横縞形SOFCスタック
【課題】電流折り返し構造をもつ横縞形SOFCスタックを得る。
【解決手段】内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が基板の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とする。
【解決手段】内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が基板の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットチューブ型の横縞形SOFCスタックに関し、より具体的には、内部に燃料流路または空気流路を有する中空扁平状の多孔質電気絶縁性基体の相対する一対の表裏両面にSOFCセルの複数個を横縞状に配置してなる横縞形SOFCスタックに関する。
【0002】
本明細書、特許請求の範囲及び図面において、固体酸化物形燃料電池を適宜“SOFC”と略称し、フラットチューブ型の横縞形固体酸化物形燃料電池を適宜“中空扁平横縞形SOFC”、“横縞形SOFC”等と指称する。
【背景技術】
【0003】
横縞形SOFCは、固体酸化物からなる電解質材料を挟んで活性燃料極層と空気極層とを配するとともに、適宜、集電燃料極層や第2集電層を配して構成されたセルの複数個を横縞状に配置するタイプの固体酸化物形燃料電池である。横縞形SOFCには特許文献1に記載のような円筒タイプや特許文献2に記載のような中空扁平タイプなどの方式がある。
【0004】
SOFCの運転時には、燃料極層側に燃料を通し、空気極層側に空気、酸素等の酸化剤ガス(以下、代表して適宜“空気”と言う。)を通して、両電極を外部負荷に接続することで電力が得られる。ところが、単電池一つでは高々0.7〜0.8V程度の電圧しか得られないので、実用的な電力を得るためには複数の単電池(セル)を電気的に直列に接続する必要がある。
【0005】
中空扁平横縞形SOFCでは、中空扁平状の、多孔質で電気絶縁性の基体すなわち電気絶縁性基体の扁平面すなわち相対する一対の表裏両面にそれぞれ複数のセルを横縞状に配置し、隣接するセルをインターコネクタにより電気的に接続することで構成される。中空扁平状電気絶縁性基体の中空部は、当該基体の内部に形成され、通常その一端の開口から他端の開口に向けて燃料または空気を流通させるガス流路となる。ガス流路は燃料を流通させる場合には燃料流路となり、空気を流通させる場合には空気流路となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−003932号公報
【特許文献2】特開2006−019059号公報
【特許文献3】特開2008−059793号公報
【特許文献4】特開2009−176701号公報
【0007】
〈従来の技術〉
中空扁平横縞形SOFCにおいては、その表面及び裏面にガス流路のガスの流れ方向にそれぞれ間隔を置いて複数のセルを配置するが、その際、一方の面、例えば表面のセル列から他方の面すなわち裏面のセル列へ電流を折り返す必要がある。図11は一例として特許文献3に記載の電流折り返しの形状、構造を説明する図である。
【0008】
図11の例では、図11(b)に記載のとおり、SOFCスタックの先端部でアノードにより電流を折り返している。図11(a)〜(b)のうち図11(a)は、中空扁平横縞形SOFCセルの構造を示す一部破断の斜視図であり、図11(b)はその先端部のセル表面図および裏面図である。この燃料電池セル1は、中空扁平状(中空平板状)の電気絶縁性の多孔質支持体11(以下、絶縁支持体11という)の対向する両面に、複数の発電素子13を絶縁支持体11の軸長方向に沿って複数個配置し、それらを素子間接続部材17を介して直列に接続したものである。
【0009】
発電素子13は、絶縁支持体11の対向する表面および裏面にそれぞれ複数形成されている。図11(a)〜(b)中、13aは活性燃料極層、13bは固体電解質、13cは空気極層である。素子間接続部材(インターコネクタ)17は、隣接する発電素子13同士を直列に接続するためのもので、第1集電層17a及び 第2集電層17bからなり、一方の発電素子13の活性燃料極層13aと他方の発電素子13の空気極13cとを接続する。これらは導電性セラミックスから形成され、特に第1集電層17aは燃料ガス(水素)及び空気等の酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。
【0010】
〈従来技術の問題点〉
中空扁平横縞形SOFCスタックは、スタックの表裏両面にセルを形成できるメリットがある。この横縞形SOFCスタックの場合、表裏両面で発電を行うので、表面と裏面とを電気的に接続する必要がある。通常は、特許文献3に記載のように金属のリングにより電流の折り返しが行われるが、特許文献4に記載のように、燃料極により電流を折り返すことも、導電体を外部に露出させないために行われている。
また、図12は横縞形SOFCセルの両側電流折り返しに係る他の従来技術を示す図である。図12の例では、符号41、42として示すように、電位ロスを最小限にするために、両側(両端)に設けた導電体により電流折り返しを行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
SOFCセルを基板上に大量に(多数)形成する方法として、まずシート上にセルを印刷して、それを基板に巻き付ける方法がある。この方法を採用する場合、シートの終端側は分離しているので、片側のみで電流を折り返さなくてはならない。片側のみで電流を折り返すと、流れる電流密度は2倍になり、しかも電流を流さなければならない距離が長くなるために、電位ロスが大きくなる。
【0012】
また、大電力を発電するためにSOFCスタックを大型化する(幅広にする)と、電流を流す距離がさらに長くなるために、電位ロスもさらに大きくなる。このように、従来、電流を片側で折り返す場合、電位ロスが大きくなるという課題があった。
本発明は、フラットチューブ型の横縞形SOFCに関し、それらの課題を解決してなる、その電流の折り返し構造を提供することを目的とするものある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明(1)は、
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0014】
本発明(2)は、
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0015】
本発明(3)は、
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0016】
本発明(4)は、
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0017】
本発明(5)は、
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0018】
本発明(6)は、
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0019】
本発明(7)は、
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0020】
本発明(8)は、
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【発明の効果】
【0021】
(1)標準的なサイズのSOFCスタックについて、本発明のセル形状による電位ロスを推定したところ、本発明のセル形状による片方電流折り返しによる電位ロスは、従来のセル形状による両端電位折り返しによる電位ロスに比べて、発電効率で4ポイント(4%)程度電位ロスが低下することが判明した。より詳しくは、電流折り返し部がスタック性能に与える影響について検討した結果、従来の方法による電流折り返し技術と比較して(両面折り返し幅を全セル高さの約1/18として計算)、本発明(片面の折り返し幅を全セル高さの約1/2として計算)による発電効率は、他の条件如何にもよるが、約4ポイント高い効率が得られる可能性があることがわかった。
【0022】
(2)さらに、本発明によれば、各SOFCセルの長手方向が燃料の流れてくる方向に向いているため、副次的な効果、メリットとして、燃料枯れに対するロバスト(Robust)性を向上できるメリットもある。本発明の先端セルの燃料の最上流点は、他のセルと重なる上流側位置にあるので、先端セルのみに燃料不足が集中するのを避けられるために、燃料枯れに対するロバスト性を高めることができる。
【0023】
(3)また、本発明によれば、片方のみ電流折り返しを行う形状のため、副次的な効果、メリットとして、印刷法で1枚のシートを作製して支持体に巻き付けることが可能であり、大量生産に向いている。製造時に容易に印刷法を適用できるので、製造コストを抑えることが可能である。
