説明

樹脂製コネクタの保護構造

【課題】強い衝撃などの外力がz軸方向と直行するy軸方向から作用しても樹脂製コネクタの取付配管側接続部の折損を確実に防止することができる樹脂製コネクタの保護構造を提供する。
【解決手段】軸線方向に延びる取付配管22の上流端部221と、この取付配管の上流端部と同じz軸上を延びる固定配管21の下流端部213とを流体流通可能に軸線方向に接続する樹脂製コネクタ1の保護構造として、樹脂製コネクタの幅広部11に対し嵌合する回り止めクランプ3の収容部32の上側に、樹脂製コネクタの外方においてその取付配管側端となる取付配管側接続部12の先端よりもz軸方向の若干上方位置まで先端が延びるように回り止めクランプの収容部を延設させた保護部33を一体的に設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の燃料系統や潤滑系統などにおいて流体を流通させる固定配管と取付配管とを軸線方向に接続する際に用いられる樹脂製コネクタを外力から保護するようにした樹脂製コネクタの保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等のエンジンルーム内のような狭いスペースにあっては、燃料系統や潤滑系統などに対し燃料や各種オイルなどの流体を給排する流体配管が配索されている。このような流体配管は、例えばエンジンルーム外からエンジンルーム内に導かれた固定配管と、この固定配管を燃料系統や潤滑系統などに導く取付配管とによって構成され、エンジン機器との干渉を回避しつつ配置されるようになっている。
【0003】
そして、上記固定配管の端部と取付配管の端部とが円滑に接続されるように、軸線方向に延びる固定配管の端部とこれと同じ軸線上を延びる取付配管の端部とをコネクタによって接続することが行われている。この場合、コネクタは、取付配管の端部を連結するように突出する雄状の連結口を軸線方向一側に備えているとともに、上記固定配管の端部を挿通して嵌合する雌状の嵌合口を軸線方向他側に備え、取付配管の端部を連結口に連結しつつ、嵌合口に対し固定配管の端部を挿通により嵌合して、固定配管の端部と取付配管の端部とが流体流通可能に接続されるようになっている。
【0004】
ところで、固定配管および取付配管がエンジンルーム内に配されていると、エンジンの挙動などによってコネクタが軸線(固定配管の端部と取付配管の端部とを接続する軸線)回りに回転するおそれがあり、このようにコネクタが軸線回りに回転すると、固定配管の端部とコネクタの嵌合口との間のシールに摩擦による負荷が作用したり、コネクタに弛みが生じ、固定配管の端部とコネクタの嵌合口との間のシール性能の悪化が危惧されることになる。
【0005】
そのため、従来より、コネクタの外周面を収容する収容部と、固定配管の直線部の軸芯方向の敷設側とは反対側となる反敷設側から敷設側に向かって突出し、固定配管をその屈曲部から直線部に跨って挟み込む挟み込み部とが一体的に設けられた回り止めクランプを用い、取付時に、固定配管の端部に取付配管の端部を接続したコネクタに対し固定配管の直線部の反敷設側から敷設側に回り止めクランプをスライド移動させて、収容部によりコネクタの外周面を収容するとともに、挟み込み部により固定配管をその屈曲部から直線部に跨って挟み込むことで、コネクタの軸線回りの回転を回り止めするようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、その他の回り止めクランプとしては、コネクタの小径部の外周面に接する第1押圧面、コネクタの大径部を収容する膨らみ、および固定配管の端部に接する第2押圧面を備えた板バネ状の上板と、この上板に対し開閉自在に組み付けられ、上記第1押圧面が接するコネクタの小径部の外周面に対しその半径方向反対側から接する第3押圧面、および上記第2押圧面が接する固定配管の端部に対しその半径方向反対側から接する第4押圧面を備えた板バネ状の下板とを具備し、下板が上板に対し保持手段によって弾性的に閉じられた状態を保持することで、コネクタの軸線回りの回転を弾性力によって回り止めするようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−227581号公報
