説明

樹脂粒子

【目的】 有毒な燃焼ガスの発生が少なく、に優れる樹脂粒子の提供。
【構成】 主構成成分として、多価カルボン酸と、0.5mol %以上、90mol%以下のトリシクロデカン骨格を有する脂環族ジオ−ルを含む多価アルコ−ルの縮重合により得られるポリエステル樹脂を用いた樹脂粒子。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、艶消し剤、ブロッキング防止材、クロマトグラフィ−用坦体、薬剤用坦体、粉体塗料、ギャップ調整材、電子写真用トナ−、化粧品等として盛んに利用されてきている樹脂粒子に関するものであり、特に染料にて着色された場合に良好なる耐光堅牢度を示すポリエステル系樹脂の粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この様な用途に用いられる樹脂粒子として、「重合造粒法」により作製される樹脂粒子を例示することができる。重合造粒法は、エマルジョン重合法、懸濁重合法、シ−ド重合法、分散重合法に大別できる。
【0003】エマルジョン重合法は、水中において、界面活性剤にて安定化された重合性単量体のミセル中で重合を行い樹脂粒子を得るものである。エマルジョン重合法においては、シャ−プな粒子径分布を有する粒子を得ることができる。しかしながら、安定に存在しうるミセルの大きさにより粒径が決定されるためその粒径は約0.01〜0.5μm程度の範囲に限られ、およそ1μm以上の粒径を持つ粒子を得るすることは不可能である。またミセルの安定化のために必須となる界面活性剤が作製された粒子表面に残存するため、得られた樹脂粒子の使用範囲が限定されてしまう。
【0004】懸濁重合法は、水と重合性単量体とを機械的に撹拌することにより得られる懸濁系において重合性単量体を重合し粒子を得る方法である。懸濁重合法では、機械的な撹拌に粒子の大きさが依存するため、均一な粒子径分布を持つ微細な重合体粒子を得ることは難しい。懸濁重合法により得られる粒子の粒径範囲はおよそ10μm以上である。
【0005】シ−ド重合法は、他の方法により得られた粒子をシ−ド粒子とし、シ−ド粒子を溶剤および重合性モノマ−にて膨潤させ、膨潤したシ−ド粒子内にて重合することによりシ−ド粒子を大きく成長させる方法である。シ−ド重合法においては、原理的には、適当なるシ−ド粒子を選択することにより、シャ−プな粒子径分布を持った粒子を得ることができ、また粒子の粒径は、シ−ド粒子と重合性単量体との膨潤率にて制御可能である。シ−ド重合法はエマルジョン重合法により得られた粒子、すなわちビニル系のポリマ−粒子をシ−ドに用いる。ビニル系ポリマ−粒子を重合性モノマ−により膨潤させることは難しい。膨潤率は、シ−ド粒子を構成するポリマ−と膨潤に用いるモノマ−との相互作用、および、膨潤した粒子の界面張力等とのバランスにより決定され、実際にはせいぜい2〜10倍程度が限度となる。 すなわち、膨潤率を極端に大きくすることはできず、一度に成長させることができる粒径範囲にはおのずと限界がある。粒子径を10倍にすることは体積を1000倍にすることに相当するため、シ−ド重合でこれを実現するためにはシ−ド重合を繰り返す必要がある。2段階膨潤シ−ド重合法は、シ−ド粒子の膨潤率を大とするために考案された方法である。2段階膨潤シ−ド重合法においては、まずシ−ド粒子をオリゴマ−ないし水難溶性の低分子量物質(:膨潤剤)等により膨潤させた後に重合性モノマ−にて膨潤させる。この方法によりシ−ド粒子の膨潤率を数千倍にまで上げることができる。しかしながら2段階膨潤シ−ド重合法により得られた粒子には膨潤剤が残存するため、これらを除去する工程が必須となる。シ−ド重合法、2段階膨潤シ−ド重合法はシャ−プな粒子径分布を有するミクロンオ−ダ−の樹脂粒子作製するという意味において優れた方法ではあるが、以上の問題点がシ−ド重合法を工業的に成立させることを困難とさせている。