(4)さらに、本発明によれば、スタック幅を広げても電流折り返しによるロスを小さく抑えられるために、副次的な効果、メリットとして、幅の広いスタックが実現可能である。幅の広いスタックが実現できれば、スタック数を減らすことが可能であり、また、それらを構成するバンドル数も減らすことが可能なので、全体のコストを抑えることができる。
【0024】
(5)本発明に係る改良したSOFCセル形状によるスタックの基本構成を組み合わせることにより、自由なスタック配置が可能となる。特にスタック幅が広い場合には、本発明によりスタック配置の自由度を高められるメリットが大きい。
SOFCスタックは長期間運転する装置であることを考慮すると本発明におけるそれらの効果は明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返し構造を説明する図である。
【図2】本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返し構造を説明する図である。
【図3】本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返し構造を説明する図である。
【図4】図1〜3中“X……X線”断面図である。
【図5】図1〜3中“Y……Y線”断面図である。
【図6】電流をセルとして発電しつつ折り返す構造を説明する図である。
【図7】電流を第2集電層あるいは第2集電層および空気極で折り返す構造を説明する図である(例として、電流を第2集電層により折り返す構造を示す)。
【図8】本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返し構造に係る扁平状絶縁性支持体を説明する図である。
【図9】図1に示す本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返しで構成され、斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックを示す図(斜視図)である。
【図10】本発明の横縞形SOFCスタックの製造例を説明する図である。
【図11】従来のフラットチューブ型の横縞形SOFCの構造(斜視図)、その先端部のセル表面図、裏面図等を示す図である。
【図12】従来の横縞形SOFCセル(両側電流折り返し)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明(1)は、(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする。
【0027】
本発明(2)は、(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0028】
本発明(3)は、(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0029】
本発明(4)は、(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0030】
本発明(5)は、(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする。
【0031】
本発明(6)は、(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0032】
本発明(7)は、(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0033】
本発明(8)は、(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0034】
以下、本発明(1)〜(8)について、本発明に至るまでの経過を含めて順次説明する。本発明(1)〜(4)では多孔質の電気絶縁性基体内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路を備えるが、多孔質の電気絶縁性基体内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路を備える本発明(5)〜(8)についても同様である。
【0035】
まず、大量生産に向いたシート上に印刷したSOFCセルを貼り付ける場合のように、電流を片側で折り返す場合の電位ロスを小さくする方法如何について検討した。
すなわち、フラットチューブ型横縞形SOFCスタックつまり中空扁平状の横縞形SOFCスタックにおいては、ユニット構造の簡略化等のために電流折り返しが行われるが、その折り返し構造如何により電位低下の原因となる可能性がある。そこで、電流折り返しにより電位低下を小さくする方法について検討した。
【0036】
電流を片側で折り返す場合の電位ロスを小さくする、すなわち電流折り返しによる性能低下を防ぐ手法としては、(a)高い導電性の材料を使う、(b)導電体を厚くする、(c)導電体の幅を広くする、すなわち電流折り返し部の幅を広げるなどが必要である。そのうち(a)の高い電気伝導性の材料については、SOFCの使用環境の過酷さや、熱膨張の一致性、他材料との反応性等の課題を考慮すると、材料の変更は容易ではない。
【0037】
また、(b)の導電体を厚くすることについては、製造上の困難度が増して歩留まりが下がる可能性が高いので採用するのは困難である。すなわち、電流折り返しのための導電体を厚くすると製造上困難となり、セルの歩留まりを大幅に悪化させてしまう可能性が高い。そのため、本発明者らは(c)の導電体の幅を広くする方法について検討した。
【0038】
ところで、通常、SOFCスタックは発電に必要な最小限の大きさに抑えられるので、電流を流すために導電体の幅を広げるスペースはない。それゆえ、SOFCセルを利用した電流折り返し技術についてさらに検討を進め、折り返し部の幅を広げる方法について検討した。その結果、本発明に到達したものである。
【0039】
まず、通常、スタック先端の余白は限られているため、単純に折り返し部の幅を広げることはできない。そこで、セルの形状自体を変えて、セル全体として電流を折り返す方法を検討し、図1〜3に示すように片方の端面のみにセル全体に幅広く電流を折り返す構造を考えた。電流折り返しを片面にすると電位低下は大きくなるが、折り返し幅を顕著に大きくすることで、電位低下を低減させることが可能である。
【0040】
図1〜7は、本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返し構造を説明する図である。図4は、図1〜3中“X−X線”断面図であり、図5は、図1〜3中“Y−Y線”断面図である。図6は、電流をセルとして発電しつつ折り返す構造を説明する図である。図7は、電流を第2集電層あるいは第2集電層および空気極で折り返す構造を説明する図であり、その例として、電流を第2集電層により折り返す構造を示している。
【0041】
〈本発明(1)〜(4)に共通するセル構造について〉
本発明(1)〜(4)に係る横縞形SOFCスタックのセル構造は、図1〜7のとおり、下記(a)〜(d)の構造を有する点で共通する。本発明(1)〜(4)のうち、本発明(1)は(a)〜(d)の構成を有する横縞形SOFCスタックである。
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有すること、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置されていること、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなること、そして、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が基板の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすること。
【0042】
図1〜3のとおり、燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対のSOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成する。ここで、「斜めの形状」とは“セルの形状を、燃料の流れる方向に対して垂直な方向(90度傾いた方向)に対して、斜めに傾いた(平行でない)線により構成される形状”を意味する。この構成とともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が基板の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とする。
【0043】
それらのセル形状のうち、図1に示すセル形状は、斜めの形状のうちでも、末広がり状の形状であり、図2に示すセル形状は、斜めの形状のうちでも、凹多角形による折り返し形状であり、図3に示すセル形状は、四角形による折り返し形状である。セル形状はそれら例示の形状のほか、各種形状で構成することができる。