【特許文献2】特開2001−221388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、通常、固定配管としては、剛性の高い金属製のパイプなどが適用されている一方、取付配管としては、可撓性のある樹脂製のパイプなどが適用されており、この固定配管および取付配管を接続するコネクタとしては、重量の軽量化を図る上で樹脂製のものが適用されている。
【0008】
その場合、このような樹脂製コネクタの取付配管側接続部(連結口)が、固定配管側接続部(嵌合口)とは軸線方向の異なる位置から突設されているため、この取付配管側接続部が可撓性のある柔らかい取付配管の端部によって覆われているものの、露呈した状態を呈する取付配管側接続部には外力が非常に作用しやすいものとなり、例えば生産工場の組み付け行程などにおいて、強い衝撃などの外力が樹脂製コネクタの取付配管側接続部に対し取付配管の軸線方向と直行する方向から誤って作用すると、樹脂製コネクタの取付配管側接続部が折損するおそれがあった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、強い衝撃などの外力が取付配管の軸線方向と直行する方向から作用しても樹脂製コネクタの取付配管側接続部の折損を効果的に防止することができる樹脂製コネクタの保護構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明では、軸線方向に延びる取付配管の端部と、この取付配管の端部と同じ軸線上を延びる固定配管の端部とを流体流通可能に軸線方向に接続する樹脂製コネクタの保護構造として、上記樹脂製コネクタに対し嵌合される部品に、取付配管の端部とこの端部を接続する樹脂製コネクタの取付配管側端との接続部分に対し少なくとも軸線方向の略半分位置まで延設された保護部を設けている。
【0011】
この特定事項により、可撓性のある樹脂製のパイプなどが適用された取付配管の端部を接続する樹脂製コネクタの取付配管側接続部は、樹脂製コネクタに対し嵌合された部品から取付配管の端部と樹脂製コネクタの取付配管側端との接続部分に対し少なくとも軸線方向の略半分位置まで延設された保護部によって保護されているので、樹脂製コネクタの取付配管側接続部が効果的に保護されることになる。そのため、例えば生産工場の組み付け行程などにおいて、固定配管側接続部とは軸線方向の異なる位置から突設されて露呈している樹脂製コネクタの取付配管側接続部に対し強い衝撃などの外力が取付配管の軸線方向と直行する方向から作用しようとしても、樹脂製コネクタの取付配管側接続部が保護部によって外力から円滑に保護されて、樹脂製コネクタの取付配管側接続部の折損を効果的に防止することが可能となる。
【0012】
特に、樹脂製コネクタに対し嵌合される部品の保護部を特定するものとして、以下の構成が掲げられる。
【0013】
つまり、樹脂製コネクタに対し嵌合される部品として、樹脂製コネクタに対し外方から嵌合され、かつその樹脂製コネクタの軸線回りの回転を防止する回り止めクランプを適用する。そして、上記回り止めクランプに、樹脂製コネクタの外方をその取付配管側端に対し先端が少なくとも軸線方向の同位置まで延びるように回り止めクランプを延設させた保護部を設けている。
【0014】
この特定事項により、樹脂製コネクタに嵌合された回り止めクランプから樹脂製コネクタの取付配管側端に対し先端が少なくとも軸線方向の同位置まで延びるように延設された保護部によって、樹脂製コネクタの取付配管側接続部が外方から覆われて保護されている
ので、樹脂製コネクタの取付配管側接続部に対し強い衝撃などの外力が取付配管の軸線方向と直行する方向から作用しても、その外力が回り止めクランプの端部より延びる保護部によって跳ね返されて樹脂製コネクタの取付配管側接続部に対して直接的に作用することがなく、樹脂製コネクタの取付配管側接続部の折損を確実に防止することが可能となる。
【0015】
しかも、回り止めクランプの端部を延ばした保護部によって樹脂製コネクタの取付配管側接続部が保護されることから、保護部を設けるに当たって回り止めクランプのみの形状変更だけで済み、固定配管および樹脂製コネクタを変更する必要がなくなって既存品との互換性および展開性を図ることが可能となる上、比較的安価に樹脂製コネクタの保護構造を提供することが可能となる。
