説明

機械換気を調節する装置

本発明は、独力で呼吸し、かつ設定換気によって達成されるよりも低いCO2分圧を望む患者が疲労することを防ぐための装置に関係する。それは、機械換気の強度変化を調節する次の手段を備える:標的頻度RRspを判定する手段、自発的頻度RRspontを判定する手段、自発的頻度RRspontを標的頻度RRspと比較する手段であって、自発的頻度RRspontの、標的頻度RRspとの比較の結果によって換気標的値(%MinVol、V'gAsp)を適応させる手段、換気標的値(%MinVol、V'gAsp)によって換気の強度を決定するパラメータを適応させる手段。このいわゆるポンプ支援システム(PSS)は、患者が適切に自発的に呼吸する(基準1)時、起動される(PSSオン)。患者の不十分な個別の活動があると、その行動は、調節制御の基準とみなされる。換気の制御又は調節は、患者が十分に自発的ではなく呼吸し次第、換気標的値(%MinVol)又はCO2コントローラの固定設定によって担われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械換気を調節する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝によって患者の体内で生成されるCO2は、血液によって肺に輸送され、かつそこで吐き出される。身体のCO2生成が高いほど、動脈血CO2分圧を一定に保つために、肺胞換気は、高くなければならない。肺胞換気の増加は、非活動的な肺の負担の漸増によって、又は分時拍出量の増加によって、機械換気によって達成される。
【0003】
分時拍出量(MV)は、1分間に吸い込まれかつ再度吐き出される空気容量として示される。分時拍出量は、呼吸頻度及び呼吸量から計算できる。呼吸量は、呼吸毎に吸い込まれる空気量である。
【0004】
測定された分時拍出量は、したがって、各人、及びその状況、すなわちその運動、その体格、その健康状態、その体積及びその身体の大きさに依存する。身体運動による分時拍出量は、3〜4倍に増加することがある。更に、MVを増加させ得る、発熱、肺塞栓症、代謝性アシドーシス及び呼吸中枢障害のような不健康な状態がある。過換気は、当然に分時拍出量増加を引き起こす。
【0005】
睡眠中の分時拍出量は、日間静止値未満に低下する。鎮静剤を服用する時、MVの減少が高用量によって起こる。酸素消費は、増加した動脈血CO2分圧に慢性的に適応した人々に関してMV減少に繋がることがある。
【0006】
人による分時拍出量は、この人に関する詳細から算出できる。このように算出された分時拍出量は、100%分時拍出量として示される。この人の分時拍出量の偏差は、その場合この100%MinVolに関係する。各人に対応する分時拍出量に関係する、この分時拍出量率(%MinVol)は、従って可変である。これらの値は、分時拍出量又は肺胞換気の正常値とは対照的に、その人が大いに又は弱く換気しているかに関して、その人に関する相対的情報を提供する。
【0007】
とりわけ、必要全換気の計算によって、換気時に、有効な肺胞換気を別として、肺胞死腔(血液が循環しない肺胞)及び連続死腔(管及び上気道)の換気が行われ、前記換気は、有効でないことを考慮に入れられる。分時拍出量(MV)は、全肺胞換気(「総肺胞換気」'V'gA)及び連続死腔換気からなる。V'gAは、有効肺胞換気(V'A)及び肺胞死腔換気(V'dA)からなる。連続死腔換気は、換気速度かける連続死腔(V'dS)の積である。
【0008】
利点及びリスクは、患者の肺の機械換気によって判断されるべきである。換気は、血液中のCO2含有量を減少させるために増加されねばならない。頻度や気圧力(容量)は、換気容量を増加させるために増加できる。しかしながらこれらのパラメータの各増加は、リスクを引き起こす。
【0009】
可変呼吸装置を有する自発的換気装置は、特許文献1から知られている。この装置は、呼吸頻度を一定に保つことによって、患者の不必要な疲労を防ぐ目的を有する。この装置は、吸入導管内の圧力センサによって換気制御信号を生成する。供給される制御信号は、事前定義された基準呼吸頻度に対する呼吸頻度の判定された変化を示すものである。この制御信号によって陽圧レベルが適応させられ、その結果呼吸頻度は、事前定義された基準呼吸頻度の値で本質的に一定の状態に留まる。
【0010】
呼吸頻度が、事前定義された範囲を超える値を取るならば、呼吸頻度が予め選択された頻度範囲に戻るまで、患者を呼吸作業増加から解放するために呼吸支援が増加される。呼吸頻度が、この範囲未満に位置するならば、それが事前定義された頻度範囲内に位置するほどに患者が呼吸頻度を増加させるまで、呼吸支援は減少させられる。
【0011】
この装置の不利点は、速度が固定して設定されることである。医師が、速度を過度に低く設定するならば、その場合高圧によって換気する。しかしながら速度が過度に高く設定されるならば、患者は、過度に僅かな支援しか得られず、支援にもかかわらず疲労する。
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0347282号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、換気される患者が、できるだけ最適に換気されるように、換気装置を制御できる装置及び方法を提供することが、本発明の目的である。目的は、特に独力で呼吸し、かつ規定の換気装置によって達成されるよりも低いCO2分圧を望む患者が疲労することを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、目的は、請求項1に記載の装置によって達成される。
【0015】
機械換気の強度を調節するかかる装置は、
・ 標的頻度RRspを判定する手段と、
・ 自発的頻度RRspontを判定する手段と、
・ 自発的頻度RRspontを標的頻度RRspと比較する手段とを含む。
【0016】
本発明によるこの装置は、
・ 自発的頻度RRspontの、標的頻度RRspとの比較の結果によって換気標的値を適応させる手段と、
・ 換気標的値によって換気の強度を決定するパラメータを適応させる手段とを特徴とする。
【0017】
