説明

樹脂及び樹脂粒子の製造方法並びに樹脂粒子

【課題】 本発明は、分解反応を抑制し、環境への負荷を軽減し、効率的に製造することが可能な樹脂及び樹脂粒子の製造方法並びに該樹脂粒子の製造方法により製造されている樹脂粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】 樹脂の製造方法は、超臨界流体及び亜臨界流体の少なくとも一方を含有する流体中で、副生成物を反応系外へ除去することにより重縮合反応を進行させて樹脂を製造する。樹脂粒子の製造方法は、超臨界流体及び亜臨界流体の少なくとも一方を含有する流体中で、副生成物を反応系外へ除去することにより重縮合反応を進行させて樹脂を製造する。樹脂粒子は、上記の樹脂粒子の製造方法により製造されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂及び樹脂粒子の製造方法並びに樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂粒子は、一般的には重合体により形成され、ディスプレー、フィルム視聴用の後方投影スクリーン、磁気記録媒体、液晶表示用スペーサ、各種照明器具等の光拡散剤;カラムの充填剤;診断薬用の担体、ドラッグデリバリーシステム、バイオリアクター等に用いられる重合体粒子;重合体微粒子を製造する際の種粒子;電子写真の画像形成粒子母体、外添剤等の幅広い用途で用いられている。
【0003】
従来、樹脂粒子を作製するためには、粉砕機等を用いて物理的に粉砕する方法が用いられていた。この方法によれば、低コストで、容易に樹脂粒子を作製することができる。しかしながら、樹脂粒子の形状は、不定形で真球度が低く、粒子径も大きい。このため、粒子径分布の狭い樹脂粒子を作製するためには、分級等の工程を必要とするが、樹脂粒子の強度が弱くなる傾向があるという問題があった。
【0004】
物理的な粉砕の代替手段として、乳化重合、分散重合、シード重合、懸濁重合等の重合方法により樹脂粒子を作製する方法が知られている。例えば、予め所望の大きさの液滴を含むモノマー分散液を作製した後に、この分散液を重合槽に導入し、通常の攪拌下で重合を行うことによって、樹脂粒子の粒子径や粒度分布を制御する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法によれば、真球度が高く、粒子径分布の狭い樹脂粒子を作製することができる。しかし、この方法は、ラジカル反応性のモノマーから得られる重合体に応用範囲が制限されることに加え、重合過程でモノマーを完全反応させることは事実上不可能であり、樹脂粒子の内部及び表面上にモノマーが少量残存するという問題がある。なお、モノマーが残存すると、樹脂粒子が吸湿性を有してしまう。
【0005】
これに対して、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等の重縮合によって得られる樹脂は、耐熱性、耐薬品性及び機械特性に優れており、主鎖の構造や側鎖に修飾されている官能基の種類を変えることにより、様々な性能が期待されることに加え、材料が安価であることから、粒子化することによる飛躍的な用途拡大が見込まれる。
【0006】
縮重合ポリマーを粒子化する方法としては、溶解槽中でナイロン等の樹脂をエチレングリコールと極性溶媒を用いて加熱溶解させ、その後冷却する方法(特許文献2参照)、ナイロン11の溶液を溶融状態で噴霧し、冷却する方法(特許文献3参照)、熱可塑性樹脂と水溶性樹脂の溶融成形物を水と接触させる方法(特許文献4参照)等が知られている。しかしながら、これらの方法は、溶融工程が必要であり、操作が煩雑である上に、樹脂物性が低下するという問題がある。
【0007】
また、高温高圧下で初めて溶解する溶媒にポリアミド樹脂を溶解させて分離析出する方法(特許文献5参照)や、超臨界状態又は亜臨界状態を生成し、ポリエステル系樹脂を溶解させた後に常温常圧に戻すことでポリエステル系樹脂粒子を析出させる方法(特許文献6参照)が知られている。しかしながら、樹脂を溶解させるためにかける温度・圧力の条件は、粒子の析出に必要なエネルギーよりも過剰となるため、ポリマーの分解反応が生じたり、ポリマーが変色したりすることがある。
【特許文献1】特開平3−131603号公報
【特許文献2】特許3165184号公報
【特許文献3】特開平5−70598号公報
【特許文献4】特開平9−165457号公報
【特許文献5】特開平9−316206号公報
【特許文献6】特開2004−143406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、分解反応を抑制し、環境への負荷を軽減し、効率的に製造することが可能な樹脂及び樹脂粒子の製造方法並びに該樹脂粒子の製造方法により製造されている樹脂粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、樹脂の製造方法において、超臨界流体及び亜臨界流体の少なくとも一方を含有する流体中で、副生成物を反応系外へ除去することにより重縮合反応を進行させて樹脂を製造することを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、超臨界流体及び亜臨界流体の少なくとも一方を含有する流体中で、副生成物を反応系外へ除去することにより重縮合反応を進行させて樹脂を製造するので、分解反応を抑制し、環境への負荷を軽減し、効率的に製造することが可能な樹脂の製造方法を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂の製造方法において、前記副生成物を分離することにより反応系外へ除去することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、前記副生成物を分離することにより反応系外へ除去するので、重縮合反応の反応率を向上させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂の製造方法において、前記副生成物と反応する物質と反応させることにより前記副生成物を反応系外へ除去することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、前記副生成物と反応する物質と反応させることにより前記副生成物を反応系外へ除去するので、重縮合反応の反応率を向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂の製造方法において、前記副生成物を吸着する物質に吸着させることにより前記副生成物を反応系外へ除去することを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、前記副生成物を吸着する物質に吸着させることにより前記副生成物を反応系外へ除去するので、重縮合反応の反応率を向上させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、樹脂粒子の製造方法において、超臨界流体及び亜臨界流体の少なくとも一方を含有する流体中で、副生成物を反応系外へ除去することにより重縮合反応を進行させて樹脂粒子を製造することを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、超臨界流体及び亜臨界流体の少なくとも一方を含有する流体中で、副生成物を反応系外へ除去することにより重縮合反応を進行させて樹脂粒子を製造するので、分解反応を抑制し、環境への負荷を軽減し、効率的に製造することが可能な樹脂粒子の製造方法を提供することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記副生成物を分離することにより反応系外に除去することを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、前記副生成物を分離することにより反応系外へ除去するので、重縮合反応の反応率を向上させることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記副生成物と反応する物質と反応させることにより前記副生成物を反応系外へ除去することを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、前記副生成物と反応する物質と反応させることにより前記副生成物を反応系外へ除去するので、重縮合反応の反応率を向上させることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記副生成物を吸着する物質に吸着させることにより前記副生成物を反応系外へ除去することを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、前記副生成物を吸着する物質に吸着させることにより前記副生成物を反応系外へ除去するので、重縮合反応の反応率を向上させることができる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、請求項5乃至8のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記流体は、二酸化炭素を含有することを特徴とする。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、前記流体は、二酸化炭素を含有するので、常温常圧に戻すことにより流体の一部又は全てを気化させることができる。
