説明

横引きシャッターの連結枠

【課題】シャッター本体の脱出連結枠を,一対の分離成形枠によって形成しつつ高度な剛性と良好な外観を確保する。
【解決手段】一対の分離成形枠261を,C字基部262の見込方向中央部から,上吊連結枠と前後方向逆向きにヒンジ軸268を突出して形成し,このC字基部262を,側壁の先端から前後壁263を突出し,その一方の先端にL字状に小突出した係止片264と,側壁の一端に形成した段部265を配置したものとし,前後壁をそれぞれ重合し且つ係止片を段部に係止するようにC字基部262を相互に嵌着固定して中空部を備えた脱出連結枠を形成する。ガイドレールに上吊した上吊連結枠のパネルの各自由端にこの分離成形枠を配置し嵌着固定すればシャッター本体を容易に形成できるとともに脱出連結枠は剛性と外観に優れたものとなり,中空部を用いて落し錠を設置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,横引きシャッターに関し,特にそのパネルを蛇腹状折畳み自在に連結する連結枠に関する。
【背景技術】
【0002】
この種横引きシャッターは,幅方向交互に配置した上吊連結枠及び脱出連結枠のヒンジ軸とパネル縦框両側のヒンジ軸受をそれぞれ回動自在にヒンジ連結してパネルを幅方向に蛇腹状折畳み自在に連結したシャッター本体と,上記上吊連結枠の上下に配置したスライダーを介して該シャッター本体を幅方向開閉自在に上吊支持した上下のガイドレールとを備えたものとされるところ,シャッター本体は,その重量が嵩むために,ガイドレールにシャッター本体を吊り込む現場の吊り込み作業を容易化するように,シャッター本体を幅方向に分離可能としてあり,このとき該シャッター本体は,その一部又は全部の脱出連結枠を分離構成して吊り込み後にネジ止めするようにしてある。脱出連結枠の分離構成は,下記特許文献の第4図によれば,例えばタッピングホールを内側に備えた中空基部と,該中空基部のコーナーに傾斜して小突出した連結突片を介してその先端に配置した一方のヒンジ軸を備えた連結枠本体と,該連結枠本体の室外側に重合する重合片と,該重合片に同じく傾斜して小突出した連結突片を介してその先端に配置した他方のヒンジ軸を備えたヒンジ部材とを用い,上記重合片を中空基部に重合してリベット止めして,上吊連結枠と略同様な断面形状を確保して行うものとされ,該リベット止め部分を,シャッター本体を伸張したときパネルに設置したカバーによって目隠しするものとされる。
【0003】
【特許文献1】特公平6−31483号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合,シャッター本体の吊り込みは,これを容易化することができるが,シャッター本体に落し錠を用いるについて,脱出連結枠にこれを設置するには,中空基部の内側にタッピングホールを備えるために中空基部の内側,即ち中空部に落し錠設置のスペースを確保し難く,ヒンジ部材の連結突片がリベットとともに露出するために,必ずしも外観を良好なものとはなし難く,またヒンジ部材は傾斜した連結突片を介して他方のヒンジ軸を配置してそれ自体重量が嵩むパネルの荷重を支持するものとされるため,該連結突片乃至これを固定したリベットにパネルの荷重が集中する結果,パネルの材質やパネルにガラスを用いるときの板厚変化等による荷重変化に対しても,常にパネルを安定支持するに適した高度な剛性を確保したものとはなし難く,これらについてその改良が求められる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,シャッター本体の吊り込みを容易化しつつ,その脱出連結枠に落し錠を設置可能とする一方,可及的高度な剛性を確保し且つ可及的良好な外観を確保し得るようにした横引きシャッターの連結枠を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って本発明は,幅方向交互に配置