説明

機能性不織布シート及び機能性不織布シートの製造方法

【課題】特に、調湿性及びガス吸着性を有する原料の充填量を多くした良好な不織布シートを得ることを可能とすることで、高い調湿性やガス吸着性を実現するとともに、継続使用することで、アトピーや花粉症や喘息等の症状の改善が明確に認められる健康増進作用のある有用な機能性不織布シートを提供すること。
【解決手段】2枚の不織布の間に、ホットメルト接着剤で固定して形成された珪質頁岩粒の層が挟持されてなり、該珪質頁岩粒の層は、質量基準で、珪質頁岩粒100部に対してホットメルト接着剤が3〜50部を含んでなることを特徴とする機能性不織布シート、及び該シートの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿性及びガス吸着性に優れ、目覚ましい健康増進機能をも有する機能性不織布シート及び機能性不織布シートの製造方法に関する。さらには、調湿性及びガス吸着性に優れる材料の充填量を多くでき、しかも所望する充填量に制御でき、多様な用途に適合し得る、使用目的に合致した硬さや柔軟性や風合いを有する機能性不織布シートを簡便に得ることができる機能性不織布シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアコンの普及などに伴って建物の高気密化、高断熱化の進行は目覚ましく、従来の住宅などに比べて居住空間内の自然換気量は激減している。このような室内外の換気不良は、室内に水蒸気がこもって壁や窓などに結露を生じさせる原因となったり、カビやダニの発生原因となっている。また、室内外の換気不良は、日常生活において発生するアンモニア、硫化水素又はメルカプタンなどの悪臭ガスが室内空間に滞留する原因や、建材や家具材料から発生する揮発性有機化合物(VOC)が室内空間に長く滞留する原因にもなっている。上記に挙げたカビやダニやVOCガスは、近年増大しているアレルギー症状や化学物質過敏症を発症する原因物質であると言われている。このため、居住空間内における調湿やガス吸着の問題は、大きな社会問題になっている。
【0003】
このような状況下、調湿性及びガス吸着性に優れた種々の材料についての提案も多くなされており、吸放湿機能により結露を防止できる調湿性能と、VOCや悪臭ガスを消臭できるガス吸着性能とを併せ持つ、調湿性及びガス吸着性に優れる機能性材料の開発が待望されている。このようなニーズに対応すべく、天然の無機材料である、活性炭やシリカゲル、ゼオライト、珪藻土といった種々の吸着材料による調湿やガス吸着除去の研究開発が進められている。その一つとして、珪藻土に分類される珪質頁岩がある。
【0004】
珪質頁岩は、珪藻質泥を根源とした堆積物であるが、結晶化による硬質化が進んだ固く割れ易い頁岩であり、特有の性状を示し、一般に珪藻土と呼ばれている珪藻泥岩とは明確に区別されるものである。中でも、北海道天北地方から産出される稚内層珪質頁岩は、細孔半径3.5〜6nmにシャープな細孔径分布を持ち、細孔容積が0.1〜0.4ml/g、比表面積が80〜150m2/g、平均細孔半径が2〜7nm程度であり、極めて微細な細孔を多数持つという特有の性質を有している。上記のような特性を有する珪質頁岩は、近年、極めて高い吸放湿特性を示し、しかも800℃程度の温度で焼成してもその吸放湿性が損なわれることがないことが明らかとなり、珪質頁岩を調湿機能性材料として利用することが提案されている(特許文献1参照)。珪質頁岩の有する吸放湿特性は、細孔吸湿量が15%以上、具体的には20〜25%程度という高い水分吸収力に加えて、相対湿度を自立的に制御できるという極めて優れたものである。また、珪質頁岩は、吸湿特性に優れるシリカゲルや、優れたガス吸着材料である活性炭に比べて安価であり、この点からも有用な材料であると言える。
【0005】
さらに、近年、珪質頁岩の持つアンモニアなどの塩基性ガスに対する吸着能力も明らかになり、調湿機能と消臭機能とを有する調湿消臭材料についての提案もある(特許文献2参照)。また、珪質頁岩は、アセトアルデヒドに対する吸着効果を有していることも分かっている(非特許文献1参照)。
【0006】
一方、居住空間内における調湿やガス吸着の問題に対処する製品として、居住空間内で使用するための種々の調湿シートが提案されている。例えば、不織布と覆材との間に吸湿性に優れたシリカゲルをホットメルト接着剤で接着させた畳下調湿シートについての提案がある(特許文献3参照)。その他、活性炭や炭を使用した脱臭効果のあるシート状の製品も多数知られている。
【0007】
【特許文献1】特開平4−354514号公報
【特許文献2】特開2001−219059公報
【特許文献3】特開2002−155616公報
【非特許文献1】T.Kanno,et al.,J.Ceramic Soc.Jap.111,6,396−400,2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来知られている調湿シートや消臭シートは、調湿性やガス吸着性において十分なものとは言えず、近年の建物の高気密化、高断熱化の進行に対処できる、より高機能の調湿シートの開発が望まれている。さらに、従来知られている調湿シートや消臭シートは、扁平で硬いものであり、使用目的が限定されるという問題があった。これに対して、使用目的に合致した硬さや柔軟性や風合いを有する、調湿性やガス吸着性において優れ、しかも安価な高機能シートが開発されれば、その用途は無限の可能性があり、非常に有用である。さらに、調湿シートや消臭シートは、布団や絨毯の下敷きとして、合成畳や絨毯の形成材料として、或いは敷物や壁掛け等として、多様な形で生活空間の中で日常的に使用されることが多く、特に高気密化した居住空間で、これらのものを使用する場合には、製品自体が健康障害を引き起こす恐れの全くないものであることが要求される。さらに、人の身近に置かれて日常的に使用されるものであることから、これによって、室内、特に人の身近の湿度や雰囲気ガスを健康増進作用が望めるものに改善できれば、近年において社会問題化しつつある、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患や喘息に対しても症状の改善が図られる可能性があり、より有用なものとなる。
【0009】
したがって、本発明の目的は、従来にない高い調湿性及びガス吸着性を有し、且つ、健康増進作用が認められ、しかも、様々な硬さや柔軟性や風合いを実現した機能性不織布シートを提供することにある。また、本発明の別の目的は、使用目的に合致した硬さや柔軟性や風合いを有する多様な形態の機能性不織布シートを簡便に得ることができる、機能性不織布シートの製造方法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、特に、調湿性及びガス吸着性を有する原料の充填量を多くした良好な不織布シートを得ることを可能とすることで、高い調湿性やガス吸着性を実現するとともに、継続使用することで、アトピー性皮膚炎や花粉症や喘息等の症状の改善が明確に認められる健康増進作用のある有用な機能性不織布シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記に挙げた課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明は、2枚の不織布の間に、ホットメルト接着剤で固定して形成された珪質頁岩粒の層が挟持されてなり、該珪質頁岩粒の層は、質量基準で、珪質頁岩粒100部に対してホットメルト接着剤が3〜50部を含んでなることを特徴とする機能性不織布シートである。
