説明

樹脂製インテークマニホールド

【課題】強度を確保しつつ軽量化を図ることができる樹脂製インテークマニホールドを提供すること。
【解決手段】本発明は、樹脂製インテークマニホールド1において、分岐通路16の内周部34よりも内側にて、複数の分岐通路16の配列方向に沿ってサージタンク20の周壁60と分岐通路16の周壁62との間を接続するように形成される第1リブ58と、第1リブ58とサージタンク20の周壁60と分岐通路16の周壁62とで囲まれるようにして形成される空洞部64と、第1リブ58に直交しサージタンク20の周壁60と分岐通路16の周壁62との間を接続するように形成される第2リブ68と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気系に設けられるインテークマニホールドに係り、詳しくは、樹脂成形された樹脂製インテークマニホールドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、全体が複数のピースを組み合わせて構成される樹脂製のインテークマニホールドが開示されている。そして、このインテークマニホールドは、サージタンクと、サージタンクから分岐した分岐通路と、分岐通路の湾曲した内側に配置される閉塞空間とを備えており、複数のピースの各溶着部が溶着の際の加圧方向に沿って一列に配列されること、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−209762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の樹脂製インテークマニホールドでは、複数のピースを溶着してロワピースを形成した上で、さらに、当該ロワピースとアッパピースとミドルピースとを溶着してサージタンクや分岐通路を形成する。そのため、溶着工数の増加によりコストが増加してしまう。
【0005】
また、溶着部の強度を確保するためには、溶着部を肉厚にして振動溶着時の印加荷重に対する変形を防止することが考えられるが、余分に樹脂の量が必要になるので樹脂製インテークマニホールドの重量が増加してしまう。特に、特許文献1の樹脂製インテークマニホールドでは、隔壁の縁部の溶着ラインの下側にさらに壁部が形成されており、樹脂製インテークマニホールドの重量がさらに増加してしまう。さらに、サージタンクの周壁は、サージタンクの内部の気体の圧力により変形しないように強度を確保することが必要である。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、強度を確保しつつ軽量化を図ることができる樹脂製インテークマニホールドを提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、吸気導入口から空気を導入するサージタンクと前記サージタンクに連通しエンジンの複数の気筒に前記空気を分配させる複数の湾曲形状の分岐通路とを有し、前記サージタンクは前記分岐通路の内周部よりも内側に形成される樹脂製インテークマニホールドにおいて、前記分岐通路の内周部よりも内側にて、複数の前記分岐通路の配列方向に沿って前記サージタンクの周壁と前記分岐通路の周壁との間を接続するように形成される第1リブと、前記第1リブと前記サージタンクの周壁と前記分岐通路の周壁とで囲まれるようにして形成される空洞部と、前記第1リブに直交し前記サージタンクの周壁と前記分岐通路の周壁との間を接続するように形成される第2リブと、を有することを特徴とする。
【0008】
この態様によれば、複数の分岐通路の配列方向に沿って第1リブとサージタンクの周壁と分岐通路の周壁とで囲まれるようにして形成される空洞部を有するので、樹脂製インテークマニホールドの軽量化を図ることができる。
【0009】
また、分岐通路の内側にてサージタンクの周壁と分岐通路の周壁との間を接続するように形成され複数の分岐通路の配列方向に沿って形成される第1リブと、第1リブに直交しサージタンクの周壁と分岐通路の周壁との間を接続するように形成される第2リブと、を有する。このように、サージタンクの周壁と分岐通路の周壁との間において、互いに直交する第1リブと第2リブとを有するので、サージタンクの内部の気体の圧力によりサージタンクの周壁が変形することを抑制できる。そのため、サージタンクの内部の気体に対する耐久性が向上し、樹脂製インテークマニホールドの強度を確保できる。
【0010】