【0027】
請求項10に記載の発明は、請求項5乃至9のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記流体は、有機溶媒を含有することを特徴とすることを特徴とする。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、前記流体は、有機溶媒を含有するので、反応条件をより広く設定することができる。
【0029】
請求項11に記載の発明は、請求項5乃至10のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記副生成物は、水であり、前記樹脂粒子は、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂の少なくとも一方を含有することを特徴とする。
【0030】
請求項11に記載の発明によれば、前記副生成物は、水であり、前記樹脂粒子は、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂の少なくとも一方を含有するので、透明性に優れ、様々な機能を付加することが可能な樹脂粒子を得ることができる。
【0031】
請求項12に記載の発明は、請求項5乃至10のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記副生成物は、水であり、前記樹脂粒子は、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の少なくとも一つを含有することを特徴とする。
【0032】
請求項12に記載の発明によれば、前記副生成物は、水であり、前記樹脂粒子は、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の少なくとも一つを含有するので、耐熱性に優れ、様々な機能を付加することが可能な樹脂粒子を得ることができる。
【0033】
請求項13に記載の発明は、請求項5乃至12のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法において、前記樹脂粒子を水性溶媒中又は前記流体中で、さらに凝集又は融着させることを特徴とする。
【0034】
請求項13に記載の発明によれば、前記樹脂粒子を水性溶媒中又は前記流体中で、さらに凝集又は融着させるので、樹脂粒子の粒子径を制御することができる。
【0035】
請求項14に記載の発明は、樹脂粒子において、請求項5乃至13のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法により製造されていることを特徴とする。
【0036】
請求項14に記載の発明によれば、請求項5乃至13のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法により製造されているので、分解の少ない樹脂粒子を提供することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、分解反応を抑制し、環境への負荷を軽減し、効率的に製造することが可能な樹脂及び樹脂粒子の製造方法並びに該樹脂粒子の製造方法により製造されている樹脂粒子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0039】
本発明の樹脂及び樹脂粒子の製造方法は、超臨界流体及び亜臨界流体の少なくとも一方を含有する流体中で、副生成物を反応系外へ除去することにより重縮合反応を進行させて樹脂及び樹脂粒子を製造する。これにより、分解反応を抑制し、環境への負荷を軽減し、効率的に製造することができる。ここで、反応系外へ除去するとは、反応が進行する流体相から他の相へ移動させることを意味する。
【0040】
重縮合反応の具体例としては、ジオールのエーテル化反応、ジカルボン酸とジオールとのエステル化反応、酸塩化物とジオールとのエステル化反応、ジカルボン酸とジアミンとのアミド化反応、酸無水物とジアミンとのイミド化反応等が挙げられる。なお、これらの反応が同時又は逐次に行われる場合もある。この時、必要に応じて、硫酸、チタンブトキシド、酸化ジブチルスズ、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン等の触媒を用いることができる。
【0041】
ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類等が挙げられる。
【0042】
ジカルボン酸の具体例としては、o−フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、デカメチレンカルボン酸、これらの無水物及び低級アルキルエステル等が挙げられる。
【0043】
ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、2,6’−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、1,2−ジアミノアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノビベンジル、R(+)−2,2’−ジアミノ−1,1’−ビナフタレン、S(+)−2,2’−ジアミノ−1,1’−ビナフタレン;1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン等の1,n−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン(nは、3以上10以下の整数)、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等の芳香族ジアミン;1,2−ジアミノメタン、1,4−ジアミノブタン、テトラメチレンジアミン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノドデカン、1,11−ジアミノウンデカン等の脂肪族ジアミン;1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環族ジアミン;3,4−ジアミノピリジン、1,4−ジアミノ−2−ブタノン等を使用することができる。これらのジアミンは、単独又は二種以上の混合物として用いることができる。特に、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及び3,3’−ジアミノジフェニルスルホンからなる群より選択される一種以上のジアミンを用いると、耐熱性及び単分散性が向上するので好ましい。また、本発明では、ジアミンの他に、モノアミン、多価アミン等のアミンを用いることができる。これらにより、ポリアミド樹脂の特性を変化させることができる。
【0044】
