験用自航装置において、ガバナーモデルでは回転数の目標値と検出値に基づいて処理を行い、トルク発生モデルではガバナーモデルの出力としての燃料投入量と回転数の検出値に基づいて処理を行い、回転運動モデルではトルク発生モデルの出力としてのトルクと回転数の検出値と補正手段によるトルクの補正値に基づいて処理を行ったことを特徴とする。請求項8に記載の本発明によれば、計測トルクを実船スケールのレイノルズ数相当の値に補正し、それぞれのモデルにおける実船の機関特性を詳細に模擬することができる。
請求項9記載の本発明は、請求項6から請求項8に記載の模型試験用自航装置において、機関モデルでは燃料消費量を導出したことを特徴とする。請求項9に記載の本発明によれば、燃費を算出することができる。
請求項10記載に対応した模型試験用自航システムにおいては、請求項1から請求項9のいずれかに記載の模型試験用自航装置を用いた模型試験用自航システムであって、模型用原動機と模型用駆動手段と出力検出手段とから構成される模型ブロックと、機関モデルとを別体で構成したことを特徴とする。請求項10に記載の本発明によれば、機関モデルを模型ブロックと別体とすることで、機関モデルの監視や操作が行いやすい。
請求項11記載の本発明は、請求項10に記載の模型試験用自航システムにおいて、模型ブロックと機関モデルとを無線通信としたことを特徴とする。請求項11に記載の本発明によれば、模型ブロックの自航試験時の自由度が高まる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の模型試験用自航装置によれば、模型には模型用原動機と模型用駆動手段とを有しており、模型の自航時における模型用原動機の実際の出力を検出し、実際の出力のフィードバック信号と機関モデルに入力される目標値とから模型用原動機に対する指令値を得ることで、実際の機関と同じ特性を模型用原動機に持たせることができ、また外部からの影響を模型用駆動手段が受けることで、試験区による負荷変動を反映させ、実性能の直接評価を行うことができる。
なお、フィードバック信号を機関モデルに適用するための補正手段を有した場合には、模型から得られた信号を他の相似則を満たす信号に補正することができる。
また、模型として模型船を用い、模型用駆動手段をプロペラとした場合には、実船の機関と同じ特性を模型用原動機に持たせることができ、また例えば、波浪中における影響を模型用駆動手段が受けることで、波浪中における負荷変動を反映させ、水槽試験による実海域性能の直接評価を行うことができる。
また、補正手段では、実船スケールのレイノルズ数相当の値に補正した場合には、計測トルク等を実船スケールのレイノルズ数相当の値に補正することができる。
また、模型用原動機としてサーボモータを用いた場合には、フィードバック制御に適し、回転数検出が行えるものにあっては出力検出手段の一部を兼ねることができる。
また、機関モデルには、ガバナーモデル、熱機関のトルク発生モデル、及び回転運動モデルを含む場合には、これらの3つのモデルを含むことで、実船の機関特性を模擬させることができる。
また、出力検出手段では、回転数及び/又はトルクを検出し、目標値を回転数とした場合には、出力を直接検出し、目標値を回転数とすることで実船の機関の運転状態を模擬し、例えば、水槽試験による実海域性能の直接評価を行うことができる。
また、ガバナーモデルでは回転数の目標値と検出値に基づいて処理を行い、トルク発生モデルではガバナーモデルの出力としての燃料投入量と回転数の検出値に基づいて処理を行い、回転運動モデルではトルク発生モデルの出力としてのトルクと回転数の検出値と補正手段によるトルクの補正値に基づいて処理を行った場合には、計測トルクを実船スケールのレイノルズ数相当の値に補正し、それぞれのモデルにおける実船の機関特性を詳細に模擬することができる。
また、機関モデルでは燃料消費量を導出した場合には、燃費を算出することができる。
本発明の模型試験用自航システムによれば、機関モデルを模型ブロックと別体とすることで、機関モデルの監視や操作が行いやすい。
また、模型ブロックと機関モデルとを無線通信とした場合には、模型ブロックの自航試験時の自由度が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態による模型試験用自航装置の概略構成図
【図2】本発明の実施形態による模型試験用自航システムを実現する構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態による模型試験用自航装置について説明する。
図1は本発明の実施形態による模型試験用自航装置の概略構成図である。
本発明の実施形態による模型試験用自航装置は、自航可能な模型10(模型ブロック)と、実際の機関系を数学的に特性模擬した機関モデル20とから構成される。
模型10は、模型10を自航させる動力を得る模型用原動機11と、模型用原動機11により駆動される模型用駆動手段12と、模型用原動機11の出力を検出する出力検出手段13と、フィードバック信号を機関モデル20に適用するための補正手段14を備えている。
【0011】
ここで、模型10には模型船を用い、模型用駆動手段12をプロペラとしている。
模型用原動機11にはサーボモータを用いることが好ましい。模型用原動機11としてサーボモータを用いることで、フィードバック制御に適し、回転数検出機能を有したものでは、回転数検出が行えるために出力検出手段13の一部を兼ねることができる。
なお、模型10は、模型船以外に、浮体、水中航行体、航空機、車両であってもよく、模型用原動機11は電動機、熱機関、流体機械であってもよく、模型用駆動手段12はジェット噴流、車輪等でもよい。
【0012】
