説明

横坑堆積土砂の排出工法

【課題】マンホールの設置位置に止まらず、横坑内に堆積した土砂を可能な限り全て排出し、横坑に形成された口径を有効に使用することができる新規な横坑堆積土砂の排出工法を提案する。
【解決手段】一方のマンホールMから横坑P内に土砂排出装置1を搬入する装置搬入工程と、上記土砂排出装置1の先端に、上記一方のマンホールMから離間した他方のマンホールMに挿通された線状体25を接続する線状体接続工程と、上記土砂排出装置1を駆動させるとともに、上記線状体25を地上から引き出しながら該土砂排出装置1を上記他方のマンホールMの下方まで移動させ、該土砂排出装置1により横坑P内の土砂を地上に排出する土砂排出工程と、を有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、取水管や配水管等の横坑に堆積した土砂を地上に排出するために使用される横坑堆積土砂の排出工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
取水管や配水管等の横坑は、長期間に亘って取水又は排水がなされることにより、土砂や汚泥が徐々に堆積し、該取水管や配水管等の口径を塞ぐことから効率の良い取水・排水ができない。そこで、従来では、こうした横坑に堆積した土砂や汚泥を地上に排出する工法として、地上で吊り下げたサンドポンプを、マンホーを介して横坑内に下ろし、該マンホールの下方に堆積した土砂や汚泥を地上に排出している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の工法では、マンホールが設置された箇所に対応した土砂や汚泥は排出・除去することはできるが、マンホールとマンホールとの間において横坑に堆積した土砂や汚泥は排出することができない。換言すれば、上記従来の工法では、極めて部分的に土砂等を排出できるに止まり、本来横坑に形成された口径を有効に利用することができない。
【0004】
そこで、本発明は、上述した従来の工法が有する課題を解決するために提案されたものであって、マンホールの設置位置に止まらず、横坑内に堆積した土砂を可能な限り全て排出し、横坑に形成された口径を有効に使用することができる新規な横坑堆積土砂の排出工法を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した目的を達成するために提案されたものであり、第1の発明(請求項1記載の発明)は、一方のマンホールから横坑内に土砂排出装置を搬入する装置搬入工程と、上記土砂排出装置の先端に、上記一方のマンホールから離間した他方のマンホールに挿通された線状体を接続する線状体接続工程と、上記土砂排出装置を駆動させるとともに、上記線状体を地上から引き出しながら該土砂排出装置を上記他方のマンホールの下方まで移動させ、該土砂排出装置により横坑内の土砂を地上に排出する土砂排出工程と、を有してなることを特徴とするものである。
【0006】
この第1の発明において、横坑とは、地表より下方において、横方向に形成された管路を言い、例えば、取水管や排水管等を挙げることができる。なお、この横坑内には、土砂や汚泥等とともに汚水,海水,真水が存在しているか否かは問われない。また、この第1の発明において、上記土砂排出装置は、横坑内に堆積した土砂や汚泥ないしは泥土を地上に排出することができるものであれば良く、また、排出時において海水や真水が横構内に充満している場合には、サンドポンプを使用することができる。また、こうした土砂排出装置は、横坑内を該横坑の長さ方向に移動させることができるものである必要がある。また、この土砂排出装置は、前部側から土砂や汚泥を内部に吸引するものであり、後部には、フレキシブルな排泥管が接続されている必要がある。すなわち、この土砂排出装置は、前部側から土砂や汚泥を吸引し、上記排泥管を介して該土砂や汚泥を地上に排出するものである。また、上記装置搬入工程では、上記土砂排出装置を、地上から一方のマンホール内を通過させ横坑内に搬入するものであり、該装置搬入工程では、クレーンやジャッキ等を使用する。また、上記線状体接続工程は、横坑内に搬入された上記土砂排出装置に線状体を接続する工程であり、この線状体は、ロープ、チェーンでも良いがウインチを構成するワイヤであることが望ましい。また、この線状体は、上記土砂排出装置の先端に接続するとともに、該土砂排出装置を搬入した際に利用した一方のマンホールから離間した他方のマンホールに挿通されている必要がある。
