説明

機械式駐車場用パレット及び機械式駐車場

【課題】充電池が搭載された車両を充電することが可能なパレットにおいて、パレットの動作に関わらず安全に車両の充電池に対して充電させることが可能な機械式駐車場用パレット及び機械式駐車場を提供することを目的とする。
【解決手段】機械式駐車場用パレット2は、充電池が搭載された車両が載置される機械式駐車場用パレット2であって、充電池を充電するため車両に充電端子を接続するときの駐車禁止領域9A,9Bを表面に表示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が載置される機械式駐車場用パレット及び機械式駐車場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車場では、パレット上に自動車や二輪車等の車両が載置され、パレットが上下左右に運搬されることで、機械式駐車場内を車両が移動する。図31は、機械式駐車場1の一例を示す概略図である。機械式駐車場1は、1階部分に車両10の入出庫を行う乗入れ階11を有し、複数の階に駐車部分を有する構造物である。また、機械式駐車場1は、車両を昇降させるリフト24と、リフト24が昇降する昇降路23に沿って複数の階に配設された格納棚21と、リフト24により把持され、入出庫させる車両10を載置するパレット2を備える。
【0003】
ところで、ハイブリッド車や電気自動車等の充電池を搭載した車両は、駐車時に充電できることが望ましい。そのため、機械式駐車場においてパレット上にコンセントを設けることによって駐車時に充電池を充電させる技術が開示されている。図32〜図34にコンセント付きパレットの一例を示す。
【0004】
パレット2は、鋼板を折曲し形成されており、その幅方向中央部に形成されたセンターガイド凸部4と、両側の側縁部に立設された左右一対の車輪誘導壁5との間に、車両の車輪をパレット2の長手方向に沿わせて誘導する2本の車輪誘導溝3が形成されている。また、一方の車両誘導壁5の一端部に電源供給部6が設けられている。電源供給部6は、図32〜図34に示す例では、車輪誘導壁5から垂直に立設されており、コンセント部7とケース部8を有する。電源供給部6は、例えば200Vの電源を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−144565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
機械式駐車場1では、パレット2に車両10を載置したまま内部を移動させるため、車両1台を格納するための有効空間が規定される。この有効空間は、収納できる最大車両のサイズをW×L×Hとしたとき、例えば(W+150)×(L+200)×(H+50)といったサイズである。
【0007】
ハイブリッド車や電気自動車に充電する際、充電ケーブルの一端に設けられたプラグをパレット2に設けられたコンセント部7に接続し、充電ケーブルの他端に設けられた充電ガン(充電端子)を車両10の側面又は前面等に接続する。そのため、車両10の駐車位置やケーブルの設置状況によっては、車両10に接続された充電ガンや充電ケーブルが上記有効空間から飛び出す可能性がある。
【0008】
図35〜図38には、充電ガン及び充電ケーブルが有効空間から飛び出す可能性のある例を示す。図35〜図37の符号Sは、有効空間の境界線を示す。図35では、充電ガン12及び充電ケーブル13の両者が有効空間から飛び出している。図36では、車両に接続された充電ガン12は有効空間に収まっているが、充電ケーブル13の充電ガン12側が有効空間から飛び出している。また、図37では、充電ケーブル13のパレット2側が有効空間から飛び出している。更に、図38では、充電ガン12及び充電ケーブル13がパレット2内に収まっているものの、パレット2の回転や上下前後動作によって、充電ケーブル13が滑り出し、車輪誘導溝3の端部3Aから飛び出すおそれがある。これらの場合、パレット2が回転や移動を開始すると、充電ガン12や充電ケーブル13が他部材に引っ掛かり、車両10や機械式駐車場1内を破損させるおそれがある。
【0009】