本発明による装置は、好ましくは適応した換気標的値(%MinVol、V'gsp)によって標的速度RRspを設定する手段を特徴とする。非常に好適には、装置は、適応した換気標的値(%MinVol、V'gsp)によって換気圧力又は呼吸量を設定する手段も含む。
【0018】
これらの手段が存在するならば、その場合、強度を判定するパラメータを整合させることに適したコントローラを有することが装置にとって好ましい。かかるパラメータは、特に、一方で換気圧力又は呼吸量であり、他方で換気頻度(RRsp、RRIMV)である。かかる整合は、圧力と速度の最適化に影響を与える、患者パラメータによって行われる。
【0019】
更に装置は、上記手段によって判定される換気の強度に従って換気装置を調節又は起動する手段を有効に含むので患者は、それに従って機械的に換気されることもできる。
【0020】
それにより、事前定義された標的値RRspからの自発的頻度RRspontの有効に異なる偏差は、治療の目標や換気標的値(又は現在設定された%MinVol)に応じて、許容される。
【0021】
この許容された偏差は、治療の目標に特に好適に依存する。それは、治療の目標に応じて、又は換気の強度若しくは換気標的値に応じて、時間単位当たりの呼吸の定数として定義されても良い。
【0022】
正常な停止が治療の目標として定義され、かつ許容範囲が毎分呼吸数として定義されている場合、有効には最大3〜最大8の間、特に好ましくは4.5〜5.5の間の毎分呼吸が許容されるべきである。しかしながら強制停止に関して、これらの値は、最大7〜最大15の間、特に好ましくは9〜11の間の毎分呼吸値に増加する。
【0023】
許容範囲が、供給される%MinVolに応じて定義されるならば、その場合除数によって除される現在の%MinVol設定として定義できる許容範囲は、有効であると考えることができる。除数の数値は、好ましくは12から33、特に好ましくは18から22の範囲に位置する。%MinVolに依存する許容範囲は、患者に少なく要求する戦略よりも、強制停止に関して大きい。
【0024】
この装置は、換気が、このために必要な動脈血CO2分圧の測定なしに患者の要求に自動的に適応できるという利点を有する。患者の身体は自覚的CO2センサとして使用される。
【0025】
かかる装置は、それ故に、換気装置がCO2測定に適合するか否かとは無関係に、これが患者の疲労を防ぐ範囲において換気装置を補完できる。
【0026】
しかしながら、換気装置は、動脈血CO2分圧を示す測定に適合した換気の調節又は制御を有することができる。
【0027】
かかる換気装置は、継続的に適応した調節によって患者の動脈血CO2分圧を標的範囲内に保つ目標にそった患者の肺の機械換気に当然に役立つ。この換気装置は、患者の機械換気のための手段と、場合により装置の完全な機能に必要とされるセンサも有効に含む。しかしながらそれは、
− 患者の血液中のCO2分圧に対する示度用のセンサの信号、並びに換気パラメータ及び換気装置の他の設定値に対する信号のための入力と、
− 換気パラメータが、それにより換気装置内で設定される出力信号用の出力とを有する、少なくとも1つの電子データ処理ユニットを含む。
【0028】
このデータ処理装置は呼び出すことができるデータを有するメモリを更に必要とする。
【0029】
本発明の1つの好適な実施態様において、かかるデータは、
− メモリ内に記憶される特性線対であって、最大の動脈血CO2分圧PaCO2を定義する第1特性線、及びこれから距離を置いて、最小PaCO2を定義する第2特性線を含み、それにより3つの領域、具体的には第1領域「高すぎ」、特性線間の第2領域「正常」、及び第3領域「低すぎ」が換気の強度に応じて定義される、特性線対と、
− メモリ内に記憶される、変化する換気パラメータに対する現在値、並びにそれらに先行する値とを含む。
【0030】
特性線対の代わりに単一の特性線が記憶されてもよく、この特性線からの動脈血CO2分圧PaCO2の現在の示度の偏差に応じて定義される換気標的値を補正するための補正係数が提供されてもよい。示度と、特性線との間の距離が大きいほど、換気標的値の補正も大きい。補正係数は、偏差の方向に応じて、並びに換気の現在の強度又は現在の換気標的値に応じて、更に固定できる。両方の特性線に匹敵する効果が、これによって達成でき、その場合、現在の示度を特性線内に表示された最適化された値にするために、換気標的値を実際に継続的に変化させること、単にこれらの示度が2つの特性線間の領域に位置することになるまで、変化させるだけではないという事実がこれに加えられる。
【0031】
この装置に関する1つの入力可能性は、好適には治療標的であり、具体的には、
− 正常な停止又は
− 強制停止である。
【0032】
この場合も、異なる特性線対又は特性線及び補正係数が、これらの治療目標設定に与えられる。2つの特性線若しくは1つの特性線の進路又は補正係数は、次に治療目標に従って最適化される。
【0033】
好適には、患者の個別の活動を表示するトリガ信号が、出力信号の計算に関して考慮に入れられ、その結果患者の希望に従って換気する。更に、計算ユニットは、時間単位当たりに取得されたトリガ信号数から自発的速度RRspontを判定するようにプログラムされる。このことは、患者がどの程度活動的であるか確認することを可能にする。
【0034】
患者の肺の機械換気を調節する装置、又は肺を換気する装置を調節するための装置であって、以下の手段によりCO2示度に適合された装置が、患者にふさわしい、患者の適応した動脈血中CO2分圧を継続的に達成できる:
・ 事前定義されたCO2分圧を達成するために、換気を調節又は起動する手段。
この手段は、患者の換気を例えば従来の方法で実現する。
・ 標的頻度RRspを決定し、かつ標的頻度RRsp及び場合により自発的頻度RRspontに従って決定される、換気用の機械頻度RRIMVを決定する手段。
【0035】
機械頻度RRIMVは、必要であり、その結果換気装置は、患者自身が呼吸を始動させなかった時に介入する。自発的頻度及び標的頻度の評価は、これらを比較できるようにするために必要である。
・ 自発的頻度RRspontを標的頻度RRspと比較する手段及び
・ 標的頻度RRspからの自発的頻度RRspontの偏差によって換気標的値を適応させる手段
・ 及び換気標的値によって換気の強度を決定するパラメータを適応させる手段。
