機器・コンセント間対応付け方法、プログラム、および情報処理装置
【課題】機器とコンセントの間の対応付けの誤判定を抑止する。
【解決手段】負荷情報取得手段1aは、所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報を取得する。電力情報取得手段1bは、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得する。計算手段1dは、機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する。対応付け手段1eは、相関係数が閾値以上であるコンセントを、機器に対応付ける。
【解決手段】負荷情報取得手段1aは、所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報を取得する。電力情報取得手段1bは、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得する。計算手段1dは、機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する。対応付け手段1eは、相関係数が閾値以上であるコンセントを、機器に対応付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器とその機器が接続されたコンセントとを対応付ける機器・コンセント間対応付け方法、プログラム、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境意識の高まりやエネルギー価格の高騰により、様々な分野で電力の有効利用に対する要求が高まりをみせている。オフィスにおいても、部門全体の省エネルギーに取り組むためには個人が利用する電力を細かい単位で把握することが有用である。
【0003】
このため近年スマートコンセントと呼ばれる電力計測機能つきの電源コンセントを各人に配布し、個人ごとの電力消費を把握するエネルギーマネジメントシステムが普及の兆しを見せている。エネルギーマネジメントシステムでは、利用者が使用している機器と、その機器が接続されているコンセントとの対応付け情報の設定が行われる。このような機器とコンセントとの対応付けを人手で行ったのでは手間がかかる。特に頻繁なレイアウト変更を伴う職場、会議室など利用者が頻繁に変わるコンセント、ノンテリトリアルオフィスと呼ばれる個人の執務机が固定されない職場などでは、その設定作業を行う作業者への負担はさらに増大する。
【0004】
なお、機器とコンセントの対応付けを自動で行う仕組みも考えられている。例えば、電気機器の設置場所を自動的に設定するシステムが提案されている。このシステムでは、コンセントの電流変化と、電力が供給されたビデオ装置によるデータ送受信の時期が同期している場合に、そのコンセントにそのビデオ装置が接続されたという対応付けを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−134920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし従来の方法では、複数の機器にほぼ同時に電力が供給された場合、機器とコンセントとを誤って対応付けてしまう可能性が大きかった。特に、管理対象の機器が多くなると、機器とコンセントとを誤って対応付ける可能性がさらに高くなってしまう。
【0007】
1つの側面では、本発明は、機器とコンセントの間の対応付けの誤判定を抑止した機器・コンセント間対応付け方法、プログラム、および情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの案では、機器・コンセント間対応付け方法が提供される。機器・コンセント間対応付け方法では、コンピュータが、所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報とを取得する。次にコンピュータが、機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する。そしてコンピュータが、相関係数が閾値以上であるコンセントを、機器に対応付ける。
【発明の効果】
【0009】
1態様によれば、機器とコンセントの間の対応付けの誤判定が抑止される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態のシステム構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の対応付け処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】機器とコンセントとの対応付けの一例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態のシステム構成例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に用いるサーバのハードウェアの一構成例を示す図である。
【図6】電源タップのハードウェアの一構成例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態における各装置の機能の一例を示すブロック図である。
【図8】候補コンセント記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図9】相関関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図10】コンセントリスト記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図11】電力情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図12】負荷情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図13】対応関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図14】機器利用者記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図15】消費電力記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図16】第2の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】相関係数計算処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】相関関係に基づく利用者ごとの消費電力表示例を示す図である。
【図19】第3の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。
【図20】第3の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図21】リソース消費フラグ設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】負荷計測処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】第4の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。
【図24】平均消費電力記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図25】第4の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図26】フィルタリング処理の手順を示すフローチャートである。
【図27】第5の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。
【図28】学習情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図29】判定条件算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図30】第6の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。
【図31】第6の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図32】時刻ずれ補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図33】負荷情報の時刻をずらす様子を示す図である。
【図34】第7の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。
【図35】第7の実施の形態の対応関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図36】電力継続情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図37】第7の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図38】対応付け確認処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態では、機器の負荷とその機器の消費電力とに相関関係が存在することを利用して、機器とコンセントとの対応付けを行う。
【0012】
図1は、第1の実施の形態のシステム構成例を示す図である。情報処理装置1には、電源タップ2,3や、無線通信のアクセスポイント5がネットワークを介して接続されている。
【0013】
電源タップ2は、複数のコンセント2a,2bを有する。電源タップ2は、複数のコンセント2a,2bそれぞれを介して供給された電力を測定することができる。また電源タップ2は、情報処理装置1からの要求に応じて、複数のコンセント2a,2bそれぞれを介して供給された電力を示す電力情報を、情報処理装置1に送信する。
【0014】
電源タップ3は、複数のコンセント3a,3bを有する。電源タップ3は、複数のコンセント3a,3bそれぞれを介して供給された電力を測定することができる。また電源タップ3は、情報処理装置1からの要求に応じて、複数のコンセント3a,3bそれぞれを介して供給された電力を示す電力情報を、情報処理装置1に送信する。
【0015】
複数の機器4a,4b,4c,4dは、それぞれコンセント2a,2b,3a,3bに接続されている。各機器には、接続先のコンセントから電力が供給されている。機器4a,4b,4c,4dは、例えばコンピュータである。また機器4a,4b,4c,4dは、情報処理装置1と通信する機能を備えている。例えば機器4a,4b,4c,4dは、無線通信によってアクセスポイント5との間で通信を行い、アクセスポイント5経由で情報処理装置1と通信する。
【0016】
情報処理装置1は、負荷情報取得手段1a、電力情報取得手段1b、記憶手段1c、計算手段1d、対応付け手段1e、および表示手段1fを有する。
負荷情報取得手段1aは、所定の期間内のいずれかの機器の負荷を示す負荷情報を取得する。例えば負荷情報取得手段1aは、電源が投入された機器から、電源投入より数分経過後に、過去数分間の負荷の変動を示す負荷情報を取得する。負荷情報取得手段1aは、取得した負荷情報を、例えば記憶手段1cに格納する。
【0017】
電力情報取得手段1bは、複数のコンセント2a,2b,3a,3bそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得する。例えば電力情報取得手段1bは、負荷情報取得手段1aがいずれかの機器から負荷情報を取得した場合、電源タップ2,3から、過去数分間の供給電力の変動を示す電力情報を取得する。また電力情報取得手段1bは、電源タップ2,3から定期的に電力情報を取得するようにしてもよい。また電力情報取得手段1bは、取得した電力情報を、例えば記憶手段1cに格納する。
【0018】
記憶手段1cは、負荷情報と電力情報とを記憶する。
計算手段1dは、機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、その機器の負荷と、コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する。相関係数とは、2つの確率変数の間の相関(類似性の度合い)を示す統計学的指標である。相関係数としては、例えばピアソンの積率相関係数(Pearson product-moment correlation coefficient)が用いられる。負荷と電力との間の相関係数は、例えば所定の相関対象期間に計測された負荷を示す負荷情報と、その相関対象期間に測定された電力を示す電力情報とに基づいて計算される。
【0019】
対応付け手段1eは、機器の負荷との間の相関係数が閾値以上となる電力を供給しているコンセントを、その機器に対応付ける。例えば対応付け手段1eは、相関係数が閾値以上であるコンセントが1つだけの場合にのみ、そのコンセントを機器に対応付ける。
【0020】
表示手段1fは、機器に対応付けられたコンセントから供給された電力の総量をその機器の消費電力とし、機器の消費電力をモニタに表示する。例えば表示手段1fは、記憶手段1cに格納されている電力情報に基づいて、機器に対応付けられたコンセントから供給された電力の総量を計算する。
【0021】
なお、図1に示した負荷情報取得手段1a、電力情報取得手段1b、計算手段1d、対応付け手段1e、および表示手段1fは、情報処理装置が有するCPU(Central Processing Unit)により実現することができる。また、記憶手段1cは、情報処理装置が有するRAM(Random Access Memory)やハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などの記憶媒体により実現することができる。
【0022】
また、図1に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。
次に、図1に示した情報処理装置1による機器とコンセントとの対応付け処理について説明する。なお以下の説明では、機器4aに対してコンセントを対応付けるものとする。
【0023】
図2は、第1の実施の形態の対応付け処理の手順を示すフローチャートである。以下、図2に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS1]負荷情報取得手段1aは、機器4aから負荷情報を取得する。例えば機器4aが起動されてから所定時間経過後に、機器4aが情報処理装置1に対して負荷情報を送信する。すると送信された負荷情報を、負荷情報取得手段1aが取得する。負荷情報取得手段1aは、例えば取得した負荷情報を記憶手段1cに格納する。
【0024】
[ステップS2]電力情報取得手段1bは、機器4aから負荷情報を取得すると、電源タップ2,3から、複数のコンセント2a,2b,3a,3bそれぞれの電力情報を取得する。電力情報取得手段1bは、例えば取得した電力情報を記憶手段1cに格納する。
【0025】
[ステップS3]計算手段1dは、機器4aの負荷と、コンセント2a,2b,3a,3bそれぞれの電力との間の相関係数を計算する。
[ステップS4]対応付け手段1eは、機器4aの負荷との間の相関係数が閾値以上となる電力を供給しているコンセントを、機器4aに対応付ける。
【0026】
[ステップS5]表示手段1fは、機器4aに対応付けられたコンセントから供給された電力の総量をその機器4aの消費電力とし、機器4aの消費電力をモニタに表示する。
このようにして、機器を、その機器が接続されたコンセントに、正しく対応付けることができる。
【0027】
図3は、機器とコンセントとの対応付けの一例を示す図である。図3では、機器4aの負荷情報6をグラフで表示している。負荷情報6のグラフは、横軸が時間、縦軸が負荷である。また図3の例では、複数のコンセント2a,2b,3a,3bそれぞれの電力情報7a,7b,7c,7dのうち、コンセント2aの電力情報7aをグラフで表示している。電力情報7aのグラフは、横軸が時間、縦軸が電力である。
【0028】
このような負荷情報6と、複数の電力情報7a,7b,7c,7dそれぞれとの相関係数が計算される。計算結果表8には、相関係数の計算結果が示されている。なお、機器4aの識別情報は「機器1」、コンセント2a,2b,3a,3bの識別情報は、それぞれ「C1」、「C2」、「C3」、「C4」であるものとする。
【0029】
図3の例では、機器4aの負荷情報とコンセント2aの電力情報との相関係数は「0.2」である。機器4aの負荷情報とコンセント2bの電力情報との相関係数は「0.8」である。機器4aの負荷情報とコンセント3aの電力情報との相関係数は「0.3」である。機器4aの負荷情報とコンセント3bの電力情報との相関係数は「0.1」である。
【0030】
ここで対応付け判定の閾値が「0.6」であるものとすると、閾値以上の相関係数となるのは、コンセント2bのみとなる。そこで、識別情報「機器1」の機器4aに、識別情報「C2」のコンセント2bが対応付けられる。すると、コンセント2bの電力情報に基づいて、機器4aの消費電力が計算できる。そこで、例えば機器4aの消費電力を示す消費電力画面9が表示される。
【0031】
以上説明したように、第1の実施の形態では、機器の負荷と、コンセントを介して供給された電力との相関係数に基づいて、機器とコンセントとを対応付けている。これにより、機器とコンセントの間の対応付けの誤判定が抑止される。すなわち、第1の実施の形態では、一時点での負荷と電力との同期ではなく、所定の期間内の負荷と電力との相関係数が用いられている。これにより、機器の電源投入時とコンセントからの電源供給開始時との同時性のみで対応付けを行う場合に比べ、統計的に高い信頼性の判定結果が得られる。その結果、対応付けの誤判定が抑止される。
【0032】
また、相関係数が閾値以上であるコンセントが1つだけの場合にのみ、そのコンセントを機器に対応付けるようにすることで、誤った対応付けを行う可能性をさらに抑止することができる。すなわち、機器の負荷と、その機器が接続されていないコンセントを介して供給された電力との相関係数が偶然に、閾値以上の値となる場合も考えられる。この場合、偶然に相関係数が閾値以上となったコンセントと、機器が実際に接続されたコンセントとの両方が、相関係数が閾値以上であるコンセントとして検出される。このような場合、機器をいずれのコンセントとも対応付けないようにすることで、誤判定が抑止される。
【0033】
また、相関係数が前記閾値以上であるコンセントが複数存在する場合には、該当する複数のコンセントを対応付け候補とし、負荷情報取得手段1aが、機器から負荷情報を再取得することもできる。この場合、計算手段1dは、例えば機器の再取得した負荷情報と、対応付け候補のコンセントの電力情報とに基づいて、機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する。そして対応付け手段1eは、相関係数が閾値以上であるコンセントを、機器に対応付ける。これにより、1回目の判定では機器とコンセントとの正しい対応関係が判定できなかった場合であっても、再度の対応付けの判断により、機器を正しいコンセントと対応付けることができる。
【0034】
また、相関係数が閾値以上であるコンセントが存在しない場合は、機器から負荷情報を再取得し、相関係数を再計算することで、機器の負荷との間で閾値以上の相関係数となるコンセントを検出することができる。これにより、機器とコンセントとの誤った対応付けを抑止しながらも、機器に対して、その機器が接続されたコンセントを確実に対応付けることが可能となる。
【0035】
〔第2の実施の形態〕
次に第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、オフィス機器の大半を占めるコンピュータを、コンセントとの対応関係の判定対象の機器とする。
【0036】
コンピュータの負荷は、例えばCPU負荷率で表すことができる。例えば同時刻、同時間におけるコンピュータのCPU負荷率と、そのコンピュータの消費電力を比較すると、CPU負荷率が高い時には消費電力も大きいという相互相関関係がある。そこで第2の実施の形態では、コンピュータの負荷としてはCPU負荷率を採用する。CPU負荷率は、例えばコンピュータで動作している全プロセスの、単位時間あたりのCPU使用時間を合計した値である。多コアCPUの場合はそれぞれのCPUの使用率の平均とする。CPU負荷率はOS(Operating System)の基本情報として一般的に取得可能である。
【0037】
なおコンピュータの負荷の指標として、CPU負荷率以外の情報を用いることも可能である。例えば、メモリ読み込み・書き込み率、ディスク読み込み・書き込み率など、様々な情報を、コンピュータの負荷の指標として利用可能である。また複数の指標を組み合わせてコンピュータの負荷を算出してもよい。
【0038】
また第2の実施の形態では、ノンテリトリアルオフィスのように、勤務場所および執務机が毎日異なるような勤務形態オフィスを想定して説明する。
図4は、第2の実施の形態のシステム構成例を示す図である。電力の使用状況を監視するサーバ100は、ネットワーク10に接続されている。ネットワーク10には、ゲートウェイ51,アクセスポイント52,53、およびコンピュータ62,63が接続されている。ゲートウェイ51は、電源タップ20,30から使用電力などの情報を取得し、サーバ100に送信する。アクセスポイント52,53は、無線LAN(Local Area Network)により、コンピュータ61,64と通信する。コンピュータ61,64は、アクセスポイント52,53経由で、サーバ100との間で通信することができる。
【0039】
電源設備40には、電源タップ20,30が接続されている。電源タップ20,30は、電源設備40から供給された電力を、コンピュータ61〜64に供給する器具である。電源タップ20,30は、コンピュータ61〜64の電源プラグを差し込むコンセントを複数有する。また電源タップ20,30は、コンセントごとの消費電力を測定する機能を有している。このような電源タップ20,30は、例えばスマートコンセントと呼ばれる。
【0040】
コンピュータ61〜64は、電源ケーブルによって、電源タップ20,30のいずれかのコンセントに接続されている。そしてコンピュータ61〜64は、電源タップ20,30を介して、電源設備40からの電力の供給を受ける。
【0041】
例えば図4に示したようなシステムが構築されたオフィスに、毎朝、定時近辺に、ほぼすべての利用者が出社し、それぞれ適当なコンセントに自分のノート型(ラップトップ)コンピュータなどを接続し、OSを起動する。コンピュータは、例えば起動5分後のタイミングで、コンピュータに予めインストールされている負荷収集プログラムがCPU負荷率を3分間計測する。コンピュータは、CPU負荷率をそのコンピュータの負荷とした負荷情報をサーバに送信する。
【0042】
サーバは受信した負荷情報をもとにコンセント判定動作フローに従い、負荷情報を送信したコンピュータとコンセントとを対応付ける。もし対応付けるコンセントが検出できなければ、負荷情報が再収集される。その後コンピュータから負荷情報が再送信されるごとに、サーバ100ではコンセントとの対応付け処理が繰り返し実行される。そしてサーバ100は、コンピュータと利用者の紐付けデータを使用し、利用者の消費電力として管理・表示を行う。
【0043】
図5は、第2の実施の形態に用いるサーバのハードウェアの一構成例を示す図である。サーバ100は、CPU101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス108を介してRAM102と複数の周辺機器が接続されている。
【0044】
RAM102は、サーバ100の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。
【0045】
バス108に接続されている周辺機器としては、HDD103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、および通信インタフェース107がある。
【0046】
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103は、サーバ100の二次記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0047】
グラフィック処理装置104には、モニタ11が接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ11の画面に表示させる。モニタ11としては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。
【0048】
入力インタフェース105には、キーボード12とマウス13とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード12やマウス13から送られてくる信号をCPU101に送信する。なお、マウス13は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
【0049】
光学ドライブ装置106は、レーザ光などを利用して、光ディスク14に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク14は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク14には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。
【0050】
通信インタフェース107は、ネットワーク10に接続されている。通信インタフェース107は、ネットワーク10を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0051】
以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、図5にはサーバ100のハードウェア構成を示したが、コンピュータ61〜64も同様のハードウェアで実現することができる。ただし、コンピュータ61,64は、無線LANインタフェースをさらに有する。また、第1の実施の形態に示したコンピュータも、図5に示したサーバ100と同様のハードウェアにより実現することができる。
【0052】
図6は、電源タップのハードウェアの一構成例を示す図である。電源タップ20には、複数のコンセント21a,21b,21c,21dが設けられている。コンセント21a,21b,21c,21dには、電源設備40から電源が供給されている。
【0053】
コンセント21a,21b,21c,21dそれぞれと電源設備40とを接続するケーブルには、電流センサ22a,22b,22c,22dが設けられている。電流センサ22a,22b,22c,22dは、対応するコンセントを介してコンピュータ61〜64に供給される電流量を計測する。例えば電流センサ22a,22b,22c,22dは、磁気センサであるホール素子と、磁界をホール素子に収束するフェライトで構成される。ホール素子は、ホール効果(Hall Effect)を利用し、コンセントと電源設備40との間のケーブルを流れる電流によって発生する磁界を電気信号に変換する。
【0054】
電流センサ22a,22b,22c,22dは、制御回路24に接続されている。電流センサ22a,22b,22c,22dから制御回路24へは、対応するコンセントから流出する電流量に応じた電気信号が出力される。制御回路24は、電流センサ22a,22b,22c,22dから取得した電気信号に基づいて、各コンセント21a,21b,21c,21dを介して、コンピュータ61〜64などの電気機器に供給されている電力量を算出する。
【0055】
また制御回路24は、ゲートウェイ51に例えばUSB(Universal Serial Bus)などの通信インタフェースを介して接続されている。そして制御回路24は、サーバ100からの要求に応じて、コンセント21a,21b,21c,21dを介して電気機器に供給されている電力量をサーバ100に送信する。
【0056】
図7は、第2の実施の形態における各装置の機能の一例を示すブロック図である。サーバ100は、対応関係判定部110、候補コンセント記憶部111、相関関係記憶部112、コンセントリスト記憶部121、閾値記憶部122、電力情報取得部131、電力情報記憶部132、負荷情報取得部141、負荷情報記憶部142、対応関係記憶部151、機器利用者記憶部152、消費電力判定部153、消費電力記憶部154、および表示部155を有する。
【0057】
対応関係判定部110は、コンピュータ61〜64と、コンピュータ61〜64それぞれが接続されたコンセントとの対応関係を判定する。対応関係判定部110は、対応関係の判定において、コンセントを介して供給された電力と、コンピュータの負荷との相関関係を用いる。例えば対応関係判定部110は、コンピュータの負荷との間に相関係数が所定の閾値以上となる相関関係を有するコンセントが1つだけ見つかった場合、そのコンピュータとコンセントとに対応関係があると判定する。
【0058】
なお対応関係判定部110は、対応関係の判定の際に、候補コンセント記憶部111、相関関係記憶部112、コンセントリスト記憶部121、閾値記憶部122、電力情報記憶部132、および負荷情報記憶部142の情報を参照する。また対応関係判定部110は、対応関係の判定過程において、候補コンセント記憶部111と相関関係記憶部112とに、適宜情報を格納する。さらに対応関係判定部110は、対応関係の判定結果を、対応関係記憶部151に格納する。
【0059】
候補コンセント記憶部111は、判断対象のコンピュータに対して、対応関係の有無の判断を行う候補となるコンセント(候補コンセント)を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が候補コンセント記憶部111として使用される。
【0060】
相関関係記憶部112は、コンピュータの負荷とコンセントの電力との相関関係を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が相関関係記憶部112として使用される。
【0061】
コンセントリスト記憶部121は、電源タップ20,30に設けられたコンセントのリストを記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、コンセントリスト記憶部121として使用される。なおコンセントリスト記憶部121に格納されるコンセントのリストは、システムの管理者によって予め登録される。
【0062】