パレット2は、迅速な入庫や出庫を可能にするため機械式駐車場1内で高速に移動する。そのため、充電ガン12や充電ケーブル13は、できるだけシンプルな構成でかつ確実に有効空間に収められることが求められる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、充電池が搭載された車両を充電することが可能なパレットにおいて、パレットの動作に関わらず安全に車両の充電池に対して充電させることが可能な機械式駐車場用パレット及び機械式駐車場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の機械式駐車場用パレット及び機械式駐車場は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る機械式駐車場用パレットは、充電池が搭載された車両が載置される機械式駐車場用パレットであって、充電池を充電するため車両に充電端子を接続するときの駐車禁止領域又は駐車可能領域を表面に表示している。
【0012】
この発明によれば、充電端子が接続される車両を駐車してはならない位置又はパレット上で駐車できる位置が分かるため、その表示に従って、車両を駐車することによって、機械式駐車場にて安全に車両を駐車できる。
【0013】
上記発明において、駐車禁止位置又は駐車可能位置は、車両を格納できる格納空間内に、充電端子が接続された状態の車両と、充電端子と、充電端子に接続されたケーブルとが収まるように、充電端子とケーブルに基づいて決定されてもよい。
【0014】
この発明によれば、駐車禁止位置又は駐車可能位置に従って車両を駐車することによって、充電端子が接続された状態の車両が、充電端子とケーブルとともに格納空間内に収まる。
【0015】
上記発明において、充電池を充電するため車両に充電端子を接続するとき、充電端子に接続されたケーブルをパレットに対して固定させる固定手段を更に備えてもよい。
【0016】
また、本発明に係る機械式駐車場用パレットは、充電池が搭載された車両が載置される機械式駐車場用パレットであって、充電池を充電するため車両に充電端子を接続するとき、充電端子に接続されたケーブルをパレットに対して固定させる固定手段を備える。
【0017】
この発明によれば、固定手段によってケーブルがパレットに固定されるため、ケーブルが自在に動くことを防止できる。その結果、機械式駐車場にて安全に車両を駐車できる。
【0018】
上記発明において、固定手段は、パレットの一端部に設けられケーブルと接続されるコンセント近傍、又はコンセントとは反対側のパレットの他端部に設けられてもよい。
【0019】
この発明によれば、ケーブルをコンセント近傍のパレットの一端部又はコンセントとは反対側のパレットの他端部にて確実に固定できる。
【0020】
上記発明において、固定手段は、パレットに対して脱着可能であり、パレットの車輪誘導溝に取り付けられてもよい。
【0021】
この発明によれば、パレットの車輪誘導溝に載置されたケーブルが、パレットの動作に伴って滑り出したとしても、固定手段によってパレットから飛び出すことを防止できる。
【0022】
また、本発明に係る機械式駐車場は、充電池が搭載された車両が載置され、充電池を充電するため車両に充電端子を接続するときの駐車禁止領域又は駐車可能領域を表面に表示した機械式駐車場用パレットを備え、パレットを収容し移動させる。
【0023】
また、本発明に係る機械式駐車場は、充電池が搭載された車両が載置され、充電池を充電するため車両に充電端子を接続するとき、充電端子に接続されたケーブルをパレットに対して固定させる固定手段を有する機械式駐車場用パレットを備え、パレットを収容し移動させる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、充電池が搭載された車両を充電することが可能なパレットにおいて、パレットの動作に関わらず安全に車両の充電池に対して充電させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係るパレットを示す斜視図である。
【図2】同実施形態に係るパレットを示す平面図である。
【図3】同実施形態に係るパレットを示す端面図である。
【図4】同実施形態に係るパレットの変形例を示す平面図である。
【図5】同実施形態に係るパレットの変形例を示す平面図である。
【図6】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す概略図である。
