説明

樹脂組成物溶液の製造方法、及び製造装置

【課題】生産性が高く、製造過程においてディフェクト要因となり得る異物の混入を十分に抑制することができ、異物含有量を極力低減させて樹脂組成物溶液の製造方法、及び製造装置を提供する。
【解決手段】樹脂組成物溶液を収容するタンク10に収容された樹脂組成物溶液を、送液手段及びろ過手段を有しタンク10から排出された樹脂組成物溶液をタンク10へと循環させる循環経路中に脱着可能に備えられた樹脂組成物溶液を容器に充填するための充填ノズル14内を通過させつつ循環経路を循環させることにより、循環ろ過を行う。その後に充填ノズル14を循環経路から脱状態として充填ノズル14にて容器に樹脂組成物溶液を充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物溶液の製造方法、及び製造装置に関する。具体的には、フォトレジスト用樹脂含有溶液、液浸用組成物溶液、上層膜形成組成物等の樹脂組成物溶液の製造方法、及び製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子材料やディスプレイ材料等の高機能化が急速に進むなかで、これらを製造する上で使用される組成物が重要視されてきている。集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野では、より高い集積度を得るために、より微細な加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。例えば、0.10μm以下のレベルでの微細加工を可能とするために、より波長の短い放射線の利用及び液浸露光が検討されている。そして、この用途に適した樹脂組成物が数多く提案され、使用されている。例えば、レジスト形成用の感放射線性樹脂組成物を含むレジスト組成物、多層レジストにおける上層膜を形成するための樹脂組成物を含む液浸用組成物が使用されている。
【0003】
このような微細化方法において、更に高解像度のパターンニングが要求されるようになり、レジストパターンのディフェクトを無視することができなくなってきており、その改善が試みられている。このディフェクト要因のひとつには、レジスト樹脂を含有する溶液中に、樹脂の重合の際に副生するオリゴマーや低分子量のポリマー、また生産設備の配管やバルブ等から混入するゴミ、微粒子等といった固形状の異物が存在することが挙げられる。尚、「ディフェクト」とは、現像後のレジストパターンを上部から観察した際に検知される不具合全般のことをいう。
【0004】
これらディフェクト要因になり得る異物の内、樹脂の重合の際に副生するオリゴマーや低分子量のポリマーの低減法として、該樹脂溶液を貧溶媒を用いて精製する沈殿精製法(特許文献1)や、沈殿工程および/又は洗浄ろ過工程による精製方法(特許文献2)が提案されている。また、配管やバルブ等から混入するゴミ、微粒子等といった固形状の異物の低減法としては、フィルターが設置された閉鎖系内でレジスト組成物を循環させることにより、レジスト組成物中の微粒子の量を低減する方法(特許文献3)や、イオン交換フィルター、もしくは不要コロイド除去フィルターを用いて濾過する濾過工程を備える方法(特許文献4)が提案されている。さらに、レジスト塗布装置の充填ノズルの洗浄を行う方法も提案されている(特許文献5)。
【0005】
【特許文献1】特許3810428号公報
【特許文献2】特開2005−13297号公報
【特許文献3】特開2002−62667号公報
【特許文献4】特開2008−179771号公報
【特許文献5】特開平6−260405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、急速に微細化が進行している半導体素子の製造分野等においては、前述のような方法を用いた場合であっても、前記ディフェクト発生の抑制効果が十分であるとはいえず、不純物異物含有量の低いフォトレジスト組成物などを得るという点において未だ課題を残すものであった。特に配管やバルブ等の生産設備から混入するゴミ、微粒子等といった固形状の異物においては、充分な低減が達成されていなかった。
【0007】
本発明の課題は、生産性が高く、製造過程においてディフェクト要因となり得る異物の混入を十分に抑制することができ、異物含有量を極力低減可能な樹脂組成物溶液の製造方法、及び製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、樹脂組成物溶液を、充填ノズル内を通過させつつ循環経路を循環させて、循環ろ過を行うことにより、上記課題を解決できることを見出した。すなわち本発明によれば、以下の樹脂組成物溶液の製造方法、及び製造装置が提供される。
