説明

機能性まるごと緑色野菜の製造方法

【課題】
本発明は、ケール及びニラの植物組織をまるごと酵素分解と機械的微粉砕作用、又は攪拌作用の相乗作用により酵素分解して低分子化し、規格外品も廃棄物として廃棄せず、滑らかで保健性に富んだ機能性まるごとケール及び機能性まるごとニラの機能性緑色野菜ペーストとパウダーを生成し、高度利用、高付加価値化して健康食品及び食品素材として、健康と環境に貢献し広く社会に提供する。
【解決手段】
ケール及びニラの緑色野菜を酵素処理技術と機械的微粉砕技術の相乗作用により短時間に効率よくまるごと処理して低分子の機能性まるごと緑色野菜ペースト及びパウダーを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアブラナ科植物のケ−ル、及び硫化アリルを含むニラの緑色野菜をまるごと酵
素分解と液中機械的微粉砕の相乗作用により低分子の機能性まるごと緑色野菜ペースト及
びパウダーを生成する発明に関する。
【背景技術】
【0002】
健康野菜として健康食品に用いられているケール及びニラの緑色は、クロロフィルが緑色の光だけを反射する故に目に鮮やかに映る、ケール及びニラには、抗酸化作用、ガン予防、コレステロール調整(動脈硬化予防)、外用殺菌効果の効果、効能があり、ビタミン、ミネラルを多く含んでいるため、いろいろの提案や発明がなされているが酵素利用技術による機能性まるごとケール及び機能性まるごとニラの緑色野菜の製造方法は見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008―194021号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】中村丁次監修、病気にならない7色野菜、(平成20年)(株)法研
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、栄養豊富なアブラナ科ケール、及び硫化アリルを含有するニラの緑色野菜成分まるごと食品として美味しく摂取できるように、酵素分解処理を施し、規格外の生産物でも廃棄することなく活用し、品質の保全と製品の優良化を図り、機能性まるごとケール及び機能性まるごとニラを生成して、高度利用・高付加価値化して機能性まるごと緑色野菜ペースト及びパウダーを生成しょうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するもので、下記構成の機能性まるごとケール及び機能性まるごとニラの緑色野菜ペースト及びパウダーの製造方法で、ケール、ニラをよく洗浄した後、剪断・磨砕を施し、酵素分解と機械的微粉砕装置(以下バイオミルリアクター称する)又は攪拌機ニーダーとの相乗作用により低分子化して滑らかな食感と保健性を有するケール及びニラの機能性まるごと緑色野菜ペースト及びパウダーを生成する。
【0007】
本発明は、pH調整なしでケール、ニラを酵素の存在下で液中機械的微粉砕作用や攪拌作用を施し、酵素反応速度の増大、及び固形物粒子の更新により表面積の増大を図る、それに伴い酵素との接触面積が増大し、酵素の反応効率が格段に向上して反応時間が大幅に短縮され、また固形物が一層微細化されて、製品の舌触り、喉ごしが滑らかになり,食感、食味が良好となる、またpH調整をしないで反応させるため多少酵素量が多くなるが製造上の手間が省け、かつ製品のpH調整剤による味の変化に悪影響を与えることがない。
【0008】
アブラナ科のケールをまるごと緑色野菜ペーストに製造する過程において、pH調整をせず温水と植物組織崩壊・繊維分解混合酵素溶液の存在下で、液中機械的攪拌作用させながら酵素反応を施して低分子化し、かつ上記の酵素分解の条件は植物組織・繊維分解混合酵素の添加量が0.05〜1.0%重量、反応温度が40〜60℃、反応時間60〜90分間とし、含有固形物の平均粒径が150〜50μmであるまるごと緑色野菜ケールペーストを生成する。
【0009】