【0016】
ここで、取付配管の端部を接続する樹脂製コネクタの取付配管側接続部よりも幅広な幅広部に回り止めクランプを略隙間なく接触させている場合には、取付配管の軸線方向と直行する方向から樹脂製コネクタの取付配管側接続部に対し強い衝撃などの外力が作用すると、その外力が回り止めクランプの保護部から樹脂製コネクタを介して剛性の高い固定配管に伝達され、この固定配管の弾性変形または塑性変形によって外力を円滑に吸収して、樹脂製コネクタの取付配管側接続部の折損をより確実に防止する上で非常に有利なものとなる。
【0017】
これに対し、樹脂製コネクタに対し嵌合される部品として、樹脂製コネクタに対し軸線方向から嵌合する固定配管の端部を適用し、この固定配管の端部に、樹脂製コネクタの内方をその取付配管側端に対し先端が少なくとも軸線方向の略半分位置まで延びるように固定配管の端部を延設させた保護部を設けている場合には、樹脂製コネクタの取付配管側接続部に対し強い衝撃などの外力が取付配管の軸線方向と直行する方向から作用しても、固定配管の端部を延ばした保護部によって樹脂製コネクタの取付配管側接続部の剛性が内部から高められているためにその取付配管側接続部に作用する外力が跳ね返され、樹脂製コネクタの取付配管側接続部の折損を効果的に防止する上で非常に有利なものとなる。
【0018】
しかも、固定配管の端部を延ばした保護部によって樹脂製コネクタの取付配管側接続部が保護されることから、保護部を設けるに当たって固定配管の端部を延ばすだけの形状変更で済み、樹脂製コネクタおよび回り止めクランプを変更する必要がなくなって既存品との互換性および展開性を図ることが可能となる上、比較的安価に樹脂製コネクタの保護構造を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上、要するに、樹脂製コネクタに対し嵌合される回り止めクランプや固定配管などの部品に、取付配管の端部と樹脂製コネクタの取付配管側端との接続部分に対し少なくとも軸線方向の略半分位置まで延設した保護部を設けることで、取付配管の軸線方向と直行する方向から作用する強い衝撃などの外力から露呈状態の樹脂製コネクタの取付配管側接続部を円滑に保護し、樹脂製コネクタの取付配管側接続部の折損を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1および図2は樹脂製コネクタの構造をx軸方向およびy軸方向から見た断面図であって、この樹脂製コネクタ1は、図示しないエンジンルーム外からエンジンルーム内に流体としての燃料を供給する燃料配管2上流側の固定配管21の下流端部213(一端)と、図示しない燃料噴射装置に下流端が接続された燃料配管2下流側の取付配管22の上流
端部221(一端)とを接続するものである。この場合、燃料配管2は、金属製の管(パイプ)よりなる上流側の固定配管21と、樹脂製の管(パイプ)よりなる下流側の取付配管22とによって構成されている。なお、燃料配管2の構成については、これに限定されるものではなく、金属製の管よりなる燃料配管下流側の固定配管と、樹脂製の管よりなる燃料配管上流側の取付配管とによって構成されていてもよく、その場合には、固定配管の上流端部と取付配管の下流端部とが樹脂製コネクタによって接続される。
【0022】
上記固定配管21は、上流端部が燃料タンク(図示せず)に接続され、下流端部213がエンジンルーム内のエンジン機器との干渉を回避しつつ図示しないエンジンのシリンダヘッド近傍まで導かれている。この固定配管21の上流側には燃料ポンプ(図示せず)が介設され、この燃料ポンプにより加圧された燃料が固定配管21を通って供給されるようになっている。そして、固定配管21は、x軸方向(図1に示す左右方向)に延びる直線部211から屈曲部212により略90゜上方へ屈曲して軸線方向としてのz軸方向(図1に示す上下方向)に下流端部213を延ばしている。この場合、固定配管21の下流端部213は、狭いスペース故に直線部211の軸芯方向で障害となるエンジンルーム内のオルタネータやインテークマニホールドなどのエンジン機器との干渉を回避する上で、屈曲部212によりz軸方向上方に向かって屈曲している。
【0023】