した上吊連結枠及び脱出連結枠のヒンジ軸とパネル縦框両側のヒンジ軸受をそれぞれ回動自在にヒンジ連結してパネルを幅方向に蛇腹状折畳み自在に連結したシャッター本体と,上記上吊連結枠の上下に配置したスライダーを介して該シャッター本体を幅方向開閉自在に上吊支持した上下のガイドレールとを備えた横引きシャッターにおいて,上記上吊連結枠を,パネル縦框と略同等の見込幅を有する断面矩形の中空基部と,該中空基部両側の側壁見込方向中央部から側方に湾曲突出した湾曲片と,該湾曲片の内面に小突出した連結突片を介して交差方向に配置したヒンジ軸を備えた一体成形枠とする一方,上記脱出連結枠を,断面C字状のC字基部と,上記上吊連結枠と前後方向逆向きとした同様の湾曲片,連結突片及びヒンジ軸を備えた分離一対の分離成形枠とし且つそのC字基部を,それぞれ側壁と,該側壁の先端に見付方向に突出し前後一方を側壁の肉厚分短寸化した前後壁と,該前後壁の各先端に見込方向に小突出した係止片と,上記側壁の見込方向一端に形成した該係止片の受座をなす段部とを備えて,分離一方のC字基部と分離他方のC字基部を,その前後壁を相互に重合するように嵌着固定し且つ該分離一方及び他方のC字基部間に落し錠設置スペースをなす中空部を形成してなることを特徴とする横引きシャッターの連結枠とし,これを発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は以上のとおりに構成したから,幅方向双方に2枚のパネルを連結した上吊連結枠をシャッター枠のガイドレールに装着した後に,それぞれ幅方向一方にパネルを連結した分離成形枠のヒンジ軸受に上吊連結枠におけるパネルのヒンジ軸を回動自在に軸支し,分離成形枠のC字基部を相互に嵌着固定して脱出連結枠を形成することによって,シャッター本体の吊り込みを容易に行うことができる。
【0008】
脱出連結枠は,これを,C字基部に,その見込方向中間に小突出の連結突片を介してヒンジ軸を備えて,それ自体強度に優れた断面形状を有する一対の分離成形枠を用い,そのC字基部を相互に嵌着固定して,C字基部間に中空部を備えるとともに一対の分離成形枠の前後壁を内外双方で相互に面接触し且つ係止片を段部に係止することによって形成したから,上記中空部を設置スペースとして落し錠の設置を可能とするとともにパネルの荷重が特定部位に集中するのを可及的に防止して高度な剛性を確保したものとすることができる。
【0009】
該脱出連結枠は,その基本形状を上吊連結枠と共通とすることができるから,その中空部の寸法を調整することによって,必要に応じて脱出連結枠に振止め用の落し錠を,上吊連結枠に施錠用の落し錠を配置するといった場合にも,該落し錠を共通部材として,これら双方に共通の落し錠を設置することが可能となる。
【0010】
脱出連結枠は,C字基部の嵌着固定に用いる金具が,例えば内側に露出する程度の差異があるも,見付面に分離成形枠の端部が表れないので,一体成形枠の如き外観を呈して,該脱出連結枠乃至これを用いたシャッター本体の外観を可及的良好なものとすることができる。
【0011】
従って,本発明によれば,シャッター本体の吊り込みを容易になし得て,脱出連結枠に落し錠を設置可能とするとともに可及的高度な剛性と可及的良好な外観を確保した横引きシャッターの連結枠を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば,Aは横引きシャッターであり,該横引きシャッターAは,常法に従って,幅方向交互に配置した上吊連結枠25及び脱出連結枠26のヒンジ軸255,268とパネル24縦框両側のヒンジ軸受241をそれぞれ回動自在にヒンジ21連結してパネル24を幅方向に蛇腹状折畳み自在に連結したシャッター本体2と,上記上吊連結枠25の上下に配置したスライダー256を介して該シャッター本体2を幅方向開閉自在に上吊支持した上下のガイドレール11,12とを備えたものとしてある。本例にあって横引きシャッターAは,そのパネル24のパネル体を除くシャッター本体2及び該シャッター本体2を収容する上記ガイドレール11,12を吊元及び戸先の縦枠の上下端に架設配置したシャッター枠1を,それぞれアルミ押出材を用いて形成したアルミ製とするとともに上記パネル24には,その框内にパネル体としてガラスを嵌着支持することによって,例えば商店街や地下街に設置使用する店舗用のものとしてある。