アブラナ科のケールをまるごと緑色野菜ペーストに製造する過程において、pH調整をせず温水と澱粉質液化酵素及び植物組織崩壊・繊維分解混合酵素溶液の存在下で、液中機械的微粉砕作用させながら酵素反応を施して低分子化し、かつ原料に対して0.3〜1.0倍の温水60〜80℃、澱粉質液化酵素0.05〜0.5%重量を添加混合して糖質を液化し、続いて、温度を50℃に調整して植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素を添加して酵素反応を施し、上記植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素反応条件は、添加量0.1〜1.0%重量、反応温度40〜60℃、反応時間30〜60分間とし、平均粒径が150〜50μmであるまるごと緑色野菜ケールペーストを生成する。
【0010】
硫化アリルを含有するニラをまるごと緑色野菜ペーストに製造する過程において、pH調整をせず温水と植物組織崩壊・繊維分解混合酵素溶液の存在下で液中機械的攪拌作用させながら酵素反応を施して低分子化し、かつ上記の酵素分解の条件は植物組織・繊維分解混合酵素の添加量が0.05〜1.0%重量、反応温度が40〜60℃、反応時間60〜90分間とし、含有固形物の平均粒径が150〜50μmである機能性緑色野菜ニラペーストを生成する。
【0011】
0008〜0010項の機能性緑色野菜ペーストを130〜160℃の瞬間加熱乾燥機を用いて加熱乾燥を施し、含有固形物の平均粒径が150〜30μm である機能性まるごと緑色野菜パウダーを生成する。
【0012】
機能性まるごと緑色野菜ペーストに対してクラスターデキストリン10.0〜40.0%重量を添加混合して矯臭、矯味を包接し、瞬間加熱乾燥機を用いて乾燥する乾燥賦形剤としてパウダーの品質保全と製品の優良化を図り機能性まるごと緑色野菜パウダーを生成する。
【0013】
澱粉質液化酵素はBacillus subtilis属菌株の産生するα−アミラーゼを用いてpH4.0〜7.0、温度65〜80℃、添加量0.05〜1.0%重量で糖質を液化してオリゴ糖とデキストリンを生成し、粘度の低下と品質の向上を図り機能性まるごと緑色野菜ペーストを生成する。
【0014】
機能性まるごと緑色野菜を低分子にする分解する植物組織崩壊酵素・繊維素分解混合酵
素はRhizopus sp.属菌株の産生するペクチナーゼ、ヘミセルラーゼとTricoderma viride
属菌株Aspergillus nigerの産生するセルラーゼ、ヘミセルラーゼの混合酵素で高力価を含有し、pH4.0〜7.0%重量、反応温度40〜60℃で植物組織を崩壊し、硬い繊維素を分解して機能性まるごと緑色野菜ペースト及びパウダーを生成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、保健性に優れるケール及び硫化アリルを含有するニラをまるごと酵素分解して低分子化し、また規格外の生産物も廃棄することなくまるごと活用することにより環境に優しいエコ製法となり、pH調整を行わず簡便に効率よく酵素分解と液中機械微的粉砕作用の相乗作用により、短時間に低分子化して滑らかで美味しい機能性まるごと緑色野菜ペースト及びパウダーを生成する。
これを機能性食品及び食品素材として利用し、高付加価値化して、人々の健康と環境を守る保健性の高い機能性食品を生成して広く社会に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本醗明の実施方法を示した説明図である。
【図2】本発明の実施機械的微粉砕装置の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態は、図の示す通りである。
本発明の一様態を実施例によって説明する。
本発明の実施形態として
図1は、ケール、ニラの機能性緑色野菜をまるごと植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素の存在下で酵素分解を施して機能性まるごと緑色野菜ぺースト及びパウダーを生成する製造形態である。
図2は、酵素分解を相乗的に作用させる機械微粉砕装置で、固形物の表面部の更新と表面積を拡大し、それに伴い酵素との接触面積が増大して、酵素反応を相乗的に高めることができる攪拌、循環、微粉砕、温度調整機能を有する酵素分解機械装置である。
【0018】