上記取付配管22は、シリンダヘッド近傍まで導かれた固定配管21の下流端部213を燃料噴射装置まで導いて接続するものであって、固定配管21により導かれた加圧燃料を燃料噴射装置に供給するようになっている。そして、取付配管22の上流端部221は、上記固定配管21の下流端部213と同じ軸線上となるz軸方向を下向きに延びて配されている。
【0024】
上記樹脂製コネクタ1は、z軸回りの外周面が互いに直角に交わる4面により構成された幅広な幅広部11を備えている。この樹脂製コネクタ1の幅広部11よりもz軸方向上側には、そのz軸方向上方に向かって略円筒形状に突設され、かつ上記取付配管22の上流端部221を被せて回転一体に接続する雄状の取付配管側接続部12が設けられている。また、樹脂製コネクタ1の幅広部11と取付配管側接続部12との間には、z軸方向に延びる円筒部13が設けられている。そして、上記幅広部11のz軸回りの内周面は円周状に形成され、上記固定配管21の下流端部213を挿通して嵌合する雌状の嵌合口としての固定配管挿入部14を備えている。この場合、樹脂製コネクタ1の幅広部11は、その外周面上において互いに対向する2面間の距離が取付配管側接続部12および円筒部13の外径よりも幅広となるように形成されている。
【0025】
上記固定配管挿入部14は、後述するリテーナ17を保持する筒状保持部15と、この筒状保持部15よりもz軸方向上側に設けられたシール部16とを備えている。上記筒状保持部15には、幅広部11の外周面上においてx軸方向で互いに対向する平板部分151,151と、幅広部11の外周面上においてy軸方向で互いに対向する円弧状部分152,152(図2に表れる)に形成された係合窓153とが設けられている。また、シール部16は、固定配管挿入部14に対し挿入された固定配管21の下流端部213をシールするフッ素ゴム等からなるOリング161,161を備えている。この各Oリング161は、z軸方向にカラー162を介して併設された状態で固定配管側接続部12の内周面に対し嵌め付けられている。
【0026】
また、上記筒状保持部15内にはガラス繊維強化ポリアミド製のリテーナ17が嵌め付けられており、このリテーナ17は、比較的柔軟であって弾性変形可能なように形成されている。リテーナ17は、z軸方向下側端部の周方向対称位置(図2では左右位置)に一対の係止部171a,171aが半径方向外側に突出して形成された断面略C字状の本体部171を備えている。この本体部171は、その周方向両端部間に比較的大きな隙間を
有している。また、本体部171の内面はz軸方向上側に向かって縮径する状態に形成されていて、本体部171のz軸方向上側端部の係合部172は固定配管21の下流端部213の外径とほぼ同じ内径寸法に形成され、固定配管21の外周面の下流端部213に設けられた環状係合突部215よりも小さい内径寸法に形成されている。上記本体部171のz軸方向下側端部には、上記各係止部171aと対応した位置からz軸方向下方側に向かって拡径方向に傾斜して延びる一対の操作アーム173,173が一体的に設けられていて、それぞれの操作アーム173,173のz軸方向下側端部には半径方向外側に突出する操作端部173a,173aが形成されている。また、上記本体部171の係合部172には、周方向に延びる係合スリット174,174が対向して形成されていて、このような構成のリテーナ17は、係止部171a,171aが筒状保持部15の係合窓153,153内に入り込み、操作端部173a,173aが筒状保持部15のz軸方向下側端と係合状態となるように、筒状保持部15内に押し込まれて嵌め付けられている。
【0027】
そして、樹脂製コネクタ1の固定配管挿入部14に対し挿入された固定配管21は、環状係合突部215がリテーナ17の本体部171を押し広げて進行し、係合スリット174,174に嵌り込んでスナップ係合するまで樹脂製コネクタ1に押し込まれている。固定配管21は、環状係合突部215がリテーナ17の本体部171の係合スリット174,174に嵌り込んでスナップ係合することにより、樹脂製コネクタ1に対して抜け止めされ、また挿入止めされる。すなわち、z軸方向に位置決めされる。固定配管21の下流端部213は、シール部16の各Oリング161を越えて円筒部13内の円筒状連絡部131に達し、固定配管21の下流端部213と樹脂製コネクタ1の固定配管挿入部14の内周面との間は上記各Oリング161により密封され、樹脂製コネクタ1の固定配管挿入部14の内周面に対する固定配管21の下流端部213のシール性が確保されるようになっている。