【0007】
そして、この第1の発明に係る横坑堆積土砂の排出工法では、上記線状体を地上から引き出しながら土砂排出装置を駆動させることにより、横坑内に堆積した土砂や泥土は、この土砂排出装置により吸引されるとともに排泥管を介して地上に排出される。
【0008】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記土砂排出工程において、地上から前記他方のマンホール内に、先端側が湾曲してなり該マンホールの長さよりも長尺な筒状体を挿入するとともに該筒状体の先端側中途部をマンホールと横坑との間に形成された角部に当接させ、この筒状体内に前記線状体を挿通した状態で該線状体を地上から引き出すことを特徴とするものである。
【0009】
この第2の発明において、上記筒状体は、線状体が挿通できるものであり、マンホール鉄蓋の長さ(深さ)よりも長尺で、先端側は湾曲していることが必要である。また、この筒状体は、線状体を引き出す際に容易に撓んだり変形したりすることがないよう所定の硬度ないしは強度を備えている必要があり、金属製のパイプを用いることが望ましい。また、この筒状体は、先端側中途部をマンホールと横坑との間に形成された角部に当接させて使用されるものであり、上記角部に当接させる筒状体の位置は、上記湾曲した部位であっても良いし、直線状となされた部位であっても良い。また、この発明に係る横坑堆積土砂の排出工法を実施する際において、上記筒状体は、地上において作業者が把持しても良いし、適当な器具を用いて固定しても良い。
【0010】
また、第3の発明(請求項1記載の発明)は、上記第1又は第2の発明の何れかにおいて、前記土砂排出装置の後部に、前記一方のマンホールから挿通された他の線状体を接続し、前記線状体の引き出し操作又は送り込み操作並びに上記他の線状体の送り込み操作又は引き出し操作により、該土砂排出装置を前記横坑内において前進及び後退させながら該横坑内の土砂を排出することを特徴とするものである。
【0011】
この第3の発明では、土砂排出装置の前部に前記線状体を接続するとともに、後部には、他の線状体を接続し、地上において、他方のマンホールから上記線状体を引き出しながら横坑に搬入された土砂排出装置を先進させ、或いは、上記他の線状体を一方のマンホールから引き出しながら上記土砂排出装置を後退させ、横坑内に堆積した土砂や汚泥を排出するものである。なお、上記他の線条体も上記線条体と同じようにワイヤを用いることが望ましい。
【0012】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1,第2又は第3の発明において、前記土砂排出装置は、サンドポンプと、このサンドポンプを内部に収容してなり金網を主体としてなるケーシングと、少なくとも上記サンドポンプの上面とケーシングとの間及び該サンドポンプの下面とケーシングとの間には、それぞれ緩衝材が配置されてなることを特徴とするものである。
【0013】
この第4の発明において、緩衝材とは、サンドポンプを横坑内に搬入する時や搬出する時、或いは横坑内において上記線状体を用いて前進(又は後退)する際に、サンドポンプに加えられる衝撃を緩和することができるものであれば、その形状や素材は特に限定されるものではない。
【0014】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第4の発明において、前記土砂排出装置には、基端が前記ケーシングに固定され先端は該土砂排出装置の前方中央において前記線状体が接続される接続部材が配置されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)では、土砂排出装置を駆動させるとともに、上記線状体を地上から引き出しながら該土砂排出装置を上記他方のマンホールの下方まで移動させ、該土砂排出装置により横坑内の土砂を地上に排出する土砂排出工程を備えていることから、従来の工法のように、マンホールの設置位置の近傍に止まらず、横坑内に堆積した土砂や汚泥を可能な限り全て排出することができ、この結果、取水時や排水時においては、該横坑に形成された口径を有効に使用することができる。特に、この発明では、土砂排出装置の前進は、地上において線状体を引き出すことによりなされることから、少なくとも該土砂排出装置により土砂を排出する工程においては、作業者が横坑内で作業する必要性がない。
