説明

欠陥のない(DEFECT−FREE)幅の広い導光素子を製造する方法、製造装置、及び回折導光素子

連続的な1段階リールツーリール法によって回折導光素子を製造する方法について記載し、当該方法は、a)可撓性基材ウェブに感光性コーティング組成物を塗布する工程と、b)コーティング組成物を乾燥させる工程と、c)可撓性マスクを積層する工程と、d)パターン様に露光することによって、コーティング組成物中に屈折率勾配を得るように、コーティング組成物をマスクを介して露光させる工程と、e)屈折率勾配を固定するように、コーティング組成物を全域硬化させる工程とを含む。この方法は、混入物又は気泡を事実上含まない高価な回折導光素子を製造するのに使用することができる。さらに、非常に幅の広いウェブを製造することができる。導光素子は、例えば、投影スクリーン、投影TV又は大画面LCD TVディスプレイ等の例えば大画面用途に適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回折導光素子を製造する方法、回折導光素子を製造する装置、及びこのように得られる導光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
導光素子はディフューザとも称されている。導光素子及びディフューザは、導光性を有する素子、特にフィルムを意味すると解釈される。最も簡単な形態のディフューザは、散乱作用を有するが、定方向に誘導させるものではない拡散スクリーンのものである。しかしながら、多くの種々の効果、例えば、ディスプレイの場合の光収量の増大、散乱体の調整、及びディスプレイの視野角、自然光投影に関するサイドライト非依存性反射、コントラストの増大等が実現され得ることから、定方向に光を誘導させることが、多くの光学用途について大変重要となっている。
【0003】
導光性を伸ばすために、屈折率勾配を発生させる。屈折率勾配を発生させる原理は、既知である。例えば米国特許第5552261号及び同第5529473号に記載されているように、周囲の液体マトリクスに比べて大きいか、さもなければ小さい屈折率を有するモノマーの拡散を、屈折率勾配の発生に利用することができる。パターン様に露光された領域における続く重合による定方向拡散用のフォトポリマーにおいて既知の「コールバーン−へインズ効果」は、密度の増大、それゆえ屈折率の増大又は低減をもたらす。その後、屈折率勾配プロファイルは、全面硬化(全域硬化)によって固定される。単純な有機モノマーの変わりに、屈折率の差をより大きくすることができる無機的な性質の感光性成分も、その後使用されている。
【0004】
このような導光素子の製造は、例えばホログラフィックプロセスによる原理においても既知である。導光素子は、例えば、表面構造を導光作用によってエンボス加工することによって、又は感光性ポリマーフィルム(フォトポリマー)の(例えば有孔マスクによる)ポイント別の露光によって製造することができる。
【0005】
例えば、国際公開第WO03/058292号は、グラジエント構造を有する光学素子を製造する方法を記載している。ここで、固体マトリクスに埋め込まれたナノスケール粒子は、濃度勾配の形成を伴うナノスケール粒子の有向性拡散が起こるように、粒子が分散する硬化性マトリクス材料から成るナノコンポジット材料において電位差が生成されることにより得られ、濃度勾配曲線を有するナノコンポジット材料は硬化される。ナノコンポジット材料は、感光性材料であってもよい。
【0006】
ドイツ公開特許第10200760号は、屈折率勾配フィルムを製造する方法を記載している。この方法では、屈折率勾配が、例えばリソグラフィ又は局所的露光によって、重合可能な固体又はゲル形態のナノ複合材料中で発生し、次いで硬化によって固定される。
【0007】
本出願人に対する国際出願第PCT/EP2005/013685号及び同第PCT/EP2005/013683号は、屈折率勾配を有する光学部品を製造する方法を記載している。この方法では、屈折率勾配がハイブリッド材料中で発生し、当該ハイブリッド材料が、可溶性有機ポリマー、並びに光重合可能な又は熱的に重合可能な配位子を有する単核金属錯体又は多核金属錯体を含む。ハイブリッド材料の局所的照射又は局所的加熱が、濃度勾配を形成し、次いで硬化によって固定される。
【0008】
上記の従来技術によると、導光素子は2段階プロセスによって製造される。ドイツ公開特許第10200760号では、例えば、従来のコーティング方法によって感光性組成物を基材に塗布し、乾燥させる。ポリマーフィルムを基材として使用する場合、形成される複合体に保護用にカバーフィルムを施し、貯蔵用に巻き取る。第2段階では次いで、塗布した感光性組成物を構造化させるために、カバーフィルムを通常取り除かなければならない。
【0009】
これらの2段階プロセスの欠点は、コーティング後の非常に緩和な条件下でしか乾燥されないという必然性から生じる。これは、より高度に屈折するモノマー又はナノ粒子の拡散が、より高度に固化した層に極めて限られ、且つホログラフィック構造体等の構造体の形成が事実上、続くパターン露光プロセスでは起こり得ないためである。言い換えると、これにより、塗布層の非常に大きな機械的感応性が得られ、またマスクに固着する傾向がある。両方の影響とも、非常に高い欠陥率をディフューザ層中にもたらし、これらは多くの用途にとって許容されるものではない。さらなる要因は、各プロセス工程、例えば巻取り及び巻出しプロセス、並びに付随する輸送プロセスが、エラー率をさらに上げることである。その上、最近の技術は、わずか60cmのフィルム幅に制限されている。詳細には、以下の欠点が最新技術において特に生じている。
【0010】