【0013】
このとき横引きシャッターAの上記上吊連結枠25は,これを,パネル24縦框と略同等の見込幅を有する断面矩形の中空基部251と,該中空基部251両側の側壁見込方向中央部から側方に湾曲突出した湾曲片253と,該湾曲片253の内面に小突出した連結突片254を介して交差方向に配置したヒンジ軸255を備えた一体成形枠とする一方,上記脱出連結枠26は,これを,断面C字状のC字基部262と,上記上吊連結枠25と前後方向逆向きとした同様の湾曲片266,連結突片267及びヒンジ軸268を備えた分離一対の分離成形枠261とし且つそのC字基部262を,それぞれ側壁と,該側壁の先端に見付方向に突出し前後一方を側壁の肉厚分短寸化した前後壁263と,該前後壁263の各先端に見込方向に小突出した係止片264と,上記側壁の見込方向一端に形成した該係止片264の受座をなす段部265とを備えて,分離一方のC字基部262と分離他方のC字基部262を,その前後壁263を相互に重合するように嵌着固定し且つ該分離一方及び他方のC字基部262間に落し錠3設置スペースをなす中空部28を形成したものとしてある。
【0014】
即ち,上吊連結枠25及び脱出連結枠26は,いずれもアルミ押出材を加工使用したアルミ製にして上吊連結枠25を一体成形した一体成形枠とし,脱出連結枠26を分離成形した一対の分離成形枠261としてある。上吊連結枠25は,側壁を2.5cm程度,例えば2.4cm,前後壁を1.5cm程度,例えば1.2乃至1.3cmの幅とし,該前後壁の内側にそれぞれ,後述の落し錠3における錠本体31のスライド面をなすように2状の突条252を並列配置した中空基部251を備えたものとしてあり,その両側の側壁の見込方向中央部,本例にあっては略中央位置には,例えば100度程度の角度の円弧をなすように翼状に一対の湾曲片253を突出するとともに該湾曲片253の円弧中心に軸心が位置するように,該各湾曲片253の内面,本例にあっては該内面の中間位置にそれぞれ連結突片254を小突出し,その先端に各ヒンジ軸255を配置して,幅方向に対称形状をなすものとしてある。ヒンジ軸255は,例えば円周方向一部を部分的に開口した断面C字状をなすとともにその一端部,即ち側壁側に位置する端部に外周側に小突出するストッパーを備えたものとしてある。
【0015】
脱出連結枠26は,その割型をなすように一対の分離成形枠261を組合せ固定して,これを形成するものとしてあり,該一対の分離成形枠261は,それぞれ上記C字基部262,その側壁,前後壁263,係止片264,段部265,湾曲片266,連結片267,ヒンジ軸268を備え,前後壁263を前後でそれぞれ重合し,係止片264を他方の分離成形枠261における側壁の段部265に係止するようにC字基部262を相互に嵌着して金具固定を施して,上吊連結枠25間に配置される脱出連結枠26を形成してある。該C字基部263を嵌着固定して一対の分離成形枠262によって形成される本例の脱出連結枠26は,これをその湾曲片266,即ちヒンジ軸268の突出方向を逆とするも,その基本形状を上記上吊連結枠25と共通としたものとしてあり,これによって上記上吊連結枠25と脱出連結枠26の外観を可及的に共通化するとともに共通部材とした落し錠3をその双方に設置可能としてある。
【0016】