【0016】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)では、筒状体に線条体を挿通させ、該筒状体の先端側中途部をマンホールと横坑との間に形成された角部に当接させるとともに、該筒状体の先端側は湾曲していることから、作業途中において、線条体が上記角部と摺接することにより磨耗し或いは切断される危険性を有効に防止することができる。
【0017】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、前記線状体の引き出し操作又は送り込み操作並びに上記他の線状体の送り込み操作又は引き出し操作により、該土砂排出装置を前記横坑内において前進及び後退させながら該横坑内の土砂を排出するものであることから、横坑内に多量の土砂や汚泥が堆積し、或いは、横坑の口径が土砂排出装置の能力に比べて大きく、単に土砂排出装置を前進させただけでは、土砂等を排出・除去できない場合であって、該土砂排出装置を後退させる、さらには進退を繰り返しながら徐々に前進させることにより、ほぼ全ての土砂等を横構内から排出することができる。
【0018】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)では、ケーシングは、金網を主体としてなるものであることから土砂排出装置全体の重量を軽減することができ、また、少なくとも上記サンドポンプの上面とケーシングとの間及び該サンドポンプの下面とケーシングとの間には、それぞれ緩衝材が配置されてなることから、サンドポンプを横坑内に搬入する時や搬出する時、或いは横坑内において上記線状体を用いて前進(又は後退)する際に、サンドポンプに加えられる衝撃を緩和することができ、該衝撃によりサンドポンプが損傷することを防止できる。
【0019】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)では、土砂排出装置には、基端が前記ケーシングに固定され先端は該土砂排出装置の前方中央において前記線状体が接続される接続部材が配置されてなることから、前記線状体を引き出すことにより土砂排出装置を真っ直ぐ前進させることができる。なお、上記接続部材として、上記ケーシングの側方から複数の軸を突出させるとともに、これらの軸を土砂排出装置の前方中央にて一体化したものを使用した場合には、この接続部材がほぼ円錐状となり、土砂排出装置の前方に障害物がある場合でも、前進できない危険性を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係る横坑堆積土砂の排出工法を、図面を参照しながら工程順に詳細に説明する。なお、この横坑堆積土砂の排出工法は、地下に形成されている取水管内に堆積した土砂を該取水管内から外部に排出・除去するものに適用したものである。
【0021】
この実施の形態に係る横坑堆積土砂の排出工法(以下、本工法と言うことがある。)は、上記取水管内に堆積した土砂を、土砂排出装置により排出するものであり、先ず、この土砂排出装置に関して、図面を参照しながら説明する。
【0022】
この土砂排出装置1は、図1に示すように、サンドポンプ2と、このサンドポンプ2を内部に収容しているケーシング3と、上記ケーシング3内に収容されてなる一方及び他方の緩衝板4,5とを備えている。上記サンドポンプ3は、水平式のサンドポンプであり、内部には図示しないポンプ本体が内蔵され、正面側には、取水管に堆積した土砂や汚泥を水と共に吸引する吸引口2aが設けられており、背面には、上記吸引口2aから吸引された土砂等を排出する図示しない排出口が設けられ、この排出口にはサクションホース6が接続されている。なお、上記サクションホース6は、図3に示されるように、地上に設置された処理設備Dに接続され、後述するように、取水管P内の水Wとともに吸い上げられた土砂Sは、この処理設備Dにより土砂と水とに分離される。また、上記サンドポンプ2の正面側には、ポンプ本体内に吸引される土砂Sの粒径を規制する円筒状のフレーム部材2bが形成されている。また、上記ケーシング3は、底板部7と、この底板部7の左右両側から起立してなる左側板部8及び右側板部9と、上記底板部7の後端から起立してなる背面板部10とからなるケーシング本体(符号は省略する。)