【0036】
適応した換気標的値によって換気の強度を決定する係数の適応は、過度に速く呼吸する患者を救うことに役立つ。
【0037】
一実施態様において、換気標的値を適応させる手段は、RRspontがある毎分呼吸数だけ計算された標的頻度RRspを超えているならば、全肺胞換気の標的値V'gAspに1よりも大きい係数を乗じるように設計される。有効には、標的容量V'gAspの増加と同時に、それらは、PaCO2のための入ってくる代表的示度PaCO2REPの標的値を低下させることもできる。もう1つの実施態様において、換気の強度は、換気標的値としての%MinVolを介して調節される。
【0038】
換気の強度である治療レベルは、例えばRRIMV*(PEEP+Pinsp)として定義できる。それにより、RRIMVは、換気の機械頻度であり、PEEPは、呼気中の残圧(大気に対する陽圧)であり、かつPinspは、吸気中の追加圧である。この強度は次に、例えばcmH2*bpm(bpm=毎分脈拍)として特定され、0から1500の間に位置する。しかしながら、換気の強度は、異なる方法で、例えばPIP(ピーク吸気圧)、PEEP+Pinsp、Pinsp*RRIMV等としても定義できる。有効には、換気の強度は、圧力係数と頻度係数の、又は容積係数と頻度係数の積によって定義される。
【0039】
要求に従って患者を換気するタスクは、患者の血液中で適応したCO2分圧を継続的に達成するために患者の肺の機械換気を調節する方法であって次の方法ステップを含む方法か、次の方法ステップを実施することを目的とする装置によって達成される:
・ CO2示度が存在する場合:場合により公知の方法によって、事前定義されたCO2分圧を達成するために換気を調節すること。これにより、ある換気の強度が生じる。
・ 標的頻度RRsp及び自発的頻度RRspont及び場合により換気のための機械頻度RRIMVを判定し、機械頻度は、標的頻度RRsp、及び場合により自発的頻度RRspontに依存する。
・ 標的頻度RRspとの自発的頻度RRspontの比較、及び
・ 標的頻度RRspからの自発的頻度RRspontの偏差によって換気標的値を適応させること
・ 換気標的値によって換気の強度を判定するパラメータを適応させること。
【0040】
この制御ループは、先行する換気調節又は制御からの結果よりも強度の換気を望む自己呼吸する患者の疲労を防ぐことに役立つ。
【0041】
有効に、全肺胞換気の標的値V'gAspは、RRspontがある毎分呼吸数よりも計算された標的頻度RRspを超えている場合に、換気の強度を適応させるために1よりも大きな係数で乗じられる。従って、%MinVolを超える換気の調節に関して、この%MinVolは、1よりも大きな係数で乗じられる。
【0042】
基本換気調節が、患者のPaCO2を代表する示度(PaCO2REP)に適合される場合、有効にはV'gAsp又は%MinVolの拡大と同時に、換気の強度の適応のために、PaCO2のための入ってくる代表的示度PaCO2REPの標的値は、減少する。このことは、CO2示度に向けられる基本調節が、呼吸速度によるこの補正に反して作用しないことを確実にする。正常なPaCO2REPの範囲は、それ故に、最小PaCO2REPの特性線を低下させることによって下端に延長されるか、又は単一の特性線若しくは両方の特性線を低下させることによって下端に移される。
【0043】
CO2コントローラが存在する装置に関して、これが活動し次第、それぞれの現在の代表的示度PaCO2REPは、換気の強度の調節に同様に組み込まれる。このことは、好適には、示度が一方又は両方の特性線と比較され、かつ代表的示度PaCO2REPが、傾向的に(tendentially)単一の特性線に接近するか、又は2つの特性線の間に達するように、換気の強度が変えられて行われる。かかる装置によって、標的速度との自発的速度の比較によって強度を適応させる手段は、CO2コントローラの代わりに、換気の強度の調節を部分的に担う。この手段は、遅くとも、CO2コントローラによる制御の採用によって、低下させた現在の代表的示度PaCO2REPが個別の特性線上、又は2つの特性線の間で中心に位置するほどに、個別の特性線又は両方の特性線が移されるという効果を更に有する。その後CO2コントローラは、換気の強度を再度調節する。
【0044】
換気標的値を判定又は適応させる第1及び第2の手段が存在することが望ましい。換気標的値を適応させるために、第1の手段から第2の手段に切り替える手段は、ある基準によって切り替わる。これらの基準は、患者が適切に自発的に呼吸するか否かを示す。
【0045】
自発的に呼吸する患者に関して、標的速度RRspとの自発的速度RRspontの比較による換気標的値の適応手段は、それが患者の個別の反応に反応するので、患者に従って換気標的値の適応を担うことが望ましい。このために、これによって、患者が個別に、かつCO2測定なしに最適に換気されるように換気を調節できる。しかしながら、患者がほとんど自発的に呼吸しないならば、換気標的値の事前定義された設定が、呼吸の基礎として使用されるか、CO2コントローラが、示度による換気標的値の適応を担う。
【0046】
自発的及び標的速度の比較によって換気標的値を適応させる手段は、好適には継続的に起動され、かつこれにより換気標的値を、呼吸における患者の要求に適応させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
多くの場合、本発明による換気の調節は、CO2示度を考慮に入れる装置によって実行される。かかる装置は、図1に概略的に表示され、かつ以下に記載される。この文脈で記載された本発明による教示内容は、患者が自発的に呼吸する時に、CO2測定なしでも済むという利点を実際に有する。しかしながら非自発的に呼吸する患者用の換気装置に関して、CO2コントローラの統合は、有効である。
【0048】
図1に示した略図は、電子回路19はさておき、換気装置11を含み、それにより患者13が換気される。電子回路は、CO2コントローラ21を含む。しかしながら本発明による装置は、CO2コントローラ21なしでもよく、自発的に呼吸する患者の反応を利用して患者に整合した換気に関する結論を出し、かつこれに近付けることができる。
【0049】