1.第1のプロセス工程において作製されるサンドイッチ構造体は、このプロセスの結果として非常に柔軟且つ易流動性であり、また機械応力に非常に感応性である。反復処理の結果として、回避不可能な機械応力が生じ、これらの機械応力は、表面に最小限の変形しかもたらし得ないものの、続く第2の工程(露光)により光学的にかなり増幅される。これは、露光の間に、いわゆる「ライトパイプ」が、照射方向に沿って形成することによって起こる。このため、以後微小欠陥と称される小さいくぼみ、こぶ、ふくらみ又は擦り傷等の凹凸が、露光されるサンドイッチ構造体に存在する場合、感光性材料は、これらの微小欠陥の近傍において全く異なる角度で照射される。これにより、ライトパイプの平行度の巨視的に見える乱れ、それゆえ、ディフューザ全体の外観及び視覚効果の巨視的にはっきりと見える乱れがもたらされる。このようなディフューザは、特にディスプレイ分野における使用に適さない。
【0011】
2.2段階プロセスは、第1のプロセス工程と第2のプロセス工程の間に貯蔵時間を必要とする。この貯蔵の間に、感光性材料におけるエージングプロセスが存在する可能性があり、これは再現性のあるディフューザの製造を阻害するものである。その上、巻き取られた状態のサンドイッチ材料の貯蔵は、サンドイッチロールの内側と外側とで異なる圧力を受け、且つ重力の影響を受けて、層厚のばらつきの周期的な発生をもたらし、かかるサンドイッチ材料から作製されるディフューザフィルムの光学効果に、はっきりと見える周期的なばらつきをもたらす。これは、効果(回折効率)が厚みに大いに依存する界面層(volume phase)ホログラムを、ライトパイプ構造体が含むためである。これらも、特にディスプレイ分野におけるディフューザの使用に対する障害となる巨視的欠陥である。
【0012】
3.例えば投影スクリーン又は大型LCD−TVディスプレイにおけるディフューザの大型用途では、継ぎ目が見えないように縦方向に2つ以上のディフューザフィルムを接合する必要がある。これは、露光に必要な光学素子の幅が、技術的理由から、またコストの理由から望ましいスケールアップをすることができない、例えば、1.60mまでスケールアップすることができないためである。しかしながら従来技術で既知の異なる方法による上記の2段階プロセスで製造される2つ以上のディフューザの継ぎ目のない接合は、上述の用途に要求される品質を実現することができない。
【0013】
4.2段階プロセスは、多数のプロセス工程のためにかなりの費用がかかる。
【0014】
5.上記の50〜60cmの幅を使用する場合、露光及び乾燥又は温度プログラミングに関する根本的に避けられない不均質性のために、ひだになるか又は平坦でない周縁によるゆがみが生じる。これらの領域は、上記で見込まれる用途に利用することができない。より大きな面積はより小さなパーツを接合することによってのみ可能となる。この問題は、フィルム周縁上に傾斜したランニングホイールを据え付けることにより或る程度緩和され得るものの、より広い幅を得る2段階プロセスを伴う最新技術によれば総合的に実現可能でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このため、本発明の目的は、導光素子の上記巨視的欠陥を回避することができ、且つ入手可能な露光光学部品の幅を大幅に超える大きな幅を有するディフューザの製造を可能にする方法を提供することである。
【0016】
ここで、驚くべきことに、この目的は、連続的なロールツーロールプロセスにより回折導光素子を製造する方法によって達成されたことが見出された。回折導光素子は、光学導光素子及び微小光学導光素子を含む。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、回折導光素子を製造する方法に関し、当該方法は、
a)可撓性基材ウェブに感光性コーティング組成物を塗布する工程と、
b)塗布されたコーティング組成物を乾燥させる工程と、
c)乾燥させたコーティング組成物上に可撓性マスクを積層する工程と、
d)パターン露光を介してコーティング組成物中に屈折率勾配を得るように、コーティング組成物をマスクを介して露光させる工程と、
e)屈折率勾配を固定するように、コーティング組成物を全面硬化させる工程と、
を含み、工程a)〜工程e)は、この順序で連続的な1段階ロールツーロールプロセスにおいて実施される。
【0018】
本発明による方法では、連続的な組み合わせられたコーティング及び露光プラントを新たに構築した。このため、本発明は、本発明による方法が実施され得る装置、即ち、連続的な1段階ロールツーロールプロセスにおいて回折導光素子を製造する装置にさらに関し、当該装置は、
a)可撓性基材ウェブに感光性コーティング組成物を塗布する塗布機器と、
b)塗布されたコーティング組成物を乾燥させる乾燥機器と、
c)乾燥させたコーティング組成物上に可撓性マスクを積層する積層機器と、
d)乾燥させたコーティング組成物をマスクを介して露光させる露光機器と、
e)コーティング組成物を全面硬化させる硬化機器と、
を備え、これらの機器は、基材ウェブを連続して機器a)〜機器e)にこの順序で輸送して個々のプロセス工程を実施し得るように設計される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明によれば、従来技術と異なり、マスクを積層によって連続的に施したら、サンドイッチ構造体の露光プロセスが、事前乾燥プロセス後に「インライン」で実施される。露光後、マスクを直後に連続的にインラインで再度取り除くことができる。結果として、全プロセスは、クリーンルーム条件下において、コーティング、積層及び露光の封入型プラント内で実施することができる。本発明による方法は、これまで従来技術に従い必然的なものであり且つ製造される光学素子における欠陥の原因であった巻取り及び巻出しプロセス、又は輸送プロセス等の多くのハンドリング操作を不必要なものとする。
