説明

樹脂製インテークマニホールド、樹脂製インテークマニホールドの製造方法

【課題】製造コストを低減しつつサージタンクの容積を低減することができる樹脂製インテークマニホールド、当該樹脂製インテークマニホールドの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、ミドルピース12とロワピース14とを有し、ミドルピース12とロワピース14との間にサージタンク18が形成され、サージタンク18に連通する分岐通路16が形成される樹脂製インテークマニホールド1において、ロワピース14は、樹脂による一体成形品であり、分岐通路16の一部を構成する湾曲形状の湾曲管路20と、湾曲管路20の湾曲形状の内周側にて湾曲管路20とサージタンク18との通路口34からミドルピース12側に向かって形成されサージタンク18の側壁を構成する壁部52とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気系に設けられるインテークマニホールドに係り、詳しくは、樹脂成形された樹脂製インテークマニホールド、当該樹脂製インテークマニホールドの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、湾曲管部を有する樹脂成形品の成形型として、回転可能なスライドコアを有する成形型の技術が開示されている。この特許文献1の技術では、成形品の成形後に型締め盤を下降させてサポートをスライドコアから離間させることにより成形型の内部に空間を設け、当該空間の内部にてスライドコアを回転させている。そして、その後、主盤から成形品を押し出して取り出している。
【0003】
また、特許文献2には、円弧筒状部を有する成形品の抜き取りを可能とする成形型と当該成形型から成形品を抜き取る方法の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−067088号公報
【特許文献2】特開2007−307713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、成形型の内部にスライドコアを回転させるために必要な空間を形成するので、成形型の強度が低下してしまう。また、主盤から成形品を押し出すためのエジェクタ機構を使用するとき、このエジェクタ機構とスライドコアを回転させる回転機構とは、動作時に互いに干渉し合うおそれがあるので、この両機構を近くに配置することは困難である。そのため、回転機構の動作の範囲外にエジェクタ機構を設ける必要がある。したがって、特許文献1の技術にて形成される成形品は、必然的に大型化してしまう。
【0006】
ここで、このような湾曲管部を有する樹脂成形品の一例として、エンジンの吸気系に設けられる樹脂製インテークマニホールドを構成するロワピースが挙げられる。そして、このロワピースが大型化してしまうと、樹脂製インテークマニホールドのサージタンクの容積が必要以上に増大してしまう。そのため、エンジンの応答性が低下してしまう。
【0007】
また、特許文献2の技術では、成形品の円弧筒状部を抜き取るための成形品抜き取り体が必要になり、製造コストが増大してしまう。
【0008】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、製造コストを低減しつつサージタンクの容積を低減することができる樹脂製インテークマニホールド、当該樹脂製インテークマニホールドの製造方法を提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、第1ピースと第2ピースとを有し、前記第1ピースと前記第2ピースとの間にサージタンクが形成され、前記サージタンクに連通する分岐通路が形成される樹脂製インテークマニホールドにおいて、前記第2ピースは、樹脂による一体成形品であり、前記分岐通路の一部を形成する湾曲形状の湾曲管路と、前記湾曲管路の湾曲形状の内周側にて前記湾曲管路と前記サージタンクとの接続口から前記第1ピース側に向かって形成され前記サージタンクの側壁を構成する壁部とを備えること、を特徴とする。
【0010】
この態様によれば、第2ピースは、湾曲管路の湾曲形状の内周側にて湾曲管路とサージタンクとの接続口から第1ピース側に向かって形成されサージタンクの側壁を構成する壁部を備える。これにより、湾曲管路の湾曲形状の内周側では、湾曲管路とサージタンクとの接続口から直接的にサージタンクの側壁が形成される。したがって、サージタンクの容積を低減することができる。
【0011】
また、第2ピースは、樹脂による一体成形品である。そのため、複数のピースを接合して第2ピースを形成した場合に比べて、複数のピースを接合する工程を省くことができる。したがって、製造コストの低減を図ることができる。
【0012】
上記の態様においては、前記湾曲管路は複数配列されており、前記壁部は、前記湾曲管路の配列方向について直線形状に形成されていること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、壁部は複数の湾曲管路の配列方向について直線形状に形成されている。これにより、サージタンクの容積をより確実に低減することができる。
【0014】