【0011】
上記の本発明の機能性不織布シートのより好ましい形態としては、下記に挙げるものがある。
前記珪質頁岩粒が、比表面積が80m2/g以上、平均細孔半径が2〜7nmであって、粒径が0.2〜2.5mmの範囲にある上記の機能性不織布シート。前記珪質頁岩粒を、100g/m2〜1,000g/m2の量で含んでなる上記の機能性不織布シート。前記珪質頁岩粒を300g/m2〜800g/m2の量で含んでなる上記の機能性不織布シート。前記珪質頁岩粒が、アルカリ化合物を担持した珪質頁岩粒、強アルカリ化合物の水溶液によって処理された珪質頁岩粒及び600℃〜1,000℃の温度で焼成してなる珪質頁岩粒の何れかである上記の機能性不織布シート。前記珪質頁岩粒の層中に、さらに酸化チタン又は微量放射線を発生する鉱物を含む上記の機能性不織布シート。絨毯用基材、畳用材料、寝具用材料、敷物用材料、インテリア材料、衣料用材料及び収納用材料の何れかである上記の機能性不織布シート。
【0012】
また、本発明の別の実施形態は、2枚の不織布の間に、ホットメルト接着剤で固定して形成された珪質頁岩粒の層が挟持されてなる機能性不織布シートの製造方法であって、含水率が25%以下になるように乾燥させた珪質頁岩粒材料を用い、質量基準で、該珪質頁岩粒100部に対して3部〜50部の範囲で混合させた粉末粒状のホットメルト接着剤を溶融することで、2枚の不織布の間に、珪質頁岩粒を100g/m2以上1,000g/m2以下の範囲の量で含む珪質頁岩粒の層を形成させることを特徴とする機能性不織布シートの製造方法である。
【0013】
上記の本発明の機能性不織布シートの製造方法のより好ましい形態としては、下記の方法が挙げられる。
前記珪質頁岩粒材料に、含水率が0%以上15%以下になるように乾燥させた珪質頁岩粒を用いる上記の機能性不織布シートの製造方法。前記珪質頁岩粒材料に、予め、表面に付着している珪質頁岩粒の粉体の除去処理がされた珪質頁岩粒を用いる上記の機能性不織布シートの製造方法。前記珪質頁岩粒材料に、予め、表面に付着している珪質頁岩粒の粉体をバインダによって珪質頁岩粒の表面に固定させる処理を施した珪質頁岩粒を用いる上記の機能性不織布シートの製造方法。前記珪質頁岩粒材料に、比表面積が80m2/g以上、平均細孔半径が2〜7nmであって、粒径が0.2〜2.5mmの範囲のものを用いる上記の機能性不織布シートの製造方法。前記珪質頁岩粒材料に、アルカリ化合物を担持した珪質頁岩粒、強アルカリ化合物の水溶液によって処理された珪質頁岩粒及び600℃〜1,000℃の温度で焼成してなる珪質頁岩粒の何れかを用いる上記の機能性不織布シートの製造方法。前記珪質頁岩粒材料中に、さらに酸化チタン又は微量放射線を発生する鉱物の何れかを含有させて用いる上記の機能性不織布シートの製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、珪質頁岩を使用し、かつ、その高い充填量を実現することで、従来にない高い調湿性及びガス吸着性を有し、且つ、喘息やアレルギー症状が緩和されるという健康増進作用が認められるという画期的な高機能性シートであって、しかも、様々な硬さや柔軟性や風合いを実現した多目的に使用可能な機能性不織布シートが提供される。また、本発明によれば、珪質頁岩粒の充填量を多くでき、しかも所望する充填量に制御できる結果、上記した使用目的に合致した硬さや柔軟性や風合いを有する多様な形態の高機能の不織布シートを簡便に得ることができる、機能性不織布シートの製造方法が提供される。特に、本発明によれば、従来の調湿材料を用いた不織布シートでは決して得ることができなかった、人の身近に置かれて日常的に継続使用される、各種の敷物類として、或いは、畳用、絨毯用、収納用具用、寝具類用、インテリア等の材料として用いた場合に、アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症などのアレルギー疾患が改善されるといった健康増進作用が明らかに認められる機能性不織布シートの提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、発明を実施するための最良の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。前記した現状に鑑みて、本発明者らは、調湿性及びガス吸着性に優れた珪質頁岩粒を使用することで、優れた調湿性能及びガス吸着性能を有する有用な調湿シートを得るべく検討を重ねた。その過程で、先ず、通気性に優れ、且つ、多様な製品形態が可能になる材料として不織布を選択した。そして、通気性に優れる2枚の不織布の間に、調湿・ガス吸着層を形成し、当該層の形成材料として珪質頁岩粒を使用すれば、容易に、より高機能の調湿シートを得ることができると考えて検討を行った。
【0016】
しかしながら、前記したシリカゲルを用いてなる従来の畳下調湿シートのように、2枚の不織布の間に粒状の珪質頁岩を挟持させてホットメルト接着剤で接着させて珪質頁岩粒からなる層を形成して一体化して不織布シートにする場合には、次のような課題があることがわかった。
【0017】
2枚の不織布の間に粒状の珪質頁岩からなる層を挟持させて一体化させる手段としては、珪質頁岩のもつ調湿性及びガス吸着性をより有効に発揮させるために、ホットメルト接着剤で、珪質頁岩粒同士を、或いは、珪質頁岩粒と不織布とを接着させる方法が有効である。その場合に、できるだけ高い調湿性及びガス吸着性能が得られる機能性不織布シートを得るためには、より少ないホットメルト接着剤の量で、多くの量の珪質頁岩粒が充填された層を形成することが好ましい。しかし、本発明者らの検討によれば、珪質頁岩粒は、ホットメルト接着剤による接着性に劣り、特に充填量を多くすると、使用中等に、2枚の不織布の間に挟持させた粒状の珪質頁岩からなる層から珪質頁岩粒が脱落するといった問題が生じることがわかった。本発明者らの検討によれば、高い機能性を得る目的からは、珪質頁岩粒を少なくとも100g/m2以上の量で含み、より少ない量のホットメルト接着剤で接着された層を2枚の不織布の間に形成させ、挟持させることが好ましいが、従来の方法では、このように多い量の珪質頁岩粒を少ないホットメルト接着剤で形成することはできず、どうしても珪質頁岩粒の脱落が避けられなかった。このような問題に対しては、シートの縁をシールする方法が考えられるが、その場合には製造工程や製造部材が増加してコスト高になるという問題が生じる。
【0018】