【0009】
[1] 樹脂組成物溶液を収容するタンクに収容された前記樹脂組成物溶液を、送液手段及びろ過手段を有し前記タンクから排出された前記樹脂組成物溶液を前記タンクへと循環させる循環経路中に脱着可能に備えられた前記樹脂組成物溶液を容器に充填するための充填ノズル内を通過させつつ前記循環経路を循環させることにより、循環ろ過を行い、その後に前記充填ノズルを前記循環経路から脱状態として前記充填ノズルにて前記容器に前記樹脂組成物溶液を充填する樹脂組成物溶液の製造方法。
【0010】
[2] 前記循環経路を循環中の前記樹脂組成物溶液のレイノルズ数が100〜2000である前記[1]に記載の樹脂組成物溶液の製造方法。
【0011】
[3] 樹脂組成物溶液を収容するタンクと、前記タンクから排出された前記樹脂組成物溶液を前記タンクへと循環させる循環ラインと、前記循環ライン中に備えられた前記樹脂組成物溶液を送液するための送液手段と、前記循環ライン中に備えられた前記樹脂組成物溶液をろ過するためのろ過手段と、前記循環ライン中に脱着可能に備えられた前記樹脂組成物溶液を容器に充填するための充填ノズルと、を有し、前記樹脂組成物溶液を前記充填ノズル内を通過させつつ前記循環ラインを循環させることにより、循環ろ過を行い、前記充填ノズルを前記循環ラインから脱状態として前記充填ノズルにて前記容器に前記樹脂組成物溶液を充填する樹脂組成物溶液の製造装置。
【0012】
[4] 前記充填ノズルの上流側の循環ラインの一部は、変形可能な変形可能部材にて構成されており、前記充填ノズルは、ホルダーに収められた状態にて前記樹脂組成物溶液を内部に通液可能とされ、前記変形可能部材を変形させることにより前記ホルダーから取り外して前記容器に充填可能とされている前記[3]に記載の樹脂組成物溶液の製造装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法、製造装置は、循環ろ過の際に充填ノズル内に樹脂組成物溶液を循環させるため、充填ノズル内にて樹脂組成物溶液が硬化することを防止でき、容器に充填された樹脂組成物溶液(製品)への異物混入を防止することができる。つまり、本発明の樹脂組成物溶液の製造装置は、循環ライン内に充填ノズルを組み込んでいるため、充填ノズルを洗浄し、異物数を低減して端切り量を低減することが可能である。これにより生産量を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0015】
図1に本発明の樹脂組成物溶液の製造装置の一実施形態の模式図を示す。樹脂組成物溶液の製造装置1(以下、単に製造装置1ともいう)は、樹脂組成物溶液を収容するタンク10と、タンク10から排出された樹脂組成物溶液をタンク10へと循環させる循環ライン28と、を有する。そして、循環ライン28中に、樹脂組成物溶液を送液するための送液手段としての送液ポンプ13と、樹脂組成物溶液をろ過するためのろ過手段としてのろ過装置20と、を有し、さらに、循環ライン28中に脱着可能に備えられた樹脂組成物溶液を容器(充填瓶24)に充填するための充填ノズル14を有する。そして、充填ノズル14内を通過させつつ循環ライン28を循環させることにより、循環ろ過を行い、充填ノズル14を循環ライン28から脱状態として充填ノズル14にて容器に樹脂組成物溶液を充填する。
【0016】
タンク10は、上部バルブ15a、薬液供給ノズル11を備え、タンク10内に薬液を供給できる。また、薬液を攪拌する攪拌装置12、薬液を排出する下部バルブ15bを備える。
【0017】
タンク10と、ろ過装置20は、本発明の配管によって接続され、その間に送液ポンプ13を備えており、タンク10からろ過装置20へ送液可能となっている。
【0018】
ろ過装置20の下流には、複数のバルブ(V1,V2,V3)が備えられており、更に充填設備として、充填ノズル14とを備える。また、配管によって循環ライン28が構成されており、樹脂組成物溶液をタンク10へ戻すことが可能となっている。
【0019】
ろ過手段であるろ過装置20に備えられたフィルターの種類は、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ナイロン(NYLON)、及びPEとNYLONの複合膜のいずれかである。これらの材料からなるフィルターを用いると、耐薬品性が高く、金属などの異物が溶出し難いという利点がある。
【0020】
また、フィルターの孔径は、0.005〜1μmであることが異物を除去するために好ましい。
【0021】
循環ライン28を構成する配管の配管材質は、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS304+PFAコーティングのいずれかであることが異物を除去するために好ましい。