閾値記憶部122は、相関関係があるか否かの判断基準となる相関係数の閾値を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、閾値記憶部122として使用される。
【0063】
電力情報取得部131は、電源タップ20,30から、電源タップ20,30に設けられた各コンセントを介して供給された電力を示す電力情報を取得する。例えば電力情報取得部131は、所定間隔(例えば1秒)で、定期的に電源タップ20,30に対して電力情報要求を送信し、電源タップ20,30から電力情報を取得する。電力情報取得部131は、取得した電力情報を、電力情報記憶部132に格納する。
【0064】
電力情報記憶部132は、電源タップ20,30のコンセントごとの電力情報を記憶する。電力情報記憶部132に格納された電力情報により、コンセントごとの供給電力の変化履歴が示される。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が電力情報記憶部132として使用される。
【0065】
負荷情報取得部141は、コンピュータ61〜64から負荷情報を取得する。例えば負荷情報取得部141は、コンピュータ61〜64が所定のタイミングで送信する負荷情報を取得する。負荷情報取得部141は、取得した負荷情報を対応関係判定部110に渡す。取得した負荷情報は、その後、対応関係判定部110によって負荷情報記憶部142に格納される。
【0066】
負荷情報記憶部142は、コンピュータの負荷情報を記憶する。負荷情報記憶部142に格納された負荷情報により、コンピュータごとの負荷の変化履歴が示される。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、負荷情報記憶部142として使用される。
【0067】
対応関係記憶部151は、対応関係判定部110によって判定された、コンピュータと、そのコンピュータが接続されたコンセントとの対応関係を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、対応関係記憶部151として使用される。
【0068】
機器利用者記憶部152は、コンピュータ61〜64それぞれの利用者を示す情報を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、機器利用者記憶部152として使用される。なおコンピュータ61〜64それぞれの利用者を示す情報は、システムの管理者によって、予め機器利用者記憶部152に設定される。
【0069】
消費電力判定部153は、利用者ごとに、その利用者、機器を用いて消費した電力を判定する。例えば消費電力判定部153は、機器利用者記憶部152を参照し、利用者が使用しているコンピュータを判断する。また消費電力判定部153は、対応関係記憶部151を参照し、利用者が使用しているコンピュータが接続されたコンセントを判断する。さらに消費電力判定部153は、電力情報記憶部132を参照し、利用者が使用しているコンピュータが接続されたコンセントから供給された電力を判断し、その電力を、利用者が消費した電力とする。消費電力判定部153は、利用者ごとに判断した消費電力を、消費電力記憶部154に格納する。
【0070】
消費電力記憶部154は、利用者ごとの消費電力を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、消費電力記憶部154として使用される。
表示部155は、消費電力記憶部154に記憶された利用者ごとの消費電力をモニタ11に表示する。
【0071】
サーバ100における対応関係判定部110、電力情報取得部131、負荷情報取得部141、消費電力判定部153、および表示部155は、例えばCPU101がRAM102に格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0072】
電源タップ20は、電力情報提供部25を有する。電力情報提供部25は、コンセントごとに、そのコンセントを介して供給した電力を計測する。電力情報提供部25は、計測した電力の値に計測時刻を付与し、電力情報とする。そして電力情報提供部25は、電力情報を、サーバ100に提供する。例えば電力情報提供部25は、サーバ100から電力情報要求を受け取ったときに電力を測定し、電力情報をサーバ100に送信する。また電力情報提供部25は、所定の間隔(例えば1秒)で各コンセントの電力を計測し、電力情報を内部のメモリに記憶しておくこともできる。その場合、電力情報提供部25は、サーバ100からの電力情報要求に応じて、記録しておいた電力情報をサーバ100に送信する。なお、他の電源タップ30も、電力情報提供部25と同様の機能を有している。
【0073】
コンピュータ61は、負荷情報提供部61aを有する。負荷情報提供部61aは、コンピュータ61の処理負荷を示す負荷情報をサーバ100に提供する。例えば負荷情報提供部61aは、コンピュータ61のCPUの使用率(CPU負荷率)を計測し、計測したCPU負荷率に計測時刻を加えた情報を負荷情報とする。そして負荷情報提供部61aは、負荷情報をサーバ100に送信する。
【0074】
例えば負荷情報提供部61aは、コンピュータ61が起動されてから所定時間経過後(例えば5分後)に、直前の3分間に計測した負荷情報をサーバ100に送信する。起動から所定時間経過後に負荷情報を送信する場合、例えば負荷情報提供部61aは、起動時から所定間隔(例えば1秒)でCPU負荷率を測定する。そして、負荷情報提供部61aは、所定時間ごとのCPU負荷率を示す負荷情報をサーバ100に送信する。また負荷情報提供部61aは、サーバ100からの負荷取得要求に応じて、負荷情報をサーバ100に送信することもできる。なお他のコンピュータ62〜64も、負荷情報提供部61aと同様の機能を有している。
【0075】
なお負荷情報取得部141は、図1に示した第1の実施の形態の負荷情報取得手段1aの一例である。電力情報取得部131は、図1に示した第1の実施の形態の電力情報取得手段1bの一例である。電力情報記憶部132と負荷情報記憶部142とを合わせた機能は、図1に示した第1の実施の形態の記憶手段1cの一例である。対応関係判定部110、候補コンセント記憶部111、相関関係記憶部112、コンセントリスト記憶部121、および閾値記憶部122を合わせた機能は、図1に示した第1の実施の形態の計算手段1dと対応付け手段1eとを包含する機能の一例である。機器利用者記憶部152、消費電力判定部153、消費電力記憶部154、および表示部155を合わせた機能は、図1に示した第1の実施の形態の表示手段1fの一例である。
【0076】
また、図7に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。
次に、サーバ100が有する各記憶部に格納される情報について詳細に説明する。
【0077】
図8は、候補コンセント記憶部のデータ構造の一例を示す図である。候補コンセント記憶部111には、候補コンセントテーブル111aが格納されている。候補コンセントテーブル111aには、コンピュータIDと候補コンセントIDとの欄が設けられている。コンピュータIDの欄には、接続されたコンセント(対応するコンセント)の判定対象となるコンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定される。なお、コンピュータIDとしては、例えばコンピュータのIP(Internet Protocol)アドレスを使用することができる。候補コンセントIDの欄には、コンピュータに対応するコンセントの候補となるコンセント(候補コンセント)の識別情報(コンセントID)が設定される。
【0078】
図9は、相関関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。相関関係記憶部112には、相関関係テーブル112aが格納されている。相関関係テーブル112aには、コンピュータIDと、コンセントとの相関係数との欄が設けられている。コンピュータIDの欄には、コンピュータの識別番号(コンピュータID)が設定される。
【0079】
コンセントの相関係数の欄は、コンセントIDごとの欄に細分化されている。コンセントの相関係数の欄内の各コンセントIDの欄には、コンセントIDで示されるコンセントの電力と、コンピュータのCPU負荷率との間の相関係数が設定される。
【0080】
図10は、コンセントリスト記憶部のデータ構造の一例を示す図である。コンセントリスト記憶部121には、コンセントテーブル121aが格納されている。コンセントテーブル121aには、電源タップ20,30それぞれのコンセントを一意に示す識別子(コンセントID)が設定されている。各コンセントのコンセントIDは、管理者によって登録されている。
【0081】
図11は、電力情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。電力情報記憶部132には、コンセントごとの電力情報テーブル132a,132b,132c,・・・が設けられている。電力情報テーブル132a,132b,132c,・・・には、対応するコンセントの識別情報(コンセントID)が設定される。
【0082】
電力情報テーブル132a,132b,132c,・・・には、時刻と電力との欄が設けられている。時刻の欄には、コンセントの電力を計測した時刻が設定される。電力の欄には、コンセントから供給された単位時間当たりの電力が設定される。電力情報テーブル132a,132b,132c,・・・の同じ行に設定された時刻と電力との組からなるレコードが、1つのコンセントの特定の時刻の電力情報である。
【0083】
このように、電源タップから取得した電力情報には、各コンセントの電力を測定した時刻が設定されている。
図12は、負荷情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。負荷情報記憶部142には、コンピュータごとの負荷情報テーブル142a,142b,142c,・・・が設けられている。負荷情報テーブル142a,142b,142c,・・・には、対応するコンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定されている。
【0084】
負荷情報テーブル142a,142b,142c,・・・には、時刻と負荷率との欄が設けられている。時刻の欄には、CPU負荷率を測定した時刻が設定される。負荷率の欄には、コンピュータのCPU負荷率が設定される。負荷情報テーブル142a,142b,142c,・・・の同じ行に設定された時刻とCPU負荷率との組からなるレコードが、1つのコンピュータの特定の時刻の負荷情報である。
【0085】
このように、コンピュータから任意のタイミングで(例えば機器起動5分後など)送信される負荷情報は、各々に負荷を測定した時刻が設定されている。
図13は、対応関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。対応関係記憶部151には、対応関係管理テーブル151aが格納されている。対応関係管理テーブル151aには、コンピュータIDとコンセントIDとの欄が設けられている。コンピュータIDの欄には、いずれかのコンセントに接続されて動作しているコンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定される。コンセントIDの欄には、コンピュータが接続されたコンセントであると判定されたコンセントの識別情報(コンセントID)が設定される。
【0086】
図14は、機器利用者記憶部のデータ構造の一例を示す図である。機器利用者記憶部152には、利用者対応関係テーブル152aが格納されている。利用者対応関係テーブル152aには、コンピュータIDと利用者との欄が設けられている。コンピュータIDの欄には、コンピュータ61〜64の識別情報(コンピュータID)が設定される。利用者の欄には、コンピュータを使用する利用者の名称が設定される。
【0087】
図15は、消費電力記憶部のデータ構造の一例を示す図である。消費電力記憶部154には、消費電力テーブル154aが格納されている。消費電力テーブル154aには、利用者と消費電力との欄が設けられている。利用者の欄には、コンピュータを使用する利用者の名称が設定される。消費電力の欄には、利用者が使用したコンピュータによって消費された電力が設定される。
【0088】
以上のような構成のシステムにおいて、コンピュータと、そのコンピュータが接続されているコンセントとの対応付けが自動で行われる。以下に、対応付け処理について詳細に説明する。
【0089】
図16は、第2の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図16に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS101]負荷情報取得部141は、いずれかのコンピュータから負荷情報を受信する。負荷情報には、所定時間間隔ごとのコンピュータのCPU負荷率と、CPU負荷率の測定時刻とが含まれる。負荷情報は、例えばコンピュータの電源の投入から所定時間(例えば5分)後に送信される。また、送信される負荷情報には、送信元のコンピュータの識別情報(コンピュータID)が含まれる。例えばIPアドレスをコンピュータの識別情報として用いた場合、負荷情報を含むパケットのヘッダに示された送信元アドレスが、負荷情報の送信元のコンピュータの識別情報である。負荷情報取得部141は、取得した負荷情報を、対応関係判定部110に転送する。
【0090】
[ステップS102]対応関係判定部110は、負荷情報取得部141が取得した負荷情報から、相関関係の判断対象とする負荷計測期間を取得する。例えば対応関係判定部110は、取得した負荷情報に設定された最も古い時間から最新の時刻までの期間を負荷計測期間とする。
【0091】
[ステップS103]対応関係判定部110は、負荷情報取得部141が負荷情報を受信すると、負荷情報を送信したコンピュータを、コンセントとの対応関係の判断対象のコンピュータとして、対応関係の判定処理を開始する。まず対応関係判定部110は、候補コンセント記憶部111内に、判断対象のコンピュータに対応する候補コンセントが登録されているか否かを判断する。例えば対応関係判定部110は、候補コンセントテーブル111a(図8参照)のコンピュータIDの欄に、判断対象のコンピュータのコンピュータIDが設定されているか否かを判断する。判断対象のコンピュータのコンピュータIDが設定されている場合、対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータに対応する候補コンセントが登録されていると判断する。候補コンセントが登録されている場合、対応関係判定部110は処理をステップS105に進める。また候補コンセントが登録されていない場合、対応関係判定部110は処理をステップS104に進める。
【0092】
[ステップS104]対応関係判定部110は、すべてのコンセントを、判断対象のコンピュータの候補コンセントに設定する。例えば対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータのコンピュータIDに対応付けて、コンセントリスト記憶部121に登録されているすべてのコンセントIDを、候補コンセントテーブル111aに登録する。
【0093】
[ステップS105]対応関係判定部110は、負荷計測期間における候補コンセントの電力情報を取得する。例えば対応関係判定部110は、候補コンセントテーブル111aを参照し、判断対象のコンピュータの候補コンセントのコンセントIDを取得する。次に対応関係判定部110は、取得したコンセントIDの電力情報のうち、ステップS102で判定した負荷計測期間内の時刻が設定された電力情報を、電力情報記憶部132から取得する。
【0094】
なお負荷計測期間内の電力情報が電源タップ20,30内のメモリに記録されており、電源タップ20,30から取得されていない場合、電力情報取得部131が電源タップ20,30から負荷計測期間内の電力情報を取得する。電力情報取得部131は、取得した電力情報を電力情報記憶部132に格納する。そして対応関係判定部110が、電力情報記憶部132から、負荷計測期間内の電力情報を取得する。
【0095】
[ステップS106]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷と、候補コンセントそれぞれの電力との相関係数を計算する。相関係数計算処理の詳細は後述する(図17参照)。
【0096】
[ステップS107]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷との間に、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントがあるか否かを判断する。対応関係判定部110は、該当するコンセントがあれば、処理をステップS108に進める。また対応関係判定部110は、該当するコンセントがなければ、処理をステップS111に進める。
【0097】
[ステップS108]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷との間に、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントが1つだけか否かを判断する。該当するコンセントが1つだけであれば、対応関係判定部110は処理をステップS109に進める。また該当するコンセントが複数あれば、対応関係判定部110は処理をステップS110に進める。
【0098】
[ステップS109]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷との間に、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントと、判断対象のコンピュータとを対応付ける。例えば対応関係判定部110は、対応関係記憶部151内の対応関係管理テーブル151a(図13参照)に、判断対象のコンピュータのコンピュータIDと、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントのコンセントIDとの組を登録する。この際、対応関係判定部110は、負荷情報記憶部142から、判断対象のコンピュータに対応する負荷情報テーブルを削除する。その後、対応関係判定部110は処理を終了する。
【0099】
[ステップS110]電力の相関係数が閾値以上となったコンセントが複数ある場合、対応関係判定部110は候補コンセントを更新する。例えば対応関係判定部110は、候補コンセントテーブル111aにおける判断対象のコンピュータに対応する候補コンセントIDのリストに対して、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントのコンセントID以外のコンセントIDを削除する。これにより、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントのみが、候補コンセントとして残される。
【0100】
[ステップS111]対応関係判定部110は、負荷情報を再取得した回数が規定値以下か否かを判断する。再取得回数の規定値は、対応関係判定部110に予め設定されている。再取得回数が規定値以下であれば、対応関係判定部110は処理をステップS112に進める。また再取得回数が規定値に達している場合、判断対象のコンピュータに対応するコンセントが不明のまま、対応関係判定部110は処理を終了する。
【0101】
[ステップS112]負荷情報取得部141は、判断対象のコンピュータに対して、負荷取得要求を送信する。その後、対応関係判定部110は、対応関係判定処理を終了する。負荷取得要求を受信した判断対象のコンピュータは、新たに所定期間の負荷情報を計測し、サーバ100に送信する。すると、サーバ100において、図16に示す対応関係判定処理が再度開始される。
【0102】
次に、相関係数計算処理について詳細に説明する。
図17は、相関係数計算処理の手順を示すフローチャートである。以下、図17に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0103】
[ステップS121]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷に関する既存のデータがあるか否かを判断する。例えば対応関係判定部110は、負荷情報記憶部142内に、判断対象のコンピュータに対応する負荷情報テーブルがある場合、既存のデータがあると判断する。対応関係判定部110は、既存のデータがある場合、処理をステップS122に進める。また対応関係判定部110は、既存のデータがない場合、処理をステップS124に進める。
【0104】
[ステップS122]対応関係判定部110は、既存のデータがある場合、判断対象のコンピュータの相関対象期間に負荷計測期間を加える。
[ステップS123]対応関係判定部110は、負荷情報取得部141から受け取った負荷情報を、判断対象のコンピュータに対応する負荷情報テーブルに追加する。その後、対応関係判定部110は処理をステップS125に進める。
【0105】
[ステップS124]対応関係判定部110は、以前に取得した負荷情報がなければ、取得した負荷情報の負荷計測期間を、相関対象期間とする。
[ステップS125]対応関係判定部110は、候補コンセントを1つ選択する。
【0106】
[ステップS126]対応関係判定部110は、相関対象期間内の測定時刻ごとのコンピュータのCPU負荷率(機器負荷率)を、測定した時刻が古い順に配列xiに設定する(xiは0以上の実数)。iは、相関対象期間内の負荷情報に対して、時刻が古い順に番号を付与したときの、負荷情報の番号である(iは1以上の整数)。また対応関係判定部110は、選択した候補コンセントの相関対象期間内の測定時刻ごとの電力を、測定した時刻が古い順に配列yiに設定する(yiは0以上の実数)。第2の実施の形態では、i番目の負荷情報の時刻と、i番目の電力情報の時刻とは同時刻である。さらに対応関係判定部110は、相関対象期間内の時刻を有する負荷情報の数を、変数n(nは1以上の整数)に設定する。
【0107】
[ステップS127]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷と、選択した候補コンセントの電力との相関係数を計算し、相関関係記憶部112に格納する。
相関係数は、以下の式(1)で計算できる。
【0108】
【数1】
【0109】
このように、同時刻における負荷と電力とをそれぞれxi,yiとして式に代入することにより、相関係数が計算される。なお、CPU負荷率は0〜100%の間の数値で与えられる。電力は、例えばワット(W)を単位とした値がそのまま利用される。なおワット数が100を大きく超える場合は、相関対象期間中の最大値が100となるような変換を行ってから相関を計算するようにしてもよい。
【0110】
負荷情報数nは、相関対象期間と、負荷の測定間隔に依存する。例えば相関対象期間が3分間で、負荷の測定間隔が1秒の場合はn=180となる。相関係数は相関の強さに応じて−1から+1まで分布する。相関係数が+1の場合に、最も相関が強い。
【0111】
[ステップS128]対応関係判定部110は、未選択の候補コンセントがあるか否かを判断する。例えば対応関係判定部110は、ステップS125において、候補コンセントテーブル111a(図8参照)から、判断対象のコンピュータに対応付けられた候補コンセントのコンセントIDを、先頭から順に選択する。この場合、対応関係判定部110は、直前に選択したコンセントIDが最後尾のコンセントIDであれば、未処理の候補コンセントはないと判断する。
【0112】
対応関係判定部110は、未処理の候補コンセントがあれば、処理をステップS125に進める。また対応関係判定部110は、未処理の候補コンセントがなければ、相関係数計算処理を終了する。
【0113】
このようにして、判断対象のコンピュータの負荷と候補、コンセントから供給される電力との相関関係に基づいて、判断対象のコンピュータとコンセントとの対応関係が判断される。そして、すべての候補コンセントに対する相関係数のうち、閾値(例えば0.6)を超えるコンセントが唯一に定まる場合は、そのコンセントが、判断対象のコンピュータに対応するコンセントと決定される。閾値を超えるコンセントが複数ある場合は、そのコンセントが新たな候補コンセントに決定され、判断対象のコンピュータに対して再度負荷情報が要求される。
【0114】
コンピュータとコンセントとの対応関係が決定されると、例えばコンセントを介して供給された電力の総量から、コンピュータで消費された電力が求められる。そしてコンピュータを使用する利用者の情報に基づいて、利用者がコンピュータを用いて消費した電力が求められる。利用者が消費した電力は、例えば消費電力管理画面に表示される。
【0115】
図18は、相関関係に基づく利用者ごとの消費電力表示例を示す図である。図18の例では、対応関係ありと判定するための相関係数の閾値が「0.4」であるものとする。図18に示す相関関係テーブル112aでは、コンピュータID「PC1」のコンピュータの負荷と、コンセントID「C1」のコンセントの電力との相関係数が最も高い。その相関係数は「0.8」であり、閾値以上である。そこで、コンピュータID「PC1」のコンピュータと、コンセントID「C1」のコンセントとが対応付けられる。その結果、対応関係管理テーブル151aには、コンピュータID「PC1」とコンセントID「C1」とが対応付けて登録される。同様にコンピュータID「PC2」のコンピュータは、相関係数が「0.7」である、コンセントID「C4」のコンセントと対応付けられる。
【0116】
他方、コンピュータID「PC3」のコンピュータは、相関係数が「0.6」のコンセントが複数存在する。そこで、再度負荷情報を取得して相関係数を再計算するまで、コンピュータID「PC3」のコンピュータに対応するコンセントは不明(unknown)のままとなる。
【0117】
コンピュータとコンセントとの対応関係が判定できた場合、消費電力判定部153によって、利用者がコンピュータを使用して消費した消費電力が求められる。例えば、対応関係管理テーブル151aに基づいて、コンピュータID「PC1」のコンピュータは、コンセントID「C1」のコンセントから電力が供給されていることが分かる。また利用者対応関係テーブル152aに基づいて、コンピュータID「PC1」のコンピュータの利用者は、「Aさん」であることが分かる。さらにコンセントID「C1」に対応する電力情報テーブル132aに示される電力情報に基づいて、所定期間内にコンピュータに供給された電力の総量が分かる。
【0118】
例えば消費電力判定部153は、コンピュータから取得した最初の負荷情報の時刻を、そのコンピュータの使用開始時刻とする。消費電力判定部153は、コンピュータの使用開始時刻から現在までの、そのコンピュータに対応するコンセントの電力情報を抽出する。そして、消費電力判定部153は、抽出した電力情報に示される電力の合計に、電力の測定間隔の時間を乗算して、乗算結果をコンピュータによる消費電力とする。さらに消費電力判定部153は、コンピュータの消費電力を、そのコンピュータを使用する利用者の消費電力として、消費電力テーブル154aに設定する。
【0119】
その後、例えばシステムの管理者がサーバ100に対して、消費電力の表示指示を入力する。すると表示部155は、消費電力テーブル154aを参照し、各利用者の消費電力を示す消費電力管理画面71をモニタ11に表示する。
【0120】
このように第2の実施の形態では、相関関係を用いて明確に関連するコンピュータとコンセントとを対応付けている。これにより、対応付けの正確性が向上する。すなわち、多数の利用者が同時にコンピュータを起動した場合であっても、コンピュータとコンセントとの誤った対応付けが抑止される。
【0121】
しかも、コンピュータとコンセントとが自動で対応付けられるため、電力見える化システムの運用コストが低減する。例えば、オフィスのレイアウトを変更した場合であっても、レイアウト変更に伴うコンセントと利用者との対応付け作業が不要となり、作業負荷が低減される。また、ノンテリトリアルオフィスにおけるコンセントと利用者との対応付け作業も不要となり、漏れのない正確な電力情報の集計が可能となる。また会議室など共用コンセント利用時にも、利用者ごとの消費電力が把握可能となる。
【0122】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、特定機器に対するコンセント電力の相関係数がいずれのコンセント電力値に対しても一定値以下の場合、その機器にたいして、CPU負荷率を一定期間上げる処理を実行させるものである。
【0123】
なお第3の実施の形態のシステム構成は、図4〜図6に示した第2の実施の形態のシステム構成と同様である。だたし第3の実施の形態では、サーバとコンピュータとが有する機能の一部が、第2の実施の形態と異なる。そこで、第2の実施の形態と同じ機能を有する要素については、第2の実施の形態の要素の符号を付し、説明を省略する。
【0124】
図19は、第3の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。第3の実施の形態に係るサーバ100−1は、対応関係判定部110aの機能が第2の実施の形態の対応関係判定部110と異なる。
【0125】
対応関係判定部110aは、判断対象のコンピュータの負荷との相関係数が閾値以上のコンセントが見つからなかった場合、リソース消費要求を、判断対象のコンピュータに送信する点が、第2の実施の形態と異なる。
【0126】
また第3の実施の形態に係るコンピュータ61−1は、負荷情報提供部61b、リソース消費部61c、およびリソース消費フラグ記憶部61dを有する。負荷情報提供部61bは、サーバ100−1からの負荷取得要求を受信した場合、負荷情報をサーバ100−1に送信する。なお負荷情報提供部61bは、負荷取得要求の受信時にリソース消費フラグ61eが立っていた場合、リソース消費部61cに、コンピュータ61−1のリソースを消費させる。そして負荷情報提供部61bは、リソース消費部61cがリソースを消費していた間のCPU負荷率を測定し、負荷情報としてサーバ100−1に送信する。
【0127】
リソース消費部61cは、負荷情報提供部61bからの要求に応じて所定のリソースを消費する。例えばリソース消費部61cは、CPUに負荷を与えるプログラムを実行することで、CPU負荷率を上昇させる。
【0128】
リソース消費フラグ記憶部61dは、リソース消費フラグ61eを記憶する。リソース消費フラグ61eは、負荷取得要求を受信したときにリソース消費処理を実行するか否かを示すフラグである。負荷取得要求を受信したときにリソース消費処理を実行するのであれば、リソース消費フラグ61eが立てられる。例えばリソース消費フラグ61eに「1」が設定されていれば、リソース消費フラグ61eが立っている状態である。