患者は、種々のセンサによってモニタされる。トリガ信号Tgは、患者が能動的に吸い込む場合に使用される。いずれの場合にも、これらのセンサは、患者によって始動された呼吸頻度RRspontの値(又はこれらの値を導くことができる示度と設定値)を提供する。これらのセンサは、CO2コントローラを備えた装置によって、動脈血CO2分圧を代表する値PaCO2REPを提供する。更にそれらは、呼吸ガスの流量、呼吸ガスの圧力及び呼吸ガス中のCO2濃度FCO2を提供できる。これら後者の2つの値のRRspontから、患者の呼気時定数、呼吸量Vの換気圧力Pに対する比V/P、並びに患者モデル15における患者の肺の連続死腔VdSを算出できる。
【0050】
回路19は、これらの信号と計算値により換気装置11によって行われる機械換気を調節する。
【0051】
回路19の基礎は、「ALVコントローラ」又は「ASVコントローラ」(AC)23である。「ALVコントローラ」は、全肺胞換気の標的値を処理する。「ASVコントローラ」は、%MinVolのような標的値を処理する。第2部材として、参照番号25によって示される、本発明による「ポンプ支援システム」(PSS)が存在する。PSSがそのタスクを担えなくなり次第、動脈血CO2分圧の代表的示度をから換気のための標的値を計算するCO2コントローラ21が、第3部材として存在できる。PSSは、患者が過度に低自発的呼吸状態である時にのみ、そのタスクを担わないことがある。
【0052】
CO2コントローラ(CC):
換気標的値評価がPSSによって実行できないことがあれば、安全設定、又はCO2コントローラ(CC)による調節が作動する。
【0053】
患者の動脈血CO2分圧のための代表的示度PaCO2REPによって、かつ現在の全肺胞換気から患者、特にその肺の状態、その疾患又は治療目標を定義する入力(肺パラメータ/患者パラメータ/治療目標27)によってCC21は、この患者が必要とする全肺胞換気を算出する。この全肺胞換気V'gAsp(総肺胞換気)の計算された値は、肺胞死腔の換気V'dAも含む。この全肺胞換気V'gAspの代わりに、CCから分時拍出量率%MinVolを計算することもできる。CCは、この換気標的値を、換気頻度及び換気圧力の計算の基礎として、出願人の出版物から公知の、ALVコントローラ又はASV制御に与える。この文脈において、全肺胞換気V'gAspのみを参照する以下の記載は、%MinVolも意味する。
【0054】
代表的示度は、気道ガスの呼吸終期CO2含有量が、赤外吸収によって測定されることにおいて評価される。この呼吸終期CO2分圧PetCO2は、肺胞死腔が小さい限り、動脈血CO2分圧PaCO2を比較的良好に表す。大きな肺胞死腔VdAに関して、この測定値は、補正係数によって乗じることができる。かかる補正係数は、例えば、血液ガス分析及び同時に測定されるCO2カプノグラムの助けによって評価できる(例えば、Brunner JX,Wolff G,Pulmonary Function Indices in Critical Care patients,Berlin,Springer publishing house 1988,pages 37〜39参照)。
【0055】
CCによる必要換気の計算は、動脈血CO2分圧の代表値、及び入力27(肺パラメータ/患者パラメータ/治療目標)に基づく。CCは、入力27(肺パラメータ/患者パラメータ/治療目標)に従って異なった方法で代表値PaCO2REPを評価する。評価は、PaCO2REPの3つの領域によって行われ、その結果、値は、「高すぎ」、「低すぎ」又は「正常」に等級分けできる。換気用の標的値V'gAspを変えることによって、動脈血CO2分圧を領域「正常」の方向に移すことが可能であるように試みることができる。
【0056】
何が「正常」と評価されるかに関しては、操作者によって入力された肺パラメータ/患者パラメータ及び治療目標に依存する。異なる評価基準が、この又はこれらの入力パラメータ27に応じて適用される。
【0057】
4つの評価基準が、図2から5に示される。これらの図は、機能の図形表示を示す。換気の強度は、これらの表示のx軸に示される。この強度(治療レベル)は、機械呼吸速度RRIMVかける呼吸終期呼気圧PEEP(呼気終末陽圧)及びPEEPを超える吸入圧力Pinspの和の積である。このスケールは、0から1500cmH2*bpmに渡る。動脈血CO2分圧を代表する値PaCO2REP(又は「PaCO2」)は、y軸に示される。この圧力は、基本的に65mmHgの値を超えて増加できない。この値は、さもなければ換気が過度に強く操作されるので、基本的に33mgHgの値を下回るべきでもない。ARDS、COPD又は脳傷害を有さない正常な患者において、少なくとも38は低い値として、かつ最高65は高い値として想定されるべきである。脳傷害に関して正常領域22は、さらに厳しく、かつ更に低く、33から400mmHgの間であると理解されるべきである。ARDS患者に関して、正常領域33は、40から65mmHgの間に位置する。COPD患者に関して、傾向的には、更に大きく45から65mmHgの間である。特定された値は、実験によって確認又は補正される必要がある、仮の前提にすぎない。
【0058】
各評価基準は、3つの領域、「高すぎ」35、「正常」33、「低すぎ」31を有する。これらの領域は、特性線37、39によって分離される。上部特性線39は、CO2分圧の上限を表し、下部特性線37は、CO2分圧の下限を表す。それ故に正常領域33は、これらの特性線の間に位置する。代表値PaCO2REP(又は「PaCO2」)がこの領域に入るならば、標的値V'gAspの変更が実行される。
【0059】
これらの特性線は、治療強度と患者のCO2分圧を最適化するために、x軸全体にわたって平行には走らない。特性線は、患者の生存に必要な換気の強度から(すなわち250から350cmH2*bpmの間の限界値から)増加する。これは、次のことを意味する:
【0060】
正常な患者(図2)に関して、300cmH2*bpmの換気の強度に関して、41.4から49の領域に位置するPaCO2REPの値は、大丈夫であるとみなされる。しかしながら強度が増加するほど、それが機械呼吸速度RRIMVの増加、PEEPの増加及び/又は吸気圧力Pinspの増加によるならば、正常領域33の上限及び下限が上げられる。それ故に正常領域は、1500cmH2*bpmの強度に関して少なくとも55(特性線37)、かつ多くとも65mmHg(特性線39)のレベルで終了する。特定の線形スケールを有する特性線は、直線であり、かつ0の強度に関して値38(特性線37)及び45mmHg(特性線39)で終了する。