また、後述するように、本発明の機能性不織布シートは、人の身近に置いて日常的に継続使用すると、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患や、喘息や不眠症等の健康障害が目覚ましく改善されるといった健康増進効果が、モニターによる使用試験で実証されたものである。従って、その利用形態は無限であるといってもよく、例えば、絨毯用基材、畳用材料、寝具類用材料、敷物用材料、インテリア材料、衣料用材料及び収納用材料等に使用できるものであることが期待される。これらの利用を実現するためには、通気性に優れるものであることは勿論、使用目的にあった硬さや柔軟性のシートが適宜に得られることが望まれる。
【0019】
例えば、畳や絨毯などの形成材料に使用するシートの場合は、強度が要求され、ある程度の硬さをもったシートであることが要求される。この場合に、シートを硬くする方法として、使用する不織布に、目の詰んだものや厚みのある硬いものを使用することも考えられる。しかし、不織布に、目の詰んだものや厚みのあるものを使用した場合には、得られる不織布シートが所望するものよりも厚くなり過ぎたり、2枚の不織布の間に挟持させた珪質頁岩粒からなる層の調湿或いはガス吸着性能が十分に得られなくなる場合がある。一方、例えば、不織布シートをシーツ等の寝具や収納用袋等に用いる場合には、ある程度の柔軟性が要求されるが、この際にも、機能性に優れる調湿・ガス吸着層が形成されるに十分な量の珪質頁岩粒が充填されたものであることが重要となる。
【0020】
しかしながら、前記したように、できるだけ珪質頁岩粒の充填量を多くし、珪質頁岩粒に対する接着剤の割合を少なくした良好な層状態の調湿・ガス吸着層を形成することは困難である。具体的には、接着剤の量に比して珪質頁岩粒の充填量が多過ぎると、珪質頁岩粒同士或いは珪質頁岩粒と不織布が良好な状態で接着されずに、場合によっては層形成することができず、或いは、層を形成したとしても、製造中や使用中に層中から珪質頁岩粒がこぼれ落ちたり、調湿・ガス吸着層が不織布から剥がれたりするといったことが生じる。一方、珪質頁岩粒の脱落を防止するためにホットメルト接着剤の使用量を多くすると、形成される層が硬くなり過ぎて使用目的によっては不向きであり、何よりも、過剰な接着剤の使用によって、珪質頁岩粒が本来有する優れた調湿性及びガス吸着性が損なわれて、優れた調湿・ガス吸着層が形成できなくなる。さらに、本発明の機能性不織布シートでは、調湿性及びガス吸収性を有する層の形成材料に、例えば、粒径が0.2〜2.5mm程度、より好ましくは、0.4〜1.5mm程度の大きさの珪質頁岩粒群を用いるが、珪質頁岩粒は天然素材であり、その表面には粉体が付着しており、製品形態によっては、この粉体の落下等が問題となる場合があった。
【0021】
本発明者らは、これらの課題に対して鋭意検討の結果、先ず、ホットメルト接着剤を用いて、2枚の不織布の間に珪質頁岩粒群からなる層が形成されて一体化してなるシートを製造する場合に、使用する珪質頁岩粒の含水率を調整するという極めて簡単な手段によって、少ない接着剤量で、珪質頁岩粒の充填量の多い良好な状態の珪質頁岩粒群からなる高機能性を実現した層形成が可能となることを知見した。また、使用する珪質頁岩粒の含水率を調整することで、同じホットメルト接着剤量であっても、珪質頁岩粒の充填量を適宜に設計できることを見出して本発明に至った。より具体的には、調湿・ガス吸着層を形成する場合に使用する珪質頁岩粒を乾燥した後、ホットメルト接着剤と混合し、その後に、不織布の間に珪質頁岩粒を入れてホットメルト接着剤を溶融させることで、少ないホットメルト接着剤であっても、珪質頁岩粒同士及び珪質頁岩粒と不織布とが良好な状態で接着され、2枚の不織布の間に珪質頁岩粒の層が高い充填量で挟持された機能性不織布シートを得ることができる。本発明の機能性不織布シートは、上記したような方法で簡便に得られるものであり、その特徴となる珪質頁岩粒の層は、質量基準で、珪質頁岩粒100部に対してホットメルト接着剤が3〜50部、更に好ましくは、珪質頁岩粒100部に対してホットメルト接着剤が5〜30部を含んでなることを特徴とする。
【0022】
本発明者らは、検討にあたり、PESスパンボンド(商品名:20257WTD、ユニチカ製、目付25g、透気度0秒、厚さ0.35mm)と、PESスパンレース(商品名:7806A、シンワ製、目付60g、透気度0秒、厚さ0.55mm)2枚の不織布を用い、その間に、種々の構成の珪質頁岩粒からなる層を形成した。使用した珪質頁岩粒は、稚内層珪質頁岩を粉砕にて分級した0.25〜0.70mmのものであり、ホットメルト接着剤として、東京インキ製の2030M 24M(平均粒径0.7mm、組成EVA、融点100℃)の粒状のものを使用した。そして、含水率の異なる4種類の珪質頁岩粒と、上記したホットメルト接着剤とを用い、更に、これらの使用量及び混合比を種々に変化させて、上記した2枚の不織布の間に珪質頁岩粒からなる層を形成し、図1に示した構造のシートを作製して試験を行った。そして、得られたシートの接着性、通気性、柔軟性について、それぞれ評価した。使用した珪質頁岩粒は、含水率の異なる4種類のものであり、具体的には、天日干した含水率25%のものと、乾燥機で乾燥させた含水率15%、含水率5%及び含水率0%のものを用いた。尚、ホットメルト接着剤を溶融し、シートを一体化させる手段に、熱プレス機を用いた。また、稚内層珪質頁岩には、最大吸湿率が20%で、比表面積が124m2/g、かつ、平均細孔半径が3.8nmのものを用いた。
【0023】
評価は、以下のように行った。接着性の試験は、シートを30秒間揉んだ後、黒色の紙の上でシートを振動させることで行った。そして、紙の上に脱落した珪質頁岩粒の量で、下記の3段階の基準で接着性を評価した。A、B、Cの順で接着性に優れることになる。
A:珪質頁岩粒が全く落下しない。
B:珪質頁岩粒が多少落下するが、実用上問題のないレベルである。
C:珪質頁岩粒の落下がみられ、珪質頁岩粒と不織布との接着も悪い。
【0024】
柔軟性は、シート表面の感触、手で折り曲げた感触等から、下記の3段階の基準で柔軟性を評価した。A、B、Cの順で柔軟性が高いことになる。
A:柔軟性に優れる。
B:屈曲するが、多少ごわついた感じがする。
C:殆ど屈曲せず、板状のシートである。
【0025】
通気性は、王研式透気度測定器で測定し、得られた測定値(秒)で、下記の基準で評価した。A、B、Cの順で通気度に優れることになる。
A:0秒(測定限界以下)。
B:1〜10秒。
C:10秒以上。
【0026】
表1に、珪質頁岩粒とホットメルト接着剤の割合をそれぞれ一定にした場合に、接着性がAと判定された不織布シートを得ることができた珪質頁岩粒の最大充填量をまとめて示した。尚、使用した含水率の異なる3種類の珪質頁岩粒毎に、珪質頁岩粒の最大充填量を示した。表1の結果から、珪質頁岩粒の含水率を0〜25%、特に、0〜15%に調整することで、少ない接着剤量で珪質頁岩粒の充填量の多い、接着性に優れた層形成が可能途なることがわかる。本発明者らの検討によれば、天日乾燥せずに、含水率が25%よりも高い状態の珪質頁岩粒を使用すると、少ない量のホットメルト接着剤で、例えば、本発明における好ましい不織布シートを得る場合の目標としている100g/m2以上の高い充填量の珪質頁岩粒を、脱落のない良好な状態で固定することが難しくなる。