【0028】
上記固定配管21は、リテーナ17の操作アーム173,173の操作端部173a,173aを外側から押圧して操作アーム173,173の径方向の間隔、つまり係止部171a,171aの径方向の間隔を狭め、係止部171a,171aを係合窓153,153から抜け出た状態にしてリテーナ17を樹脂製コネクタ1から相対的に引き抜くと、このリテーナ17とともに樹脂製コネクタ1から抜き出されるようになっている。
【0029】
そして、上記樹脂製コネクタ1の取付配管側接続部12に取付配管22の上流端部221がz軸方向上方から被せられて接続されると、その接続部分10において樹脂製コネクタ1の取付配管側接続部12の外周面に対し取付配管22の上流端部221の内周面が密着し、樹脂製コネクタ1の取付配管側接続部12に対する取付配管22上流端部221のシール性が確保されるようになっている。
【0030】
また、上記樹脂製コネクタ1の外方には、エンジンの挙動などによってz軸回りに回転する樹脂製コネクタ1を回り止めする回り止めクランプ3(部品)が装着されている。この回り止めクランプ3は、固定配管21の屈曲部212近傍の直線部211をy軸方向(図1に示す紙面手前奥方向)から挟み込むフォーク状の脚部31を備えている。また、この脚部31の上部には、該脚部31により挟み込まれた直線部211の挟み込み部分でその軸芯上を延びるx軸を支点とする樹脂製コネクタ1側への回動によって上記樹脂製コネクタ1の幅広部11の外周面をz軸回りに回転不能に収容する収容部32が一体的に設けられている。この場合、回り止めクランプ3は、樹脂製コネクタ1の幅広部11に嵌合され、その幅広部11の外周面に対し略隙間なく接触している。
【0031】
上記収容部32は、固定配管21の直線部211の軸芯方向(x軸方向)と直交するy軸方向他側面(図1では紙面手前側の面)が開口しており、収容部32が樹脂製コネクタ1の幅広部11に干渉しないように直線部211の挟み込み部分でその軸芯上を延びるx
軸に対し直交するy軸方向一側(図1では紙面奥側)に傾けた傾斜状態から直線部211の挟み込み部分でその軸芯上を延びるx軸を支点にして上回りで樹脂製コネクタ1側に回り止めクランプ3が回動した際に、そのy軸方向他側面(y軸方向他側に開口する面)を介して樹脂製コネクタ1の幅広部11が内部に収容されるようになっている。そして、回り止めクランプ3の材質としては、PA11、PA12またはPA66などのポリアミド系樹脂等が適用されている。また、収容部32のz軸方向下側の接触面には、樹脂製コネクタ1を収容部32内に収容する際に固定配管21との干渉を回避する略U字状の切欠孔325が設けられている。この場合、回り止めクランプ3は、z軸回りの周囲面のうちの収容部32のy軸方向他側面(y軸方向他側に開口する面)を除く他の3面が樹脂製コネクタ1の幅広部11の外周面に対し接触するように収容部32を被せて樹脂製コネクタ1の幅広部11をz軸回りに回転不能に収容するようになっている。
【0032】
そして、上記回り止めクランプ3の収容部32の上側には、上記樹脂製コネクタ1の外方においてその取付配管側端となる取付配管側接続部12の先端(上端)よりもz軸方向の若干上方位置まで先端(上端)が延びるように回り止めクランプ3の収容部32を延設させた保護部33が一体的に設けられている。この保護部33は、収容部32と同様に固定配管21の直線部211の軸芯方向(x軸方向)と直交するy軸方向他側面(例えば紙面手前側の面)が開口しており、y軸方向一側面(例えば紙面奥側の面)および固定配管21の直線部211の軸芯方向(x軸方向)両側の面の3面によって、樹脂製コネクタ1の取付配管側接続部12を外方から覆っている。
【0033】
