説明

機械的皮膚表面修復

【課題】 機械的皮膚表面修復術に有用な物品を提供する。
【解決手段】 電動式装置を使い捨ての皮膚接触可能要素に連結する連結器具において、連結器具を電動式装置の表面に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された、第1の取り付け面と、使い捨ての皮膚接触可能要素を連結器具に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された、第2の取り付け面とを含み、第1の取り付け面および第2の取り付け面は、第1の取り付け面と第2の取り付け面との間で運動を伝えるよう連結されている、連結器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的皮膚表面修復術に有用な物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
栄養および医療の進歩につれて、平均的な米国市民および世界の国民の平均寿命が、劇的に延びている。その結果、人々の大部分は、ますます多くの皮膚の健康上の問題を含む、関連する老化影響を被っている。生命を脅かすことは滅多に無いが、皮膚の健康上の問題は、不快な場合があり、しかも、慢性的障害を引き起こす場合がある。加うるに、皮膚は目に見えるので、皮膚の健康上の問題および美容上の皮膚の状態は、これらのある患者に心理的ストレスを招く場合がある。これら要因により、人々は、健康管理およびスキンケアに対する向上した解決策を求めている。
【0003】
美容上および/または皮膚の若返り効果を提供する多くの技術が提案された。人気のある技術のうちの1つである専門的微小皮膚剥離術(professional microdermabrasion)は、器具が皮膚を吸引力により引っ張り、皮膚に研磨粒子を当てて剥脱に影響を及ぼす非侵襲的手技である。しかしながら、専門的微小皮膚剥離器具は、これらが広いスペースを取り、また、高い電力入力を必要とし、しかも、手術の際、ACコンセントにプラグ接続されなければならない点でやっかいである。さらに、患者は、定期的に専門的スキンケア専門家を訪れて処置を受けなければならない。したがって、電動式装置と研磨系とを組み合わせた「在宅」微小皮膚剥離システムが、今や利用できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人は、「在宅」微小皮膚剥離システムが市販されているが、これらシステムは、効能があるが、種々の理由で最適とまでは言えない場合があることを認識している。利用可能なシステムは、研磨性クリームを採用している場合が多いが、かかる研磨性クリームは、コスト高であり、皮膚から洗い落とす努力を必要としている。他のシステムは、定期的交換を必要とするユニットまたはモジュールの一体部分である、皮膚に接触する表面を用いている場合がある。モジュールは、製造費が高くつく場合が多く、従って、交換がコスト高になる。他のシステムは、「剥離紙をはがすと貼れる(peel and stick)」タイプの接着剤により器具に取り付けることができる皮膚接触面を採用している。残念ながら、これら接着剤は、使用中剥がれやすい。というのは、接着剤は、一般に皮膚上に存在するかまたは処置中装置に用いられる水に起因してその定着性を失う場合があるからである。著しい研磨作用を皮膚に与えないで市販の皮膚クリーニングパッドを用いるために電動式プラットホームを単に提供する更に他のシステムが試みられた。したがって、満足が行きかつ効能があり、しかも費用効果の良い皮膚処置を提供するために、媒体、例えばキャリヤまたはパッド、特に、機械的作用を電動式器具から皮膚表面に伝えることができる媒体に微小皮膚剥離ツールを連結することが望ましい場合がある。したがって、上述の欠点のうち1つまたは2つ以上を解決するシステム、物品、方法および組成物が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、一態様では、機械的皮膚表面修復術(mechanical skin resurfacing techniques)に有用な物品に関する。第1の実施形態では、物品は、機械的エネルギーを手持ち型器具から物品と接触状態に置かれた皮膚に伝えるのに適しており、物品は、2〜14の耐久性研磨度(Durable Abrasiveness)を有する。
【0006】
別の実施形態では、物品は、機械的エネルギーを手持ち型器具から物品と接触状態に置かれた皮膚に伝えるのに適しており、物品は、1より大きいが約14未満の耐久性研磨度および約7%〜約18%の圧縮度を有する。
【0007】
別の実施形態では、物品は、機械的エネルギーを手持ち型器具から物品と接触状態に置かれた皮膚に伝えるのに適しており、物品は、1より大きいが約14未満の耐久性研磨度および約0.15mm〜約2mmの変位を有する。
【0008】
別の実施形態では、物品は、機械的エネルギーを手持ち型器具から物品と接触状態に置かれた皮膚に伝えるのに適しており、物品は、約0.15mm〜約2.0mm、好ましくは約0.25mm〜約1mm、より好ましくは約0.25〜約0.8mm、もっとも好ましくは約0.25mm〜約0.5mmの変位を有し、物品は、約200ミクロン〜約3000ミクロン、好ましくは約300ミクロン〜約2000ミクロン、より好ましくは約350ミクロン〜約1500ミクロン、更により好ましくは約400ミクロン〜約1200ミクロンの最大表面粗さを有する。
【0009】
本発明の別の態様では、皮膚の広い範囲を処置する方法が、(1)モータおよび(2)本明細書の発明の概要の項に記載された皮膚に接触可能な要素を含む装置を介して機械的エネルギーを皮膚の広い範囲に与えるステップと、この皮膚の広い範囲を皮膚接触可能要素に接触させるステップとを含む。
【0010】
本発明の別の実施形態は、繊維状構造体およびかかる構造体に結合された研磨系を含む皮膚に接触可能な要素を含む。研磨系は、繊維に化学的に結合されて良い(接着剤による結合を含む)。
【0011】
別の実施形態では、使い捨ての皮膚処置要素が、研磨系の関連した第1の主要面、および全体として前記第1の主要面と反対側に位置する第2の主要面を有する繊維状構造体で形成されている。第2の主要面は、運動発生ユニットのファスナに係合解除可能に係合するよう配置されると共に構成されている。
【0012】
別の実施形態では、皮膚に接触可能な要素は、複数個の別々の研磨ユニットが結合された繊維のネットワークで形成されて良く、これら別々の研磨ユニットは、約−20℃を超えるガラス転移温度を有するポリマーを含み、繊維の部分および別々の研磨ユニットの部分は、皮膚に接触可能な表面を形成する。
【0013】
別の実施形態では、機械的皮膚表面修復術用のシステムが、運動発生ユニットが結合されている繊維状皮膚接触可能要素に係合解除可能に係合するループ係合可能表面を備えた装置を含む。ループ係合可能表面は、繊維状皮膚接触可能要素に係合する複数個の突起を含むことができる。
【0014】
さらに別の実施形態では、電動式装置を使い捨ての皮膚に接触可能な要素に連結する連結器具は、防水性の第1の取り付け部と、物品を運動発生ユニットの表面に解放可能に取り付ける第2の取り付け部とを含む。第1の取り付け部は、皮膚接触可能要素を連結物品に解放可能に取り付けるのに有用であり、第1の取り付け部および第2の取り付け部は、皮膚接触可能要素を皮膚に押し付けたときに装置の表面に対する皮膚接触可能要素の位置を実質的に維持するのに十分な強度を有する。
【0015】
代替の実施形態では、機械的皮膚表面修復術用のシステムは、運動発生ユニットと、使い捨ての皮膚に接触可能な要素と、アダプタとを含み、このアダプタは、皮膚に接触可能な繊維状パッドをアダプタに解放可能に取り付ける防水性の第1の取り付け部と、手持ち型の電動式装置をアダプタに解放可能に取り付ける第2の取り付け部とを含む。
【0016】
上記において概要説明した本発明のより具体的な説明は、添付の図面に記載されたその実施形態を参照することにより行われる。しかしながら、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を記載しているに過ぎず、従って、本発明の範囲を限定するものと解されてはならないことは注目されるべきである。というのは、本発明は、他の等しく有効な実施形態を許容しうるからである。
【0017】
理解を促進するために、可能である限り、図に共通の同一の要素を示すために同一の参照符号が用いられている。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、機械的皮膚表面修復術に有用な物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本明細書において説明する本発明の実施形態と一致した皮膚を処置するシステムの概略側面図である。
【図2】本明細書において説明する本発明の実施形態と一致した装置、およびループに係合可能な表面を有する皮膚に接触可能な要素の部分概略側面図である。
【図3A】図2のループ係合可能表面の断面図であり、このループ係合表面に設けられた突起を示す図である。
【図3B】図2のループ係合可能表面の別の実施形態を示す図である。
【図4A】本明細書において説明する本発明の実施形態と一致した皮膚に接触可能な要素の断面図である。
【図4B】図4Aの皮膚接触可能要素の平面図である。
【図5】本明細書において説明する本発明の実施形態と一致した皮膚に接触可能な要素の断面図である。
【図6】本明細書において説明する本発明の実施形態と一致した、アダプタを含む、皮膚を処置するシステムの概略側面図である。
【図7】図6のアダプタの斜視図である。
【図8】図6のアダプタの一実施形態の斜視図である。
【図9】図6のアダプタの別の実施形態の斜視図である。
【図10】図6のアダプタの別の実施形態の斜視図である。
【図11】図6のアダプタの別の実施形態の斜視図である。
【図12】図6のアダプタの別の実施形態の斜視図である。
【図13】図6のアダプタの別の実施形態の斜視図である。
【図14】図6のアダプタの別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
当業者であれば、本明細書の説明に基づいて、本発明をその最も広い程度まで利用できると考えられる。以下の特定の実施形態は、単に例示として解されるべきであり、いかなる意味においても開示の残りの限定として解されるべきではない。
【0021】
当業者であれば、本明細書の説明に基づいて、本発明をその最も広い程度まで利用できると考えられる。以下の特定の実施形態は、単に例示として解されるべきであり、いかなる意味においても開示の残りの限定として解されるべきではない。
【0022】
本明細書および特許請求の範囲で用いられる「機械的皮膚表面修復術(mechanical skin resurfacing technique)」という用語およびその変形語は、軽度の技術(例えば剥脱および研磨性クレンジング)から微小皮膚剥離術、さらには重度の技術、例えば皮膚研磨にわたる、哺乳類(特にヒト)の皮膚細胞の機械的支援型除去に関する。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲に用いられる「皮膚剥離術(dermabrasion)」という用語およびその変形語は、皮膚の重い欠陥、例えばアクネ瘢痕、深いしわ、および酒さ(rosacea)のような皮膚の状態の美観を損なう効果に特に好適な非熱的表面修復術に関する。この手技では、皮膚の上層に機械的に紙やすりをかけ、微小皮膚剥離よりも深く皮膚に浸入することを伴う。皮膚剥離では、新しい皮膚の層が、治癒中、研磨された皮膚に取って代わり、結果的に、滑らかな外観が得られる。
