説明

機器類の表示板

【課題】ソーラーセルの発電に十分な光量を供給でき、ソーラーセルの十字線や濃紫色が目に見えないようにすることができるとともに、表示板の彩度を高く、すなわち、白色表示板であればより理想的な白色に近い機器類の表示板を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの光透過性を有する透光性基板と、透光性基板のうち、少なくとも1つの透光性基板の少なくとも一面に形成される光透過性着色層と、複数の透光性基板を所定の距離だけ乖離させる乖離層とを積層して形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、時計、卓上計算機、自動車や飛行機などの計器パネル、携帯電話などのモバイル機器などの機器類の表示板に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラーセル(太陽電池)を備えた表示板は、受光した光を透過させて、その下面側に配設したソーラーセルに発電機能を起こさせるために光透過性が要求させる。このため、表示板を構成する基板は、例えば、合成樹脂、紙、布などの軟質材料や、ガラスなどのセラミックに代表される脆性材料によって、透明または半透明の部品として製造される。
【0003】
図15は、一般的なソーラーセルを示す平面図である。
図15に示したように、一般的なソーラーセルは4等分に分割された4面(A1,A2,A3,A4)に設けられていて、表示板の下面に配設される。そして、表示板を透過した透過光が4面(A1,A2,A3,A4)のそれぞれに均一量入射するのが最も発電効率を高める。このため、このソーラーセルの上面側に配設される表示板は、ソーラーセルの4面(A1,A2,A3,A4)に対応する部分、すなわち、12−6時ラインと9−3時ラインで4等分割した4面がそれぞれ均一量の光を透過するように設計することが必要とされている。
【0004】
しかしながら、表示板の下面側に配設されるソーラーセルは、独特の濃紫色を有しており、透明または半透明の表示板の下面側に配設すると、ソーラーセルの色が表示板を透過して視認されることとなる。さらに、4等分割したところの十字線が材質の違いなどから非常に目立って見える。このため、美観的にも良い印象を与えず、また、デザインも限られたものになってしまうため、この濃紫色を和らげたり、または、見えないようにするために、従来から表示板に様々な工夫が行われてきた。
【0005】
特許文献1では、図16に示すように、透光性基板302の下面に、着色顔料304の配合を少なくした白色の塗膜306a〜306cを多層に積層して形成することによって、表示板の透過率を高めるとともに、発色度を高めることで純白に近い白色や鮮やかな色彩を出し、ソーラーセルの濃紫色を目立たないようにした時計用文字板300が提案されている。
【0006】
このように、顔料の配合割合を少なくして、塗膜を多層構造にすることで、単位体積当たりの顔料の分布密度が低くなることから光が透過し易くなって透過率を上げる一方、表示板の視認面(上方)から見た色の色調度合いは、表示板の上から見た単位面積当たりの顔料の密度度合によって視認されてくるため、一層における顔料の密集度合いは小さくても、3層とすることによって密集度合いが大きくなり、発色度を高めることができる。
【0007】
また、特許文献2では、図17に示すように、太陽電池402と所定の光透過率を有する透光性板404との間に、発光体を含む被着層406を形成することによって、透光性板404の材質や厚さに対する自由度を向上するとともに、外光の利用効率を向上させることが可能な太陽電池付表示部構造体400が提案されている。
【0008】
このように構成することで、透光性板404の色調、模様、文字等の外観を被着層との組み合わせによって構成できるため、被着層406の形成面積や厚さ等を調整することによって透光性板404の材質や厚さに対する自由度が向上する。さらに、外光入射時の光反射量や光拡散量を低減することができ、外光の利用効率を向上させることができる。
【特許文献1】特開2002−162480号公報
【特許文献2】国際公開WO97/027520号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術における表示板において、白色表示板とする際には、理想的な白色、すなわち、可視光線を100%乱反射する物体の色とは異なるものとなり、白色表示板の白さを、より理想的な白色に近づける余地があった。また、白色以外の表示板であっても、明るさのある鮮明な色彩を得ることができず、表示板のデザインバリエーションに乏しいという問題があった。
【0010】
本発明は、このような現状に鑑み、ソーラーセルの発電に十分な光量を供給でき、ソーラーセルの十字線や濃紫色が目に見えないようにすることができるとともに、表示板の彩度を高く、すなわち、白色表示板であればより理想的な白色に近い、例えば、時計、卓上計算機、自動車や飛行機などの計器パネル、携帯電話などのモバイル機器などの機器類の表示板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の表示板は、
機器類の視認側に設けられる表示板であって、
少なくとも2つの光透過性を有する透光性基板と、
前記透光性基板のうち、少なくとも1つの透光性基板の少なくとも一面に形成される光透過性着色層と、
前記複数の透光性基板を所定の距離だけ乖離させる乖離層とが積層して形成されることを特徴とする。
【0012】
このように、表示板を透光性基板、光透過性着色層、乖離層の組み合わせによる積層構造とすることによって、使用者は光透過性着色層からの反射光のみならず、透光性基板や乖離層で反射され、光透過性着色層を透過した光をも視認することとなり、光透過性着色層によって意図した色の光を多量に視認させることができる。
【0013】
このため、表示板の色をより鮮やかにすることができ、特に、光透過性着色層として白色顔料を用いた白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
【0014】
さらには、各層を構成する透光性基板、光透過性着色層、乖離層はそれぞれ光を透過させるため、例えば、ソーラーセル(太陽電池)からなるソーラー発電装置によって駆動する腕時計、卓上計算機などの機器類に用いた場合に、ソーラーセルの発電に十分な光量を供給できるとともに、ソーラーセルの十字線や濃紫色が目に見えないようにすることができ、デザインバリエーションの拡大を図ることができる。特に、光透過性着色層とソーラーセルとの間隔が広くなる程、ソーラーセルの十字線や濃紫色は視認されにくくなる。