上記の態様においては、前記分岐通路の一部を構成する湾曲形状の吸気管路部の外側の部分を形成する第1ピースと、前記第1ピースと溶着し前記吸気管路部の内側の部分を形成する第2ピースと、を有し、前記第2ピースは前記第1リブと前記空洞部と前記第2リブとを備え、前記第1リブは複数の前記分岐通路の配列方向の中央部にて前記空洞部に連通する開口部を備えること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、分岐通路の一部を構成する湾曲形状の吸気管路部の外側の部分を形成する第1ピースと、第1ピースと溶着し吸気管路部の内側の部分を形成する第2ピースと、を有する。そして、第2ピースは第1リブと空洞部と第2リブとを備える。そして、第1リブは、複数の分岐通路の配列方向の中央部にて空洞部に連通する開口部を備える。これにより、第1ピースと第2ピースとを溶着するための溶着治具を、第1リブの開口部から挿入して空洞部を介して第2ピースに密着させることができる。そのため、第1ピースと第2ピースとの溶着時において、溶着治具を確実に保持することができ、第1ピースと第2ピースとを確実に溶着することができる。したがって、樹脂製インテークマニホールドの溶着部の強度が向上する。
【0012】
上記の態様においては、前記第2ピースと溶着する第3ピースを有し、前記サージタンクは、前記第2ピースに備わる第1サージタンク形成部と前記第3ピースに備わる第2サージタンク形成部とが溶着して形成され、前記分岐通路は、前記第2ピースに備わる前記吸気管路部の通路口と前記第3ピースに備わり前記第2サージタンク形成部に連通する湾曲管路部とが溶着して形成され、前記吸気管路部の通路口と前記湾曲管路部とが溶着する第1溶着部は、前記第1サージタンク形成部と前記第2サージタンク形成部とが溶着する第2溶着部よりも前記第3ピース側の位置に配置され、前記第2リブは、前記第1溶着部と前記第2溶着部との間を接続するように形成されていること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、第2ピースと溶着する第3ピースを有する。そして、サージタンクは、第2ピースに備わる第1サージタンク形成部と第3ピースに備わる第2サージタンク形成部とが溶着して形成される。また、分岐通路は、第2ピースに備わる吸気管路部の通路口と第3ピースに備わり第2サージタンク形成部に連通する湾曲管路部とが溶着して形成される。また、吸気管路部の通路口と湾曲管路部とが溶着する第1溶着部は、第1サージタンク形成部と第2サージタンク形成部とが溶着する第2溶着部よりも第3ピース側の位置に配置されている。そして、第2リブは、第1溶着部と第2溶着部との間を接続するように形成されている。これにより、第2ピースと第3ピースとの溶着時に、第1溶着部に印加される荷重に対する耐久性が向上する。そのため、樹脂製インテークマニホールドの溶着部の強度がさらに向上する。
【0014】
上記の態様においては、前記第2ピースは、前記開口部から挿入する溶着治具の先端の凸部と嵌合させることができる凹部を備えていること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、第2ピースは開口部から挿入する溶着治具の先端の凸部と嵌合させることができる凹部を備えているので、第1ピースと第2ピースとをより確実に溶着することができる。
【0016】
本発明に係る樹脂製インテークマニホールドによれば、強度を確保しつつ軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】樹脂製インテークマニホールドの正面図である。
【図2】図1に示す樹脂製インテークマニホールドを図面右側から見た図である。
【図3】図1に示す樹脂製インテークマニホールドを図面左側から見た図である。
【図4】図1に示す樹脂製インテークマニホールドを図面上側から見た図である。
【図5】図1のA−A断面図である。
【図6】樹脂製インテークマニホールドの分解図である。
【図7】樹脂製インテークマニホールドからロワピースを取り外した状態の図であって、ミドルピースにおけるロワピースとの接合面側から見た図である。
【図8】アッパピースとミドルピースとを図7の左側から見たときの図である。
【図9】図7のB−B断面図である。
【図10】図7のC−C断面図である。
【図11】ミドルピースを形成するときの成形型の配置を示す図である。
【図12】アッパピースとミドルピースとを溶着するときの溶着治具の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0019】
〔樹脂製インテークマニホールドの説明〕