【0129】
なお、コンピュータ61−1以外のコンピュータ62−1,・・・も、コンピュータ61−1と同様の機能を有している。
図20は、第3の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお図20のステップS201〜S207,S209〜S213の各処理は、それぞれ図16に示した第2の実施の形態のステップS101〜S112の処理と同じである。そこで、第2の実施の形態と異なるステップS208の処理について以下に説明する。
【0130】
[ステップS208]対応関係判定部110aは、判断対象のコンピュータの負荷との間に、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントがない場合、判断対象のコンピュータに対してリソース消費要求を送信する。その後、対応関係判定部110aは、処理をステップS212に進める。すると、負荷情報の再取得回数が規定値以下であれば、負荷取得要求が判断対象のコンピュータに送信される。
【0131】
次にリソース消費要求を受信したコンピュータ61−1におけるリソース消費フラグ設定処理ついて説明する。
図21は、リソース消費フラグ設定処理の手順を示すフローチャートである。以下、図21に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0132】
[ステップS221]負荷情報提供部61bは、サーバ100−1から送られたリソース消費要求を受信する。
[ステップS222]負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ記憶部61d内にリソース消費フラグ61eを立てる。例えば、負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eに「1」を設定する。
【0133】
次に負荷取得要求を受信したコンピュータ61−1における負荷計測処理について説明する。
図22は、負荷計測処理の手順を示すフローチャートである。以下、図22に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0134】
[ステップS231]負荷情報提供部61bは、サーバ100−1から負荷取得要求を受信する。
[ステップS232]負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eが立っているか否かを判断する。負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eが立っていれば、処理をステップS233に進める。また負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eが立っていなければ、処理をステップS236に進める。
【0135】
[ステップS233]負荷情報提供部61bは、50%を超える負荷が測定されているか否かを判断する。負荷情報提供部61bは、50%を超える負荷が測定されている場合、処理をステップS234に進める。また負荷情報提供部61bは、50%未満の負荷が測定されている場合、処理をステップS235に進める。
【0136】
[ステップS234]負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eをクリアする。例えば負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eに「0」を設定する。その後、負荷情報提供部61bは処理をステップS236に進める。
【0137】
[ステップS235]負荷情報提供部61bは、現在の負荷が50%未満であれば、リソース消費処理を起動する。例えば負荷情報提供部61bは、リソース消費部61cを起動し、所定の処理を実行させる。起動されたリソース消費部61cは、所定時間だけ、コンピュータ61−1のリソースを消費する処理を実行する。
【0138】
[ステップS236]負荷情報提供部61bは、リソース消費部61cがリソースを消費している所定時間の間、定期的に負荷を計測する。
[ステップS237]負荷情報提供部61bは、計測した負荷を示す負荷情報を、サーバ100−1に送信する。
【0139】
このように第3の実施の形態では、閾値以上の相関係数を示すコンセントが1つもない場合、サーバ100−1は、コンピュータ61−1に対してリソース消費要求を発行する。コンピュータ61−1は、サーバ100−1からリソース消費要求を受けると、リソース消費フラグを立てておく。その後コンピュータ61−1は、サーバ100−1からの負荷取得要求が発生した段階で負荷計測処理を開始する。このときコンピュータ61−1は、それまでの測定に50%を超える負荷(例えばCPU使用率)が観測されているかどうかを判定し、観測されていればリソース消費という目的は達成されている。そこでコンピュータ61−1は、新たなリソース消費処理を起動せずに、一定期間(例えば10秒)だけ負荷の測定を行い、負荷情報をサーバ100−1に送信する。他方、それまでの測定に50%を超える負荷が観測されていない場合は、コンピュータ61−1はリソース消費処理を起動する。例えばリソース消費部61cにより、円周率の値を規定桁まで求める処理を行う。コンピュータ61−1は、リソース消費処理の実行に並行して負荷を測定し、一定時間計測が完了すると、サーバ100−1に負荷情報を送信する。
【0140】
これにより、コンピュータの負荷が少なく、いずれのコンセントの電力との間にも有意な相関関係が見つけ出せない場合でも、コンピュータに負荷を与えることで、相関関係を有するコンセントを検出することができる。なおコンピュータに対するリソース消費要求を送信するのは、コンピュータの負荷との間に、相関関係があるコンセントが検出できなかった場合に限定される。そのため、必要以上にコンピュータに負荷をかけることが抑止されている。しかも、コンピュータに既に所定値(例えば50%)を超える負荷がかかっている場合、新たなリソース消費処理を起動しないため、電力監視のために消費するコンピュータのリソースが、最小限に抑止される。
【0141】
〔第4の実施の形態〕
次に第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、候補コンセントの事前フィルタリングを行うものである。第4の実施の形態では、サーバに、機器ごとの平均消費電力を保持しておく。そしてサーバは、コンセントを介して供給された電力の平均値(供給電力平均値)が、判断対象の機器の平均消費電力と所定値以上異なる場合は、そのコンセントを相関係数の計算対象外とする。これにより、より少ない負荷で機器とコンセントの対応付けが可能となる。
【0142】
なお第4の実施の形態のシステム構成は、図4〜図6に示した第2の実施の形態のシステム構成と同様である。だたし第4の実施の形態では、サーバとコンピュータとが有する機能の一部が、第2の実施の形態と異なる。そこで、第2の実施の形態と同じ機能を有する要素については、第2の実施の形態の要素の符号を付し、説明を省略する。
【0143】
図23は、第4の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。第4の実施の形態に係るサーバ100−2は、対応関係判定部110bの機能が第2の実施の形態の対応関係判定部110と異なる。またサーバ100−2は、平均消費電力記憶部161とフィルタ処理部162とを有する。
【0144】
対応関係判定部110bは、判断対象のコンピュータの負荷との相関係数を計算する前に、フィルタ処理部162に候補コンセントのフィルタリングを指示する。そして対応関係判定部110bは、判断対象のコンピュータの負荷と、フィルタリング後も候補コンセントとして残されたコンセントの電力との相関関係に基づいて、判断対象のコンセントに対応するコンセントを決定する。
【0145】
平均消費電力記憶部161は、コンピュータごとの平均消費電力を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、平均消費電力記憶部161として使用される。
【0146】
フィルタ処理部162は、判断対象のコンピュータの平均消費電力と、候補コンセントの供給電力平均値との差が所定の範囲内か否かにより、候補コンセントのフィルタリングを行う。例えばフィルタ処理部162は、コンセントの供給電力平均値が、コンピュータの平均消費電力の上下10%以内(90%〜110%)から外れている場合、そのコンセントを候補コンセントから除外する。
【0147】
図24は、平均消費電力記憶部のデータ構造の一例を示す図である。平均消費電力記憶部161には、平均消費電力テーブル161aが格納されている。平均消費電力テーブル161aには、コンピュータID、種別、および平均消費電力の欄が設けられている。
【0148】
コンピュータIDの欄には、コンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定される。種別の欄には、コンピュータの種別が設定される。例えば「ラップトップ」や「デスクトップ」が、種別として設定される。平均消費電力の欄には、該当種別のコンピュータの平均消費電力が設定される。
【0149】
なお平均消費電力テーブル161aの情報は、システムの管理者によって予め登録される。
次に第4の実施の形態におけるコンピュータとコンセントとの対応付け処理について説明する。
【0150】
図25は、第4の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお図25のステップS301〜S305,S307〜S313の各処理は、それぞれ図16に示した第2の実施の形態のステップS101〜S112の処理と同じである。そこで、第2の実施の形態と異なるステップS306の処理について以下に説明する。
【0151】
[ステップS306]対応関係判定部110bは、候補コンセントの電力情報を取得後、フィルタ処理部162に対してフィルタリングを指示する。するとフィルタ処理部162が、候補コンセントのフィルタリングを行う。対応関係判定部110bは、フィルタ処理部162からフィルタリング処理完了の応答を受け取ると、処理をステップS307に進める。
【0152】
図26は、フィルタリング処理の手順を示すフローチャートである。以下、図26に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS321]フィルタ処理部162は、判断対象のコンピュータのコンピュータIDを取得する。例えばサーバ100−2において、IPアドレスをコンピュータの識別に使用していた場合、フィルタ処理部162は、負荷情報が含まれていたパケットの送信元IPアドレスを、コンピュータIDとして取得する。
【0153】
[ステップS322]フィルタ処理部162は、取得したコンピュータIDに対応する平均消費電力を、平均消費電力テーブル161aから取得する。
[ステップS323]フィルタ処理部162は、候補コンセントの供給電力平均値を計算する。例えばフィルタ処理部162は、候補コンセント記憶部111内の候補コンセントテーブル111a(図8参照)から、判断対象のコンピュータに対応する候補コンセントIDを取得する。次にフィルタ処理部162は、電力情報記憶部132内の候補コンセントIDに対応する電力情報テーブル(図11参照)から、候補コンセントの電力情報を取得する。そしてフィルタ処理部162は、候補コンセントごとに、電力情報に示される電力の平均値を計算し、各候補コンセントの供給電力平均値とする。
【0154】
[ステップS324]フィルタ処理部162は、候補コンセントのなかに、判断対象のコンピュータの平均消費電力と供給電力平均値との差が10%以上となるコンセントがあるか否かを判断する。フィルタ処理部162は、該当するコンセントがあれば、処理をステップS325に進める。またフィルタ処理部162は、該当するコンセントがなければ、フィルタリング処理を終了する。
【0155】
[ステップS325]フィルタ処理部162は、判断対象のコンピュータの平均消費電力と供給電力平均値との差が10%以上となるコンセントを、候補コンセントから除外する。例えばフィルタ処理部162は、候補コンセントから除外するコンセントのコンセントIDを、候補コンセントテーブル111a(図8参照)における判断対象のコンピュータのコンピュータIDに対応する候補コンセントIDのリストから削除する。
【0156】
このように第4の実施の形態では、サーバ100−2は、負荷情報に含まれるコンピュータIDを抽出し、平均消費電力テーブルから判断対象のコンピュータの平均消費電力を取得する。次にサーバ100−2は、供給電力平均値が、判断対象のコンピュータの平均消費電力の上下10%以内を逸脱するコンセントが、候補コンセントに含まれる場合は、該当するコンセントを対象コンセントから除外する。他方、サーバ100−2は、供給電力平均値が、判断対象のコンピュータの平均消費電力の上下10%以内のコンセントは、候補コンセントに残し、判断対象のコンピュータの負荷との間の相関係数を計算する。これにより不要な相関係数の計算処理が行われず、処理負荷が軽減される。
【0157】
なお負荷情報の送信元のコンピュータからそのコンピュータの種別を取得し、種別ごとの平均消費電力に基づいてフィルタリングを行うこともできる。その場合、平均消費電力テーブル161aには、種別と平均消費電力との欄があればよい。その場合、平均消費電力の欄には、対応する種別のコンピュータの平均的な消費電力が設定される。そしてフィルタ処理部162は、ステップS321において判断対象のコンピュータの種別を取得し、ステップS322において取得した種別の平均消費電力を取得する。これにより、個々のコンピュータの平均消費電力ではなく、コンピュータの種別ごとの平均消費電力を登録しておけばよくなり、管理者における平均消費電力の設定負担が軽減される。なお図24の例では、種別として「ラップトップ」や「デスクトップ」といったカテゴリが設定されているが、例えばメーカごとのモデル名を種別に設定し、モデル名ごとの平均消費電力を設定しておくこともできる。
【0158】
〔第5の実施の形態〕
次に第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態は、適切な閾値と相関対象期間とをサーバが算出するものである。サーバは、正しい対応付けとなるコンピュータとコンセントとの対応関係を学習情報とし、その学習情報に基づいて、適切な閾値と相関対象期間とを算出する。例えばサーバは、コンピュータとコンセントとの正しいペアの相関係数の平均値と、誤ったペアの相関係数の最大値とから、相関閾値と相関対象期間を計算する。
【0159】
なお第5の実施の形態のシステム構成は、図4〜図6に示した第2の実施の形態のシステム構成と同様である。だたし第5の実施の形態では、サーバとコンピュータとが有する機能の一部が、第2の実施の形態と異なる。そこで、第2の実施の形態と同じ機能を有する要素については、第2の実施の形態の要素の符号を付し、説明を省略する。
【0160】
図27は、第5の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。第5の実施の形態に係るサーバ100−3は、対応関係判定部110cの機能が第2の実施の形態の対応関係判定部110と異なる。またサーバ100−3は、相関時間記憶部123、学習情報記憶部171、および判定条件算出部172を有する。
【0161】
対応関係判定部110cは、相関時間記憶部123に格納された相関時間分の長さの相関対象期間におけるコンピュータの負荷とコンセントから供給される電力との相関を比較する。例えば対応関係判定部110cは、コンピュータから相関時間分の負荷情報を取得し、図16に示したような対応付け処理を開始する。
【0162】
相関時間記憶部123は、相関関係の比較対象となる期間(相関対象期間)の長さを示す相関時間を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、相関時間記憶部123として使用される。
【0163】
学習情報記憶部171は、コンピュータと、そのコンピュータが接続されたコンセントとの正しい対応関係を示す学習情報を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、学習情報記憶部171として使用される。
【0164】
判定条件算出部172は、学習情報記憶部171に格納された学習情報に基づいて、適切な閾値と相関時間とを算出する。そして判定条件算出部172は、算出した閾値を、閾値記憶部122に格納する。また判定条件算出部172は、算出した相関時間を、相関時間記憶部123に格納する。
【0165】
図28は、学習情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。学習情報記憶部171には、学習情報テーブル171aが格納されている。学習情報テーブル171aには、コンピュータIDとコンセントIDとの欄が設けられている。
【0166】
コンピュータIDの欄には、接続されたコンセントが既知のコンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定される。コンセントIDの欄には、コンセントIDで示されるコンピュータが接続されているコンセントの識別情報(コンセントID)が設定される。
【0167】
次に、判定条件算出部172による判定条件算出処理について詳細に説明する。
図29は、判定条件算出処理の手順を示すフローチャートである。以下、図29に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0168】
[ステップS401]判定条件算出部172は、既に計算した相関係数がある場合、その相関係数の値をクリアする。
[ステップS402]判定条件算出部172は、学習情報によって正しい対応関係が示されているコンピュータ(対応関係既知のコンピュータ)から、相関時間分の負荷情報を取得する。例えば判定条件算出部172は、負荷情報取得部141に対して負荷情報の取得を指示する。負荷情報取得部141は、対応関係既知のコンピュータから負荷情報を取得する。そして負荷情報取得部141は、判定条件算出部172に渡す。
【0169】
なお相関時間は予め初期値が決められており、後述するステップS413によって少しずつ増やされる。
[ステップS403]判定条件算出部172は、負荷情報の負荷計測期間を取得する。例えば判定条件算出部172は、取得した負荷情報における最も古い時刻から、最新の時刻までの期間を負荷計測期間とする。このときの負荷計測期間の長さは、相関時間である。
【0170】
[ステップS404]判定条件算出部172は、電源タップ20,30から、負荷計測期間内のすべてのコンセントの電力情報を取得する。例えば判定条件算出部172は、電力情報取得部131に対して電力情報の取得を指示する。電力情報取得部131は、各電源タップ20,30から、負荷情報計測期間内に計測された電力を示すすべてのコンセントの電力情報を取得する。そして電力情報取得部131は、取得した電力情報を判定条件算出部172に渡す。
【0171】
[ステップS405]判定条件算出部172は、対応関係既知のコンピュータと、すべてのコンセントそれぞれとの組み合わせについて、コンピュータの負荷とコンセントを介して供給された電力との相関係数を計算する。
【0172】
[ステップS406]判定条件算出部172は、対応関係既知のコンピュータと正解コンセントとの間の相関係数と、対応関係既知のコンピュータと不正解コンセントとの間の相関係数とを合わせて、10組以上の組み合わせの相関係数が得られたか否かを判断する。正解コンセントとは、対応関係既知のコンピュータが接続されているコンセントである。不正解コンセントとは、対応関係既知のコンピュータが接続されているコンセント以外のコンセントである。10組以上の組み合わせの相関係数が得られた場合、判定条件算出部172は、処理をステップS407に進める。10組以上の組み合わせの相関係数が得られていない場合、判定条件算出部172は、処理をステップS402に進める。
【0173】
[ステップS407]判定条件算出部172は、正解コンセントの相関係数の平均値を変数Xに代入する。例えば図28に示した学習情報テーブル171aでは、コンピュータID「PC1」と「PC2」との2つのコンピュータに関する学習情報が登録されている。そのため、対応関係既知のコンピュータが2台存在し、それぞれのコンピュータに対する正解コンセントがある。そのため正解コンセントの相関係数として、2つの相関係数が得られる。そこで、正解コンセントから得られた2つの相関係数の平均が、変数Xに設定される。
【0174】
[ステップS408]判定条件算出部172は、不正解コンセントの相関係数の最大値を変数Yに設定する。
[ステップS409]判定条件算出部172は、正解コンセントの相関係数の平均値が、不正解コンセントの相関係数の最大値より大きいか否か(X>Y?)を判断する。正解コンセントの相関係数の平均値の方が大きければ、判定条件算出部172は処理をステップS410に進める。正解コンセントの相関係数の平均値が不正解コンセントの相関係数の最大値以下であれば、判定条件算出部172は処理をステップS412に進める。
【0175】
[ステップS410]判定条件算出部172は、不正解コンセントの最大値(変数Yの値)を、閾値に決定する。
[ステップS411]判定条件算出部172は、現在の相関時間と閾値とを保存する。例えば判定条件算出部172は、変数Yの値を、閾値記憶部122に格納する。また判定条件算出部172は、現在の相関時間を、相関時間記憶部123に格納する。その後、判定条件算出部172は、判定条件算出処理を終了する。
【0176】
[ステップS412]正解コンセントの相関係数の平均値が不正解コンセントの相関係数の最大値以下の場合、判定条件算出部172は、相関時間が予め設定された既定値以下か否かを判断する。判定条件算出部172は、相関時間が規定値以下であれば、処理をステップS413に進める。また判定条件算出部172は、相関時間が既定値を超えている場合、判定条件算出処理を終了する。
【0177】
[ステップS413]判定条件算出部172は、相関時間が既定値以下の場合、相関時間を10秒増加させ、処理をステップS401に進める。
このようにして、第5の実施の形態では、相関時間と閾値とを自動的に算出することができる。すなわち第5の実施の形態では、対応付け処理(図16参照)の実行に先立って、正解となるコンピュータとコンセントとの対応付けが、利用者により明示的に行われる。そして、正確な対応付けを判断可能な相関時間と閾値とが算出される。
【0178】
適切な閾値が得られることで、信頼性の高い対応付けが可能となる。また、相関時間を、短めの時間から徐々に増加させることで、正確な対応関係を判断可能な最小限の時間とすることができる。相関時間が短ければ、収集する情報量が少なくてすむと共に、相関係数の計算時間も短くてすむ。その結果、処理の効率化が図れる。
【0179】
なお、第5の実施の形態では、相関時間記憶部123に設定された相関時間と、閾値記憶部122に設定された閾値とを、対応関係判定部110cがそのまま対応関係の判定処理に使用するものとしたが、管理者が相関時間や閾値を変更することもできる。
【0180】
また第5の実施の形態では、不正解コンセントの相関係数の最大値を閾値としているが、正解コンセントの平均値と不正解コンセントの最大値との間の他の値を閾値とすることもできる。例えば、正解コンセントの相関係数の平均値と不正解コンセントの相関係数の最大値との中間値を閾値としてもよい。
【0181】
また、正解コンセントの相関係数の最小値が、不正解コンセントの相関係数の最大値より大きい場合、正解コンセントの相関係数の最小値と不正解コンセントの相関係数の最大値との間の値を閾値としてもよい。例えば、正解コンセントの相関係数の最小値と不正解コンセントの相関係数の最大値との中間値を閾値とすることができる。
【0182】
〔第6の実施の形態〕
次に第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態は、コンピュータの負荷と、コンセントを介して供給された電力との組み合わせについて、負荷または電力の測定時間を一定時間ずらした組み合わせについても相関度を計算するようにしたものである。これにより、コンピュータの時刻と電源タップの時刻とがずれている場合であっても、コンピュータと、そのコンピュータが接続されているコンセントとの対応付けが可能となる。
【0183】
なお第6の実施の形態のシステム構成は、図4〜図6に示した第2の実施の形態のシステム構成と同様である。だたし第6の実施の形態では、サーバとコンピュータとが有する機能の一部が、第2の実施の形態と異なる。そこで、第2の実施の形態と同じ機能を有する要素については、第2の実施の形態の要素の符号を付し、説明を省略する。
【0184】
図30は、第6の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。第6の実施の形態に係るサーバ100−4は、対応関係判定部110dの機能が第2の実施の形態の対応関係判定部110と異なる。またサーバ100−4は、探索範囲記憶部181を有する。
【0185】
対応関係判定部110dは、判断対象のコンピュータとの間の相関係数が閾値以上のコンセントが見つからない場合、時刻のずれを補正する処理を行って、再度、相関係数を計算する。時刻のずれを補正する場合、対応関係判定部110dは、探索範囲記憶部181に設定されている探索範囲内においてのみ時刻のずれの補正を行う。なお対応関係判定部110dには、予め時刻ずれ補正量の初期値が設定されている。
【0186】
探索範囲記憶部181は、探索範囲を記憶する。探索範囲は、時刻ずれを補正する際の補正の時間幅を示す情報である。
図31は、第6の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお図31のステップS501〜S507,S510〜S514の各処理は、それぞれ図16に示した第2の実施の形態のステップS101〜S112の処理と同じである。そこで、第2の実施の形態と異なるステップS508〜S509の処理について以下に説明する。
【0187】
[ステップS508]対応関係判定部110dは、判断対象のコンピュータの負荷と、供給している電力との間の相関係数が閾値以上のコンセントがない場合、時刻ずれ補正処理を行う。
【0188】
[ステップS509]対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正処理によって、判断対象のコンピュータの負荷と、供給している電力との間の相関係数が閾値以上のコンセントが、1つだけ検出されたか否かを判断する。対応関係判定部110dは、該当するコンセントが検出された場合、処理をステップS511に進める。また対応関係判定部110dは、該当するコンセントが検出できなかった場合、処理をステップS513に進める。
【0189】
図32は、時刻ずれ補正処理の手順を示すフローチャートである。以下、図32に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお以下の説明では時刻ずれ補正量をs秒(sは正の実数)とし、sの初期値は「1」とする。
【0190】
[ステップS521]対応関係判定部110dは、判断対象のコンピュータから取得した負荷情報の時刻をs秒だけずらして、コンピュータの負荷と、候補コンセントの電力との相関係数を計算する。例えば対応関係判定部110dは、相関対象期間の開始時刻と終了時刻とのそれぞれに対してs秒だけ加算した期間内の負荷情報を用いて、相関係数を計算する。この場合、例えば相関係数の算出に用いる1番目の負荷情報(i=1)の時刻は、相関係数の算出に用いる1番目の電力情報の時刻にs秒を加算した時刻となる。
【0191】
[ステップS522]対応関係判定部110dは、相関係数が閾値以上のコンセントがあるか否かを判断する。対応関係判定部110dは、該当するコンセントがあれば、処理をステップS523に進める。また対応関係判定部110dは、該当するコンセントがなければ、処理をステップS525に進める。
【0192】
[ステップS523]対応関係判定部110dは、ステップS522で検出された相関係数が閾値以上のコンセントは、1つだけか否かを判断する。対応関係判定部110dは、該当するコンセントが1つだけであれば、処理をステップS524に進める。また対応関係判定部110dは、該当するコンセントが複数ある場合、処理をステップS525に進める。
【0193】
[ステップS524]対応関係判定部110dは、1つだけ検出された、相関係数が閾値以上のコンセントを、判断対象のコンピュータに対応するコンセントに決定し、処理を終了する。
【0194】
[ステップS525]対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値が、予め設定されている探索範囲より大きいか否かを判断する。対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値が探索範囲より大きい場合、処理を終了する。対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値が探索範囲以下であれば、処理をステップS526に進める。
【0195】
[ステップS526]対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値が0より大きいか否かを判断する。対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値が0より大きい場合、処理をステップS527に進める。また対応関係判定部110dは、sの値が0以下であれば処理をステップS528に進める。
【0196】
[ステップS527]対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値の負に符号を逆転させ、新たな時刻ずれ補正量(s)とする。すなわち、「−s」を新たなsとする。その後、対応関係判定部110dは処理をステップS521に進める。
【0197】
[ステップS528]対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値の正に符号を逆転させた上で、1を加算し、新たな時刻ずれ補正量(s)とする。すなわち、「−s+1を新たな時刻ずれ補正量(s)とする。その後、対応関係判定部110dは処理をステップS521に進める。
【0198】
このようにして、負荷情報の時刻をずらしながら、相関関係の有無が判断される。