【0061】
COPD患者の評価基準は、図3に図形表示される。ARDS患者の評価基準は、図4に図形表示される。両方の表示を有する特性線37、39は、300cmH2*bpmに最低値を有する。このことは、換気の強度のこの限界値未満では、PaCO2REPの値の領域が、正常と等級分けされるべきであり、強度の増加によって上げられることを意味する。特性線のこの進路は、強度の減少とこの限界値未満の強度の増加が、傾向的に、この限界値を超える強度を有する場合よりも、正常領域外側のPaCO2REP値を補正するために、大きな範囲を有さねばならないという効果を有する。このために、限界値の下よりも限界値の上で精密に補正する。
【0062】
更にARDS患者に関して、COPD患者よりも低いCO2分圧を目指して努力している。脳傷害に関して、正常領域33のような比較的低いCO2分圧を有する比較的狭い領域を画定する、平坦に走る特性線を取っている。
【0063】
拡張されたALV又はASVコントローラ(AC):
CC又はPSSにより事前定義された換気標的値によって、ACは、呼吸速度の標的値RRsp及び吸気圧力Pinspを計算する。それぞれの患者の連続死腔及び呼気時定数によってACは、オーティス(Otis)及びミード(Mead)の式で、事前定義された標的値V'gAsp又は%MinVolを達成するために必要な、呼吸頻度と一回換気量を計算する。このACは、公知のALVコントローラと異なっているので、ここで拡張されたと示され、それはミードの式を用いて計算もする。
【0064】
受動的な患者に関する実際の呼吸速度RRtotは、機械呼吸速度RRIMVに等しく、かつこれは、呼吸速度の標的値RRspに等しい。他方で能動的な患者は、自身で呼吸し、かつこれにより自身で呼吸装置による支援を起動する。患者により始動された呼吸によって、実際の呼吸速度RRtotは、機械呼吸速度RRIMVに対して増加する。この増加は、ACによって認識され、かつそれは、機械呼吸速度RRIMVを標的値RRspよりも低く設定し、その結果患者自身が、呼吸を始動できる。実際の呼吸速度RRtotが機械呼吸速度の上に高く位置するほど、この機械呼吸速度が最小速度に近付く。他方で、標的値RRspは、CCの設定によって常に新規に計算されるレベルに留まる。
【0065】
図1によるAC23は、患者の活動に応じて、一回換気量VTsp及び適切な頻度RRspを計算するために、オーティスによる式又はミードによる式を選択する。それに続く調節装置は、RRsp及びVTspによって達成するために、RRIMV及びPinspを調節する。吸気時間TIが、更に固定される。
【0066】
ポンプ支援システム(PSS):
PSSは、事前定義された設定によって達成されるよりも低い血液中のCO2含有量を望み、かつそれ故に呼吸頻度を能動的に上げる患者の疲労を防ぐことに役立つ。それは、自発的呼吸速度の能動的な変更によって、かつそれ故に患者の行動によって、CO2示度によらずに換気を調節する。
【0067】
第1の実施形態において、PSSは、次のように設計され、かつCCへの影響を有する:
【0068】
いずれの場合にも3分間隔で、RRspont引くRRspの差が点検される。それにより、5呼吸の許容範囲が生じる。自己始動によって引き起こされたのでない、>5の差が確認されるならば、換気標的値V'gAspが、1.02の係数でCCによって増加される。同時に、低い特性線37は、「現在PaCO2REP−5mmHg」に下げられ、その結果低いCO2分圧が正常と評価される。このために、結果としての標的値V'gAspは、PaCO2REPも補正されない下部特性線37を下回る時に、CCによって減少されない。RRspontがこれらの5呼吸/分内で10分間、再度RRspの上に位置し次第、特性線が、再度戻される。これにより、CCは、PaCO2REPが、この特性線移動により過度に低い値の領域31に入る程度まで、標的値V'gAspを適応させることができる。許容領域は、停止戦略により5から10呼吸/分へ、増加される。
【0069】
PSSによる換気標的値又は換気の強度の補正は、基本的に、動脈血CO2分圧の代表的示度が利用できるか否かと無関係に可能である。
【0070】
PSSは、それ故に次のようにも設計でき、かつCCが存在するならば、患者が適切に自発的に呼吸する時にCCがスイッチを入れられ、かつ患者が十分に自発的に呼吸しない時にスイッチを切られない限りこれに影響を及ぼさなくてもよい。
【0071】
自発的頻度は、ある数(例えば、5、8、15又は30)の連続する呼吸にわたって標的頻度と比較される。それにより、自発的頻度が、標的頻度から距離値だけ逸脱することが確認されるならば、この距離値に応じて、%MinVol設定が増加されるか、そのままにされるか、又は減少される。%MinVolの変化が行われない距離値として、分時拍出量率の割合又は百分率、従って例で(of example)、20で除した設定%MinVolを取ることが提案される。100%MinVolで、増加した頻度は、標的値からの5bpmまでの差をもたらし、その領域内では%MinVolは変化のない状態に置かれる。200%MinVolでは、この領域は、従って10bpmの幅である。
【0072】
図6による図において、換気の標的値RRspは、x軸に示され、かつ自発的頻度RRspontはy軸に示される。両方の軸の間に広がる正方形は、3つの領域に分割される。
【0073】
第1の領域は、x軸から軸の交点を通る対角線まで伸長し、かつこの対角線を含む。この対角線は、RRsp=RRspontによって定義される。
【0074】
第2の領域は、この対角線と接し、かつy方向に伸長kを有し、この場合kは、分時拍出量率に依存しても良い。それは標的速度に同様に又は別の形で依存していても良い。いずれの場合にも、第2領域のこの伸長kは、好適には可変に形成される。
【0075】
第3領域は、第2領域とy軸の間の正方形を満たす。
【0076】