酸塩化物の具体例としては、シュウ酸ジクロリド、マロン酸ジクロリド、コハク酸ジクロリド、フマル酸ジクロリド、グルタル酸ジクロリド、アジピン酸ジクロリド、ムコン酸ジクロリド、セバシン酸ジクロリド、ノナン酸ジクロリド、ウンデカン酸ジクロリド等の脂肪族ジカルボン酸ジクロライド;1,2−シクロプロパンジカルボン酸ジクロライド、1,3−シクロブタンジカルボン酸ジクロリド、1,3−シクロペンタンジカルボン酸ジクロリド、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド等の脂環族ジカルボン酸ジクロリド;フタル酸ジクロリド、イソフタル酸ジクロリド、テレフタル酸ジクロリド、1,4−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド、1,5−(9−オキソフルオレン)ジカルボン酸ジクロリド、1,4−アントラセンジカルボン酸ジクロリド、1,4−アントラキノンジカルボン酸ジクロリド、2,5−ビフェニルジカルボン酸ジクロリド、1,5−ビフェニレンジカルボン酸ジクロリド、4,4’−ビフェニルジカルボニルクロリド、4,4’−メチレン二安息香酸ジクロリド、4,4’−イソプロピリデン二安息香酸ジクロリド、4,4’−ビベンジルジカルボン酸ジクロリド、4,4’−スチルベンジカルボン酸ジクロリド、4,4’−トランジカルボン酸ジクロリド、4,4’−カルボニル二安息香酸ジクロリド、4,4’−オキシ二安息香酸ジクロリド、4,4’−スルホニル二安息香酸ジクロリド、4,4’−ジチオ二安息香酸ジクロリド、p−フェニレン二酢酸ジクロリド、3,3’−p−フェニレンジプロピオン酸ジクロリド等の芳香族ジカルボン酸ジクロリドを挙げることができる。これらの酸塩化物は、単独又は二種以上の混合物として用いることができる。
【0045】
酸塩化物の具体例として、トリメリット酸クロリド、ピロメリット酸クロリド、オキシジフタル酸クロリド、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸クロリド、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸クロリド、ジエチルピロメリテートジアシルクロリド、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸クロリド、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)フタル酸クロリド、m(p)−フェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸クロリド、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸クロリド、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸クロリド等が挙げられる。これらの酸塩化物は、ジクロライド、トリクロライド、テトラクロライドのいずれでもよい。また、ポリアミドイミド樹脂を製造する際には、酸塩化物に加えて、酸無水物として、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジエチルピロメリテートジアシル酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、m(p)−フェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸二無水物を用いることができる。さらに、ポリイミド樹脂を製造する際には、酸二無水物を用いる。
【0046】
さらに、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、フタル酸ジアリル及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体等の多官能性単量体を加えてもよい。このような多官能性単量体を加えることにより、必要に応じて架橋し強度等の物理的性質や熱可塑性等の諸性質を変化させることができる。これらの多官能性単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
また、ポリエステル樹脂の強靭性を高めるため、ジオールの仕込みモル量は、ジカルボン酸の仕込みモル量に対して1.3倍以下であることが好ましく、1.2倍以下にすることがさらに好ましい。さらに、樹脂粒子に機能を付加させる観点から、樹脂粒子は、ポリオール樹脂を含有することが好ましい。
【0048】
本発明で用いられる超臨界流体は、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において、非凝縮性高密度流体として存在する。また、超臨界流体は、臨界温度(以下、Tcともいう)以上、臨界圧力(以下、Pcともいう)以上の状態にある流体である限り、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いことが好ましい。
【0049】
本発明で用いられる亜臨界流体は、臨界点近傍の温度・圧力領域において、高圧液体として存在する限り、目的に応じて適宜選択することができる。また、亜臨界流体とは、反応時の圧力、温度をそれぞれP、Tとしたときに、0.5Pc<P<Pc、0.5Tc<Tの状態にある流体又は0.5Pc<P、0.5Tc<T<Tcの状態にある流体を意味する。なお、亜臨界流体は、0.6Pc<P<Pc、0.6Tc<Tの状態にある流体又は0.6Pc<P、0.6Tc<T<Tcの状態にある流体であることが好ましい。ここで、T及びTcの単位は、℃であり、上記の亜臨界状態を表す式は、Tcが正の数である場合に適用される。なお、臨界温度は、−273℃以上400℃以下であることが好ましく、0℃以上200℃以下がさらに好ましい。また、臨界圧力は、1MPa以上であることが好ましく、7.2MPa以上がさらに好ましい。
【0050】
本発明で用いられる流体としては、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、クロロトリフルオロメタン、ジメチルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、臨界温度が常温に近く、取り扱い性に優れる点で、二酸化炭素が特に好ましい。臨界温度が30℃以上40℃以下である超臨界二酸化炭素及び超臨界一酸化炭素は、25℃以上300℃以下、5MPa以上100MPa以下の温度・圧力領域で使用することが好ましい。25℃未満の温度や5MPa未満の圧力では、二酸化炭素及び一酸化炭素は、超臨界流体になりにくい。また、300℃より高い温度領域では、ガスが発生したり、分解したりする樹脂がある。さらに、100MPaより高い圧力領域では、流体ポンプ等を具備する装置の運転に支障を来すことがある。ちなみに、二酸化炭素は、臨界温度31℃、臨界圧力7.53MPaで、一酸化炭素は、臨界温度37℃、臨界圧力7.26MPaである。なお、本発明で用いられる流体は、単独で使用してもよいし、2種以上の混合物として使用してもよい。
【0051】
本発明で用いられる流体は、超臨界流体及び亜臨界流体以外の流体を含有することもできる。このような流体としては、一酸化窒素、エタン、プロパン、エチレン等が挙げられる。このような流体の含有率は、目的に応じて適宜選択することができる。
【0052】
本発明で用いられる流体は、エントレーナーとして、有機溶媒を含有することが好ましい。エントレーナーとは、流体に低濃度の有機溶媒を混合させ、流体に溶解又は分散されている組成物の溶解性や拡散性を変化させる添加剤のことである。これにより、流体中における反応条件をより広く設定することができる。有機溶媒は、目的に応じて適宜選択することができ、メタノール、アンモニア、メラミン、尿素、チオジエチレングリコール等が挙げられる。
【0053】
本発明で用いられる流体が他の流体や有機溶媒を含有することにより、流体に対する樹脂及び樹脂粒子の溶解性や相形成状態の変化を制御することができる。
【0054】
本発明において、反応の進行により生成される流体に可溶な副生成物は、反応系外へ除去する必要がある。これにより、重縮合反応の反応率を向上させることができる。副生成物としては、水、塩酸等の酸、水酸化ナトリウム等のアルカリ等があるが、超臨界流体及び亜臨界流体への溶解度から考えて、水が好ましく、取り扱いも比較的容易である。副生成物が水の場合は、脱水により、反応率を向上させることができる。
【0055】
副生成物を除去する方法としては、反応装置の一部に冷却又は減圧ができる分離槽を設け、分離槽で副生成物を分離し、反応系外へ除去する方法が挙げられる。分離層で冷却又は減圧されると、流体は、気化又は液化される。流体が液化される場合は、副生成物が流体に不溶となり、それ以外の成分が流体に溶解又は分散していることが好ましい。このとき、流体と副生成物の比重が異なると、容易に分離することができるため、さらに好ましい。また、流体が気化する場合は、副生成物とそれ以外の成分が相分離することが好ましい。