【0015】
また、例えば、電磁波を受信するアンテナ部材を有し、金属が使えない箇所、金属が付かない箇所などにも、電磁波の受信を阻害することなく用いることができ、より鮮やかな色の表示板、特に、白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板として、例えば、時計や携帯電話などのモバイル機器などの機器類に用いることができ、機器類のデザインバリエーションの拡大を図ることができる。
【0016】
また、本発明の表示板は、
前記光透過性着色層が、前記透光性基板の少なくとも一面の少なくとも一部分に形成されていることを特徴とする。
【0017】
このように、光透過性着色層を透光性基板の少なくとも一面の少なくとも一部分に形成することによって、この光透過性着色層を透過および反射する光が、使用者には視認されることになるので、発色効果を得ることができる。
【0018】
また、光透過性着色層を模様状に形成することによって、表示板に模様を付加することができるので、表示板としてのデザインバリエーションを向上させることができる。
また、本発明の表示板は、
前記乖離層が、前記複数の透光性基板を接着させるための接着層であることを特徴とする。
【0019】
このように、接着剤からなる接着層によって透光性基板を積層して接着することによって、透光性基板を互いに強固に接着することができるので、表示板を使用する際に、透光性基板がずれることを防止することができる。
【0020】
なお、接着層に用いられる接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤や光透過性の両面テープなどを用いることができる。
また、接着層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、ソーラーセル(太陽電池)からなるソーラー発電装置の上面に配置される表示板として用いる場合には、ソーラーセルの発電に必要な光量を透過する範囲で適宜設定することができる。
【0021】
また、本発明の表示板は、
前記接着層が、少なくとも前記透光性基板の外周部に対応する部分のみに形成されることを特徴とする。
【0022】
このように構成することによって、透光性基板を互いに接着剤からなる接着層によって強固に接着することができるとともに、乖離層のうち、接着層(接着剤)が無い箇所においては、空気によって満たされているので、乖離層の大部分を空気によって構成することができる。従って、表示板に入射した光が接着剤に吸収されることがないので、より多量に光を透過させることができる。
【0023】
さらには、透過性着色層や透光性基板によって反射した光が、乖離層において接着剤に吸収されることがないので、使用者には透過性着色層によって意図した色の光をより多量に視認させることができる。
【0024】
このため、表示板の色をより鮮やかにすることができ、特に、光透過性着色層として白色顔料を用いた白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
【0025】
また、本発明の表示板は、
前記接着層が、前記透光性基板の中心部に対応する部分に形成されることを特徴とする。
【0026】
このように構成することによって、透光性基板が撓むことを防止することができる。従って、透光性基板の撓みによって発生する発色のムラなどを防ぐことができる。
また、本発明の表示板は、
前記乖離層が、空気から成る空気層であることを特徴とする。
【0027】
このように、乖離層を接着剤からなる接着層ではなく、空気によって構成することによって、表示板に入射した光が接着剤に吸収されることがないので、より多量に光を透過させることができる。
【0028】
さらには、透過性着色層や透光性基板によって反射した光が、乖離層において接着剤に吸収されることがないので、使用者には透過性着色層によって意図した色の光をより多量に視認させることができる。
【0029】
このため、表示板の色をより鮮やかにすることができ、特に、光透過性着色層として白色顔料を用いた白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
【0030】
また、本発明の表示板は、
前記透光性基板が、固定部材によって固定されることで前記空気層を形成することができる。
【0031】
このように、固定部材によって透光性基板を所定の距離だけ乖離して固定することによって、接着剤を用いることなく乖離層を形成することができる。従って、表示板に入射した光が接着剤に吸収されることがないので、より多量に光を透過させることができる。
【0032】
さらには、透過性着色層や透光性基板によって反射した光が、乖離層において接着剤に吸収されることがないので、使用者には透過性着色層によって意図した色の光をより多量に視認させることができる。
【0033】
このため、表示板の色をより鮮やかにすることができ、特に、光透過性着色層として白色顔料を用いた白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
【0034】
なお、固定部材の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、チタンから選択した1種以上の金属、または、これらの金属から選択した2種以上の金属の合金、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂から選択した少なくとも1種の樹脂などから構成することができる。
【0035】
また、本発明の表示板は、
前記光透過性着色層が、白色顔料、蛍光顔料、蓄光顔料、夜光顔料から選択した1種以上の顔料から形成されることができる。
【0036】
このように、光透過性着色層を白色顔料などの顔料によって形成することによって意図した発色の表示板を容易に得ることができる。
なお、光透過性着色層として顔料を用いる場合には、例えば、顔料を透明なウレタン樹脂に混ぜ合わせてインク化し、印刷方法、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電界塗装などによって形成することができる。
【0037】
また、本発明の表示板は、
前記光透過性着色層が、金属層、金属酸化物層、金属窒化物層、樹脂層、拡散層、UV反射層、UV吸収層から選択した1種以上の光透過性着色層から形成されることができる。
【0038】