即ち本例にあって,各分離成形枠261は,そのC字基部262を,その基壁をなす側壁と,この側壁の両端から一側片側にそれぞれ突出した側壁の肉厚に相当する突出長さの差を形成した異長の前後壁263とを備えるとともに該前後壁263は,これを一対の分離成形枠261の各C字基部263を嵌着固定したとき各前後で相互に重合した状態で中空部28を形成して組み合うように,上記上吊連結枠25の側壁に比較して,該前後壁263の片側の肉厚分を,例えば1.5〜2mm程度僅かに短寸化した見込幅のものとして形成してあり,また該側壁の見込方向先端,即ち前後両端から他方の分離成形枠261に向けて前後壁263をそれぞれ突出し且つその先端に見込方向内側に向けて,該前後壁263と断面L字状をなすように上記係止片264を小突出し,一方側壁に配置した段部265は,一対の分離成形枠261間で,前後壁263を重合したとき,上記小突出した係止片264を受入れてこれを引掛係止するように,側壁の前後一方の端部を部分的に薄肉化したL字状に形成してある。これによって該C字基部262は,これを断面C字状をなすものとして,それ自体強度に優れるものとしてある。
【0017】
一方,分離成形枠261に形成した湾曲片266,連結片267及びヒンジ軸268は,上記上吊連結枠25におけると同様に,各分離成形枠261の側枠から上吊連結枠25と同様に湾曲片266を突出し,その内面に,連結片267を介してヒンジ軸268を配置してあり,このとき上記湾曲片266の突出配置は,一対の分離成形枠261の嵌着固定によって,上記上吊連結枠25の突出位置と同一位置となるようにするとともに該湾曲片266の向きを上吊連結枠25と内外逆向きとなるようにして,シャッター本体2においてヒンジ軸268を上吊連結枠25のヒンジ軸255と内外交互に配置するようにしてある。
【0018】
一対の分離成形枠261は,その前後壁263一方の係止片264を前後壁263他方の段部265に係止し且つそれぞれの前後壁263を重合するように,C字基部262を相互に嵌着し,該前後壁263の一方,本例にあっては室内側で,該前後壁263をその長手方向に所定間隔のネジ27止めを施すことによってその固定を行って脱出連結枠26としてあり,これにより該脱出連結枠26が,上記C字基部262による中空部28を備えるとともに内外からの外観において,例えば分離成形枠261の端部が露出し,該脱出連結枠26が分離成形枠261の組合せ形成した如くの印象を与えるのを防止し,中空部28を備えることによって,またヒンジ軸268の配置を内外中央部とすることによって,シャッター本体2に用いる脱出連結枠26として,高度な剛性と無理のないパネル24の支持をなし得るようにしてある。
【0019】
図4,図8,図9において3は,シャッター本体2の任意の脱出連結枠26に配置した落し錠であり,本例にあって該落し錠3は,例えば脱出連結枠26のC字基部263の嵌着によって形成される落し錠設置スペースをなす中空部28の下端開口から上下スライド自在に挿入した錠本体31と,該錠本体31の一側に形成した凹陥部に配置して先端に係止突起312を備えるとともに該係止突起312を前後の突出方向に向けて付勢した係止金具311と,該錠本体31の他側に配置したスライド突起313と,上記中空部28内面の係止金具311配置側の片側一方に配置した係止金具受止めプレート314と,中空部28内面の片側他方に配置した上記スライド突起313を受止めする抜止めプレート315と,脱出連結枠26の前後壁263の室内側及び/又は室外側の外面に配置して上記錠本体31にネジ止めし,表面に手掛けを配置した操作プレート316とを備えたものとしてあり,本例の落し錠3は,シャッター本体2を室内側に折畳むように設置してその開閉を行うとき,室内側に脱出する脱出連結枠26の突出面の室内側に操作プレート316を配置して,シャッター本体2の室内側で該操作プレート316の操作をなし得るようにしてある。
【0020】