図33は、負荷情報の時刻をずらす様子を示す図である。図33の例では、「10:10:01」〜「10:10:03」が、相関対象期間である。コンセントから供給された電力とコンピュータの負荷とは、1秒間隔で計測されている。また図32に示す時刻ずれ補正処理の「s」の初期値は1秒である。
【0199】
相関対象期間において相関係数が閾値未満であれば、負荷情報の時刻が、相関対象期間から1秒だけ後にずらされる。すなわち「10:10:02」〜「10:10:04」の期間内の負荷情報と、「10:10:01」〜「10:10:03」の期間内の電力情報とに基づいて、相関係数が計算される。このとき「10:10:04」の負荷情報が未取得であれば、例えばコンピュータから「10:10:04」の負荷情報を取得後、相関係数が計算される。
【0200】
負荷情報の時刻を1秒だけ後にずらしても相関係数が閾値未満の場合、負荷情報の時刻が相関対象期間から1秒だけ前にずらされる。すなわち「10:10:00」〜「10:10:02」の期間内の負荷情報と、「10:10:01」〜「10:10:03」の期間内の電力情報とに基づいて、相関係数が計算される。
【0201】
負荷情報の時刻を1秒だけ前にずらしても相関係数が閾値未満の場合、時刻ずれの補正量(s秒)を増加させて相関係数が計算される。
また図33の例では、探索範囲記憶部181には、探索範囲が「30秒」に設定されている。この場合、時刻ずれ補正量が30秒より大きくなった時点でも相関係数が閾値以上のコンセントが見つからなければ、対応するコンセントを未検出のまま時刻ずれ補正処理が終了する。
【0202】
このように時刻ずれを補正して相関係数を計算することで、コンピュータと電源タップとの時刻にずれがあっても、コンピュータとコンセントとを正しく対応付けることが可能となる。例えば第2〜第5の実施の形態では、負荷情報に付随する時刻情報と電力情報に付随する時刻情報はNTP(Network Time Protocol)などの手段により厳密に標準時刻に一致していることを想定している。しかし、実際には機器の内部時計が狂っているなどの理由により正しい時刻が得られない可能性もある。そこで、第6の実施の形態では、時刻ずれの補正を行っている。
【0203】
第6の実施の形態では、機器の時計が正しい時刻からずれていると想定される時間は、時刻ずれ補正量(s)とされ、時刻ずれ補正量だけずらした時刻に対して全コンセントとの相関係数が計算される。どの程度まで時刻をずらした値までを計算の対象とするかは、探索範囲として予め設定されている。ずらした時刻に対して閾値以上の相関係数が得られるコンセントが唯一に定まった場合は、そのコンセントが正解コンセントとして対応付けられる。その結果、負荷情報に含まれる時刻と電力情報に含まれる時刻との間にずれがあった場合であっても、コンピュータが接続された正しいコンセントを検出し、対応付けることができる。
【0204】
〔第7の実施の形態〕
次に第7の実施の形態について説明する。第7の実施の形態は、コンピュータとコンセントとの間の対応付けの誤判定を抑止するものである。
【0205】
第7の実施の形態では、サーバは、コンピュータとコンセントとの対応関係を、その対応関係を判定した時刻に対応付けて保存する。またサーバは、コンセントにおいて規定以上の電力値が継続して消費されていることを検出する。さらにサーバは、判定した対応関係が既存の対応関係と矛盾し、かつ該当するコンセントにおいて継続した電力値が消費されている場合、該当するコンピュータの紐付け情報を解除する。そしてサーバは、コンピュータに対して再度、機器の負荷情報を収集する。これにより、誤った紐付け設定を防ぐことができる。
【0206】
なお第7の実施の形態のシステム構成は、図4〜図6に示した第2の実施の形態のシステム構成と同様である。だたし第7の実施の形態では、サーバとコンピュータとが有する機能の一部が、第2の実施の形態と異なる。そこで、第2の実施の形態と同じ機能を有する要素については、第2の実施の形態の要素の符号を付し、説明を省略する。
【0207】
図34は、第7の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。第7の実施の形態に係るサーバ100−5は、対応関係判定部110eの機能が第2の実施の形態の対応関係判定部110と異なる。またサーバ100−5の対応関係記憶部151−1は、記憶する情報が第2の実施の形態の対応関係記憶部151と異なる。またサーバ100−5は、電力継続情報記憶部191を有する。
【0208】
対応関係判定部110eは、判断対象のコンピュータの負荷との間で、供給した電力が閾値以上の相関係数となる唯一のコンセントを検出した場合、判断対象のコンピュータとコンセントとの対応関係の正当性を確認する処理(対応付け確認処理)を行う。そして、対応関係判定部110eは、検出した対応関係が正当と判定した場合に、判断対象のコンピュータと検出したコンセントとを対応付ける。
【0209】
なお対応関係判定部110eは、対応付け確認処理では対応関係記憶部151−1と電力継続情報記憶部191を参照して、対応付けの正当性を確認する。
対応関係記憶部151−1は、コンピュータとコンセントとの対応関係に加え、その対応関係を設定した時刻を記憶する。
【0210】
電力継続情報記憶部191は、コンセントごとに、一定以上の電力が継続して検出されているときの、最初の検出時刻を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、電力継続情報記憶部191として使用される。
【0211】
図35は、第7の実施の形態の対応関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。対応関係記憶部151−1には対応関係管理テーブル151bが格納されている。対応関係管理テーブル151bには、コンピュータID、コンセントID、および時刻の欄が設けられている。コンピュータIDの欄には、いずれかのコンセントに接続されて動作しているコンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定される。コンセントIDの欄には、コンピュータが接続されたコンセントであると判定されたコンセントの識別情報(コンセントID)が設定される。時刻の欄には、コンピュータとコンセントとの対応関係を登録した時刻が設定される。
【0212】
図36は、電力継続情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。電力継続情報記憶部191には、電力継続テーブル191aが設けられている。電力継続テーブル191aには、コンセントIDと電力検出時刻との欄が設けられている。
【0213】
コンセントIDの欄には、一定以上の電力が継続して検出されたコンセントの識別情報(コンセントID)が設定される。電力検出時刻の欄には、一定以上の電力を現在まで継続して供給しているコンセントにおいて、一定以上の電力が最初に検出された時刻(電力検出時刻)が設定される。なお電力継続テーブル191aの同一行に設定されたデータの組が、1つの電力継続情報となる。
【0214】
なお電力継続テーブル191aの内容は、電力情報を取得した対応関係判定部110eによって、適宜更新される。例えば対応関係判定部110eは、電力情報で示される電力が一定以上であり、その電力情報に対応するコンセントの電力継続情報が電力継続テーブル191aに登録されていなければ、新たな電力継続情報を電力継続テーブル191aに登録する。新たに登録される電力継続情報には、現在の時刻が電力検出時刻として設定される。また対応関係判定部110eは、電力情報で示される電力が一定未満であり、その電力情報に対応するコンセントの電力継続情報が電力継続テーブル191aに登録されていれば、該当する電力継続情報を電力継続テーブル191aから削除する。
【0215】
図37は、第7の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお図37のステップS601〜S608,S611〜S614の各処理は、それぞれ図16に示した第2の実施の形態のステップS101〜S112の処理と同じである。そこで、第2の実施の形態と異なるステップS609,S610の処理について以下に説明する。
【0216】
[ステップS609]対応関係判定部110eは、判断対象のコンピュータの負荷との間で、供給した電力の相関係数が閾値以上となる唯一のコンセントが検出された場合、対応付け確認処理を実行する。以下、検出されたコンセントを対象コンセントと呼ぶ。
【0217】
[ステップS610]対応関係判定部110eは、対応付け確認処理により、対象コンセントが、判断対象のコンピュータが接続されたコンセントとして正解と判定されたか否かを判断する。正解判定の場合、対応関係判定部110eは、処理をステップS611に進め、対象コンセントを判断対象のコンピュータに対応付ける。また対応関係判定部110eは、正解判定でなければ、対応付けを行わずに処理を終了する。
【0218】
図38は、対応付け確認処理の手順を示すフローチャートである。以下、図38に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS621]対応関係判定部110eは、対応関係管理テーブル151bを参照し、対象コンセントが、いずれかのコンピュータに対応付けられているか否かを判断する。対応関係判定部110eは、すでに対応付けられている場合、処理をステップS622に進める。また対応関係判定部110eは、対象コンセントの対応付けが設定されていなければ、処理をステップS626に進める。
【0219】
[ステップS622]対応関係判定部110eは、新たに判定した対応関係の判定結果が、既に設定されている対応関係と異なるか否かを判断する。すなわち対応関係判定部110eは、対象コンセントが既に対応付けられているコンピュータ(登録済みコンピュータ)が、現在の判断対象のコンピュータと異なる場合、判定結果が異なると判断する。対応関係判定部110eは、判定結果が異なる場合、処理をステップS623に進める。また対応関係判定部110eは、判定結果が同じであれば、処理をステップS626に進める。
【0220】
[ステップS623]対応関係判定部110eは、対応関係管理テーブル151bから、対象コンセントの前回の対応付け時刻を取得する。
[ステップS624]対応関係判定部110eは、対象コンセントの電力継続情報を取得する。
【0221】
[ステップS625]対応関係判定部110eは、対象コンセントの前回の対応付け時刻は、電力検出時刻以降か否かを判断する。対応関係判定部110eは、前回の対応付け時刻が電力検出時刻以降であれば、処理をステップS627に進める。また対応関係判定部110eは、前回の対応付け時刻が電力検出時刻以降でなければ、処理をステップS626に進める。
【0222】
すなわち対象コンセントの前回の対応付け時刻が電力検出時刻以降の場合、前回対応付け時刻から現在まで、対象コンセントからは一定以上の電力が供給され続けている。この場合、対象コンセント対して、同一のコンピュータが継続して接続されているものと考えられる。それにも拘わらず、対象コンセントのコンピュータとの対応関係について、以前と異なる判定結果が出た場合、判定結果にエラーがあるものと考えられる。そこで、ステップS627以降のエラー処理が実行される。
【0223】
一方、対象コンセントの前回の対応付け時刻が電力検出時刻より前の場合、前回の対応付け時刻から現在までの間に、対象コンセントからの電力供給が途切れた期間がある。この場合、対象コンセントの前回の対応付け時刻から現在までの間に、対象コンセントからコンピュータの電源ケーブルのプラグが抜かれ、別のコンピュータのケーブルが接続されたと考えられる。そのため、対象コンセントに関する対応付けの前回の判定結果と今回の判定結果とが異なったとしても矛盾は生じない。すなわち、今回の判定結果に沿って、対応付けを変更することとなる。
【0224】
[ステップS626]対応関係判定部110eは、対応付け確認処理の確認結果を正解と判定し、処理を終了する。
[ステップS627]対応関係判定部110eは、判断対象のコンピュータからの負荷情報の再取得回数が規定値以下か否かを判断する。対応関係判定部110eは、再取得回数が規定値以下であれば、処理をステップS628に進める。また対応関係判定部110eは、再取得回数が規定値を超えていれば、負荷取得要求を送信することなく、処理を終了する。
【0225】
[ステップS628]対応関係判定部110eは、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとの両方からの負荷情報の取得を、負荷情報取得部141に指示する。すると、負荷情報取得部141は、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとに対して、負荷取得要求を送信する。
【0226】
[ステップS629]対応関係判定部110eは、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとのそれぞれに対するコンセントの対応付けを解除する。例えば対応関係判定部110eは、対応関係管理テーブル151b(図35参照)から、判定対象コンピュータに関する情報と、登録済みコンピュータに関する情報とを削除する。
【0227】
[ステップS630]対応関係判定部110eは、電力情報記憶部132から、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとに関する電力検出時刻以降の電力情報を削除する。その後、対応関係判定部110eは処理を終了する。
【0228】
このようにして、一旦対応付けが設定されたコンセントが、異なるコンピュータのコンセントとして重複して設定されるケースを抑止することができる。すなわち、サーバ100−5は、閾値を超える相関係数を有するコンセントが一つに定まり、そのコンセントが既にコンピュータに対応付けられている場合、その対応付けが行われた時刻を取得する。そしてサーバ100−5は、該当するコンセントの前回の対応付け時刻から、一定以上の電力供給が継続されているか否かを判定する。一定以上の電力供給が継続されていない場合は一旦コンセントが抜かれて他の機器に差し替えられたためと判断されるため、そのまま対応付けが登録される。他方、一定以上の電力供給が継続されている場合は誤設定が疑われるので、既存の対応付けが解除され、登録済みコンピュータと判断対象のコンピュータとの両方に対して、負荷取得要求が出される。登録済みコンピュータと判断対象のコンピュータとは、負荷取得要求に応じて負荷情報をサーバ100−5に送信する。その結果、登録済みコンピュータと判断対象のコンピュータとのそれぞれについて、再度、対応付け処理が実行され、正確な対応関係が判明した時点で、その対応関係が設定される。
【0229】
なお第7の実施の形態では、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとのそれぞれから負荷情報を再取得することで、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとのそれぞれについて、すべてのコンセントの中から対応付けるコンセントが判断される。このとき、図38の対応付け確認処理における対象コンセントを、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとのいずれに対応付けるのかについてのみ判断するようにしてもよい。その場合、相関係数としては、判断対象のコンピュータと対象コンセントとの間の相関係数と、登録済みコンピュータと対象コンセントとの間の相関係数を計算すればよい。そのため、負荷情報を再取得した後の処理に関するサーバ100−5の処理負荷を軽減できる。
【0230】
〔その他の実施の形態〕
上記第2〜第7の実施の形態では、サーバは、電源タップから定期的にコンセントごとの電力情報を収集しているが、負荷情報に変動があった場合に、サーバが電力情報を収集するようにすることもできる。この場合、電源タップでは、内部のメモリに、コンセントごとの電力情報を蓄積しておく。そして電源タップは、サーバからの要求に応じて、蓄積しておいた電力情報をサーバに送信する。
【0231】
また第2〜第7の実施の形態では、コンピュータの負荷との相関係数が閾値以上となる電力を供給したコンセントが1つだけに絞られた場合にのみ、コンピュータとコンセントとを対応付けている。これは、コンピュータが直接接続されたコンセントからのみ、電力情報を取得する場合を想定したものである。一方、電源の配線としては、電源タップのコンセントにさらに電源タップを接続することもできる。このように電源タップが多段に配線されている場合、1つのコンピュータに電源を供給するコンセントが複数存在する場合もあり得る。この場合、コンピュータへは、コンピュータが直接接続されたコンセントと、そのコンセントを有する電源タップが接続されたコンセントとの両方を経由して電力が供給される。このような電源の配線が想定される場合には、1つのコンピュータに対して複数のコンセントを対応付けるようにしてもよい。このような対応付けを行うことで、電源設備からコンピュータなどの機器までの電力供給経路を、容易に認識することができる。
【0232】
なお、上記の各実施の形態に示した処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、サーバが有する機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RWなどがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disc)などがある。
【0233】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0234】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0235】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現することもできる。
【0236】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0237】
以上の実施の形態に開示された技術には、以下の付記に示す技術が含まれる。
(付記1) コンピュータが、
所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報とを取得し、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
ことを特徴とする機器・コンセント間対応付け方法。
【0238】
(付記2) 相関係数が前記閾値以上であるコンセントが1つだけの場合に、該コンセントを前記機器に対応付けることを特徴とする付記1記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0239】
(付記3) 相関係数が前記閾値以上であるコンセントが存在しない場合、前記機器から負荷情報を再取得し、相関係数を再計算することを特徴とする付記1または2のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0240】
(付記4) 相関係数が前記閾値以上であるコンセントが複数存在する場合、該複数のコンセントを対応付け候補とし、前記機器から負荷情報を再取得し、
前記機器の再取得した負荷情報と、前記対応付け候補のコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0241】
(付記5) 前記機器の負荷が所定の値以下の場合、前記機器に対して、負荷を伴う処理の実行を指示することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0242】
(付記6) 前記機器の平均消費電力が予め記憶されており、前記所定の期間内の電力の平均値と該平均消費電力との差が所定の範囲内のコンセントについて、前記機器の負荷情報と、コンセントから取得した複数の電力情報との相関係数を計算することを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0243】
(付記7) 前記機器以外の少なくとも1つの他の機器と、該他の機器に電力を供給しているコンセントとの正しい対応関係を示す学習情報が、記憶手段に予め格納されており、
所定の期間内の前記他の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得し、
前記他の機器との間に正しい対応関係を有する正解コンセントと、前記他の機器との間に正しい対応関係を有していない不正解コンセントとについて、前記他の機器の負荷情報と、コンセントから取得した電力情報との相関係数を計算し、
正解コンセントの相関係数と、不正解コンセントの相関係数とに基づいて、前記閾値を計算することを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0244】
(付記8) 正解コンセントの相関係数の平均値が、不正解コンセントの相関係数の最大値より大きい場合、不正解コンセントの相関係数の最大値を、前記閾値とすることを特徴とする付記7記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0245】
(付記9) 前記機器以外の少なくとも1つの他の機器と、該他の機器に電力を供給しているコンセントとの正しい対応関係を示す学習情報が、記憶手段に予め格納されており、
所定の期間内の前記他の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得し、
前記他の機器との間に正しい対応関係を有する正解コンセントと、前記他の機器との間に正しい対応関係を有していない不正解コンセントとについて、前記他の機器の負荷情報と、コンセントから取得した電力情報との相関係数を計算し、
正解コンセントの相関係数と不正解コンセントの相関係数とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数の計算対象となる相関対象期間の長さを示す相関時間を決定する、
ことを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0246】
(付記10) 相関係数の計算対象となる相関対象期間の長さを初期値から段階的に増加させていきながら、正解コンセントと不正解コンセントとについて相関係数の計算を繰り返し行い、正解コンセントの相関係数の平均値が、不正解コンセントの相関係数の最大値より大きくなったときの相関対象の期間の長さを、前記相関時間とすることを特徴とする付記9記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0247】
(付記11) 前記機器の負荷の測定期間と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの負荷の測定時間帯との間の、時間のずれ量を変更しながら、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を繰り返し計算することを特徴とする付記1乃至10のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0248】
(付記12) 前記機器の負荷との間に閾値以上の相関係数を有する電力を供給したコンセントが、前記機器以外の他の機器に既に対応付けられている場合、該他の機器と該コンセントを対応付けてから現在まで、該コンセントから一定以上の電力供給が継続されているか否かを判断し、
電力供給が継続されている場合、前記他の機器と該コンセントとの対応付けを解除すると共に、前記機器と該コンセントの対応付けを抑止することを特徴とする付記1乃至11のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0249】
(付記13) 前記他の機器とコンセントとの対応付けを解除すると共に、前記機器と該コンセントの対応付けを抑止した場合、前記機器と前記他の機器とのそれぞれから負荷情報を取得し、該コンセントから供給された電力の情報を取得し、
前記機器と前記他の機器それぞれと、該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
該コンセントを、相関係数が閾値以上である前記機器または前記他の機器に対応付ける、
ことを特徴とする付記12記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0250】
(付記14) コンピュータに、
所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報とを取得し、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
処理を実行させるプログラム。
【0251】
(付記15) 所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報を取得する負荷情報取得手段と、
複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得する電力情報取得手段と、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する計算手段と、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける対応付け手段と、
を有する情報処理装置。
【符号の説明】
【0252】
1 情報処理装置
1a 負荷情報取得手段
1b 電力情報取得手段
1c 記憶手段
1d 計算手段
1e 対応付け手段
1f 表示手段
2,3 電源タップ
2a,2b,3a,3b コンセント
4a,4b,4c,4d 機器
5 アクセスポイント
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器とその機器が接続されたコンセントとを対応付ける機器・コンセント間対応付け方法、プログラム、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境意識の高まりやエネルギー価格の高騰により、様々な分野で電力の有効利用に対する要求が高まりをみせている。オフィスにおいても、部門全体の省エネルギーに取り組むためには個人が利用する電力を細かい単位で把握することが有用である。
【0003】
このため近年スマートコンセントと呼ばれる電力計測機能つきの電源コンセントを各人に配布し、個人ごとの電力消費を把握するエネルギーマネジメントシステムが普及の兆しを見せている。エネルギーマネジメントシステムでは、利用者が使用している機器と、その機器が接続されているコンセントとの対応付け情報の設定が行われる。このような機器とコンセントとの対応付けを人手で行ったのでは手間がかかる。特に頻繁なレイアウト変更を伴う職場、会議室など利用者が頻繁に変わるコンセント、ノンテリトリアルオフィスと呼ばれる個人の執務机が固定されない職場などでは、その設定作業を行う作業者への負担はさらに増大する。
【0004】
なお、機器とコンセントの対応付けを自動で行う仕組みも考えられている。例えば、電気機器の設置場所を自動的に設定するシステムが提案されている。このシステムでは、コンセントの電流変化と、電力が供給されたビデオ装置によるデータ送受信の時期が同期している場合に、そのコンセントにそのビデオ装置が接続されたという対応付けを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−134920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし従来の方法では、複数の機器にほぼ同時に電力が供給された場合、機器とコンセントとを誤って対応付けてしまう可能性が大きかった。特に、管理対象の機器が多くなると、機器とコンセントとを誤って対応付ける可能性がさらに高くなってしまう。
【0007】
1つの側面では、本発明は、機器とコンセントの間の対応付けの誤判定を抑止した機器・コンセント間対応付け方法、プログラム、および情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの案では、機器・コンセント間対応付け方法が提供される。機器・コンセント間対応付け方法では、コンピュータが、所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報とを取得する。次にコンピュータが、機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する。そしてコンピュータが、相関係数が閾値以上であるコンセントを、機器に対応付ける。
【発明の効果】
【0009】
1態様によれば、機器とコンセントの間の対応付けの誤判定が抑止される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施の形態のシステム構成例を示す図である。
【図2】第1の実施の形態の対応付け処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】機器とコンセントとの対応付けの一例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態のシステム構成例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に用いるサーバのハードウェアの一構成例を示す図である。
【図6】電源タップのハードウェアの一構成例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態における各装置の機能の一例を示すブロック図である。
【図8】候補コンセント記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図9】相関関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図10】コンセントリスト記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図11】電力情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図12】負荷情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図13】対応関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図14】機器利用者記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図15】消費電力記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図16】第2の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図17】相関係数計算処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】相関関係に基づく利用者ごとの消費電力表示例を示す図である。