【0020】
これにより、巻取り及び巻出し並びに輸送等の欠陥の原因は削減されるが、マスクの積層及び好ましい続く離層を介して生じる付着の問題が残る。この問題にもかかわらず、この問題にも関わらず、驚くべきことに、従来技術のプロセスよりも欠陥の個数が略2桁少ないことが見出された。本発明によれば、離層後、離層された(マスクフリー)フィルムは、機械的感応性を無くすように何の問題もなく完全に硬化することができる。概して、この新規の方法は、欠陥からの桁外れに高い自由度について注目すべきものである。
【0021】
硬化/乾燥において周縁がひだになるのを防止するために、装置は、従来技術から既知の傾斜したランニングロールを備え、外向きに引っ張って、基材ウェブに作用し得る。それらは、静止した柔軟なフィルム上における外向きの張力を保証する。この配置であれば、驚くべきことに、うねりの形成を引き起こす現象を伴うことなく任意の所望のフィルム幅をここでは事実上製造することができる。このためすぐに、1.60m以上の幅を有する微小光学導光素子を得ることができる。
【0022】
本発明の製造方法は、連続的な1段階ロールツーロールプロセスである。ロールツーロールプロセスは通常、フィルム等の可撓性材料が、1つのロールから巻き出されて、再び巻き取られる別のロールに輸送される当業者に既知の一般的な技法であり、この材料は、第2のロールへと輸送されると共に、1つ又は複数の処理工程にかけられる。特に、工程a)〜工程e)は、その間に中間ロール上に再度巻き取られるか又は適切な場合には貯蔵されることなく、可撓性材料において1段階で実施される。
【0023】
回折導光素子の製造は連続的に実施される。これはまた、導光素子の製造が、極めて異なる条件下で行われるコーティング工程及びパターン露光工程等の異なるプロセス工程を含んでいる点で驚くべきことである。このため、異なる処理工程は、一般的な実施において異なる時間的制約を有していた。
【0024】
有用な可撓性基材ウェブは、この目的に適切な全ての材料をとり得る。可撓性基材ウェブは好ましくは、従来の基材フィルムである。使用される基材ウェブ又は基材フィルムは、導光素子の使用目的に応じて、製造される導光素子への永久的又は一時的な付着を有するウェブ又はフィルムであり得る。一時的な付着の場合、その後基材ウェブを取り除き、基材ウェブを有しない導光素子の可撓性ウェブ又はフィルムを得ることができる。当然のことながら、基材ウェブは、一般的な事前処理、例えば粘着防止処理又はコロナ処理を有していてもよい。
【0025】
基材ウェブは、透明又は不透明であってもよい。基材ウェブの例は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル及びトリアセテート、好ましくは
ポリエステルのプラスチックシート、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)又はトリアセテート(TAC)、金属箔又は金属フィルムである。典型的な商業製品は、例えば、Melinex(登録商標)フィルムであるポリエステルシートである。基材ウェブは、特に巻き出してプロセスを実施するロール上に設けられる。
【0026】
第1の工程において、好ましくは液体である感光性コーティング組成物が、可撓性基材ウェブ上に塗布される。このため本発明の装置では、塗布機器がプラントの第1の部分に据えられる。適切な可撓性基材ウェブは、そこで感光性材料によってコーティングされる。用いられるコーティングプロセスは、当該技術分野から既知の全てのプロセス、例えばロール塗布である。特に好適なプロセスは、遅い進行速度を実現し得るもの、例えば、スパイラルコーティング又はナイフコーティング、さもなければフィルムキャスティング又はスロットダイを用いたコーティング(スロットコーティング)等のキャスティングプロセスである。所望の乾燥された層の厚みをもたらすためコーティングプロセスが好適である。塗布速度は、コーティング組成物の所望の乾燥された層の厚みが実現するように選択される。乾燥された層の厚みは広範な値をとり得る。これは包括的に、例えば10〜250μm、好ましくは10〜150μm、より好ましくは40〜75μmである。
【0027】
その後、塗布されたコーティング組成物を乾燥させる。乾燥は包括的に、可撓性マスクが積層によって施され得る程度に行われる。乾燥は、当業者に既知の全ての方法、例えば、加熱によって且つ/又はガス流を用いて実施され得る。加熱による乾燥が好ましい。乾燥中に、コーティング組成物中の溶媒を、例えば0〜20重量%の残留物含量にまで完全に又は部分的に除去する。装置は、好ましくは炉から構成される、乾燥用の乾燥機器を備える。温度及び時間等の乾燥条件は、お互いに、使用されるコーティング組成物に応じて、また乾燥の所望の程度に応じて決まる。これらは、本発明に基づき当業者によって適切に選択され得る。
【0028】
したがって、コーティングステーションの下流で、感光性材料中に存在する溶媒を完全に又は部分的に除去する炉に、好ましくはコーティングされた基材ウェブを通過させる。炉の長さは、この溶媒の蒸発速度、及び露光(工程d))に必要なウェブスピードによって導かれる。包括的に炉の長さは、1〜10mの範囲、好ましくは1.5〜5mの範囲、より好ましくは2〜4mの範囲である。
【0029】
その後、マスク露光プロセスでは、当該技術分野から既知の方法によって、可撓性マスクを積層によって施す。この目的に有用な、マスクの露光プロセス及びマスクは既知のものである。使用されるマスクは、微細構造が、求められる光学特性を有する導光素子を作製するのに好適な全ての好適な従来のマスクであり得る。典型例は、市販のフォトマスク又は有孔マスクである。露光波長に対して非透過性の粒子が、透明なマトリクス、例えば透明なポリマー中で構造を形成するマスクも好適である。構造は、マトリクス中における粒子の均質な分布によって生じ、例えば、所望の構造に応じたマトリクス中における粒子の濃度、それらの形状及びサイズの好適な選択によって変わる。