【0024】
本明細書および特許請求の範囲に用いられる「微小皮膚剥離(microdermabrasion)」という用語およびその変形語は、細かいラインおよびしわの減少ならびに他のそれほど重度ではない皮膚の状態により適した非常に穏やかで侵入度の低い皮膚剥離形態に関する。微小皮膚剥離術では、皮膚、主として角質層またはその一部分へのそれほど深くない侵入が行われる。
【0025】
本明細書および特許請求の範囲に用いられる「剥脱(exfoliation)」という用語およびその変形語は、皮膚の組織細胞の剥皮およびはがれ(sloughing off)に関する。
【0026】
本明細書および特許請求の範囲に用いられる「クレンジング」という用語およびその変形語は、特に界面活性剤による洗浄および恐らくは皮膚の細孔中への侵入による皮膚の表面からの汚れ、油等の除去に関する。「研磨クレンジング(abrasive cleansing)」では、或る程度の皮膚剥離も生じる。
【0027】
これら機械的皮膚処置は、皮膚組織への有用な薬剤の送達、例えば、クレンジング、およびアクネ処置用組成物または例えばレチノールのような若返り剤の送達を容易にすることができる。
【0028】
本明細書および特許請求の範囲に用いられる「不織(nonwoven)」という用語およびその変形語は、ヤーンに変換されておらず、幾つかの手段のうちの任意のものによって互いに結合される天然および/または人造繊維またはフィラメント(紙を除く)のシート、ウェブまたはバット(bat)に関する。さらに明らかにするために、不織布は、織布や編地とは区別される。不織布材料に含まれる繊維は、ステープル状または連続していても良く、あるいは元の位置で(in situ)形成されても良く、好ましくは、繊維塊の少なくとも約50%が、長さと直径の比が約300:1を超える繊維によってもたらされる。
【0029】
本発明は、手持ち型電動式器具を用いる機械的皮膚表面修復術に有用なシステム、物品、組成物および方法に関する。本発明の種々の実施形態において、かかるシステム、物品および方法は、ユーザにとって高い信頼性および利便性の独自の組み合わせ、ならびに効能の高い機械的皮膚表面修復術を提供する。
【0030】
本発明の実施形態にしたがった機械的皮膚表面修復術に有用なシステムは、種々のコンポーネントまたは部分組立体の存否、即ち、寸法、形状および材料の選択等に関して様々であって良い。皮膚を処置する種々のシステムおよびこれらシステムの種々の部分についての説明に関し、2003年12月24日に出願された同時係属米国特許出願公開第2005−0148907号明細書(発明の名称:「TREATMENT OF SKIN USING A BENEFIT AGENT AND AN APPARATUS」)を参照されたい。なお、この米国特許出願公開を参照することにより、その記載内容を本明細書の一部とする。“SKIN TREATMENT SYSTEM”、“MECHANICAL ENERGY DELIVERY SUB-ASSEMBLY”、“ACTUATION OF SKIN-CONTACTABLE SURFACE”、“CHEMICAL DELIVERY SUB-ASSEMBLY”、“INDICATOR”、“CONTROLLER”、“RECEIVING ELEMENT AND SENSING ELEMENT”、“WAVEFORM CONTROL”、“BENEFIT AGENTS”、“DIAGNOSTIC SUB-SYSTEM”および“METHOD OF USE”という項目が、特に注目される。
【0031】
図1は、本明細書において説明する本発明の実施形態にしたがった機械的皮膚表面修復に有用なシステム1の非限定的な一例を示している。システム1は、全体としてユーザの手に保持されるように成形された電動式装置3を含む。装置3は、種々の寸法および形状のものであって良く、注目に値する一形状は、実質的に管状または円筒形の本体5を含む。装置3は、一般に、皮膚に接触可能な要素9を装置3に取り外し可能に取り付ける1つまたは2つの表面7を含む。「取り外し可能に取り付ける」という用語およびその変形語は、取り付け強度をそれほど損なわないで要素を取り付けたり取り外したり再び取り付けたりすることができることに関する。皮膚接触可能要素9(例えば、スポンジ、繊維状材料または他の材料あるいはこれらの組み合わせ、かかる材料としては、本明細書において以下に説明する材料が含まれる)は、皮膚に接触するための皮膚に接触可能な表面11を含む。皮膚接触可能要素9は、皮膚接触可能要素9およびオプションとしてのキャリヤ13を含むモジュール15の一部であって良い。オプションとしてのキャリヤ13(例えば、硬質のプラスチック基板)は、皮膚接触可能要素9を装置3の1つまたは2つ以上の表面7に取り外し可能に取り付けたりこれから取り外したりする(例えば、スナップ動作、ねじ、摩擦嵌め等により)のに有用な場合がある。本体5を把持するユーザは、例えば本体5に設けられているスイッチ17を作動させることにより装置3内のモータ(図1には示さず)を動作状態にすることができる。それにより作動されたモータは、機械的エネルギーを生じさせ、この機械的エネルギーは、取り付けられた皮膚接触可能表面11およびこれと接触して置かれた皮膚の広い範囲19(図1に想像線で示されている)に伝えられる。機械的エネルギーは、種々の手段、とりわけ、例えば偏心ウェイト、往復動シャフトおよび回転ディスクを介して伝達される種々の形態(例えば、振動、回転、往復動等)のものであって良い。本体5は、一般に、ユーザによる容易な掴みを容易にするよう成形されており、装置3は、取り付けられた皮膚接触可能表面11がユーザの皮膚に接触することができるように差し向けられるようになっている。
【0032】
装置3からの機械的エネルギーを容易に、予測可能にしかも快適に皮膚接触可能要素を介して皮膚に伝えることができ、更に湾曲するかまたは角度のある皮膚表面を含む種々の皮膚表面とパッドが同形になることができるようにするために、本発明者は、皮膚接触可能要素の或る特定の性質のうちの1つまたは2つ以上が非常に望ましいことを認識した。したがって、皮膚は、驚くべきことに、主として装置3により決定される圧力を用いて研磨的に処置されて、皮膚への甚だしい損傷を生じさせないで、またはばらばらの研磨剤(loose abrasive)を皮膚からすすぐことにかかわる問題を生じさせないで、例えば細胞増殖、微小皮膚剥離効果、クレンジング等の利点を生じさせることができる。さらに、本発明の皮膚接触可能要素を用いると、要素内の望ましくない微生物の成長が制限される。
【0033】
本発明者は、驚くべきことに、上述した望ましい属性のうちの1つまたは2つ以上が以下の「試験方法」という項で説明する「研磨度試験」に従って定められた「耐久性研磨度」か「プレーン研磨度」かのいずれかの適当な研磨度を有する研磨度が中くらいの皮膚接触可能要素を用いることにより達成できるということを発見した。さらに、上述の利点は、皮膚接触可能要素が、パッドが圧縮荷重下を受けてどのように作用するかに関する1つまたは2つ以上の性質、具体的には圧縮度および変位度と組み合わせたこれらの研磨度に基づいて選択された場合、一段と高められる。これら性質は、装置3からの機械的エネルギーを湿ったまたは濡れた環境中で皮膚接触表面に伝達して皮膚を機械的に表面修復する皮膚接触可能要素の能力に関している。
【0034】
一実施形態では、皮膚接触可能要素は、2〜14、好ましくは約2.5〜約12、より好ましくは約3〜約10、更により好ましくは約4〜約9の耐久性研磨度を有する。
【0035】
本発明者はまた、研磨度が中くらいのパッドをこれらの「プレーン研磨度」に基づいて選択できるということを発見した。一実施形態では、皮膚接触可能要素は、1〜約5、好ましくは1〜約2のプレーン研磨度を有する。
【0036】
本発明者はまた、驚くべきことに、研磨度が中くらいの皮膚接触可能要素、特に、上記において特定したような一定の研磨度基準を満たす皮膚接触可能要素は、皮膚接触可能要素が加えられた圧縮荷重を受けた場合のこれらの作用に関連した追加の性質を更に有している場合、機械的ツールと関連して用いられると性能の向上を示すことを発見した。具体的に言えば、皮膚接触可能要素は、加えられた荷重下において幾分かの変位を生じるが、過剰に変位することはない。
【0037】
加えられた圧縮力による一般的に回復可能な変形の変位度および圧縮度は、皮膚接触可能要素を特徴づけるのに有用な追加の性質である。これら性質は、以下の「試験方法」の項において説明する「圧縮度および変位度試験」に従って測定できる。
【0038】
したがって、一実施形態では、皮膚接触可能要素は、0.15mm〜約2.0mm、好ましくは約0.25mm〜約1mm、より好ましくは約0.25〜約0.8mm、もっとも好ましくは約0.25mm〜約0.5mmの変位度を有する。
【0039】
本発明者はまた、研磨度が中くらいの皮膚接触可能要素が圧縮可能であるが、過剰に圧縮可能ではないということを発見した。したがって、一実施形態では、皮膚接触可能要素は、約20%未満の圧縮度を有する。他の実施形態では、圧縮度は、約19%未満であって良く、またはより好ましくは、約15%未満である。もっとも好ましくは、圧縮度は、約3%〜約13%であって良い。
【0040】
本発明者はまた、皮膚接触可能要素が約0.1mm〜約20mm、好ましくは約0.5mm〜約5mm、より好ましくは約1mm〜約5mm、もっとも好ましくは約1.5mm〜約4.5mmの厚さを有することが望ましいことに注目した。厚さは、以下の圧縮度および変位度試験における「初期厚さ」として決定できる。
【0041】
望ましい研磨度特性および加えられた圧縮荷重下における所望の作用に関する本発明者の発見とは別に、本発明者はまた、皮膚接触可能要素が粗いが過剰に粗くはない表面を有することが望ましいことに注目した。
【0042】
一実施形態では、物品は、約200ミクロン〜約3000ミクロン、好ましくは約300ミクロン〜約2000ミクロン、より好ましくは約350ミクロン〜約1500ミクロン、更により好ましくは約400ミクロン〜約1200ミクロンの最大表面粗さを有する。物品は、繊維状材料、例えば、これに結合された研磨系を有する繊維状材料を含んで良い。
【0043】
別の実施形態では、物品は、約25ミクロン〜約300ミクロン、好ましくは約30ミクロン〜約200ミクロン、より好ましくは約35ミクロン〜約150ミクロン、更により好ましくは約50ミクロン〜約100ミクロンの平均表面粗さを有する。
【0044】