【0056】
副生成物を除去する別の方法としては、流体中に副生成物と反応する物質を添加する方法、流体中に副生成物を吸着する物質を添加する方法がある。なお、副生成物と反応する物質と副生成物を吸着する物質は、併用することができる。
【0057】
副生成物が水である場合に、流体中に水と反応する物質を添加する方法の具体例としては、水和物を形成する物質を添加し、生成される水が流体中に戻らないようにトラップする方法が挙げられる。水和物を形成する物質としては、DL−アスパラギン、L−アスパラギン、L−アスパラギン酸一ナトリウム、アセチルアセトンカルシウム、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトンセリウム、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトンバリウム、アセチルアセトンマンガン、アセチルアセトンランタン、亜セレン酸ナトリウム、アデニン塩酸塩、アデノシン−5’−三リン酸二ナトリウム、亜テルル酸ナトリウム、亜ヒ酸鉄、アミド硫酸鉄、アミド硫酸ニッケル、5−アミノ−1H−テトラゾール、アミノグアニジン硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸マグネシウム、亜リン酸二ナトリウム、アルミン酸カリウム、アロキサン、安息香酸マグネシウム、アンモニウムライネッケ塩、イソアスコルビン酸ナトリウム、イノシン−5’−リン酸ナトリウム、イミノ二酢酸二ナトリウム、ウアバイン、エチレンジアミン、エチレンジアミン二酢酸二ナトリウムバリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムカルシウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムコバルト、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム銅、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム鉛、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムニッケル、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムマグネシウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムマンガン、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エルゴステロール、エルゴタミン酒石酸塩、塩化アルミニウム、塩化イッテルビウム、塩化イットリウム、塩化インジウム、塩化エルビウム、塩化オスミウム、塩化カドミウム、塩化ガドリニウム、塩化カルシウム、塩化金ナトリウム、塩化金酸、塩化クロム、塩化コバルト、塩化サマリウム、塩化ジスプロシウム、塩化スカンジウム、塩化スズ、塩化ストロンチウム、塩化セチルピリジニウム、塩化セリウム、塩化鉄、塩化テルビウム、塩化銅、塩化銅(II)アンモニウム、塩化ニアンモニウム銅、塩化ニッケル、塩化ネオジム、塩化白金、塩化バリウム、塩化1,10−フェナントロリニウム、塩化プラセオジム、塩化ベルベリン、塩化ホルミウム、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化ユウロピウム、塩化ランタン、塩化リチウム、塩化ルテチウム、塩化ルテニウム、塩化ロジウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩酸L−システイン、塩酸シンコニン、塩酸ピペラジン、塩酸ファドロゾール、塩素酸バリウム、オキシ塩化ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシテトラサイクリン、オルトケイ酸ナトリウム、オロチン酸、過塩素酸コバルト、過塩素酸水銀、過塩素酸セリウム、過塩素酸鉄、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸鉛、過塩素酸リチウム、カコジル酸ナトリウム、L−カナバニン硫酸塩、ガラクトース−6−リン酸バリウム、カルセイン、ギ酸亜鉛、ギ酸銅、キサントシン、ギ酸ニッケル、ギ酸リチウム、8−キノリノール硫酸塩、グアノシン−5’−リン酸二ナトリウム、クエン酸亜鉛、クエン酸、クエン酸カルシウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸鉄、クエン酸銅、クエン酸鉛、クエン酸マグネシウム、クエン酸リチウム、グリシル−L−チロシン、β−グリセロリン酸二ナトリウム、D−グルコース−6−リン酸二カリウム、グルコース−1−リン酸二カリウム、D−グルコース−6−リン酸バリウム、グルコン酸カルシウム、L−グルタミン酸ナトリウム、クレアチン、クロム酸カルシウム、クロム酸ナトリウム、クロム酸マグネシウム、クロム酸リチウム、クロモトロープ酸二ナトリウム、クロロ金酸ナトリウム、4−クロロベンゼンスルホン酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイフッ化亜鉛、ケイフッ化カルシウム、ケイフッ化鉄、ケイフッ化ニッケル、ケイフッ化マグネシウム、ケイフッ化マンガン、コール酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酢酸亜鉛、酢酸イッテルビウム、酢酸イットリウム、酢酸エルビウム、酢酸カドミウム、酢酸カルシウム、酢酸クロム、酢酸コバルト、酢酸サマリウム、酢酸ジスプロシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸セリウム、酢酸ツリウム、酢酸テルビウム、酢酸銅、酢酸ナトリウム、酢酸鉛、酢酸ニッケル、酢酸ネオジム、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、酢酸ランタン、酢酸リチウム、酢酸ルテチウム、サッカリンナトリウム、サリチル酸カルシウム、酸化硫酸バナジウム、酸化ルテニウム、3,3’−ジアミノベンジジン四塩酸塩、次亜リン酸ナトリウム、シアン化ニッケル(II)カリウム、4,4’−ジアンチピリルメタン、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム、2,6−ジクロロインドフェノールナトリウム、2,6−ジクロロフェノール−インドフェノールナトリウム、塩酸L−システイン、L−システイン酸、ジチオン酸ナトリウム、β−シトスタノール、四ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸ナトリウム、2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン、臭化カドミウム、臭化カルシウム、臭化クロム、臭化コバルト、臭化ストロンチウム、臭化セチルピリジニウム、臭化セリウム、臭化ニッケル、臭化バリウム、臭化マグネシウム、臭化マンガン、臭化リチウム、重クロム酸ナトリウム、シュウ酸亜鉛、シュウ酸アルミニウム、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸エルビウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸カルシウム、シュウ酸コバルト、シュウ酸ジスプロシウム、シュウ酸セリウム、シュウ酸チタンカリウム、シュウ酸鉄アンモニウム、シュウ酸鉄、シュウ酸銅、シュウ酸、シュウ酸ニッケル、シュウ酸バナジル、シュウ酸バリウム、シュウ酸プラセオジム、シュウ酸マグネシウム、シュウ酸マンガン、シュウ酸ランタン、酒石酸アンチモニルカリウム、酒石酸アンチモニル(III)カリウム、酒石酸アンチモンカリウム、酒石酸カリウムアンチモン、酒石酸カルシウム、(+)−酒石酸水素ナトリウム、酒石酸銅、(+)−酒石酸ナトリウムカリウム、(+)−酒石酸ナトリウム、L−(+)−酒石酸ニコチン、酒石酸ニッケル、硝酸亜鉛、硝酸アルミニウム、硝酸イッテルビウム、硝酸イットリウム、硝酸インジウム、硝酸ウラニル、硝酸エルビウム、硝酸カドミウム、硝酸ガドリニウム、硝酸ガリウム、硝酸カルシウム、硝酸クロム