【0022】
循環ライン28は、ろ過手段の下流にてバルブV1を通過しタンク10へと戻るメイン循環経路28aと、ろ過手段の下流にて分岐し、バルブV2、充填ノズル14、バルブV3を経てメイン循環経路28aに合流するバイパス循環経路28bとを有する。
【0023】
バイパス循環経路28bにおいて、バルブV2の上流(またはバルブV2の下流で、充填ノズル14の上流)は、フレキシブルなベローズ等で形成された変形可能部材によって構成されている。変改可能部材としては、例えば、フレキホース18を使用することができる。また、バルブV2の下流にてバイパス循環経路28bを形成する配管は、充填ノズル14の液導入側端部14aに接続されており、配管にて送液された樹脂組成物溶液は、充填ノズル14内に導入され、充填ノズル14の先端部14bから排出される(図2参照)。
【0024】
充填ノズル14の先端部14bは、ホルダーである鞘管19に収められており、その鞘管19には、バイパス循環経路28bを形成する配管が接続されている。充填ノズル14と鞘管19はフェルール接続となっており、接続部分にクランプ17を用いて締付けることで固定されている。充填ノズル14の上流側がフレキホース18等の変形可能部材にて構成されているため、鞘管19に収められた充填ノズル14は、取り出し可能であり、充填ノズル14は、循環経路に脱着可能に備えられている(図4参照)。充填ノズル14の上部をフレキホース18とすることで、充填ノズル14を脱離し、製造ルームとはクリーン度が異なった充填用クリーンベンチ内でも充填することができる。例えば製造ルームではクリーン度が1000程度であるのに対し、充填用クリーンベンチ内ではクリーン度10で充填が可能である。鞘管19に接続された配管は、バルブV3を経てメイン循環経路28aに合流するように構成されている。
【0025】
本発明の製造装置1は、金属異物等の異物や金属成分等の不純物の混入に対して厳格なサブクォーターミクロンレベルの微細加工等の用途に用いられるフォトレジスト用樹脂含有溶液、液浸用組成物溶液、上層膜形成組成物等の樹脂組成物溶液の製造に好適に用いられる。
【0026】
フォトレジスト用樹脂含有溶液は、少なくともフォトレジスト用樹脂及び溶剤を含むものであり、酸発生剤や酸拡散制御剤等の他の添加剤を更に含有していてもよい。具体的には、例えば、g線、i線等の紫外線、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV等の(超)遠紫外線、電子線等の各種放射線による微細加工に適したレジストを形成可能なポジ型或いはネガ型のレジスト組成物や、多層レジストにおける液浸用組成物を含む上層膜や下層膜(反射防止膜等)を形成するための樹脂組成物等のフォトリソグラフィーに使用される樹脂組成物、これらの組成物に用いられるフォトレジスト用樹脂を含有する樹脂溶液等が挙げられる。
【0027】
前記フォトレジスト用樹脂としては、例えば、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂、ノボラック系樹脂等が挙げられる。尚、このようなレジスト用樹脂は、例えば、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(単量体)等の所定の重合性化合物を溶剤の存在下で重合させることにより得ることができる。
【0028】
また、前記溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、グライム、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
液浸用組成物溶液は、液浸露光工程に用いる波長193nmの屈折率が水の屈折率以上である液浸露光用液体は、波長193nmにおける屈折率が、水の屈折率(1.44)以上の屈折率を有するものであるが、本発明の製造方法による液浸用組成物溶液としては、脂環式炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物が挙げられる。さらに、脂環式炭化水素化合物としては、trans−デカヒドロナフタレン、脂環式炭化水素化合物としては、exo−テトラジシクロペンタジエンが挙げられる。
【0030】
上層膜形成組成物は、フォトレジスト膜の表面上に上層膜を形成するために用いられるものであるが、例えば、酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂と、感放射線性酸発生剤とを必須成分として含有する感放射線性の樹脂組成物等を挙げることができる。