【図7】本発明の第2実施形態の第1実施例に係る固定部材を示す斜視図である。
【図8】同実施例に係る固定部材を示す分解斜視図である。
【図9】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す概略図である。
【図10】同実施例に係る固定部材と充電ケーブルを示す側面図である。
【図11】本発明の第2実施形態の第2実施例に係る固定部材を示す斜視図である。
【図12】同実施例に係る固定部材を示す分解斜視図である。
【図13】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す概略図である。
【図14】同実施例に係る固定部材と充電ケーブルを示す横断面図である。
【図15】同実施例に係る固定部材の変形例を示す斜視図である。
【図16】本発明の第2実施形態の第3実施例に係るパレット及び固定部材を示す斜視図である。
【図17】同実施例に係る固定部材を示す分解斜視図である。
【図18】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す概略図である。
【図19】同実施例に係る固定部材と充電ケーブルを示す縦断面図である。
【図20】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す斜視図である。
【図21】本発明の第2実施形態の第4実施例に係るパレット及び固定部材の変形例を示す斜視図である。
【図22】同実施例に係る固定部材の変形例を示す分解斜視図である。
【図23】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す概略図である。
【図24】同実施例に係る固定部材と充電ケーブルを示す縦断面図である。
【図25】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す斜視図である。
【図26】本発明の第2実施形態の第5実施例に係るパレット及び固定部材を示す斜視図である。
【図27】同実施例に係るブロック部材を示す斜視図である。
【図28】同実施例に係るパレット及び固定部材を示す斜視図である。
【図29】同実施例に係る固定部材を示す斜視図である。
【図30】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す斜視図である。
【図31】機械式駐車場を示す側面図及び一部断面図である。
【図32】従来のパレットを示す斜視図である。
【図33】パレットに設けられる電源供給部を示す正面図であり、図32のA−A線矢視図である。
【図34】パレットに設けられる電源供給部を示す側面図であり、図32のB−B線矢視図である。
【図35】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す概略図である。
【図36】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す概略図である。
【図37】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す概略図である。
【図38】パレット及びパレットに載置された車両と、充電ガン及び充電ケーブルの関係を示す上面図である。
【図39】機械式駐車場の入口部分を示す斜視図である。
【図40】機械式駐車場の入口部分を示す斜視図である。
【図41】機械式駐車場の乗入れ階を示す斜視図である。
【図42】本発明の第1実施形態に係る制御装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図6を用いて説明する。
パレット2は、機械式駐車場1にて回転、前後上下の移動を行い、車両10を所定位置へ格納させる。
【0027】
パレット2は、鋼板を折曲し形成されており、その幅方向中央部に形成されたセンターガイド凸部4と、両側の側縁部に立設された左右一対の車輪誘導壁5との間に、車両10の車輪をパレット2の長手方向に沿わせて誘導する2本の車輪誘導溝3が形成されている。そして、一方の車両誘導壁5Bの一端部に電源供給部6が設けられている。なお、他方の車両誘導壁5Aにも、電源供給部6が設けられてもよい。
【0028】
電源供給部6は、図33及び図34に示すように、車輪誘導壁5から垂直に立設されており、コンセント部7とケース部8を有する。電源供給部6は、例えば200Vの電源を供給する。