まず、樹脂製インテークマニホールド1の全体の概要について説明する。ここで、図1は樹脂製インテークマニホールド1の正面図である。また、図2は図1に示す樹脂製インテークマニホールド1を図面右側から見た図であり、図3は図1に示す樹脂製インテークマニホールド1を図面左側から見た図であり、図4は図1に示す樹脂製インテークマニホールド1を図面上側から見た図である。また、図5は図1のA−A断面図であり、図6は樹脂製インテークマニホールド1の分解図である。
【0020】
図1〜図6に示すように、樹脂製インテークマニホールド1は、アッパピース10、ミドルピース12、ロワピース14などから構成されている。また、図5に示すように、アッパピース10は、ミドルピース12に対し図面上側に配置され、図面上側に位置する各分岐通路16の上半殻部を構成する。すなわち、アッパピース10は、分岐通路16の一部を構成する湾曲形状の吸気管路部18の外側の部分を形成している。なお、アッパピース10は本発明における「第1ピース」の一例であり、ミドルピース12は本発明における「第2ピース」の一例であり、ロワピース14は本発明における「第3ピース」の一例である。
【0021】
ミドルピース12は、アッパピース10に対して図5の図面下側に配置され、サージタンク20の上半殻部を構成するサージタンク形成部22を備えている。また、ミドルピース12は、サージタンク20の図5の図面上側に位置する各分岐通路16の下半殻部を構成する。すなわち、ミドルピース12は、分岐通路16の一部を構成する湾曲形状の吸気管路部18の内側の部分を形成している。なお、サージタンク形成部22は、本発明における「第1サージタンク形成部」の一例である。
【0022】
また、ミドルピース12は、サージタンク形成部22にて、ロワピース14のサージタンク形成部24と溶着する溶着部26を備えている。さらに、ミドルピース12は、吸気管路部18の通路口28にて、ロワピース14の湾曲管路部30と溶着する溶着部32を備えている。そして、溶着部32は、溶着部26よりもロワピース14側の位置に配置されている。なお、溶着部32は本発明における「第1溶着部」の一例であり、溶着部26は本発明における「第2溶着部」の一例である。
【0023】
ロワピース14は、ミドルピース12に対して図5の図面下側に配置され、サージタンク20の下半殻部を構成するサージタンク形成部24を備えている。また、ロワピース14は、サージタンク20の図5の図面下側に位置する各分岐通路16の一部を構成し、サージタンクと吸気管路部18との間を連通させる湾曲管路部30を備えている。なお、サージタンク形成部24は、本発明における「第2サージタンク形成部」の一例である。
【0024】
以上のようなアッパピース10とミドルピース12とロワピース14は、それぞれ合成樹脂を材料として射出成形により所定の形状に形成されている。
【0025】
分岐通路16は、サージタンク20に連通し、当該サージタンク20から分岐して湾曲形状に形成され、複数形成されている。ここでは一例として、分岐通路16は4本形成されている。分岐通路16のうち、サージタンク20に対して図5の図面下側に位置する部分は、ロワピース14に備わる湾曲管路部30により形成されている。また、分岐通路16のうち、サージタンク20に対して図5の図面上側に位置する吸気管路部18は、アッパピース10とミドルピース12とにより形成されている。
【0026】
サージタンク20は、図5に示すように、ミドルピース12とロワピース14との間に形成され、分岐通路16の内周部34の内側に内包されるように形成されている。また、サージタンク20は、後述する図7に示すように、吸気導入口38に連通し流路軸線L1が湾曲形状に形成された導入流路部35と、この導入流路部35に連通し流路軸線L2が直線形状に形成された主流路部37とを備えている。ここで、流路軸線L1は導入流路部35の中心軸線であり、流路軸線L1は主流路部37の中心軸線である。
【0027】
また、図1などに示すように、樹脂製インテークマニホールド1には、スロットル装置(不図示)を固定するためのフランジ36が形成されている。このフランジ36には、内部のサージタンク20に通じる吸気導入口38が形成されている。また、図2に示すように、樹脂製インテークマニホールド1には、EGRパイプ(不図示)を取り付けるためのフランジ40が形成されている。このフランジ40には、内部のサージタンク20に通じるEGRガス導入口42が形成されている。
【0028】
また、図1などに示すように、樹脂製インテークマニホールド1には、エンジン(不図示)のクランクケース(不図示)からブローバイガスを還流させるために使用するブローバイガス還元用パイプ(不図示)を取り付けるためのPCV(Positive Crankcase Ventilation)パイプ44(管継手)が形成されている。このPCVパイプ44は、アッパピース10に一体的に形成されている。また、このPCVパイプ44は、後述するPCV通路46(図7参照)を介して内部のサージタンク20に通じている。そして、ブローバイガス還元用パイプからPCVパイプ44に導入されたブローバイガスは、PCVパイプ44に連通するPCV通路46を介して、サージタンク20の内部に導入される。