上記の態様においては、前記第2ピースは、前記湾曲管路を形成する湾曲形状の回転コアと前記回転コアの外周面の外側に配置される第1成形型と前記回転コアの内周面の内側に配置される第2成形型との間で形成されるキャビティの内部に樹脂を射出して形成され、前記回転コアに保持された状態で前記回転コアを前記第2成形型から離間させた後に相対的に回転させ、その後、前記回転コアから取り出されて製造されたものであること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、樹脂を射出して形成された第2ピースが回転コアに保持された状態で、当該回転コアを第2成形型から離間させた後に相対的に回転させる。そのため、回転コアを第2成形型に阻まれることなく確実に回転させることができ、第2ピースを回転コアから確実に取り出すことができる。このようにして、第2ピースを樹脂による一体成形品として製造することができる。
【0016】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の態様は、第1ピースと第2ピースとを有し、前記第1ピースと前記第2ピースとの間でサージタンクが形成され、前記サージタンクに連通する分岐通路が形成される樹脂製インテークマニホールドの製造方法において、前記第2ピースは、樹脂による一体成形品であり、前記分岐通路の一部を形成する湾曲形状の湾曲管路と、前記湾曲管路の湾曲形状の内周側にて前記湾曲管路と前記サージタンクとの接続口から前記第1ピース側に向かって形成され前記サージタンクの側壁を構成する壁部とを備えており、前記湾曲管路を形成する湾曲形状の回転コアと前記回転コアの外周面の外側に配置される第1成形型と前記回転コアの内周面の内側に配置される第2成形型との間で形成されるキャビティの内部に樹脂を射出することにより前記第2ピースを形成する工程と、前記第2ピースを前記回転コアに保持させた状態で前記回転コアを前記第2成形型から離間させる工程と、前記第2ピースに対して前記回転コアを相対的に回転させる工程と、前記第2ピースを前記回転コアから取り出す工程と、前記回転コアから取り出した前記第2ピースと前記第1ピースとを接合する工程と、を有すること、を特徴とする。
【0017】
この態様によれば、樹脂で形成した第2ピースを回転コアに保持させた状態で回転コアを第2成形型から離間させる工程を有する。これにより、第2ピースに対して回転コアを相対的に回転させる工程にて、回転コアを第2成形型に阻まれることなく確実に回転させることができ、第2ピースを回転コアから確実に取り出すことができる。そのため、サージタンクの容積を低減することができる第2ピースを、樹脂による一体成形品として製造することができる。したがって、複数のピースを接合して第2ピースを形成した場合に比べて、複数のピースを接合する工程を省くことができる。ゆえに、製造コストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る樹脂製インテークマニホールド、樹脂製インテークマニホールドの製造方法によれば、製造コストを低減しつつサージタンクの容積を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】樹脂製インテークマニホールドの正面図である。
【図2】図1に示す樹脂製インテークマニホールドの右側面図である。
【図3】樹脂製インテークマニホールドの分解図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】ロワピースの正面図である。
【図6】図5のB−B断面図である。
【図7】ロワピースの製造方法において型締め工程の説明図である。
【図8】ロワピースの製造方法において型開き工程の説明図である。
【図9】ロワピースの製造方法において回転ユニット上昇工程の説明図である。
【図10】ロワピースの製造方法においてコア回転工程の説明図である。
【図11】ロワピースの製造方法において成形品取り出し工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
〔樹脂製インテークマニホールドの説明〕
図1〜図3に示すように、樹脂製インテークマニホールド1は、アッパピース10、ミドルピース12、ロワピース14などから構成されている。また、図4に示すように、アッパピース10は、ミドルピース12に対し図面上側に配置され、図面上側に位置する各分岐通路16の上半殻部を構成する。また、ミドルピース12は、アッパピース10に対して図面下側に配置され、サージタンク18の上半殻部を構成すると共に、サージタンク18の図面上側に位置する各分岐通路16の下半殻部を構成する。さらに、ロワピース14は、ミドルピース12に対して図面下側に配置され、サージタンク18の下半殻部を構成すると共に、サージタンク18の図面下側に位置する各分岐通路16を構成する。アッパピース10とミドルピース12とロワピース14は、それぞれ合成樹脂を材料として射出成形により所定の形状に形成されている。
【0022】
なお、図1は樹脂製インテークマニホールド1の正面図であり、図2は図1に示す樹脂製インテークマニホールド1の右側面図であり、図3は樹脂製インテークマニホールド1の分解図であり、図4は、図1のA−A断面図である。また、ミドルピース12は本発明における「第1ピース」の一例であり、ロワピース14は本発明における「第2ピース」の一例である。