【0029】
そして、駐車禁止領域9A,9Bがパレット2の車輪誘導溝3内に表示されている。駐車禁止領域9A,9Bは、例えば塗装で表示される。パレット2上に車両10を載置したとき、車両誘導壁5A側に充電ガン12との接続口が車両10にある場合は、運転者は車両10が駐車禁止領域9Aに載らないように車両10を載置する。一方、パレット2上に車両10を載置したとき、車両誘導壁5B側に充電ガン12との接続口が車両10にある場合は、運転者は車両10が駐車禁止領域9Bに載らないように車両10を載置する。これにより、図6に示すように、車両10がパレット2上の一側端側に寄せて載置されるため、充電ガン12や充電ケーブル13が有効空間内に確実に収められる。図6の符号Sは、有効空間の境界線を示す。
【0030】
その結果、パレット2が回転、移動しても、車両10に接続された充電ガン12及び充電ケーブル13が有効空間から飛び出すことを防止できる。そして、引っ掛かりや接触によって、充電ガン12や充電ケーブル13が機械式駐車場1内の他部材や他機器又は車両10を傷付けたり破損させたりすることを防止できる。
【0031】
ここで、有効空間は、収納できる最大車両のサイズをW×L×Hとしたとき、例えば(W+150)×(L+200)×(H+50)といったサイズである。有効空間が規定されることによって、パレット2を機械式駐車場1内で安全に回転させたり移動させたりすることができる。
【0032】
駐車禁止位置9A,9Bの領域は、車両10を確実に格納できる有効空間内に、充電ガン12が接続された状態の車両10と、充電ガン12と、充電ケーブル13とが収まるように、充電ガン12と充電ケーブル13のサイズ、位置及び形状などに基づいて決定される。例えば、収納する車両10に接続される充電ガン12の長さや充電ケーブル13の曲がりなどが考慮されて、パレット2の側端部からパレット2の内側方向への駐車禁止位置9A,9Bの幅が決定される。
【0033】
なお、駐車禁止領域9A,9Bは、LEDで点灯されるようにしてもよい。これにより、充電池を搭載していない車両10が搭載される場合は、LEDを点滅させないことで、運転者を混同させることを防止できる。また、車種に応じて、車両10の接続口の位置に合わせて、駐車禁止領域9A又は駐車禁止領域9Bのいずれかを点灯させる。これによって、パレット2上に駐車禁止領域9A,9Bが塗装されている場合に比べて、運転者が混同して反対側に車両10を寄せて止めてしまうことを防止できる。パレット2に載置される車種の区別は、例えば入庫の際にカメラで撮影された結果に基づいて判断されたり、図39及び図40に示すように、入出庫口14近傍に設置された操作盤18における入力で判断されたりする。図39にて符号16は入出庫扉を表し、図39及び図40にて符号17は入庫管制灯を表す。そして、操作盤18には、モニタ25、ICカードリーダ26、スピーカー27及び非常停止ボタン28などが設けられている。
【0034】
また、駐車禁止領域9A,9Bは、図1及び図2に示すように同色、同一模様でもよいし、図4に示すように、異なる色や異なる模様によって、駐車禁止領域9Aと駐車禁止領域9Bとが区別できるようにしてもよい。そして、入庫時に、車種に応じて、駐車禁止領域9A,9Bのいずれの領域に寄せたらよいかを、図41に示すような表示盤37に表示することによって、運転者を混同させることを防止できる。例えば、駐車禁止領域9Aが赤色で、駐車禁止領域9Bが青色で塗り分けられている場合であって、駐車禁止領域9Bに車両10を載置させないようにするときは、表示盤37に「青色に載らないように駐車すること」又は「赤色上に駐車すること」という表示をすることによって、正しく駐車できるように誘導できる。ここでは、一方の駐車禁止領域9B(青色)が駐車禁止を喚起していると同時に、他方の駐車禁止領域9A(赤色)が駐車可能領域となる場合について説明した。なお、図41にて、符号35はカメラを表し、符号36は鏡を表し、符号38は注意銘板を表す。
【0035】