【0029】
さらに、図1などに示すように、樹脂製インテークマニホールド1には、ブレーキブースター(不図示)に負圧を導入する負圧パイプ(不図示)を取り付けるための管継手48が形成される。この管継手48は、内部のサージタンク20に通じる。
【0030】
このような構造の樹脂製インテークマニホールド1には、不図示のエアクリーナで濾過された空気(吸入空気)が、不図示のスロットル装置を通り、吸気導入口38からサージタンク20の内部に導入される。そして、サージタンク20の内部に導入された空気は、PCV通路46を介してサージタンク20の内部に導入されるブローバイガスや、EGRガス導入口42からサージタンク20の内部に導入されるEGRガスなどの空気以外のガスと混合される。その後、空気と空気以外のガスとの混合ガスが各分岐通路16に分配され、各分岐通路16を通ってエンジンの各気筒(不図示)にそれぞれ導入される。
【0031】
また、このような構造の樹脂製インテークマニホールド1は、アッパピース10とミドルピース12とロワピース14とを互いに組み合わせて、振動溶着により互いに接合させて一体化させることにより製造される。
【0032】
〔ミドルピースの説明〕
次に、このような樹脂製インテークマニホールド1を構成する各ピースのうちミドルピース12について説明する。ここで、図7は、樹脂製インテークマニホールド1からロワピース14を取り外した状態の図であって、ミドルピース12におけるロワピース14との接合面側から見た図である。
【0033】
図7に示すように、ミドルピース12におけるロワピース14との接合面側には、エンジン(不図示)のシリンダヘッド(不図示)に固定されるフランジ50が形成されている。このフランジ50には、4気筒エンジンに対応する4つの吸気導出口52が横並びに形成されている。また、このフランジ50の縁部には、シリンダヘッドへの固定のための複数の取付孔54が形成されている。更に、ミドルピース12におけるロワピース14との接合面側には、サージタンク20の上半殻部を構成する凹形状のサージタンク形成部22が形成されている。このサージタンク形成部22を挟んでフランジ50と反対側には、各分岐通路16に対応する4つの通路口28が横並びに形成されている。また、ミドルピース12の中央部には、前記の管継手48に対応してサージタンク20に連通するガス導入孔56が形成されている。
【0034】
なお、後述するように、ミドルピース12は、第1リブ58と空洞部64と第2リブ68とを備えている(図7〜図10参照)。
【0035】
〔サージタンクの周壁と分岐通路の周壁との間の構造の説明〕
次に、図7〜図10を用いて、このミドルピース12におけるサージタンク20の周壁と分岐通路16の周壁(通路口28)との間の構造について説明する。ここで、図8は図7を左側から見た側面図であり、図9は図7のB−B断面図であり、図10は図7のC−C断面図である。
【0036】
図7と図8に示すように、分岐通路16の内周部34よりも内側にて、第1リブ58が、サージタンク20の短手方向(流路軸L2に直交する方向、図7の上下方向、図8の左右方向)について、サージタンク20の周壁60と分岐通路16の周壁62との間を接続するように形成されている。この第1リブ58は、図7に示すように、4つの通路口28の配列方向に沿って4つの通路口28にわたって形成されている。また、第1リブ58は、図8に示すように図面左右方向に横長である平板形状に形成されており、図面左右方向についてサージタンク20の周壁60と通路口28の周壁62との間を繋いでいる。
【0037】
そして、図8と図9に示すように、空洞部64がサージタンク20の周壁60と分岐通路16の周壁62と第1リブ58とで囲まれるようにして形成されている。そして、この空洞部64は、4つの通路口28の配列方向(図9の左右方向)に沿って形成されている。このように、空洞部64が形成されているので、ミドルピース12の軽量化を図るこ
とができ、また、余分な樹脂を排除してコストを低減することができる。
【0038】