【図19】第3の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。
【図20】第3の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図21】リソース消費フラグ設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】負荷計測処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】第4の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。
【図24】平均消費電力記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図25】第4の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図26】フィルタリング処理の手順を示すフローチャートである。
【図27】第5の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。
【図28】学習情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図29】判定条件算出処理の手順を示すフローチャートである。
【図30】第6の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。
【図31】第6の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図32】時刻ずれ補正処理の手順を示すフローチャートである。
【図33】負荷情報の時刻をずらす様子を示す図である。
【図34】第7の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。
【図35】第7の実施の形態の対応関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図36】電力継続情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。
【図37】第7の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図38】対応付け確認処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態では、機器の負荷とその機器の消費電力とに相関関係が存在することを利用して、機器とコンセントとの対応付けを行う。
【0012】
図1は、第1の実施の形態のシステム構成例を示す図である。情報処理装置1には、電源タップ2,3や、無線通信のアクセスポイント5がネットワークを介して接続されている。
【0013】
電源タップ2は、複数のコンセント2a,2bを有する。電源タップ2は、複数のコンセント2a,2bそれぞれを介して供給された電力を測定することができる。また電源タップ2は、情報処理装置1からの要求に応じて、複数のコンセント2a,2bそれぞれを介して供給された電力を示す電力情報を、情報処理装置1に送信する。
【0014】
電源タップ3は、複数のコンセント3a,3bを有する。電源タップ3は、複数のコンセント3a,3bそれぞれを介して供給された電力を測定することができる。また電源タップ3は、情報処理装置1からの要求に応じて、複数のコンセント3a,3bそれぞれを介して供給された電力を示す電力情報を、情報処理装置1に送信する。
【0015】
複数の機器4a,4b,4c,4dは、それぞれコンセント2a,2b,3a,3bに接続されている。各機器には、接続先のコンセントから電力が供給されている。機器4a,4b,4c,4dは、例えばコンピュータである。また機器4a,4b,4c,4dは、情報処理装置1と通信する機能を備えている。例えば機器4a,4b,4c,4dは、無線通信によってアクセスポイント5との間で通信を行い、アクセスポイント5経由で情報処理装置1と通信する。
【0016】
情報処理装置1は、負荷情報取得手段1a、電力情報取得手段1b、記憶手段1c、計算手段1d、対応付け手段1e、および表示手段1fを有する。
負荷情報取得手段1aは、所定の期間内のいずれかの機器の負荷を示す負荷情報を取得する。例えば負荷情報取得手段1aは、電源が投入された機器から、電源投入より数分経過後に、過去数分間の負荷の変動を示す負荷情報を取得する。負荷情報取得手段1aは、取得した負荷情報を、例えば記憶手段1cに格納する。
【0017】
電力情報取得手段1bは、複数のコンセント2a,2b,3a,3bそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得する。例えば電力情報取得手段1bは、負荷情報取得手段1aがいずれかの機器から負荷情報を取得した場合、電源タップ2,3から、過去数分間の供給電力の変動を示す電力情報を取得する。また電力情報取得手段1bは、電源タップ2,3から定期的に電力情報を取得するようにしてもよい。また電力情報取得手段1bは、取得した電力情報を、例えば記憶手段1cに格納する。
【0018】
記憶手段1cは、負荷情報と電力情報とを記憶する。
計算手段1dは、機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、その機器の負荷と、コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する。相関係数とは、2つの確率変数の間の相関(類似性の度合い)を示す統計学的指標である。相関係数としては、例えばピアソンの積率相関係数(Pearson product-moment correlation coefficient)が用いられる。負荷と電力との間の相関係数は、例えば所定の相関対象期間に計測された負荷を示す負荷情報と、その相関対象期間に測定された電力を示す電力情報とに基づいて計算される。
【0019】
対応付け手段1eは、機器の負荷との間の相関係数が閾値以上となる電力を供給しているコンセントを、その機器に対応付ける。例えば対応付け手段1eは、相関係数が閾値以上であるコンセントが1つだけの場合にのみ、そのコンセントを機器に対応付ける。
【0020】
表示手段1fは、機器に対応付けられたコンセントから供給された電力の総量をその機器の消費電力とし、機器の消費電力をモニタに表示する。例えば表示手段1fは、記憶手段1cに格納されている電力情報に基づいて、機器に対応付けられたコンセントから供給された電力の総量を計算する。
【0021】
なお、図1に示した負荷情報取得手段1a、電力情報取得手段1b、計算手段1d、対応付け手段1e、および表示手段1fは、情報処理装置が有するCPU(Central Processing Unit)により実現することができる。また、記憶手段1cは、情報処理装置が有するRAM(Random Access Memory)やハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などの記憶媒体により実現することができる。
【0022】
また、図1に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。
次に、図1に示した情報処理装置1による機器とコンセントとの対応付け処理について説明する。なお以下の説明では、機器4aに対してコンセントを対応付けるものとする。
【0023】
図2は、第1の実施の形態の対応付け処理の手順を示すフローチャートである。以下、図2に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS1]負荷情報取得手段1aは、機器4aから負荷情報を取得する。例えば機器4aが起動されてから所定時間経過後に、機器4aが情報処理装置1に対して負荷情報を送信する。すると送信された負荷情報を、負荷情報取得手段1aが取得する。負荷情報取得手段1aは、例えば取得した負荷情報を記憶手段1cに格納する。
【0024】
[ステップS2]電力情報取得手段1bは、機器4aから負荷情報を取得すると、電源タップ2,3から、複数のコンセント2a,2b,3a,3bそれぞれの電力情報を取得する。電力情報取得手段1bは、例えば取得した電力情報を記憶手段1cに格納する。
【0025】
[ステップS3]計算手段1dは、機器4aの負荷と、コンセント2a,2b,3a,3bそれぞれの電力との間の相関係数を計算する。
[ステップS4]対応付け手段1eは、機器4aの負荷との間の相関係数が閾値以上となる電力を供給しているコンセントを、機器4aに対応付ける。
【0026】
[ステップS5]表示手段1fは、機器4aに対応付けられたコンセントから供給された電力の総量をその機器4aの消費電力とし、機器4aの消費電力をモニタに表示する。
このようにして、機器を、その機器が接続されたコンセントに、正しく対応付けることができる。
【0027】
図3は、機器とコンセントとの対応付けの一例を示す図である。図3では、機器4aの負荷情報6をグラフで表示している。負荷情報6のグラフは、横軸が時間、縦軸が負荷である。また図3の例では、複数のコンセント2a,2b,3a,3bそれぞれの電力情報7a,7b,7c,7dのうち、コンセント2aの電力情報7aをグラフで表示している。電力情報7aのグラフは、横軸が時間、縦軸が電力である。
【0028】
このような負荷情報6と、複数の電力情報7a,7b,7c,7dそれぞれとの相関係数が計算される。計算結果表8には、相関係数の計算結果が示されている。なお、機器4aの識別情報は「機器1」、コンセント2a,2b,3a,3bの識別情報は、それぞれ「C1」、「C2」、「C3」、「C4」であるものとする。
【0029】
図3の例では、機器4aの負荷情報とコンセント2aの電力情報との相関係数は「0.2」である。機器4aの負荷情報とコンセント2bの電力情報との相関係数は「0.8」である。機器4aの負荷情報とコンセント3aの電力情報との相関係数は「0.3」である。機器4aの負荷情報とコンセント3bの電力情報との相関係数は「0.1」である。
【0030】
ここで対応付け判定の閾値が「0.6」であるものとすると、閾値以上の相関係数となるのは、コンセント2bのみとなる。そこで、識別情報「機器1」の機器4aに、識別情報「C2」のコンセント2bが対応付けられる。すると、コンセント2bの電力情報に基づいて、機器4aの消費電力が計算できる。そこで、例えば機器4aの消費電力を示す消費電力画面9が表示される。
【0031】
以上説明したように、第1の実施の形態では、機器の負荷と、コンセントを介して供給された電力との相関係数に基づいて、機器とコンセントとを対応付けている。これにより、機器とコンセントの間の対応付けの誤判定が抑止される。すなわち、第1の実施の形態では、一時点での負荷と電力との同期ではなく、所定の期間内の負荷と電力との相関係数が用いられている。これにより、機器の電源投入時とコンセントからの電源供給開始時との同時性のみで対応付けを行う場合に比べ、統計的に高い信頼性の判定結果が得られる。その結果、対応付けの誤判定が抑止される。
【0032】
また、相関係数が閾値以上であるコンセントが1つだけの場合にのみ、そのコンセントを機器に対応付けるようにすることで、誤った対応付けを行う可能性をさらに抑止することができる。すなわち、機器の負荷と、その機器が接続されていないコンセントを介して供給された電力との相関係数が偶然に、閾値以上の値となる場合も考えられる。この場合、偶然に相関係数が閾値以上となったコンセントと、機器が実際に接続されたコンセントとの両方が、相関係数が閾値以上であるコンセントとして検出される。このような場合、機器をいずれのコンセントとも対応付けないようにすることで、誤判定が抑止される。
【0033】
また、相関係数が前記閾値以上であるコンセントが複数存在する場合には、該当する複数のコンセントを対応付け候補とし、負荷情報取得手段1aが、機器から負荷情報を再取得することもできる。この場合、計算手段1dは、例えば機器の再取得した負荷情報と、対応付け候補のコンセントの電力情報とに基づいて、機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する。そして対応付け手段1eは、相関係数が閾値以上であるコンセントを、機器に対応付ける。これにより、1回目の判定では機器とコンセントとの正しい対応関係が判定できなかった場合であっても、再度の対応付けの判断により、機器を正しいコンセントと対応付けることができる。
【0034】
また、相関係数が閾値以上であるコンセントが存在しない場合は、機器から負荷情報を再取得し、相関係数を再計算することで、機器の負荷との間で閾値以上の相関係数となるコンセントを検出することができる。これにより、機器とコンセントとの誤った対応付けを抑止しながらも、機器に対して、その機器が接続されたコンセントを確実に対応付けることが可能となる。
【0035】
〔第2の実施の形態〕
次に第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、オフィス機器の大半を占めるコンピュータを、コンセントとの対応関係の判定対象の機器とする。
【0036】
コンピュータの負荷は、例えばCPU負荷率で表すことができる。例えば同時刻、同時間におけるコンピュータのCPU負荷率と、そのコンピュータの消費電力を比較すると、CPU負荷率が高い時には消費電力も大きいという相互相関関係がある。そこで第2の実施の形態では、コンピュータの負荷としてはCPU負荷率を採用する。CPU負荷率は、例えばコンピュータで動作している全プロセスの、単位時間あたりのCPU使用時間を合計した値である。多コアCPUの場合はそれぞれのCPUの使用率の平均とする。CPU負荷率はOS(Operating System)の基本情報として一般的に取得可能である。
【0037】
なおコンピュータの負荷の指標として、CPU負荷率以外の情報を用いることも可能である。例えば、メモリ読み込み・書き込み率、ディスク読み込み・書き込み率など、様々な情報を、コンピュータの負荷の指標として利用可能である。また複数の指標を組み合わせてコンピュータの負荷を算出してもよい。
【0038】
また第2の実施の形態では、ノンテリトリアルオフィスのように、勤務場所および執務机が毎日異なるような勤務形態オフィスを想定して説明する。
図4は、第2の実施の形態のシステム構成例を示す図である。電力の使用状況を監視するサーバ100は、ネットワーク10に接続されている。ネットワーク10には、ゲートウェイ51,アクセスポイント52,53、およびコンピュータ62,63が接続されている。ゲートウェイ51は、電源タップ20,30から使用電力などの情報を取得し、サーバ100に送信する。アクセスポイント52,53は、無線LAN(Local Area Network)により、コンピュータ61,64と通信する。コンピュータ61,64は、アクセスポイント52,53経由で、サーバ100との間で通信することができる。
【0039】
電源設備40には、電源タップ20,30が接続されている。電源タップ20,30は、電源設備40から供給された電力を、コンピュータ61〜64に供給する器具である。電源タップ20,30は、コンピュータ61〜64の電源プラグを差し込むコンセントを複数有する。また電源タップ20,30は、コンセントごとの消費電力を測定する機能を有している。このような電源タップ20,30は、例えばスマートコンセントと呼ばれる。
【0040】
コンピュータ61〜64は、電源ケーブルによって、電源タップ20,30のいずれかのコンセントに接続されている。そしてコンピュータ61〜64は、電源タップ20,30を介して、電源設備40からの電力の供給を受ける。
【0041】
例えば図4に示したようなシステムが構築されたオフィスに、毎朝、定時近辺に、ほぼすべての利用者が出社し、それぞれ適当なコンセントに自分のノート型(ラップトップ)コンピュータなどを接続し、OSを起動する。コンピュータは、例えば起動5分後のタイミングで、コンピュータに予めインストールされている負荷収集プログラムがCPU負荷率を3分間計測する。コンピュータは、CPU負荷率をそのコンピュータの負荷とした負荷情報をサーバに送信する。
【0042】
サーバは受信した負荷情報をもとにコンセント判定動作フローに従い、負荷情報を送信したコンピュータとコンセントとを対応付ける。もし対応付けるコンセントが検出できなければ、負荷情報が再収集される。その後コンピュータから負荷情報が再送信されるごとに、サーバ100ではコンセントとの対応付け処理が繰り返し実行される。そしてサーバ100は、コンピュータと利用者の紐付けデータを使用し、利用者の消費電力として管理・表示を行う。
【0043】
図5は、第2の実施の形態に用いるサーバのハードウェアの一構成例を示す図である。サーバ100は、CPU101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス108を介してRAM102と複数の周辺機器が接続されている。
【0044】
RAM102は、サーバ100の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOSのプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。
【0045】
バス108に接続されている周辺機器としては、HDD103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、および通信インタフェース107がある。
【0046】
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103は、サーバ100の二次記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0047】
グラフィック処理装置104には、モニタ11が接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ11の画面に表示させる。モニタ11としては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。
【0048】
入力インタフェース105には、キーボード12とマウス13とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード12やマウス13から送られてくる信号をCPU101に送信する。なお、マウス13は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
【0049】
光学ドライブ装置106は、レーザ光などを利用して、光ディスク14に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク14は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク14には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。
【0050】
通信インタフェース107は、ネットワーク10に接続されている。通信インタフェース107は、ネットワーク10を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0051】
以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、図5にはサーバ100のハードウェア構成を示したが、コンピュータ61〜64も同様のハードウェアで実現することができる。ただし、コンピュータ61,64は、無線LANインタフェースをさらに有する。また、第1の実施の形態に示したコンピュータも、図5に示したサーバ100と同様のハードウェアにより実現することができる。
【0052】
図6は、電源タップのハードウェアの一構成例を示す図である。電源タップ20には、複数のコンセント21a,21b,21c,21dが設けられている。コンセント21a,21b,21c,21dには、電源設備40から電源が供給されている。
【0053】
コンセント21a,21b,21c,21dそれぞれと電源設備40とを接続するケーブルには、電流センサ22a,22b,22c,22dが設けられている。電流センサ22a,22b,22c,22dは、対応するコンセントを介してコンピュータ61〜64に供給される電流量を計測する。例えば電流センサ22a,22b,22c,22dは、磁気センサであるホール素子と、磁界をホール素子に収束するフェライトで構成される。ホール素子は、ホール効果(Hall Effect)を利用し、コンセントと電源設備40との間のケーブルを流れる電流によって発生する磁界を電気信号に変換する。
【0054】
電流センサ22a,22b,22c,22dは、制御回路24に接続されている。電流センサ22a,22b,22c,22dから制御回路24へは、対応するコンセントから流出する電流量に応じた電気信号が出力される。制御回路24は、電流センサ22a,22b,22c,22dから取得した電気信号に基づいて、各コンセント21a,21b,21c,21dを介して、コンピュータ61〜64などの電気機器に供給されている電力量を算出する。
【0055】
また制御回路24は、ゲートウェイ51に例えばUSB(Universal Serial Bus)などの通信インタフェースを介して接続されている。そして制御回路24は、サーバ100からの要求に応じて、コンセント21a,21b,21c,21dを介して電気機器に供給されている電力量をサーバ100に送信する。
【0056】
図7は、第2の実施の形態における各装置の機能の一例を示すブロック図である。サーバ100は、対応関係判定部110、候補コンセント記憶部111、相関関係記憶部112、コンセントリスト記憶部121、閾値記憶部122、電力情報取得部131、電力情報記憶部132、負荷情報取得部141、負荷情報記憶部142、対応関係記憶部151、機器利用者記憶部152、消費電力判定部153、消費電力記憶部154、および表示部155を有する。
【0057】
対応関係判定部110は、コンピュータ61〜64と、コンピュータ61〜64それぞれが接続されたコンセントとの対応関係を判定する。対応関係判定部110は、対応関係の判定において、コンセントを介して供給された電力と、コンピュータの負荷との相関関係を用いる。例えば対応関係判定部110は、コンピュータの負荷との間に相関係数が所定の閾値以上となる相関関係を有するコンセントが1つだけ見つかった場合、そのコンピュータとコンセントとに対応関係があると判定する。
【0058】
なお対応関係判定部110は、対応関係の判定の際に、候補コンセント記憶部111、相関関係記憶部112、コンセントリスト記憶部121、閾値記憶部122、電力情報記憶部132、および負荷情報記憶部142の情報を参照する。また対応関係判定部110は、対応関係の判定過程において、候補コンセント記憶部111と相関関係記憶部112とに、適宜情報を格納する。さらに対応関係判定部110は、対応関係の判定結果を、対応関係記憶部151に格納する。
【0059】
候補コンセント記憶部111は、判断対象のコンピュータに対して、対応関係の有無の判断を行う候補となるコンセント(候補コンセント)を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が候補コンセント記憶部111として使用される。
【0060】
相関関係記憶部112は、コンピュータの負荷とコンセントの電力との相関関係を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が相関関係記憶部112として使用される。
【0061】
コンセントリスト記憶部121は、電源タップ20,30に設けられたコンセントのリストを記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、コンセントリスト記憶部121として使用される。なおコンセントリスト記憶部121に格納されるコンセントのリストは、システムの管理者によって予め登録される。
【0062】
閾値記憶部122は、相関関係があるか否かの判断基準となる相関係数の閾値を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、閾値記憶部122として使用される。
【0063】
電力情報取得部131は、電源タップ20,30から、電源タップ20,30に設けられた各コンセントを介して供給された電力を示す電力情報を取得する。例えば電力情報取得部131は、所定間隔(例えば1秒)で、定期的に電源タップ20,30に対して電力情報要求を送信し、電源タップ20,30から電力情報を取得する。電力情報取得部131は、取得した電力情報を、電力情報記憶部132に格納する。
【0064】
電力情報記憶部132は、電源タップ20,30のコンセントごとの電力情報を記憶する。電力情報記憶部132に格納された電力情報により、コンセントごとの供給電力の変化履歴が示される。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が電力情報記憶部132として使用される。
【0065】
負荷情報取得部141は、コンピュータ61〜64から負荷情報を取得する。例えば負荷情報取得部141は、コンピュータ61〜64が所定のタイミングで送信する負荷情報を取得する。負荷情報取得部141は、取得した負荷情報を対応関係判定部110に渡す。取得した負荷情報は、その後、対応関係判定部110によって負荷情報記憶部142に格納される。
【0066】
負荷情報記憶部142は、コンピュータの負荷情報を記憶する。負荷情報記憶部142に格納された負荷情報により、コンピュータごとの負荷の変化履歴が示される。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、負荷情報記憶部142として使用される。
【0067】
対応関係記憶部151は、対応関係判定部110によって判定された、コンピュータと、そのコンピュータが接続されたコンセントとの対応関係を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、対応関係記憶部151として使用される。
【0068】
機器利用者記憶部152は、コンピュータ61〜64それぞれの利用者を示す情報を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、機器利用者記憶部152として使用される。なおコンピュータ61〜64それぞれの利用者を示す情報は、システムの管理者によって、予め機器利用者記憶部152に設定される。
【0069】
消費電力判定部153は、利用者ごとに、その利用者、機器を用いて消費した電力を判定する。例えば消費電力判定部153は、機器利用者記憶部152を参照し、利用者が使用しているコンピュータを判断する。また消費電力判定部153は、対応関係記憶部151を参照し、利用者が使用しているコンピュータが接続されたコンセントを判断する。さらに消費電力判定部153は、電力情報記憶部132を参照し、利用者が使用しているコンピュータが接続されたコンセントから供給された電力を判断し、その電力を、利用者が消費した電力とする。消費電力判定部153は、利用者ごとに判断した消費電力を、消費電力記憶部154に格納する。
【0070】
消費電力記憶部154は、利用者ごとの消費電力を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、消費電力記憶部154として使用される。
表示部155は、消費電力記憶部154に記憶された利用者ごとの消費電力をモニタ11に表示する。
【0071】
サーバ100における対応関係判定部110、電力情報取得部131、負荷情報取得部141、消費電力判定部153、および表示部155は、例えばCPU101がRAM102に格納されたプログラムを実行することで実現される。
【0072】
電源タップ20は、電力情報提供部25を有する。電力情報提供部25は、コンセントごとに、そのコンセントを介して供給した電力を計測する。電力情報提供部25は、計測した電力の値に計測時刻を付与し、電力情報とする。そして電力情報提供部25は、電力情報を、サーバ100に提供する。例えば電力情報提供部25は、サーバ100から電力情報要求を受け取ったときに電力を測定し、電力情報をサーバ100に送信する。また電力情報提供部25は、所定の間隔(例えば1秒)で各コンセントの電力を計測し、電力情報を内部のメモリに記憶しておくこともできる。その場合、電力情報提供部25は、サーバ100からの電力情報要求に応じて、記録しておいた電力情報をサーバ100に送信する。なお、他の電源タップ30も、電力情報提供部25と同様の機能を有している。
【0073】
コンピュータ61は、負荷情報提供部61aを有する。負荷情報提供部61aは、コンピュータ61の処理負荷を示す負荷情報をサーバ100に提供する。例えば負荷情報提供部61aは、コンピュータ61のCPUの使用率(CPU負荷率)を計測し、計測したCPU負荷率に計測時刻を加えた情報を負荷情報とする。そして負荷情報提供部61aは、負荷情報をサーバ100に送信する。
【0074】
例えば負荷情報提供部61aは、コンピュータ61が起動されてから所定時間経過後(例えば5分後)に、直前の3分間に計測した負荷情報をサーバ100に送信する。起動から所定時間経過後に負荷情報を送信する場合、例えば負荷情報提供部61aは、起動時から所定間隔(例えば1秒)でCPU負荷率を測定する。そして、負荷情報提供部61aは、所定時間ごとのCPU負荷率を示す負荷情報をサーバ100に送信する。また負荷情報提供部61aは、サーバ100からの負荷取得要求に応じて、負荷情報をサーバ100に送信することもできる。なお他のコンピュータ62〜64も、負荷情報提供部61aと同様の機能を有している。
【0075】
なお負荷情報取得部141は、図1に示した第1の実施の形態の負荷情報取得手段1aの一例である。電力情報取得部131は、図1に示した第1の実施の形態の電力情報取得手段1bの一例である。電力情報記憶部132と負荷情報記憶部142とを合わせた機能は、図1に示した第1の実施の形態の記憶手段1cの一例である。対応関係判定部110、候補コンセント記憶部111、相関関係記憶部112、コンセントリスト記憶部121、および閾値記憶部122を合わせた機能は、図1に示した第1の実施の形態の計算手段1dと対応付け手段1eとを包含する機能の一例である。機器利用者記憶部152、消費電力判定部153、消費電力記憶部154、および表示部155を合わせた機能は、図1に示した第1の実施の形態の表示手段1fの一例である。