このように、表示板を意図した発色にするために、光透過性着色層として様々なものを用いることができる。
なお、このような光透過性着色層を形成する方法としては、例えば、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVDなどの化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、またはイオンプレーティングなどのドライメッキ処理、溶射など、さらには、印刷方法、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装などの塗装、電界めっき、浸漬めっき、無電解メッキ等の湿式めっき法などを用いることができる。
【0039】
この場合、金属層としては、特に限定されるものではないが、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、チタンから選択した1種以上の金属、または、これらの金属から選択した2種以上の金属の合金から形成することができる。
【0040】
さらに、金属酸化物層としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、酸化シリコン、酸化アルミニウムから選択した少なくとも1種の金属酸化物から形成することができる。
【0041】
また、金属窒化物層としては、特に限定されるものではないが、例えば、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ジルコニウムから選択した少なくとも1種の金属窒化物から形成することができる。
【0042】
また、樹脂層としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂から選択した少なくとも1種の樹脂から形成することができる。
【0043】
この場合、樹脂層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、印刷、スピンコート、または、塗装により形成することができる。
また、樹脂層として、上記の樹脂層に用いた樹脂からなるラミネート樹脂フィルムにより形成することもできる。
【0044】
なお、光透過性着色層として、拡散層を設けても同様の白色感を得ることができる。拡散層は粘着剤や接着剤等に入射した光を拡散する機能を有する拡散剤を混入したもので、拡散剤の材料としては粒状、粉末状、鱗片状、針状等のシリカ、ガラス、樹脂等を用いることができる。
【0045】
また、光透過性着色層として、UV反射層、UV吸収層を設けても同様の白色感を得ることができると同時に変色防止効果を得ることができる。
この場合、UV反射層としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、窒化ケイ素のそれぞれ単層、または、これらの組み合わせによる多層のUV反射層を用いることができる。
【0046】
また、UV吸収層としては、特に限定されるものではないが、例えば、UV吸収層としてラミネート材を用いる場合には、リンテック株式会社製の「ラグ プロテクト」(製品名)を用いることができる。さらに、UV吸収層として、インキを用いる場合には、株式会社セイコーアドバンス製の「SG429B オーバーコートクリヤー」(製品名)を用いることができる。
【0047】
このように構成することによって、表示板の色として意図した発色を、光透過性着色層
によって決定できるため、様々な色の表示板を得ることができるとともに、表示板の色をより鮮やかにすることができ、特に、白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
【0048】
また、本発明の表示板は、
前記光透過性着色層が、光透過性着色層を多層に積層して形成されることを特徴とする。
【0049】
このように、光透過性着色層を多層に積層して形成することによって、表示板の視認面の単位面積当たりの顔料等の色素成分の密集度合いが大きくなり、表示板の発色度を高めることができ、例えば、光透過性着色層として白色顔料を用いた白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
【0050】
なお、光透過率は、光透過性着色層の単位体積当たりの顔料等の色素成分の分布密度に依存し、分布密度が高くなると光透過率は低下し、分布密度が低くなると光透過率は向上する。従って、例えば、光透過性着色層として白色顔料を用いた場合には、白色顔料の配合割合が同じであれば、多層に積層して形成された光透過性着色層の光透過率は、単層の光透過性着色層となんら変わらず、例えば、ソーラーセル(太陽電池)からなるソーラー発電装置によって駆動する腕時計、卓上計算機などの機器類に用いた場合に、ソーラーセルの発電に十分な光量を供給できるとともに、ソーラーセルの十字線や濃紫色が目に見えないようにすることができ、デザインバリエーションの拡大を図ることができる。
【0051】
また、本発明の表示板は、
前記透光性基板の少なくとも一面に凹凸模様が形成されていることを特徴とする。
また、前記凹凸模様が、前記透光性基板の少なくとも一面の少なくとも一部分に形成されていることを特徴とする。
【0052】
このように、透光性基板に、例えば、プリズム、砂地模様、略ピラミッド形状の模様などの凹凸模様を形成することによって、透光性基板に入射する光を屈折・散乱させる効果を有することになる。
【0053】
このため、例えば、ソーラーセル(太陽電池)からなるソーラー発電装置の上面に配置される表示板として用いる場合には、表示板の下面側に配置されるソーラーセルの反射光が屈折・散乱され、使用者にはほとんど視認されないため、ソーラーセルの十字線や区分線、濃紫色は全く消し去られて視認されなくなる。
【0054】
また、ソーラーセルからの反射光が屈折・散乱させられるため、使用者は光透過性着色層の反射光を主に視認することとなり、より鮮やかな色の表示板、特に、白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、少なくとも1つの透光性基板の少なくとも一面に光透過性着色層が形成された状態で、複数の透光性基板を所定の距離だけ乖離させて積層することによって、例えば、ソーラーセルを備えた腕時計や電卓などの機器類の表示板として用いた場合に、ソーラーセルの発電に十分な光量を供給できるとともに、表示板の色を鮮やかにすることができ、特に、表示板として白色表示板とした場合に、より理想的な白色に近づけることができ、デザインバリエーションの拡大を図ることができる。