また、図7と図9に示すように、第1リブ58は、4つの通路口28の配列方向(サージタンク20の流路軸L2の方向)の中央部に開口部66を備え、当該開口部66の両端部に第2リブ68が形成されている。この第2リブ68は、図9に示すように第1リブ58と直交するように形成されている。また、第2リブ68は、サージタンク20の周壁60と分岐通路16の周壁62との間を接続するように、さらに詳細には溶着部26と溶着部32との間を接続するように形成されている。このように互いに直交する第1リブ58と第2リブ68とを有するので、サージタンク20の周壁60においてサージタンク20の内部の気体の圧力による応力集中を回避することができ、樹脂製インテークマニホールド1の耐圧性が向上する。
【0039】
また、第2リブ68は、第1リブ58の位置を境にして、空洞部64が形成される側に形成される第1部分70と、ロワピース14が配置される側の第2部分72とを備えている。ここで、ミドルピース12とロワピース14との溶着部分として、溶着部26と溶着部32とを備えている。そして、図10に示すように、ミドルピース12とロワピース14との配列方向について、溶着部32は溶着部26よりもロワピース14側に突出しており、溶着部26と溶着部32との間に段差を有している。そこで、第2リブ68の第2部分72は、このように段差を有する溶着部26と溶着部32との間を接続するように形成されている。そして、この第2部分72は、図8に示すように、4つの通路口28の配列方向から見たときに台形または三角形の形状に形成されている。このような第2部分72が形成されていることにより、ミドルピース12とロワピース14とを溶着するときに、ミドルピース12の溶着部32に印加される荷重に対する耐久性を備えることができる。
【0040】
このようなミドルピース12を製造するときの成形型の配置図を図11に示す。図11に示すように、第1成形型74と第2成形型76と第1スライド型78と第2スライド型80と第3成形型82との間に、キャビティ84が形成される。そして、このキャビティ84の内部に溶融させた樹脂を射出して、当該樹脂を所定温度まで冷却させる。より詳細には、図11に示すように、第1成形型74と第2成形型76との間に第1スライド型78と第2スライド型80とを両側から挿入して配置し、第3成形型82を第2成形型76の内部および開口部66を通して第1スライド型78と第2スライド型80との間に配置する。
【0041】
また、アッパピース10とミドルピース12とを溶着するときの溶着治具の配置図を図12に示す。図12に示すように、アッパピース10の上側に第1溶着治具86を配置し、ミドルピース12の空洞部64に両側から第2溶着治具88と第3溶着治具90を挿入して配置する。そして、第4溶着治具92を第1リブ58の開口部66から挿入し空洞部64を通して、第2溶着治具88と第3溶着治具90との間に配置する。このとき、第4溶着治具92の先端の凸部94を、ミドルピース12において4つの分岐通路16のうちの中央の2つの分岐通路16の間に形成された凹部96に嵌合させる。以上のように各溶着治具を配置して、振動溶着によりミドルピース12の溶着部98にてアッパピース10と溶着する。
【0042】
このように各溶着治具を配置することにより、アッパピース10とミドルピース12とを振動溶着により溶着するときに印加される荷重が作用しても各溶着治具を保持することができるので、溶着強度を確保することができる。
【0043】
〔本実施例の効果〕
本実施例によれば、複数の分岐通路16の配列方向に沿って第1リブ58とサージタンク20の周壁60と分岐通路16の周壁62とで囲まれるようにして形成される空洞部64を有するので、樹脂製インテークマニホールド1の軽量化を図ることができる。また、余分な樹脂を排除してコストを低減することができる。
【0044】
また、分岐通路16の内周部34の内側にてサージタンク20の周壁60と分岐通路16の周壁62との間を接続するように形成され複数の分岐通路16の配列方向に沿って形成される第1リブ58を有する。そして、第1リブ58に直交しサージタンク20の周壁60と分岐通路16の周壁62との間を接続するように形成される第2リブ68を有する。このように、サージタンク20の周壁60と分岐通路16の周壁62との間において、互いに直交する第1リブ58と第2リブ68とを有するので、サージタンク20の内部の気体の圧力によりサージタンク20の周壁60が変形することを抑制できる。そのため、サージタンク20の内部の気体に対する耐久性が向上し、樹脂製インテークマニホールド1の強度を確保できる。
【0045】