好適には、自発的速度RRspontが第1領域(RRspont<又は=RRsp)に下落し、分時拍出量率がある状況下で減少するケースである。最小値(例えば100%)にすでに達しており、かつ/又は医師によって定義された初期値を下回ることができないという条件が適用される、かつ/又は増加がまだ行われていないならば、それは、減少できない。自発的速度が第2領域へ下落するならば、現在設定されている分時拍出量率が保持される。自発的速度が第3領域へ下落するならば、分時拍出量率が引き上げられる。
【0077】
動脈血CO2分圧を示す測定が存在するならば、動脈血CO2分圧の許容範囲を定義するCCの特性線は、標的頻度からの自発的頻度の偏差によって適応させることができる。
【0078】
RRspとのRRspontの比較による%MinVolの減少は、事前定義された下限値を超える%MinVolの増加がかかる比較によって以前に行われた場合にのみ、同様に実行される必要がある。
【0079】
%MinVolの減少は、好ましくは次の条件が満たされる時、常に実行できる:
100%を超える%MinVol、かつ
RRspont<又は=RRsp
【0080】
RRspont<又は=RRspの測定の結果としての%MinVolの減少によって、CO2測定が利用できるか否かに関して区別することもできる。CO2測定が利用できず、かつ動脈血CO2分圧を示す値の特性線を有するCCが存在するならば、CCの特性線は、下げることができる。PSSによるCCの過剰制御(over-control)の結果として領域35内に位置し、かつそれ故にCCによって「低すぎ」として等級分けされるであろう現在の測定値PaCO2REPは、これにより2つの特性線の間で正常領域33に入る。その後、%MinVolの減少が、CCに残される。
【0081】
特性線対37、39は、図7及び8に表される。これらは、患者の要求を満たすために、限界内で移動できる。しかしながら移動は、正常領域に入らないことがある極限領域41及び43によって限定される。
【0082】
初期位置は、図7に表される。ここで、患者が、17pbmの標的速度RRspで、130%MinVolで換気され、かつそれにより疲労していることが想定される。このために、患者は、より速くかつ浅く呼吸する。自発的速度RRspontは、少しの間、31bpmに位置する。30呼吸を超える自発的速度は、13呼吸以上、標的速度RRspを超えるので(130%MinVol*mbp/10*10%)、PSSが、例えば10%の%MinVolの増加によって反応する。これにより、換気の強度(又は換気標的値)が増加する。PaCO2REPは、結果として下落する。従って示度は正常領域内にもはや位置しない。
【0083】
PSSによる%MinVolの増加の限界がそれに続きもはや達成されないことが予期されるべきである。患者が、その低い動脈血CO2分圧の結果として、ここで自発的速度RRspontを17bpm(=RRsp)以下に減少させると想定すると、%MinVolの減少が始動される。PSSは、代表的測定が正常領域内に位置し(図8)、かつ換気の強度の減少がCCに委ねられるまで、図7に従って下げられるべき特性線を生じさせる。特性線のかかる適応及びCCへの転送は、PSSが%MinVolをもはや増加させる必要がなくなり次第、同様に行われる。次に、PSSによるCCの過剰制御は、終了させることができ、かつ換気の適応は、CCに委ねられる。
【0084】
しかしながら、患者が、十分に自発的に呼吸するならば、好ましくは換気は、PSSによって調節され続ける。
【0085】
PSSによる%MinVolの適応は、限定される。PSSは、分時拍出量を100%未満に、又は所望であれば、CC又は医師によって定義された値未満に、例えば250%MinVol以下に変化させないことがある。
【0086】
図9に表した流れ図は、好ましい実施形態におけるPSSの接続及び切断の判定処置を示す。
【0087】
本発明によるPSSを備えた換気装置が、スイッチを入れられるか、又はポンプ支援システムが、スイッチを入れられるが、これは、第一にまだ活動状態でない(ブロック「PSSオフ」)。この前に、医師又はCCによって定義された換気標的値に従って換気し、かつそれにより患者が適切に自発的に呼吸するかに関して点検する(ブロック「PSSオン」及び「PSSオフ」の間の菱形「基準1」)。この基準が満たされないならば、PSSが起動されないままである(矢印「no」戻る)。
【0088】
基準が満たされるならば、PSSは起動される(ブロック「PSSオン」)。起動されたPSSによって、呼吸がなおも自発的に行われているかに関して継続的にモニタする(菱形「基準2」)。患者が十分に自発的に呼吸することが確認されるならば、PSSは、変化なく起動された状態に留まる(矢印「no」戻る)。しかしながら、患者がもはや十分に自発的に呼吸しないので、スイッチオフの基準が、満たされるならば、「天然CO2センサ」として適用されるために、判定を必要とする。この判定(菱形「CO2」)は、CO2測定が存在するか否かに関する事実によって行われる。装置が例えばCO2コントローラを有さないか、又はCO2測定が機能しないがために、CO2測定が存在しないならば、安全設定上のPSSは、警報(ディスプレイ)を始動させる(矢印「no」、ブロック「100%MinVol」)。次にPSSは、その調節機能において非活動化される(ブロック「PSSオフ」)。安全設定は、患者が、最適でないとしても適切に、それ故に例えば100%MinVolの換気標的値によって換気されることを確実にする。この設定は、次にASVコントローラから(又はALVコントローラから)、患者に適切な機械換気パラメータに変換される。この設定は、例えば警報によって呼ばれた、医師によって変えられ得る。PSSによって判定された換気標的値評価と、手動によって判定されたそれの間を繰り返し交換するために、PSSが非活動化される度に適応可能である医師の物理的設定を検討できる。
【0089】
しかしながら、CO2示度及びCO2コントローラが存在するならば、CO2示度によって換気標的値を判定するために、このCO2コントローラが起動される。CO2コントローラは、PSSのタスクを担い、かつPSSが非活動化される。
【0090】