出力検出手段13では、回転数(n)及び/又はトルク(Q)を検出し、機関モデル20にフィードバックしている。また、出力検出手段13で回転数(n)及びトルク(Q)の出力を直接検出し、フィードバック値を機関モデル20に入力される目標回転数(nSP)と比較、また機関モデル内の各要素モデルの出力値と合わせて、処理を行い指令回転数(n)を得ることで実船の機関の運転状態を模擬することができる。なお、模型用原動機11としてのサーボモータに回転数検出機能が付いている場合は、出力検出手段13の回転数検出に代えて、サーボモータによって回転数(n)を検出することもできる。
補正手段14では、実船スケールに換算する際のレイノルズ数の影響を補正することで、検出トルク(Q)を実船スケールのレイノルズ数相当の値に補正することができる。なお、模型10の実船レイノルズ数相当の値への数値補正が不要な場合は、補正手段14によることなく、出力検出手段13による検出値を直接入力することもできる。
【0013】
機関モデル20では、出力検出手段13に基づくフィードバック信号と機関モデル20に入力される目標値(目標回転数(nSP))に基づいて処理を行い、模型用原動機11に対する指令値(指令回転数(n))を得る。
機関モデル20には、ガバナーモデル21、熱機関のトルク発生モデル22、及び回転運動モデル23を含む。ガバナーモデル21、熱機関のトルク発生モデル22、及び回転運動モデル23を含み、出力検出手段13に基づくフィードバック信号を利用することで、実船の機関特性を詳細に模擬することができる。
機関モデル20には、更に、給気系としての過給機モデルや、発電機における軸発モデルを含むことで実船の機関特性を模擬することができる。
【0014】
ガバナーモデル21では、目標値としての設定器で入力された目標回転数(nsp)と出力検出手段13からの回転数(n)の検出値に基づいて、目標回転数(nsp)を得るための燃料投入量(h)を演算処理する。
トルク発生モデル22では、ガバナーモデル21の出力としての燃料投入量(h)と出力検出手段13からの回転数(n)の検出値に基づいて、必要とするトルク(Q)を演算処理する。
回転運動モデル23では、トルク発生モデル22の出力としてのトルク(Q)と出力検出手段13からの回転数(n)の検出値と補正手段14からのトルク(Q)の補正トルク(Q’)に基づいて、演算処理をして指令回転数(n)をる。
機関モデル20では、ガバナーモデル21の出力としての燃料投入量(h)を時間的に積分し燃料消費量を導出することもでき、実船における燃費を算出することができる。
【0015】
本実施の形態における模型試験用自航装置を用いた模型試験用自航システムは、模型用原動機11と模型用駆動手段12と出力検出手段13とから構成される模型10ブロックと、制御ソフトウエア及びこのソフトウエアを機能させるハードウエアからなる機関モデル20とを別体で構成することが好ましい。機関モデル20を模型10ブロックと別体とすることで、機関モデル20での監視や操作が行いやすい。
また、機関モデル20を模型10ブロックと別体とした模型試験用自航システムでは、模型10ブロックと機関モデル20とを無線通信とすることで、模型10ブロックの自由度が高まる。
【0016】
図2は本発明の実施形態による模型試験用自航システムを実現する構成図である。
模型10(模型船)には、模型用原動機11(サーボモータ)、模型用駆動手段12(プロペラ)、及び出力検出手段13(回転数計、トルク計)とともに、模型用原動機11(サーボモータ)を制御する模型用制御器15、模型用制御器15や模型用原動機11(サーボモータ)などに電力を供給する電源装置16(バッテリー)、模型10(模型船)の速度(船速)を計測する対水流速計17、模型10(模型船)の航行する方位を計測する方位ジャイロ18、無線で信号を送受信する模型側送受信機19を搭載している。なお、模型10(模型船)の船尾には、蛇10aを備えている。
【0017】
機関モデル20は、模型制御装置30に設けられている。
模型制御装置30には、機関モデルに入力される目標回転数(nsp)や模型10(模型船)の速度(船速)、方位、蛇角などを設定する設定器31、設定器31での設定データ、模型10(模型船)に関するデータ、波浪データを表示する表示器32、及び模型10(模型船)との間で無線によって信号を送受信する制御装置側送受信機33を備えている。
模型装置側送受信機19は、出力検出手段13(回転数計、トルク計)、対水流速計17、及び方位ジャイロ18からの信号を制御装置側送受信機33に送信し、制御装置側送受信機33からは、模型用原動機11(サーボモータ)を制御するための指令回転数(n)の信号を受信する。
【0018】
本発明の実施形態による模型試験用自航システムでは、水槽40内にて模型10(模型船)を自航させて行う。
水槽40には、造波機41や曳航台車42が設けられている。造波機41は、実海域での波浪を想定して造波を行い波41a、41b、41c等を発生させる。造波機41での造波発生は、造波制御盤43によって行われる。曳航台車42は、例えば、実験で設定した船速まで加速するために模型10(模型船)を牽引する。自航による試験動作中には、曳航台車42は用いない。なお、曳航台車42から模型10(模型船)に所定の補助推力を与え、模型10(模型船)のプロペラ荷重度を変更し、例えば、フルード数を一致させたときにレイノルズ数が一致しなくなることによる模型試験上の課題を解決するような場合はこの限りでない。また、模型制御装置30は、曳航台車42上に設けることもできる。模型10(模型船)の電源装置16(バッテリー)を無くし、曳航台車42上に電源装置を設け、伴走しながら給電することも可能である。
【0019】