図2は、皮膚接触可能要素29が繊維状材料を含むか、繊維状材料から本質的に成るか、あるいは繊維状材料から成るシステム1の実施形態を示している。適当な繊維状材料としては、織布、不織布(例えばカーディング工程(carding process)による配向または非配向)または編み物が含まれるが、これらには限定されない。繊維は、例えばニードルパンチ法、貫流空気結合法(through-air bonding)、水流交絡法、スパン結合法、化学的結合法(接着結合を含む)または機械的処理(例えばエンボス加工)により不織構造体中に一体化されて良い。それにより、繊維は、自立型布(例えば多孔性布)内に配置できる。不織布は、約150ミクロン〜約500ミクロン、例えば約220ミクロン〜約400ミクロンの平均細孔直径(コーエン(Cohen)著,「ア・ウェット・ポア−サイズ・モデル・フォー・カバーストック・ファブリックス(A Wet Pore-Size Model for Coverstock Fabrics)」,ブック・オブ・ペーパーズ:ザ・インターナショナル・ノンウォウブンズ・ファブリックス・インダストリー(Book of Papers: The International Nonwovens Fabrics Industry),p.317〜330,1990年を介して計算される)を有することができる。有用な繊維の代表的な非限定的リストとしては、有機ポリマー、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドおよびレーヨン繊維、二成分繊維、セルロース系繊維、例えば木材パルプ、レーヨンおよび綿、ならびにこれらの組み合わせに由来する繊維が含まれる。
【0045】
本発明者は、本発明の一実施形態において、適当な程度の研磨度および圧縮度を提供するため、繊維が、当業者に知られている機械的手段、例えばニードルパンチ法により、例えば約0.5mm〜約5mmの、より好ましくは約1mm〜約5mmの厚さまで結合されることを発見した。繊維状材料は、皮膚接触可能要素29の1つまたは2つ以上の用途に関してその機械的一体性を維持するのに十分な基本重量(単位面積当たりの質量)を有して良い。基本重量は、例えば、1平方メートル当たり約10グラム(gsm)〜約450gms、例えば約200gsm〜約400gsm、好ましくは約300〜約400gsmであって良い。繊維状材料は、好ましくは、柔軟さをもたらすようにレーヨン、および強固な弾性材料、例えばオレフィンまたはポリエステルを含む。特に注目に値する1つの繊維状材料は、ステープル長さ1.5デニール「テンセル(TENCEL)」レーヨンとステープル長さ4〜5デニールPETのニードルパンチ混合物であり、この混合物はニュージャージー州トトワ所在のプレシジョン・カスタム・コーティング(Precision Custom Coating)社から入手でき、基本質量は、約200gsm〜約400gsmである。
【0046】
再び図2を参照すると、皮膚接触可能要素29の繊維状材料は、装置3のループ係合可能表面27に取り外し可能に取り付けられたりこれから取り外されたりすることが可能であって良い。ループ係合可能表面27と皮膚接触可能要素29をいったん係合させると、ループ係合可能表面27は、一般に、皮膚接触可能要素29が皮膚19と接触する期間全体にわたり、皮膚接触可能要素29を定位置にしっかりと保持できる。
【0047】
本発明の一実施形態では、皮膚接触可能要素29は、皮膚接触可能要素をループ係合可能表面(例えば、インストロン(Instron)を用いて測定して以下に記載するフック番号108としてのVELCRO USA)から分離するのに必要な剥離強さを有することができ、この剥離強さは、幅一インチ(2.54cm)当たり約100グラム〜幅一インチ当たり約400グラム、例えば、幅一インチ当たり約150グラム〜幅一インチ当たり約250グラムである。本発明の一実施形態では、ループ係合可能表面27は、比較的滑らかであって非研磨性であり、従って、皮膚接触可能要素29が位置合わせ不良の場合(即ち、ループ係合可能表面27の一部分が露出され、それにより皮膚19に接触可能である場合)であっても、ループ係合可能表面27が皮膚19にとって過剰に粗いものではないようになっている。本発明の一実施形態では、皮膚接触可能要素29は、ループ係合可能表面27の上に「張り出す(overhang)」よう設計されたバッファ領域26を含み、従って、皮膚接触可能要素29とループ係合可能表面27とが幾分位置合わせ不良の場合であっても、ループ係合可能表面27が部分的に使用中に皮膚に接触する恐れが低いようになっている。皮膚接触可能要素29は、約5cm2を超える皮膚に接触する面積を有して良い。好ましい一実施形態では、皮膚接触可能要素29は、約5〜50cm2、より好ましくは約11〜50cm2の皮膚に接触する皮膚接触面積を有する。
【0048】
ループ係合可能表面27は、例えば接着剤層28により永続的非可逆的に装置3上に固定されて良い。変形例として、ループ係合可能表面27は、本明細書の以下の項において説明するように装置3に取り外し可能/再取り付け可能に固定されても良い。
【0049】
図3に示すように、ループ係合可能表面27は、一般に、複数個の突起31を含む。突起31の種々の形状を想定できるが、使用中における皮膚接触可能要素29への保持の確実さと、ユーザが意図的に皮膚接触可能要素29を引っ張ってこれをループ係合可能表面27から取り外そうとする場合における皮膚接触可能要素29からの取り外しの容易さとの両方を促進するため、突起31は、図3Aに示すように丸形であり、例えば、マッシュルーム形であって良く、あるいは、突起は、ループ係合可能表面27に当接する皮膚19に接触可能な一突起当たり広い表面積を提供するよう構成された、例えば図3Bに示すような他の丸形形状、例えば、カール形(突起34a)、弧状(突起34b)、T字形(突起34c)、Y字形(突起34d)等のものであって良い。別の実施形態では、突起31は、皮膚接触可能要素29への幾分強固な保持具合をもたらすよう曲げられるか、角度が付けられるか、フォーク状であるか、フック状などである。
【0050】
さらに、本発明の別の実施形態では、柔軟性を促進するため、突起の高さ39は、ループ係合可能表面27が皮膚19に接触する状況では、皮膚19が不快さを感じる恐れが低いように比較的高くて良い。例えば、突起31は、約0.05mmを超える高さ、例えば約0.10mmを超える高さ、例えば約0.15mm〜約0.5mmの高さ39、例えば平均高さを有して良い。
【0051】
本発明の一実施形態では、突起31は、約5mm未満、好ましくは約2mm未満、もっとも好ましくは約1mm未満の間隔35、例えば平均単位間隔(平面図で見て、突起とその最も近くの突起との中心間距離)を有する。本発明の別の実施形態では、突起31は、1平方ミリメートル当たり約0.25個の突起(0.25/mm2)、より好ましくは約0.50/mm2を超える数密度、例えば平均数密度の状態で存在する。
【0052】
再び図3Aを参照すると、本発明の別の実施形態では、これまた、皮膚19との偶発的な接触の際の柔軟性と快適さを促進するため、突起は、比較的大きな直径37を有するヘッド領域33を有することができる。本発明の一実施形態では、突起31のヘッド領域33は、約0.05mmを超える直径、より好ましくは約0.2mmを超える直径、もっとも好ましくは約0.3mm〜約1mmの直径37を有する。
【0053】
本発明の一実施形態では、突起32は、各突起が少なくとも約0.002mm2、例えば少なくとも約0.02mm2、例えば約0.2mm2〜約2mm2の皮膚に同時に接触することができる表面積を有するよう構成されている。
【0054】
本発明の更に別の実施形態では、突起32は、約0.25/mm2を超える数密度と約0.05mmを超える高さとの両方を有し、好ましくは約0.5/mm2を超える数密度、および約0.1mmを超える高さを有し、更により好ましくは、約0.5/mm2を超える数密度および約0.15mmを超える高さを有する。
【0055】
種々のループ係合可能表面27が適している場合があるが、1つの適当なファスナは、ニューハンプシャー州マンチェスター所在のベルクロ・ユーエスエー(Velcro USA)社からVELCROとして市販されており、約0.17mmの平均高さ、約0.4mmの平均単位間隔、0.69mmの平均ヘッド直径および約5/mm2の数密度を備えたマッシュルーム形突起を有する。上から見て非円形のヘッドを有する突起の場合、等価ヘッド直径(「Deq」)を次式により測定ヘッド面積(「A」)から計算することができることは注目されたい。
【0056】
【数1】

【0057】
別の適当なループ係合可能表面27は、約0.37mmの平均高さ(全高)、約0.84mmの平均単位間隔、0.37mmの平均ヘッド直径、約0.75/mmの数密度を有する「Y」字形突起を有する(フック番号108としてベルクロ・ユーエスエー社から市販されている)。
【0058】
図4Aは、皮膚接触可能要素49の別の実施形態の断面図である。皮膚接触可能要素49は、図2に示す皮膚接触可能要素29とほぼ同じであるが、皮膚接触可能要素49は、繊維45のネットワークに結合された研磨系43を含む。
【0059】
「繊維に結合された」研磨系という用語は、繊維にしっかりと取り付けられ、使用中は、これから容易には分離しない研磨ユニット、粒子、凝集体等を意味する。かかる研磨剤は、種々の手段によって結合でき、注目に値する1つの手段は、化学的結合(接着結合を含むが、これには限定されない)である。
【0060】
本発明者は、図4A(断面図)および図4B(平面図)に示すように、本発明の一実施形態によれば、研磨系43が、複数個の別々の研磨ユニット40を含むことができ、例えば、繊維45の間にかつ(あるいは)繊維45を横切って分布されて良いということに注目した。本発明のこの実施形態では、皮膚接触可能表面41は、繊維と研磨系との両方を含む。この形態は、研磨系43が繊維を横切って全体的に形成され、皮膚接触可能要素の一端44から反対側の端46まで連続的に延びる連続的な層である形態よりも良好な微小皮膚剥離効果を提供することができる。
【0061】
研磨系43の別々の研磨ユニット40は、様々な形状のものであって良く、例えば、実質的に球形、樹状等のものである。研磨ユニット40は、例えば約0.2mm〜約1cmの端から端までの最大寸法(即ち、1つの別個の研磨ユニット40内に引くことができる最も長い線の長さ)を有して良い。
【0062】
研磨系43は、約4未満のモース硬さを有する水不溶性研磨材料、例えば研磨剤を含むか、または本質的にこれから成ることができる。本発明の一実施形態では、研磨系は、樹脂またはポリマーを含む。例えば、ポリマーは、ホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーであって良く、2種類または3種類以上の別々のポリマーの混合物であっても良い。ポリマーは、ランダム、ブロック、星形または他の既知のアーキテクチャであって良い。ポリマーは、既知の手段、例えば乳化重合、分散、懸濁または溶液重合により作られて良い。好ましい実施形態では、ポリマーは、乳化重合により形成される。ポリマーは、非機能性であって良く、または特定の適用において被膜の性質を最適化するよう設計された機能性を含んでも良い。当業者であれば、ポリマー組成物の最終用途性能を向上させるためにモノマー含有量およびアーキテクチャを調節することができよう。ポリマーは、合成ポリマーであっても良く、あるいは天然ポリマー、例えば多糖類、デンプン、改質デンプンまたはガーゴムであっても良い。好ましいポリマーとしては、以下のモノマー、即ち、(メト)アクリレート、マレエート、(メト)アクリルアミド、ビニルエステル、イタコネート、スチレニック、不飽和炭化水素およびアクリロニトリル、窒素機能性モノマー、ビニルエステル、アルコール機能性モノマーのうちの1つまたは2つ以上を有するホモポリマーおよびコポリマーが含まれる。特に好ましいモノマーとしては、ビニルアセテート、メチル(メト)アクリレート、エチル(メト)アクリレート、ブチル(メト)アクリレート、エチレン、塩化ビニルおよびスチレンが含まれるが、これらには限定されない。