、硝酸コバルト、硝酸サマリウム、硝酸水銀、硝酸スカンジウム、硝酸セリウム、硝酸タリウム、硝酸鉄、硝酸銅、硝酸ニッケル、硝酸ネオジム、硝酸ビスマス、硝酸プラセオジム、硝酸ホルミウム、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硝酸ユウロピウム、硝酸ランタン、硝酸ルテチウム、水酸化ストロンチウム、水酸化セシウム、水酸化セリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水硫化ナトリウム、スコポラミン臭化水素酸塩、スズ酸カリウム、スズ酸ナトリウム、スルファニル酸ナトリウム、スルファミン酸ニッケル、5−スルホサリチル酸、セレン酸銅、セロトニンクレアチニン硫酸塩、第二リン酸ナトリウム、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、12−タングストリン酸塩、炭酸イッテルビウム、炭酸イットリウム、炭酸サマリウム、炭酸ジスプロシウム、炭酸セリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マンガン、炭酸ユウロピウム、炭酸ランタン、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸ニッケル、チオシアン酸マグネシウム、チオ硫酸ナトリウム、チミジン−5’−一リン酸二ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、テトラクロロ金(III)酸ナトリウム、テトラクロロ金(III)酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、テルル酸カリウム、ドセタキセル、1,1,1−トリクロロ−2−メチル−2−プロパノール、トリクロロアセトアルデヒド、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、トルイレンブルー、p−トルエンスルホンクロロアミドナトリウム、D(+)−トレハロース、七モリブデン酸六アンモニウム、ナフチオン酸ナトリウム、1−ナフチルリン酸一ナトリウム、二塩酸ピリドキサミン、二クロム酸ナトリウム、二酸化ルテニウム、二シュウ酸三水素カリウム、ニトリロ三酢酸三ナトリウム、p−ニトロフェニルリン酸二ナトリウム、乳酸亜鉛、乳酸カルシウム、乳酸鉄、乳酸ニッケル、乳酸マグネシウム、二リン酸ナトリウム、ネオクプロイン、ヒ酸二ナトリウム、ヒ酸マグネシウム、ビス(リン酸二水素)カルシウム、ビス[(+)−タルトラト]二アンチモン(III)酸二カリウム、D−ヒスチジン一塩酸塩、L−ヒスチジン塩酸塩、ヒドラジン、ヒドラジン二臭化水素酸塩、ヒドリンダンチン、ピペミド酸、ピペラジン、ピロリン酸亜鉛、ピロリン酸銅、ピロリン酸ナトリウム、フェニルヒドラジン−4−スルホン酸、2−フェニルフェノールナトリウム、フェニルリン酸二ナトリウム、フェノールスルホン酸亜鉛、p−フェノールスルホン酸ナトリウム、フェロシアン化カリウム、フェロシアン化ナトリウム、フッ化亜鉛、フッ化クロム、フッ化銅、フッ化ニッケル、フラビンアデニンジヌクレオチド二ナトリウム、ブルシン、ブルシン硫酸塩、プロトカテキユ酸、フロログルシン、ヘキサクロロ白金酸、ヘキサシアノ鉄(II)酸四カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、ヘキサフルオロアセトン、ヘマトキシリン、ペルオキソホウ酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム、ホウ酸鉛、ホウフッ化マンガン、ホスカルネットナトリウム、ホスフィン酸ナトリウム、マルトース、マレイン酸二ナトリウム塩、メタケイ酸ナトリウム、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン塩酸塩、5−メチル−1,10−フェナントロリン、メチレンブルー、D(+)−メリビオース、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化コバルト、ヨウ化水銀(II)カリウム、ヨウ化セリウム、ヨウ化ニッケル、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化リチウム、ヨウ素酸カルシウム、ライネッケ塩、ラクトース、D−(+)−ラフィノース、D−(+)−ラフィノース、α−L−ラムノース、リボフラビンリン酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫酸亜鉛、硫酸アデニン、硫酸アトロピン、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム第一鉄、硫酸アンモニウム鉄、硫酸イッテルビウム、硫酸イットリウム、硫酸インジウム、硫酸ガドリニウム、硫酸カルシウム、硫酸キニーネ、硫酸クロム、硫酸コバルト、硫酸ジルコニウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸スカンジウム、硫酸セリウム、硫酸鉄アンモニウム、硫酸鉄、硫酸チタン、硫酸銅、硫酸ナトリウム、硫酸二アンモニウムコバルト、硫酸ニッケルアンモニウム、硫酸ニッケル、硫酸ネオジム、硫酸バナジル、硫酸ベリリウム、硫酸8−ヒドロキシキノリン、硫酸プラセオジム、硫酸ホルミウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸四アンモニウムセリウム、硫酸リチウム、DL−リンゴ酸ナトリウム、DL−リンゴ酸二ナトリウム、リン酸亜鉛、リン酸一ナトリウム、リン酸クロム、リン酸コバルト、リン酸三アンモニウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸鉄、リン酸銅、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、5−リン酸ピリドキサール、リン酸マグネシウム、リンタングステン酸アンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸ナトリウム、ハルマリン塩酸塩、没食子酸等が挙げられるが、高温高圧下でも分解されないことが必要であるので、水和物となる無機塩であることが好ましく、硫酸塩がさらに好ましく、硫酸マグネシウム及び硫酸ナトリウムが特に好ましい。
【0058】
水を吸着する物質の具体例としては、活性炭、モレキュラーシーブス、シリカゲル、ポリビニルアルコール、デンプン・ポリアクリロニトリル加水分解物、デンプン・ポリアクリル酸塩架橋物、架橋カルボキシメチルセルロース、酢酸ビニル・アクリル酸メチル共重合体ケン化物、ポリアクリル酸ナトリウム架橋物等が挙げられるが、これらの中でも、活性炭、モレキュラーシーブス、シリカゲルが好ましく、モレキュラーシーブスが特に好ましい。モレキュラーシーブスは、結晶性ゼオライトで、アルミノケイ酸塩質の結晶材料である。
【0059】
また、副生成物が酸及び塩基である場合は、それぞれ固体塩基及び固体酸を添加しておくと、中和反応により塩を形成し、分解されにくいので、好ましい。
【0060】
副生成物と反応する物質は、流体中に分散させることも可能であるが、副生成物と反応する物質と樹脂及び樹脂粒子を分離する際の簡便さから、副生成物と反応する物質を一部に集積させ、流体を循環させることが好ましい。
【0061】
なお、副生成物の一部を流体中に残存させ、流体に対するモノマー、樹脂及び樹脂粒子の溶解性や相形成状態の変化を制御することもできる。
【0062】
本発明において、流体中で重縮合反応させる際には、攪拌しながら行うことが好ましい。撹拌し、せん断力を与えることで、反応系を均一にすることができる。反応系を循環させることも可能であるが、各種分散機を用いて攪拌し、せん断力を加えることが好ましい。攪拌は、公知の方法を用いて行うことができ、具体的には、公知の撹拌機;T.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)等の高せん断力を有する撹拌機;超音波分散機等の分散手段により分散させ、溶解流体又は分散流体とする方法が挙げられる。攪拌機の撹拌翼は、パドル型よりもタービン型が好ましい。また、この他に、予め流体中で安定な鋼鉄製ボール等の硬質球を耐圧容器中に入れておき、耐圧容器を振とうさせて攪拌する方法等が挙げられる。
【0063】