【0006】分散重合法は、重合性モノマ−、開始剤、安定剤を有機溶媒に溶解し、重合を開始することにより、その初期段階において発生したオリゴマ−の凝集物を粒子核として有機溶媒に不溶なポリマ−の粒子を成長させる方法である。分散重合法はシャ−プな粒子径分布を有するミクロンオ−ダ−の樹脂粒子作製するという目的において優れた方法ではあるが、有機溶媒を媒体に用いるためにマスプロダクト化が難しく、樹脂粒子の工業的な生産方法としては成立し得ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきたように、エマルジョン重合法および懸濁重合法により得られる樹脂粒子は、粒子径範囲が限定され、かつ粒子径分布はブロ−ドなものとなる。シ−ド重合法および分散重合法により得られる樹脂粒子は、シャ−プな粒子径分布を有するものの、非常に高価なものとなる。さらに、以上述べてきた「重合造粒法」すなわち、エマルジョン重合、懸濁重合、シ−ド重合、分散重合により作製される樹脂粒子はその製造方法からも自明であるようにビニル系ポリマ−の樹脂粒子に限定される。これらビニル系ポリマ−の樹脂粒子を染料により着色する場合には原料となるビニルモノマ−に染料を溶解したのちに所定の操作にて樹脂粒子化を行うこととなる。この場合、染料はビニルモノマ−が重合する際のラジカルにより攻撃され、多くの染料は変退色を生じる。さらに得られた着色粒子も耐光堅牢度に劣り、紫外線暴露等により変退色を生じ易いものとなる。あらかじめ粒子化されたビニル系ポリマ−の樹脂粒子を水系媒体中で染色する方法も考えられなくはないが、この場合には高濃度に着色された樹脂粒子を得ることが困難であるばかりでなく、染色中に粒子の凝集融着を生じ、初期の粒子系、粒度分布を保持した着色粒子を得ることは困難である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる状況に鑑み、シャ−プな粒子径分布を有し、かつ任意の粒子径をもち、さらに染料にて高濃度、高耐光堅牢度に着色が可能な樹脂粒子を得るべく鋭意研究を重ねた結果、次なる発明に到達した。すなわち本発明は、0.5mol %以上90mol %以下の範囲においてトリシクロデカン骨格を有する脂環族ジオ−ルを含有する多価アルコ−ルと、多価カルボン酸との縮合により得られるポリエステル樹脂を主構成成分とし、平均粒子径Dが0.2μmから50μmの範囲であり、0.5Dから2.0Dの粒子径範囲に全体の80重量%以上の粒子が含まれることを特徴とする樹脂粒子である。
【0009】本発明における多価カルボン酸は、主としてジカルボン酸類からなる。ジカルボン酸類としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、等を用いることができる。芳香族ジカルボン酸は多価カルボン酸成分の60mol %以上もちいることが好ましく、80mol %以上がさらに好ましい。芳香族ジカルボン酸の含有率がこの範囲に満たない場合には樹脂のガラス転移温度が低下し、保存安定性に支障をきたす場合がある。本発明において好ましく用いられるジカルボン酸類としてはテレフタル酸、イソフタル酸である。これらは芳香族ジカルボン酸の内80mol %以上使用されることが好ましい。本発明においては他のジカルボン酸類としてコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマ−ル酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、等の不飽和脂肪族、および、脂環族ジカルボン酸等を使用することができる。本発明においては必要によりトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等のトリおよびテトラカルボン酸を少量含んでも良い。
【0010】本発明においては多価アルコ−ル成分としてトリシクロデカン骨格を有する脂環族ジオ−ルを用いる。該脂環族ジオ−ルとしては下記化1にて示される化合物、ならびにそれらの誘導体を例示することができる。
【化1】


化1の式中R1 、R2 は水酸基、および/または炭素数1〜8のヒドロキシアルキレン基、および/または炭素数1〜4のヒドロキシアルキレン基にアルキレンオキシドを1〜10mol 付加した基、を示すものであり、本発明においては R1 、R2 がともにメチロ−ル基であるトリシクロデカンジメチロ−ルの使用が好ましい。該脂環族ジオ−ルは多価アルコ−ル成分の0.5mol %以上90mol %以下の範囲が必須であり、5mol %以上70mol %以下の範囲が好ましく、10mol %以上50mol %以下の範囲がさらに好ましい。