【0063】
ポリマーは、皮膚接触可能要素に含まれる場合、皮膚に対して研磨性であるのに十分な硬さを提供するが、引掻または不快感を生じさせるほど硬くはないように選択される。本発明の一実施形態では、ポリマーは、摂氏約−20度(℃)を超える、例えば約0℃〜約105℃のガラス転移温度Tgを有する。注目に値する一実施形態では、ポリマーは、約0℃〜約50℃のTgを有する。
【0064】
gは、5mgまたはこれよりも少ないサンプルについて20.0℃/分の加熱速度で行われた示差走査熱量測定(DSC)により決定できる。Tgは、DSC熱容量加熱曲線上のガラス転移に相当する熱流変化の開始と終わりとの間の中点として計算される。Tgを決定するためのDSCの使用法は、当該技術分野においては周知であり、ビー・カッセル(B. Cassel)、エム・ピー・ディビート(M. P. DiVito)共著,「ユース・オブ・ディーエスシー・トゥー・オブテイン・アキュレート・サーモダイナミック・アンド・キネティック・データ(Use of DSC To Obtain Accurate Thermodynamic and Kinetic Data)」,アメリカン・ラボラトリー(American Laboratory),1994年1月,p.14〜19、およびビー・ウンデルリッヒ(B. Wunderlich)著,「サーマル・アナリシス(Thermal Analysis)」,アカデミック・プレス・インコーポレイテッド(Academic Press, Inc.),1990年に記載されている。
【0065】
ポリマーは、熱硬化性ポリマー(例えば、一般に温度が変化しても可逆性を示さない架橋を有するポリマー)であっても良い。注目に値する1つのポリマーは、約30℃のTgで硬化中に部分的に架橋される主成分としてのアクリル系モノマー/ビニルアクリル系モノマー、例えば、テキサス州ダラス所在のセラニーズ・コーポレイション(Celanese Corporation)から市販されているVINAMUL ABX 30樹脂を含む。
【0066】
本出願人は、本発明の一実施形態では、皮膚に対してざらざらした感覚を生じさせないで皮膚処置効果の適正なバランスをもたらすために、研磨系が、好ましくは、約0℃〜約50℃のTgを有するポリマーを含むことに注目した。さらに、本出願人は、約0℃〜約50℃のTgを有するポリマーを含む研磨系43が、望ましくは、研磨系の繊維に対する重量比が約5%〜約30%、より好ましくは約8%〜約23%、更により好ましくは約8%〜約18%、最も好ましくは約8%〜約12%であるように繊維上に存在することにも注目した。
【0067】
上述したように研磨系43はポリマーを含むものとして説明されているが、ポリマーは、研磨系43中に存在する必要はない。研磨系43は、他の手段からその研磨度を引き出しても良い。例えば、研磨系43は、例えば化学的結合(例えば、オルガノシランを介して、もしくはそれ自体研磨性のポリマーを介して)または熱結合により繊維45に結合された無機粒子(例えば、酸化アルミニウム、軽石等)を含んでも良い。一実施形態では、皮膚に対する刺激を減少させるため、無機粒子は、3以下のモース硬さを有し、かかる無機粒子は、例えば、タルク、石膏、マイカまたは方解石である。
【0068】
研磨系43は、研磨剤と配合された1種類または2種類以上の追加の機能性成分を更に含むことができる。有用な追加の機能性成分としては、可塑剤、架橋剤、デンプン、ポリビニルアルコール、ホルムアルデヒド熱硬化性剤、例えばメラミン、ウレア、フェノール、充填剤、湿潤剤、界面活性剤、塩、芳香剤および顔料または反射剤が含まれるが、これらには限定されない。追加の機能性成分は、ポリマー固形物の割合として計算して0重量パーセント〜20重量パーセント、好ましくは5重量パーセント〜15重量パーセントの量で研磨系中に存在して良い。
【0069】
皮膚接触可能要素49は、工業用ポリマーコーティングの技術分野で知られた種々の手段、例えばスロットコーティング、フォームコーティング、飽和、印刷または吹き付けにより研磨系43を繊維45に堆積させて形成することができる。吹き付けは、無駄が減少し、効果が最適化されるよう繊維の頂部上への別々の研磨ユニットの形成を容易にする上で特に注目に値する。研磨系43を吹き付けにより塗布する場合、研磨系を含む吹き付け可能な組成物(例えばポリマーに加えて他の機能性成分ならびに水または別の適当なキャリヤ)を繊維上に吹き付け、次に結果的に得られた繊維/研磨性複合剤を従来型オーブン内で乾燥させて良い。上述のことは、繊維に結合された研磨系を含む皮膚接触可能要素に関するが、本発明の一実施形態では、繊維は、それ自体、研磨性であって良く、この場合、繊維に結合される追加の研磨系を含む必要はない。例えば、特定の一実施形態では、皮膚接触可能要素は、ニードルパンチ法、貫流空気結合法または熱結合法により不織構造体に組み込まれるステープル繊維を含む。繊維は、ポリエステル、ポリオレフィン、レーヨン繊維、二成分繊維、セルロース系繊維、例えば木材パルプ、レーヨンおよび綿またはこれらの組み合わせから形成された高デニール繊維であって良い。
【0070】
繊維がそれ自体研磨度を提供する(例えば、繊維に結合された研磨系が存在していない)皮膚接触可能要素の特定の非限定的な1つの例は、(1)約5〜約10、例えば約9のデニール、および約1インチ(2.54cm)〜約2インチ(5.08cm)の長さを有するポリエステル繊維、または(2)ポリエステルまたはポリプロピレンのコアおよびポリエチレンのコアを有し、約2〜約6のデニールを有する二成分繊維、あるいはこれらの組み合わせを含む皮膚接触可能要素である。
【0071】
本発明の別の実施形態では、繊維状構造体は、フォームの層または他の弾性材料を含む。例えば、上述した不織布から成るラミネートは、研磨度および配合物(材料Aと呼ばれる)を含み、更に、ロフトおよび柔軟性を追加するためにフォーム材料の追加の層(Bと呼ばれる)を含む。ラミネートは、幾つかの構造、即ち、A:BまたはA:B:Aの状態に配置されても良く、あるいは、B材料は、システムの圧縮度を幾分追加するためにループ係合可能ファスナの下に位置しても良い。Bの一方の表面は、配合物の吸い上げを阻止するよう水/配合物不浸透性であるよう被覆されても良い。
【0072】
本発明の別の実施形態では、皮膚接触可能要素は、研磨作用を皮膚に与えるために有孔プラスチックフィルムを含む。本発明のこの実施形態では、皮膚接触可能要素は、繊維を含んでも良く、または繊維を含まなくても良い。例えば、特定の一実施形態では、皮膚接触可能要素は、フィルム、例えば、オレフィン材料、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンで作られたフィルムを含む。十分な研磨作用を皮膚に与えるためには、高密度ポリエチレンおよびポリプロピレンが特に好ましい。さらに、有孔プラスチックフィルムは、穿孔に先立って、約1mil(約0.03mm)を超える厚さ、例えば約1.5mil(約0.04mm)〜約3mil(約0.08mm)の厚さを有することができる。さらに、研磨作用を高めるため、フィルムは、このフィルムを貫通して形成された孔を有すると共に、フィルムの厚さの平面を越えて延びる突起を含む。突起は、ユーザの皮膚に接触し、研磨作用をこの皮膚に与えるよう設計されている。皮膚にとって十分な数の接触箇所を提供するため、有孔プラスチックフィルムは、複数個の孔を有して良く、例えば、約20%〜約35%の開口領域を有することにより形成されて良い。有孔プラスチックフィルムは、当該技術分野において知られた種々の方法のうち任意のもの(例えば、とりわけ直接押し出し、真空)により形成できる。研磨性表面を有する複合構造体は、バリヤフィルムをユーザの皮膚から遠ざかる方向に差し向けられた有孔フィルムの側面に取り付けることにより形成できる。1種類または2種類以上の有利な作用剤を複合構造体内に入れて有孔フィルムが皮膚に接触したときに、有利な作用剤が複合構造体から放出されて皮膚に接触するか、または皮膚によって吸収されるよう利用できるようにする。
【0073】
図5は、皮膚接触可能要素59の別の実施形態の断面図である。皮膚接触可能要素59は、図4に示す皮膚接触可能要素49とほぼ同じであるが、皮膚接触可能要素49は、繊維45周りにまたはこれらを横切って形成され、一実施形態では、図4に示すように、繊維45の頂部にかつ研磨系43の頂部にも形成された被膜53を含む。被膜53は、少なくとも部分的に水溶性であって良く、使用にあたり、被膜53内の1種類または2種類以上の成分が使用中に溶けて皮膚19に移されるようにする。本発明の一実施形態では、被膜53は、皮膚に移されてこの中に埋め込まれる場合のある研磨剤、例えば研磨粒子が実質的に含まれていない。本発明の一実施形態では、被膜53は、実質的に水を含んでいない(即ち、約2%未満、例えば約0.5%未満の水を含む)。
【0074】
被膜は、種々の機能のうち1つまたは2つ以上を実行できるよう処方されて良い。例えば、被膜は、潤滑、皮膚軟化および/または保湿、穏やかな発泡、種々の有利な作用剤(例えば、有利な作用剤、薬剤等)を送り出すビークル、またはこれらの組み合わせをもたらすことができる。図5は、被膜53が繊維45および研磨系43を完全に被覆した連続被膜である実施形態を示している。本発明のこの実施形態では、皮膚接触可能表面41は、最初に、被膜53だけを含む。しかしながら、被膜53が溶けると、これは、湿った皮膚と接触状態に置かれていると極めて迅速な場合があるので、それにより、繊維45および研磨系43は、皮膚に接触することができる。
【0075】
被膜53は、連続である必要はなく、また、繊維45か研磨系43かのいずれかを完全に覆う必要はない。上から見ると(図示していない)、被膜53は、皮膚接触要素59の頂部全体の大部分、例えば約20%を超えるが100%未満の部分を覆っていて良い。本発明のこの実施形態では、皮膚接触可能表面41は、繊維45、研磨系43および被膜53を含む。
【0076】
被膜53は、フォームの状態調節および/またはクレンジングおよび/または提供を行う種々の成分を含むことができる。例えば、被膜は、所謂「発泡(forming)」または「起泡(lathering)」界面活性剤を含んで良い。本明細書で用いる「起泡界面活性剤(lathering surfactant)」という用語は、水と組み合わされて機械的に撹拌されると、フォームまたは泡を生じさせる界面活性剤を意味する。かかる界面活性剤は、泡の増大がクレンジング効果の指標として消費者に重要なので好ましい。多様な起泡界面活性剤が、本発明に有用であり、かかる起泡界面活性剤としては、陰イオン性起泡界面活性剤、非イオン性起泡界面活性剤、陽イオン性起泡界面活性剤、両性起泡界面活性剤、およびこれらの混合物から成る群から選択された起泡界面活性剤が含まれる。
【0077】
被膜53に使用できる適当な調合物の詳細な説明に関し、読者は、2004年12月28日に出願された同時係属米国特許出願第11/023655号明細書(発明の名称:「SKIN TREATMENT ARTICLES AND METHODS」)および特に“CLEANSING FORMULATIONS”、“ANIONIC LATHERING SURFACTANTS”、“NON-IONIC LATHERING SURFACTANTS”、“CATIONIC LATHERING SURFACTANTS”、“AMPHOTERIC LATHERING SURFACTANTS”、“CONDITIONING FORMULATIONS”、“HYDROPHOBIC CONDITIONING AGENTS”、“HYDROPHILIC CONDITIONING AGENTS”、“STRUCTURED CONDITINING AGENTS”および“OTHER FORMULATIONS”と題する項を参照されたい。なお、この米国特許出願を参照することにより、その記載内容を本明細書の一部とする。