以上のように本実施の形態によれば、模型10には模型用原動機11と模型用駆動手段12とを有しており、模型10の自航時における実際の出力を出力検出手段13で検出し、フィードバックされた実際の出力信号と機関モデル20に入力される目標値とから模型用原動機11に対する指令値を得ることで、実際の機関と同じ特性を模型用原動機11に持たせることができ、また外部からの影響を模型用駆動手段12が受けることで、試験区による負荷変動を反映させ、実性能の直接評価を行うことができる。
また本実施の形態によれば、模型10として模型船を用い、模型用駆動手段12をプロペラとしたことで、実船の機関と同じ特性を模型用原動機11(サーボモータ)に持たせることができ、また波浪中における影響を模型用駆動手段12(プロペラ)が受けることで、波浪中における負荷変動を反映させ、水槽試験による実海域性能の直接評価を行うことができる。
また本実施の形態によれば、ガバナーモデル21では目標回転数(nsp)と出力検出手段13からの回転数(n)の検出値に基づいて処理を行い、トルク発生モデル22ではガバナーモデル21の出力としての燃料投入量(h)と出力検出手段13からの回転数(n)の検出値に基づいて処理を行い、回転運動モデル23ではトルク発生モデル22の出力としてのトルク(Q)と出力検出手段13からの回転数(n)の検出値と補正手段14からのトルク(Q)の補正値に基づいて処理を行うことで、計測トルクを実船スケールのレイノルズ数相当の値に補正し、それぞれのモデルにおける実船の機関特性を模擬することができる。
なお、機関モデル内の各要素モデルは、適用する実際の機関系に応じて適宜選択ができ、また出力検出手段で検出される物理量も適宜選択ができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の模型試験用自航装置は、模型船以外に、浮体、水中航行体、航空機、車両における機関特性を模擬することができる。
【符号の説明】
【0021】
10 模型(模型ブロック)
11 模型用原動機
12 模型用駆動手段
13 出力検出手段
14 補正手段
20 機関モデル
21 ガバナーモデル
22 トルク発生モデル
23 回転運動モデル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自航可能な模型を用いて試験を行う模型試験用自航装置において、前記模型を自航させる動力を得る模型用原動機と、前記模型用原動機により駆動される模型用駆動手段と、前記模型用原動機の出力を検出する出力検出手段と、実際の機関系を数学的に特性模擬した機関モデルとを備え、前記出力検出手段からのフィードバック信号と前記機関モデルに入力される目標値に基づいて前記機関モデルで処理を行い前記模型用原動機に対する指令値を得ることを特徴とする模型試験用自航装置。
【請求項2】
前記フィードバック信号を前記機関モデルに適用するための補正手段を有したことを特徴とする請求項1に記載の模型試験用自航装置。
【請求項3】
前記模型として模型船を用い、前記模型用駆動手段をプロペラとしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の模型試験用自航装置。
【請求項4】
前記補正手段では、実船スケールのレイノルズ数相当の値に補正することを特徴とする請求項3に記載の模型試験用自航装置。
【請求項5】
前記模型用原動機としてサーボモータを用いたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の模型試験用自航装置。
【請求項6】
前記機関モデルには、ガバナーモデル、熱機関のトルク発生モデル、及び回転運動モデルを含むことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の模型試験用自航装置。
【請求項7】
前記出力検出手段では、回転数及び/又はトルクを検出し、前記目標値を前記回転数としたことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれかに記載の模型試験用自航装置。
【請求項8】
前記ガバナーモデルでは前記目標値と前記出力検出手段の検出値に基づいて処理を行い、前記トルク発生モデルでは前記ガバナーモデルの出力としての燃料投入量と前記出力検出手段の検出値に基づいて処理を行い、前記回転運動モデルでは前記トルク発生モデルの出力としてのトルクと前記出力検出手段の検出値と前記補正手段の前記補正値に基づいて処理を行ったことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の模型試験用自航装置。
【請求項9】
前記機関モデルでは燃料消費量を導出したことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の模型試験用自航装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の模型試験用自航装置を用いた模型試験用自航システムであって、前記模型用原動機と前記模型用駆動手段と前記出力検出手段とから構成される模型ブロックと、前記機関モデルとを別体で構成したことを特徴とする模型試験用自航システム。
【請求項11】
前記模型ブロックと前記機関モデルとを無線通信としたことを特徴とする請求項10に記載の模型試験用自航システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−250619(P2012−250619A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124552(P2011−124552)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(501204525)独立行政法人海上技術安全研究所 (185)