【0031】
次に、本発明の樹脂組成物溶液の製造装置1を用いた製造方法を説明する。まず、調製装置の下部バルブ15bを閉にした後に、上部バルブ15aを開にして、薬液供給ノズル11から、例えば、薬液を投入し、バルブ15aを閉にした後に、攪拌装置12にて内容物の濃度が均一になるまで攪拌する。
【0032】
その後、下部バルブ15bを開にして、図1及び図2に示すように、送液ポンプ13によって、循環ライン28によって循環させ、循環ろ過を行うことにより、液浸用組成物溶液を製造する。
【0033】
循環ろ過は、樹脂組成物溶液を収容するタンク10に収容された樹脂組成物溶液を、送液手段及びろ過手段を有しタンク10から排出された樹脂組成物溶液をタンク10へと循環させる循環経路中に脱着可能に備えられた樹脂組成物溶液を容器に充填するための充填ノズル14内を通過させつつ循環経路を循環させることにより行う。
【0034】
循環ろ過は、具体的には、以下のように行うことが好ましい。まず、バルブV1を開、バルブV2,V3を閉として、樹脂組成物溶液を循環させる。次に、全てのバルブV1,V2,V3を開として循環させる。
【0035】
その後、全てのバルブV1〜V3を閉として、図3及び図4に示すように、充填ノズル14を鞘管19から外すことにより、充填ノズル14を循環経路から脱状態とする。そして、充填ノズル14から容器に樹脂組成物溶液を充填する。
【0036】
なお、循環経路を循環中の樹脂組成物溶液のレイノルズ数が100〜2000であると、本発明の製造方法は、より効果的である。レイノズル数が100未満の場合、立ち上がり配管のエルボ部分に滞留が生じ、異物が溜まる恐れがあり、また1回の循環にかかる時間が長くなり生産性が悪くなる。また、レイノズル数が2000を超えるとの場合、(流速が速いため)フィルターの異物捕集能力が悪くなり、一旦捕集した異物が抜け出る可能性がある。循環中のレイノルズ数が上記範囲であると、要求されるフィルターの異物捕集能力を発揮すると共に、レジスト組成物等の生産性を高めることが出来るので好ましい。
【0037】
以上のように、本発明の樹脂組成物溶液の製造装置、製造方法によれば、樹脂組成物溶液を、充填ノズル14内を通過させつつ循環ろ過を行うため、異物数を低減することが可能となり、容器への充填の際の端切り量を低減することができ、生産量を増加させることができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
(実施例1)
図1の装置(タンク10、送液ポンプ13、ろ過装置20(フィルター)を有し、バルブV1を通るメイン循環経路28a(配管外径サイズ:1/2インチ)と、バルブV2と脱着可能な充填ノズル14から構成されるノズルユニット16を有し、バルブ(V3)を通るバイパス循環経路28bと、を備える装置)を用い、タンク10に保有したレジスト組成物(ヒドロキシスチレンとtert−ブトキシカルボニルヒドロキシスチレンの共重合体と酸発生剤であるトリフェニルスルホニウムトリフレートを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液)100Lを、ロータリーポンプ(ジャブスコ製)を用いて送液し、PP製フィルター(孔径:0.02μm;濾布面積:4.4m)に通液させた後、以下に示すSTEP1〜STEP4を以下の時間行った。
【0040】
まず、STEP1として、バルブV1:開、バルブV2:閉、バルブV3:閉とし10分間、循環ろ過を行った。次に、STEP2として、バルブV1〜V3:開とし、20分間、循環ろ過を行った。STEP1および2のとき、流量は400L/hrで循環させた。このとき、循環中のレジスト組成物溶液のレイノズル数は654であった。そして、STEP3として、バルブV1〜V3:閉とし、充填ノズル14を脱離した。STEP4として、4L容器(充填瓶24)に25分間充填した。
【0041】
充填後、レジスト組成物(10ml)中の異物数(粒子径0.2μm以上の粒子数)を、液中パーティクルカウンター(リオン製、「Ks−41型」)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0042】
(比較例1)
図5の装置(タンク10、送液ポンプ13、ろ過装置20(フィルター)を有し、バルブV1を通る循環経路と、循環経路外に設置した充填ノズル14を有する装置)を用い、以下に示すSTEP1〜STEP2を行った。
【0043】
まず、STEP1として、バルブV1:開として35分間、循環ろ過を行った。次にSTEP2として4L容器(充填瓶24)に25分間充填した。レジスト組成物中の異物を測定した。その結果を表1に示す。
【0044】
(比較例2)