【0011】他の多価アルコ−ル成分としては、例えば、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、スピログリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ルのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等のジオ−ル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等々のジオ−ル類、さらに必要により、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリン等のトリオ−ル、ペンタエルスリト−ル等のテトラオ−ル等、他に、ε−カプロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られる、ラクトン系ポリエステルポリオ−ル類を用いることができる。
【0012】本発明においてポリエステル樹脂は、単独あるいは必要により2種以上併用することができる。また、溶融状態、溶液状態で、アミノ樹脂、エポキシ樹脂イソシアネ−ト化合物等と混合することもでき、またさらに、これらの化合物と一部反応させることもできる。
【0013】本発明におけるポリエステル樹脂を主構成成分とし、平均粒子径Dが0.2μmから50μmの範囲であり、0.5Dから2.0Dの粒子径範囲に全体の80重量%以上の粒子が含まれる樹脂粒子を得る方法としては、あらかじめポリエステル樹脂にイオン性基を含有せしめることによりポリエステル樹脂にミクロ水分散性を発現させ、該イオン性基含有ポリエステル樹脂を水系媒体に安定にミクロ分散せしめ、さらに該ミクロ分散粒子を可塑化させたうえで、ミクロ分散粒子の表面および表面近傍に存在するイオン量を、均一に制御された状況下にて減少せしめる手段により、ミクロ分散粒子の媒体中での安定状態を崩し、ミクロ分散粒子を合体せしめることによりポリエステル粒子を得る方法を例示することができる。ミクロ分散粒子の表面および表面近傍に存在するイオンはミクロ分散粒子表面近傍に電気二重層を形成することにより水系媒体中において樹脂の微粒子を安定化させる働きを持つものである。
【0014】該ミクロ分散粒子の表面、および表面近傍に存在するイオン量を減少せしめる手段としては、ポリエステル樹脂に含有されるイオン性基の、・光分解、熱分解、あるいは加水分解等による切り放し、・温度、pH等の走査による解離度の制御、・対イオンによるイオン性基の封鎖、および、・電解質の添加による電気二重層の破壊、等の手段を用いることができる。本発明においては、対イオン性基を有する反応性単量体を系内に添加し、対イオン性基含有単量体を重合せしめることにより形成されるポリイオンコンプレックスを用いてイオン性基を封鎖する方法、あるいは、分解触媒などを併用したイオン性基切り放しによる方法を好ましく用いることができる。
【0015】イオン性基含有ポリエステル樹脂に含まれるイオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸基、もしくはそれらの塩(水素塩、金属塩、アンモニウム塩)の基等のアニオン性基、または第1級ないし第3級アミン基等のカチオン性基であり、好ましくは、カルボキシル基、カルボン酸アンモニウム塩基、スルホン酸基、スルホン酸アルカリ金属塩基等を用いることができる。これらイオン性基は樹脂に共重合された形態にて含有されることが好ましく、樹脂に共重合可能なスルホン酸金属塩基含有化合物としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸等の金属塩をあげることができる。特にイオン性基を高分子末端に導入する場合にはスルホ安息香酸およびその金属塩等を用いることができる。金属塩としてはLi、Na、K、Mg、Ca、Cu、Fe等の塩があげられ、特に好ましいものはNa塩である。 これらイオン性基の含有量は、該ポリエステル樹脂に対し、好ましくは0.005〜0.2当量/1000g、さらに好ましくは0.01〜0.15当量/1000g、なお好ましくは0.02〜0.1当量/1000g、である。イオン性基含有量がかかる下限に満たない場合には、ポリエステル樹脂を水系媒体にミクロ分散することが困難になる場合がある。またかかる上限を越えた場合にはポリエステル樹脂が水溶解性化する場合がある。また前述したイオン性基切り放しによる方法を用いた場合にはかかるイオン性基の含有量は得られた粒子においては初期のポリエステル樹脂の含有量より減少する。