なお、図1〜3は、内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路を有する本発明(1)〜(4)に係る態様であるので、それら図中、セル1〜16として示す部分は空気極側が見えることになるが、図1〜3では空気極の記載は省略している。
【0044】
本発明(1)に係る、電気絶縁性基体の内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路を有する態様では、後述図9に示すように、ガス流路12に燃料ガスを流すことになる。これを、図9が対応する図1で言えば、図1中、下端面側が燃料ガス流路12への燃料ガス供給側となり、上端面側が利用済み燃料排出側となる。そして、燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路の方向が電気絶縁性基体の長さ方向に相当している。この点、本発明(2)〜(4)に係る態様についても同様である。
【0045】
〈本発明(2)について〉
本発明(2)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて、“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0046】
〈本発明(3)について〉
本発明(3)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて、“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0047】
〈本発明(4)について〉
本発明(4)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて、“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、第2集電層あるいは、第2集電層および空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0048】
〈電流を裏面へと折り返す構造について(その1〜その3)〉
図5〜8は、片側電流折り返し構造つまり電流を裏面へと折り返す構造について説明する図であり、そのうち図8は、片側電流折り返し構造に係る扁平状絶縁性支持体すなわち片側電流折り返し構造が配置される扁平状絶縁性支持体を説明する図である。
【0049】
〈その1:集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層で折り返す構造〉
図5は、電流を燃料極で裏面へと折り返す構造を説明する図で、電流折り返し部を含む部分の断面を示している。本発明(2)では、電流を集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層で裏面へ折り返すが、図5中“電流折り返し部”として示すとおり、電流を集電燃料極層23および活性燃料極層13aで折り返す構造を示している。
【0050】
このように、集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層で折り返す構造を持つシートを、図8に示すような絶縁性支持体11の外面に配置することにより横縞形SOFCスタックを構成する。より具体的には、図1中、おもて面と裏面との間の境界領域すなわち“50:電流折り返し部(領域)”として示す部分を含む境界領域を中心軸として折曲げて絶縁性支持体11の外面に配置することにより横縞形SOFCスタックを構成する。
【0051】
〈斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックの例〉
こうして構成した横縞形SOFCスタックの斜視図、すなわち本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返しで構成され、斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックを斜視図として図9に示している。図9(a)はおもて面側の斜視図、図9(b)は裏面側の斜視図である。すなわち、図9に、図1に示す本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返しで構成され、斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックを示している。ガス流路12は、その流路に燃料ガスを流す場合は燃料ガス流路となり、酸化剤ガスを流す場合は酸化剤ガス流路となる。
【0052】
図2〜3に示す斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックについても同様となる。すなわち、図2〜3に示す本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返しで構成され、斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックについても、構成された“斜めの形状”が異なる点を除き、同様となる。
【0053】
絶縁性支持体11に空気が流れるケースの集電層(第2集電層あるいは、第2集電層および空気極層)による電流の折り返しは、基本的に図5と同じ構造となる。図5で言えば、活性燃料極層および集電燃料極層と空気極および第2集電層との位置が入れ替わった構造である(つまり上下反対位置となる)。この場合、第2集電層だけでもよく、第2集電層と空気極層の両方を付けて(配置して)もよい。
【0054】
〈その2:SOFCセルとして発電しつつ電流を裏面に折り返す構造〉
図6は、電流をセルで裏面へと折り返す構造を説明する図で、電流折り返し部を含む部分の断面を示している。本発明(3)では、電流をSOFCセルで裏面へ折り返すが、図6中“電流折り返し部”として示すとおり、電流を活性燃料極層13a、固体電解質層13b、空気極13cを含むSOFCセルで折り返す構造を示している。
【0055】
絶縁性支持体11に空気が流れるケースのセルによる電流の折り返し構造は、基本的に図6と同じ構造となる。図6で言えば、活性燃料極層および集電燃料極層と空気極および第2集電層との位置が入れ替わった構造である(つまり上下反対位置となる)。
【0056】
〈その3:電流を第2集電層あるいは、第2集電層および空気極で折り返す構造〉
図7は、電流を第2集電層あるいは、第2集電層および空気極で折り返す構造を説明する図で、電流折り返し部を含む部分の断面を示している。本発明(4)では、電流を第2集電層あるいは、第2集電層および空気極で裏面へ折り返すが、図7中“電流折り返し部”として示すとおり、電流を第2集電層17bで折り返す構造を示している。なお、固体電解質層はこの場合実質的に電気絶縁性であるので電流の折り返しには関与しない。
【0057】
絶縁性支持体11に空気が流れるケースの燃料極(集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層)による電流の折り返しは、基本的に図7と同じ構造となる。図7で言えば、活性燃料極層および集電燃料極層と空気極および第2集電層との位置が入れ替わった構造である(つまり上下反対位置となる)。この場合、集電燃料極層だけでもよく、集電燃料極層と活性燃料極層の両方を付けて(配置して)もよい。
【0058】
〈本発明(5)〜(8)に共通するセル構造について〉
本発明(5)〜(8)に係る横縞形SOFCスタックのセル構造は、下記(a)〜(d)の構成を有する点で共通する。本発明(5)〜(8)のうち、本発明(5)は(a)〜(d)の構成を有する横縞形SOFCスタックである。
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有すること、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置されていること、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなること、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が基板の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすること。
【0059】
〈本発明(6)について〉
本発明(6)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて、“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、第2集電層あるいは、第2集電層および空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0060】
〈本発明(7)について〉
本発明(7)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて、“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0061】