本発明のまるごと緑色野菜ペーストの製造方法は、原料をよく水洗いした後、チョパーで剪断、スーパーマスコーロイダーで磨砕して攪拌機ニーダー、又はバイオミルリアクターに投入し、原料に対して植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素又は液化酵素を添加して酵素反応を施して低分子化し、平均粒径を100mesh pass以下の機能性まるごと緑野菜ペーストを生成する。
【0019】
機能性まるごと緑色野菜ペーストにクラスターデキストリン10.0〜40.0%重量を添加して矯臭、矯味を包接し、スプレードライヤー,または、フリーズドライヤーで乾燥してパウダーの品質保全と製品の優良化を図り機能性まるごと緑色野菜及び機能性まるごと緑色野菜パウダーを生成することができる。
以下に、本発明の実施例に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0020】
ケール1kgを水で洗浄し、チヨッパーで剪断、マスコーロイダーで磨砕して撹拌機ニーダーに投入し、植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素2gを添加し60分間酵素反応を施して低分子化し、電動篩機で100mesh passして、これを耐熱袋に充填して85℃、10分間殺菌して0.9Lの機能性まるごと緑色野菜ケールペーストを生成した。
この機能性まるごと緑色野菜ケールペーストを−20℃以下で冷凍保存した。
【実施例2】
【0021】
ケール1kgを水でよく洗浄し、チヨッパーで剪断、マスコーで磨砕してバイオミルリアクターに投入し、75℃の温水0.5Lと澱粉質液化酵素1.5gを添加し30分間酵素反応し、続いて温度を50℃に調整して植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素3gを添加し60分間酵素反応を施して低分子化し、電動篩機で100mesh passして、これを耐熱袋に充填して85℃、10分間殺菌して13.4Lの機能性まるごと緑色野菜ケールペーストを生成した。この機能性まるごと緑色野菜ケールペーストを−20℃以下で冷凍保存した。
【実施例3】
【0022】
ニラ1kgを水でよく洗浄し、チヨッパーで剪断及びマスコーロイダーで磨砕して撹拌機ニーダーに投入し、植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素2gを添加し温度50℃、90分間酵素反応を施して低分子化し、電動篩機で100mesh passして、これを耐熱袋に充填して85℃、10分間殺菌して0.91Lの機能性まるごと緑色野菜ニラペーストを生成した。この機能性まるごとの緑色野菜ニラペーストを−20℃以下で冷凍保存した。
【実施例4】
【0023】
ケール10.0kgを水でよく洗浄しチヨッパーで剪断、マスコーで磨砕して、バイオミルリアクターに投入し、温水75℃、5.0Lと澱粉質液化酵素15gを添加して30分間酵素反応を施して糖質を液化し、続いて植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素30gを添加し60分間酵素反応を施して低分子化し、電動篩機で100mesh passして、これにクラスターデキストリン3.0kgを添加混合して15.5Lの機能性まるごとケールの緑色野菜ペーストを生成した。
この機能性まるごとケール緑色野菜ペーストを150℃のダブルドラムドライヤーで乾燥して3.1kgの機能性まるごとケールの緑色野菜パウダーを生成した。
【実施例5】
【0024】
ニラ10kgをよく水で洗浄し、チヨッパーで剪断、マスコーで磨砕して撹拌機ニーダーに投入し、植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素30gを添加し50℃、60分間酵素反応を施して電動篩機で100mesh passし、9.3Lの機能性まるごと緑色野菜ニラペーストを生成した。
この機能性まるごと緑色野菜ニラペーストを150℃のダブルドラムドライヤーで乾燥して710gの機能性まるごと緑色野菜ニラパウダーを生成した。