【0027】

【0028】
表2は、珪質頁岩粒に、含水率を5%に調整したものを使用し、これに表2に示した各割合(質量基準)でホットメルト接着剤を混合し、該混合物を用いて不織布シートをそれぞれ作製した場合における、混合物の組成比と、得られた各不織布シートの特性(接着性、柔軟性及び通気性)をまとめて示したものである。表2の結果から、含水率の低い珪質頁岩粒を用い、珪質頁岩粒とホットメルト接着剤の使用割合を適宜に調整すれば、通気性に優れ、且つ、珪質頁岩粒の充填量の異なる様々な柔軟性を有する不織布シートを自在に得ることができるようになることがわかる。表2から、珪質頁岩粒の層は、質量基準で、珪質頁岩粒100部に対してホットメルト接着剤を3〜50部を含んでなるものが好ましく、さらには、珪質頁岩粒100部に対してホットメルト接着剤を5〜30部程度を含んでなるものが好ましいことがわかる。
【0029】
また、表2から、珪質頁岩粒同士の接着力は、珪質頁岩粒の含水率によって大幅に変動することがわかる。また、珪質頁岩粒を乾燥させて含水率を25%以下、さらには15%以下となるようにすれば、充填量を増加させることができること、さらに、その含水率に対応して、珪質頁岩粒の充填量をコントロールすることができることがわかる。本発明者らは、この理由を以下のように考えている。前記したように、珪質頁岩は、優れた吸放湿性能を有するものであり、最高吸湿量が20〜25%という高い水分吸収力に加えて、その放湿性に優れ、相対湿度を50〜70%に自立的に制御できるという特性を有するものである。このため、通常の状態では珪質頁岩粒は含水率が高いと考えられる。そして、このことが原因となって、疎水性のホットメルト接着剤とのなじみが悪くなり、この結果、通常の状態の珪質頁岩粒では、粒同士の接着性が弱くなって、充填率の高い良好な層の形成を安定してすることができなかったものと考えられる。
【0030】

【0031】
次に、後述する珪質頁岩の優れた調湿効果やガス吸着性に鑑みて、これを人の身近に置いて用いることで、人が長時間接触する周辺の微小空間の空気(雰囲気)を改善することができ、これによってアレルギー疾患が治癒するのではないかとの仮説を立て、本発明の機能性不織布シートを継続使用する多くのモニター試験を進めた。具体的には、上記したような方法で得た珪質頁岩粒が400g/m2の量で充填された柔軟性がAと評価された不織布シートをシーツに用いてモニター試験を行った。その際、実際に、アトピー性皮膚炎、喘息或いは花粉症のアレルギー疾患を有する人に対して、3か月間にわたって本発明の機能性不織布シートを継続使用するモニター試験を行った。その結果、驚くような効果が確認された。即ち、試験をした人によって効果を実感した時期に差があるものの、モニターしたアトピー性皮膚炎疾患のある8名のうち8名が、治癒或いは何らかの改善が認められた。また、モニターした喘息疾患のある8名のうち8名に改善効果が認められた。モニターした花粉症疾患のある8名のうち8名が、ともに何らかの改善効果が確認された。
【0032】
上記したように、その理由は定かではないが、モニター試験によって、本発明の機能性不織布シートを継続使用することで、アレルギー疾患等に対して健康増進効果が得られることが明確に確認できた。このことは、近年、家全体を自然素材で作る、空気清浄機を用いる、といった多大な資金や資材や電力を使うなど大掛かりな方法が種々提案され、一部ではあるが実施されているが、本発明の機能性不織布シートを単に継続使用するという、極めて簡便で安価な方法によって、社会問題化している花粉症やアトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患等に対しての改善効果が得られることを意味している。モニター試験の結果を鑑みれば、特に、人が長時間にわたって留まる居住空間に置かれる物、特に人の身近に配置される物、更には人に接触する寝具のような物、換言すれば、日々の暮らしの中で使用する種々の日用品と呼べるような物に本発明の機能性不織布シートを積極的に採用することで、その物の周辺のみの空気質(雰囲気)の改善を行うことができ、それによって、憂鬱な慢性疾患であるアレルギー症状からが人々を開放する可能が示唆されている。
【0033】
本発明の機能性不織布シート、より具体的には、調湿・ガス吸収材料として用いる珪質頁岩粒を人の身近に常駐させることによって、上記したモニター試験で確認されたような目覚ましい健康増進効果が得られる理由は明らかではないが、本発明者らは、以下のように考えている。
【0034】
本発明で使用する珪質頁岩は、ナノオーダーの細孔を多数もつ、大きな比表面積をもつ吸放湿性に優れた無機多孔質材料である。例えば、珪質頁岩は、平均細孔半径が2〜7nmである多数の孔を有し、最大吸湿率が10%以上、或いは、最大吸湿率が20%以上で、比表面積が80m2/g以上であるという特性を有する。このような大きさの細孔を有するため、珪質頁岩は、従来用いられていたシリカゲル等の吸湿材料では得られなかった高い吸放湿性とガス吸着性を同時に示す。即ち、天然素材の中で、珪質頁岩は、最も凝縮水が発生する空隙を多量に保有しており、珪質頁岩は、他のものに比較して水蒸気を吸着し易いことが知られている。また、塩基性ガス、酸性ガス、有機溶剤ガス、SOx、NOxなどの優れた吸着性を示す。特に、高気密化した居住空間における人の周辺のような高湿度下においては、上記細孔の空隙内への水蒸気の凝縮が起こり易いと考えられる。さらに、珪質頁岩では、吸放湿性が自立的であることが確認されていることから、その細孔の空隙内の凝縮水が空隙内をダイナミックに出たり入ったりして、水蒸気が多量に出入りする状態になり、その周辺では適度な湿度が保たれると考えられる。また、このように、凝縮水が細孔内部へ侵入し、高速で出入りすると、水蒸気が、滝つぼなどのレナード効果以上の効果、即ち、より細かいナノ水蒸気が、噴水の如く出入りすることになる。また、空気中に含まれる有害ガスが空隙内に取り込めまれ、正常な水蒸気のみが放出され、アレルギー発症の原因物質を取り除いてくれる。このため、珪質頁岩粒からなる層を有する本発明の不織布シートを継続使用すると、人に吸収されやすい、この微細な水蒸気が、血行を促進し、排毒促進、還元作用による活性酸素暴発抑止、静電気による人の電気反応撹乱抑止、アレルギーの引き金となる原因物質の除去など、一般に言われている花粉、カビ・ダニ、VOCなどの原因物質の排除効果を発揮した最大の要因ではないかと、本発明者らは推論している。
【0035】