【0023】
分岐通路16は、サージタンク18に連通し、当該サージタンク18から分岐して湾曲形状に形成され、複数形成されている。ここでは一例として、分岐通路16は4本形成されている。分岐通路16のうち、サージタンク18に対して図4の図面下側に位置する部分は、ロワピース14に備わる湾曲管路20により形成されている。また、分岐通路16のうち、サージタンク18に対して図4の図面上側に位置する部分は、アッパピース10とミドルピース12とにより形成されている。そして、サージタンク18は、図4に示すように、ミドルピース12とロワピース14との間に形成され、湾曲した分岐通路16の内側に内包されるように配置されている。
【0024】
また、図1や図2に示すように、樹脂製インテークマニホールド1には、スロットル装置(不図示)を固定するためのフランジ22が形成されている。このフランジ22には、内部のサージタンク18に通じる吸気導入口24が形成されている。また、図2に示すように、樹脂製インテークマニホールド1には、EGRパイプ(不図示)を取り付けるためのフランジ26が形成されている。このフランジ26には、内部のサージタンク18に通じるEGRガス導入口28が形成されている。
【0025】
また、図1や図2に示すように、樹脂製インテークマニホールド1には、ブローバイガス還元用パイプ(不図示)を取り付けるための管継手30が形成されている。この管継手30は、内部のサージタンク18に通じる。さらに、図1に示すように、樹脂製インテークマニホールド1には、ブレーキブースター(不図示)に負圧を供給する負圧パイプ(不図示)を取り付けるための管継手32が形成される。この管継手32は、内部のサージタンク18に通じる。
【0026】
このような構造の樹脂製インテークマニホールド1には、不図示のエアクリーナで濾過された吸気が、不図示のスロットル装置を通り、吸気導入口24からサージタンク18内に導入される。そして、サージタンク18内に導入された吸気は、各分岐通路16に分配され、各分岐通路16を通ってエンジンの各気筒(不図示)にそれぞれ供給される。
【0027】
また、このような構造の樹脂製インテークマニホールド1は、アッパピース10とミドルピース12とロワピース14とを互いに組み合わせて、振動溶着により互いに接合させて一体化させることにより製造される。
【0028】
なお、アッパピース10とミドルピース12とが一体成形されたピースを使用する場合も考えられる。この場合には、アッパピース10とミドルピース12とが一体成形されたピースが本発明における「第1ピース」の一例となる。
【0029】
〔ロワピースの構造の説明〕
次に、このような樹脂製インテークマニホールド1を構成する各ピースのうちロワピース14について説明する。図5や図6に示すように、ロワピース14は、湾曲管路20の一方の開口部に通路口34が形成され、湾曲管路20の他方の開口部に通路口36が形成されている。そして、ロワピース14の通路口34側に形成された部分は、ミドルピース12に形成されたサージタンク18の上半殻部に対応する下半殻部を構成している。また、ロワピース14の通路口36は、ミドルピース12に形成された通路口38と接合している(図4参照)。そして、サージタンク18の長手方向、すなわち、サージタンク18内に導入される吸気の流れ方向について、4本の湾曲管路20が横並びに配列され、当該4本の湾曲管路20の通路口34と通路口36とが各々横並びに配列されている。なお、図5はロワピース14の正面図であり、図6は図5のB−B断面図である。また、通路口34は、本発明における「接続口」の一例である。
【0030】
また、ロワピース14は、図4や図6に示すように、通路口34からミドルピース12側に向かって立ち上がるようにして設けられる周壁40を備えている。この周壁40は、サージタンク18の側壁の一部を構成しており、図5に示すようにサージタンク18の周囲を囲むようにして形成されている。
【0031】
そして、図5に示すように、周壁40のミドルピース12側の先端面には、周壁40の形状に沿って溶着ライン42が形成されている。この溶着ライン42は、ミドルピース12に形成された溶着ライン44(図4参照)に接して溶着される。また、通路口36の周囲に形成されたフランジ部46には、溶着ライン48が形成されている。この溶着ライン48は、ミドルピース12に形成された溶着ライン50(図4参照)に接して溶着される。
【0032】
このような構造のロワピース14は、後述するように樹脂による一体成形品である。そのため、複数のピースからなる従来のロワピースを製造するときに必要であった複数のピースを溶着する工程が不要になる。
【0033】