【0056】
また、電磁波を受信するアンテナ部材を有し、金属が使えない箇所、金属が付かない箇所などにも、電磁波の受信を阻害することなく用いることができ、より鮮やかな色の表示
板、特に、白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板として、例えば、時計や携帯電話などのモバイル機器などの機器類に用いることができ、機器類のデザインバリエーションの拡大を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の表示板の第1の実施例の断面図、図2は、本発明の表示板の第1の実施例の光路図を示している。
【0058】
なお、本発明の表示板は、図1及び図2において、図面の上方側が視認面であっても、下方側が視認面であっても構わないものであり、使用者は本発明の表示板を図面の上方側または下方側から視認することになる。以下、特に記載がない場合には、他の表示板の断面図を示した図面についても同様である。
【0059】
図1に示したように、この実施例の表示板10は、2枚の基板12a,12bを積層して形成されている。そして、基板12bの上方の面に光透過性着色層14が形成されるとともに、接着層16によって2枚の基板12a,12bが接着されている。
【0060】
なお、基板12a,12bは透光性材料から構成されている。透光性材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、紙、布などの軟質材料や、七宝、ガラス、アルミナなどのセラミック、白蝶貝のような貝などの脆性材料などを用いることができる。なお、透光性材料として合成樹脂を用いる場合には、特に限定されるものではないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂から選択した少なくとも1種の樹脂を用いることができる。また、樹脂の色は透明でもよいし、例えば、白色顔料や蛍光顔料、蓄光顔料、夜光顔料などの顔料や、白色染料などを樹脂に混ぜ合わせることによって有色としてもよい。なお、有色の基板とする場合には、光透過率を低下させないためにも、染料を用いることが好ましい。
【0061】
また、基板12a,12bの厚さとしては、特に限定されるものではないが、後述するように本発明の表示板10をソーラー電波腕時計200の表示板として使用する場合には、表示板10の下方に配設されるソーラーセル218の駆動に必要な光を透過する範囲であれば適宜設定することができる。好ましくは、30μm〜1000μmの範囲の厚さであり、このような範囲であれば、例えば、腕時計用の表示板として用いる場合に、時計を薄くするために、表示板の厚さを薄くしても機械的強度が低下することなく、加工することができる。また、表示板の厚さが厚すぎて時計の針が振動することなく、正確な時間を指示することができるとともに、時計自体の厚さをコンパクトにすることができる。
【0062】
また、接着層16は、基板12a,12bを所定の距離だけ乖離して配設するために、接着層16は所定の厚さを有し、乖離層を構成している。なお、接着層16に用いられる接着剤は、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル系樹脂などを用いることができ、印刷方法やディスペンサーによる塗布などによって接着層16を形成することができる。
【0063】
また、接着層16の厚さは、例えば、後述するように本発明の表示板10をソーラー電波腕時計200の表示板として使用する場合には、表示板10の下方に配設されるソーラーセル218の駆動に必要な光を透過する範囲であれば適宜設定することができる。
【0064】
また、光透過性着色層14は、白色顔料を透明なウレタン樹脂に混ぜ合わせてインク化し、印刷方法で形成している。なお、光透過性着色層14に用いられる顔料は、特に限定されるものではなく、白色顔料の他に、例えば、蛍光顔料、蓄光顔料、夜光顔料などを用いることができる。
【0065】
なお、光透過性着色層14の厚さは、例えば、後述するように本発明の表示板10をソーラー電波腕時計200の表示板として使用する場合には、表示板10の下方に配設されるソーラーセル218の駆動に必要な光を透過する範囲であれば適宜設定することができる。
【0066】
また、光透過性着色層14を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、上記の印刷方法の他に、例えば、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVDなどの化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、またはイオンプレーティングなどのドライメッキ処理、溶射など、さらには、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電界めっき、無電解めっき等の湿式めっき法で、非常に薄い金属膜、塗装膜などを形成してもよく、求める色に応じて適宜選択するのが好ましい。
【0067】
この場合、光透過性着色層14は、金属層、金属酸化物層、金属窒化物層、樹脂層、拡散層、UV反射層、UV吸収層から選択した1種以上の光透過性着色層から形成することができる。
【0068】
金属層としては、特に限定されるものではないが、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、亜鉛、チタンから選択した1種以上の金属、または、これらの金属から選択した2種以上の金属の合金から形成することができる。
【0069】
さらに、金属酸化物層としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化鉄、酸化スズ、酸化シリコン、酸化アルミニウムから選択した少なくとも1種の金属酸化物から形成することができる。
【0070】
また、金属窒化物層としては、特に限定されるものではないが、例えば、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ジルコニウムから選択した少なくとも1種の金属窒化物から形成することができる。
【0071】
また、樹脂層としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂から選択した少なくとも1種の樹脂から形成することができる。
【0072】
この場合、樹脂層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、印刷、スピンコート、または、塗装により形成することができる。