したがって、上記実施例では、可撓性のある樹脂製の管よりなる取付配管22の上流端部221を接続する樹脂製コネクタ1の取付配管側接続部12は、その樹脂製コネクタ1の幅広部11に対し嵌合される回り止めクランプ3の収容部32の上側から樹脂製コネクタ1の外方において取付配管側接続部12の先端(上端)よりもz軸方向の若干上方位置まで先端を延ばした保護部33によって、外方から覆われて保護されているので、例えば生産工場の組み付け行程などにおいて、固定配管側接続部12とはz軸方向の異なる位置からz軸方向上方に突設されて露呈している樹脂製コネクタ3の取付配管側接続部12に対し強い衝撃などの外力F(図1に示す白抜き矢印)がz軸方向と直行するx軸方向から作用しようとしても、その外力Fが回り止めクランプ3の保護部33によって跳ね返されて樹脂製コネクタ1の取付配管側接続部12に対して直接的に作用することがなく、樹脂製コネクタ1の取付配管側接続部12の折損を確実に防止することができる。
【0034】
しかも、樹脂製コネクタ1の取付配管側接続部12よりも幅広な幅広部11に回り止めクランプ3の収容部32が略隙間なく接触しているので、z軸方向と直行するx軸方向から樹脂製コネクタ1の取付配管側接続部12に対し強い衝撃などの外力が作用しても、その外力が回り止めクランプ3の保護部33から樹脂製コネクタ1の幅広部11を介して剛性の高い固定配管21に伝達され、この固定配管21の弾性変形または塑性変形によって外力を円滑に吸収して、樹脂製コネクタ1の取付配管側接続部12の折損をより確実に防止する上で非常に有利なものとなる。
【0035】
更に、回り止めクランプ3の収容部32を延ばした保護部33によって樹脂製コネクタ1の取付配管側接続部12が保護されることから、保護部33を設けるに当たって回り止めクランプ3のみの形状変更だけで済み、固定配管21および樹脂製コネクタ1を変更する必要がなくなって既存品との互換性および展開性を図ることができる上、比較的安価に樹脂製コネクタ1の保護構造を提供することができる。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明の実施例2を図3に基づいて説明する。
【0037】
この実施例2では、樹脂製コネクタの保護構造を変更している。なお、樹脂製コネクタの保護構造を除くその他の構成は上記実施例1の場合と同じであり、同一部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0038】
すなわち、本実施例では、図3に示すように、樹脂製コネクタ4は、z軸回りの周囲面が互いに直角な4面により構成された幅広な幅広部41を備えている。この樹脂製コネクタ4の幅広部41よりもz軸方向上側には、そのz軸方向上方に向かって略円筒形状に突設され、かつ上記取付配管22の上流端を被せて回転一体に接続する雄状の取付配管側接続部42が設けられている。そして、樹脂製コネクタ4の幅広部41と取付配管側接続部42との間には、z軸方向に延びる円筒部43が設けられ、この円筒部43内にはシール部16が設けられている。また、上記幅広部41の内周面は円周状に形成され、上記固定配管21の下流端部213を挿通して嵌合する雌状の嵌合口としての固定配管挿入部44を備えている。この場合、樹脂製コネクタ4の幅広部41は、その外周面上において互いに対向する2面間の距離が取付配管側接続部42および円筒部43の外径よりも幅広となるように形成されている。
【0039】
上記固定配管挿入部44は、リテーナ17を嵌め付ける筒状保持部15を備えている。そして、固定配管21の下流端部213は、シール部16のOリング161,161を越えて取付配管側接続部42内の円筒状連絡部421に達し、固定配管21の下流端部213と樹脂製コネクタ4の固定配管挿入部44の内周面との間を各Oリング161により密封し、樹脂製コネクタ4のシール部16の内周面に対する固定配管21の下流端部213のシール性を確保するようになっている。また、上記樹脂製コネクタ4の取付配管側接続部42に取付配管22の上流端部221がz軸方向上方から被せられると、樹脂製コネクタ4の取付配管側接続部42の外周面に対し取付配管22の上流端部221の内周面が密着し、樹脂製コネクタ4の取付配管側接続部42に対する取付配管22の上流端部221のシール性が確保されるようになっている。
【0040】