また、表示盤37の表示は、例えば図42に表す制御ブロックを用いて、表示内容を変更する。すなわち、カメラ35で撮影された結果や、操作盤18におけるユーザID・パスワードなどの入力が主制御部45に送られ、主制御部45は、ユーザデータベース46と照合することによって、入庫される車両10の車種、充電の要否、充電ガン12の接続口位置などを判断する。そして、主制御部45は、判断結果に基づいて、表示盤37に上述のように「青色に載らないように駐車すること」といった表示をする。なお、表示盤37の表示内容は、「右へ寄せること」又は「左へ寄せること」といった表示内容でも上記と同様に充電ガン12や充電ケーブル13が有効空間から飛び出さないように注意喚起することができる。
【0036】
さらに、図1〜図4では、パレット2に駐車禁止領域9A,9Bを表示する場合について説明したが、図5に示すように、パレット2に駐車可能領域15を表示してもよい。パレット2の車両誘導壁5A側を空けたい場合は、車両10の車両誘導壁5A側の側面が駐車可能領域15に収まるように車両10を駐車させる。反対にパレット2の車両誘導壁5B側を空けたい場合は、車両10の車両誘導壁5B側の側面が駐車可能領域15に収まるように車両10を駐車させる。
【0037】
なお、車両10の駐車位置について、運転者は、図41に示すように、入庫時に車両10の前方に設置された鏡36を見ることによって、車両10と駐車禁止領域9A,9B又は駐車可能領域15との関係を確認することができ、車両10を表示に合わせて駐車させることができる。または、カメラ35の撮影結果から、モニタ上で車両10の位置を確認できるようにしてもよいし、カメラ35の撮影結果に基づいて、主制御部45が車両10の位置と駐車禁止領域9A,9B又は駐車可能領域15との関係を確認しパレット2上に適正に車両10が載置されるかを判断して、載置の適否を表示盤37に表示するようにしてもよい。また、カメラ35によって、車両10の位置と駐車禁止領域9A,9B又は駐車可能領域15との関係を撮影し記録しておいてもよい。これにより、パレット2の駐車時に適正な使用がされていたか否かを機械式駐車場1の管理者等が後から確認できる。
【0038】
さらに、図1〜図4では、パレット2に駐車禁止領域9A,9Bの両者をパレット2上に表示するとしたが、片方のみをパレット2上に表示してもよい。そして、車種情報と連携して、駐車禁止領域の位置が、駐車しようとする車両10の充電ガン12との接続側と合うように入庫前にパレット2を回転させる。これにより、運転者は一つのみ表示されている駐車禁止領域に対応して駐車するだけで、車両10を適正に載置できる。
【0039】
なお、駐車禁止領域9A,9Bは、充電ケーブル13を設置できる領域を表すこともできる。例えば図2に示すように、車輪誘導溝3の端部3Aまで駐車禁止領域9A,9Bが塗られていないことによって、充電ケーブル13を車輪誘導溝3の端部3Aに載置しないように注意喚起することができる。その結果、充電ケーブル13が中央側に寄せて載置されるため、パレット2の回転や移動によって、充電ケーブル13が滑り出してパレット2から飛び出すことを防止できる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図6〜図30を用いて説明する。
第2実施形態では、パレット2に対して充電ケーブル13を固定する固定部材(固定手段)が、パレット2に設けられる。
【0041】
図7〜図10に示す固定部材は、電源供給部6のケース部8に取り付けられる。固定部材は、挿通穴32が形成されケース部8の板部分を挟むクリップ31と、マジックテープ(登録商標)(ベルクロ(登録商標)テープ)が設けられ挿通穴32に通される帯部材33からなる。帯部材33は、車両10の長さ方向に対して平行に設置される。これにより、帯部材33が有効空間から飛び出すことを防止できる。マジックテープは、フックとループを備えた支持体からなる面ファスナーである。
【0042】
帯部材33が充電ケーブル13を固定することによって、電源供給部6から車両10に接続された充電ガン12までの充電ケーブル13の立ち上がり部分について、有効空間から充電ケーブル13が飛び出すことを防止できる。
【0043】
固定部材はクリップ31を備えるため、ケース部8への取り付け、取り外しが容易であり、クリップ31や帯部材33の交換などが簡単になる。また、帯部材33には、マジックテープではなく他の手段、例えばマグネット、フック、スナップボタン等が設けられて、充電ケーブル13を固定するようにしてもよい。上記のとおり、本実施形態の固定部材は比較的安価な部材から構成されるが、確実に充電ケーブル13の飛び出しを防止できる。