本発明者らは、さらに、モニター試験の結果に鑑みて、珪質頁岩粒を、単に身近に継続的に配置することによってもたらされた、アレルギー疾患等に対する珪質頁岩の持つ優れた治癒効果の理由として、以下のような、珪質頁岩が生まれる大自然の営みが何らかの関与をしているのではないかと推論している。生命の起源ともいえる植物性プランクトンの化石である珪藻土は、シリカの殻を持ち、そのシリカの殻のみが化石として残ったものが、珪藻泥岩(一般珪藻土)であるが、本発明で使用する珪質頁岩は、そのシリカの殻が、さらに、地球が与える続性作用の、熱、圧力、海水のマグネシウムなどの影響により、シリカの殻が溶けて、再沈殿し、マリモ状の無数の多孔質状態に変化したものである。このように、珪質頁岩の持つ空隙は、生命を起源としたものであり、さらに、上記のようにして造られた空隙は、天然素材の多孔質材料中、最もサイズが細かく一様であり、比表面積は大きく、最高容量も大きいという特徴を有するが、この神秘的とも言えるサイズの空隙から発生する水蒸気が、生命体の一つである人に最も適した水蒸気となって、先に述べた目覚ましい健康増進効果をもたらしたのではないかと考えている。
【0036】
また、本発明の機能性不織布シートは、高湿度になると、その形成材料である珪質頁岩が上記したように細孔に凝縮水が生じるので、揮発性の化学物質(例えば、ホルムアルデヒドやアンモニアなどの有害物質や悪臭など)の吸着・吸収が促進され、カビなどの発生が抑制され、さらには、いわゆるマイナスイオンの発生が増大すると考えられる。特に、アンモニアやホルマリンなどの水溶性のガスは、珪質頁岩の空隙内の凝縮水に溶け込み、大量に吸着されるので、生活臭等の臭気の低減効果も期待できる。また、珪質頁岩の空隙内の凝縮水は、空隙内の電荷の厳しい環境では細菌などの進入も困難であると考えられるので、清浄で細菌などの存在しない水となり、その水が絶えず水蒸気になり空隙から出入りする状態になっていると考えられる。さらに、花粉などに付着しているNOXやSOXなどのガスも吸着される。これらのことなども、本発明の機能性不織布シートを単に継続使用しただけで、花粉症やアトピー性皮膚炎等の症状が、緩和され或いは解消した理由ではないかと考えられる。
【0037】
本発明者らは、上記に挙げたようなことの相乗効果の結果、本発明の機能性不織布シートによって、従来の調湿シート或いは脱臭シートでは到底達成することのできなかった、モニター試験にみられたような顕著な健康増進の効果が発現したものと考えている。このように、本発明では、珪質頁岩という、これまでに用いられることがなかった材料で機能性不織布シートを形成し、該シートを、高気密化した環境下の、多湿な人の身近に配置される種々の日用品の形成材料として多目的に利用することを可能とし、これによって、単なる除湿効果や脱臭効果を得るだけではなく、日常生活の中で自然に、高い健康増進効果を与えるという画期的な効果を実現させている。
【0038】
以下、本発明を特徴づける珪質頁岩について、さらに詳細に説明する。本発明で使用する珪質頁岩は、珪質頁岩に分類されるものであれば、いずれのものも使用することができる。また、平均細孔半径が2〜7nmである多数の孔を有し、最大吸湿率が10%以上で、比表面積が80m2/g以上である珪質頁岩を用いれば、本発明の効果を、より安定して得ることができる。本発明者らの検討によれば、上記したような物性値を有する天然材料としては、珪質頁岩の他に、アロフェン、イモゴライト、セピオライト、活性白土、大谷石などがあり、これらによっても本発明の効果を得ることができる可能性はある。しかし、岩石状で存在し、そのままの状態で機能性不織布シートの形成材料として利用でき、安全で入手し易いという点を考慮すると、珪質頁岩が最適である。
【0039】
本発明で使用する珪質頁岩は、北海道で豊富に産出する原料である。青森県以南では発見されていない。特に北海道の旭川以北で産出される珪質頁岩は、稚内層珪藻土と呼ばれており、アンモニア、ホルマリンなどの塩基性ガスに対する吸着性など、高いガス吸着機能が確認されている。珪質頁岩は天然原料であり、バラツキはあるものの、最大吸湿率が10%以上あるものが大半であり、良好なものになると15%以上の性能を有し、最大吸湿率が25〜30%であるものもある。本発明で使用する珪質頁岩は、その最大吸湿率が高ければ高いほど調湿機能に優れるので、本発明の所期の目的を安定して達成できるようにするためには、最大吸湿率が15%以上、さらには、20%以上の珪質頁岩を用いることが好ましい。例えば、本発明に好適に用いることができる稚内層珪藻土(珪質頁岩)は、一般的に、平均細孔半径が2〜10nm(20〜100Å)の細孔が全体の70%以上を占め、極めて微細な細孔を多数有しており、その比表面積は約130m2/g程度の値を示す。本発明者らの検討によれば、このような珪質頁岩を機能性不織布シートの形成材料として用いることで、該シートの湿度調整や通気に優れたものにできることは勿論、先述したように、該シート周辺の雰囲気を健康増進或いは健康維持に繋がるものにでき、しかも、その状態を永続的に維持させることができるという効果が得られる。
【0040】
なお、稚内層珪質頁岩は、900℃程度の温度で焼成しても、細孔径の値などが殆ど変化しないことが確認されている。また、焼成することで強度を向上させることができるので、畳や敷物等の加重がかかる製品のような場合には、600℃〜1,000℃、さらには800℃〜900℃程度の温度で焼成した珪質頁岩粒を用いることが好ましい。焼成することで、天然物である珪質頁岩を清浄にすることができるので、寝具等の製品に用いる場合には焼成した珪質頁岩粒を使用することが好ましい。
【0041】
本発明の機能性不織布シートを作製する場合には、上記した珪質頁岩を粉砕して粒状としたものを用いる。粒の大きさは特に限定されないが、相対的に少ない量のホットメルト接着剤によって、珪質頁岩粒同士、珪質頁岩粒と不織布同士が良好な層の形成をするためには、分級して、粒径が0.2〜2.5mm程度の範囲のものを用いることが好ましく、さらには、粒径が0.4〜1.5mm程度のものを使用することが好ましい。この範囲のものよりも大きい粒或いは小さい粒の場合は、安定して良好な接着が行われない恐れがある。
【0042】
本発明者らの検討によれば、本発明の機能性不織布シートを作製する場合に、珪質頁岩粒を安定的に良好な状態で接着し、使用中における脱落物や放散物の発生を有効に防止するためには、下記に述べるように、表面に付着した粉を実質上取り除いた珪質頁岩粒を使用することが好ましい。本発明では、含水率の低い珪質頁岩粒材料として、原石を粉砕し、分級して得られた上記のような粒径の珪質頁岩粒を乾燥させたものや、原石を粉砕し、分級した上記のような粒径の珪質頁岩粒を焼成したもの、さらには、微細な粉体を上記のような粒径の造粒物に造粒し、該造粒物を乾燥等したものを用いる。これに対して、本発明者らの検討によれば、焼成や乾燥などの後に、珪質頁岩粒を振動篩などを用いて篩ったとしても、珪質頁岩粒表面に付着した粉を完全に取り除くことはできない。そして、珪質頁岩粒表面に付着した粉をそのままにして使用した場合には、珪質頁岩粒の接着不良が生じたり、使用中において、これらの粉が放散するなどの問題を生じやすい。これに対し、この珪質頁岩粒表面に付着した粉をなくすことができれば、安定して良好な不織布を得ることが可能となる。珪質頁岩粒表面に付着した粉を取り除く手段としては、珪質頁岩粒を水洗し、粒表面から粉を脱落させる方法や、珪質頁岩粒にバインダーを添加して転動させることで粒表面にバインダーを塗布し、表面の粉を粒に付着固定化し、珪質頁岩粒に付着した粉を実質上なくす方法等が考えられる。しかし、珪質頁岩粒を水洗すると、珪質頁岩の含水率が60%以上となるので、例えば、含水率を15%以下に低くするためには、乾燥に多大なエネルギーが必要となる。このため、上記した粒表面にバインダーを塗布し、コーティング処理することによって粉を珪質頁岩粒表面に固定させることで、表面に付着した粉体の放散等を防止することが好ましい。本発明者らの検討によれば、コーティングによって粉体を固定させる方法では、含水率の上昇は10%程度ですむので、上記した水洗による方法に比べて乾燥が容易であり、水洗に使用した洗浄水の処理の問題もなくなるので、この点でも好ましい。