【0030】
微小光学系に関するマスクの露光方法における一般的な実施によれば、マスクは、工程d)で用いられる光に対して透過性の領域、及び工程d)で用いられる光に対して非透過性の領域を有する。透過性の領域及び非透過性の領域は、製造すべき素子における所望の回折又は微小光学構造に応じて適切なパターンを形成する。当業者は、特定の目的に好適なマスクを直接選択できる。可撓性マスクはコーティング組成物から再度取り外されることが好ましい。即ち、マスクは積層によって可逆的に施すことができる。
【0031】
可撓性マスクは好ましくはマスクフィルムである。好ましい実施形態において、マスクは、マスクフィルムが塗布された基材フィルムを含み、これが構造化し、即ち透過性の領域及び非透過性の領域をもたらし、実際のマスクを構成する。このフィルムは、基材フィルム上で取り外し可能であっても取り外し不可能な層であってもよい。基材フィルムと併せて、このフィルムは、基材フィルム及びマスクフィルムの複合フィルムを形成する。
【0032】
マスクは、ロール上に巻き取られ、且つ積層用に巻き出され得る。積層の好適な技法は、当業者にとって既知のもの全てである。例えば、エンボス加工カレンダーを用いることが可能である。基材フィルムを含む可撓性マスクを用いる場合、マスクフィルムの基材フィルムは好ましくは次に、最大光学特性を得るために好適な離層ステーションによって取り除かれる。このように、基材ウェブと、その上に塗布されたコーティング組成物と、基材フィルムがマスクから任意に取り除かれるマスクとを含むサンドイッチ構造体を得る。
【0033】
次の工程では、マスクを介してコーティング組成物を露光させる。これは、感光性コーティング組成物のパターン露光によって達成される。このように、コーティング組成物中に、後で説明するような屈折率勾配が得られる。この目的のために、本発明の装置は、好適な露光機器を備える。
【0034】
露光では、全ての好適な光源を使用することができる。それらの選択は、感光性材料によって、例えば感光性材料中に存在する任意の光開始剤及び増感剤によって導かれる。露光は、基材ウェブ平面に対して直角又は特定の傾斜角度で行うことができる。適切な光学素子を有する複数の光源を直列に連結させることが可能である。この場合、それらの傾斜角度は、同じであっても、異なっていてもよい。例えば、レーザー光、UV光又は可視光を使用し、好ましくはUV照射することが可能である。平行光による露光が好ましい。
【0035】
露光は室温(23℃)で実施され得る。好ましい実施形態では、サンドイッチ構造体を、パターン露光の最中に、例えば35℃より高温で加熱処理にかける。加熱するのに好適な機器の例は加熱テーブルである。マスクの基材フィルムが取り除かれた、工程c)後に得られるサンドイッチ構造体を、テーブル、好ましくは加熱可能なテーブル上で適切に露光することができる。パターン露光に用いられる温度も、屈折率勾配プロファイルの確立が拡散により制御されることを鑑みて、得られる光学特性に応じて、また基材ウェブ、感光性材料及びマスク材料等の使用される材料の熱安定性に応じて決まる。室温〜120℃、より好ましくは60〜80℃の温度が好ましい。
【0036】
加熱テーブルにおけるサンドイッチ構造体の平坦化では、上記のように、周縁で延伸ロール又はテンションロールを使用することが、適切である。材料における張力を平均化するさらなる手段を有する目的のために、さらなる加熱処理プロセスを、露光の下流に入れてもよい。このようなプロセスは、ポリマー及びガラス技術から既知である。対象材料の特定の転移範囲付近の温度が、この場合例えば60℃〜90℃の温度で選択される。パターン露光は、いわゆるライトパイプを形成させる。
【0037】
その後、当業者にとって既知の方法によって、パターン露光されたコーティング組成物から可撓性マスクを取り外すこと、及び必要に応じて巻き取ることが好ましい。マスクは、硬化の完了後に取り除くこともできるが、依然としてロールツーロールプロセスにおいて、即ち製造される導光素子がロール上に巻き取られる前に取り除くこともできる。
【0038】
次のプロセス工程において、パターン露光されたコーティング組成物は、全域にわたって硬化される。これは、露光又は加熱処理によって行われ、露光によって全域硬化することが好ましい。加熱によって全域硬化する場合、マスクは破壊されず、露光の場合には、例えば、基材ウェブが、使用される光に対して透過性である場合には、サンドイッチ構造体の裏側からマスクを破壊することができる。このため、全域硬化は、マスクの存在下で実施することもできる。けれども、記述したように、全域硬化前のマスクの取外しが好ましい。マスクを保持することは、例えば、マスクが、回折素子完成品の後の巻取りの際に保護フィルムとしての役割を果たすため、適切となることがある。
【0039】
全域にわたる硬化により、工程d)で作られる屈折率勾配が固定される。露光による好ましい硬化の場合、サンドイッチ構造体は、マスクを用いて又は用いることなくフラッド露光により全域にわたって硬化することができるため、マスク露光によって作られる屈折率勾配構造が固定され得る。完全硬化には、例えば、レーザー光、UV光又は可視光を使用することも可能である。この目的で使用される光の波長は、屈折率勾配構造を作り出すのに使用される光に相当するものであってもよく、又はそれとは異なるものであってもよい。これは、感光性材料中に存在する光開始剤又は増感剤のタイプ及び数によっても導かれる。透明な基材フィルムの場合、フラッド露光は、(基材フィルムを介して)底面から、さもなければ上面から(特に不透明な基材フィルムの場合)行われ得る。