【0044】
図7〜図10に示す固定部材は、電源供給部6のケース部8の上面に取り付けられたが、図11〜図14に示すように、ケース部8の側面に取り付けられてもよい。
固定部材は、挿通穴42が形成されケース部8の板部分を挟むクリップ41と、マジックテープが設けられ挿通穴42に通される帯部材33からなる。帯部材33は、車両10の長さ方向に対して垂直に設置される。これにより、帯部材33が有効空間から飛び出すおそれがあるが、図11及び図14に示すように、パレット2の内側に位置する帯部材33の端部33b側が端部33a側よりも長くなるように設置することで、パレット2からの飛び出しを防止しつつ充電ケーブル13を固定できる長さを確保できる。
【0045】
また、図11〜図14では、帯部材33がケース部8の外側に位置するようなクリップ41の形状を有しているが、図15に示すクリップ43のように帯部材33がケース部8の内側に位置するように固定部材が形成されてもよい。
【0046】
図16〜図20に示す固定部材は、車両誘導壁5に取り付けられる。固定部材は、挿通穴62が形成され車両誘導壁5を挟むカバー部61と、マジックテープ(ベルクロテープ)が設けられ挿通穴62に通される帯部材33と、カバー部61に形成されたねじ穴63に固定されるねじ64からなる。帯部材33は、車両10の長さ方向に対して垂直に設置される。車両誘導壁5の側面かつ上下面を挟むようにカバー部61を車両誘導壁5上に載せて、上方からねじ64を締結することによって、カバー部61は車両誘導壁5に対して固定される。このように、固定部材の構成はシンプルであり、取り外しや取り付けも容易である。固定部材は、図20に示すように車両誘導壁5の2箇所に設置される。なお、固定部材は、2箇所に限定されるものではなく、適宜数量を増やしても構わない。
【0047】
充電ケーブル13は通常5〜10m程の長さを有する。例えば電源供給部6から車両10の充電ガン12の接続口までの距離に比べて充電ケーブル13が長い場合は、パレット2上で充電ケーブル13を引き回す必要がある。図18及び図20に示すように、帯部材33が充電ケーブル13を固定することによって、電源供給部6からパレット2上に載置された充電ケーブル13について、有効空間から充電ケーブル13が飛び出すことを防止できる。
【0048】
図16〜図20に示す固定部材の帯部材33は、車両誘導壁5の上面に取り付けられたが、図21〜図25に示すように、車両誘導壁5の側面に取り付けられてもよい。
固定部材は、挿通穴72が形成され車両誘導壁5を挟むカバー部71と、マジックテープ(ベルクロテープ)が設けられ挿通穴72に通される帯部材33と、カバー部71に形成されたねじ穴73に固定されるねじ74からなる。帯部材33は、車両10の長さ方向に対して平行に設置される。車両誘導壁5の側面かつ上下面を挟むようにカバー部71を車両誘導壁5上に載せて、上方からねじ74を締結することによって、カバー部71は車両誘導壁5に対して固定される。固定部材は、図25に示すように車両誘導壁5の2箇所に設置される。なお、固定部材は、2箇所に限定されるものではなく、適宜数量を増やしても構わない。
また、図6〜図25の固定部材は、挟み込み式や押さえネジ式で固定しているが、マグネット、テープ、接着材等で貼り付けてもよい。
【0049】
図26〜図30に示す固定部材は、充電ケーブル13の飛び出し防止に使用されるとき、パレット2の車輪誘導溝3に取り付けられ、不使用時、車両誘導壁5上の収納ケース82内に収容される。固定部材は、鋼板製のパレット2に磁力で固定するための磁石(図示せず。)を備えるブロック部材81と、磁石のON/OFFを切り替えるレバー83からなる。なお、ブロック部材81には、図27に示すように、マジックテープ(ベルクロテープ)を有する帯部材33が設けられてもよい。
【0050】
図26及び図30に示すように、ブロック部材81が磁石によってパレット2の車輪誘導溝3に取り付けられることによって、パレット2の車輪誘導溝3に載置された充電ケーブル12が、パレット2の回転や移動などの動作に伴って滑り出したとしても、ブロック部材81によってパレット2の車輪誘導溝3の端部3Aから飛び出すことを防止できる。また、図27に示す帯部材33によって充電ケーブル13を固定しておけば、図30に示すように、更に確実に充電ケーブル12の飛び出しを防止できる。