本例にあって錠本体31は,例えば合成樹脂,アルミ等の成形品あるいは切削加工品によって,一側下方に上記凹陥部を凹陥形成し,他側上方及び下方の2箇所に,例えば別部材のスライド突起313をネジ,溶着等によって固定し且つ下端を円柱状として施開錠用ロッド部317を突出形成するとともに上記係止金具312配置の他側に配置したスライド突起313を上下に一対配置したものとする一方,上記係止金具311を,下端固定部から片側一方に向けて緩傾斜した傾斜部を介してその上端にC字状の係止突起312を配置した,例えばバネ鋼に曲げ加工を施して形成し,その下端固定部を上記凹陥部の底壁下端にネジ,溶着等によって固定し,該係止金具311を錠本体31の凹陥部に突出方向に向けて付勢状態としてこれを弾発的に収容したものとしてある。また上記操作プレート316は,同じく合成樹脂,アルミ等の成形品あるいは切削加工品を用い,上下中間位置に摘み突起を突出し,例えば上下2箇所で,錠本体31の上方位置にネジ固定してあり,このときネジ固定は,脱出連結枠26の上記重合した一方の前後壁263の厚さを逃げる間隔を錠本体31と操作プレート316間に形成するように該間隔にネジを挿通被覆したブッシュ318を配置して該間隔を常時維持するようにしてある。
【0021】
落し錠3を設置した脱出連結枠26は,その上記C字基部262を嵌着することによって上記重合配置した前後壁263を,その落し錠3の操作プレート316設置の室内側で,該落し錠の施開錠に伴うその上下移動幅,即ち上記錠本体31と操作プレート316における上下2箇所のネジを挿通被覆したブッシュ318が移動する長さ幅を上下に切欠くことによって操作プレート316の上下動を可能としてあり,このとき前後壁263の切欠きは,前後壁263の内側一方を,外側他方の壁面を残存するように更に上下方向に向けて切欠いて,該残存した外側他方の壁面を,中空部内で上下に移動する錠本体31に配置した上記上下一対の各スライド突起313をスライド案内するガイド面とするとともにその下位に残存した内側一方の壁面を,その上端を下位のスライド突起313の受座をなして,これを受止めすることによって錠本体31の抜止めを行う抜止めプレート315としてある。また落し錠3の係止金具311設置の室外側で,その前後壁263の内側一方を,落し錠3の施開錠に伴う上下移動幅に応じた,本例にあって上記室内側と同じ長さ幅を切欠いて,該内側一方の下位に残存した壁面を,上記係止金具311の係止突起312を弾発的にスライド案内するガイド面,その上端を該係止突起を弾発的に受止め係止する受止め段部とすることによって該残存した内側一方の壁面を係止金具受止めプレート314としてある。
【0022】
図10は,シャッター本体2を室外側に折畳むように設置してその開閉を行うとき,上記図4,8,9の場合と逆に,室外側に脱出する脱出連結枠26のパネル24間挟持面の室内側に操作プレート316を配置して,同じくシャッター本体2の室内側で該操作プレート316の操作をなし得るようにした例である。
【0023】
図11,12は,上記脱出連結枠26に設置した落し錠3を,例えば錠本体31に対するスライド突起の配置を省略することによって,上吊連結枠25に対して互換的に使用して,該上吊連結枠25に設置し,該落し錠3を室内外双方に配置した操作プレート316によって施開錠自在とした例を示したものであり,本例にあって上吊連結枠25は,その前後壁の内側にそれぞれ並列して配置した上記2条の突条252の先端間の距離を,上記落し錠3における錠本体31の見込幅と一致するように,該突条の前後壁から中空部に向けた突出長さを設定することによって,その中空基部251に錠本体31を挿入し得るようにして,上記脱出連結枠26との間で落し錠3を互換的に使用可能としてある。
【0024】
このとき該上吊連結枠25は,該2条の突条252を有する前後壁に,上記脱出連結枠26における前後壁263に対すると同様な加工,即ち切欠きを施すことによって,本例にあって錠本体31の内側に配置した係止金具311の係止突起312が一方2条の突条252に弾発的に接触するとともに錠本体31が他方2条の突条に直接に接触することによって,該2条の突条252が錠本体31を同様にスライド案内するガイド面をなすようにして,室内外双方に配置した操作プレートを上下動自在としてあり,また切欠きによって下位に残存した2条の突条の上端を,上記係止突起を弾発的に受止め係止する受止め段部とするようにしてあり,これにより同様に抜止めプレート315,係止金具受止めプレート314をなすものとしてある。