【0076】
また、図7に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。
次に、サーバ100が有する各記憶部に格納される情報について詳細に説明する。
【0077】
図8は、候補コンセント記憶部のデータ構造の一例を示す図である。候補コンセント記憶部111には、候補コンセントテーブル111aが格納されている。候補コンセントテーブル111aには、コンピュータIDと候補コンセントIDとの欄が設けられている。コンピュータIDの欄には、接続されたコンセント(対応するコンセント)の判定対象となるコンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定される。なお、コンピュータIDとしては、例えばコンピュータのIP(Internet Protocol)アドレスを使用することができる。候補コンセントIDの欄には、コンピュータに対応するコンセントの候補となるコンセント(候補コンセント)の識別情報(コンセントID)が設定される。
【0078】
図9は、相関関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。相関関係記憶部112には、相関関係テーブル112aが格納されている。相関関係テーブル112aには、コンピュータIDと、コンセントとの相関係数との欄が設けられている。コンピュータIDの欄には、コンピュータの識別番号(コンピュータID)が設定される。
【0079】
コンセントの相関係数の欄は、コンセントIDごとの欄に細分化されている。コンセントの相関係数の欄内の各コンセントIDの欄には、コンセントIDで示されるコンセントの電力と、コンピュータのCPU負荷率との間の相関係数が設定される。
【0080】
図10は、コンセントリスト記憶部のデータ構造の一例を示す図である。コンセントリスト記憶部121には、コンセントテーブル121aが格納されている。コンセントテーブル121aには、電源タップ20,30それぞれのコンセントを一意に示す識別子(コンセントID)が設定されている。各コンセントのコンセントIDは、管理者によって登録されている。
【0081】
図11は、電力情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。電力情報記憶部132には、コンセントごとの電力情報テーブル132a,132b,132c,・・・が設けられている。電力情報テーブル132a,132b,132c,・・・には、対応するコンセントの識別情報(コンセントID)が設定される。
【0082】
電力情報テーブル132a,132b,132c,・・・には、時刻と電力との欄が設けられている。時刻の欄には、コンセントの電力を計測した時刻が設定される。電力の欄には、コンセントから供給された単位時間当たりの電力が設定される。電力情報テーブル132a,132b,132c,・・・の同じ行に設定された時刻と電力との組からなるレコードが、1つのコンセントの特定の時刻の電力情報である。
【0083】
このように、電源タップから取得した電力情報には、各コンセントの電力を測定した時刻が設定されている。
図12は、負荷情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。負荷情報記憶部142には、コンピュータごとの負荷情報テーブル142a,142b,142c,・・・が設けられている。負荷情報テーブル142a,142b,142c,・・・には、対応するコンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定されている。
【0084】
負荷情報テーブル142a,142b,142c,・・・には、時刻と負荷率との欄が設けられている。時刻の欄には、CPU負荷率を測定した時刻が設定される。負荷率の欄には、コンピュータのCPU負荷率が設定される。負荷情報テーブル142a,142b,142c,・・・の同じ行に設定された時刻とCPU負荷率との組からなるレコードが、1つのコンピュータの特定の時刻の負荷情報である。
【0085】
このように、コンピュータから任意のタイミングで(例えば機器起動5分後など)送信される負荷情報は、各々に負荷を測定した時刻が設定されている。
図13は、対応関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。対応関係記憶部151には、対応関係管理テーブル151aが格納されている。対応関係管理テーブル151aには、コンピュータIDとコンセントIDとの欄が設けられている。コンピュータIDの欄には、いずれかのコンセントに接続されて動作しているコンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定される。コンセントIDの欄には、コンピュータが接続されたコンセントであると判定されたコンセントの識別情報(コンセントID)が設定される。
【0086】
図14は、機器利用者記憶部のデータ構造の一例を示す図である。機器利用者記憶部152には、利用者対応関係テーブル152aが格納されている。利用者対応関係テーブル152aには、コンピュータIDと利用者との欄が設けられている。コンピュータIDの欄には、コンピュータ61〜64の識別情報(コンピュータID)が設定される。利用者の欄には、コンピュータを使用する利用者の名称が設定される。
【0087】
図15は、消費電力記憶部のデータ構造の一例を示す図である。消費電力記憶部154には、消費電力テーブル154aが格納されている。消費電力テーブル154aには、利用者と消費電力との欄が設けられている。利用者の欄には、コンピュータを使用する利用者の名称が設定される。消費電力の欄には、利用者が使用したコンピュータによって消費された電力が設定される。
【0088】
以上のような構成のシステムにおいて、コンピュータと、そのコンピュータが接続されているコンセントとの対応付けが自動で行われる。以下に、対応付け処理について詳細に説明する。
【0089】
図16は、第2の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図16に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS101]負荷情報取得部141は、いずれかのコンピュータから負荷情報を受信する。負荷情報には、所定時間間隔ごとのコンピュータのCPU負荷率と、CPU負荷率の測定時刻とが含まれる。負荷情報は、例えばコンピュータの電源の投入から所定時間(例えば5分)後に送信される。また、送信される負荷情報には、送信元のコンピュータの識別情報(コンピュータID)が含まれる。例えばIPアドレスをコンピュータの識別情報として用いた場合、負荷情報を含むパケットのヘッダに示された送信元アドレスが、負荷情報の送信元のコンピュータの識別情報である。負荷情報取得部141は、取得した負荷情報を、対応関係判定部110に転送する。
【0090】
[ステップS102]対応関係判定部110は、負荷情報取得部141が取得した負荷情報から、相関関係の判断対象とする負荷計測期間を取得する。例えば対応関係判定部110は、取得した負荷情報に設定された最も古い時間から最新の時刻までの期間を負荷計測期間とする。
【0091】
[ステップS103]対応関係判定部110は、負荷情報取得部141が負荷情報を受信すると、負荷情報を送信したコンピュータを、コンセントとの対応関係の判断対象のコンピュータとして、対応関係の判定処理を開始する。まず対応関係判定部110は、候補コンセント記憶部111内に、判断対象のコンピュータに対応する候補コンセントが登録されているか否かを判断する。例えば対応関係判定部110は、候補コンセントテーブル111a(図8参照)のコンピュータIDの欄に、判断対象のコンピュータのコンピュータIDが設定されているか否かを判断する。判断対象のコンピュータのコンピュータIDが設定されている場合、対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータに対応する候補コンセントが登録されていると判断する。候補コンセントが登録されている場合、対応関係判定部110は処理をステップS105に進める。また候補コンセントが登録されていない場合、対応関係判定部110は処理をステップS104に進める。
【0092】
[ステップS104]対応関係判定部110は、すべてのコンセントを、判断対象のコンピュータの候補コンセントに設定する。例えば対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータのコンピュータIDに対応付けて、コンセントリスト記憶部121に登録されているすべてのコンセントIDを、候補コンセントテーブル111aに登録する。
【0093】
[ステップS105]対応関係判定部110は、負荷計測期間における候補コンセントの電力情報を取得する。例えば対応関係判定部110は、候補コンセントテーブル111aを参照し、判断対象のコンピュータの候補コンセントのコンセントIDを取得する。次に対応関係判定部110は、取得したコンセントIDの電力情報のうち、ステップS102で判定した負荷計測期間内の時刻が設定された電力情報を、電力情報記憶部132から取得する。
【0094】
なお負荷計測期間内の電力情報が電源タップ20,30内のメモリに記録されており、電源タップ20,30から取得されていない場合、電力情報取得部131が電源タップ20,30から負荷計測期間内の電力情報を取得する。電力情報取得部131は、取得した電力情報を電力情報記憶部132に格納する。そして対応関係判定部110が、電力情報記憶部132から、負荷計測期間内の電力情報を取得する。
【0095】
[ステップS106]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷と、候補コンセントそれぞれの電力との相関係数を計算する。相関係数計算処理の詳細は後述する(図17参照)。
【0096】
[ステップS107]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷との間に、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントがあるか否かを判断する。対応関係判定部110は、該当するコンセントがあれば、処理をステップS108に進める。また対応関係判定部110は、該当するコンセントがなければ、処理をステップS111に進める。
【0097】
[ステップS108]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷との間に、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントが1つだけか否かを判断する。該当するコンセントが1つだけであれば、対応関係判定部110は処理をステップS109に進める。また該当するコンセントが複数あれば、対応関係判定部110は処理をステップS110に進める。
【0098】
[ステップS109]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷との間に、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントと、判断対象のコンピュータとを対応付ける。例えば対応関係判定部110は、対応関係記憶部151内の対応関係管理テーブル151a(図13参照)に、判断対象のコンピュータのコンピュータIDと、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントのコンセントIDとの組を登録する。この際、対応関係判定部110は、負荷情報記憶部142から、判断対象のコンピュータに対応する負荷情報テーブルを削除する。その後、対応関係判定部110は処理を終了する。
【0099】
[ステップS110]電力の相関係数が閾値以上となったコンセントが複数ある場合、対応関係判定部110は候補コンセントを更新する。例えば対応関係判定部110は、候補コンセントテーブル111aにおける判断対象のコンピュータに対応する候補コンセントIDのリストに対して、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントのコンセントID以外のコンセントIDを削除する。これにより、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントのみが、候補コンセントとして残される。
【0100】
[ステップS111]対応関係判定部110は、負荷情報を再取得した回数が規定値以下か否かを判断する。再取得回数の規定値は、対応関係判定部110に予め設定されている。再取得回数が規定値以下であれば、対応関係判定部110は処理をステップS112に進める。また再取得回数が規定値に達している場合、判断対象のコンピュータに対応するコンセントが不明のまま、対応関係判定部110は処理を終了する。
【0101】
[ステップS112]負荷情報取得部141は、判断対象のコンピュータに対して、負荷取得要求を送信する。その後、対応関係判定部110は、対応関係判定処理を終了する。負荷取得要求を受信した判断対象のコンピュータは、新たに所定期間の負荷情報を計測し、サーバ100に送信する。すると、サーバ100において、図16に示す対応関係判定処理が再度開始される。
【0102】
次に、相関係数計算処理について詳細に説明する。
図17は、相関係数計算処理の手順を示すフローチャートである。以下、図17に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0103】
[ステップS121]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷に関する既存のデータがあるか否かを判断する。例えば対応関係判定部110は、負荷情報記憶部142内に、判断対象のコンピュータに対応する負荷情報テーブルがある場合、既存のデータがあると判断する。対応関係判定部110は、既存のデータがある場合、処理をステップS122に進める。また対応関係判定部110は、既存のデータがない場合、処理をステップS124に進める。
【0104】
[ステップS122]対応関係判定部110は、既存のデータがある場合、判断対象のコンピュータの相関対象期間に負荷計測期間を加える。
[ステップS123]対応関係判定部110は、負荷情報取得部141から受け取った負荷情報を、判断対象のコンピュータに対応する負荷情報テーブルに追加する。その後、対応関係判定部110は処理をステップS125に進める。
【0105】
[ステップS124]対応関係判定部110は、以前に取得した負荷情報がなければ、取得した負荷情報の負荷計測期間を、相関対象期間とする。
[ステップS125]対応関係判定部110は、候補コンセントを1つ選択する。
【0106】
[ステップS126]対応関係判定部110は、相関対象期間内の測定時刻ごとのコンピュータのCPU負荷率(機器負荷率)を、測定した時刻が古い順に配列xiに設定する(xiは0以上の実数)。iは、相関対象期間内の負荷情報に対して、時刻が古い順に番号を付与したときの、負荷情報の番号である(iは1以上の整数)。また対応関係判定部110は、選択した候補コンセントの相関対象期間内の測定時刻ごとの電力を、測定した時刻が古い順に配列yiに設定する(yiは0以上の実数)。第2の実施の形態では、i番目の負荷情報の時刻と、i番目の電力情報の時刻とは同時刻である。さらに対応関係判定部110は、相関対象期間内の時刻を有する負荷情報の数を、変数n(nは1以上の整数)に設定する。
【0107】
[ステップS127]対応関係判定部110は、判断対象のコンピュータの負荷と、選択した候補コンセントの電力との相関係数を計算し、相関関係記憶部112に格納する。
相関係数は、以下の式(1)で計算できる。
【0108】
【数1】
【0109】
このように、同時刻における負荷と電力とをそれぞれxi,yiとして式に代入することにより、相関係数が計算される。なお、CPU負荷率は0〜100%の間の数値で与えられる。電力は、例えばワット(W)を単位とした値がそのまま利用される。なおワット数が100を大きく超える場合は、相関対象期間中の最大値が100となるような変換を行ってから相関を計算するようにしてもよい。
【0110】
負荷情報数nは、相関対象期間と、負荷の測定間隔に依存する。例えば相関対象期間が3分間で、負荷の測定間隔が1秒の場合はn=180となる。相関係数は相関の強さに応じて−1から+1まで分布する。相関係数が+1の場合に、最も相関が強い。
【0111】
[ステップS128]対応関係判定部110は、未選択の候補コンセントがあるか否かを判断する。例えば対応関係判定部110は、ステップS125において、候補コンセントテーブル111a(図8参照)から、判断対象のコンピュータに対応付けられた候補コンセントのコンセントIDを、先頭から順に選択する。この場合、対応関係判定部110は、直前に選択したコンセントIDが最後尾のコンセントIDであれば、未処理の候補コンセントはないと判断する。
【0112】
対応関係判定部110は、未処理の候補コンセントがあれば、処理をステップS125に進める。また対応関係判定部110は、未処理の候補コンセントがなければ、相関係数計算処理を終了する。
【0113】
このようにして、判断対象のコンピュータの負荷と候補、コンセントから供給される電力との相関関係に基づいて、判断対象のコンピュータとコンセントとの対応関係が判断される。そして、すべての候補コンセントに対する相関係数のうち、閾値(例えば0.6)を超えるコンセントが唯一に定まる場合は、そのコンセントが、判断対象のコンピュータに対応するコンセントと決定される。閾値を超えるコンセントが複数ある場合は、そのコンセントが新たな候補コンセントに決定され、判断対象のコンピュータに対して再度負荷情報が要求される。
【0114】
コンピュータとコンセントとの対応関係が決定されると、例えばコンセントを介して供給された電力の総量から、コンピュータで消費された電力が求められる。そしてコンピュータを使用する利用者の情報に基づいて、利用者がコンピュータを用いて消費した電力が求められる。利用者が消費した電力は、例えば消費電力管理画面に表示される。
【0115】
図18は、相関関係に基づく利用者ごとの消費電力表示例を示す図である。図18の例では、対応関係ありと判定するための相関係数の閾値が「0.4」であるものとする。図18に示す相関関係テーブル112aでは、コンピュータID「PC1」のコンピュータの負荷と、コンセントID「C1」のコンセントの電力との相関係数が最も高い。その相関係数は「0.8」であり、閾値以上である。そこで、コンピュータID「PC1」のコンピュータと、コンセントID「C1」のコンセントとが対応付けられる。その結果、対応関係管理テーブル151aには、コンピュータID「PC1」とコンセントID「C1」とが対応付けて登録される。同様にコンピュータID「PC2」のコンピュータは、相関係数が「0.7」である、コンセントID「C4」のコンセントと対応付けられる。
【0116】
他方、コンピュータID「PC3」のコンピュータは、相関係数が「0.6」のコンセントが複数存在する。そこで、再度負荷情報を取得して相関係数を再計算するまで、コンピュータID「PC3」のコンピュータに対応するコンセントは不明(unknown)のままとなる。
【0117】
コンピュータとコンセントとの対応関係が判定できた場合、消費電力判定部153によって、利用者がコンピュータを使用して消費した消費電力が求められる。例えば、対応関係管理テーブル151aに基づいて、コンピュータID「PC1」のコンピュータは、コンセントID「C1」のコンセントから電力が供給されていることが分かる。また利用者対応関係テーブル152aに基づいて、コンピュータID「PC1」のコンピュータの利用者は、「Aさん」であることが分かる。さらにコンセントID「C1」に対応する電力情報テーブル132aに示される電力情報に基づいて、所定期間内にコンピュータに供給された電力の総量が分かる。
【0118】
例えば消費電力判定部153は、コンピュータから取得した最初の負荷情報の時刻を、そのコンピュータの使用開始時刻とする。消費電力判定部153は、コンピュータの使用開始時刻から現在までの、そのコンピュータに対応するコンセントの電力情報を抽出する。そして、消費電力判定部153は、抽出した電力情報に示される電力の合計に、電力の測定間隔の時間を乗算して、乗算結果をコンピュータによる消費電力とする。さらに消費電力判定部153は、コンピュータの消費電力を、そのコンピュータを使用する利用者の消費電力として、消費電力テーブル154aに設定する。
【0119】
その後、例えばシステムの管理者がサーバ100に対して、消費電力の表示指示を入力する。すると表示部155は、消費電力テーブル154aを参照し、各利用者の消費電力を示す消費電力管理画面71をモニタ11に表示する。
【0120】
このように第2の実施の形態では、相関関係を用いて明確に関連するコンピュータとコンセントとを対応付けている。これにより、対応付けの正確性が向上する。すなわち、多数の利用者が同時にコンピュータを起動した場合であっても、コンピュータとコンセントとの誤った対応付けが抑止される。
【0121】
しかも、コンピュータとコンセントとが自動で対応付けられるため、電力見える化システムの運用コストが低減する。例えば、オフィスのレイアウトを変更した場合であっても、レイアウト変更に伴うコンセントと利用者との対応付け作業が不要となり、作業負荷が低減される。また、ノンテリトリアルオフィスにおけるコンセントと利用者との対応付け作業も不要となり、漏れのない正確な電力情報の集計が可能となる。また会議室など共用コンセント利用時にも、利用者ごとの消費電力が把握可能となる。
【0122】
〔第3の実施の形態〕
第3の実施の形態は、特定機器に対するコンセント電力の相関係数がいずれのコンセント電力値に対しても一定値以下の場合、その機器にたいして、CPU負荷率を一定期間上げる処理を実行させるものである。
【0123】
なお第3の実施の形態のシステム構成は、図4〜図6に示した第2の実施の形態のシステム構成と同様である。だたし第3の実施の形態では、サーバとコンピュータとが有する機能の一部が、第2の実施の形態と異なる。そこで、第2の実施の形態と同じ機能を有する要素については、第2の実施の形態の要素の符号を付し、説明を省略する。
【0124】
図19は、第3の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。第3の実施の形態に係るサーバ100−1は、対応関係判定部110aの機能が第2の実施の形態の対応関係判定部110と異なる。
【0125】
対応関係判定部110aは、判断対象のコンピュータの負荷との相関係数が閾値以上のコンセントが見つからなかった場合、リソース消費要求を、判断対象のコンピュータに送信する点が、第2の実施の形態と異なる。
【0126】
また第3の実施の形態に係るコンピュータ61−1は、負荷情報提供部61b、リソース消費部61c、およびリソース消費フラグ記憶部61dを有する。負荷情報提供部61bは、サーバ100−1からの負荷取得要求を受信した場合、負荷情報をサーバ100−1に送信する。なお負荷情報提供部61bは、負荷取得要求の受信時にリソース消費フラグ61eが立っていた場合、リソース消費部61cに、コンピュータ61−1のリソースを消費させる。そして負荷情報提供部61bは、リソース消費部61cがリソースを消費していた間のCPU負荷率を測定し、負荷情報としてサーバ100−1に送信する。
【0127】
リソース消費部61cは、負荷情報提供部61bからの要求に応じて所定のリソースを消費する。例えばリソース消費部61cは、CPUに負荷を与えるプログラムを実行することで、CPU負荷率を上昇させる。
【0128】
リソース消費フラグ記憶部61dは、リソース消費フラグ61eを記憶する。リソース消費フラグ61eは、負荷取得要求を受信したときにリソース消費処理を実行するか否かを示すフラグである。負荷取得要求を受信したときにリソース消費処理を実行するのであれば、リソース消費フラグ61eが立てられる。例えばリソース消費フラグ61eに「1」が設定されていれば、リソース消費フラグ61eが立っている状態である。
【0129】
なお、コンピュータ61−1以外のコンピュータ62−1,・・・も、コンピュータ61−1と同様の機能を有している。
図20は、第3の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお図20のステップS201〜S207,S209〜S213の各処理は、それぞれ図16に示した第2の実施の形態のステップS101〜S112の処理と同じである。そこで、第2の実施の形態と異なるステップS208の処理について以下に説明する。
【0130】
[ステップS208]対応関係判定部110aは、判断対象のコンピュータの負荷との間に、電力の相関係数が閾値以上となったコンセントがない場合、判断対象のコンピュータに対してリソース消費要求を送信する。その後、対応関係判定部110aは、処理をステップS212に進める。すると、負荷情報の再取得回数が規定値以下であれば、負荷取得要求が判断対象のコンピュータに送信される。
【0131】
次にリソース消費要求を受信したコンピュータ61−1におけるリソース消費フラグ設定処理ついて説明する。
図21は、リソース消費フラグ設定処理の手順を示すフローチャートである。以下、図21に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0132】
[ステップS221]負荷情報提供部61bは、サーバ100−1から送られたリソース消費要求を受信する。
[ステップS222]負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ記憶部61d内にリソース消費フラグ61eを立てる。例えば、負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eに「1」を設定する。
【0133】
次に負荷取得要求を受信したコンピュータ61−1における負荷計測処理について説明する。
図22は、負荷計測処理の手順を示すフローチャートである。以下、図22に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0134】
[ステップS231]負荷情報提供部61bは、サーバ100−1から負荷取得要求を受信する。
[ステップS232]負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eが立っているか否かを判断する。負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eが立っていれば、処理をステップS233に進める。また負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eが立っていなければ、処理をステップS236に進める。
【0135】
[ステップS233]負荷情報提供部61bは、50%を超える負荷が測定されているか否かを判断する。負荷情報提供部61bは、50%を超える負荷が測定されている場合、処理をステップS234に進める。また負荷情報提供部61bは、50%未満の負荷が測定されている場合、処理をステップS235に進める。
【0136】
[ステップS234]負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eをクリアする。例えば負荷情報提供部61bは、リソース消費フラグ61eに「0」を設定する。その後、負荷情報提供部61bは処理をステップS236に進める。
【0137】
[ステップS235]負荷情報提供部61bは、現在の負荷が50%未満であれば、リソース消費処理を起動する。例えば負荷情報提供部61bは、リソース消費部61cを起動し、所定の処理を実行させる。起動されたリソース消費部61cは、所定時間だけ、コンピュータ61−1のリソースを消費する処理を実行する。
【0138】
[ステップS236]負荷情報提供部61bは、リソース消費部61cがリソースを消費している所定時間の間、定期的に負荷を計測する。
[ステップS237]負荷情報提供部61bは、計測した負荷を示す負荷情報を、サーバ100−1に送信する。
【0139】
このように第3の実施の形態では、閾値以上の相関係数を示すコンセントが1つもない場合、サーバ100−1は、コンピュータ61−1に対してリソース消費要求を発行する。コンピュータ61−1は、サーバ100−1からリソース消費要求を受けると、リソース消費フラグを立てておく。その後コンピュータ61−1は、サーバ100−1からの負荷取得要求が発生した段階で負荷計測処理を開始する。このときコンピュータ61−1は、それまでの測定に50%を超える負荷(例えばCPU使用率)が観測されているかどうかを判定し、観測されていればリソース消費という目的は達成されている。そこでコンピュータ61−1は、新たなリソース消費処理を起動せずに、一定期間(例えば10秒)だけ負荷の測定を行い、負荷情報をサーバ100−1に送信する。他方、それまでの測定に50%を超える負荷が観測されていない場合は、コンピュータ61−1はリソース消費処理を起動する。例えばリソース消費部61cにより、円周率の値を規定桁まで求める処理を行う。コンピュータ61−1は、リソース消費処理の実行に並行して負荷を測定し、一定時間計測が完了すると、サーバ100−1に負荷情報を送信する。
【0140】
これにより、コンピュータの負荷が少なく、いずれのコンセントの電力との間にも有意な相関関係が見つけ出せない場合でも、コンピュータに負荷を与えることで、相関関係を有するコンセントを検出することができる。なおコンピュータに対するリソース消費要求を送信するのは、コンピュータの負荷との間に、相関関係があるコンセントが検出できなかった場合に限定される。そのため、必要以上にコンピュータに負荷をかけることが抑止されている。しかも、コンピュータに既に所定値(例えば50%)を超える負荷がかかっている場合、新たなリソース消費処理を起動しないため、電力監視のために消費するコンピュータのリソースが、最小限に抑止される。
【0141】
〔第4の実施の形態〕