また、本実施例のロワピース14は、周壁40の一部として、図4〜図6に示すように、湾曲管路20の湾曲形状の内周側にて、通路口34から(アッパピース10とミドルピース12とロワピース14との配列方向について)ミドルピース12側に向かって立ち上がるようにして設けられた壁部52を備えている。この壁部52は、通路口34からミドルピース12側に直立して形成されている。これにより、湾曲管路20の内周側では、サージタンク18の底壁となる部分が形成されていない。このようにして、通路口34から直接的に壁部52がサージタンク18の側壁を構成している。そのため、サージタンクの底壁が形成された従来のロワピースに比べて、本実施例のロワピース14はサージタンク18の短手方向(図4〜図6の左右方向)の幅を小さくすることができる。したがって、本実施例のロワピース14によれば、サージタンク18の容積を低減することができる。
【0034】
さらに、壁部52は、図5に示すように、サージタンク18の流路の長手方向(すなわち、4本の湾曲管路20の配列方向)について直線形状に形成されている。これにより、サージタンク18の流路の長手方向について、当該流路の短手方向の幅が一定となっている。したがって、本実施例のロワピース14によれば、サージタンク18の容積を効果的に低減することができる。
【0035】
〔ロワピースの製造方法の説明〕
次に、図7〜図11を使用して、このような構造のロワピース14の製造方法について説明する。ロワピース14を製造するための製造装置54は、図7に示すように、第1成形型56と、回転ユニット型58と、第2成形型60などから構成される。回転ユニット型58は、回転コア62とスライド機構64などを備える。そして、回転コア62は、湾曲形状に形成された部分を有し、後述するように湾曲管路20を形成する成形型である。また、回転コア62の外周面72の外側に第1成形型56が配置され、回転コア62の内周面の70の内側に第2成形型60が配置されている。
【0036】
まず、型締め工程として、図7に示すように、第1成形型56と第2成形型60とを閉じた状態にする。このとき、第1成形型56の凹部66と第2成形型60の凸部68との間に回転コア62を配置する。そして、第1成形型56の凹部66の内面と第2成形型60の凸部68の外面と、回転コア62の外面(内周面70と外周面72と両側面(不図示)とで形成される面)で、キャビティ74が形成される。そして、このキャビティ74の内部に溶融させた樹脂を射出して、当該樹脂を所定温度まで冷却させる。これにより、所定の形状のロワピース14を形成する。このとき、第2成形型60によりロワピース14の壁部52を形成する。
【0037】
このように、回転コア62によりロワピース14の湾曲管路20を形成し、第1成形型56によりロワピース14(湾曲管路20)の外周を形成し、第2成形型60により湾曲管路20の一部と壁部52などを形成する。
【0038】
次に、型開き工程として、図8に示すように、回転ユニット型58と第2成形型60とを下降させて、第1成形型56から回転ユニット型58と第2成形型60とを離間させる。なお、第1成形型56を上昇させて、回転ユニット型58と第2成形型60とから第1成形型56を離間させてもよい。
【0039】
次に、回転ユニット上昇工程として、不図示のエジェクタ機構により、図9に示すように、スライド機構64を第2成形型60に対して相対的に上昇させる。これにより、回転ユニット型58とともに前記の型締め工程にて形成したロワピース14も回転コア62に保持された状態で上昇し、回転コア62とロワピース14とが第2成形型60から離間する。そして、回転コア62と第2成形型60の間に、詳しくは、回転コア62に保持されたロワピース14の壁部52と第2成形型60の間に空間76を設けることができる。なお、スライド機構64を第2成形型60に対して上昇させる代わりに、第2成形型60をスライド機構64に対して下降させてもよい。
【0040】
次に、コア回転工程として、図10に示すように、ロワピース14をスライド機構64に保持したままの状態で、ロワピース14に対して相対的に回転コア62を回転させる。これにより、ロワピース14と回転コア62との保持状態が解除される。ここで、前記のように、回転ユニット上昇工程において、空間76を設けている。そのため、回転コア62の一部をこの空間76内に移動させながら、当該回転コア62を回転させることができる。したがって、前記の型締め工程にて壁部52を形成する第2成形型60に回転コア62が阻まれることなく、当該回転コア62をロワピース14に対して確実に相対的に回転させることができる。
【0041】
次に、成形品取り出し工程として、図11に示すように、ロワピース14をスライド機構64から外しながら回転コア62に対して相対的に回転させることにより、当該ロワピース14を取り出す。ここで、前記のように回転ユニット上昇工程にて、回転コア62とともにロワピース14も第2成形型60から離間させているので、容易にロワピース14を取り出すことができる。そのため、ロワピース14を押し出して取り出すためのエジェクタ機構を設ける必要がない。以上のようにして、ロワピース14を製造する。
【0042】
〔本実施例の効果〕
本実施例によれば、ロワピース14は、湾曲管路20の湾曲形状の内周側にて湾曲管路20とサージタンク18との通路口34からミドルピース12側に向かって形成されサージタンク18の側壁を構成する壁部52を備える。これにより、湾曲管路20の湾曲形状の内周側では、湾曲管路20とサージタンク18との通路口34から直接的にサージタンク18の側壁が形成される。したがって、サージタンク18の容積を低減することができる。また、ロワピース14を形成する成形型の小型化やロワピース14の軽量化も図ることができる。