【0025】
図10乃至図12のその余は,上記例と変らないので,同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0026】
従って,パネル24に,これら上吊連結枠25及び各分離成形枠261のヒンジ軸255,268とヒンジ21を形成するヒンジ軸受241をそれぞれ縦框に配置し,該ヒンジ21を介して上吊連結枠25の両側にパネル24を連結するとともに該パネル24の自由端側に同じくそれぞれヒンジ21を介して分離成形枠261を配置することによって,各単一の上吊連結枠25,2枚のパネル24,その自由端の各分離成形枠261を連結したものをシャッター本体形成単位として工場出荷し,横引きシャッターAの設置現場では,上吊連結枠25を,例えば吊元側端部乃至その近傍に配置した,シャッター本体折畳用の切欠部111からシャッター枠1の上下のガイドレール11,12に走行自在に装着するようにして各2枚のパネル24を順次吊支持し,その隣接するパネル24同士の自由端側に位置する各分離成形枠261をそれぞれ嵌着固定して一連のシャッター本体2を形成すればよく,このとき吊元側及び戸先側にあっては,シャッター本体2の幅方向両端に配置して,同じく上下のガイドレール11,12に上吊する吊元框22及び戸先框23との間でこれらに配置したヒンジ軸255とパネル24のヒンジ軸受241とで同様にヒンジ21を形成するようにこれらに端部のパネル24をそれぞれ連結し,その自由端側に分離成形枠261を連結したものとして,吊元框22又は戸先框23,1枚のパネル24,一対のうち一方の分離成形枠261を連結したものを端部用の単位とし,吊元框22,戸先框23をシャッター枠1のガイドレール11,12間に上吊配置し,上記シャッター本体形成単位と,その分離成形枠261同士を嵌着固定することによって,その連結を行うようにすればよい。これによって重量の嵩むシャッター本体2を現場に搬入して直接に吊支持することなく,作業者がシャッター本体形成単位を比較的容易にガイドレール11,12間に吊支持することによって,分離成形枠261の後連結の作業を施してシャッター本体2を形成することができ,従って現場作業を簡易化してその作業効率を高度に確保することができ,その上吊連結枠25と脱出連結枠26を略同形状の略共通形状としたことによって,脱出連結枠26を,一対の分離成形枠261によって形成した印象を捨象して,外観よく,またその両側にパネル24を支持するについて,一体成形枠による上吊連結枠25と同等にして,シャッター本体2の脱出連結枠26として高度な剛性を確保したものとすることができる。
【0027】
図中112は,シャッター本体2の折畳み開成と伸張閉成をスムーズになし得るように上位のガイドレール11に配置して,パネル24上端に配置したガイドローラー242を案内するガイドプレート,113は,同じくパネル24上端に配置した固定ブロック243を,シャッター本体2の伸張閉成時に通過させ,シャッター本体2の折畳開成時に折畳方向に蹴り出すことによって上記ガイドプレート112の案内と相俟ってシャッター本体2の開閉を更にスムーズにするように上位のガイドレール11に配置した回動自在の蹴り出しブロック,121は,シャッター枠1の下位ガイドレール12に着脱自在に嵌合配置することによって,下位ガイドレール12から取り外して内部に落ち込み集積した塵埃の除去をなし得るようにした着脱レールを示す。
【0028】