流体が所定の温度及び圧力に設定され、反応系を均一にした状態で、反応を開始する。具体的には、エステル化反応においては、反応系の温度は、通常60℃以上280℃以下であり、180℃以上250℃以下が好ましく、210℃以上245℃以下がさらに好ましい。さらに、反応系の圧力は、通常、流体が超臨界状態及び亜臨界状態の少なくとも一方となる圧力であり、0.5MPa以上が好ましく、7.2MPa以上がさらに好ましい。アミド化反応においては、反応系内の温度及び圧力は、流体が超臨界状態及び亜臨界状態の少なくとも一方となる温度及び圧力である。このような条件は、極めて活性の高い環境であり、化学反応が促進されるため、好ましい。なお、樹脂及び樹脂粒子を長時間高温高圧下に置くと分解反応が生じてしまうので、流体中に存在させる時間は、分解されない程度の時間にすることが好ましい。
【0064】
反応方法としては、まず、耐圧容器にモノマーを仕込み、加圧ポンプにより超臨界流体及び亜臨界流体の少なくとも一方を含有する流体を耐圧容器内に入れ、流体に可溶な副生成物を反応系外へ除去し、樹脂及び樹脂粒子を生成させる。そして、流体を、常温常圧に戻す。このとき、流体が常温常圧で気体である物質であれば、流体は気化する。副生成物を除去する装置は、目的に応じて適宜選択することができるが、副生成物と流体に分離する減圧バルブを有する分離槽又は副生成物と反応する物質を貯えた槽が挙げられる。分離槽を用いる場合は、減圧バルブにより減圧して副生成物と分離した流体を再利用してもよい。
【0065】
また、超臨界状態及び亜臨界状態の少なくとも一つの状態を所定時間保った後には、流体を速やかに降温して開圧することが好ましい。なお、所定時間が経過した後には、密封状態のまま、急冷して常温常圧に戻すことにより、樹脂及び樹脂粒子の反応を停止させることができる。耐圧容器を急冷する方法としては、空冷、水冷等が挙げられる。
【0066】
本発明の樹脂粒子の製造方法において、副生成物は、水であり、樹脂粒子は、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂の少なくとも一方を含有することが好ましい。これにより、透明性に優れ、様々な機能を付加することが可能な樹脂粒子を得ることができる。また、副生成物は、水であり、樹脂粒子は、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の少なくとも一つを含有することが好ましい。これにより、耐熱性に優れ、様々な機能を付加することが可能な樹脂粒子を得ることができる。
【0067】
本発明の樹脂粒子の製造方法において、樹脂粒子を水性溶媒中又は流体中で、さらに凝集又は融着させることが好ましい。これにより、樹脂粒子の粒子径を制御することができる。なお、必要であれば、本発明の樹脂粒子とは異なる樹脂粒子を混合してもよい。このような樹脂粒子としては、ジェット気流を用いた微粉砕機、機械式粉砕機等で微粉砕された樹脂粒子、水性溶媒中で乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等を用いて得られる樹脂粒子等が挙げられる。また、本発明の樹脂粒子を複数種混合しても構わない。
【0068】
樹脂粒子を凝集又は融着させるために、有機溶媒、凝集剤等を添加することができる。なお、樹脂粒子を凝集又は融着させる際に、添加剤の分散液と混合し、樹脂粒子を製造することが好ましい。ここで、凝集又は融着とは、樹脂粒子が複数個会合することを意味する。なお、流体として、常温常圧で気体である物質を用いる場合は、減圧及び冷却により、凝集エネルギーを運動エネルギーよりも大きくすることにより、樹脂粒子を凝集させることもできる。また、常温常圧に戻すことで、流体を除去することができる。
【0069】
水性溶媒を用いる方法の具体例としては、特開平5−265252号公報、特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報等に示される方法を挙げることができる。これらの方法で述べられているのは、樹脂粒子等の構成材料の分散粒子又は樹脂等より構成される粒子を複数会合させる方法であり、特に、水性溶媒中で乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ、徐々に粒子径を成長させ、目的の粒子径となったところで水を多量に加えて粒子径成長を停止させ、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、得られた粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、樹脂粒子を形成する方法である。なお、凝集剤を添加する際に、水に対して無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0070】
樹脂粒子の粒子径は、目的とする非球状粒子の粒子径以下であれば構わないが、一般的に用いられる樹脂粒子の粒子径は、0.01μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0071】
凝集剤は、特に限定されるものではないが、金属塩が好ましい。具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類の金属塩、マンガン、銅等の二価の金属の塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属の塩等が挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。なお、凝集剤は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0072】
これらの凝集剤は、臨界凝集濃度以上添加することが好ましい。この臨界凝集濃度とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。この臨界凝集濃度は、乳化された成分及び分散剤によって大きく変化する。例えば、岡村誠三他著「高分子化学17、601(1960)日本高分子学会編」等に記述されており、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に、濃度を変えて所望の塩を添加し、その分散液のζ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
【0073】
凝集剤の添加量は、通常、臨界凝集濃度以上であるが、臨界凝集濃度の1.2倍以上が好ましく、臨界凝集濃度の1.5倍以上がさらに好ましい。
【0074】
本発明で用いられる水性溶媒は、樹脂粒子を溶解しない溶媒であることが好ましく、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコール類、アセトニトリル等のニトリル類、ジオキサン等のエーテル類を挙げることができる。この中でも、エタノール、プロパノール、イソプロパノールが好ましい。
【0075】
なお、形状を均一化させるためには、樹脂粒子を調製し、濾過、洗浄した後に、樹脂粒子に対して10重量%以上の水が存在したスラリーを流動乾燥させることが好ましいが、この際、樹脂粒子が極性基を有する樹脂を含有することが好ましい。この理由として、極性基を有する樹脂は、水により膨潤し、形状の均一化が図られやすいことが挙げられる。
【0076】
樹脂粒子の会合に際しては、通常の撹拌機、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)等の高せん断力を有する撹拌機により、樹脂粒子を分散させることで、会合粒子を形成する。会合粒子の粒子径を調整するために、系内の温度、pH、攪拌機回転数等を制御する必要がある。造粒時間は、特に限定されないが、5分以上1時間以下であることが好ましい。
【0077】
樹脂粒子を均一に分散させるために、水性媒体中に界面活性剤や分散安定剤を添加することができる。
【0078】