【0078】
さらに、被膜53は、1種類または2種類以上の有用な作用剤、例えば抗アクネ薬、しわ取り薬、抗微生物薬、抗真菌薬、抗炎症薬、局所麻酔薬、人工なめし剤、促進剤、抗ウイルス薬、酵素剤、日焼け止め、酸化防止剤、皮膚剥脱剤、脱毛剤等を含んで良い。他の適当な有用な作用剤は、2003年12月24日に出願された同時係属米国特許出願公開第2005−014897号明細書(発明の名称:「TREATMENT OF SKIN USING A BENEFIT AGENT AND AN APPARATUS」)および2004年12月28日に出願された同時係属米国特許出願第11/023655号明細書(発明の名称:「SKIN TREATMENT ARTICLES AND METHODS」)に記載されている。なお、これら特許文献については両方共先に引用した。
【0079】
包装に関する保存性および選択の融通性を促進するため、被膜53は、実質的に水を含まなくて良い(この場合、パッドを使用前に水で濡らして良い)。代替例として、被膜および皮膚接触可能要素59は、相当な水または水分を含み、これらを適当な包装材内に密封して使用前の外部環境への水の損失を阻止しても良い。
【0080】
被膜53は、被膜の繊維に対する重量比が約25.0%〜約100.0%、より好ましくは約25%〜約50%であるように繊維に被着されて良い。被膜は、スロットコーティング、フォームコーティング、飽和、ニップロール等により繊維または繊維/研磨剤複合体に塗布されても良い。
【0081】
図6は、皮膚を処置するためのシステム61の別の適当な実施形態を示している。このシステム61は、図1を参照して説明したような電動式装置3を含む。システム61は、皮膚接触可能要素9、例えば、これまでに説明した皮膚接触可能要素のうちの任意のものを更に含む。皮膚接触可能要素9は、アダプタ63を用いて装置3に係合解除可能に連結できる。アダプタ63は、皮膚接触可能要素9をアダプタ63に係合解除可能に取り付ける第1の取り付け部65を含む。
【0082】
第1の取り付け部65は、一般に、システムの使用中、皮膚接触可能要素9をアダプタ63にしっかりと保持することができる。さらに、第1の取り付け部65は、好ましくは、水分または水への暴露時に、その保持性を維持することができる。例えば、第1の取り付け部65は、「防水性」であって良い。防水性という用語は、第1の取り付け部を水の中に30分間浸漬し、次に完全に乾かした場合に、取り付け強度の実質的な低下が観察されないことを意味する。本発明の注目に値する一実施形態では、水に対する感受性を減少させるため、第1の取り付け部65の保持力は、水により軟らかくなることができるか、または溶ける接着剤以外の手段を含む。第1の取り付け部65は、例えば、アダプタ63の持続的に接合された一体部分として例えばループに係合可能な表面、例えば図2を参照して説明したループ係合可能表面27を含むことができる。ループ係合可能表面は、両面テープの両フェース上に被覆されることが可能な種々の手段、例えば耐久性のある防水性接着剤によりアダプタ63の残部に持続的に結合されて良い。
【0083】
アダプタ63は、アダプタ63を装置3の表面に係合解除可能に取り付ける第2の取り付け部66を含む。アダプタ63は、装置3の種々の表面のうちの1つまたは2つ以上に係合解除可能に取り付けられるよう設計されたものであって良い。取り付けに適した表面としては、使用中、皮膚に実質的に平行である場合のある表面、例えば表面69、装置3へのスナップ嵌めに適したリムを形成する表面、例えば表面67、または装置3の内部に位置する表面(図示せず)、例えば、装置3内に設けられた凹部内に突き出たアダプタ63の一部分(例えば、突出ロッド)に係合解除可能に取り付けることができる表面が含まれるが、これらには限定されない。
【0084】
第1の取り付け部65および第2の取り付け部66は、一般に、皮膚接触可能要素を皮膚に押し付けたときに装置の表面に対する皮膚接触可能要素の位置を実質的に維持するのに十分な強度、および好ましくは、モータに給電し、皮膚を横切って皮膚接触可能要素を滑らせても位置を維持するのに十分な強度を有する。
【0085】
図7は、アダプタ63が、使用中全体として皮膚に平行に位置付けられる実質的に平らな表面71を含む本発明の注目に値する一実施形態を示している。第1の取り付け部65が、アダプタ63を皮膚接触可能要素9に係合解除可能に取り付けるために表面71に持続的に取り付けられている。切頭円錐形の可撓性壁73が、表面71から延びて円形のリム75で終端している。リム75は、壁73および表面71と一緒になって中空凹部77を画定している。可撓性壁73またはリム75は、第2の取り付け部66を含むと共にアダプタ63を装置3に係合解除可能に固定するのを助ける突出特徴部(例えば、ノブ、切欠き、棚部等)を含むことができる。アダプタ63のこの実施形態は、プラスチックの成形に適した種々の方法、例えば、熱成形法、射出成形法等を用いて熱可塑性材料、例えば硬質プラスチック(例えば、ポリエチレン等)または軟質プラスチック、例えばPETGまたはポリスチレンから作られて良い。
【0086】
図8および図9は、適当なアダプタの別の実施形態を示している。アダプタ81は、皮膚接触可能要素を装置3の表面に当接保持するためのクランプである。アダプタ81は、アダプタ81を皮膚接触可能要素に係合解除可能に取り付ける第1の取り付け部83を有している。第1の取り付け部83は、円形リム85の下面である。アダプタ81は、ユーザがヒンジ止め部分89を回転させ、それによりアダプタ81を「開く」ことができるようにするヒンジ87を有することができる。ユーザは、次に、皮膚接触可能要素を装置3の表面(図6の表面69参照)に押し付ける。アダプタ81は、アダプタ81を装置3に係合解除可能に取り付ける第2の取り付け部91を有している。第2の取り付け部は、ねじ山付き表面であっても良く、装置3の対応する表面(図6の表面67参照)上にスナップ装着できるか、または摩擦嵌合できる表面である。
【0087】
図10は、皮膚接触可能要素を装置の表面に当接保持する弾性リングで形成されたアダプタ100の別の実施形態を示している。アダプタ100は、アダプタ100を皮膚接触可能要素に取り付ける第1の取り付け部102、およびアダプタ100を装置に取り付ける第2の取り付け部104を含む。図11〜図14は、アダプタの追加の実施形態を示している。
【0088】
本出願人は、アダプタ63が装置3を用いる皮膚の処置に関して製造費を減少させるのに特に有効であることに注目した。例えば、アダプタ63をシステム1の一部として含めることにより、第1の取り付け部65(例えば、ループ係合可能な取り付け部)は、装置3に持続的に取り付ける必要はない。したがって、第1の取り付け部65が使用中摩耗を被った場合、装置3全体(一般に製造するのに最も費用が高くつくシステム1のコンポーネント)を処分する必要はない。その代わり、ユーザは、アダプタ65(装置3の最も安価なコンポーネント)を交換する必要があるだけである。さらに、アダプタの実施形態はまた、水に起因する損傷に対する取り付け部65,66の耐性を提供する。
【0089】
使用方法
本発明のシステム1を用いると皮膚の処置、例えば研磨による処置、クレンジングまたは他の皮膚処置(例えばアクネ、老化防止、堅固さ、色調および肌理、脱毛、ボディシェーピング/セルライト除去等)を行うことができる。
【0090】
本発明の一実施形態では、皮膚接触可能要素を一時的に手持ち型電動化装置に取り付ける(例えば図2参照)。代替実施形態では、アダプタを装置に取り外し可能/交換可能に取り付け、皮膚接触可能要素をアダプタに係合解除可能に取り付ける(例えば図7参照)。
【0091】
次に、モータに給電し、処置されるべき皮膚のフェースまたは他の広い範囲を横切って皮膚接触可能要素を動かす。例えば、皮膚接触面21(例えば、実質的に平らな皮膚接触面)を処置されるべき皮膚に接触して置く。皮膚接触可能要素は、例えば、皮膚を研磨処置することにより細胞増殖を増大させる。皮膚接触可能要素には、皮膚軟化、発泡または皮膚への有用な作用剤の送り出しを行う調合物を組み込んでいて良い。ユーザを仕上げると、皮膚接触可能要素を取り外して後で新品のものに換えて清潔な表面を提供することができる。
【0092】
システムは、潤滑をもたらし、有効成分を送り出し、または全体的に美的経験(aesthetic experience)をもたらすために、追加の組成物(例えばクリームまたはペースト)と共に使用できる。組成物は、皮膚中に潜在的に埋め込まれる場合のある研磨剤(軽石、酸化物等)を含んでいなくて良い。代替例として、組成物は、研磨剤を含んでも良いが、この実施形態では、ユーザは、好ましくは、処置を完了した後、研磨組成物を皮膚から洗い落とす。組成物は、装置に給電する前に、ユーザにより(例えば皮膚接触可能要素をクリーム中に漬けることにより)皮膚接触可能要素上に置かれて良い。
【0093】
本発明者は、皮膚接触可能要素ならびに本発明の関連方法およびシステムを採用することにより、機械的エネルギーを容易に予測可能にしかも快適に皮膚接触可能要素を介して皮膚に伝達することができ、しかも依然として、湾曲するかまたは角度のついた皮膚表面を含む種々の皮膚表面とパッドが同形になることができることを発見した。したがって、皮膚は、驚くべきことに、制御可能な圧力を用いて研磨的に処置されて、利点、例えば細胞増殖、微小皮膚剥離効果、クレンジング等をもたらすことができ、この場合、皮膚への甚だしい損傷は生じず、または結果的に、ばらばらの研磨剤を皮膚からすすぐことにかかわる問題を生じさせない。さらに、これら実施形態は、製造するのが経済的な使い捨ての衛生的皮膚接触可能要素を提供することができる。さらに、皮膚接触可能要素は、研磨をもたらす機能以外に追加の機能、例えば、有用な作用剤の送り出し、潤滑および起泡を実行することができる。
【0094】
本発明はまた、皮膚にくっついたり皮膚内に埋まり込んだりする場合のある分散状態の研磨粒子を有するクリームを用いる装置を利用した場合の潜在的な面倒さおよび不便さ無く、皮膚の研磨処置を可能にする。
【0095】
試験方法
研磨度試験
「耐久性研磨度(Durable Abrasiveness)」は、以下に説明する試験方法を用いて決定される。材料の「プレーン研磨度(Plain Abrasiveness)」は、耐久性研磨度と同様に決定されるが、最初の洗浄ステップが省かれる。
【0096】
試験されるべき皮膚接触可能要素の各々の5つのサンプルを直径が約41mmの円形の形に切断する。サンプルを水で個別的にすすいで水との接触により物品から容易に分離されるあらゆる物質、例えば発泡剤、油および乳化剤を除去する。切断したサンプルを物品の質量の少なくとも約20倍である十分な量の水を有する大量の脱イオン水(約35℃の温度)を収容した浴中に浸漬する。物品を浴中に2分間放置してから取り出し、10秒間しずくが落ちるようにし、次に別の同様な(新しい)水浴内に2分間置き、再び5分間しずくが落ちるようにする。サンプルを取り出し、約16時間〜約72時間の期間の間周囲温度で(約50〜60%の相対湿度で)乾燥させる。この場合もまた、この洗浄ステップは、プレーン研磨度を測定する場合、省かれる。