【0040】
このように製造された回折導光素子の巻取りについて、好適な剥離フィルムは、素子に施される中間層として使用することができる。この工程は、露光後にマスクが取り除かれた場合には省くことができる。このような剥離フィルム又は保護フィルムは、必要であれば、導光素子のさらなる加工において後に再び取り除くことができる。
【0041】
感光性コーティング組成物の使用によって屈折率勾配を作り出す原理は、上記で説明したように既知であり、また従来技術に詳細に説明されている。本発明による方法では、使用される感光性コーティング組成物が、従来技術からの一般的な組成物であってもよい。コーティング組成物は特に、屈折率が光重合可能な成分及び光重合された成分のものと異なる硬化性マトリクス材料中の光重合可能な成分を含む。光重合可能な成分とは概して、マトリクス材料よりも高い屈折率を有する成分であり、特に無機的な性質の成分が好適である。Ti−、Zr−、Nb−又はTa−含有成分が好ましい。光重合可能な成分は、パターン露光中に重合されて、上記で説明された有向の拡散を生じる。これは、濃度勾配、それゆえ屈折率勾配をマトリクス中にもたらし、かかる勾配は続く硬化によって固定される。
【0042】
好適な光重合可能な成分は、従来技術において使用されるもの、例えば、光化学重合可能な基を有する配位子との単核金属錯体又は多核金属錯体、又は、例えば2〜200nmの平均粒度を有する、光化学重合可能な基を有する表面基を含むナノスケールの粒子である。配位子又は表面基は包括的に有機的な性質を有するものであるため、無機感光性成分も有機要素を含むことになる。光重合可能な基は、当業者に既知のもの全て、例えばビニル又は(メタ)アクリロイル等の反応性二重結合であり得る。
【0043】
好適なマトリクス材料は、従来技術で使用される材料、例えば、有機ポリマー、オリゴマー若しくはモノマー、及び/又は任意で有機的に修飾される無機縮合物、例えば加水分解性シランから生成される縮合物である。マトリクス材料は、工程e)の条件下で硬化することができる。コーティング組成物は、溶媒と同様に、好適な添加物、例えば可塑剤、熱重合開始剤若しくは光化学重合開始剤、又は架橋開始剤(熱開始剤又は光開始剤)、増感剤、湿潤助剤、接着助剤、酸化防止剤、平滑化剤、安定化剤、染料、フォトクロミック化合物及びサーモクロミック化合物をさらに含んでいてもよい。増感剤又は光開始剤は、光重合に適する光の波長範囲を変えるのに又は広げるのに役立ち得る。コーティング組成物の有用な成分のさらなる詳細は、例えば、上記の出願である国際公開第WO03/058292号、ドイツ公開特許第10200760号、国際出願第PCT/EP2005/013685号及び同第PCT/EP2005/013683号(参照により本明細書に援用される)で得ることができる。
【0044】
感光性コーティング組成物は、本発明の露光工程で用いられる照射に対して感応性であり、且つ露光による硬化反応又は重合反応を開始するものである。コーティング組成物は好ましくは塗布のために液体である。乾燥後、コーティング組成物は好ましくはゲル形態又は固体で粘性となる。
【0045】
パターン露光は、照射(through-radiated)領域、即ちマスクで被覆されていない領域で固定される光重合可能な成分の拡散を通じて構造化を成し遂げ、それゆえより高い屈折率帯域が形成される。高屈折率は概して、光重合可能な成分又は光重合された成分が、有機的な性質を有し、且つポリマーマトリクスよりもかなり高い屈折率を有するということから生じる。
【0046】
得られる屈折率勾配の構造は、随意のものであり、且つ所望の用途に応じて選択され得る。比較的高い屈折率を有する領域及び比較的低い屈折率を有する領域から、任意の所望の二次元パターン又は三次元パターンを形成することが可能である。例えば、これはホログラフィックプロファイルとなり得る。好ましくは低μm範囲までのサブμmにおいて確率的に分布された横方向サイズ分布を有する横方向円柱状屈折率勾配構造、いわゆるライトパイプを得ることができる。これらのライトパイプは、例えば、相互に平行に配置され、フィルム平面に対して直角(対称ディフューザ)又は特定の角度(非対称ディフューザ)をとる。特別な場合、フィルム平面に対して異なる角度(90°を含む)で配置されるライトパイプの2つ以上の群を得ることができる。
【0047】
本発明による方法によって、例えば大型ディスプレイ用途、例えば投影スクリーン、投影TV又はLCD−TVに求められる、従来技術と比べて幅の広い微小光学導光素子を製造することができる。
【0048】
従来技術による2段階製造プロセスにおいて、得られる最大幅は、露光に使用される照明フィールドの幅に限られる。そうでなければ露光に必要な光強度が高すぎることから、光学手段によって望まれるようにこの幅を広くすることはできない。いくつかの照明フィールドをフィルム方向に相互に平行させて連結させることは、照明フィールドの周縁領域における光線の回避することのできない発散から、不可能である。アーク配置でディフューザを接合することは、技術的に非常に複雑であるだけでなく、連続的なプロセスに比べて費用がかかりすぎる。
【0049】
ここで本発明による1段階製造プロセスでは、第1の時間の間に、連続的に相互に平行させたウェブ形態の2つ以上の微小光学導光素子を製造することができる。この目的のために、初めに基材ウェブの一部、例えばウェブ幅の半分のみを、感光性コーティング組成物でコーティングし、露光する。この目的のために、層が周縁でウェッジ形状を有するように十分に液体感光性材料が湿潤する基材ウェブを選択することが好ましい。ディフューザが、上記のように基材ウェブのこの部分的なセクションに作製されたら、同じプロセスを次の部分的なセクションで繰り返し、継ぎ目領域を好ましくはウェッジ形状でカバーし、照明機器を平行移動により新たな部分の上方に位置合わせする。