【0016】本発明の樹脂粒子の特徴は特に染料により着色された場合に発現する。用いることのできる染料としては、イエロ−着色にはアゾ系、ニトロ系、キノリン系、キノフタロン系、メチン系染料が、マゼンタ着色にはアントラキノン系、アゾ系、ロ−ダミン系染料が、シアン着色にはアントラキノン系染料が好ましく用いられる。染料の形態としては分散染料あるいは油溶性染料を用いることが好ましい。これらは特に繊維製品の染色用分散染料として市販されている形態の染料を直接用いても良く、またそのような形態で入手できないものは、染料の原体(コンクケ−キ)、分散剤、水系媒体とをボ−ルミル、サンドミル、シェ−カ−などにより混合し、染料のコンクケ−キをさらに微粉砕微分散させた形態のものを用いることができる。分散剤としてはナフタリンスルホン酸塩の縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩とアクリル酸の共重合体などを用いることができる。
【0017】
【実施例1〜4、比較例1】以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらになんら限定される物ではない。温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中に、 ジメチルテレフタレ−ト 95重量部、 ジメチルイソフタレ−ト 95重量部、 5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレ−ト 6重量部、 トリシクロデカンジメチロ−ル 40重量部、 エチレングリコ−ル 60重量部、 ネオペンチルグリコ−ル 91重量部、および テトラブトキシチタネ−ト 0.1重量部(本実施例で使用したトリシクロデカンジメチロールは、3,8−ジメチロールおよびまたは4,9−ジメチロールを主成分とするものである。)を仕込み180〜230℃で120分間加熱してエステル交換反応を行った。ついで反応系を250℃まで昇温し、系の圧力1〜10mmHgとして60分間反応を続けた結果、共重合ポリエステル樹脂(A1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(A1)の組成、数平均分子量を後記の表1.に示す。以下、原料と組成を変えて同様に重合を行い、表1.に示すポリエステル樹脂、実施例(A2)〜(A4)、比較例1(A5)を得た。表1.における、TPAはテレフタル酸を、IPAはイソフタル酸を、SIPは5−ナトリウムスルホイソフタル酸を、SAはセバシン酸を、MAはマレイン酸を、TCDはトリシクロデカンジメチロールを、EGはエチレングリコ−ルを、NPGはネオペンチルグリコ−ルを、BPEはビスフェノールAのエチレンオキシド付加物を、BPPはビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物を、各々表わす。
【0018】(樹脂粒子の製造)共重合ポリエステル樹脂(A1)100重量部、ブチルセロソルブ30重量部を110℃にて溶解した後80℃の水200部を添加し、粒子径約0.1μmの共重合ポリエステル樹脂の水系ミクロ分散体を得た。さらに得られた水系ミクロ分散体を蒸留用フラスコに入れ 、留分温度が100℃に達するまで蒸留し、冷却後に水を加え固形分濃度を38%とした。温度計、コンデンサ−、撹拌羽根を備えた四つ口の1リットルセパラブルフラスコに、共重合ポリエステル水系分散体1000重量部、および、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト8.0重量部を入れ、80℃に昇温した。次に過硫酸アンモニウム0.2重量部を含む水溶液150重量部を60分間にわたって滴下した後、さらに60分間80℃に保った状態で反応を続けた。その結果、共重合ポリエステル水系分散体に存在したサブミクロンオ−ダ−の粒子径の共重合体は合体粒子成長し、平均粒径5.2μm、直径をDとした場合に0.5D〜2Dの範囲の粒径を有する粒子の占有率92重量%のポリエステル樹脂粒子を得た。得られたポリエステル樹脂粒子に水を添加して25重量%のポリエステル樹脂粒子水分散体(B1)を得た。以下同様にして共重合ポリエステル樹脂(A2)〜(A5)よりポリエステル粒子水分散体(B2)〜(B5)を得た。
【0019】(染色)染色試験機ミニカラ−[テクサム技研]に得られたポリエステル粒子水分散体(B1)100重量部、分散染料スミカロン・タ−コイズトブル− S−GL(C.I.DISPERSE BLUE 60)[住友化学製]10重量部を仕込み、3℃/分のにて130℃まで昇温し、130℃にて60分間保持した後、室温まで水冷、洗浄、脱水の後48時間真空乾燥し着色ポリエステル粒子(C1)を得た。以下同様にしてポリエステル粒子水分散体(B2)〜(B5)より着色粒子(C2)〜(C5)を得た。