【0043】
コーティング処理によって珪質頁岩粒表面の粉を固定させる方法に用いるバインダーとしては、有機系或いは無機系の材料に特に拘るものではないが、本発明者らの検討によれば、無機系の水ガラス(珪酸ソーダ)溶液を使用することが好ましい。コーティング前の珪質頁岩粒を浸漬させた水のpHは6程度であるが、珪酸ソーダ20%溶液をコーティングした粒を浸漬させた水のpHは7程度となる。本発明者らの検討によれば、後述するように、珪質頁岩粒をアルカリで処理することで原石では十分ではなかった別種のガスに対するガス吸着性能を向上させることができる。このため、上記したコーティング処理を採用することで、珪質頁岩粒表面の粉の固定化によって付着した粉を実質上なくすのと同時に、珪質頁岩粒に対する改質効果も期待できる。即ち、珪質頁岩は、アンモニアガスなどのアルカリ性のガスに対して高いガス吸着性能を有することが知られているが、アルカリで処理することで、それ以外の、酸性ガス、有機溶剤系ガスであるVOCに対する吸着性能を向上させることもできる。
【0044】
珪質頁岩粒表面の粉を、コーティング処理によって固定させる具体的な方法としては、下記のようにするとよい。粉砕し、分級して得られた粒径が0.2〜2.5mm程度、さらには0.4〜1.5mm程度の珪質頁岩粒をコンクリートミキサーなどに入れ、これを転動させる。そして、転動させた状態のところに珪酸ソーダ20%溶液をスプレーして、珪質頁岩粒に対して質量基準で10%程度になるまで珪酸ソーダ溶液を加える。このような方法によって、珪質頁岩粒表面の粉を容易に固定化することができる。上記したような方法でコーティング処理した場合は、珪質頁岩粒の含水率が10%程度アップするため、コーティング前の珪質頁岩は乾燥したものを用いることが好ましい。即ち、天然資源である珪質頁岩粒は、晴天が続く時期であっても含水率は25%よりも高くなるが、その状態で上記したコーティング処理を行うと、コーティング処理後の含水率が30%以上となり、珪質頁岩粒が水分でドボつくような状態となる。この場合には、珪質頁岩粒同士がくっついてしまい、良好なコーティング処理を行うことができなくなる。従って、珪質頁岩粒や造粒物を乾燥した後のものに、或いは、珪質頁岩粒を焼成後のものに、上記したようなコーティング処理を行うことが好ましい。前記した通り、焼成することで珪質頁岩粒の強度がアップするので、製造工程や製品を使用中に生じる、珪質頁岩粒のぶつかり合いによる粉化も防げるので、この点からも、焼成体を用いることが好ましい。
【0045】
上記した粉体を珪質頁岩粒の表面に固定するためコーティング処理に使用する塗布液は、粉を珪質頁岩粒表面に固定することができれば、通常の樹脂でも構わないが、本発明の所期の目的からすると、通気性を有するものの方が好ましい。従って、コーティング処理に使用する塗布液としては、通気性を有し、酸性ガスに対する吸着性能を向上させることができ、且つ、安価な水ガラス(珪酸ソーダ、カリ水ガラス、珪酸リチウム水ガラス)溶液を用いることが、より好ましい。
【0046】
先に述べたように、珪藻土とは、海中のプランクトンが泥と一緒に堆積し、岩石化したものであり、日本全土に多種多様な物性のものが存在するが、その大半は、鉱物学上、珪藻泥岩に属するものである。珪藻泥岩に属するものは、比重が0.6と軽く、その細孔径は、本発明で規定する好適な材料よりも大きく、本発明で使用する珪質頁岩とは明確に区別されるものである。例えば、上記した稚内層珪藻土の比表面積は、一般的な珪藻土の4〜8倍の大きさであり、この点からも、珪藻泥岩とは明確に区別できるものである。前記した本発明の効果は、珪質頁岩に分類されるもの、より安定した効果を望む場合には、最大吸湿率が10%以上、さらには20%以上で、比表面積が80m2/g以上で、かつ、平均細孔半径が2〜7nmの範囲であるような珪質頁岩を用いた場合に初めて得られる。換言すれば、同じ珪藻土に分類されるものであっても、珪質頁岩でなければ、本発明の効果を得ることはできない。
【0047】
本発明で使用する珪質頁岩は、弱酸性の天然鉱物であり、アンモニアなどのアルカリ性のガスに対して非常に優れた吸着性を示す。しかし、これと比べて、硫化水素やメチルメルカプタンなどの酸性ガスに対しては吸着性が悪いという問題がある。本発明者らは、この問題を解決するために検討を行った。その結果、珪質頁岩に、消石灰を含む、しっくいなどのアルカリ性物質を配合することで、機能性不織布シートの形成材料の、硫化水素やメチルメルカプタンなどの酸性ガスに対する吸着性を向上させることが可能となる。さらに詳細な検討を行った結果、珪質頁岩を下記に挙げるようなアルカリ水溶液に浸漬して処理してアルカリ化合物を担持させることにより、酸性ガスの吸着性能が大幅に改善できることを見出した。この際に使用することのできるアルカリ物質としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、カリウム水ガラス、リチウム水ガラス(ケイ酸リチウム)、消石灰などが挙げられる。特に、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムなどのケイ酸塩を用いて処理することが有効である。検討試験を通じて、特に、5〜10質量%程度のケイ酸リチウム溶液やケイ酸ナトリウム溶液で処理して、アルカリ化合物が担持されている珪質頁岩を使用することが有効であることを確認した。前記したように、このような処理をすることで、珪質頁岩粒表面に付着している粉体を固定することができ、結果として、粉体の放散の問題をも有効に防止できる。
【0048】
上記のことは、本発明の機能性不織布シートにおいて、アルカリ水溶液で処理したものや、アルカリ性物質を配合させた形態の珪質頁岩を用いれば、体から発生する体臭などの酸性ガスも有効に除去できるものになる。従って、このような構成とすれば、特に高機密化した室内に配置した場合に、高い脱臭効果が得られる機能性不織布シートの提供が可能となることを示している。
【0049】
また、珪質頁岩は、前記したように、ホルマリンやアンモニアなどの親水性ガスに対する吸着性には優れるものの、トルエンなどの疎水性ガスに対する吸着性には劣るという問題がある。この点については、適宜な濃度の強アルカリ化合物の水溶液によって処理した珪質頁岩粉末を使用することで、トルエンなどの疎水性ガスに対する吸着性を向上させることができるようになる。このようなものを機能性不織布シートの形成材料に用いれば、新建材から発生するVOCガス吸着に有効になるので、機能性不織布シートに新たな機能を付与できる。従って、珪質頁岩を上記したいずれかの方法で処理するなどして使用すれば、各種の機能が付与された用途に応じた最適な機能性不織布シートを得ることができる。