そして、上記樹脂製コネクタ4の外方には、エンジンの挙動などによってz軸回りに回転する樹脂製コネクタ4を回り止めする回り止めクランプ5が装着されている。この回り止めクランプ5は、上記固定配管21の屈曲部212近傍の直線部211をz軸方向上側からの挿通により固定配管21の直線部211の軸芯上を延びるx軸と直交するy軸方向(図3に示す紙面手前奥方向)から挟み込むフォーク状の脚部51を備えている。また、この脚部51の上部には、脚部51により挟み込まれた直線部211の挟み込み部分でその軸芯上を延びるx軸に対し直交するy軸を支点とする樹脂製コネクタ4側への回動によって上記樹脂製コネクタ4の幅広部41の外周面をz軸回りに回転不能に収容する収容部52が一体的に設けられている。この収容部52は、固定配管21の直線部211の敷設側とは反対側の反敷設側面(図3では左側の面)が開口しており、脚部51により挟み込まれた直線部211の挟み込み部分でその軸芯上を延びるx軸に対し直交するy軸を支点にして固定配管21の直線部211の反敷設側(樹脂製コネクタ4側)に回り止めクランプ5が回動した際に、収容部52の反敷設側面を介して樹脂製コネクタ4の幅広部41が内部に収容されるようになっている。そして、回り止めクランプ5の材質としては、PA11、PA12またはPA66などのポリアミド系樹脂等が適用されている。また、収容部52のz軸方向上側の接触面およびz軸方向下側の接触面には、樹脂製コネクタ4の幅広部41を収容部52内に収容する際に円筒部43および固定配管21との干渉を回避する略U字状の切欠孔525a,525bがそれぞれ設けられている。この場合、回り止めクランプ5は、収容部52の反敷設側面(直線部211の反敷設側に開口する面)を除く他の3面が樹脂製コネクタ4の幅広部41の外周面に対し接触するように収容部52を被せて樹脂製コネクタ4の幅広部41をz軸回りに回転不能に収容するようになっている。
【0041】
また、上記樹脂製コネクタ4の固定配管挿入部44の内周面に対し嵌合される上記固定
配管21の下流端部213には、樹脂製コネクタ4の固定配管挿入部44に対し挿入された先端が取付配管22の上流端部221と樹脂製コネクタ4の取付配管側接続部42との接続部分40に対しz軸方向の略半分位置まで延びるように固定配管21の下流端部213を延設させた保護部6が一体的に設けられている。この場合、固定配管21の下流端部213を延設させた保護部6は、樹脂製コネクタ4の取付配管側接続部42内の円筒状連絡部421において取付配管側接続部42の芯材として機能するようになっている。
【0042】
したがって、上記実施例では、樹脂製コネクタ4の固定配管挿入部44に対し挿入された先端が取付配管22の上流端部221と樹脂製コネクタ4の取付配管側接続部42との接続部分40に対しz軸方向の略半分位置まで延びるように固定配管21の下流端部213を延設させた保護部6が一体的に設けられているので、樹脂製コネクタ4の取付配管側接続部42に対し強い衝撃などの外力F(図3に示す白抜き矢印)がz軸方向と直行するx軸方向から作用しても、固定配管21の下流端部213を延設した保護部6によって樹脂製コネクタ4の取付配管側接続部42の剛性が内部から高められているためにその取付配管側接続部42に作用する外力Fが跳ね返され、樹脂製コネクタ4の取付配管側接続部42の折損を確実に防止することができる。
【0043】
しかも、固定配管21の下流端部213を延設した保護部6によって樹脂製コネクタ4の取付配管側接続部42が保護されることから、保護部6を設けるに当たって固定配管21の下流端部213を延ばすだけの形状変更で済み、樹脂製コネクタ4および回り止めクランプ5を変更する必要がなくなって既存品との互換性および展開性を図ることができる上、比較的安価に樹脂製コネクタ1の保護構造を提供することができる。
【0044】
なお、本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、上記実施例1では、樹脂製コネクタ1の幅広部11に対し嵌合される回り止めクランプ3の収容部32の上側から樹脂製コネクタ1の外方において取付配管側接続部12の先端よりもz軸方向の若干上方位置まで先端を延ばした保護部33を設けたが、回り止めクランプの収容部の上側から取付配管の上流端部と樹脂製コネクタの取付配管側接続部との接続部分に対しz軸方向の略半分位置まで延ばした保護部であってもよく、取付配管側接続部の上端が若干露呈するものの、樹脂製コネクタの取付配管側接続部の折損を効果的に防止する上で有利なものとなる。
【0045】