【0097】
サンプルをすすいで上述したように乾燥させた後、サンプルをASTM試験方法D3886−99の改訂版に従って研磨度試験装置を用いて研磨度について試験する。適当な装置は、ニュージャージー州ウィパニー所在のカスタム・サイエンティフィック・インストラメンツ(Custom Scientific Instruments)社から入手できるCSI Universal Wear Tester, Model CS-226-605である。同時押出スパンボンド/着色ポリエチレンフィルムラミネートのサンプル((1)15gsm(公称)スパンボンドポリプロピレン不織ウェブ層を(2)厚さが約0.7mil(0.007インチ(0.178mm))の20gsm(公称)ポリエチレンフィルムと同時押出成形して形成された26gsmラミネートであるClopay M18-1057、オハイオ州メイソン所在のクロペイ・プラスチック・プロダクツ(Clopay Plastic Products)社から市販されている。この場合、ラミネートのポリエチレンフィルム表面は、コロナ処理され、ラミネートは、1インチ(2.54cm)当たり150グラムの標的結合強さを有する)をフィルムが上に差し向けられた状態でステージ上に置き、ラミネートを摩耗試験機で供給されたOリングでステージにしっかりと固定する。試験されるべきサンプルをステージ上のアームに固定してサンプルがステージの頂部上に直接整列するようにする。サンプルをこれが試験機の作動中、動かないように固定する(好ましくは、強靱な両面テープ−例えば、ニュージャージー州イーストブルンスウィック所在のパーマセル・カンパニー(Permacel Company)から入手できるPERMACELテープにより)。10ポンド(4535.92g)ウェイトをステージ上に負荷し、試験機モータに給電する。ステージは、毎分約130サイクルの速度で回転すると同時に並進する。破損に至るまでのサイクル数をフィルムが裂ける第1のサイクルとして記録する(着色、例えば青色フィルムの場合、白色スパンボンドは、始めから終わりまで容易に示し、試験の終点をマーク付けする)。このプロセスを残りのサンプルについて繰り返し行う。破損に至るまでの平均サイクル数を記録し、「耐久性研磨度」(洗浄したサンプルについて)に関する値または「プレーン研磨度」(洗浄していないサンプルについて)に関する値を、2,000を破損に至るまでの平均サイクル数で除算して計算する。
【0098】
標準サンプルであるSCOTCH-BRITEパッド(“Heavy Duty Commercial Scoring 15 Pad”#86)を望ましくは、各データセットを備えた標準として使用する。SCOTCH-BRITEパッド#86は、約33±4の耐久性研磨度値を生じさせるはずである。演算子がこの範囲を外れた耐久性研磨度を確認した場合、これは、僅かな演算子誤差を意味しており、演算子は、この演算子誤差を補正する要因により耐久性研磨度について次の決定を調節するべきである。この要因は、(V/33)であり、この場合、Vは、SCOTCH-BRITEパッド#86についての演算子により定められた値である。SCOTCH-BRITEパッド#86が利用できない場合、代替物として、SCOTCH-BRITEパッド(“General Purpose Commercial Scoring Pad”#96)を標準として用いて良く、この別の基準が定められた範囲内に収まらない場合、14±2として耐久性研磨度の予想値および(V/14)の補正係数が用いられる。
【0099】
5つのサンプルについて研磨度値を平均し、特定の皮膚接触可能要素に関する耐久性研磨度またはプレーン研磨度として記録する。
【0100】
圧縮度および変位度試験
「変位度(Displacement)」は、以下の試験方法を用いて定められ、試験されるべき各物品に関し、5つのサンプルを約41mm直径のサイズに切断する。1度に1つずつ、サンプルを厚さ計(thickness gauge)、例えば、マサチューセッツ州ウォルサム所在のビーシー・アメス(BC Ames)から入手できるAmes Logic Plus(モデルLG3601-1-04)上に置き、サンプルを55mm脚部の下に心出しする。0.5オンス(14.17g)の重量をシャフト上に置き、脚部を穏やかにサンプル上に下降させる。10秒間かけて厚さ計が安定化するようにした後、「初期厚さ(Initial Thickness)」の示度を取る。次に、脚部を上昇させ、0.5オンス(14.17g)ウェイトを8オンス(226.80g)ウェイトに交換する。10秒間かけて厚さ計が安定化するようにした後、「荷重下厚さ(Thickness Under Load)」を記録する。このプロセスを10個のサンプルについて繰り返し実施する。各サンプルに関し、初期厚さと荷重下厚さとの差を計算して記録する。10個のサンプルについての結果を平均し、特定の皮膚接触可能要素に関する変位度として記録する。
【0101】
「圧縮度(Compressibility)」は、サンプルの変位度をその初期厚さで除算して計算され、百分率で表わされる。10個のサンプルについての結果を平均し、特定の皮膚接触可能要素に関する圧縮度として記録する。
【0102】
表面粗さ試験
表面粗さ(Surface Roughness)は、例えば独国テルトウ所在のゲーエフ・メステックニック・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュテンクレル・ハフツング(GF Messtechnik GmbH)から市販されているOptical 30 Skin Measurement Device Primos Compactなど、表面特徴部を測定するよう設計された光学機器を用いて容易に決定される。最大表面粗さと平均表面粗さの両方を求めるため、装置と共に市販されているソフトウェアを利用することができる。測定されるべきサンプルを平らな表面、例えばベンチトップ(必要ならば下方にテーパしている)上に置き、これを合焦させ、約25mm〜約30mmの表面積を「星形粗さ」(半径方向)プロフィールに従って走査する。8次多項式を表面に当てはめて粗さパラメータを求める。最大表面粗さおよび平均表面粗さをソフトウェアインターフェイスの使用により求める。
【実施例】
【0103】
以下の実施例は、本発明の皮膚接触可能要素に関している。本発明の他の実施形態を当業者であれば類推的に具体化できる。
【0104】
〔実施例1〜3〕
自立型繊維状不織布材料(基本重量が約200gsm、厚さが約2.5mmである55%リオセルと45%ポリエステルのニードルパンチ混合物、これは、米国ニュージャージー州トトワ所在のプレシジョン・カスタム・コーティング(Precision Custom Coating)社から入手できる)に研磨性組成物を吹き付けて皮膚接触可能要素を形成した。研磨性組成物は、テキサス州ダラス所在のセラニーズ・コーポレイション(Celanese Corporation)から入手できる約95.7重量%のABX 30 RESIN(その約50重量%は、ポリマーである)と、約4%マイカ(オハイオ州ペインズビル所在のエッカート・アメリカ(Ekhart America)エルピーから入手できる粒径が20〜150ミクロンのPrestige Sparkling Silver)と、アルコ・ケミカル(Alco chemical)社から入手できる約0.3%のポリアクリル酸増粘剤であるALCOGUM 296Wとの混合物である研磨系を含有していた。十分な水を加えて組成物を不織布に吹き付けて以下の表に記載された不織布に対する研磨系の重量で表わされた濃度をもたらした。次に、組成物が被着された不織布を従来型オーブン内で乾燥させた。研磨系を不織繊維の表面上に広く提供した。
【0105】
【表1】

【0106】
次に、不織布/研磨性複合剤を直径が41mmの円形パッドの状態に切断した。次に、調節組成物を複合不織/研磨系の頂面全体にわたってコーティングした。調節組成物は、以下の成分を含有していた。
【0107】
【表2】

【0108】
調節組成物を実験室内で舌圧子を用いて不織/研磨複合剤にコーティングして4インチ(10.16cm)直径のパッドが各々、これにコーティングされた約0.75グラムの調節組成物を有して皮膚接触可能要素を形成するようにした。
【0109】
アダプタを図7に記載した本発明の実施形態に類似した熱成形PETGプラスチックにより形成した。ループ係合可能取り付け部をアダプタの平らな頂面上に持続的に結合した。皮膚接触可能要素をループ係合可能表面上に置き、しっかりと押圧することにより皮膚接触可能要素をアダプタに取り付けた。
【0110】
〔実施例4〕
皮膚接触可能要素を実施例2と同一の仕方で形成した。異なる点は、クレンジング組成物(以下に詳細に説明する)を上述した調節組成物ではなく不織/研磨性複合剤に塗布したことである。
【0111】
【表3】

【0112】
PEG−80ソルビタンラウレートおよび二ナトリウムラウロアンホジ酢酸をビーカ内で互いに添加し、均質になるまで混合した。ブチルパラベン、メチルパラベンおよびプロピルパラベンをこれに添加し、パラベンが溶けるまでゆっくりと混合した。次に、PEG−8およびGlucquatをビーカに添加して混合した。次に、コカミドプロピルベタイン、ラウレス硫酸ナトリウム、デシルグルコシドおよびフェノキシエタノールを添加して混合した。次に芳香剤を添加した。次に、クエン酸を添加し、クエン酸が完全に溶けるまでこれら成分を混合した。pHを6.4〜7.2に調節した。
【0113】
〔実施例5〕
実施例1〜3の皮膚接触可能要素を、実施例1に記載したアダプタを用いて皮膚を研磨的に処置する装置に取り付けた。電動式装置は、商品名“NEUTROGENA Advanced Solutions(登録商標)At Home MicroDermabrasion System”で微小皮膚剥離システムのアプリケータとしてニュートロジーナ・コーポレイション(Neutrogena Corporation)(カリフォルニア州ロサンゼルス所在)から市販されている。用いた速度設定値は、「高」設定値であった。
【0114】
16人の被験者が自宅で毎日1度微小皮膚剥離処置を行った臨床上の評価を実施した。各被験者は、自分の前腕に特定のスポット上で実施例1〜3に記載されたシステムを試験した。1日目、5日目および10日目に、被験者を、細胞増殖(ジェネラル・ホスピタル・コーポレイションに譲渡された米国特許第5,456,260号明細書(発明の名称:「Fluorescence detection of cell proliferation」)に記載された仕方と同様の仕方で、なお、この米国特許を参照することにより、その記載内容を本明細書の一部とする)、経表皮性水分減少、保湿、および水和について臨床的に評価した。結果は以下に示されている。
【0115】
【表4】

【0116】
【表5】

【0117】
〔実施例6〕
スパンボンドされた85gsmとして識別され、SX−247としてグリーン・ベイ・ノンウブンズ(Green Bay Nonwovens)社から入手できる、EVA結合剤がコーティングされた隆起ドットのパターンを有する3層(20%ポリエステル、80%レーヨンを含む)から成る不織パッドを用意した。これを41mm直径のパッドの状態に切断し、これらに0.75グラムのクレンジング組成物を実施例1と同様に塗布して皮膚接触可能要素を形成した。