次に第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、候補コンセントの事前フィルタリングを行うものである。第4の実施の形態では、サーバに、機器ごとの平均消費電力を保持しておく。そしてサーバは、コンセントを介して供給された電力の平均値(供給電力平均値)が、判断対象の機器の平均消費電力と所定値以上異なる場合は、そのコンセントを相関係数の計算対象外とする。これにより、より少ない負荷で機器とコンセントの対応付けが可能となる。
【0142】
なお第4の実施の形態のシステム構成は、図4〜図6に示した第2の実施の形態のシステム構成と同様である。だたし第4の実施の形態では、サーバとコンピュータとが有する機能の一部が、第2の実施の形態と異なる。そこで、第2の実施の形態と同じ機能を有する要素については、第2の実施の形態の要素の符号を付し、説明を省略する。
【0143】
図23は、第4の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。第4の実施の形態に係るサーバ100−2は、対応関係判定部110bの機能が第2の実施の形態の対応関係判定部110と異なる。またサーバ100−2は、平均消費電力記憶部161とフィルタ処理部162とを有する。
【0144】
対応関係判定部110bは、判断対象のコンピュータの負荷との相関係数を計算する前に、フィルタ処理部162に候補コンセントのフィルタリングを指示する。そして対応関係判定部110bは、判断対象のコンピュータの負荷と、フィルタリング後も候補コンセントとして残されたコンセントの電力との相関関係に基づいて、判断対象のコンセントに対応するコンセントを決定する。
【0145】
平均消費電力記憶部161は、コンピュータごとの平均消費電力を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、平均消費電力記憶部161として使用される。
【0146】
フィルタ処理部162は、判断対象のコンピュータの平均消費電力と、候補コンセントの供給電力平均値との差が所定の範囲内か否かにより、候補コンセントのフィルタリングを行う。例えばフィルタ処理部162は、コンセントの供給電力平均値が、コンピュータの平均消費電力の上下10%以内(90%〜110%)から外れている場合、そのコンセントを候補コンセントから除外する。
【0147】
図24は、平均消費電力記憶部のデータ構造の一例を示す図である。平均消費電力記憶部161には、平均消費電力テーブル161aが格納されている。平均消費電力テーブル161aには、コンピュータID、種別、および平均消費電力の欄が設けられている。
【0148】
コンピュータIDの欄には、コンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定される。種別の欄には、コンピュータの種別が設定される。例えば「ラップトップ」や「デスクトップ」が、種別として設定される。平均消費電力の欄には、該当種別のコンピュータの平均消費電力が設定される。
【0149】
なお平均消費電力テーブル161aの情報は、システムの管理者によって予め登録される。
次に第4の実施の形態におけるコンピュータとコンセントとの対応付け処理について説明する。
【0150】
図25は、第4の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお図25のステップS301〜S305,S307〜S313の各処理は、それぞれ図16に示した第2の実施の形態のステップS101〜S112の処理と同じである。そこで、第2の実施の形態と異なるステップS306の処理について以下に説明する。
【0151】
[ステップS306]対応関係判定部110bは、候補コンセントの電力情報を取得後、フィルタ処理部162に対してフィルタリングを指示する。するとフィルタ処理部162が、候補コンセントのフィルタリングを行う。対応関係判定部110bは、フィルタ処理部162からフィルタリング処理完了の応答を受け取ると、処理をステップS307に進める。
【0152】
図26は、フィルタリング処理の手順を示すフローチャートである。以下、図26に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS321]フィルタ処理部162は、判断対象のコンピュータのコンピュータIDを取得する。例えばサーバ100−2において、IPアドレスをコンピュータの識別に使用していた場合、フィルタ処理部162は、負荷情報が含まれていたパケットの送信元IPアドレスを、コンピュータIDとして取得する。
【0153】
[ステップS322]フィルタ処理部162は、取得したコンピュータIDに対応する平均消費電力を、平均消費電力テーブル161aから取得する。
[ステップS323]フィルタ処理部162は、候補コンセントの供給電力平均値を計算する。例えばフィルタ処理部162は、候補コンセント記憶部111内の候補コンセントテーブル111a(図8参照)から、判断対象のコンピュータに対応する候補コンセントIDを取得する。次にフィルタ処理部162は、電力情報記憶部132内の候補コンセントIDに対応する電力情報テーブル(図11参照)から、候補コンセントの電力情報を取得する。そしてフィルタ処理部162は、候補コンセントごとに、電力情報に示される電力の平均値を計算し、各候補コンセントの供給電力平均値とする。
【0154】
[ステップS324]フィルタ処理部162は、候補コンセントのなかに、判断対象のコンピュータの平均消費電力と供給電力平均値との差が10%以上となるコンセントがあるか否かを判断する。フィルタ処理部162は、該当するコンセントがあれば、処理をステップS325に進める。またフィルタ処理部162は、該当するコンセントがなければ、フィルタリング処理を終了する。
【0155】
[ステップS325]フィルタ処理部162は、判断対象のコンピュータの平均消費電力と供給電力平均値との差が10%以上となるコンセントを、候補コンセントから除外する。例えばフィルタ処理部162は、候補コンセントから除外するコンセントのコンセントIDを、候補コンセントテーブル111a(図8参照)における判断対象のコンピュータのコンピュータIDに対応する候補コンセントIDのリストから削除する。
【0156】
このように第4の実施の形態では、サーバ100−2は、負荷情報に含まれるコンピュータIDを抽出し、平均消費電力テーブルから判断対象のコンピュータの平均消費電力を取得する。次にサーバ100−2は、供給電力平均値が、判断対象のコンピュータの平均消費電力の上下10%以内を逸脱するコンセントが、候補コンセントに含まれる場合は、該当するコンセントを対象コンセントから除外する。他方、サーバ100−2は、供給電力平均値が、判断対象のコンピュータの平均消費電力の上下10%以内のコンセントは、候補コンセントに残し、判断対象のコンピュータの負荷との間の相関係数を計算する。これにより不要な相関係数の計算処理が行われず、処理負荷が軽減される。
【0157】
なお負荷情報の送信元のコンピュータからそのコンピュータの種別を取得し、種別ごとの平均消費電力に基づいてフィルタリングを行うこともできる。その場合、平均消費電力テーブル161aには、種別と平均消費電力との欄があればよい。その場合、平均消費電力の欄には、対応する種別のコンピュータの平均的な消費電力が設定される。そしてフィルタ処理部162は、ステップS321において判断対象のコンピュータの種別を取得し、ステップS322において取得した種別の平均消費電力を取得する。これにより、個々のコンピュータの平均消費電力ではなく、コンピュータの種別ごとの平均消費電力を登録しておけばよくなり、管理者における平均消費電力の設定負担が軽減される。なお図24の例では、種別として「ラップトップ」や「デスクトップ」といったカテゴリが設定されているが、例えばメーカごとのモデル名を種別に設定し、モデル名ごとの平均消費電力を設定しておくこともできる。
【0158】
〔第5の実施の形態〕
次に第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態は、適切な閾値と相関対象期間とをサーバが算出するものである。サーバは、正しい対応付けとなるコンピュータとコンセントとの対応関係を学習情報とし、その学習情報に基づいて、適切な閾値と相関対象期間とを算出する。例えばサーバは、コンピュータとコンセントとの正しいペアの相関係数の平均値と、誤ったペアの相関係数の最大値とから、相関閾値と相関対象期間を計算する。
【0159】
なお第5の実施の形態のシステム構成は、図4〜図6に示した第2の実施の形態のシステム構成と同様である。だたし第5の実施の形態では、サーバとコンピュータとが有する機能の一部が、第2の実施の形態と異なる。そこで、第2の実施の形態と同じ機能を有する要素については、第2の実施の形態の要素の符号を付し、説明を省略する。
【0160】
図27は、第5の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。第5の実施の形態に係るサーバ100−3は、対応関係判定部110cの機能が第2の実施の形態の対応関係判定部110と異なる。またサーバ100−3は、相関時間記憶部123、学習情報記憶部171、および判定条件算出部172を有する。
【0161】
対応関係判定部110cは、相関時間記憶部123に格納された相関時間分の長さの相関対象期間におけるコンピュータの負荷とコンセントから供給される電力との相関を比較する。例えば対応関係判定部110cは、コンピュータから相関時間分の負荷情報を取得し、図16に示したような対応付け処理を開始する。
【0162】
相関時間記憶部123は、相関関係の比較対象となる期間(相関対象期間)の長さを示す相関時間を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、相関時間記憶部123として使用される。
【0163】
学習情報記憶部171は、コンピュータと、そのコンピュータが接続されたコンセントとの正しい対応関係を示す学習情報を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、学習情報記憶部171として使用される。
【0164】
判定条件算出部172は、学習情報記憶部171に格納された学習情報に基づいて、適切な閾値と相関時間とを算出する。そして判定条件算出部172は、算出した閾値を、閾値記憶部122に格納する。また判定条件算出部172は、算出した相関時間を、相関時間記憶部123に格納する。
【0165】
図28は、学習情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。学習情報記憶部171には、学習情報テーブル171aが格納されている。学習情報テーブル171aには、コンピュータIDとコンセントIDとの欄が設けられている。
【0166】
コンピュータIDの欄には、接続されたコンセントが既知のコンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定される。コンセントIDの欄には、コンセントIDで示されるコンピュータが接続されているコンセントの識別情報(コンセントID)が設定される。
【0167】
次に、判定条件算出部172による判定条件算出処理について詳細に説明する。
図29は、判定条件算出処理の手順を示すフローチャートである。以下、図29に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0168】
[ステップS401]判定条件算出部172は、既に計算した相関係数がある場合、その相関係数の値をクリアする。
[ステップS402]判定条件算出部172は、学習情報によって正しい対応関係が示されているコンピュータ(対応関係既知のコンピュータ)から、相関時間分の負荷情報を取得する。例えば判定条件算出部172は、負荷情報取得部141に対して負荷情報の取得を指示する。負荷情報取得部141は、対応関係既知のコンピュータから負荷情報を取得する。そして負荷情報取得部141は、判定条件算出部172に渡す。
【0169】
なお相関時間は予め初期値が決められており、後述するステップS413によって少しずつ増やされる。
[ステップS403]判定条件算出部172は、負荷情報の負荷計測期間を取得する。例えば判定条件算出部172は、取得した負荷情報における最も古い時刻から、最新の時刻までの期間を負荷計測期間とする。このときの負荷計測期間の長さは、相関時間である。
【0170】
[ステップS404]判定条件算出部172は、電源タップ20,30から、負荷計測期間内のすべてのコンセントの電力情報を取得する。例えば判定条件算出部172は、電力情報取得部131に対して電力情報の取得を指示する。電力情報取得部131は、各電源タップ20,30から、負荷情報計測期間内に計測された電力を示すすべてのコンセントの電力情報を取得する。そして電力情報取得部131は、取得した電力情報を判定条件算出部172に渡す。
【0171】
[ステップS405]判定条件算出部172は、対応関係既知のコンピュータと、すべてのコンセントそれぞれとの組み合わせについて、コンピュータの負荷とコンセントを介して供給された電力との相関係数を計算する。
【0172】
[ステップS406]判定条件算出部172は、対応関係既知のコンピュータと正解コンセントとの間の相関係数と、対応関係既知のコンピュータと不正解コンセントとの間の相関係数とを合わせて、10組以上の組み合わせの相関係数が得られたか否かを判断する。正解コンセントとは、対応関係既知のコンピュータが接続されているコンセントである。不正解コンセントとは、対応関係既知のコンピュータが接続されているコンセント以外のコンセントである。10組以上の組み合わせの相関係数が得られた場合、判定条件算出部172は、処理をステップS407に進める。10組以上の組み合わせの相関係数が得られていない場合、判定条件算出部172は、処理をステップS402に進める。
【0173】
[ステップS407]判定条件算出部172は、正解コンセントの相関係数の平均値を変数Xに代入する。例えば図28に示した学習情報テーブル171aでは、コンピュータID「PC1」と「PC2」との2つのコンピュータに関する学習情報が登録されている。そのため、対応関係既知のコンピュータが2台存在し、それぞれのコンピュータに対する正解コンセントがある。そのため正解コンセントの相関係数として、2つの相関係数が得られる。そこで、正解コンセントから得られた2つの相関係数の平均が、変数Xに設定される。
【0174】
[ステップS408]判定条件算出部172は、不正解コンセントの相関係数の最大値を変数Yに設定する。
[ステップS409]判定条件算出部172は、正解コンセントの相関係数の平均値が、不正解コンセントの相関係数の最大値より大きいか否か(X>Y?)を判断する。正解コンセントの相関係数の平均値の方が大きければ、判定条件算出部172は処理をステップS410に進める。正解コンセントの相関係数の平均値が不正解コンセントの相関係数の最大値以下であれば、判定条件算出部172は処理をステップS412に進める。
【0175】
[ステップS410]判定条件算出部172は、不正解コンセントの最大値(変数Yの値)を、閾値に決定する。
[ステップS411]判定条件算出部172は、現在の相関時間と閾値とを保存する。例えば判定条件算出部172は、変数Yの値を、閾値記憶部122に格納する。また判定条件算出部172は、現在の相関時間を、相関時間記憶部123に格納する。その後、判定条件算出部172は、判定条件算出処理を終了する。
【0176】
[ステップS412]正解コンセントの相関係数の平均値が不正解コンセントの相関係数の最大値以下の場合、判定条件算出部172は、相関時間が予め設定された既定値以下か否かを判断する。判定条件算出部172は、相関時間が規定値以下であれば、処理をステップS413に進める。また判定条件算出部172は、相関時間が既定値を超えている場合、判定条件算出処理を終了する。
【0177】
[ステップS413]判定条件算出部172は、相関時間が既定値以下の場合、相関時間を10秒増加させ、処理をステップS401に進める。
このようにして、第5の実施の形態では、相関時間と閾値とを自動的に算出することができる。すなわち第5の実施の形態では、対応付け処理(図16参照)の実行に先立って、正解となるコンピュータとコンセントとの対応付けが、利用者により明示的に行われる。そして、正確な対応付けを判断可能な相関時間と閾値とが算出される。
【0178】
適切な閾値が得られることで、信頼性の高い対応付けが可能となる。また、相関時間を、短めの時間から徐々に増加させることで、正確な対応関係を判断可能な最小限の時間とすることができる。相関時間が短ければ、収集する情報量が少なくてすむと共に、相関係数の計算時間も短くてすむ。その結果、処理の効率化が図れる。
【0179】
なお、第5の実施の形態では、相関時間記憶部123に設定された相関時間と、閾値記憶部122に設定された閾値とを、対応関係判定部110cがそのまま対応関係の判定処理に使用するものとしたが、管理者が相関時間や閾値を変更することもできる。
【0180】
また第5の実施の形態では、不正解コンセントの相関係数の最大値を閾値としているが、正解コンセントの平均値と不正解コンセントの最大値との間の他の値を閾値とすることもできる。例えば、正解コンセントの相関係数の平均値と不正解コンセントの相関係数の最大値との中間値を閾値としてもよい。
【0181】
また、正解コンセントの相関係数の最小値が、不正解コンセントの相関係数の最大値より大きい場合、正解コンセントの相関係数の最小値と不正解コンセントの相関係数の最大値との間の値を閾値としてもよい。例えば、正解コンセントの相関係数の最小値と不正解コンセントの相関係数の最大値との中間値を閾値とすることができる。
【0182】
〔第6の実施の形態〕
次に第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態は、コンピュータの負荷と、コンセントを介して供給された電力との組み合わせについて、負荷または電力の測定時間を一定時間ずらした組み合わせについても相関度を計算するようにしたものである。これにより、コンピュータの時刻と電源タップの時刻とがずれている場合であっても、コンピュータと、そのコンピュータが接続されているコンセントとの対応付けが可能となる。
【0183】
なお第6の実施の形態のシステム構成は、図4〜図6に示した第2の実施の形態のシステム構成と同様である。だたし第6の実施の形態では、サーバとコンピュータとが有する機能の一部が、第2の実施の形態と異なる。そこで、第2の実施の形態と同じ機能を有する要素については、第2の実施の形態の要素の符号を付し、説明を省略する。
【0184】
図30は、第6の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。第6の実施の形態に係るサーバ100−4は、対応関係判定部110dの機能が第2の実施の形態の対応関係判定部110と異なる。またサーバ100−4は、探索範囲記憶部181を有する。
【0185】
対応関係判定部110dは、判断対象のコンピュータとの間の相関係数が閾値以上のコンセントが見つからない場合、時刻のずれを補正する処理を行って、再度、相関係数を計算する。時刻のずれを補正する場合、対応関係判定部110dは、探索範囲記憶部181に設定されている探索範囲内においてのみ時刻のずれの補正を行う。なお対応関係判定部110dには、予め時刻ずれ補正量の初期値が設定されている。
【0186】
探索範囲記憶部181は、探索範囲を記憶する。探索範囲は、時刻ずれを補正する際の補正の時間幅を示す情報である。
図31は、第6の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお図31のステップS501〜S507,S510〜S514の各処理は、それぞれ図16に示した第2の実施の形態のステップS101〜S112の処理と同じである。そこで、第2の実施の形態と異なるステップS508〜S509の処理について以下に説明する。
【0187】
[ステップS508]対応関係判定部110dは、判断対象のコンピュータの負荷と、供給している電力との間の相関係数が閾値以上のコンセントがない場合、時刻ずれ補正処理を行う。
【0188】
[ステップS509]対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正処理によって、判断対象のコンピュータの負荷と、供給している電力との間の相関係数が閾値以上のコンセントが、1つだけ検出されたか否かを判断する。対応関係判定部110dは、該当するコンセントが検出された場合、処理をステップS511に進める。また対応関係判定部110dは、該当するコンセントが検出できなかった場合、処理をステップS513に進める。
【0189】
図32は、時刻ずれ補正処理の手順を示すフローチャートである。以下、図32に示す処理をステップ番号に沿って説明する。なお以下の説明では時刻ずれ補正量をs秒(sは正の実数)とし、sの初期値は「1」とする。
【0190】
[ステップS521]対応関係判定部110dは、判断対象のコンピュータから取得した負荷情報の時刻をs秒だけずらして、コンピュータの負荷と、候補コンセントの電力との相関係数を計算する。例えば対応関係判定部110dは、相関対象期間の開始時刻と終了時刻とのそれぞれに対してs秒だけ加算した期間内の負荷情報を用いて、相関係数を計算する。この場合、例えば相関係数の算出に用いる1番目の負荷情報(i=1)の時刻は、相関係数の算出に用いる1番目の電力情報の時刻にs秒を加算した時刻となる。
【0191】
[ステップS522]対応関係判定部110dは、相関係数が閾値以上のコンセントがあるか否かを判断する。対応関係判定部110dは、該当するコンセントがあれば、処理をステップS523に進める。また対応関係判定部110dは、該当するコンセントがなければ、処理をステップS525に進める。
【0192】
[ステップS523]対応関係判定部110dは、ステップS522で検出された相関係数が閾値以上のコンセントは、1つだけか否かを判断する。対応関係判定部110dは、該当するコンセントが1つだけであれば、処理をステップS524に進める。また対応関係判定部110dは、該当するコンセントが複数ある場合、処理をステップS525に進める。
【0193】
[ステップS524]対応関係判定部110dは、1つだけ検出された、相関係数が閾値以上のコンセントを、判断対象のコンピュータに対応するコンセントに決定し、処理を終了する。
【0194】
[ステップS525]対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値が、予め設定されている探索範囲より大きいか否かを判断する。対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値が探索範囲より大きい場合、処理を終了する。対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値が探索範囲以下であれば、処理をステップS526に進める。
【0195】
[ステップS526]対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値が0より大きいか否かを判断する。対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値が0より大きい場合、処理をステップS527に進める。また対応関係判定部110dは、sの値が0以下であれば処理をステップS528に進める。
【0196】
[ステップS527]対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値の負に符号を逆転させ、新たな時刻ずれ補正量(s)とする。すなわち、「−s」を新たなsとする。その後、対応関係判定部110dは処理をステップS521に進める。
【0197】
[ステップS528]対応関係判定部110dは、時刻ずれ補正量(s)の値の正に符号を逆転させた上で、1を加算し、新たな時刻ずれ補正量(s)とする。すなわち、「−s+1を新たな時刻ずれ補正量(s)とする。その後、対応関係判定部110dは処理をステップS521に進める。
【0198】
このようにして、負荷情報の時刻をずらしながら、相関関係の有無が判断される。
図33は、負荷情報の時刻をずらす様子を示す図である。図33の例では、「10:10:01」〜「10:10:03」が、相関対象期間である。コンセントから供給された電力とコンピュータの負荷とは、1秒間隔で計測されている。また図32に示す時刻ずれ補正処理の「s」の初期値は1秒である。
【0199】
相関対象期間において相関係数が閾値未満であれば、負荷情報の時刻が、相関対象期間から1秒だけ後にずらされる。すなわち「10:10:02」〜「10:10:04」の期間内の負荷情報と、「10:10:01」〜「10:10:03」の期間内の電力情報とに基づいて、相関係数が計算される。このとき「10:10:04」の負荷情報が未取得であれば、例えばコンピュータから「10:10:04」の負荷情報を取得後、相関係数が計算される。
【0200】
負荷情報の時刻を1秒だけ後にずらしても相関係数が閾値未満の場合、負荷情報の時刻が相関対象期間から1秒だけ前にずらされる。すなわち「10:10:00」〜「10:10:02」の期間内の負荷情報と、「10:10:01」〜「10:10:03」の期間内の電力情報とに基づいて、相関係数が計算される。
【0201】
負荷情報の時刻を1秒だけ前にずらしても相関係数が閾値未満の場合、時刻ずれの補正量(s秒)を増加させて相関係数が計算される。
また図33の例では、探索範囲記憶部181には、探索範囲が「30秒」に設定されている。この場合、時刻ずれ補正量が30秒より大きくなった時点でも相関係数が閾値以上のコンセントが見つからなければ、対応するコンセントを未検出のまま時刻ずれ補正処理が終了する。
【0202】
このように時刻ずれを補正して相関係数を計算することで、コンピュータと電源タップとの時刻にずれがあっても、コンピュータとコンセントとを正しく対応付けることが可能となる。例えば第2〜第5の実施の形態では、負荷情報に付随する時刻情報と電力情報に付随する時刻情報はNTP(Network Time Protocol)などの手段により厳密に標準時刻に一致していることを想定している。しかし、実際には機器の内部時計が狂っているなどの理由により正しい時刻が得られない可能性もある。そこで、第6の実施の形態では、時刻ずれの補正を行っている。
【0203】
第6の実施の形態では、機器の時計が正しい時刻からずれていると想定される時間は、時刻ずれ補正量(s)とされ、時刻ずれ補正量だけずらした時刻に対して全コンセントとの相関係数が計算される。どの程度まで時刻をずらした値までを計算の対象とするかは、探索範囲として予め設定されている。ずらした時刻に対して閾値以上の相関係数が得られるコンセントが唯一に定まった場合は、そのコンセントが正解コンセントとして対応付けられる。その結果、負荷情報に含まれる時刻と電力情報に含まれる時刻との間にずれがあった場合であっても、コンピュータが接続された正しいコンセントを検出し、対応付けることができる。
【0204】
〔第7の実施の形態〕
次に第7の実施の形態について説明する。第7の実施の形態は、コンピュータとコンセントとの間の対応付けの誤判定を抑止するものである。
【0205】
第7の実施の形態では、サーバは、コンピュータとコンセントとの対応関係を、その対応関係を判定した時刻に対応付けて保存する。またサーバは、コンセントにおいて規定以上の電力値が継続して消費されていることを検出する。さらにサーバは、判定した対応関係が既存の対応関係と矛盾し、かつ該当するコンセントにおいて継続した電力値が消費されている場合、該当するコンピュータの紐付け情報を解除する。そしてサーバは、コンピュータに対して再度、機器の負荷情報を収集する。これにより、誤った紐付け設定を防ぐことができる。
【0206】
なお第7の実施の形態のシステム構成は、図4〜図6に示した第2の実施の形態のシステム構成と同様である。だたし第7の実施の形態では、サーバとコンピュータとが有する機能の一部が、第2の実施の形態と異なる。そこで、第2の実施の形態と同じ機能を有する要素については、第2の実施の形態の要素の符号を付し、説明を省略する。
【0207】
図34は、第7の実施の形態における各装置の機能を示すブロック図である。第7の実施の形態に係るサーバ100−5は、対応関係判定部110eの機能が第2の実施の形態の対応関係判定部110と異なる。またサーバ100−5の対応関係記憶部151−1は、記憶する情報が第2の実施の形態の対応関係記憶部151と異なる。またサーバ100−5は、電力継続情報記憶部191を有する。
【0208】
対応関係判定部110eは、判断対象のコンピュータの負荷との間で、供給した電力が閾値以上の相関係数となる唯一のコンセントを検出した場合、判断対象のコンピュータとコンセントとの対応関係の正当性を確認する処理(対応付け確認処理)を行う。そして、対応関係判定部110eは、検出した対応関係が正当と判定した場合に、判断対象のコンピュータと検出したコンセントとを対応付ける。
【0209】
なお対応関係判定部110eは、対応付け確認処理では対応関係記憶部151−1と電力継続情報記憶部191を参照して、対応付けの正当性を確認する。
対応関係記憶部151−1は、コンピュータとコンセントとの対応関係に加え、その対応関係を設定した時刻を記憶する。
【0210】
電力継続情報記憶部191は、コンセントごとに、一定以上の電力が継続して検出されているときの、最初の検出時刻を記憶する。例えばRAM102またはHDD103の記憶領域の一部が、電力継続情報記憶部191として使用される。
【0211】
図35は、第7の実施の形態の対応関係記憶部のデータ構造の一例を示す図である。対応関係記憶部151−1には対応関係管理テーブル151bが格納されている。対応関係管理テーブル151bには、コンピュータID、コンセントID、および時刻の欄が設けられている。コンピュータIDの欄には、いずれかのコンセントに接続されて動作しているコンピュータの識別情報(コンピュータID)が設定される。コンセントIDの欄には、コンピュータが接続されたコンセントであると判定されたコンセントの識別情報(コンセントID)が設定される。時刻の欄には、コンピュータとコンセントとの対応関係を登録した時刻が設定される。
【0212】
図36は、電力継続情報記憶部のデータ構造の一例を示す図である。電力継続情報記憶部191には、電力継続テーブル191aが設けられている。電力継続テーブル191aには、コンセントIDと電力検出時刻との欄が設けられている。
【0213】
コンセントIDの欄には、一定以上の電力が継続して検出されたコンセントの識別情報(コンセントID)が設定される。電力検出時刻の欄には、一定以上の電力を現在まで継続して供給しているコンセントにおいて、一定以上の電力が最初に検出された時刻(電力検出時刻)が設定される。なお電力継続テーブル191aの同一行に設定されたデータの組が、1つの電力継続情報となる。
【0214】