また、分岐通路16の一部を構成する湾曲形状の吸気管路部18の外側の部分を形成するアッパピース10と、アッパピース10と溶着し吸気管路部18の内側の部分を形成するミドルピース12と、を有する。そして、ミドルピース12は第1リブ58と空洞部64と第2リブ68とを備える。そして、第1リブ58は、複数の分岐通路16の配列方向の中央部にて空洞部64に連通する開口部66を備える。これにより、アッパピース10とミドルピース12とを溶着するための第4溶着治具92を、第1リブ58の開口部66から挿入して空洞部64を介してミドルピース12に密着させることができる。そのため、アッパピース10とミドルピース12との溶着時において、第1溶着治具86と第2溶着治具88と第3溶着治具90と第4溶着治具92とを確実に保持することができ、アッパピース10とミドルピース12とを確実に溶着することができる。したがって、樹脂製インテークマニホールド1の溶着部の強度が向上する。
【0046】
また、第2リブ68は、溶着部26と溶着部32との間を接続するように形成されている。これにより、ミドルピース12とロワピース14との溶着時に、溶着部32に印加される荷重に対する耐久性が向上する。そのため、樹脂製インテークマニホールド1の溶着部の強度がさらに向上する。
【0047】
また、ミドルピース12は開口部66から挿入する第4溶着治具92の先端の凸部94と嵌合させることができる凹部96を備えているので、アッパピース10とミドルピース12とをより確実に溶着することができる。
【0048】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0049】
1 樹脂製インテークマニホールド
10 アッパピース
12 ミドルピース
14 ロワピース
16 分岐通路
20 サージタンク
28 通路口
30 湾曲管路部
34 内周部
58 第1リブ
60 周壁
62 周壁
64 空洞部
66 開口部
68 第2リブ
74 第1成形型
76 第2成形型
78 第1スライド型
80 第2スライド型
82 第3成形型
86 第1溶着治具
88 第2溶着治具
90 第3溶着治具
92 第4溶着治具
94 凸部
96 凹部
98 溶着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気導入口から空気を導入するサージタンクと前記サージタンクに連通しエンジンの複数の気筒に前記空気を分配させる複数の湾曲形状の分岐通路とを有し、前記サージタンクは前記分岐通路の内周部よりも内側に形成される樹脂製インテークマニホールドにおいて、
前記分岐通路の内周部よりも内側にて、
複数の前記分岐通路の配列方向に沿って前記サージタンクの周壁と前記分岐通路の周壁との間を接続するように形成される第1リブと、
前記第1リブと前記サージタンクの周壁と前記分岐通路の周壁とで囲まれるようにして形成される空洞部と、
前記第1リブに直交し前記サージタンクの周壁と前記分岐通路の周壁との間を接続するように形成される第2リブと、
を有することを特徴とする樹脂製インテークマニホールド。
【請求項2】
請求項1の樹脂製インテークマニホールドにおいて、
前記分岐通路の一部を構成する湾曲形状の吸気管路部の外側の部分を形成する第1ピースと、
前記第1ピースと溶着し前記吸気管路部の内側の部分を形成する第2ピースと、を有し、
前記第2ピースは前記第1リブと前記空洞部と前記第2リブとを備え、
前記第1リブは複数の前記分岐通路の配列方向の中央部にて前記空洞部に連通する開口部を備えること、
を特徴とする樹脂製インテークマニホールド。
【請求項3】
請求項2の樹脂製インテークマニホールドにおいて、
前記第2ピースと溶着する第3ピースを有し、
前記サージタンクは、前記第2ピースに備わる第1サージタンク形成部と前記第3ピースに備わる第2サージタンク形成部とが溶着して形成され、
前記分岐通路は、前記第2ピースに備わる前記吸気管路部の通路口と前記第3ピースに備わり前記第2サージタンク形成部に連通する湾曲管路部とが溶着して形成され、
前記吸気管路部の通路口と前記湾曲管路部とが溶着する第1溶着部は、前記第1サージタンク形成部と前記第2サージタンク形成部とが溶着する第2溶着部よりも前記第3ピース側の位置に配置され、
前記第2リブは、前記第1溶着部と前記第2溶着部との間を接続するように形成されていること、
を特徴とする樹脂製インテークマニホールド。
【請求項4】
請求項2または3の樹脂製インテークマニホールドにおいて、
前記第2ピースは、前記開口部から挿入する溶着治具の先端の凸部と嵌合させることができる凹部を備えていること、
を特徴とする樹脂製インテークマニホールド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−32746(P2013−32746A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169671(P2011−169671)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)