【0118】
〔実施例7〕
実施例4の皮膚接触可能要素および実施例6の皮膚接触可能要素を実施例5に記載したのと同様に細胞増殖があるかどうかについて試験した。被験者を5日間の処置後に評価した。結果の比較は、実施例6のパッドに関する約33%と比較して、実施例4のパッドに関する約52%のベースライン皮膚上の細胞増殖の%増加を示している。実施例4のパッドが、比較実施例6のパッドと比べて優れた細胞増殖を示した。
【0119】
〔実施例8〕
皮膚接触可能要素を、不織繊維状材料が約300gsmの基本重量を有し、塗布した研磨系の濃度を11%に増大し、約34gsmのパッドと関連した研磨系の基本重量を生じさせた(1平方ヤード(0.84m)当たり1オンス(28.35g))点を除き、実施例4に記載されたのと同様に形成した。
【0120】
〔実施例9〕
皮膚接触可能要素を、不織繊維状材料が約400gsmの基本重量を有し、塗布した研磨系の濃度を8.3%に増大し、約34gsmの研磨系の基本重量を生じさせた(1平方ヤード(0.84m)当たり1オンス(28.35g))点を除き、実施例4に記載されたのと同様に形成した。
【0121】
〔実施例10〕
実施例8および実施例9の皮膚接触可能要素を、処置が掌側前腕と顔面の両方について行われたことを除き、実施例7と同様な細胞増殖があるかどうかについて試験した。被験者を1週間の処置後および2週間の処置後に評価した。顔面上では、2週間目に、実施例8の皮膚接触可能要素は、実施例9の皮膚接触可能要素(約29%細胞増殖率)よりも高い細胞増殖率(約47%)をもたらした。
【0122】
〔実施例11〕
約17.7%の研磨系の濃度を除き実施例8に記載したのと同様な皮膚接触可能要素を用い、その結果、1平方ヤード(0.84m)当たり約1.6オンス(45.36g)の研磨系の基本重量を得た。その他の点においては、皮膚接触可能要素は、ほぼ同じであった。サンプルを先に記載したPrimos Skin Measuring Deviceを用いて表面粗さについて分析した。最大表面粗さは、約758ミクロンであった。平均表面粗さは、約94.6ミクロンであった。
【0123】
〔比較実施例12〕
OLAY Total Effects Daily Cleansing Treatments(オハイオ州シンシナティ所在のプロクター・アンド・ギャンブル(Procter and Gamble)社から入手できる)のサンプルを上述したのと同様の方法を用いて表面粗さについて分析した。最大表面粗さは、約180ミクロンであった。平均表面粗さは、約21ミクロンであった。
【0124】
〔比較実施例13(C13)〕
SCOTCH-BRITEパッド#86を変位度、圧縮度および耐久性研磨度について評価した。結果は、以下の表1に記載されている。
【0125】
〔比較実施例14(C14)〕
SCOTCH-BRITEパッド#96を変位度、圧縮度および耐久性研磨度について評価した。結果は、以下の表1に記載されている。
【0126】
〔比較実施例15(C15)〕
ニュージャージー州プリンストン所在のチャーチ・アンド・ドゥワイト(Church & Dwight)から市販されているBRILLO ScrubおよびTossを変位度、圧縮度および耐久性研磨度について評価した。結果は、以下の表1に記載されている。
【0127】
〔実施例16〜18(E16〜E18)〕
種々の基本重量の繊維および研磨系を備えた皮膚接触可能要素を調製した。パッドにはクレンジング調合物を塗布しなかった。これら皮膚接触可能要素は、その他の点については、実施例1に記載された皮膚接触可能要素と同一であった。これら皮膚接触可能要素を変位度、圧縮度および耐久性研磨度について評価した。結果は、以下の表1に記載されている。
【0128】
〔実施例19〜20(E19〜E20)〕
種々の基本重量の繊維および研磨系を備えた皮膚接触可能要素を調製した。パッドにはクレンジング調合物を塗布しなかった。これら皮膚接触可能要素は、その他の点については、実施例1に記載された皮膚接触可能要素と同一であった。これら皮膚接触可能要素を変位度、圧縮度および耐久性研磨度について評価した。結果は、以下の表1に記載されている。
【0129】
〔実施例21(E21)〕
皮膚接触可能要素を繊維の基本重量が300gsmパッドであり、研磨系の基本重量が1.6オンス(45.36g)であったことを除き、実施例4と同様に調製した。これら皮膚接触可能要素を変位度、圧縮度、耐久性研磨度およびプレーン研磨度について評価した。結果は、以下の表1に記載されている。
【0130】
〔比較実施例22〕
実施例6の皮膚接触可能要素を変位度、圧縮度、耐久性研磨度およびプレーン研磨度について評価した。結果は、以下の表1に記載されている。
【0131】
〔比較実施例23〕
OLAY Total Effects Daily Cleansing Treatments(オハイオ州シンシナティ所在のプロクター・アンド・ギャンブル(Procter and Gamble)社から入手できる)を変位度、圧縮度および耐久性研磨度について評価した。結果は、以下の表1に報告されている。
【0132】
【表6】

【0133】
〔実施の態様〕
(1)機械的皮膚表面修復術の実施方法において、
a)モータ、ならびに、繊維状構造体および前記繊維状構造体に結合された研磨系を含む皮膚接触可能要素、を含む装置と皮膚を接触させるステップと、
b)前記皮膚接触可能要素を介して機械的エネルギーを前記皮膚に与えるステップと、
c)前記皮膚接触可能要素を動かして前記皮膚上の複数個の別々の領域に接触させるステップと、
を含む、方法。
(2)実施態様(1)記載の方法において、
前記研磨系は、前記繊維状構造体に化学的に結合されている、方法。
(3)実施態様(2)記載の方法において、
前記化学的結合は、接着剤による結合である、方法。
(4)実施態様(1)記載の方法において、
前記研磨系は、約−20℃を超えるガラス転移温度を有するポリマーを含む、方法。
(5)実施態様(1)記載の方法において、
前記研磨系は、約5%〜約30%の、繊維に対する研磨系の重量比で存在している、方法。
(6)実施態様(1)記載の方法において、
前記研磨系は、前記繊維状構造体の繊維に沿って分布された複数個の別々の研磨ユニットを含む、方法。
(7)実施態様(6)記載の方法において、
前記別々の研磨ユニットは、約0.05mm〜約0.5mmの最大直線寸法を有する、方法。
(8)実施態様(1)記載の方法において、
前記研磨系は、前記繊維上に形成された被膜を含む、方法。
(9)実施態様(1)記載の方法において、
前記繊維状構造体は、不織布材料を含む、方法。
(10)実施態様(9)記載の方法において、
前記不織布材料は、ニードルパンチ不織布材料を含む、方法。
(11)実施態様(9)記載の方法において、
前記不織布材料は、約1mm〜約5mmの厚さを有する、方法。
【0134】
(12)機械的皮膚表面修復術の実施方法において、
a)モータ、および繊維状構造体を含む研磨性の皮膚接触可能要素を含む装置と皮膚を接触させるステップと、
b)前記皮膚接触可能要素を介して機械的エネルギーを前記皮膚に与えるステップと、
c)前記皮膚接触可能要素を動かして前記皮膚上の複数個の別々の領域に接触させるステップと、
を含む、方法。
(13)繊維状構造体を含む使い捨ての皮膚処置要素において、
a)研磨系(abrasive system)が関連した第1の主要面と、
b)全体として前記第1の主要面と反対側に位置していて、運動発生ユニットのファスナに係合解除可能に係合するよう配置されると共に構成された、第2の主要面と、
を含む、要素。
(14)実施態様(13)記載の要素において、
前記研磨系は、前記第1の主要面を定める繊維に結合された複数個の別々の研磨ユニットを含む、要素。
(15)実施態様(14)記載の要素において、
前記研磨ユニットは、約−20℃を超えるガラス転移温度を有するポリマーを含むことができる、要素。
(16)実施態様(13)記載の要素において、
前記繊維状構造体の前記第1の主要面は、前記第2の主要面よりも剛性が高い、要素。
(17)実施態様(16)記載の要素において、
前記第1の主要面の近くに位置する前記繊維状構造体は、前記第1の主要面から遠ざかって配置された、より弾性の高い繊維状構造体よりも剛性が高い、要素。
(18)実施態様(17)記載の要素において、
前記繊維状構造体の弾性部分は、約1mm〜約5mmの厚さを有する、要素。
【0135】
(19)繊維状構造体を含む使い捨ての皮膚処置要素において、
a)研磨性補剛系(abrasive stiffening system)が関連した第1の主要面と、
b)全体として前記第1の主要面と反対側に位置していて、運動発生ユニットのファスナに係合解除可能に係合するよう配置されると共に構成された、前記第1の主要面より弾性の第2の主要面と、
を含む、要素。
(20)厚さを有する弾性構造体を含む使い捨ての皮膚処置要素において、
a)研磨性補剛系が関連した第1の主要面と、
b)全体として前記第1の主要面と反対側に位置していて、運動発生ユニットのファスナに係合解除可能に係合するよう配置されると共に構成された、前記第1の主要面より弾性の第2の主要面と、
を含み、
前記研磨性補剛系は、前記第1の主要面上にこれに隣接して配置され、
前記第2の主要面、および隣接する、より弾性の部分は、組み合わさって前記弾性構造体の前記厚さの50%よりも高い割合をもたらす、要素。
(21)手持ち型器具と共に用いられる使い捨ての皮膚処置要素において、
2〜14の耐久性研磨度を有する弾性構造体、
を含む、要素。
(22)実施態様(21)記載の要素において、
前記物品は、約0.2mm〜約2.0mmの変位度を有する、要素。
(23)実施態様(22)記載の要素において、
前記物品は、約0.25mm〜約1.0mmの変位度を有する、要素。
(24)実施態様(23)記載の要素において、
前記物品は、約0.25mm〜約0.8mmの変位度を有する、要素。
(25)実施態様(21)記載の要素において、
前記物品は、約20%未満の圧縮度を有する、要素。
(26)実施態様(25)記載の要素において、
前記物品は、約15%未満の圧縮度を有する、要素。
(27)実施態様(26)記載の要素において、
前記物品は、約3%〜約13%の圧縮度を有する、要素。
(28)実施態様(21)記載の要素において、
前記物品は、約1.5mm〜約4.5mmの厚さを有する、要素。
(29)実施態様(21)記載の要素において、
前記物品は、約200ミクロン〜約3000ミクロンの最大表面粗さを有する、要素。
(30)実施態様(29)記載の要素において、
前記物品は、約350ミクロン〜約1500ミクロンの最大表面粗さを有する、要素。
(31)実施態様(21)記載の要素において、
前記物品は、約25ミクロン〜約300ミクロンの平均表面粗さを有する、要素。
(32)実施態様(21)記載の要素において、
前記物品は、約3〜約10の耐久性研磨度を有する、要素。
(33)実施態様(21)記載の要素において、
前記物品は、繊維を含む、要素。
(34)請求項33記載の要素において、
前記物品は、ニードルパンチ繊維を含む、要素。
(35)実施態様(33)記載の要素において、
前記物品は、繊維、および前記繊維に結合された研磨系を含む、要素。
【0136】
(36)手持ち型器具と共に用いられる使い捨ての皮膚処置要素において、
約1〜約14の耐久性研磨度および約7%〜約18%の圧縮度を有する弾性構造体、