と、このケーシング本体の上部を閉塞する閉塞蓋11とから構成されている。そして、上記ケーシング本体は、金網を主体に構成されたものであり、上記底板部7と左側板部8との間、底板部7と右側板部9との間、底板部7と背面板部10との間、左側板部8と背面板部10との間、右側板部9と背面板部10との間には、L字状フレーム部材12が溶接されており、上記左側板部8の上端及び右側板部9の上端には、それぞれ両端が上記L字状フレーム部材12に溶接された板状フレーム部材13が溶接されている。また、上記左側板部8と右側板部9には、補助フレーム14が溶接されている。なお、上記背面板部10には、上記サクションホース6が挿通される開口10aが形成されている。また、上記閉塞蓋11は、長方形状に成形された方形状フレーム部材15に金網を溶接してなるものであり、上記方形状フレーム部材15の上面には、複数のフック16が固定されている。なお、この閉塞蓋11と上記ケーシング本体とは、図示しない針金により複数箇所において固定されている。
【0023】
また、上記ケーシング3には、上記ケーシング本体を構成するL字状フレーム部材12や板状フレーム部材13(水平方向に長さを有する部材)に溶接されてなるとともに、一端は、該ケーシング本体の正面側に位置してなるとともに、他端は、該ケーシング本体の背面側に位置してなる4つの金属製棒状体18・・・21が配置されている。これらの金属製棒状体18・・・21の一端側中途部は、一端側が徐々に内側に傾斜するようそれぞれ折曲され、各端部は、ケーシング本体の正面側中央にて互いに溶接され、その先端にはリング状の前方側接続部22が形成されている。一方、上記4つの金属製棒状体18・・・21の他端側中途部は、他端側が徐々に内側に傾斜するよう折曲され、各端部はケーシング本体の背面側中央において互いに溶接され、その先端にはリング状の後方側接続部23が形成されている。
【0024】
そして、上記ケーシング3内には、図2に示すように、上記ケーシング本体を構成する底板部7とサンドポンプ2との間には、一方の緩衝板4が配置され、また、このサンドポンプ2と上記閉塞蓋11との間には、他方の緩衝板5が配置されている。これら一方及び他方の緩衝板4,5は、何れも発泡スチロールを板状に成形したものである。
【0025】
以下、上述した土砂排出装置1を利用しながらなされる堆積横坑堆積土砂の排出工法について、各工程順に詳細に説明する。
【0026】
先ず、上記土砂排出装置1を、起重機Y等により吊り下げ、図3に示すように、取水管Pに接続された一方のマンホールMの上方から徐々に下降させ、取水管P内に搬入する。このとき、上記後方側接続部23には予め一方のワイヤ25を接続させておく。なお、この一方のワイヤ25は、図示しない一方のウインチに接続されてなるものであり、このように、土砂排出装置1を取水管P内に搬入する際には、上記ウインチを逆回転又は空転できるようにしておく。また、このように土砂排出装置1を一方のマンホールMから取水管P内に搬入する工程が終了すると(或いは、それ以前の工程において)、他方のワイヤ26の先端を、上記土砂排出装置1を構成する前方側接続部22に接続させ、図4に示すように、上記マンホールMに隣接する他方のマンホールMの近傍から該他方のワイヤ26を引き出せる状態とする。この方法は、例えば、上記他方のワイヤ26、上記一方のマンホールMから取水管P内に挿通するとともに、その先端を該取水管Pに挿通して、該一方のマンホールMに隣接する他方のマンホールMから取り出し、取り出した側とは反対側の端部を上記前方側接続部22に接続させるとともに、上記他方のマンホールMから取り出した端部を他方のウインチ27に接続する方法を採用することができる。或いは、上記他方のマンホールM内に上記他方のウインチ27に接続された(巻回された)他方のワイヤ26の先端を挿通するとともに、その先端を上記一方のマンホールM側に送り出し、その先端を上記取水管P内に搬入された土砂排出装置1を構成する上記前方側接続部22に接続する方法を採用しても良い。
【0027】
また、この実施の形態に係る堆積横坑堆積土砂の排出工法では、図4に示すように、筒状体30を使用する。この筒状体30は、図5に示すように、内部に上記他方のワイヤ26が挿通されるものであり、先端側には、円弧状に湾曲した湾曲部30aが形成されている。そして、この他方のワイヤ26が挿通された筒状体30を、上記他方のマンホールMと取水管Pとにより形成された角部Eに当接させる。この当接させる位置は、上記湾曲部30aとする。なお、この筒状部30は、その長さに応じて、上記湾曲部30aが上記角部Eに当接するよう図示しない紐などにより地上から吊り下げる。