(機能性まるごとケール及びニラの成分)
【0025】


【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、まるごとケール、まるごとニラを酵素分解処理して低分子化し、滑らかで保健性の高い機能性まるごと緑色野菜ペースト及びパウダーを生成する、規格外生産物も含めて廃棄物を出さず効率よく加工時間を短縮して品質の向上と生産性を高めて、飲みやすい健康食品として利用し高付加価値化する。
特にクロロフィルの役割や構造は、身体にある赤血球に含まれて、酸素を運ぶヘモグロビンと似て、鉄とマグネシウムと結びついて殺菌効果、コレステロール調整などに関連して抗酸化作用、ガン予防などを有し、また、食効が健康維持、疲労回復、更に生活習慣病、美容・美肌効果をもたらし、製麺、製菓、健康食品として、病人、介護食に使用することができ健康食品・食品素材として健康と環境に役立ち広く社会に提供することができる。

【符号の説明】
【0027】
1 微粉砕機能
2 攪拌機能
3 温度調整タンク
4 循環パイプ
5 モーター
6 原料タンク
7 製品出口
8 原料投入口




【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブラナ科のケールをまるごと緑色野菜ペーストに製造する過程において、pH調整をせず温水と植物組織崩壊・繊維分解混合酵素溶液の存在下で、液中機械的攪拌作用させながら酵素反応を施して低分子化し、かつ上記の酵素分解の条件は植物組織・繊維分解混合酵素の添加量が0.05〜1.0%重量、反応温度が40〜60℃、反応時間60〜90分間とし、含有固形物の平均粒径が150〜50μmであるまるごと緑色野菜ケールペーストを生成することを特徴とする機能性まるごと緑色野菜ペーストの製造方法。
【請求項2】
アブラナ科のケールをまるごと緑色野菜ペーストに製造する過程において、pH調整をせず温水と澱粉質液化酵素及び植物組織崩壊・繊維分解混合酵素溶液の存在下で、液中機械的微粉砕作用させながら酵素反応を施して低分子化し、かつ原料に対して0.3〜1.0倍の温水60〜80℃、澱粉質液化酵素0.05〜0.5%重量を添加混合して糖質を液化し、続いて、温度を50℃に調整して植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素を添加して酵素反応を施し、上記植物組織崩壊・繊維素分解混合酵素反応条件は、添加量0.1〜1.0%重量、反応温度40〜60℃、反応時間30〜60分間とし、平均粒径が150〜50μmであるまるごと緑色野菜ケールペーストを生成することを特徴とする機能性まるごと緑色野菜ペーストの製造方法。
【請求項3】
硫化アリルを含有するニラをまるごと緑色野菜ペーストに製造する過程において、pH調整をせず温水と植物組織崩壊・繊維分解混合酵素溶液の存在下で、液中機械的攪拌作用させながら酵素反応を施して低分子化し、かつ上記の酵素分解の条件は植物組織崩壊・繊維分解混合酵素の添加量が0.05〜1.0%重量、反応温度が40〜60℃、反応時間60〜90分間とし、含有固形物の平均粒径が150〜50μmである機能性まるごと緑色野菜ニラペーストを生成することを特徴とする機能性まるごと緑色野菜ペーストの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3請求項のまるごと緑色野菜ペーストを150〜160℃の瞬間加熱乾燥機を用いて加熱乾燥を施し、含有固形物の平均粒径が150〜30μm である機能性
まるごと緑色野菜パウダーを生成することを特徴とする機能性まるごと緑色野菜ペーストの製造方法。
【請求項5】
機能性まるごと緑色野菜ペーストに対してクラスターデキストリン10.0〜40.0%重量を添加混合して矯臭、矯味を包接し、瞬間加熱乾燥機を用いて乾燥する乾燥賦形剤としてパウダーの品質保全と製品の優良化を図る機能性まるごと緑色野菜パウダーを生成することを特徴とする機能性まるごと緑色野菜ペーストの製造方法。
【請求項6】
澱粉質液化酵素はBacillus subtilis属菌株の産生するα−アミラーゼを用いてpH 4.0〜7.0、温度65〜80℃、添加量0.05〜1.0%重量で糖質を液化してオリゴ糖とデキストリンを生成し、粘度の低下と品質の向上を図り機能性まるごと緑色野菜ペーストを生成することを特徴とする機能性まるごと緑色野菜ペーストの製造方法。
【請求項7】
機能性まるごと緑色野菜を低分子にする分解する植物組織崩壊酵素・繊維素分解混合酵
素はRhizopus sp.属菌株の産生するペクチナーゼ、ヘミセルラーゼとTricoderma viride
属菌株Aspergillus nigerの産生するセルラーゼ、ヘミセルラーゼの混合酵素で高力価を含
有し、pH4.0〜7.0%重量、反応温度40〜60℃で植物組織を崩壊し、硬い繊維素を分解して機能性まるごと緑色野菜ペースト及びパウダーを生成することを特徴とする機能性まるごと緑色野菜ペーストの製造方法。
















【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−139697(P2011−139697A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67414(P2010−67414)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(592121952)澤産業株式会社 (8)
【Fターム(参考)】