【0050】
概して、好適に選択されたパラメータを用いて、実施例で説明されるように、およそ20mの1段階ディフューザを作製することができた。
【0051】
当然のことながら、装置はまた、輸送、巻出し若しくは巻取りに好適な一般的な機器、又はロール、ローラー、制動装置等のガイドウェブ、駆動機器、制御機器及び測定機器、又は輸送及びウェブの処理に一般的な機器を備えていてもよく、又はベルトを装置に実装することができる。例えば、基材ウェブを支持するロールは、ウェブを装置に輸送するために、装置の初めに設けてもよく、製造される製品が巻き取られる第2のロールは、最後に設けられる。ロールはまた、装置内のこのように意図される位置に任意に据え付けられ得る。
【0052】
製造すべき導光素子の抵抗によって生じる縦方向のストリップは、製造プロセス中に基材ウェブに対して適切に調節されるウェブ応力によって防止することができる。特に良好な結果は、巻出し段階の制動に関する圧力が約2barに調節されたときに得られる。積層後のマスク上の任意の折り目形成は、積層によってマスクを施すためのエンボス加工カレンダーのランニングスピードを、基材ウェブのウェブスピードに正確に一致させることによって回避することができる。さらに、ウェブに対する比較的少ない衝撃、例えば、巻取り段階における接触又は露光テーブルとの接触でさえ、層内に欠陥をもたらすおそれがあることが見出された。
【0053】
本発明による方法により、1段階での連続的なロールツーロールプロセスにおいて、好ましくはフィルムの形態の可撓性ウェブとして回折導光素子を製造することが可能である。このプロセスにおいて、基材ウェブは、ロールから巻き出され、第2のロールに輸送され、そこで再び巻き取られ、このウェブは、輸送されると共に連続してプロセス工程にかけられる。連続的なプロセスは、一定のウェブスピードを必要とする、即ち基材ウェブは一定速度で輸送される。驚くべきことに、本発明によれば、好適な作業工程を組み合わせてそれらを連続運転時に連続して実施することが可能であった。ウェブスピードは、当業者によって好適に選択することができる。本発明による方法は、例えば、0.05〜10m/分、好ましくは0.1〜4m/分の範囲のウェブスピードで実施することができる。ウェブスピードは、コーティングプロセスにおいて従来使用されている速度に比べて相対的に遅いが、同等程度及びさらに良好なコーティング結果が得られる。本発明による連続的なプロセスでは、コーティング及び露光(構造化)のためのウェブスピードが同じである。
【0054】
本発明によって得られる導光素子は、所望の層順序でそれらを重ね合わせることによって、1つ又は複数の異なる導光素子と組み合わせることができる。導光素子は、従来様式で、例えば接着によって、互いに結合させることができる。他の導光素子(複数可)はそれぞれ、従来の素子であってもよく、又は好ましくは本発明の方法によって同様に製造されるものであってもよい。このような2層複合体又は多層複合体は、特定の光学効果を得ることができる。例えば、2つの非対称ディフューザ(±30°...±50°)を組み合わせると、入射光が垂直な場合には高い透過率を有し、且つ入射光が傾斜している場合には低い透過率を有する導光素子が得られる。
【0055】
本発明による方法により、従来技術の方法で得られる素子と異なり、混入物又は気泡を事実上含まない微小光学導光素子を製造することが可能となった。製造されるウェブは、必要に応じて、好適な長さの断片に切断することができる。図は、横方向の3つの異なる位置(右側周縁、中央、左側周縁)で測定された角度の関数としての透過率に関する、実施例で作製される導光素子の性能を示している。
【0056】
本発明は、以下の実施例によって例示される。
【実施例】
【0057】
1.感光性コーティング組成物
Zr錯体(Zr/メタクリル酸錯体、Zr/MAA)の調製
187.2g(0.40mol)のZr(OPr)(ブタノール中82%)を初めに、500mlの3つ口フラスコに入れ、氷浴で冷却させた。これに、攪拌しながら34.44g(0.40mol)のメタクリル酸を徐々に添加した。続いて、反応混合物を25℃に温め、15分間攪拌した。
ポリマー溶液の調製
1000gの酢酸ブチルを250gのPVAcペレットに添加し、混合物を80℃で16時間攪拌させた。100gのEbecryl(登録商標)150(メタクリレートで修飾させたビスフェノールA)を添加した後、反応混合物が透明になるまで混合物を25℃でさらに10分間攪拌した。続いて、150gのUltramol M(登録商標)(アジピン酸エステル誘導体)を添加し、混合物を25℃で20分間攪拌した。
コーティング溶液の調製
その後、調製した22.27gのZr/MAAを、攪拌しながらポリマー溶液に徐々に添加した。添加完了後に、混合物を25℃で10分間攪拌した。攪拌後、0.31%のIrgacure(登録商標)651を光開始剤として添加した。
【0058】
2.マスク
ディフューザの作製の数時間前にマスクを作製した。このために、6.3%の全固形分における2.8%の固体グラファイト含量を有するマスク懸濁液(AM315)を使用した。マスクを作製するのに使用される基材フィルムは、75μmの厚み及び356mmの幅を有するMelinex(登録商標)400であった。塗布は従来のナイフコーティングファウンテン及び200μmの間隙を有するドクターナイフを用いて行った。1m/分のウェブスピード及び150℃の炉内温度で、可撓性マスクを作製するために、懸濁液でコーティングされたフィルムを乾燥させた。
【0059】
3.基材ウェブ