界面活性剤は、重合性単量体の重量に対して0.001重量%以上0.1重量%以下であることが好ましい。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤が好ましく、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、o−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等のスルホン酸塩;ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩;オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等の脂肪酸塩等が挙げられる。また、ノニオン性界面活性剤も使用することができ、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの混合物、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
【0079】
分散安定剤は、無機化合物の分散安定剤としては、コバルト、鉄、ニケッル、アルミニウム、銅、スズ、鉛、マグネシウム等の金属又はその合金(特に、粒子径が1μm以下であることが好ましい);リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、等の酸化物の無機化合物微粉体;カーボンブラック、ニグロシン染料、アニリンブルー、クロームイエロー、フタロシアニンブルー、ローズベンガル等の顔料;染料類等が挙げられる。有機系化合物の分散安定剤としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の酸類;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有するアクリル系単量体;ビニルアルコール又はビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコールとのエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド又はこれらのメチロール化合物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子又はその複素環を有するモノマーのホモポリマー又は共重合体;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類;上記親水性モノマーとスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のベンゼン環を有するモノマー又はその誘導体との共重合体;上記親水性モノマーとアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体との共重合体;上記親水性モノマーとエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、メタクリル酸アリル、ジビニルベンゼン等の架橋性モノマーとの共重合体が挙げられる。
【0080】
また、分散安定剤として、側鎖に長鎖フッ素置換基を有するアクリル樹脂を用いることもできる。用いる溶媒種や温度及び圧力の条件によって、側鎖に長鎖フッ素置換基を有するアクリル樹脂をスチレン等の共重合体として用いることも可能である(DeSimone.J.M.,et.al,Science,256,356(1994)参照)。
【0081】
さらに、分散安定剤として、樹脂粒子を用いることもできる。このような樹脂粒子としては、水性溶媒中で水性分散液を形成しうる公知の樹脂粒子の中から目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよい。具体的には、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。樹脂粒子の体積平均粒子径は、乳化性を確保できる粒子径であれば特に制限はないが、1nm以上1μm以下であることが好ましく、10nm以上500nm以下がさらに好ましい。
【0082】
本発明の樹脂粒子は、本発明の樹脂粒子の製造方法により製造されている。
【0083】
樹脂粒子を形成する際、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、離型剤、可塑剤、顔料、顔料分散剤、染料、染色助剤、退色防止剤、発泡剤、発泡核剤、無機フィラー、帯電制御剤、帯電防止剤、摺動剤、細孔形成剤、医薬組成物、酵素、補酵素、抗体、結合タンパク質、レクチン、ホルモン受容体等、公知の添加剤を含有することもできる。さらに、本発明の樹脂粒子は、GP−PS、HI−PS、MS樹脂、MBS樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、PE、PP、PPO等の公知の樹脂と組み合わせて使用することもできる。
【0084】
樹脂粒子の用途としては、ディスプレー・フィルム視聴用の後方投影スクリーン、磁気記録媒体、液晶表示用スペーサ、各種照明器具等の光拡散剤;カラムの充填剤;診断薬用の担体、ドラッグデリバリーシステム、バイオリアクター等に用いられる樹脂粒子を製造する際の種粒子(単分散粒子);接着剤;金属又はセラミックの代替材料;電子写真法、静電記録法、静電印刷法等に用いられる画像形成粒子に用いられる樹脂粒子等が挙げられる。樹脂粒子は、そのまま用いることも可能であるし、必要に応じて、添加物と混合して表面を修飾する処理、添加物を固定化する処理、超臨界流体又は亜臨界流体の存在下で添加剤を浸漬、抽出、被覆等の処理を加えることもできる。
【0085】
また、樹脂粒子に公知の添加剤や樹脂を含有させる方法としては、樹脂粒子と公知の添加剤や樹脂を混練する方法があり、樹脂粒子と公知の添加剤や樹脂を混合した後に混練する方法が好ましく、必要に応じて、混練後、粉砕工程、成形工程、分級工程等を加えることもできる。
【0086】
具体的には、樹脂粒子と公知の添加剤や樹脂をヘンシェルミキサー等の混合機により混合した後、バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサー、連続式の2軸押出し機(例えば、KTK型2軸押出し機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出し機(東芝機械社製)、TEX型2軸押出し機(日本製鋼所社製)、PCM型2軸押出し機(池貝鉄工社製)、KEX型2軸押出し機(栗本鉄工所社製))、連続式の1軸混練機(例えば、コ・ニーダ(ブッス社製)等の熱混練機)等を用いて構成材料を混練し、場合によっては、各種射出機等でペレット状やシート状に成形し、冷却することで、樹脂粒子に公知の添加剤や樹脂を含有させることができる。必要に応じて、ハンマーミル等を用いて樹脂を粗粉砕し、さらにジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により、所定の粒度に分級することもできる。
【実施例】
【0087】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
テレフタル酸、トリメリット酸、エチレングリコール及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物をモル比でそれぞれ90:10:55:50となるようにした混合物10g、全酸成分の0.075重量%のジブチルスズオキシド、上記混合物の全モル数の1.0%の構造式
【0088】
【化1】

で示される有機系分散安定剤A(m/n=15/85)を1l耐圧容器内に仕込み、超臨界流体として、二酸化炭素を選択し、220℃、20MPaの条件で耐圧容器内を3時間保持し、エステル化反応を行った。次に、減圧バルブと加圧ポンプを組み合わせた分離槽に超臨界流体を通して、5MPaで分離槽から水を除去しながら、水を除去した二酸化炭素を加圧ポンプで20MPaまで加圧し、系内に戻す操作を2時間行った。さらに、急冷減圧させて、粒子径が0.84μm、数平均分子量が5600の変色していない樹脂粒子1を得ることができた。このことから、分解反応を抑制し、環境への負荷を軽減し、効率的に製造することができることがわかる。
(実施例2)
テレフタル酸、トリメリット酸、エチレングリコール及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物をモル比でそれぞれ90:10:55:50となるようにした混合物10g、全酸成分の0.075重量%の酸化ジブチルスズ、上記混合物の全モル数の1.0%の有機系分散安定剤A、綿布に包んだ硫酸マグネシウム100gを1l耐圧容器内に仕込み、超臨界流体として、二酸化炭素を選択し、220℃、20MPaの条件で耐圧容器内を5時間保持し、エステル化反応を行った。次に、急冷減圧させて、粒子径が0.93μm、数平均分子量が6200の変色していない樹脂粒子2を得ることができた。このことから、分解反応を抑制し、環境への負荷を軽減し、効率的に製造することができることがわかる。