【0043】
また、ロワピース14は、樹脂による一体成形品である。そのため、複数のピースを接合した形成した従来のロワピースに比べて、複数のピースを接合する工程を省くことができる。したがって、製造コストの低減を図ることができる。
【0044】
また、壁部52は、複数の湾曲管路20の配列方向について直線形状に形成されている。これにより、サージタンク18の容積をより確実に低減することができる。
【0045】
また、樹脂で形成したロワピース14を回転コア62に保持させた状態で回転コア62を第2成形型60から離間させる回転ユニット上昇工程を有する。これにより、コア回転工程にて、回転コア62を第2成形型60に阻まれることなく確実に回転させることができ、ロワピース14を回転コア62から確実に取り出すことができる。そのため、サージタンク18の容積を低減することができるロワピース14を、確実に樹脂による一体成形品として製造することができる。
【0046】
また、成形型の内部において回転に必要な空間を最小限にすることができる。そのため、成形型の強度が増すので、成形型のたわみによりバリ等の不具合が発生することを抑制し、かつ、成形型の寿命の向上を図ることができる。
【0047】
また、ロワピース14を押し出して取り出すためのエジェクタ機構を設ける必要がないので、当該エジェクタ機構を設けるスペースを省くことができ、エジェクタ機構を設けることによるロワピース14の大型化を抑制することができる。
【0048】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0049】
1 樹脂製インテークマニホールド
10 アッパピース
12 ミドルピース
14 ロワピース
16 分岐通路
18 サージタンク
20 湾曲管路
34 通路口
36 通路口
40 周壁
52 壁部
54 製造装置
56 第1成形型
58 回転ユニット型
60 第2成形型
62 回転コア
64 スライド機構
74 キャビティ
76 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ピースと第2ピースとを有し、前記第1ピースと前記第2ピースとの間にサージタンクが形成され、前記サージタンクに連通する分岐通路が形成される樹脂製インテークマニホールドにおいて、
前記第2ピースは、樹脂による一体成形品であり、前記分岐通路の一部を形成する湾曲形状の湾曲管路と、前記湾曲管路の湾曲形状の内周側にて前記湾曲管路と前記サージタンクとの接続口から前記第1ピース側に向かって形成され前記サージタンクの側壁を構成する壁部とを備えること、
を特徴とする樹脂製インテークマニホールド。
【請求項2】
請求項1の樹脂製インテークマニホールドにおいて、
前記湾曲管路は複数配列されており、
前記壁部は、前記湾曲管路の配列方向について直線形状に形成されていること、
を特徴とする樹脂製インテークマニホールド。
【請求項3】
請求項1または2の樹脂製インテークマニホールドにおいて、
前記第2ピースは、前記湾曲管路を形成する湾曲形状の回転コアと前記回転コアの外周面の外側に配置される第1成形型と前記回転コアの内周面の内側に配置される第2成形型との間で形成されるキャビティの内部に樹脂を射出して形成され、前記回転コアに保持された状態で前記回転コアを前記第2成形型から離間させた後に相対的に回転させ、その後、前記回転コアから取り出されて製造されたものであること、
を特徴とする樹脂製インテークマニホールド。
【請求項4】
第1ピースと第2ピースとを有し、前記第1ピースと前記第2ピースとの間でサージタンクが形成され、前記サージタンクに連通する分岐通路が形成される樹脂製インテークマニホールドの製造方法において、
前記第2ピースは、樹脂による一体成形品であり、前記分岐通路の一部を形成する湾曲形状の湾曲管路と、前記湾曲管路の湾曲形状の内周側にて前記湾曲管路と前記サージタンクとの接続口から前記第1ピース側に向かって形成され前記サージタンクの側壁を構成する壁部とを備えており、
前記湾曲管路を形成する湾曲形状の回転コアと前記回転コアの外周面の外側に配置される第1成形型と前記回転コアの内周面の内側に配置される第2成形型との間で形成されるキャビティの内部に樹脂を射出することにより前記第2ピースを形成する工程と、
前記第2ピースを前記回転コアに保持させた状態で前記回転コアを前記第2成形型から離間させる工程と、
前記第2ピースに対して前記回転コアを相対的に回転させる工程と、
前記第2ピースを前記回転コアから取り出す工程と、
前記回転コアから取り出した前記第2ピースと前記第1ピースとを接合する工程と、を有すること、
を特徴とする樹脂製インテークマニホールドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−251518(P2012−251518A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126347(P2011−126347)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)