【0028】
そして、このように、取水管P内に土砂排出装置1を搬入し、この土砂排出装置1の後方側接続部23には一方のワイヤ25を接続し、前方側接続部22には他方のワイヤ26を接続する工程が終了すると、次いで、この土砂排出装置1を構成するサンドポンプ2の駆動を開始する。すると、取水管Pに堆積した土砂Sや汚泥は、サンドポンプ2の正面側から吸引されるとともにサクションホース6を介して上記処理設備Dに充填される。そして、この状態において、上記他方のマンホールMの上方に設置した上記他方のウインチ27を駆動させることによって、上記他方のワイヤ26を巻き取り、土砂排出装置1を一方のマンホールM側から他方のマンホールM側に移動させる。こうした他方のワイヤ26を引き出す(他方のウインチ27にて他方のワイヤ26を巻き上げる)ことにより、上記一方のマンホールMの配置位置から他方のマンホールMの配置位置に亘って取水管P内に堆積した土砂Sや汚泥を有効に排出することができる。なお、上記土砂排出装置1では、上記後方側接続部23に一方のワイヤ25が接続されていることから、この一方のワイヤ25を巻き戻す(一方のマンホールMの近傍から一方のワイヤ25を引き出す)とともに、上記他方のワイヤ26を他方のマンホールM内に送り込むことにより、土砂排出装置1を後退させることもでき、さらには、前進及び後退を繰り返すことにより、取水管P内に堆積した土砂Sや汚泥を除去しても良い。
【0029】
このように、上記実施の形態に係る工法によれば、従来の工法のように、マンホールM,Mの設置位置の近傍に止まらず、取水管P内に堆積した土砂Sや汚泥を可能な限り全て排出することができ、この結果、取水時には、該取水管Pの口径を有効に使用することができる。特に、この工法では、土砂排出装置1の前進は、地上において他方のワイヤ26を他方のウインチ25により引き出すことによりなされることから、少なくとも該土砂排出装置1により土砂を排出する工程においては、作業者が取水管P内で作業する必要性がない。また、上記工法では、筒状体30に他方のワイヤ26を挿通させ、該筒状体30に形成された湾曲部30aを他方のマンホールMと取水管Pとの間に形成された角部Eに当接させることから、作業途中において、他方のワイヤ26が上記角部Eとの摺接により磨耗し或いは切断される危険性を有効に防止することができる。また、上記工法は、前記他方のワイヤ26の引き出し操作又は送り込み操作並びに上記一方のワイヤ25の送り込み操作又は引き出し操作により、土砂排出装置1を前記取水管P内において前進及び後退させながら該取水管P内の土砂を排出する場合には、取水管P内に多量の土砂や汚泥が堆積し、或いは、取水管Pの口径が土砂排出装置1の能力に比べて大きく、単に土砂排出装置1を前進させただけでは、土砂等を排出・除去できない場合であって、該土砂排出装置1を後退させる、さらには進退を繰り返しながら徐々に前進させることにより、ほぼ全ての土砂等を取水管P内から排出することができる。
【0030】
また、上記土砂排出装置1は、ケーシング3は、金網を主体としてなるものであることから土砂排出装置1全体の重量を軽減することができ、また、少なくとも上記サンドポンプ2の下面とケーシング3との間には、一方の緩衝板4が、サンドポンプ2の上面とケーシング3との間には、他方の緩衝板5が配置されてなることから、サンドポンプ2を取水管P内に搬入する時や搬出する時、或いは取水管P内において上記他方のワイヤ26(又は一方のワイヤ25)を用いて前進(又は後退)する際に、サンドポンプ2に加えられる衝撃を緩和することができ、該衝撃によりサンドポンプ2が損傷することを防止できる。さらに、上記土砂排出装置1の前方には、他方のワイヤ26が接続される前方側接続部22が形成され、後方には、一方のワイヤ25が接続される後方側接続部23が形成され、上記前方側接続部22も後方側接続部23も土砂排出装置1の中央に形成されていることから、他方のワイヤ26を引き出すことにより土砂排出装置1を真っ直ぐ前進させることができ、また、一方のワイヤ25を引き出すことにより真っ直ぐ後退させることができる。しかも、上記前方側接続部22も後方側接続部23も、それぞれ4つの金属製棒状体18・・・21の端部が溶接されてなり、ほぼ円錐状とされてなるものであることから、土砂排出装置1の前方に障害物がある場合でも、前進不能となる危険性を有効に回避することができる。