【0050】
本発明の機能性不織布シートに使用する形成材料の好ましいものとしては、上記で説明した珪質頁岩に加えて、酸化チタンを用いることが挙げられる。酸化チタンは、紫外線を受け活性酸素を発生し、その強い酸化分解作用で、汚れ、細菌、悪臭などを二酸化炭素、水に分解し、除菌、抗菌、空気・水の浄化、防汚、脱臭作用など、光触媒としての機能を発揮する。このため、酸化チタンを含有させた形態とすれば、光の照射により、光触媒効果が発揮され、カビや細菌が滅菌されるので、高い衛生状態を維持できる機能性不織布シートとなる。さらに、上記に加えて、酸化チタンのもつ光触媒効果によって吸着したガスなどが内部で分解されるので、放散させることなく、ガス吸着効果の維持が期待できる。特に、機能性不織布シートを日光に当てると、より吸着ガスの分解が早くできると考えられるので、このようにして使用すれば、より確実に、永続的な効果の維持が可能となる。従って、本発明の機能性不織布シートの形成材料に、珪質頁岩に加えて酸化チタンを含有させた形態とすれば、より確実に永続的な効果が期待できる。
【0051】
また、本発明の機能性不織布シートに使用する形成材料の好ましいものとしては、上記で説明した珪質頁岩に加えて、微量放射線を発生する鉱物を用いることが挙げられる。本発明の機能性不織布シートに使用する形成材料に、微量放射線を発生する鉱物を含有させると、ホルマリンなどの不快な臭いの消臭に対する効果がみられた。これは、微量放射線を発生する鉱物を用いることで、いわゆるマイナスイオンの発生が促進され、その働きで不快な臭い物質の分解・消臭が促進されたものと考えられる。本発明者らの検討によれば、本発明で使用する珪質頁岩も、いわゆるマイナスイオンを発生し、特に、湿度60%RH以上の状態で、空隙機内に凝縮水ができ、より多くのマイナスイオン、ナノ水蒸気を発生する。これは、下記のような理由によると考えられる。先に述べたように、高湿度下では、本発明で使用する珪質頁岩の空隙部に凝縮水が存在する状態となる。このため、空隙部では、絶えず噴水のように空隙から水蒸気が出たり入ったりして水蒸気の水のクラスターが小さい状態で保たれるので、結果としてマイナスイオンの発生が増大したのではないかと考えている。微量放射線を発生する鉱物を含有した構成とすることで、微生物の発生の抑制が促進されたが、微量放射線を発生する鉱物を含有させることで、クラスターの小さい水蒸気が、放射線エネルギーによって、より多くのマイナスイオンが発生し、大きなマイナスイオン効果が得られたものと考えられる。マイナスイオンの働きで、アンモニアなどの塩基性ガス、硫化水素などの酸性ガス、多様な悪臭ガスが分解・消臭されるので、脱臭効果の増大が期待される。
【0052】
微量放射線を発生する鉱物としては、ニンギョウ石、センウラン鉱、モナズ石などが挙げられる。マイナスイオンの効果としては、上記の他、例えば、鎮静効果、筋肉疲労の改善、喘息や皮膚炎などのアレルギー症状の軽減、動脈硬化症の改善、免疫力の増大などの健康増進に効果があると言われている。従って、例えば、使用の際に、長時間にわたってその周辺の雰囲気を呼吸することとなる寝具などに使用した機能性不織布シートからマイナスイオンが発生すれば、就寝中に自然に健康増進が図られる。そして、前記した本発明の機能性不織布シートを使用したモニター試験では、喘息、花粉症やアトピー性皮膚炎の諸症状の改善など、健康増進効果が多く報告されたが、このようなマイナスイオン効果も一因となっていると考えられる。
【0053】
前記したように、本発明の機能性不織布シートに使用する珪質頁岩粒は、平均細孔半径が2〜7nmであり、比表面積が80m2/g以上であると、安定した効果が期待できる。これに対して、活性炭のように、平均細孔半径が2nm未満であると、無機多孔質材料に吸着された吸着ガスが放散しにくく、飽和に達してしまうため、永続的な効果が望めないという問題がある。例えば、活性炭のように、細孔半径が1nm(10Å)程度の非常に小さな空隙となると、吸着したガスを放散させるために、100℃以上の大きなエネルギーが必要となるので、再生に問題がある。さらに、このように細孔が小さ過ぎると水蒸気の放散もしにくく、十分な除湿効果という点でも問題があり、日常的に使用する機能性不織布シートの形成材料としては不適当である。一方、平均細孔半径が6nmを超えると、孔が大き過ぎて、吸収された水蒸気が毛細管凝縮せず、吸湿量が少なく、また、凝縮水が存在しないとガス吸着能力も低いものとなる。
【0054】
本発明で使用する珪質頁岩の平均細孔半径及び比表面積は、下記のようにして測定した。
(細孔径分布の測定方法)
本発明では、珪質頁岩の細孔径分布及び比表面積は、液体窒素温度(77K)下において、窒素ガスを吸着させるBET法(気相吸着法)により測定した。具体的には、高速・比表面積・細孔分布測定装置(商品名 NOVA2200e、ユアサアイオニクス製)を用いて測定した。窒素吸着法を適用した当該装置で直接測定されるのは、細孔に吸着される窒素ガスの容量であるが、細孔構造について種々の仮定を設けた上で、この測定値を用いて解析することで細孔径分布を求めている。例えば、本発明では、細孔は全て円筒形であると仮定して求めた。
【0055】
本発明で使用する珪質頁岩は、先に述べたように高い吸放湿性を示し、例えば、上記のような特性を有するものでは、その最大吸湿率は10%以上の値を示す。本発明者らは、このような最大吸湿率が10%以上である珪質頁岩を機能性不織布シートの形成材料に用いると、高湿度下で、凝縮水が多くなるので、それに伴う空隙内から発生するナノ水を含む水蒸気の発生量が多くなると考えている。このため、特に、吸湿性を十分確保し、本発明の効果をより高いものにするためには、最大吸湿率が15%以上、さらには20%以上の珪質頁岩を使用することが、望ましい。本発明において、珪質頁岩の最大吸湿率は、下記のような水蒸気吸着試験方法によって測定した。
【0056】
(水蒸気吸着試験方法)
本発明では、珪質頁岩の水蒸気吸脱着特性は、全自動水蒸気吸着量測定装置(Hydrosorb1000、ユアサアイオニクス製)を用いて測定した。具体的には、真空下、150℃にて絶乾した一定量の測定試料を導入し、測定系内の温度を25℃に保持し、水蒸気圧を変化させて平衡状態に達したときの導入水蒸気の体積変化から測定試料の吸着水量を求める方法(定容法)によって測定した。本発明で言う「最大吸湿率」は、測定対象物を150℃のオーブンに入れ72時間保持した後に測定する対象物の絶乾質量と、その後、25℃、相対湿度95%の恒温恒湿槽に入れて48時間保持した後に再度測定する対象物の質量との質量増加率により得られる値である。
【0057】
(ホットメルト接着剤)