また、樹脂層として、上記の樹脂層に用いた樹脂からなるラミネート樹脂フィルムにより形成することもできる。
【0073】
なお、光透過性着色層14として、拡散層を設けても同様の白色感を得ることができる。拡散層は粘着剤や接着剤等に入射した光を拡散する機能を有する拡散剤を混入したもので、拡散剤の材料としては粒状、粉末状、鱗片状、針状等のシリカ、ガラス、樹脂等を用いることができる。
【0074】
また、光透過性着色層14として、UV反射層、UV吸収層を設けても同様の白色感を
得ると同時に変色防止効果を得ることができる。
この場合、UV反射層としては、特に限定されるものではないが、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、窒化ケイ素のそれぞれ単層、または、これらの組み合わせによる多層のUV反射層を用いることができる。
【0075】
また、UV吸収層としては、特に限定されるものではないが、例えば、UV吸収層としてラミネート材を用いる場合には、リンテック株式会社製の「ラグ プロテクト」(製品名)を用いることができる。さらに、UV吸収層として、インキを用いる場合には、株式会社セイコーアドバンス製の「SG429B オーバーコートクリヤー」(製品名)を用いることができる。
【0076】
このように表示板10を構成することによって、図2に示したように、表示板10に入射した光20はそれぞれの層でその一部が反射され、それぞれの反射光20b〜20fの色を混ぜ合わせた色として、使用者には表示板10の色が視認され、残りは表示板10を透過する透過光20aとなり、例えば、表示板10の下面側に配置されるソーラーセルからなるソーラー発電装置に発電を起こさせるための光となる。
【0077】
例えば、透明な基板12a,12bと、白色顔料からなる光透過性着色層14と、透明な接着層16とを積層して形成した表示板10の場合には、光透過性着色層14で反射する反射光20dと光透過性着色層14を透過する反射光20e,20fが白色として視認されることになるため、基板12が1枚の場合に比べ、表示板10は、より理想的な白色として視認されることとなる。
【0078】
従って、光透過性着色層14として、他の顔料や金属層などの光透過性着色層から形成した場合であっても同様に、光透過性着色層14を反射・透過した光がより多量に使用者には視認されることになるため、より鮮やかな色の表示板、特に、白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板を得ることができる。
【0079】
以上のように、この実施例の表示板10によれば、表示板10の下面側にソーラーセルを配置した場合に、ソーラーセルの発電に十分な光量を供給でき、ソーラーセルの十字線や濃紫色が目に見えないようにすることができるとともに、表示板の彩度を高く、すなわち、白色表示板であればより理想的な白色に近い、例えば、時計、卓上計算機、自動車や飛行機などの計器パネル、携帯電話などのモバイル機器などの機器類の表示板とすることができる。
【0080】
図3は、本発明の表示板10を無線機能付きソーラー時計200に適用した場合の分解斜視図、図4は図3の無線機能付きソーラー時計200を組み立てた状態のA―A線の部分断面図である。
【0081】
なお、本発明において「無線機能付きソーラー時計」とは、ソーラーセル(太陽電池)からなるソーラー発電装置を備え、このソーラー発電装置が発電した電力によって駆動される時計であって、例えば、パソコン通信機能、携帯電話機能や非接触式ICカード機能などの無線機能を備える時計、時計情報を含む長波標準電波(搬送波)を受信し、その時計情報に基づいて時刻を修正する無線機能を備えた電波時計、これらの無線機能のいずれかを組み合わせて構成した時計を含むものであり、その他の無線機能を含んでもよいことはもちろんである。
【0082】
図3、図4に示したように、無線機能付きソーラー時計200は、略円筒形状の枠体を構成する時計ケース204と、時計ケース204の下面開口部を覆うように密封される状態で装着される裏蓋210と、時計ケース204の上面開口部を覆うように密封状態で装
着される風防(ガラス)222とを備えたハウジング202を備えている。
【0083】
なお、ハウジング202は、このように裏蓋210を有する場合の他、裏蓋210と時計ケース204とが一体になった時計ケース204である場合、裏蓋210もガラスである場合など、様々な場合も含むものである。
【0084】
このハウジング202内には、時計駆動部を構成するムーブメント216と、このムーブメント216の上面に配置され、ムーブメント216を光の起電力によって駆動するためのソーラー発電装置218を備えている。
【0085】
そして、このソーラー発電装置218の上面に、本発明の表示板10が配置されている。
さらに、このムーブメント216の側部下方の小径部216aには、標準電波を受信するためのアンテナ220が付設されている。
【0086】
なお、この実施例では、アンテナ220は、コアとなる棒状の磁心部材と、この磁心部材の外周に巻かれたコイルとより成るバーアンテナとして図示しているが、その他の構成のアンテナ部材から構成することももちろん可能である。
【0087】
なお、ムーブメント216より突出して、ソーラー発電装置218と表示板10とを貫通する針軸214には、図示しない時針と分針とが配置される。これら時針と分針とは、表示板10と風防222との間に位置して時刻を表示するようになっている。
【0088】
なお、図3、図4において、符号206は、見返しリング、符号208は、裏蓋210と時計ケース204との間を、密封状態で封止するための防水パッキン、符号224は、風防222と時計ケース204と見返しリング206との間を、密封状態で封止するための防水パッキンをそれぞれ示している。
【0089】
このように、本発明の表示板10を、無線機能付きソーラー時計200に採用した場合には、使用者によって風防222側から表示板10を視認された際に、鮮やかな発色、例えば本実施例のように白色表示板の場合には、より理想的な白色に近い白さを出すことができ、デザイン上の見栄えが良く、デザインバリエーションの拡大を図ることができる。
【0090】
また、上述したように、本発明の表示板10は、光透過性を有しているため、表示板10の下面側に配置されたソーラー発電装置218の発電機能を起こさせるために必要な光量を確保することができ、ソーラー発電装置218の発電機能を阻害することがない。