【0031】
なお、上記実施の形態では、取水管P内に堆積した土砂や汚泥を排出する工法に、本発明を適用したものであるが、本発明は、こうした取水管Pに限定されることがなく、図示しない配水管に堆積した土砂等を排出するものであっても良い。また、上記ケーシング3の下面には、堆積した土砂との摩擦抵抗を低減するために、例えば、左右にソリ板を配置しても良い。また、上記実施の形態に係る土砂排出装置1では、4つの金属製棒状体18・・・21を構成要素としたが、これらの金属製棒状体の数をさらに増加させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】土砂排出装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す土砂排出装置を模式的に示す側断面図である。
【図3】一方のマンホールから土砂排出装置が取水管内に搬入された状態を模式的に示す側断面図である。
【図4】一方のマンホール側から他方のマンホール側に土砂排出装置が移動している状態を模式的に示す側断面図である。
【図5】筒状部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 土砂排出装置
2 サンドポンプ
3 ケーシング
4 一方の緩衝板
5 他方の緩衝板
18・・・21 金属製棒状体
23 後方側接続部
25 一方のワイヤ
26 他方のワイヤ
30 筒状体
P 取水管
一方のマンホール
他方のマンホール
E 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のマンホールから横坑内に土砂排出装置を搬入する装置搬入工程と、
上記土砂排出装置の先端に、上記一方のマンホールから離間した他方のマンホールに挿通された線状体を接続する線状体接続工程と、
上記土砂排出装置を駆動させるとともに、上記線状体を地上から引き出しながら該土砂排出装置を上記他方のマンホールの下方まで移動させ、該土砂排出装置により横坑内の土砂を地上に排出する土砂排出工程と、
を有してなることを特徴とする横坑堆積土砂の排出工法。
【請求項2】
前記土砂排出工程において、地上から前記他方のマンホール内に、先端側が湾曲してなり該マンホールの長さよりも長尺な筒状体を挿入するとともに該筒状体の先端側中途部をマンホールと横坑との間に形成された角部に当接させ、この筒状体内に前記線状体を挿通した状態で該線状体を地上から引き出すことを特徴とする請求項1記載の横坑堆積土砂の排出工法。
【請求項3】
前記土砂排出装置の後部に、前記一方のマンホールから挿通された他の線状体を接続し、前記線状体の引き出し操作又は送り込み操作並びに上記他の線状体の送り込み操作又は引き出し操作により、該土砂排出装置を前記横坑内において前進及び後退させながら該横坑内の土砂を排出することを特徴とする請求項1又は2記載の何れかの横坑堆積土砂の排出工法。
【請求項4】
前記土砂排出装置は、サンドポンプと、このサンドポンプを内部に収容してなり金網を主体としてなるケーシングと、少なくとも上記サンドポンプの上面とケーシングとの間及び該サンドポンプの下面とケーシングとの間には、それぞれ緩衝材が配置されてなることを特徴とする請求項1,2又は3記載の何れかの横坑堆積土砂の排出工法。
【請求項5】
前記土砂排出装置には、基端が前記ケーシングに固定され先端は該土砂排出装置の前方中央において前記線状体が接続される接続部材が配置されてなることを特徴とする請求項4記載の横坑堆積土砂の排出工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−16469(P2007−16469A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198585(P2005−198585)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(505257800)株式会社河崎海事 (1)
【出願人】(000182030)若築建設株式会社 (39)
【Fターム(参考)】