また、上記実施例2では、取付配管22の上流端部221と樹脂製コネクタ4の取付配管側接続部42との接続部分40に対し先端がz軸方向の略半分位置まで延びるように固定配管21の下流端部213を延設させた保護部6を設けたが、取付配管側接続部の先端とほぼ同じ位置まで先端をz軸方向に延ばした保護部を固定配管の下流端部に設けていてもよく、この場合においてもほぼ同様の効果が得られる。
【0046】
また、上記各実施例では、燃料配管2を固定配管21と取付配管22とで構成したが、燃料配管上流側の固定配管と燃料配管下流側の固定配管とこの両固定配管間を連結する取付配管とによって燃料配管が構成されていてもよく、その場合には、燃料配管上流側の固定配管の下流端と取付配管の上流端とを接続する樹脂製コネクタ、および燃料配管下流側の固定配管の上流端と取付配管の下流端とを接続する樹脂製コネクタに対しそれぞれ保護構造が適用される。
【0047】
そして、上記各実施例では、樹脂製コネクタ1,4の幅広部11,41のz軸回りの周囲面を互いに直角な4面により構成したが、樹脂製コネクタの幅広部は直角な4面で構成されていなくてもよく、樹脂製コネクタ側に向かって回動する回り止めクランプの回動軸方向で互いに対向する幅広部の2面のみが収容部によって被せられて収容されるような平面に形成されていればよい。
【0048】
更に、上記各実施例では、燃料配管2の固定配管21と取付配管22とを接続する樹脂製コネクタ1,4について述べたが、ブレーキ配管や冷媒配管などを構成する固定配管と取付配管とを接続するコネクタに適用されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例1に係わる樹脂製コネクタ保護構造をy軸方向から見た樹脂製コネクタ付近の断面図である。
【図2】同じく樹脂製コネクタ保護構造をx軸方向から見た樹脂製コネクタ付近の断面図である。
【図3】本発明の実施例2に係わる樹脂製コネクタ保護構造をy軸方向から見た樹脂製コネクタ付近の断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1,4 樹脂製コネクタ
11 幅広部
12,42 取付配管側接続部
21 固定配管
213 固定配管の下流端部(端部、部品)
22 取付配管
221 取付配管の上流端部(端部)
3 回り止めクランプ(部品)
33,6 保護部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる取付配管の端部と、この取付配管の端部と同じ軸線上を延びる固定配管の端部とを流体流通可能に軸線方向に接続する樹脂製コネクタにおいて、
上記樹脂製コネクタに対し嵌合される部品は、取付配管の端部とこの端部を接続する樹脂製コネクタの取付配管側端との接続部分に対し少なくとも軸線方向の略半分位置まで延設された保護部を有していることを特徴とする樹脂製コネクタの保護構造。
【請求項2】
上記請求項1に記載の樹脂製コネクタの保護構造において、
樹脂製コネクタに対し嵌合される部品としては、樹脂製コネクタに対し外方から嵌合され、かつその樹脂製コネクタの軸線回りの回転を防止する回り止めクランプが適用されており、
この回り止めクランプには、樹脂製コネクタの外方をその取付配管側端に対し先端が少なくとも軸線方向の同位置まで延びるように回り止めクランプを延設させた保護部が設けられていることを特徴とする樹脂製コネクタの保護構造。
【請求項3】
上記請求項2に記載の樹脂製コネクタの保護構造において、
回り止めクランプは、取付配管の端部を接続する樹脂製コネクタの取付配管側接続部よりも幅広な幅広部に略隙間なく接触していることを特徴とする樹脂製コネクタの保護構造。
【請求項4】
上記請求項1に記載の樹脂製コネクタの保護構造において、
樹脂製コネクタに対し嵌合される部品としては、樹脂製コネクタに対し軸線方向から嵌合される固定配管の端部が適用されており、
この固定配管の端部には、樹脂製コネクタの内方をその取付配管側端に対し先端が少なくとも軸線方向の略半分位置まで延びるように固定配管の端部を延設させた保護部が設けられていることを特徴とする樹脂製コネクタの保護構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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