〈本発明(8)について〉
本発明(8)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0062】
〈製造方法〉
以下、本発明に係るSOFCスタックのセル構造の製造例について説明する。図8、図10は、本発明のセル構造の製造例を説明する図である。SOFCセルと絶縁性支持体とを別個に作製し、絶縁性支持体にSOFCセルを配置する態様や、絶縁性支持体にSOFCセルを形成する態様などがあるが、ここでは絶縁性支持体にSOFCセルを形成する場合の製造例を説明する。
【0063】
本発明(1)〜(4)における(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が基板の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造は、特許文献3に記載の横縞形電池セルの作製と同様にして作製することができる。本発明(5)〜(8)についても、活性燃料極層および集電燃料極層と空気極および第2集電層との位置が入れ替わる以外は、同様である。
【0064】
まず、絶縁支持体成形体11を作製する。図8、図10中符号11で示す部材である。絶縁支持体成形体11の材料として、例えば、体積基準での平均粒径(D50)(以下、単に「平均粒径」という。)が0.1〜10.0μmのMgO粉末に、必要により熱膨張係数調整用または接合強度向上用として、Ni粉末、NiO粉末、Y2O3粉末、または、希土類元素安定化ジルコニア粉末(YSZ)などを所定の比率で配合して混合し、混合後の熱膨張係数が固体電解質13bのそれとほぼ一致するように調整する。
【0065】
この混合粉末を、ポアー剤と、セルロース系有機バインダーと、水とからなる溶媒と混合し、押し出し成形して、図8、図10に示すように、内部にガス流路(燃料流路)12を有する中空の板状形状で、扁平状の絶縁支持体成形体11を作製し、これを乾燥後、900℃〜1100℃にて仮焼処理する。なお、内部に空気流路を有する横縞形SOFCスタックの場合には、ガス流路12は空気流路となる。
【0066】
次いで、燃料極層、固体電解質を作製する。まず、例えば、NiO粉末、Ni粉末と、YSZ粉末とを混合し、これにポアー剤を添加し、アクリル系バインダーとトルエンとを混合してスラリーとし、ドクターブレード法にてスラリーを塗布して乾燥し、厚さ50〜60μmの活性燃料極層テープ13aを作製する〔図10(a)〕。
【0067】
次に、活性燃料極層テープ13aと同様にして、例えば、NiO粉末、Ni粉末と、Y2O3などの希土類元素酸化物とを混合し、これにポアー剤を添加し、アクリル系バインダーとトルエンとを混合してスラリーとし、ドクターブレード法にてスラリーを塗布して乾燥し、厚さ50〜60μmの集電燃料極層テープ23を作製する。この集電燃料極層テープ23に前記活性燃料極層テープ13aを貼り付ける〔図10(b)〕。当該貼り合わせたテープを発電素子13の形状にあわせて切断し、絶縁部を形成する部分を打ち抜く〔図10(c)〕。
【0068】
その後、図10(d)に示すように、活性燃料極層テープ13aが貼り付けられた集電燃料極層テープ23を、前記仮焼した絶縁支持体成形体11に、横縞状に貼り付ける。これを繰り返し行い、絶縁支持体成形体11の表面に複数の集電燃料極層テープ23を貼り付ける。なお、このとき一方の集電燃料極層テープ23と、他方の集電燃料極層テープ23とは、幅3〜20mmの間隔をあけて配置する。そして、一方のセル先端部では活性燃料極層テープ13aが貼り付けられた集電燃料極層テープ23を対向面間接続部材として、10mmの幅で絶縁支持体11の表面を周回して貼り付ける。
【0069】
次に、この活性燃料極層テープ13a、集電燃料極層テープ23を貼り付けた状態で乾燥し、その後、900〜1100℃の温度範囲で仮焼する〔図10(d)〕。そして、活性燃料極層13aの第1集電層17aを形成したい部分に、マスキングテープ21を貼り付ける〔図10(e)〕。
【0070】
次に、この積層体を、8YSZにアクリル系バインダーとトルエンを加えてスラリーとした固体電解質溶液に漬けて、固体電解質溶液から取り出す。このディップにより、全面に固体電解質13bの層が塗布されるとともに、前記図10(c)で打ち抜いた空間にも絶縁体である固体電解質13bが充填される。
この状態で、1150〜1200℃、2〜4時間仮焼する。この仮焼中に、マスキングテープ21とその上に塗布された固体電解質13bの層を除去することができる〔図10(f)〕。
【0071】
次に、ランタンクロマイト(LaCrO3)とイソプロピルアルコールとを混合したスラリーを印刷し、厚さ10〜100μmの空気極層13cを形成する。そして、950〜1150℃、2〜5時間焼き付ける〔図10(g)〕。
そして、第1集電層17aを形成したい部分にAg/Niからなる金属層のシートを貼り付け、さらにAgとガラスを含む金属ガラス層のシートを貼り付けて〔図10(g)〕、その後、1000〜1200℃で熱処理を行う。
最後に、第2集電層17bを所定位置に塗布して、横縞形燃料電池セルを得ることができる〔図10(h)〕。
【0072】
なお、前記した各層の積層方法については、テープ積層、ペースト印刷、ディップ、および、スプレー吹きつけのいずれの積層法を用いてもよい。好ましくは、積層時の乾燥工程が短時間であり、工程の短時間化の観点から、ディップにより各層を積層する。
また、上記製造工程では、電気絶縁性支持体成形体11の表面に複数の集電燃料極層テープ23を貼り付けているが、複数の集電燃料極層と電解質層とを一体化したテープを絶縁支持体成形体11の表面に巻き付けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明を家庭用SOFCコージェネレーションシステムへ応用すれば、性能向上やロバスト性向上が可能である。それにより、高い効率での発電が可能となり、かつ長期間に亘って安全に且つ安定的に動作することが可能となる。また、本発明は大量生産に向いた製造プロセスに適しているために低コスト化が可能であり、SOFCの普及拡大が期待できる。このように、高い発電効率で安定的に動作するシステムが幅広く普及される結果、化石エネルギーの利用を減らすことができる。これにより省エネルギーを達成することができ、かつ二酸化炭素の排出量を減らすことができることから、地球環境の向上に寄与し貢献することができる。
【符号の説明】
【0074】
11、51 電気絶縁性基体(中空扁平状の電気絶縁性の多孔質支持体)
12 ガス流路
13 SOFCセル
13a 活性燃料極層
13b 電解質層
13c 空気極層
17a 第1集電層
17b 第2集電層
23 集電燃料極層
IC インターコネクタ
40 スペーサー
41、42 両側(両端)に設けた導電体により電流折り返し部(従来技術)
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットチューブ型の横縞形SOFCスタックに関し、より具体的には、内部に燃料流路または空気流路を有する中空扁平状の多孔質電気絶縁性基体の相対する一対の表裏両面にSOFCセルの複数個を横縞状に配置してなる横縞形SOFCスタックに関する。
【0002】
本明細書、特許請求の範囲及び図面において、固体酸化物形燃料電池を適宜“SOFC”と略称し、フラットチューブ型の横縞形固体酸化物形燃料電池を適宜“中空扁平横縞形SOFC”、“横縞形SOFC”等と指称する。
【背景技術】
【0003】
横縞形SOFCは、固体酸化物からなる電解質材料を挟んで活性燃料極層と空気極層とを配するとともに、適宜、集電燃料極層や第2集電層を配して構成されたセルの複数個を横縞状に配置するタイプの固体酸化物形燃料電池である。横縞形SOFCには特許文献1に記載のような円筒タイプや特許文献2に記載のような中空扁平タイプなどの方式がある。
【0004】
SOFCの運転時には、燃料極層側に燃料を通し、空気極層側に空気、酸素等の酸化剤ガス(以下、代表して適宜“空気”と言う。)を通して、両電極を外部負荷に接続することで電力が得られる。ところが、単電池一つでは高々0.7〜0.8V程度の電圧しか得られないので、実用的な電力を得るためには複数の単電池(セル)を電気的に直列に接続する必要がある。
【0005】
中空扁平横縞形SOFCでは、中空扁平状の、多孔質で電気絶縁性の基体すなわち電気絶縁性基体の扁平面すなわち相対する一対の表裏両面にそれぞれ複数のセルを横縞状に配置し、隣接するセルをインターコネクタにより電気的に接続することで構成される。中空扁平状電気絶縁性基体の中空部は、当該基体の内部に形成され、通常その一端の開口から他端の開口に向けて燃料または空気を流通させるガス流路となる。ガス流路は燃料を流通させる場合には燃料流路となり、空気を流通させる場合には空気流路となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−003932号公報
【特許文献2】特開2006−019059号公報
【特許文献3】特開2008−059793号公報