使用した基材ウェブは、50μmの厚み及び540mmの幅を有するMelinex(登録商標)400フィルムであった。このフィルムの外側は、粘着防止前処理がされている。コーティング組成物は、基材となるフィルムの処理されていない内側に塗布した。
【0060】
4.ウェブの経路
ウェブの経路は4つのエリアに分けられる。
【0061】
a)コーティング組成物の塗布、及び炉内における層の乾燥。ナイフコーティングファウンテン及びドクターナイフを用いてゾルを手作業で塗布した。強制空気炉による続く実施において、塗布層を乾燥させた。
【0062】
b)次のエリアでは、積層を行った。ロールシステムが、マスクを有するフィルムを乾燥させたフォトナノマー層上に加圧させる。マスクは、フォトナノマー上に付着して残る。マスクフィルムは、ローラーシステムによって輸送される。
【0063】
c)第3のエリアは、露光段階である。ラミネート層を硬化させるために、Lot Orielから2つのUVランプを入手することができる。第1の露光の間、フィルムを加熱テーブルの上方に誘導し、同時に露光させた。
【0064】
d)第2の露光は、事前で完全に硬化され得なかった任意の領域を硬化させるために、裏側から行う。この露光工程はフラッド硬化と称される。またこの最後のエリアでは、マスクが離層された。この目的のために、マスクを手で引き剥がした。
【0065】
5.手順
以下の表は、巻出し及びマスターロールに関するパラメータを明記したものである。
【0066】
【表1】

【0067】
列挙される2barの制動装置の圧力(番号2)は、マスターロールのストリップ張力を十分大きくして、ナイフコーティングファウンテンからのゾルの漏出を防止するのに十分大きい。通常、この目的で求められる制動作用は、ゴムロールを用いてマスターロール上にフィルムを加圧させることによって行われる。非常に大きな延伸張力に起因して、これは、この圧締め手段によって生じる折り目をもたらす可能性がある。より厚みのある基材ウェブ(例えば75μm)の使用はこれを防止することができる。
【0068】
以下の表は、ナイフコーティングのパラメータを列挙するものである。
【0069】
【表2】

【0070】
用いたナイフコーティングファウンテンは、26cmの幅を有するものであった。長期にわたるコーティングの実施中、ゾルは、貯蔵ベッセル、例えば滴下漏斗から連続的に計量することができる。
【0071】
以下の表は、使用される炉のパラメータを示すものである。
【0072】
【表3】

【0073】
列挙されたオーブンフラップ(位置13〜位置16)は、炉内の強制空気の流れを制御するものである。フラップのうち2つは吸気を担い、他の2つは排気する役割を果たす。
【0074】
以下の表は、積層に関するパラメータを列挙する。
【0075】
【表4】

【0076】
エンボス加工カレンダーの設定は、エンボス加工カレンダーが、どちらかといえば、フィルムウェブ上でさらに引っぱられるか又は制動されるかについての半定量測定である。以下の表は、露光に関するパラメータを示すものである。
【0077】
【表5】

【0078】
テーブル温度は、テーブル内に内蔵される、水充填チャンバを用いて制御される。テーブルの可能な傾斜角は、多様なディフューザのプロファイルを実現することができる。以下の表は、フラッド硬化に関するパラメータを転記したものである。
【0079】
【表6】

【0080】
以下の表は、積層及び巻取りに関するパラメータを列挙する。
【0081】
【表7】

【0082】
200Nの巻取り張力は、マスターロールにおけるストリップ張力を十分大きくし、且つナイフコーティングベッセルからの漏出を防止するために、このような高い値で選択される。
【0083】
6.得られるディフューザ
製造プロセスでは、Melinex400フィルム上に50μm厚のディフューザが得られる。幅36cm及び長さ20mを有するディフューザは、−30°で8.3%、30°で7.5%、−10°及び10°でおよそ1%の正透過率を有する。図中で、PN−LLEの正透過率は、−30°〜30°の範囲の入射角の関数として示される。正透過率(Tdirect)は以下のように求められる。
【0084】
direct=(ヘイズ/100)・Ttotal[%]
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の光学導光素子について3つの異なる位置で測定した角度の関数としての透過率を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折導光素子を製造する方法であって、
a)可撓性基材ウェブに感光性コーティング組成物を塗布する工程と、
b)塗布された前記コーティング組成物を乾燥させる工程と、
c)乾燥させた前記コーティング組成物上に可撓性マスクを積層する工程と、
d)パターン露光を介して前記コーティング組成物中に屈折率勾配を得るように、前記コーティング組成物を前記マスクを介して露光させる工程と、
e)前記屈折率勾配を固定するように、前記コーティング組成物を全面硬化させる工程と、
を含み、工程a)〜工程e)が、この順序で連続的な1段階ロールツーロールプロセスにおいて実施される、回折導光素子を製造する方法。
【請求項2】