【0091】
また、本発明の表示板10は、無線機能付きソーラー時計200だけではなく、図5に示したように、例えば、電卓240において、点線で示したソーラーセル242を覆うように、例えば、ロゴマーク244などを備えた表示板246としても採用することができる。このように、本発明の表示板10によってソーラーセル242を覆うことによって、ソーラーセル242が外部に視認されることなく、デザイン上の見栄えもよく、デザインバリエーションの拡大を図ることができる。
【0092】
以上、本発明の第1の実施例の表示板10の構成及び使用方法を示したが、以下の実施例においても同様に構成及び使用することができる。
(実施例2)
図6は、本発明の表示板の第2の実施例の断面図である。
【0093】
図6に示したように、この実施例の表示板10では、基板12a,12bの外周部に対
応する部分のみに所定の厚さの接着部16a,16bを有し、乖離層18の中心部17には空気が満たされ、空気層を形成している。
【0094】
このように、乖離層18の大部分を接着剤ではなく、空気によって構成することによって、表示板10に入射した光が接着剤に吸収されることがないので、より多量の光を透過させることができる。
【0095】
さらには、透過性着色層14や基板12bによって反射した光が接着剤に吸収されることがないので、使用者には透過性着色層14によって意図した色の光をより多量に視認させることができ、より鮮やかな色、例えば、透過性着色層14として白色顔料を用いた場合には、表示板10の色を、より理想的な白色とすることができる。
(実施例3)
図7は、本発明の表示板の第3の実施例の断面図である。
【0096】
図7に示したように、この実施例の表示板10では、基板12a,12bの外周部と中心部に対応する部分にのみ所定の厚さの接着部16a,16b,16cを有し、乖離層18の接着部16a,16b,16c以外の部分には空気が満たされている。
【0097】
このように、乖離層18の大部分を接着剤ではなく、空気によって構成することによって、実施例2と同様に、表示板10の色をより鮮やかに、例えば、透過性着色層14として白色顔料を用いた場合には、より理想的な白色とすることができる。
【0098】
さらに、基板12a,12bの中心部に対応する部分に接着部16cを設けることによって、基板12a,12bの撓みが発生することを抑制できるため、基板12a,12bの撓みによって発生する発色のムラなどを防ぐことができる。
(実施例4)
図8は、本発明の表示板の第4の実施例の断面図である。
【0099】
図8に示したように、この実施例の表示板10では、固定部材30によって基板12a,12bを所定の距離だけ乖離させて固定し、乖離層18を形成している。
このように構成することによって、実施例2と同様に、表示板10の色をより鮮やかに、例えば、透過性着色層14として白色顔料を用いた場合には、より理想的な白色とすることができる。
【0100】
なお、固定部材30の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、チタンから選択した1種以上の金属、または、これらの金属から選択した2種以上の金属の合金、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂から選択した少なくとも1種の樹脂などから構成することができる。
(実施例5)
図9は、本発明の表示板の第5の実施例の断面図である。
【0101】
図9に示したように、この実施例の表示板10では、基板12aの上面側に光透過性着色層14を形成している。
このように、基板12aの上面側に光透過性着色層14を形成した場合であっても、基板12a,12b,接着層(乖離層)16で反射され、光透過性着色層14を透過する透過光の量を増やすことができるため、より鮮やかな色の表示板、特に、白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
(実施例6)
図10は、本発明の表示板の第6の実施例の断面図である。
【0102】
図10に示したように、この実施例の表示板10では、基板12aの下面側に光透過性着色層14a〜14cを多層に積層して光透過性着色層14を形成している。
このように、光透過性着色層14を多層に積層して形成することによって、表示板10の視認面の単位面積当たりの顔料等の色素成分の密集度合いが大きくなり、表示板10の発色度を高めることができ、例えば、白色表示板の場合には、より理想的な白色に近づけることができる。
【0103】
なお、光透過率は、光透過性着色層14の単位体積当たりの顔料等の色素成分の分布密度に依存し、分布密度が高くなると光透過率は低下し、分布密度が低くなると光透過率は向上する。従って、例えば、光透過性着色層14として白色顔料を用いた場合には、白色顔料の配合割合が同じであれば、多層に積層して形成された光透過性着色層14の光透過率は、単層の光透過性着色層と同等か、それ以上の効果が得られ、表示板10の下面側に配置されるソーラーセルに発電を起こさせるのに十分な光量を透過させることができる。
【0104】
また、実施例1と同様に、使用者は光透過性着色層14の反射光のみならず、接着層(乖離層)16や基板12bで反射され、光透過性着色層14を透過した透過光をも視認することになるため、より鮮やかな色の表示板、特に、白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
(実施例7)
図11は、本発明の表示板の第7の実施例の断面図である。
【0105】
図11に示したように、この実施例の表示板10では、実施例6と同様に、基板12aの下面側に光透過性着色層14を多層に形成するとともに、基板12bの上面側に光透過性着色層15を形成している。さらに、実施例2と同様に、基板12a,12bの外周部に対応する部分にのみ所定の厚さの接着部16a,16bを有し、乖離層18の接着部16a,16b以外の部分には空気が満たされている。
【0106】
このように構成することによって、光透過性着色層14の反射光のみならず、乖離層18、光透過性着色層15、基板12bで反射され、光透過性着色層14を透過した光をも使用者は視認することとなるため、より鮮やかな色の表示板、特に、白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
【0107】