【特許文献4】特開2009−176701号公報
【0007】
〈従来の技術〉
中空扁平横縞形SOFCにおいては、その表面及び裏面にガス流路のガスの流れ方向にそれぞれ間隔を置いて複数のセルを配置するが、その際、一方の面、例えば表面のセル列から他方の面すなわち裏面のセル列へ電流を折り返す必要がある。図11は一例として特許文献3に記載の電流折り返しの形状、構造を説明する図である。
【0008】
図11の例では、図11(b)に記載のとおり、SOFCスタックの先端部でアノードにより電流を折り返している。図11(a)〜(b)のうち図11(a)は、中空扁平横縞形SOFCセルの構造を示す一部破断の斜視図であり、図11(b)はその先端部のセル表面図および裏面図である。この燃料電池セル1は、中空扁平状(中空平板状)の電気絶縁性の多孔質支持体11(以下、絶縁支持体11という)の対向する両面に、複数の発電素子13を絶縁支持体11の軸長方向に沿って複数個配置し、それらを素子間接続部材17を介して直列に接続したものである。
【0009】
発電素子13は、絶縁支持体11の対向する表面および裏面にそれぞれ複数形成されている。図11(a)〜(b)中、13aは活性燃料極層、13bは固体電解質、13cは空気極層である。素子間接続部材(インターコネクタ)17は、隣接する発電素子13同士を直列に接続するためのもので、第1集電層17a及び 第2集電層17bからなり、一方の発電素子13の活性燃料極層13aと他方の発電素子13の空気極13cとを接続する。これらは導電性セラミックスから形成され、特に第1集電層17aは燃料ガス(水素)及び空気等の酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。
【0010】
〈従来技術の問題点〉
中空扁平横縞形SOFCスタックは、スタックの表裏両面にセルを形成できるメリットがある。この横縞形SOFCスタックの場合、表裏両面で発電を行うので、表面と裏面とを電気的に接続する必要がある。通常は、特許文献3に記載のように金属のリングにより電流の折り返しが行われるが、特許文献4に記載のように、燃料極により電流を折り返すことも、導電体を外部に露出させないために行われている。
また、図12は横縞形SOFCセルの両側電流折り返しに係る他の従来技術を示す図である。図12の例では、符号41、42として示すように、電位ロスを最小限にするために、両側(両端)に設けた導電体により電流折り返しを行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
SOFCセルを基板上に大量に(多数)形成する方法として、まずシート上にセルを印刷して、それを基板に巻き付ける方法がある。この方法を採用する場合、シートの終端側は分離しているので、片側のみで電流を折り返さなくてはならない。片側のみで電流を折り返すと、流れる電流密度は2倍になり、しかも電流を流さなければならない距離が長くなるために、電位ロスが大きくなる。
【0012】
また、大電力を発電するためにSOFCスタックを大型化する(幅広にする)と、電流を流す距離がさらに長くなるために、電位ロスもさらに大きくなる。このように、従来、電流を片側で折り返す場合、電位ロスが大きくなるという課題があった。
本発明は、フラットチューブ型の横縞形SOFCに関し、それらの課題を解決してなる、その電流の折り返し構造を提供することを目的とするものある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明(1)は、
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0014】
本発明(2)は、
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0015】
本発明(3)は、
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0016】
本発明(4)は、
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0017】
本発明(5)は、
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0018】
本発明(6)は、
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0019】
本発明(7)は、
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【0020】
本発明(8)は、
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタックである。
【発明の効果】
【0021】
(1)標準的なサイズのSOFCスタックについて、本発明のセル形状による電位ロスを推定したところ、本発明のセル形状による片方電流折り返しによる電位ロスは、従来のセル形状による両端電位折り返しによる電位ロスに比べて、発電効率で4ポイント(4%)程度電位ロスが低下することが判明した。より詳しくは、電流折り返し部がスタック性能に与える影響について検討した結果、従来の方法による電流折り返し技術と比較して(両面折り返し幅を全セル高さの約1/18として計算)、本発明(片面の折り返し幅を全セル高さの約1/2として計算)による発電効率は、他の条件如何にもよるが、約4ポイント高い効率が得られる可能性があることがわかった。
【0022】
(2)さらに、本発明によれば、各SOFCセルの長手方向が燃料の流れてくる方向に向いているため、副次的な効果、メリットとして、燃料枯れに対するロバスト(Robust)性を向上できるメリットもある。本発明の先端セルの燃料の最上流点は、他のセルと重なる上流側位置にあるので、先端セルのみに燃料不足が集中するのを避けられるために、燃料枯れに対するロバスト性を高めることができる。
【0023】
(3)また、本発明によれば、片方のみ電流折り返しを行う形状のため、副次的な効果、メリットとして、印刷法で1枚のシートを作製して支持体に巻き付けることが可能であり、大量生産に向いている。製造時に容易に印刷法を適用できるので、製造コストを抑えることが可能である。
(4)さらに、本発明によれば、スタック幅を広げても電流折り返しによるロスを小さく抑えられるために、副次的な効果、メリットとして、幅の広いスタックが実現可能である。幅の広いスタックが実現できれば、スタック数を減らすことが可能であり、また、それらを構成するバンドル数も減らすことが可能なので、全体のコストを抑えることができる。
【0024】
(5)本発明に係る改良したSOFCセル形状によるスタックの基本構成を組み合わせることにより、自由なスタック配置が可能となる。特にスタック幅が広い場合には、本発明によりスタック配置の自由度を高められるメリットが大きい。
SOFCスタックは長期間運転する装置であることを考慮すると本発明におけるそれらの効果は明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返し構造を説明する図である。
【図2】本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返し構造を説明する図である。
【図3】本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返し構造を説明する図である。
【図4】図1〜3中“X……X線”断面図である。
【図5】図1〜3中“Y……Y線”断面図である。
【図6】電流をセルとして発電しつつ折り返す構造を説明する図である。
【図7】電流を第2集電層あるいは第2集電層および空気極で折り返す構造を説明する図である(例として、電流を第2集電層により折り返す構造を示す)。
【図8】本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返し構造に係る扁平状絶縁性支持体を説明する図である。
【図9】図1に示す本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返しで構成され、斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックを示す図(斜視図)である。
【図10】本発明の横縞形SOFCスタックの製造例を説明する図である。
【図11】従来のフラットチューブ型の横縞形SOFCの構造(斜視図)、その先端部のセル表面図、裏面図等を示す図である。
【図12】従来の横縞形SOFCセル(両側電流折り返し)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明(1)は、(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする。
【0027】
本発明(2)は、(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0028】