CO2コントローラによって判定される換気装置のこの操作モードにおいて、この場合にPSSを再度起動し、かつCO2コントローラを再度非活動状態にするために患者が十分に自発的に呼吸するかに関して再度モニタする。
【0091】
患者が適切に自発的に呼吸するか関して確認して(基準1)、PSSを起動するために、多く(例えば3)の直接連続する呼吸が自発的に行われるかに関して、それは比較される。このために容認できる期間は、標的頻度RRspによって判定される。
【0092】
全呼吸頻度と自発的呼吸頻度との間の差は、患者がもはや適切に自発的に呼吸しないかに関して確認するためにモニタされ、その結果PSSは、スイッチをオフにされねばならない。事前定義された数の連続呼吸(例えば8)がモニタされる。この数は、継続してモニタされる。このことは、各呼吸によって、各場合に、最後の、例えば8の呼吸が、患者だけによって始動されねばならず、かつそれ故にいかなる呼吸も機械始動されないことを意味する。この条件が定義された期間内(例えば1分)で少なくとも1回、満たされるならば、PSSは、起動された状態に留まる。しかしながら、直接的に連続した自発的なこの呼吸数が、この期間内に1度ならず直接的に起こるならば、PSSは、CO2示度に適合した換気標的値の機械又は手動評価によって軽減される。換言すれば、換気装置が、選択された呼吸数の各シーケンス内で、選択された期間内に、機械始動された呼吸を加える場合、換気標的値の設定が適用され、それはPSSによって判定された設計と異なる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】概略的に表示された電子回路、換気装置及び患者の略図を示す。
【図2】正常な患者のための2つの特性線を有する図を示す。
【図3】COPD患者のための2つの特性線を有する図を示す。
【図4】ARDS患者のための2つの特性線を有する図を示す。
【図5】脳傷害を有する患者のための2つの特性線を有する図を示す。
【図6】x軸に標的頻度、y軸に自発的頻度と、分時拍出量率が上げられたか、保持されたか、又は下げられたかを定義する3つの領域とを有する図を示す。
【図7】x軸に換気の強度、y軸に動脈血CO2分圧と、2つの外部領域の間に正常な患者の2つの特性線と、2つの特性線の間にCO2分圧の示度とを有する図を示す。
【図8】特性線が下げられ、かつ換気の強度が、自発的頻度によって増加されたことが示され、これによって達成された2つの下げられた特性線の間にCO2分圧の示度を有する、図7による図を示す。
【図9】ポンプ支援システム(PSS)定義の換気と、異なる方法で判定される換気との間で切り替えるための調節を示す流れ図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械換気の強度変化を調節する装置であって:
・ 標的頻度RRspを判定する手段と、
・ 自発的頻度RRspontを判定する手段と、
・ 前記自発的頻度RRspontを前記標的頻度RRspと比較する手段と
を有する装置であって、
・ 前記自発的頻度RRspontの、前記標的頻度RRspとの比較の結果によって換気標的値(%MinVol、V'gAsp)を適応させる手段と、
・ 前記換気標的値(%MinVol、V'gAsp)によって換気の強度を決定するパラメータを適応させる手段とを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記適応した換気標的値(%MinVol、V'gAsp)によって標的速度RRspを設定する手段を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記適応した換気標的値(%MinVol、V'gsp)によって換気圧力又は呼吸量を設定する手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
患者パラメータによって、特に一方で前記換気圧力又は呼吸量の、他方で前記換気頻度(RRsp、RRIMV)の強度を判定するパラメータを整合させるコントローラを有することを特徴とする請求項2および3に記載の装置。
【請求項5】
前記自発的頻度RRspontが、少なくとも定義された距離値だけ前記標的頻度RRspよりも大きい時に、換気標的値を適応させる前記手段は、これを増加させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記自発的頻度RRspontが、前記標的頻度RRspよりも小さい時に、換気標的値を適応させる前記手段は、これを減少させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記自発的頻度RRspontが、前記標的頻度RRspと等しい時に、換気標的値を適応させる前記手段は、これを減少させることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記距離値は、現在設定された標的頻度RRspに応じて定義されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記距離値は、現在測定された自発的頻度RRspontに応じて定義されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記距離値は、前記換気の強度に応じて判定されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記距離値は、現在の%MinVolの割合に応じて判定されることを特徴とする請求項5から9のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
換気標的値を適応させる前記手段は、RRspontがある毎分呼吸数だけ計算された標的頻度RRspを超えている場合に、前記換気標的値を1よりも大きい係数、特に約1.02の係数を乗じ、前記換気標的値の呼吸の点での補正が、大きな補正間隔に関して約1.1までであることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
換気標的値を適応させる前記手段が、場合により設定できる周期的な時間間隔、例えば1分で起動されるような性質の、換気標的値を適応させる前記手段の時間制御手段が存在することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