さらに、乖離層18の大部分が接着剤ではなく空気によって構成されているため、光が接着剤に吸収されずに、使用者には透過性着色層によって意図した色の光をより多量に視認させることができ、より鮮やかな色、例えば透過性着色層14,15として白色顔料を用いた場合には、表示板10の色を、より理想的な白色とすることができる。
【0108】
なお、透過性着色層14と透過性着色層15は、同一の顔料や材質を用いてもよいし、異なる顔料や材質を組み合わせて用いてもよい。また、透過性着色層14,15として顔料を用いる場合には、同一の顔料であっても、顔料の配合割合を変えることによって、発色度や光透過率を調整することができる。
【0109】
また、実施例1と同様に、基板12a,12bを接着層16(図1)によって全面接着したり、実施例3と同様に、乖離層18の基板12a,12bの中心部に対応する部分にも所定の厚さの接着部16c(図7)を設けたりしてもよい。このように、少なくとも、基板の中心部に対応する部分に接着部16cを設けることによって、基板の撓みが発生することを抑制できるため、基板の撓みによって発生する発色のムラなどを防ぐことができ
る。
【0110】
さらには、透過性着色層15も透過性着色層14と同様に、多層に積層して形成することもできる。
(実施例8)
図12は、本発明の表示板の第8の実施例の断面図である。
【0111】
図12に示したように、この実施例の表示板10では、3枚の基板12a,12b,12cが積層して形成されている。そして、基板12a,12bの下面側には、光透過性着色層14,15が形成され、基板12aと基板12bは所定の厚さの接着層(乖離層)18aによって乖離して接着されるとともに、基板12bと基板12cはこれらの外周部に対応する部分にのみ所定の厚さの接着部16a,16bによって接着され、接着部16a,16bが乖離層18bを形成している。なお、乖離層18bの接着部16a,16b以外の部分には空気が満たされている。
【0112】
このように表示板10を3枚の基板12a,12b,12cを形成することによって、基板によって反射され、光透過性着色層14を透過する光の量を増やすことができるため、より鮮やかな色の表示板、特に、白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
【0113】
なお、基板12a,12b,12cは、同一の材料から構成される基板を用いてもよいし、それぞれ異なる材質から構成される基板を組み合わせて用いてもよい。また、透過性着色層14と透過性着色層15は、同一の顔料や材質を用いてもよいし、異なる顔料や材質を組み合わせて用いてもよい。また、透過性着色層14,15として顔料を用いる場合には、同一の顔料であっても、顔料の配合割合を変えることによって、発色度や光透過率を調整することができる。
【0114】
また、実施例3と同様に、乖離層18bの基板12b,12cの中心部に対応する部分にも所定の厚さの接着部16cを設けてもよい。このように、基板の中心部に対応する部分に接着部16c(図7)を設けることによって、基板の撓みが発生することを抑制できるため、基板の撓みによって発生する発色のムラなどを防ぐことができる。
【0115】
さらには、透過性着色層14,15を実施例6と同様に、多層に積層して形成することもできる。
(実施例9)
図13は、本発明の表示板の第9の実施例の断面図である。
【0116】
図13に示したように、この実施例の表示板10では、実施例2と同様に、基板12a,12bの外周部に対応する部分のみに所定の厚さの接着部16a,16bを有し、乖離層18の中心部17には空気が満たされ、空気層を形成している。
【0117】
さらに、基板12bの下面側には、例えば、プリズム、砂地模様、略ピラミッド形状の模様などの凹凸模様13が形成されている。
このように基板12bの下面側に、凹凸模様13を形成することによって、基板12bの下面側からの反射光、例えば、表示板10の下面側にソーラーセルが配置される場合には、ソーラーセルの反射光を屈折・散乱させる効果を有することになる。
【0118】
このため、使用者は光透過性着色層14の反射光を主に視認することとなり、より鮮やかな色の表示板、特に、白色表示板であれば、より理想的な白色に近い表示板とすることができる。
【0119】
さらに、表示板10の下面側にソーラーセルが配置される場合にも、ソーラーセルの反射光は屈折・散乱され、使用者にはほとんど視認されないため、ソーラーセルの十字線や区分線、濃紫色は全く消し去られて視認されなくなる。
【0120】
また、基板12の少なくとも一面の少なくとも一部分に凹凸模様13を形成することによって、表示板10としてのデザインバリエーションを向上させることもできる。
なお、このような凹凸模様13としては、基板12bの下面側のみに形成しているが、これに限らず、基板12bの上面側のみに形成してもよいし、基板12aに形成することもできる。また、基板12a及び基板12bの両面に凹凸模様13を形成してもよい。
【0121】
また、凹凸模様13のパターンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ストライプ、サークル、渦巻、梨地模様、格子状模様、略ピラミッド形状の模様、幾何学模様、編目模様、石調模様、砂目模様、波紋模様、旭光目付等、様々な模様が選択でき、それぞれ求めるデザインに応じて選択することができる。
【0122】
また、凹凸模様13は、選択する模様に応じて、例えば、切削加工等による機械加工、熱転写加工、プレス加工、サンドブラスト加工、射出成型等、様々な加工方法を用いることができる。なお、凹凸模様13の断面形状は、図示したようなV字状のほか、U字状、角型形状等、適宜選択することができる。
(実施例10)
図14は、本発明の表示板の第10の実施例の断面図である。
【0123】
図14に示したように、この実施例の表示板10では、基板12bの上面側に光透過性着色層14a,14bを多層に形成するとともに、基板12aの下面側に光透過性着色層15を形成している。さらに、基板12a,12bの外周部に対応する部分にのみ所定の厚さの接着部16a,16bを有し、乖離層18の接着部16a,16b以外の部分には空気が満たされている。また、光透過性着色層15の下面側(乖離層18の空気が満たされている部分)に、光透過性着色層15a〜15cが離間して設けられている。
【0124】
このように構成することによって、この光透過性着色層15a〜15cを透過および反射する光も、使用者には視認されることになるので、発色効果を高めることができる。
また、光透過性着色層15a〜15cを、例えば、ストライプ、サークル、渦巻、梨地模様、格子状模様、略ピラミッド形状の模様、幾何学模様、編目模様、石調模様、砂目模様、波紋模様、旭光目付等の模様状に形成することによって、表示板10に模様を付加することができる。