本発明で使用するホットメルト接着剤は、熱によって溶融し、溶融状態で被着物に貼り合わされ、冷却固化して接着するものであるが、本発明では、特に、初期状態(常温)で粉末粒状のものを使用する。粉末粒状のものであれば、溶融前に珪質頁岩粒とホットメルト接着剤とを十分に混合することで、ホットメルト接着剤を均一に存在させることができ、この結果、珪質頁岩粒同士及び珪質頁岩粒と不織布とがムラのない状態で接着させることが可能となる。具体的には、上記のようにして得られた混合材料を2枚の不織布に挟んだ状態で熱プレス機等により加熱することで、ホットメルト接着剤を溶融して流動性を付与させ、その後に冷却することで、容易にかつ同時に、珪質頁岩粒同士、及び、珪質頁岩粒と不織布とを良好な状態で接着して一体化させてシート化することができる。一体化させる方法は上記に限定されず、例えば、1枚の不織布の上に混合材料を散布し、その状態でホットメルト接着剤を溶融して流動性を付与させ、その後、もう1枚の不織布を、接着剤が溶融した混合材料の上に被せて、その状態でプレスする方法であってもよい。ホットメルト接着剤を溶融させる温度は、使用するホットメルト接着剤や不織布の材料によっても異なるが、例えば、80〜100℃程度の温度で溶融させればよい。
【0058】
本発明で使用するホットメルト接着剤は、無溶剤であるため、溶剤による製造時の危険性や、環境汚染の問題がなく、この点でも有用である。本発明で使用するホットメルト接着剤としては、ゴム系ホットメルト、オレフィン系ホットメルト、EVAホットメルト、アクリル系ホットメルト等、いずれのものも使用できる。特に、100℃程度で溶融されるEVAホットメルトを用いることが好ましい。
【0059】
(使用例)
本発明の機能性不織布シートは、先に述べたように、ホットメルト接着剤の使用量が少ない状態で、珪質頁岩粒を高い充填率で含む層を2枚の不織布の間に強固に挟持したものであって、しかも種々の柔軟性を有するものとして簡便に得ることができる。このため、絨毯用基材、畳用材料、寝具用材料、敷物用材料、インテリア材料、衣料用材料及び収納用材料として有効に利用できる。例えば、畳表と畳床との間に敷くシートとして、或いは、絨毯の裏打基材として、敷物自体として、さらには、睡眠の際に使用する各種のシーツ類として、また、洋服だんす内等で使用する洋服収納袋やケース類、或いは、従来より使用されている調湿シートや脱臭シートの代替品として幅広く使用することができる。
【0060】
本発明者らの検討によれば、本発明の実施例の機能性不織布シートを、例えば、絨毯用基材、畳用材料、インテリア材料及び敷物用材料などに用いる場合には、珪質頁岩粒の充填量が400g/m2〜1,000g/m2、さらには600g/m2〜1,000g/m2程度の、硬めのシートにすることが好ましい。また、寝具用材料、インテリア材料、衣料用材料及び収納用材料等に用いる場合には、用途にもよるが、珪質頁岩粒の充填量が100g/m2〜600g/m2、さらには100g/m2〜400g/m2程度の、柔らかさのあるシートにすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例の機能性不織布シートの模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1、2:不織布
3:珪質頁岩粒を含む層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の不織布の間に、ホットメルト接着剤で固定して形成された珪質頁岩粒の層が挟持されてなり、該珪質頁岩粒の層は、質量基準で、珪質頁岩粒100部に対してホットメルト接着剤が3〜50部を含んでなることを特徴とする機能性不織布シート。
【請求項2】
前記珪質頁岩粒が、比表面積が80m2/g以上、平均細孔半径が2〜7nmであって、粒径が0.2〜2.5mmの範囲にある請求項1に記載の機能性不織布シート。
【請求項3】
前記珪質頁岩粒を、100g/m2〜1,000g/m2の量で含んでなる請求項1又は2に記載の機能性不織布シート。
【請求項4】
前記珪質頁岩粒を、300g/m2〜800g/m2の量で含んでなる請求項1又は2に記載の機能性不織布シート。
【請求項5】
前記珪質頁岩粒が、アルカリ化合物を担持した珪質頁岩粒、強アルカリ化合物の水溶液によって処理された珪質頁岩粒及び600℃〜1,000℃の温度で焼成してなる珪質頁岩粒の何れかである請求項1〜4の何れか1項に記載の機能性不織布シート。
【請求項6】
前記珪質頁岩粒の層中に、さらに酸化チタン又は微量放射線を発生する鉱物を含む請求項1〜5の何れか1項に記載の機能性不織布シート。
【請求項7】
絨毯用基材、畳用材料、寝具用材料、敷物用材料、インテリア材料、衣料用材料及び収納用材料の何れかである請求項1〜6の何れか1項に記載の機能性不織布シート。
【請求項8】
2枚の不織布の間に、ホットメルト接着剤で固定して形成された珪質頁岩粒の層が挟持されてなる機能性不織布シートの製造方法であって、含水率が25%以下になるように乾燥させた珪質頁岩粒材料を用い、質量基準で、該珪質頁岩粒100部に対して3部〜50部の範囲で混合させた粉末粒状のホットメルト接着剤を溶融することで、2枚の不織布の間に、珪質頁岩粒を100g/m2以上1,000g/m2以下の範囲の量で含む珪質頁岩粒の層を形成させることを特徴とする機能性不織布シートの製造方法。
【請求項9】
前記珪質頁岩粒材料に、含水率が0%以上15%以下になるように乾燥させた珪質頁岩粒を用いる請求項8に記載の機能性不織布シートの製造方法。
【請求項10】
前記珪質頁岩粒材料に、予め、表面に付着している珪質頁岩粒の粉体の除去処理がされた珪質頁岩粒を用いる請求項8又は9に記載の機能性不織布シートの製造方法。
【請求項11】
前記珪質頁岩粒材料に、予め、表面に付着している珪質頁岩粒の粉体をバインダによって珪質頁岩粒の表面に固定させる処理を施した珪質頁岩粒を用いる請求項8又は9に記載の機能性不織布シートの製造方法。
【請求項12】
前記珪質頁岩粒材料に、比表面積が80m2/g以上、平均細孔半径が2〜7nmであって、粒径が0.2〜2.5mmの範囲のものを用いる請求項8〜11の何れか1項に記載の機能性不織布シートの製造方法。
【請求項13】
前記珪質頁岩粒材料に、アルカリ化合物を担持した珪質頁岩粒、強アルカリ化合物の水溶液によって処理された珪質頁岩粒及び600℃〜1,000℃の温度で焼成してなる珪質頁岩粒の何れかを用いる請求項8〜12の何れか1項に記載の機能性不織布シートの製造方法。
【請求項14】
前記珪質頁岩粒材料中に、さらに酸化チタン又は微量放射線を発生する鉱物の何れかを含有させて用いる請求項8〜13の何れか1項に記載の機能性不織布シートの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−7826(P2009−7826A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−170152(P2007−170152)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(506106866)株式会社自然素材研究所 (21)
【出願人】(000109037)ダイニック株式会社 (55)
【出願人】(000109196)ダウ化工株式会社 (69)
【出願人】(507214348)大洋興産株式会社 (3)
【Fターム(参考)】