本発明(3)は、(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0029】
本発明(4)は、(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0030】
本発明(5)は、(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする。
【0031】
本発明(6)は、(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0032】
本発明(7)は、(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0033】
本発明(8)は、(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックである。そして、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする。
【0034】
以下、本発明(1)〜(8)について、本発明に至るまでの経過を含めて順次説明する。本発明(1)〜(4)では多孔質の電気絶縁性基体内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路を備えるが、多孔質の電気絶縁性基体内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路を備える本発明(5)〜(8)についても同様である。
【0035】
まず、大量生産に向いたシート上に印刷したSOFCセルを貼り付ける場合のように、電流を片側で折り返す場合の電位ロスを小さくする方法如何について検討した。
すなわち、フラットチューブ型横縞形SOFCスタックつまり中空扁平状の横縞形SOFCスタックにおいては、ユニット構造の簡略化等のために電流折り返しが行われるが、その折り返し構造如何により電位低下の原因となる可能性がある。そこで、電流折り返しにより電位低下を小さくする方法について検討した。
【0036】
電流を片側で折り返す場合の電位ロスを小さくする、すなわち電流折り返しによる性能低下を防ぐ手法としては、(a)高い導電性の材料を使う、(b)導電体を厚くする、(c)導電体の幅を広くする、すなわち電流折り返し部の幅を広げるなどが必要である。そのうち(a)の高い電気伝導性の材料については、SOFCの使用環境の過酷さや、熱膨張の一致性、他材料との反応性等の課題を考慮すると、材料の変更は容易ではない。
【0037】
また、(b)の導電体を厚くすることについては、製造上の困難度が増して歩留まりが下がる可能性が高いので採用するのは困難である。すなわち、電流折り返しのための導電体を厚くすると製造上困難となり、セルの歩留まりを大幅に悪化させてしまう可能性が高い。そのため、本発明者らは(c)の導電体の幅を広くする方法について検討した。
【0038】
ところで、通常、SOFCスタックは発電に必要な最小限の大きさに抑えられるので、電流を流すために導電体の幅を広げるスペースはない。それゆえ、SOFCセルを利用した電流折り返し技術についてさらに検討を進め、折り返し部の幅を広げる方法について検討した。その結果、本発明に到達したものである。
【0039】
まず、通常、スタック先端の余白は限られているため、単純に折り返し部の幅を広げることはできない。そこで、セルの形状自体を変えて、セル全体として電流を折り返す方法を検討し、図1〜3に示すように片方の端面のみにセル全体に幅広く電流を折り返す構造を考えた。電流折り返しを片面にすると電位低下は大きくなるが、折り返し幅を顕著に大きくすることで、電位低下を低減させることが可能である。
【0040】
図1〜7は、本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返し構造を説明する図である。図4は、図1〜3中“X−X線”断面図であり、図5は、図1〜3中“Y−Y線”断面図である。図6は、電流をセルとして発電しつつ折り返す構造を説明する図である。図7は、電流を第2集電層あるいは第2集電層および空気極で折り返す構造を説明する図であり、その例として、電流を第2集電層により折り返す構造を示している。
【0041】
〈本発明(1)〜(4)に共通するセル構造について〉
本発明(1)〜(4)に係る横縞形SOFCスタックのセル構造は、図1〜7のとおり、下記(a)〜(d)の構造を有する点で共通する。本発明(1)〜(4)のうち、本発明(1)は(a)〜(d)の構成を有する横縞形SOFCスタックである。
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有すること、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置されていること、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなること、そして、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が基板の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすること。
【0042】
図1〜3のとおり、燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対のSOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成する。ここで、「斜めの形状」とは“セルの形状を、燃料の流れる方向に対して垂直な方向(90度傾いた方向)に対して、斜めに傾いた(平行でない)線により構成される形状”を意味する。この構成とともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が基板の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とする。
【0043】
それらのセル形状のうち、図1に示すセル形状は、斜めの形状のうちでも、末広がり状の形状であり、図2に示すセル形状は、斜めの形状のうちでも、凹多角形による折り返し形状であり、図3に示すセル形状は、四角形による折り返し形状である。セル形状はそれら例示の形状のほか、各種形状で構成することができる。
なお、図1〜3は、内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路を有する本発明(1)〜(4)に係る態様であるので、それら図中、セル1〜16として示す部分は空気極側が見えることになるが、図1〜3では空気極の記載は省略している。
【0044】
本発明(1)に係る、電気絶縁性基体の内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路を有する態様では、後述図9に示すように、ガス流路12に燃料ガスを流すことになる。これを、図9が対応する図1で言えば、図1中、下端面側が燃料ガス流路12への燃料ガス供給側となり、上端面側が利用済み燃料排出側となる。そして、燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路の方向が電気絶縁性基体の長さ方向に相当している。この点、本発明(2)〜(4)に係る態様についても同様である。
【0045】
〈本発明(2)について〉
本発明(2)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて、“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0046】
〈本発明(3)について〉
本発明(3)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて、“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0047】
〈本発明(4)について〉
本発明(4)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて、“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、第2集電層あるいは、第2集電層および空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0048】
〈電流を裏面へと折り返す構造について(その1〜その3)〉
図5〜8は、片側電流折り返し構造つまり電流を裏面へと折り返す構造について説明する図であり、そのうち図8は、片側電流折り返し構造に係る扁平状絶縁性支持体すなわち片側電流折り返し構造が配置される扁平状絶縁性支持体を説明する図である。
【0049】
〈その1:集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層で折り返す構造〉