(実施例3)
テレフタル酸、トリメリット酸、エチレングリコール及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物をモル比でそれぞれ90:10:55:50となるようにした混合物10g、全酸成分の0.075重量%の酸化ジブチルスズ、1,4−ジオキサン0.6g、綿布に包んだ硫酸マグネシウム100gを1l耐圧容器内に仕込み、超臨界流体として、二酸化炭素を選択し、240℃、50MPaの条件で耐圧容器内を5時間保持し、エステル化反応を行った。次に、急冷減圧させて、粒子径が0.88μm、数平均分子量が4200の変色していない樹脂粒子3を得ることができた。このことから、分解反応を抑制し、環境への負荷を軽減し、効率的に製造することができることがわかる。
(実施例4)
テレフタル酸、トリメリット酸、エチレングリコール及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物をモル比でそれぞれ90:10:55:50となるようにした混合物10g、全酸成分の0.075重量%の酸化ジブチルスズ、1,4−ジオキサン0.6g、綿布に包んだ硫酸マグネシウム100gを1l耐圧容器内に仕込み、超臨界流体として、二酸化炭素を選択し、二酸化炭素の重量の0.25重量%のアンモニアを添加した。240℃、50MPaの条件で耐圧容器内を5時間保持し、エステル化反応を行った。次に、急冷減圧させて、粒子径が0.56μm、数平均分子量が3300の変色していない樹脂粒子4を得ることができた。このことから、分解反応を抑制し、環境への負荷を軽減し、効率的に製造することができることがわかる。
(比較例1)
実施例1の水を除去する工程を行わないこと以外は、実施例1と同様に操作を行った。しかし、水を除去しなかったため、反応は進行しなかった。
(比較例2)
ペレット状のテレフタル酸、トリメリット酸、エチレングリコール及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物の共重合体(数平均分子量:7400)10gを1l耐圧容器内に仕込み、超臨界流体として、二酸化炭素を選択し、220℃、20MPaの条件で耐圧容器を振動させ、15分後に急冷して常温常圧に戻し、樹脂粒子5を得た。このとき、樹脂粒子5の粒子径は、2.46μmで、粒子径分布は、実施例1より広い分布となった。また、数平均分子量は、3000であった。
(比較例3)
比較例2において、超臨界流体として、メタノールを選択し、400℃、30MPaの条件で耐圧容器を振動させた以外は、比較例2と同様の操作を行い、樹脂粒子の懸濁液を得た。この懸濁液からメタノールを分離し、30℃で減圧乾燥させ、樹脂粒子6を得た。樹脂粒子6の粒子径は、1.38μmであった。また、数平均分子量は、2000で、得られた粒子の色は、茶褐色であった。
(測定方法)
実施例及び比較例で記載されている粒子径及び数平均分子量の測定方法を以下に示す。
【0089】
樹脂粒子の粒子径は、UPA−EX150(日機装社製)を用いて、動的光散乱法/レーザードップラー法により測定した。測定は、フィルターを通して、水中の微細なごみを取り除き、測定範囲の粒子数が20個/10−3cm以下の水10ml中にノニオン性界面活性剤コンタミノンN(和光純薬社製)を数滴加え、さらに測定試料を5mg加え、超音波分散機UH−50(STM社製)で20kHz、50W/10cmの条件で1分間分散処理を行った後、さらに、合計5分間の分散処理を行った。このようにして作成した、測定範囲の粒子濃度が4000〜8000個/10−3cmの試料分散液を用いて、0.8〜6000nmの円相当径を有する粒子の粒子径分布を測定した。
【0090】
樹脂粒子の数平均分子量は、GPC−150C(ウォーターズ社製)及びカラムKF801〜807(ショウデックス社製)を用いて測定した。このとき、溶媒としては、THF(テトラヒドロフラン)を用い、温度40℃、流速1.0ml/分で測定した。試料としては、0.05〜0.6重量%の樹脂粒子溶液を用い、0.1ml注入した。また、THF100mlに樹脂粒子1gを添加した時の不溶分が75重量%以上である場合は、溶媒として、DMF(ジメチルホルムアミド)を用いた。なお、数平均分子量は、単分散ポリスチレン標準試料を用いて作成した分子量校正曲線から算出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界流体及び亜臨界流体の少なくとも一方を含有する流体中で、副生成物を反応系外へ除去することにより重縮合反応を進行させて樹脂を製造することを特徴とする樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記副生成物を分離することにより反応系外へ除去することを特徴とする請求項1に記載の樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記副生成物と反応する物質と反応させることにより前記副生成物を反応系外へ除去することを特徴とする請求項1に記載の樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記副生成物を吸着する物質に吸着させることにより前記副生成物を反応系外へ除去することを特徴とする請求項1に記載の樹脂の製造方法。
【請求項5】
超臨界流体及び亜臨界流体の少なくとも一方を含有する流体中で、副生成物を反応系外へ除去することにより重縮合反応を進行させて樹脂粒子を製造することを特徴とする樹脂粒子の製造方法。
【請求項6】
前記副生成物を分離することにより反応系外へ除去することを特徴とする請求項5に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項7】
前記副生成物と反応する物質と反応させることにより前記副生成物を反応系外へ除去することを特徴とする請求項5に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項8】
前記副生成物を吸着する物質に吸着させることにより前記副生成物を反応系外へ除去することを特徴とする請求項5に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項9】
前記流体は、二酸化炭素を含有することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項10】
前記流体は、有機溶媒を含有することを特徴とする請求項5乃至9のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項11】
前記副生成物は、水であり、
前記樹脂粒子は、ポリエステル樹脂及びポリエーテル樹脂の少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項5乃至10のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項12】
前記副生成物は、水であり、
前記樹脂粒子は、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂の少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項5乃至10のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項13】
前記樹脂粒子を水性溶媒中又は前記流体中で、さらに凝集又は融着させることを特徴とする請求項5乃至12のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項14】
請求項5乃至13のいずれか一項に記載の樹脂粒子の製造方法により製造されていることを特徴とする樹脂粒子。

【公開番号】特開2006−111720(P2006−111720A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−300429(P2004−300429)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】