図示した例は以上のとおりとしたが,本発明の実施に当って,横引きシャッター,そのシャッター本体,ガイドレール,上吊連結枠,その一体成形枠,脱出連結枠,分離一対の分離成形枠,C字基部,その側壁,前後壁,係止片,段部,中空部等の各具体的形状,構造,材質,これらの関係,これらに対する付加等は,上記発明の要旨に反しない限り様々な形態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】横引きシャッターの背面図である。
【図2】横引きシャッターの横断面図である。
【図3】横引きシャッターの縦断面図である。
【図4】横引きシャッターの折畳状態を示す横断面図である。
【図5】上吊連結枠部分の拡大横断面図である。
【図6】脱出連結枠部分の拡大横断面図である。
【図7】分離成形枠の拡大横断面図である。
【図8】落し錠を設置した脱出連結枠部分の拡大横断面図である。
【図9】図8の落し錠を設置した脱出連結枠部分の拡大縦断面図である。
【図10】落し錠設置の他の形態を示す脱出連結枠部分の拡大横断面図である。
【図11】落し錠を設置した上吊連結枠部分の拡大横断面図である。
【図12】図11の落し錠を設置した上吊連結枠部分の拡大横断面図である。
【符号の説明】
【0030】
A 横引きシャッター
1 シャッター枠
11 上位ガイドレール
111 切欠部
112 ガイドプレート
113 蹴り出しブロック
12 下位ガイドレール
121 着脱レール
2 シャッター本体
21 ヒンジ
22 吊元框
23 戸先框
24 パネル
241 ヒンジ軸受
242 ガイドローラー
243 固定ブロック
25 上吊連結枠
251 中空基部
252 突条
253 湾曲片
254 連結突片
255 ヒンジ軸
256 スライダー
26 脱出連結枠
261 分離成形枠
262 C字基部
263 前後壁
264 係止片
265 段部
266 湾曲片
267 連結突片
268 ヒンジ軸
27 ネジ
28 中空部
3 落し錠
31 錠本体
311 係止金具
312 係止突起
313 スライド突起
314 受止めプレート
315 抜止めプレート
316 操作プレート
317 施開錠用ロッド
318 ブッシュ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向交互に配置した上吊連結枠及び脱出連結枠のヒンジ軸とパネル縦框両側のヒンジ軸受をそれぞれ回動自在にヒンジ連結してパネルを幅方向に蛇腹状折畳み自在に連結したシャッター本体と,上記上吊連結枠の上下に配置したスライダーを介して該シャッター本体を幅方向開閉自在に上吊支持した上下のガイドレールとを備えた横引きシャッターにおいて,上記上吊連結枠を,パネル縦框と略同等の見込幅を有する断面矩形の中空基部と,該中空基部両側の側壁見込方向中央部から側方に湾曲突出した湾曲片と,該湾曲片の内面に小突出した連結突片を介して交差方向に配置したヒンジ軸を備えた一体成形枠とする一方,上記脱出連結枠を,断面C字状のC字基部と,上記上吊連結枠と前後方向逆向きとした同様の湾曲片,連結突片及びヒンジ軸を備えた分離一対の分離成形枠とし且つそのC字基部を,それぞれ側壁と,該側壁の先端に見付方向に突出し前後一方を側壁の肉厚分短寸化した前後壁と,該前後壁の各先端に見込方向に小突出した係止片と,上記側壁の見込方向一端に形成した該係止片の受座をなす段部とを備えて,分離一方のC字基部と分離他方のC字基部を,その前後壁を相互に重合するように嵌着固定し且つ該分離一方及び他方のC字基部間に落し錠設置スペースをなす中空部を形成してなることを特徴とする横引きシャッターの連結枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−68305(P2009−68305A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240587(P2007−240587)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(000107882)スワン商事株式会社 (6)