図1の装置を用い、STEP1およびSTEP2の流量を1200L/hrにする以外は実施例1と同様に循環濾過および充填を実施した。このときレイノズル数は2354であった。異物測定結果を表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
(結果)
充填ノズル14を循環ライン28に組み込んだ実施例1では、充填1本目から、レジスト組成物中の異物数が許容数の500個以下となり、端切り量を0とすることができた。一方、充填ノズル14を循環ライン28に組み込んでいない比較例1では、充填8本目にレジスト組成物中の異物数が許容数の500個以下となったため、28kgの端切りが必要であった。すなわち、異物数が許容数まで低減するまで廃棄する必要があり、生産量が減少してしまうことになった。このように、充填ノズル14を循環ライン28に組み込むことにより、端切り量が低減され、生産量の増加が達成される。また、比較例2のようにレイノズル数が大きい状況で循環濾過を実施するとフィルターから異物が抜け出るため、充填ノズル14を循環ライン28に組み込んだ装置を用いてもレジスト組成物中の異物数が許容数の500個以下とはならなかった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の樹脂組成物溶液の製造方法、及び製造装置は、金属異物等の異物や金属成分等の不純物の混入に対して厳格なサブクォーターミクロンレベルの微細加工等の用途に用いられるフォトレジスト用樹脂含有溶液、液浸用組成物溶液、上層膜形成組成物等の樹脂組成物溶液の製造に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態を示し、充填ノズルが鞘管内に備えられた場合の模式図である。
【図2】図1のA部分の拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、充填ノズルが鞘管から外された場合の模式図である。
【図4】図3のB部分の拡大断面図である。
【図5】比較例に用いた装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0049】
1:樹脂組成物溶液の製造装置、10:タンク、11:薬液供給ノズル、12:攪拌装置、13:送液ポンプ、14:充填ノズル、14a:液導入側端部、14b:先端部、15a:上部バルブ、15b:下部バルブ、16:ノズルユニット、17:クランプ、18:フレキホース、19:鞘管、20:ろ過装置、24:充填瓶、28:循環ライン、28a:メイン循環経路、28b:バイパス循環経路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物溶液を収容するタンクに収容された前記樹脂組成物溶液を、送液手段及びろ過手段を有し前記タンクから排出された前記樹脂組成物溶液を前記タンクへと循環させる循環経路中に脱着可能に備えられた前記樹脂組成物溶液を容器に充填するための充填ノズル内を通過させつつ前記循環経路を循環させることにより、循環ろ過を行い、その後に前記充填ノズルを前記循環経路から脱状態として前記充填ノズルにて前記容器に前記樹脂組成物溶液を充填する樹脂組成物溶液の製造方法。
【請求項2】
前記循環経路を循環中の前記樹脂組成物溶液のレイノルズ数が100〜2000である請求項1に記載の樹脂組成物溶液の製造方法。
【請求項3】
樹脂組成物溶液を収容するタンクと、
前記タンクから排出された前記樹脂組成物溶液を前記タンクへと循環させる循環ラインと、
前記循環ライン中に備えられた前記樹脂組成物溶液を送液するための送液手段と、
前記循環ライン中に備えられた前記樹脂組成物溶液をろ過するためのろ過手段と、
前記循環ライン中に脱着可能に備えられた前記樹脂組成物溶液を容器に充填するための充填ノズルと、を有し、
前記樹脂組成物溶液を前記充填ノズル内を通過させつつ前記循環ラインを循環させることにより、循環ろ過を行い、前記充填ノズルを前記循環ラインから脱状態として前記充填ノズルにて前記容器に前記樹脂組成物溶液を充填する樹脂組成物溶液の製造装置。
【請求項4】
前記充填ノズルの上流側の循環ラインの一部は、変形可能な変形可能部材にて構成されており、前記充填ノズルは、ホルダーに収められた状態にて前記樹脂組成物溶液を内部に通液可能とされ、前記変形可能部材を変形させることにより前記ホルダーから取り外して前記容器に充填可能とされている請求項3に記載の樹脂組成物溶液の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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