【0020】(耐光堅牢度評価)得られた着色粒子5重量部と直径約70ミクロンのフェライト系球状粒子F−100[パウダ−テック社製]95重量部とをガラス瓶に入れ、ストロ−ク30cmにて約200回シェイクした。この操作により着色粒子は負極性に帯電したことが箔検電器により確認された。45度の角度に保持されたアルミ板状に白色紙を固定し、アルミ板に+約1kVの電圧を印加した。次いで斜めに保持されたアルミ板の上端側より白色紙上に前記着色粒子とフェライト粒子の混合物を振りかけた。着色粒子はその静電荷により白色紙に付着した。着色粒子の付着した紙を130℃のドライオ−ブンにいれ、5分間加熱することにより着色粒子を紙に溶融固着させ試験片とした。紙上の粒子層の厚みを重量換算により求め、アルミ板への印可電圧を調整することにより、厚みが約5ミクロンとなるように規格化した。得られた試験片の色度座標(CIELAB)を色彩色度計CR−210[ミノルタ社製]を用いて測定、紫外線暴露試験(フェ−ドメ−タ:カ−ボンア−ク灯照射20時間、照射環境温度63℃)後に再度測定して色差ΔEを求めた。結果を後記の表2.に示す。結果はN=5の平均値を小数点以下を四捨五入して表示した。
【0021】
【比較例2】MA/BPP樹脂粒子(A6)
温度計、撹拌機を備えたオ−トクレ−ブ中に、ビスフェノ−ルAのプロピレンオキサイド付加物70重量部、無水マレイン酸19.6重量部、ハイドロキノン0.2重量部を仕込み、反応系内に窒素ガスを導入し不活性雰囲気に保ち、0.05重量部のジブチル錫オキサイドを加え200度にて反応させポリエステル樹脂(A6)を得た。ポリエステル樹脂(A6)の組成、数平均分子量を表1.に示す。 得られたポリエステル樹脂をフリ−ザ−ミルにて平均粒子径8μmまで微粉砕した。得られた樹脂粉末100重量部と、タモ−ル系分散剤ミグノ−ル802[一方社油脂工業(株)製]10重量部、ラルリルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1重量部とを380重量部の脱イオン水に入れ、超音波洗浄器と撹拌機を併用して樹脂粉末の水分散体を得た。得られた樹脂粒子の水分散体を実施例と同様の方法にて染色した。染色後の樹脂粒子は加熱下に再凝集を生じ樹脂塊と化した。得られた着色樹脂塊をフリ−ザ−ミルにて再粉砕し、実施例と同様の方法にて白色紙上に塗布し、紫外線暴露試験を行った。結果を表2.に示す。
【0022】
【実施例5】実施例1において得られた共重合ポリエステル樹脂(A1)を用い、染料として・スミカロン・ブリリアントブル− S−BL(C.I.DISPERSE BLUE 87)[住友化学製]・スミカロン・ブリリアント・レッド F−BL(C.I.DISPERSE RED 60)[ 三井東圧染料製]・ミケトン・ポリエステルレッド SE−BL(C.I.DISPERSE RED 92)[ 三井東圧染料製]・ミケトン・ポリエステル・レッドヴァイオレット 4RL(C.I.DISPERSE VIOLET 35)[三井東圧染料製]・スミカロン・ボルド− SE−BL(C.I.DISPERSE VIOLET 26)[住友化学製]・ミケトン・ファストイエロ− GL(C.I.DISPERSE YELLOW 33)[三井東圧染料製]・ミケトン・ポリエステルイエロ− 5GF(C.I.DISPERSE YELLOW 198)[ 三井東圧染料製]を用い、同様に染色し、試験片を作製、紫外線暴露試験を行った。結果を表3.に示す。
【0023】
【表1】


【0024】
【表2】


【0025】
【表3】


【0026】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明による樹脂粒子は、染料着色された場合において良好なる耐光堅牢度を有するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】0.5mol %以上90mol %以下の範囲においてトリシクロデカン骨格を有する脂環族ジオ−ルを含有する多価アルコ−ルと、多価カルボン酸との縮合により得られるポリエステル樹脂を主構成成分とし、平均粒子径Dが0.2μmから50μmの範囲であり、0.5Dから2.0Dの粒子径範囲に全体の80重量%以上の粒子が含まれることを特徴とする樹脂粒子。