換気標的値を適応させる前記手段は、継続的に起動され、かつ前記換気標的値を呼吸の点で適応させることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記換気標的値を判定及び/又は適応させる第2の手段が存在し、かつ前記換気標的値を適応させるために、第1の手段から第2の手段に切り替える手段が存在することを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
起動される場合にそれぞれの現在の代表的示度PaCO2REPを換気の調節に組み込むCO2コントローラが存在すること、前記示度は、個別又は2つの特性線と比較され、かつ前記換気は、前記代表的示度PaCO2REPが傾向的に前記個別の特性線に接近するか、又は前記2つの特性線の間に達するように変えられることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
患者がどの程度自発的に呼吸するかに応じて、前記標的頻度RRspとの前記自発的頻度RRspontの比較によって換気標的値を適応させる前記手段、又は前記CO2コントローラは、前記換気標的値の適応を担うことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
遅くとも、前記CO2コントローラによる制御の採用によって、現在の代表的示度PaCO2REPが個別の特性線上、又は2つの特性線間の中心に位置するほどに、前記個別の特性線又は前記2つの特性線が移動させられることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
換気標的値を適応させる前記手段は、これ、具体的に例えば全肺胞換気の標的値、分時拍出量又は%MinVolの標的値を、RRspontがRRspへの定義された距離(k)を有する場合に、増加させることを特徴とする請求項1から18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記定義された距離は、治療目標及び/又は標的速度RRspに依存することを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
規定の手段によって判定され、かつ換気の強度を判定する前記パラメータに従って前記換気を調節又は起動する手段(11)を特徴とする請求項1から20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記換気の強度又は治療レベルは、圧力係数(P)又は容量係数(V)と、現在の換気設定の頻度係数(RR)との積によって本質的に判定されることを特徴とする請求項1から21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記標的頻度RRspとの前記自発的頻度RRspontの比較の結果によって換気標的値を適応させる第1の手段を起動するために、第1基準の達成をモニタし、この第1手段から換気標的値を判定及び/又は適応させる第2手段へ切り替えるために、第2基準の達成をモニタする制御ループが存在し、前記第2基準は、前記第1基準よりも患者の自発的呼吸に関する少ない要求を設定することを特徴とする請求項15から22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
装置によって実行される、患者の肺の機械換気の強度を自動調節する方法であって、
・ 標的頻度RRspと、自発的頻度RRspontとを判定すること、
・ 前記標的頻度RRspとの前記自発的頻度RRspontを比較することを含み、
・ 前記標的頻度RRspからの前記自発的頻度RRspontの偏差による換気標的値(%MinVol、V'gAsp)を自動適応し、
・ 前記換気標的値による換気の強度を判定するパラメータを自動適応することを特徴とする方法。
【請求項25】
前記換気標的値、具体的には例えば全肺胞換気の標的値V'gAsp、分時拍出量又は分時拍出量率は、RRspontがRRspへの定義された距離を有する、すなわちある毎分呼吸数よりも大きい計算された標的頻度RRspを超えているか、現在の設定された換気標的値に依存する毎分呼吸数よりも大きい計算された標的頻度を超えている場合に、1よりも大きい係数によって乗じられることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
患者がどの程度自発的に呼吸するかに応じて、前記換気標的値は、標的速度RRspとの自発的速度RRspontの比較によって、又はCO2測定によって適応されることを特徴とする請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
示度による前記換気標的値の適応によって、それぞれの現在の代表的示度PaCO2REPは、示度が一方又は両方の特性線と比較されるように換気の調節に組み込まれ、かつ前記換気は、前記代表的示度PaCO2REPが傾向的に個別の特性線に接近するか、又は2つの特性線の間に来るように変えられることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
CO2コントローラによる調節の採用前に、個別の特性線又は2つの特性線は、採用によって存在する前記代表的示度PaCO2REPが前記個別の特性線上に、又は前記2つの特性線間の中心に位置するほどに、移動させられることを特徴とする請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−524454(P2009−524454A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551620(P2008−551620)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000040
【国際公開番号】WO2007/085108
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(508180482)ハミルトン・メディカル・アーゲー (7)