【0051】
そして、車両10への充電が不要である場合や、車両10をパレット2上で移動させるときなどブロック部材81を使用しない場合は、図28及び図29に示すように、ブロック部材81を収納ケース82内に収容する。このとき、磁石によって更にブロック部材81内で固定しておくことが望ましい。収納ケース82は、四方でブロック部材81を囲む側壁からなり、パレット2が回転や移動したとしても、ブロック部材81が脱落することを防止できる。
【0052】
なお、機械式駐車場において、第2実施形態の固定部材と、第1実施形態におけるパレット2上の表示は、組み合わされて使用されてもよい。
【0053】
以上、本発明の第1実施形態によれば、充電ガン12が接続される車両10を駐車してはならない位置又はパレット2上で駐車できる位置が分かるため、その表示に従って、運転者が車両10を駐車することによって、機械式駐車場1にて安全に車両10を駐車できる。また、本発明の第2実施形態によれば、固定部材によって充電ケーブル13がパレット2に固定されるため、充電ケーブル13が自在に動くことを防止できる。その結果、機械式駐車場1にて充電池が搭載された車両10を充電することが可能なパレット2を使用する際、パレット2の回転や移動などの動作に関わらず安全に車両10の充電池に対して充電させることが可能になる。
【符号の説明】
【0054】
1 機械式駐車場
2 パレット
3 車輪誘導溝
4 センターガイド凸部
5 車輪誘導壁
6 電源供給部
12 充電ガン(充電端子)
13 充電ケーブル(ケーブル)
31,41,43 クリップ
33 帯部材
61,71 カバー部
64,74 ねじ
81 ブロック部材
82 収納ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電池が搭載された車両が載置される機械式駐車場用パレットであって、
前記充電池を充電するため前記車両に充電端子を接続するときの駐車禁止領域又は駐車可能領域を表面に表示した機械式駐車場用パレット。
【請求項2】
前記駐車禁止位置又は前記駐車可能位置は、前記車両を格納できる格納空間内に、前記充電端子が接続された状態の車両と、前記充電端子と、前記充電端子に接続されたケーブルとが収まるように、前記充電端子と前記ケーブルに基づいて決定される請求項1に記載の機械式駐車場用パレット。
【請求項3】
前記充電池を充電するため前記車両に充電端子を接続するとき、前記充電端子に接続されたケーブルを前記パレットに対して固定させる固定手段を更に備える請求項1又は2に記載の機械式駐車場用パレット。
【請求項4】
充電池が搭載された車両が載置される機械式駐車場用パレットであって、
前記充電池を充電するため前記車両に充電端子を接続するとき、前記充電端子に接続されたケーブルを前記パレットに対して固定させる固定手段を備える機械式駐車場用パレット。
【請求項5】
前記固定手段は、前記パレットの一端部に設けられ前記ケーブルと接続されるコンセント近傍、又は前記コンセントとは反対側の前記パレットの他端部に設けられる請求項4に記載の機械式駐車場用パレット。
【請求項6】
前記固定手段は、前記パレットに対して脱着可能であり、前記パレットの車輪誘導溝に取り付けられる請求項4又は5に記載の機械式駐車場用パレット。
【請求項7】
充電池が搭載された車両が載置され、前記充電池を充電するため前記車両に充電端子を接続するときの駐車禁止領域又は駐車可能領域を表面に表示した機械式駐車場用パレットを備え、
前記パレットを収容し移動させる機械式駐車場。
【請求項8】
充電池が搭載された車両が載置され、充電池を充電するため前記車両に充電端子を接続するとき、前記充電端子に接続されたケーブルを前記パレットに対して固定させる固定手段を有する機械式駐車場用パレットを備え、
前記パレットを収容し移動させる機械式駐車場。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−83107(P2013−83107A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224209(P2011−224209)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(305058313)三菱重工パーキング株式会社 (32)