を含む、要素。
(37)手持ち型器具と共に用いられる使い捨ての皮膚処置要素において、
約1〜約14の耐久性研磨度および約0.15〜約2の変位度を有する弾性構造体、
を含む、要素。
(38)手持ち型器具と共に用いられる使い捨ての皮膚処置要素において、
約0.15mm〜約2.0mmの変位度および約350ミクロン〜約1500ミクロンの最大表面粗さを有する弾性構造体、
を含む、要素。
(39)機械的皮膚表面修復術に用いられる皮膚処置要素において、
a)第1の皮膚接触面と、
b)前記第1の皮膚接触面と実質的に反対側に位置し、手持ち型器具に解放可能に取り付けられるよう配置されると共に構成された、第2の表面と、
を含み、
前記パッドの前記第1の表面は、2〜14の耐久性研磨度を有する、要素。
(40)機械的皮膚表面修復術用システムにおいて、
a)繊維状の皮膚接触可能要素に係合解除可能に係合するループに係合可能な表面と、
b)モータと、
c)前記モータから前記ループ係合可能表面および前記繊維状の皮膚接触可能要素に運動を伝える手段と、
を含む、システム。
(41)実施態様(40)記載のシステムにおいて、
前記ループ係合可能表面は、前記繊維状の皮膚接触可能要素に係合する複数個の突起を含む、システム。
(42)実施態様(40)記載のシステムにおいて、
前記突起は各々、約0.002mm2を超える表面積を有するよう構成されている、システム。
(43)実施態様(40)記載のシステムにおいて、
前記突起は各々、約0.02mm2を超える表面積を有するよう構成されている、システム。
(44)実施態様(40)記載のシステムにおいて、
前記突起は各々、約0.2mm2〜約2mm2の表面積を有するよう構成されている、システム。
(45)実施態様(40)記載のシステムにおいて、
前記突起は、丸形である、システム。
(46)実施態様(40)記載のシステムにおいて、
前記突起は、1平方ミリメートル当たり約0.25個を超える突起(0.25/mm2)の平均数密度で存在している、システム。
(47)実施態様(46)記載のシステムにおいて、
前記突起は、約0.75/mm2を超える平均数密度で存在している、システム。
(48)実施態様(47)記載のシステムにおいて、
前記突起は、約2/mm2を超える平均数密度で存在している、システム。
(49)実施態様(40)記載のシステムにおいて、
前記突起は、カール形状、弧状、マッシュルーム形、T字形、Y字形、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、システム。
(50)実施態様(40)記載のシステムにおいて、
前記突起は、約0.25/mm2を超える数密度、および約0.05mmより高い高さを有する、システム。
(51)実施態様(40)記載のシステムにおいて、
前記突起は、約0.75/mm2を超える数密度、および約0.10mmより高い高さを有する、システム。
(52)実施態様(40)記載のシステムにおいて、
前記装置は、本体を更に有し、
前記ループ係合可能表面は、前記本体に接着剤で固定されている、システム。
【0137】
(53)電動式装置を使い捨ての皮膚接触可能要素に連結する連結器具において、
a)前記連結器具を前記電動式装置の表面に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された、第1の取り付け面と、
b)前記使い捨ての皮膚接触可能要素を前記連結器具に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された、第2の取り付け面と、
を含み、
前記第1の取り付け面および前記第2の取り付け面は、前記第1の取り付け面と前記第2の取り付け面との間で運動を伝えるよう連結されている、連結器具。
(54)電動式装置を使い捨ての皮膚接触可能要素に連結する連結器具において、
a)前記連結器具を前記電動式装置の表面に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された、第1の取り付け部分と、
b)前記使い捨ての皮膚接触可能要素を前記連結器具に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された、第2の取り付け部分と、
を含み、
前記第1の取り付け部分および前記第2の取り付け部分は、前記第1の取り付け部分と前記第2の取り付け部分との間で運動を伝えるよう連結され、
前記第2の取り付け部分は、前記使い捨ての皮膚接触可能要素の防水性連結を行うよう配置されると共に構成されている、連結器具。
(55)実施態様(54)記載の連結器具において、
防水性の前記第2の取り付け部分は、マジックテープ取り付けシステムの一部分を含む、連結器具。
(56)実施態様(55)記載の連結器具において、
前記防水性の第2の取り付け部分は、ループ係合可能構造体を含む、連結器具。
(57)実施態様(56)記載の連結器具において、
前記ループ係合可能構造体は、複数個のマッシュルーム形要素を含む、連結器具。
(58)実施態様(54)記載の連結器具において、
前記第1の取り付け部分は、3.45×103Pa(約0.5ポンド/平方インチ(psi))〜1.38×105Pa(約20psi)の取り外し強度を前記電動式装置にもたらすよう配置されると共に構成されている、連結器具。
(59)実施態様(58)記載の連結器具において、
前記取り外し強度は、1.38×104Pa(約2psi)〜6.90×104Pa(約10psi)である、連結器具。
(60)実施態様(54)記載の連結器具において、
前記第1の取り付け部分と前記第2の取り付け部分との間に、全体として切頭円錐形の区分、
を含む、連結器具。
(61)実施態様(54)記載の連結器具において、
ポリマー形成材料、
を含む、連結器具。
(62)実施態様(61)記載の連結器具において、
前記ポリマー形成材料は、熱可塑性構造体を含む、連結器具。
(63)実施態様(62)記載の連結器具において、
前記熱可塑性構造体は、射出成形構造体を含む、連結器具。
(64)実施態様(62)記載の連結器具において、
前記熱可塑性構造体は、真空形成構造体を含む、連結器具。
【0138】
(65)皮膚の広い範囲を研磨的に処置するシステムにおいて、
a)手持ち型電動式装置であって、前記電動式装置と接触状態に置かれた皮膚に運動を与えるよう配置されると共に構成された、手持ち型電動式装置と、
b)使い捨ての皮膚接触可能要素と、
c)連結器具であって、
i)前記連結器具を前記電動式装置の表面に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された第1の取り付け部分、および
ii)前記使い捨ての皮膚接触可能要素を前記連結器具に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された第2の取り付け部分、
を含み、
前記第1の取り付け部分および前記第2の取り付け部分は、前記第1の取り付け部分と前記第2の取り付け部分との間で運動を伝えるよう連結され、前記第2の取り付け部分は、前記使い捨ての皮膚接触可能要素の防水性連結を行うよう配置されると共に構成されている、
連結器具と、
を含む、システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式装置を使い捨ての皮膚接触可能要素に連結する連結器具において、
a)前記連結器具を前記電動式装置の表面に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された、第1の取り付け面と、
b)前記使い捨ての皮膚接触可能要素を前記連結器具に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された、第2の取り付け面と、
を含み、
前記第1の取り付け面および前記第2の取り付け面は、前記第1の取り付け面と前記第2の取り付け面との間で運動を伝えるよう連結されている、連結器具。
【請求項2】
電動式装置を使い捨ての皮膚接触可能要素に連結する連結器具において、
a)前記連結器具を前記電動式装置の表面に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された、第1の取り付け部分と、
b)前記使い捨ての皮膚接触可能要素を前記連結器具に解放可能に連結するよう配置されると共に構成された、第2の取り付け部分と、
を含み、
前記第1の取り付け部分および前記第2の取り付け部分は、前記第1の取り付け部分と前記第2の取り付け部分との間で運動を伝えるよう連結され、
前記第2の取り付け部分は、前記使い捨ての皮膚接触可能要素の防水性連結を行うよう配置されると共に構成されている、連結器具。
【請求項3】
請求項2記載の連結器具において、
防水性の前記第2の取り付け部分は、マジックテープ取り付け部材の一部分を含む、連結器具。
【請求項4】
請求項3記載の連結器具において、
前記防水性の第2の取り付け部分は、ループ係合可能構造体を含む、連結器具。
【請求項5】
請求項4記載の連結器具において、
前記ループ係合可能構造体は、複数個のマッシュルーム形要素を含む、連結器具。
【請求項6】
請求項2記載の連結器具において、
前記第1の取り付け部分は、3.45×10Pa(0.5ポンド/平方インチ(psi))〜1.38×10Pa(20psi)の取り外し強度を前記電動式装置にもたらすよう配置されると共に構成されている、連結器具。
【請求項7】
請求項6記載の連結器具において、
前記取り外し強度は、1.38×10Pa(2psi)〜6.90×10Pa(10psi)である、連結器具。
【請求項8】
請求項2記載の連結器具において、
前記第1の取り付け部分と前記第2の取り付け部分との間に、切頭円錐形の区分、
を含む、連結器具。
【請求項9】
請求項2記載の連結器具において、
ポリマー形成材料、
を含む、連結器具。
【請求項10】
請求項9記載の連結器具において、
前記ポリマー形成材料は、熱可塑性構造体を含む、連結器具。
【請求項11】
請求項10記載の連結器具において、
前記熱可塑性構造体は、射出成形構造体を含む、連結器具。
【請求項12】
請求項10記載の連結器具において、
前記熱可塑性構造体は、真空形成構造体を含む、連結器具。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−254313(P2012−254313A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−175807(P2012−175807)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2008−518442(P2008−518442)の分割
【原出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(598039367)ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・カンパニーズ・インコーポレイテッド (79)
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Companies,Inc.
【住所又は居所原語表記】Grandview Road,Skillman,New Jersey 08558,United States of America
【Fターム(参考)】