【0125】
なお、この場合には、光透過性着色層15a〜15cの色を、光透過性着色層14a,14b,15と同一の色にしてもよいし、異なる色としてもよい。
光透過性着色層15a〜15cの色を、光透過性着色層14a,14b,15と同一の色にした場合であっても、光透過性着色層15a〜15cが形成された部分と、形成されていない部分とでは、発色に変化を生じるため、表示板10に模様を付加することができる。
【0126】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えは、上記実施例では、基板が2枚または3枚の場合についてのみ説明したが4枚以上の基板を備えていてもよい。
【0127】
また、本発明の表示板の積層構造の組み合わせは、上記実施例に限定されるものではなく、様々な組み合わせとすることができる。
また、上記実施例では、本発明の表示板を、ソーラーセル(太陽電池)からなるソーラー発電装置を備えた無線機能付きソーラー時計や卓上計算機に適用したが、ソーラー発電装置を備えた携帯電話などのモバイル機器などの機器類にも適用できる。
【0128】
さらには、ソーラーセルを備えた機器類以外にも、例えば、時計用の表示板、卓上計算機、自動車や飛行機などの計器パネル、携帯電話などのモバイル機器などの表示板として用いることも可能であるなど、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】図1は、本発明の表示板の第1の実施例の断面図である。
【図2】図2は、本発明の表示板の第1の実施例の光路図である。
【図3】図3は、本発明の表示板を無線機能付きソーラー時計に適用した分解斜視図である。
【図4】図4は、図3の無線機能付きソーラー時計を組み立てた状態のA−A線の部分断面図である。
【図5】図5は、本発明の表示板を卓上計算機に適用した状態を説明する平面図である。
【図6】図6は、本発明の表示板の第2の実施例の断面図である。
【図7】図7は、本発明の表示板の第3の実施例の断面図である。
【図8】図8は、本発明の表示板の第4の実施例の断面図である。
【図9】図9は、本発明の表示板の第5の実施例の断面図である。
【図10】図10は、本発明の表示板の第6の実施例の断面図である。
【図11】図11は、本発明の表示板の第7の実施例の断面図である。
【図12】図12は、本発明の表示板の第8の実施例の断面図である。
【図13】図13は、本発明の表示板の第9の実施例の断面図である。
【図14】図14は、本発明の表示板の第10の実施例の断面図である。
【図15】図15は、一般的なソーラーセルを示す図である。
【図16】図16は、従来の時計用文字板を示す概略断面図である。
【図17】図17は、従来の太陽電池付表示部構造体を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0130】
10 表示板
12 基板
12a 基板
12b 基板
12c 基板
13 凹凸模様
14 光透過性着色層
14a〜14c 光透過性着色層
15 光透過性着色層
16 接着層
16a 接着部
16b 接着部
16c 接着部
17 中心部
18 乖離層
18a 乖離層
18b 乖離層
20 光
20a 透過光
20b〜20f 反射光
30 固定部材
200 ソーラー電波腕時計
202 ハウジング
204 時計ケース
206 見返しリング
208 防水パッキン
210 裏蓋
214 針軸
216 ムーブメント
216a 小径部
216b 大径部
218 ソーラー発電装置
220 アンテナ
222 風防
224 防水パッキン
240 電卓
242 ソーラーセル
244 ロゴマーク
246 表示板
300 時計用文字板
302 透光性基板
304 着色顔料
306a〜306c 塗膜
400 太陽電池付表示部構造体
402 太陽電池
404 透光性板
406 被着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器類の視認側に設けられる表示板であって、
少なくとも2つの光透過性を有する透光性基板と、
前記透光性基板のうち、少なくとも1つの透光性基板の少なくとも一面に形成される光透過性着色層と、
前記複数の透光性基板を所定の距離だけ乖離させる乖離層とが積層して形成されることを特徴とする表示板。
【請求項2】
前記光透過性着色層が、前記透光性基板の少なくとも一面の少なくとも一部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示板。
【請求項3】
前記乖離層が、前記複数の透光性基板を接着させるための接着層であることを特徴とする請求項1または2に記載の表示板。
【請求項4】
前記接着層が、少なくとも前記透光性基板の外周部に対応する部分のみに形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示板。
【請求項5】
前記接着層が、前記透光性基板の中心部に対応する部分に形成されることを特徴とする請求項4に記載の表示板。
【請求項6】
前記乖離層が、空気から成る空気層であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の表示板。
【請求項7】
前記光透過性着色層が、光透過性着色層を多層に積層して形成されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の表示板。
【請求項8】
前記透光性基板の少なくとも一面に凹凸模様が形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の表示板。
【請求項9】
前記凹凸模様が、前記透光性基板の少なくとも一面の少なくとも一部分に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の表示板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−244107(P2009−244107A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91028(P2008−91028)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(307023373)シチズン時計株式会社 (227)
【出願人】(000124362)シチズンセイミツ株式会社 (120)