なお電力継続テーブル191aの内容は、電力情報を取得した対応関係判定部110eによって、適宜更新される。例えば対応関係判定部110eは、電力情報で示される電力が一定以上であり、その電力情報に対応するコンセントの電力継続情報が電力継続テーブル191aに登録されていなければ、新たな電力継続情報を電力継続テーブル191aに登録する。新たに登録される電力継続情報には、現在の時刻が電力検出時刻として設定される。また対応関係判定部110eは、電力情報で示される電力が一定未満であり、その電力情報に対応するコンセントの電力継続情報が電力継続テーブル191aに登録されていれば、該当する電力継続情報を電力継続テーブル191aから削除する。
【0215】
図37は、第7の実施の形態の対応付け処理の手順の一例を示すフローチャートである。なお図37のステップS601〜S608,S611〜S614の各処理は、それぞれ図16に示した第2の実施の形態のステップS101〜S112の処理と同じである。そこで、第2の実施の形態と異なるステップS609,S610の処理について以下に説明する。
【0216】
[ステップS609]対応関係判定部110eは、判断対象のコンピュータの負荷との間で、供給した電力の相関係数が閾値以上となる唯一のコンセントが検出された場合、対応付け確認処理を実行する。以下、検出されたコンセントを対象コンセントと呼ぶ。
【0217】
[ステップS610]対応関係判定部110eは、対応付け確認処理により、対象コンセントが、判断対象のコンピュータが接続されたコンセントとして正解と判定されたか否かを判断する。正解判定の場合、対応関係判定部110eは、処理をステップS611に進め、対象コンセントを判断対象のコンピュータに対応付ける。また対応関係判定部110eは、正解判定でなければ、対応付けを行わずに処理を終了する。
【0218】
図38は、対応付け確認処理の手順を示すフローチャートである。以下、図38に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS621]対応関係判定部110eは、対応関係管理テーブル151bを参照し、対象コンセントが、いずれかのコンピュータに対応付けられているか否かを判断する。対応関係判定部110eは、すでに対応付けられている場合、処理をステップS622に進める。また対応関係判定部110eは、対象コンセントの対応付けが設定されていなければ、処理をステップS626に進める。
【0219】
[ステップS622]対応関係判定部110eは、新たに判定した対応関係の判定結果が、既に設定されている対応関係と異なるか否かを判断する。すなわち対応関係判定部110eは、対象コンセントが既に対応付けられているコンピュータ(登録済みコンピュータ)が、現在の判断対象のコンピュータと異なる場合、判定結果が異なると判断する。対応関係判定部110eは、判定結果が異なる場合、処理をステップS623に進める。また対応関係判定部110eは、判定結果が同じであれば、処理をステップS626に進める。
【0220】
[ステップS623]対応関係判定部110eは、対応関係管理テーブル151bから、対象コンセントの前回の対応付け時刻を取得する。
[ステップS624]対応関係判定部110eは、対象コンセントの電力継続情報を取得する。
【0221】
[ステップS625]対応関係判定部110eは、対象コンセントの前回の対応付け時刻は、電力検出時刻以降か否かを判断する。対応関係判定部110eは、前回の対応付け時刻が電力検出時刻以降であれば、処理をステップS627に進める。また対応関係判定部110eは、前回の対応付け時刻が電力検出時刻以降でなければ、処理をステップS626に進める。
【0222】
すなわち対象コンセントの前回の対応付け時刻が電力検出時刻以降の場合、前回対応付け時刻から現在まで、対象コンセントからは一定以上の電力が供給され続けている。この場合、対象コンセント対して、同一のコンピュータが継続して接続されているものと考えられる。それにも拘わらず、対象コンセントのコンピュータとの対応関係について、以前と異なる判定結果が出た場合、判定結果にエラーがあるものと考えられる。そこで、ステップS627以降のエラー処理が実行される。
【0223】
一方、対象コンセントの前回の対応付け時刻が電力検出時刻より前の場合、前回の対応付け時刻から現在までの間に、対象コンセントからの電力供給が途切れた期間がある。この場合、対象コンセントの前回の対応付け時刻から現在までの間に、対象コンセントからコンピュータの電源ケーブルのプラグが抜かれ、別のコンピュータのケーブルが接続されたと考えられる。そのため、対象コンセントに関する対応付けの前回の判定結果と今回の判定結果とが異なったとしても矛盾は生じない。すなわち、今回の判定結果に沿って、対応付けを変更することとなる。
【0224】
[ステップS626]対応関係判定部110eは、対応付け確認処理の確認結果を正解と判定し、処理を終了する。
[ステップS627]対応関係判定部110eは、判断対象のコンピュータからの負荷情報の再取得回数が規定値以下か否かを判断する。対応関係判定部110eは、再取得回数が規定値以下であれば、処理をステップS628に進める。また対応関係判定部110eは、再取得回数が規定値を超えていれば、負荷取得要求を送信することなく、処理を終了する。
【0225】
[ステップS628]対応関係判定部110eは、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとの両方からの負荷情報の取得を、負荷情報取得部141に指示する。すると、負荷情報取得部141は、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとに対して、負荷取得要求を送信する。
【0226】
[ステップS629]対応関係判定部110eは、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとのそれぞれに対するコンセントの対応付けを解除する。例えば対応関係判定部110eは、対応関係管理テーブル151b(図35参照)から、判定対象コンピュータに関する情報と、登録済みコンピュータに関する情報とを削除する。
【0227】
[ステップS630]対応関係判定部110eは、電力情報記憶部132から、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとに関する電力検出時刻以降の電力情報を削除する。その後、対応関係判定部110eは処理を終了する。
【0228】
このようにして、一旦対応付けが設定されたコンセントが、異なるコンピュータのコンセントとして重複して設定されるケースを抑止することができる。すなわち、サーバ100−5は、閾値を超える相関係数を有するコンセントが一つに定まり、そのコンセントが既にコンピュータに対応付けられている場合、その対応付けが行われた時刻を取得する。そしてサーバ100−5は、該当するコンセントの前回の対応付け時刻から、一定以上の電力供給が継続されているか否かを判定する。一定以上の電力供給が継続されていない場合は一旦コンセントが抜かれて他の機器に差し替えられたためと判断されるため、そのまま対応付けが登録される。他方、一定以上の電力供給が継続されている場合は誤設定が疑われるので、既存の対応付けが解除され、登録済みコンピュータと判断対象のコンピュータとの両方に対して、負荷取得要求が出される。登録済みコンピュータと判断対象のコンピュータとは、負荷取得要求に応じて負荷情報をサーバ100−5に送信する。その結果、登録済みコンピュータと判断対象のコンピュータとのそれぞれについて、再度、対応付け処理が実行され、正確な対応関係が判明した時点で、その対応関係が設定される。
【0229】
なお第7の実施の形態では、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとのそれぞれから負荷情報を再取得することで、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとのそれぞれについて、すべてのコンセントの中から対応付けるコンセントが判断される。このとき、図38の対応付け確認処理における対象コンセントを、判断対象のコンピュータと登録済みコンピュータとのいずれに対応付けるのかについてのみ判断するようにしてもよい。その場合、相関係数としては、判断対象のコンピュータと対象コンセントとの間の相関係数と、登録済みコンピュータと対象コンセントとの間の相関係数を計算すればよい。そのため、負荷情報を再取得した後の処理に関するサーバ100−5の処理負荷を軽減できる。
【0230】
〔その他の実施の形態〕
上記第2〜第7の実施の形態では、サーバは、電源タップから定期的にコンセントごとの電力情報を収集しているが、負荷情報に変動があった場合に、サーバが電力情報を収集するようにすることもできる。この場合、電源タップでは、内部のメモリに、コンセントごとの電力情報を蓄積しておく。そして電源タップは、サーバからの要求に応じて、蓄積しておいた電力情報をサーバに送信する。
【0231】
また第2〜第7の実施の形態では、コンピュータの負荷との相関係数が閾値以上となる電力を供給したコンセントが1つだけに絞られた場合にのみ、コンピュータとコンセントとを対応付けている。これは、コンピュータが直接接続されたコンセントからのみ、電力情報を取得する場合を想定したものである。一方、電源の配線としては、電源タップのコンセントにさらに電源タップを接続することもできる。このように電源タップが多段に配線されている場合、1つのコンピュータに電源を供給するコンセントが複数存在する場合もあり得る。この場合、コンピュータへは、コンピュータが直接接続されたコンセントと、そのコンセントを有する電源タップが接続されたコンセントとの両方を経由して電力が供給される。このような電源の配線が想定される場合には、1つのコンピュータに対して複数のコンセントを対応付けるようにしてもよい。このような対応付けを行うことで、電源設備からコンピュータなどの機器までの電力供給経路を、容易に認識することができる。
【0232】
なお、上記の各実施の形態に示した処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、サーバが有する機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RWなどがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disc)などがある。
【0233】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0234】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0235】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現することもできる。
【0236】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0237】
以上の実施の形態に開示された技術には、以下の付記に示す技術が含まれる。
(付記1) コンピュータが、
所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報とを取得し、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
ことを特徴とする機器・コンセント間対応付け方法。
【0238】
(付記2) 相関係数が前記閾値以上であるコンセントが1つだけの場合に、該コンセントを前記機器に対応付けることを特徴とする付記1記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0239】
(付記3) 相関係数が前記閾値以上であるコンセントが存在しない場合、前記機器から負荷情報を再取得し、相関係数を再計算することを特徴とする付記1または2のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0240】
(付記4) 相関係数が前記閾値以上であるコンセントが複数存在する場合、該複数のコンセントを対応付け候補とし、前記機器から負荷情報を再取得し、
前記機器の再取得した負荷情報と、前記対応付け候補のコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0241】
(付記5) 前記機器の負荷が所定の値以下の場合、前記機器に対して、負荷を伴う処理の実行を指示することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0242】
(付記6) 前記機器の平均消費電力が予め記憶されており、前記所定の期間内の電力の平均値と該平均消費電力との差が所定の範囲内のコンセントについて、前記機器の負荷情報と、コンセントから取得した複数の電力情報との相関係数を計算することを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0243】
(付記7) 前記機器以外の少なくとも1つの他の機器と、該他の機器に電力を供給しているコンセントとの正しい対応関係を示す学習情報が、記憶手段に予め格納されており、
所定の期間内の前記他の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得し、
前記他の機器との間に正しい対応関係を有する正解コンセントと、前記他の機器との間に正しい対応関係を有していない不正解コンセントとについて、前記他の機器の負荷情報と、コンセントから取得した電力情報との相関係数を計算し、
正解コンセントの相関係数と、不正解コンセントの相関係数とに基づいて、前記閾値を計算することを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0244】
(付記8) 正解コンセントの相関係数の平均値が、不正解コンセントの相関係数の最大値より大きい場合、不正解コンセントの相関係数の最大値を、前記閾値とすることを特徴とする付記7記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0245】
(付記9) 前記機器以外の少なくとも1つの他の機器と、該他の機器に電力を供給しているコンセントとの正しい対応関係を示す学習情報が、記憶手段に予め格納されており、
所定の期間内の前記他の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得し、
前記他の機器との間に正しい対応関係を有する正解コンセントと、前記他の機器との間に正しい対応関係を有していない不正解コンセントとについて、前記他の機器の負荷情報と、コンセントから取得した電力情報との相関係数を計算し、
正解コンセントの相関係数と不正解コンセントの相関係数とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数の計算対象となる相関対象期間の長さを示す相関時間を決定する、
ことを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0246】
(付記10) 相関係数の計算対象となる相関対象期間の長さを初期値から段階的に増加させていきながら、正解コンセントと不正解コンセントとについて相関係数の計算を繰り返し行い、正解コンセントの相関係数の平均値が、不正解コンセントの相関係数の最大値より大きくなったときの相関対象の期間の長さを、前記相関時間とすることを特徴とする付記9記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0247】
(付記11) 前記機器の負荷の測定期間と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの負荷の測定時間帯との間の、時間のずれ量を変更しながら、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を繰り返し計算することを特徴とする付記1乃至10のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0248】
(付記12) 前記機器の負荷との間に閾値以上の相関係数を有する電力を供給したコンセントが、前記機器以外の他の機器に既に対応付けられている場合、該他の機器と該コンセントを対応付けてから現在まで、該コンセントから一定以上の電力供給が継続されているか否かを判断し、
電力供給が継続されている場合、前記他の機器と該コンセントとの対応付けを解除すると共に、前記機器と該コンセントの対応付けを抑止することを特徴とする付記1乃至11のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0249】
(付記13) 前記他の機器とコンセントとの対応付けを解除すると共に、前記機器と該コンセントの対応付けを抑止した場合、前記機器と前記他の機器とのそれぞれから負荷情報を取得し、該コンセントから供給された電力の情報を取得し、
前記機器と前記他の機器それぞれと、該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
該コンセントを、相関係数が閾値以上である前記機器または前記他の機器に対応付ける、
ことを特徴とする付記12記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【0250】
(付記14) コンピュータに、
所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報とを取得し、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
処理を実行させるプログラム。
【0251】
(付記15) 所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報を取得する負荷情報取得手段と、
複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得する電力情報取得手段と、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する計算手段と、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける対応付け手段と、
を有する情報処理装置。
【符号の説明】
【0252】
1 情報処理装置
1a 負荷情報取得手段
1b 電力情報取得手段
1c 記憶手段
1d 計算手段
1e 対応付け手段
1f 表示手段
2,3 電源タップ
2a,2b,3a,3b コンセント
4a,4b,4c,4d 機器
5 アクセスポイント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報とを取得し、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
ことを特徴とする機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項2】
相関係数が前記閾値以上であるコンセントが1つだけの場合に、該コンセントを前記機器に対応付けることを特徴とする請求項1記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項3】
相関係数が前記閾値以上であるコンセントが存在しない場合、前記機器から負荷情報を再取得し、相関係数を再計算することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項4】
相関係数が前記閾値以上であるコンセントが複数存在する場合、該複数のコンセントを対応付け候補とし、前記機器から負荷情報を再取得し、
前記機器の再取得した負荷情報と、前記対応付け候補のコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項5】
前記機器の負荷が所定の値以下の場合、前記機器に対して、負荷を伴う処理の実行を指示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項6】
前記機器の平均消費電力が予め記憶されており、前記所定の期間内の電力の平均値と該平均消費電力との差が所定の範囲内のコンセントについて、前記機器の負荷情報と、コンセントから取得した複数の電力情報との相関係数を計算することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項7】
前記機器以外の少なくとも1つの他の機器と、該他の機器に電力を供給しているコンセントとの正しい対応関係を示す学習情報が、記憶手段に予め格納されており、
所定の期間内の前記他の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得し、
前記他の機器との間に正しい対応関係を有する正解コンセントと、前記他の機器との間に正しい対応関係を有していない不正解コンセントとについて、前記他の機器の負荷情報と、コンセントから取得した電力情報との相関係数を計算し、
正解コンセントの相関係数と、不正解コンセントの相関係数とに基づいて、前記閾値を計算することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項8】
前記機器以外の少なくとも1つの他の機器と、該他の機器に電力を供給しているコンセントとの正しい対応関係を示す学習情報が、記憶手段に予め格納されており、
所定の期間内の前記他の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得し、
前記他の機器との間に正しい対応関係を有する正解コンセントと、前記他の機器との間に正しい対応関係を有していない不正解コンセントとについて、前記他の機器の負荷情報と、コンセントから取得した電力情報との相関係数を計算し、
正解コンセントの相関係数と不正解コンセントの相関係数とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数の計算対象となる相関対象期間の長さを示す相関時間を決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項9】
前記機器の負荷の測定期間と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの負荷の測定時間帯との間の、時間のずれ量を変更しながら、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を繰り返し計算することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項10】
前記機器の負荷との間に閾値以上の相関係数を有する電力を供給したコンセントが、前記機器以外の他の機器に既に対応付けられている場合、該他の機器と該コンセントを対応付けてから現在まで、該コンセントから一定以上の電力供給が継続されているか否かを判断し、
電力供給が継続されている場合、前記他の機器と該コンセントとの対応付けを解除すると共に、前記機器と該コンセントの対応付けを抑止することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項11】
コンピュータに、
所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報とを取得し、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
処理を実行させるプログラム。
【請求項12】
所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報を取得する負荷情報取得手段と、
複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得する電力情報取得手段と、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する計算手段と、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける対応付け手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項1】
コンピュータが、
所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報とを取得し、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
ことを特徴とする機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項2】
相関係数が前記閾値以上であるコンセントが1つだけの場合に、該コンセントを前記機器に対応付けることを特徴とする請求項1記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項3】
相関係数が前記閾値以上であるコンセントが存在しない場合、前記機器から負荷情報を再取得し、相関係数を再計算することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項4】
相関係数が前記閾値以上であるコンセントが複数存在する場合、該複数のコンセントを対応付け候補とし、前記機器から負荷情報を再取得し、
前記機器の再取得した負荷情報と、前記対応付け候補のコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項5】
前記機器の負荷が所定の値以下の場合、前記機器に対して、負荷を伴う処理の実行を指示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項6】
前記機器の平均消費電力が予め記憶されており、前記所定の期間内の電力の平均値と該平均消費電力との差が所定の範囲内のコンセントについて、前記機器の負荷情報と、コンセントから取得した複数の電力情報との相関係数を計算することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項7】
前記機器以外の少なくとも1つの他の機器と、該他の機器に電力を供給しているコンセントとの正しい対応関係を示す学習情報が、記憶手段に予め格納されており、
所定の期間内の前記他の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得し、
前記他の機器との間に正しい対応関係を有する正解コンセントと、前記他の機器との間に正しい対応関係を有していない不正解コンセントとについて、前記他の機器の負荷情報と、コンセントから取得した電力情報との相関係数を計算し、
正解コンセントの相関係数と、不正解コンセントの相関係数とに基づいて、前記閾値を計算することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項8】
前記機器以外の少なくとも1つの他の機器と、該他の機器に電力を供給しているコンセントとの正しい対応関係を示す学習情報が、記憶手段に予め格納されており、
所定の期間内の前記他の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得し、
前記他の機器との間に正しい対応関係を有する正解コンセントと、前記他の機器との間に正しい対応関係を有していない不正解コンセントとについて、前記他の機器の負荷情報と、コンセントから取得した電力情報との相関係数を計算し、
正解コンセントの相関係数と不正解コンセントの相関係数とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数の計算対象となる相関対象期間の長さを示す相関時間を決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項9】
前記機器の負荷の測定期間と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの負荷の測定時間帯との間の、時間のずれ量を変更しながら、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を繰り返し計算することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項10】
前記機器の負荷との間に閾値以上の相関係数を有する電力を供給したコンセントが、前記機器以外の他の機器に既に対応付けられている場合、該他の機器と該コンセントを対応付けてから現在まで、該コンセントから一定以上の電力供給が継続されているか否かを判断し、
電力供給が継続されている場合、前記他の機器と該コンセントとの対応付けを解除すると共に、前記機器と該コンセントの対応付けを抑止することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の機器・コンセント間対応付け方法。
【請求項11】
コンピュータに、
所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報と、複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報とを取得し、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算し、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける、
処理を実行させるプログラム。
【請求項12】
所定の期間内の機器の負荷を示す負荷情報を取得する負荷情報取得手段と、
複数のコンセントそれぞれから該所定の期間内に供給された電力を示す電力情報を取得する電力情報取得手段と、
前記機器の負荷情報と、複数のコンセントのうちの少なくとも1つのコンセントの電力情報とに基づいて、前記機器の負荷と該コンセントから供給された電力との間の相関係数を計算する計算手段と、
相関係数が閾値以上であるコンセントを、前記機器に対応付ける対応付け手段と、
を有する情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【公開番号】特開2013−48520(P2013−48520A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186059(P2011−186059)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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