図5は、電流を燃料極で裏面へと折り返す構造を説明する図で、電流折り返し部を含む部分の断面を示している。本発明(2)では、電流を集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層で裏面へ折り返すが、図5中“電流折り返し部”として示すとおり、電流を集電燃料極層23および活性燃料極層13aで折り返す構造を示している。
【0050】
このように、集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層で折り返す構造を持つシートを、図8に示すような絶縁性支持体11の外面に配置することにより横縞形SOFCスタックを構成する。より具体的には、図1中、おもて面と裏面との間の境界領域すなわち“50:電流折り返し部(領域)”として示す部分を含む境界領域を中心軸として折曲げて絶縁性支持体11の外面に配置することにより横縞形SOFCスタックを構成する。
【0051】
〈斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックの例〉
こうして構成した横縞形SOFCスタックの斜視図、すなわち本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返しで構成され、斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックを斜視図として図9に示している。図9(a)はおもて面側の斜視図、図9(b)は裏面側の斜視図である。すなわち、図9に、図1に示す本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返しで構成され、斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックを示している。ガス流路12は、その流路に燃料ガスを流す場合は燃料ガス流路となり、酸化剤ガスを流す場合は酸化剤ガス流路となる。
【0052】
図2〜3に示す斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックについても同様となる。すなわち、図2〜3に示す本発明の横縞形SOFCの片側電流折り返しで構成され、斜めの形状に構成されたSOFCセルを持つ横縞形SOFCスタックについても、構成された“斜めの形状”が異なる点を除き、同様となる。
【0053】
絶縁性支持体11に空気が流れるケースの集電層(第2集電層あるいは、第2集電層および空気極層)による電流の折り返しは、基本的に図5と同じ構造となる。図5で言えば、活性燃料極層および集電燃料極層と空気極および第2集電層との位置が入れ替わった構造である(つまり上下反対位置となる)。この場合、第2集電層だけでもよく、第2集電層と空気極層の両方を付けて(配置して)もよい。
【0054】
〈その2:SOFCセルとして発電しつつ電流を裏面に折り返す構造〉
図6は、電流をセルで裏面へと折り返す構造を説明する図で、電流折り返し部を含む部分の断面を示している。本発明(3)では、電流をSOFCセルで裏面へ折り返すが、図6中“電流折り返し部”として示すとおり、電流を活性燃料極層13a、固体電解質層13b、空気極13cを含むSOFCセルで折り返す構造を示している。
【0055】
絶縁性支持体11に空気が流れるケースのセルによる電流の折り返し構造は、基本的に図6と同じ構造となる。図6で言えば、活性燃料極層および集電燃料極層と空気極および第2集電層との位置が入れ替わった構造である(つまり上下反対位置となる)。
【0056】
〈その3:電流を第2集電層あるいは、第2集電層および空気極で折り返す構造〉
図7は、電流を第2集電層あるいは、第2集電層および空気極で折り返す構造を説明する図で、電流折り返し部を含む部分の断面を示している。本発明(4)では、電流を第2集電層あるいは、第2集電層および空気極で裏面へ折り返すが、図7中“電流折り返し部”として示すとおり、電流を第2集電層17bで折り返す構造を示している。なお、固体電解質層はこの場合実質的に電気絶縁性であるので電流の折り返しには関与しない。
【0057】
絶縁性支持体11に空気が流れるケースの燃料極(集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層)による電流の折り返しは、基本的に図7と同じ構造となる。図7で言えば、活性燃料極層および集電燃料極層と空気極および第2集電層との位置が入れ替わった構造である(つまり上下反対位置となる)。この場合、集電燃料極層だけでもよく、集電燃料極層と活性燃料極層の両方を付けて(配置して)もよい。
【0058】
〈本発明(5)〜(8)に共通するセル構造について〉
本発明(5)〜(8)に係る横縞形SOFCスタックのセル構造は、下記(a)〜(d)の構成を有する点で共通する。本発明(5)〜(8)のうち、本発明(5)は(a)〜(d)の構成を有する横縞形SOFCスタックである。
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有すること、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置されていること、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなること、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が基板の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすること。
【0059】
〈本発明(6)について〉
本発明(6)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて、“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、第2集電層あるいは、第2集電層および空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0060】
〈本発明(7)について〉
本発明(7)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて、“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0061】
〈本発明(8)について〉
本発明(8)においては、上記(a)〜(d)の構造に加えて“(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、集電燃料極層あるいは、集電燃料極層および活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には基板の長さ方向と平行にしてなる”ことを特徴とする。
【0062】
〈製造方法〉
以下、本発明に係るSOFCスタックのセル構造の製造例について説明する。図8、図10は、本発明のセル構造の製造例を説明する図である。SOFCセルと絶縁性支持体とを別個に作製し、絶縁性支持体にSOFCセルを配置する態様や、絶縁性支持体にSOFCセルを形成する態様などがあるが、ここでは絶縁性支持体にSOFCセルを形成する場合の製造例を説明する。
【0063】
本発明(1)〜(4)における(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が基板の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造は、特許文献3に記載の横縞形電池セルの作製と同様にして作製することができる。本発明(5)〜(8)についても、活性燃料極層および集電燃料極層と空気極および第2集電層との位置が入れ替わる以外は、同様である。
【0064】
まず、絶縁支持体成形体11を作製する。図8、図10中符号11で示す部材である。絶縁支持体成形体11の材料として、例えば、体積基準での平均粒径(D50)(以下、単に「平均粒径」という。)が0.1〜10.0μmのMgO粉末に、必要により熱膨張係数調整用または接合強度向上用として、Ni粉末、NiO粉末、Y2O3粉末、または、希土類元素安定化ジルコニア粉末(YSZ)などを所定の比率で配合して混合し、混合後の熱膨張係数が固体電解質13bのそれとほぼ一致するように調整する。
【0065】
この混合粉末を、ポアー剤と、セルロース系有機バインダーと、水とからなる溶媒と混合し、押し出し成形して、図8、図10に示すように、内部にガス流路(燃料流路)12を有する中空の板状形状で、扁平状の絶縁支持体成形体11を作製し、これを乾燥後、900℃〜1100℃にて仮焼処理する。なお、内部に空気流路を有する横縞形SOFCスタックの場合には、ガス流路12は空気流路となる。
【0066】
次いで、燃料極層、固体電解質を作製する。まず、例えば、NiO粉末、Ni粉末と、YSZ粉末とを混合し、これにポアー剤を添加し、アクリル系バインダーとトルエンとを混合してスラリーとし、ドクターブレード法にてスラリーを塗布して乾燥し、厚さ50〜60μmの活性燃料極層テープ13aを作製する〔図10(a)〕。