前記ロールツーロールプロセスにおける前記マスクが、工程d)における露光後且つ工程e)における硬化前に、又は工程e)の後に再び取り除かれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材ウェブが、透明又は不透明なプラスチックシート、金属箔又は金属シートであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスクが、基材フィルム上のマスクフィルムから成ることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記マスクの前記基材フィルムが、前記コーティング組成物上に前記マスクフィルムを残して工程c)後に再び取り外される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング組成物が、工程d)における露光の最中に加熱されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基材フィルムが、硬化された前記コーティング組成物から取り外されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程a)における前記コーティング組成物が、前記基材ウェブの幅の一部のみに塗布され、前記導光素子が、該基材ウェブの部分的なセクションにのみ形成されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、同じ基材ウェブ上で少なくとも1回繰り返され、続く実施(複数可)における工程a)において、前記コーティング組成物が、いずれの場合にも前記基材ウェブの前記幅のコーティングされていない部分に塗布されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
2回以上の実施では、いずれの場合にも、形成される前記導光素子の部分的なセクションが互いに隣り合うように、前記コーティング組成物を塗布することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1回の実施で塗布される前記コーティング組成物の層が、周縁でウェッジ形状を有するのに十分に、該コーティング組成物が前記基材ウェブを湿潤し、且つ次の実施又は続く実施では、前もって塗布された前記導光素子の前記部分的なセクションに対する継ぎ目領域をウェッジシェイプで重ね合わせるように、該コーティング組成物が塗布されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティング組成物が、スパイラルコーティング、ナイフコーティング又はキャスティングプロセスによって、前記可撓性基材ウェブに塗布されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記導光素子の幅が、60cmを超えることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
製造される前記導光素子の前記ウェブが、好適な長さに切断されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
得られる前記導光素子が、特定の光学特性を有する2層複合体又は多層複合体を得るように、重ね合わせることによって1つ又は複数の他の導光素子と組み合わされることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
連続的な1段階ロールツーロールプロセスにおいて回折導光素子を製造する装置であって、
a)可撓性基材ウェブに感光性コーティング組成物を塗布する塗布機器と、
b)塗布された前記コーティング組成物を乾燥させる乾燥機器と、
c)乾燥させた前記コーティング組成物上に可撓性マスクを積層する積層機器と、
d)乾燥させた前記コーティング組成物を前記マスクを介して露光させる露光機器と、
e)前記コーティング組成物を全面硬化させる硬化機器と、
を備え、該機器が、基材ウェブを連続して機器a)〜機器e)にこの順序で輸送して個々のプロセス工程を実施し得るように設計される、連続的な1段階ロールツーロールプロセスにおいて回折導光素子を製造する装置。
【請求項17】
前記基材ウェブ上に外向きに張力を提供し得る、ウェブ方向に対して傾斜したローラーを備えることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
機器a)〜機器e)が、結合ケーシング内に収容されることを特徴とする、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
前記マスク、該マスクの前記基材フィルム、及び/又は前記基材ウェブを離層し得る、1つ又は複数の離層機器をさらに備えることを特徴とする、請求項16〜18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
請求項1〜15に記載の方法によって得ることができる回折導光素子。
【請求項21】
前記導光素子の幅が、60cmを超えることを特徴とする、請求項20に記載の回折導光素子。
【請求項22】
屈折率勾配フィルム、又は基材ウェブと、屈折率勾配フィルムと、任意でカバーフィルムとから形成される複合体であることを特徴とする、請求項20又は21に記載の回折導光素子。
【請求項23】
前記導光素子が、2つ以上の導光素子から形成される複合体であることを特徴とする、請求項20〜22のいずれか一項に記載の回折導光素子。

【図1】
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【公表番号】特表2009−529713(P2009−529713A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558717(P2008−558717)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002263
【国際公開番号】WO2007/104555
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(507202600)イーピージー (エンジニアード ナノプロダクツ ジャーマニー) アーゲー (9)
【Fターム(参考)】