【0067】
次に、活性燃料極層テープ13aと同様にして、例えば、NiO粉末、Ni粉末と、Y2O3などの希土類元素酸化物とを混合し、これにポアー剤を添加し、アクリル系バインダーとトルエンとを混合してスラリーとし、ドクターブレード法にてスラリーを塗布して乾燥し、厚さ50〜60μmの集電燃料極層テープ23を作製する。この集電燃料極層テープ23に前記活性燃料極層テープ13aを貼り付ける〔図10(b)〕。当該貼り合わせたテープを発電素子13の形状にあわせて切断し、絶縁部を形成する部分を打ち抜く〔図10(c)〕。
【0068】
その後、図10(d)に示すように、活性燃料極層テープ13aが貼り付けられた集電燃料極層テープ23を、前記仮焼した絶縁支持体成形体11に、横縞状に貼り付ける。これを繰り返し行い、絶縁支持体成形体11の表面に複数の集電燃料極層テープ23を貼り付ける。なお、このとき一方の集電燃料極層テープ23と、他方の集電燃料極層テープ23とは、幅3〜20mmの間隔をあけて配置する。そして、一方のセル先端部では活性燃料極層テープ13aが貼り付けられた集電燃料極層テープ23を対向面間接続部材として、10mmの幅で絶縁支持体11の表面を周回して貼り付ける。
【0069】
次に、この活性燃料極層テープ13a、集電燃料極層テープ23を貼り付けた状態で乾燥し、その後、900〜1100℃の温度範囲で仮焼する〔図10(d)〕。そして、活性燃料極層13aの第1集電層17aを形成したい部分に、マスキングテープ21を貼り付ける〔図10(e)〕。
【0070】
次に、この積層体を、8YSZにアクリル系バインダーとトルエンを加えてスラリーとした固体電解質溶液に漬けて、固体電解質溶液から取り出す。このディップにより、全面に固体電解質13bの層が塗布されるとともに、前記図10(c)で打ち抜いた空間にも絶縁体である固体電解質13bが充填される。
この状態で、1150〜1200℃、2〜4時間仮焼する。この仮焼中に、マスキングテープ21とその上に塗布された固体電解質13bの層を除去することができる〔図10(f)〕。
【0071】
次に、ランタンクロマイト(LaCrO3)とイソプロピルアルコールとを混合したスラリーを印刷し、厚さ10〜100μmの空気極層13cを形成する。そして、950〜1150℃、2〜5時間焼き付ける〔図10(g)〕。
そして、第1集電層17aを形成したい部分にAg/Niからなる金属層のシートを貼り付け、さらにAgとガラスを含む金属ガラス層のシートを貼り付けて〔図10(g)〕、その後、1000〜1200℃で熱処理を行う。
最後に、第2集電層17bを所定位置に塗布して、横縞形燃料電池セルを得ることができる〔図10(h)〕。
【0072】
なお、前記した各層の積層方法については、テープ積層、ペースト印刷、ディップ、および、スプレー吹きつけのいずれの積層法を用いてもよい。好ましくは、積層時の乾燥工程が短時間であり、工程の短時間化の観点から、ディップにより各層を積層する。
また、上記製造工程では、電気絶縁性支持体成形体11の表面に複数の集電燃料極層テープ23を貼り付けているが、複数の集電燃料極層と電解質層とを一体化したテープを絶縁支持体成形体11の表面に巻き付けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明を家庭用SOFCコージェネレーションシステムへ応用すれば、性能向上やロバスト性向上が可能である。それにより、高い効率での発電が可能となり、かつ長期間に亘って安全に且つ安定的に動作することが可能となる。また、本発明は大量生産に向いた製造プロセスに適しているために低コスト化が可能であり、SOFCの普及拡大が期待できる。このように、高い発電効率で安定的に動作するシステムが幅広く普及される結果、化石エネルギーの利用を減らすことができる。これにより省エネルギーを達成することができ、かつ二酸化炭素の排出量を減らすことができることから、地球環境の向上に寄与し貢献することができる。
【符号の説明】
【0074】
11、51 電気絶縁性基体(中空扁平状の電気絶縁性の多孔質支持体)
12 ガス流路
13 SOFCセル
13a 活性燃料極層
13b 電解質層
13c 空気極層
17a 第1集電層
17b 第2集電層
23 集電燃料極層
IC インターコネクタ
40 スペーサー
41、42 両側(両端)に設けた導電体により電流折り返し部(従来技術)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項2】
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項3】
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項4】
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項5】
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項6】
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項7】
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項8】
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項1】
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項2】
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項3】
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項4】
(a)内部に燃料供給口から燃料排出口に至る燃料流路と、外部に前記燃料流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記燃料流路と平行に、集電燃料極層、活性燃料極層、電解質層、空気極層および第2集電層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記燃料排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項5】
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていく構造とすることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項6】
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記第2集電層あるいは前記第2集電層および前記空気極により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項7】
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、セルとして発電しつつ電流を裏面に折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【請求項8】
(a)内部に空気供給口から空気排出口に至る空気流路と、外部に前記空気流路と平行に表裏一対の面と左右一対の側面を備える多孔質の電気絶縁性基体を有し、
(b)前記表裏一対の面に、それぞれ前記空気流路と平行に、第2集電層、空気極層、電解質層、活性燃料極層および集電燃料極層をこの順序で順次積層してなるSOFCセルの複数個が間隔を置いて配置され、且つ、
(c)前記複数個のSOFCセルについて、隣接する前記SOFCセル間をそれぞれインターコネクタを介して電気的に直列に接続してなる横縞形SOFCスタックであって、
(d)前記空気排出口側の端部寄りに位置する表裏複数対の前記SOFCセルをそれぞれ斜めの形状にして構成するとともに、セル構造をセルの電流の流れる方向が前記電気絶縁性基体の長さ方向に対して90度曲がるようにセル形状を非対称にして徐々に傾けていき、且つ、
(e)電流を流す方向が90度傾いたときに、前記集電燃料極層あるいは前記集電燃料極層および前記活性燃料極層により電流を裏面へと折り返した後、表面と同様にセルを非対称な形にして電流の流れる方向を徐々に傾けていき、最終的には前記電気絶縁性基体の長さ方向と平行にしてなることを特徴とする横縞形SOFCスタック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−227098(P2012−227098A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96154(P2011−96154)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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