説明

正帯電二成分現像剤

【課題】高い現像性を維持し、長時間使用しても帯電量の低下が生じず、トナー飛散及びかぶりの起こりにくい正帯電二成分現像剤を提供することを目的とする。
【解決手段】トナーと、磁性キャリアとからなり、前記トナーが、(a)正帯電処理した酸化亜鉛微粒子と、(b)シリカ微粒子と、を含む外添剤によって表面処理されており、(b)シリカ微粒子の帯電量は、ノンコートフェライトキャリアとの混合攪拌物において、前記攪拌混合物中のシリカ微粒子の帯電量として−40〜70μC/gである
ことを特徴とする正帯電二成分現像剤。前記正帯電二成分現像剤において、30分間攪拌後のシリカ微粒子の帯電量と、1分間攪拌後のシリカ微粒子の帯電量との差が−5〜30μC/gであることが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正帯電二成分現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザープリンタ、静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、およびこれらの複合機などの画像形成装置によって画像形成を記録媒体に施すには、まず像担持体の表面を帯電手段によって一様に帯電させ、次いで露光手段によって露光して静電潜像を形成した後、この静電潜像を現像手段によってトナー像に現像させる工程を経ることが必要である。次に、この現像されたトナー像を転写手段によって紙などの被印刷物の表面に転写した後、定着手段によって記録媒体に定着させる工程を経ることで一連の画像形成が完了することになる。
【0003】
以上の工程中に含まれる現像手段として、種々の方法が公知となっているが、近年では高い現像性を有することから、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いた乾式による二成分現像方法を用いることが一般的である。前記トナーは、通常、トナー母粒子にシリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子等の外添剤によって表面処理されたものが用いられている。外添剤によって表面処理されたトナー母粒子を用いることにより、トナーは安定した帯電量や流動性を有する。また、これらの外添剤の中でもシリカ微粒子は、特に高い流動性をトナーに付与させることができるため、トナーの表面処理剤として多用されている。しかしながら、前記シリカ微粒子は負帯電性の強い表面処理剤であるため、正帯電性トナーの表面処理剤として用いる場合、様々な工夫が必要である。
【0004】
例えば、特許文献1ではアミノシランによって正帯電させたシリカを用いたトナーを含む二成分系現像剤が開示されている。また、特許文献2においても正帯電性シリカを含有する二成分系現像用正帯電用トナーが開示されている。さらに、特許文献3では正帯電性シリカと負帯電性シリカを特定重量比で有する二成分現像剤用の正帯電性トナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−116581号公報
【特許文献2】特開2003−302786号公報
【特許文献3】特開2001−13717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に記載した従来の正帯電処理を施したシリカ微粒子を用いたトナーを含む正帯電二成分現像剤は、安定性、耐久性にも優れ、画像濃度低下やかぶりの多量発生などの問題が比較的生じにくいと考えられていた。しかしながら、前述したように、微粒子シリカは、シリカ基材元来に強い負帯電性を有するため、正帯電処理を行ったとしてもキャリア等と接触を繰り返すうちにその正帯電性が失われていく傾向にある。従って、正帯電処理を行ったシリカを用いたトナーは、長期にわたって現像機内に残留し、現像器内でキャリアと長時間攪拌されると正帯電性が徐々に失われることとなる。その結果、二成分現像方法の特長である高い現像性を得る反面、トナー飛散やかぶり等の不具合が発生することがあるのが実情であり、この点について改善の余地が生じていた。
【0007】
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その解決すべき課題は、高い現像性と安定した正帯電性との両立、特にトナー飛散やかぶりの生じにくい正帯電二成分現像剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明者らは、トナー母粒子の外添剤として用いられるシリカ微粒子の帯電量に着目し、鋭意検討を行った。この結果、正帯電性処理を施した酸化亜鉛微粒子と、特定の帯電量を有するシリカとを外添剤として併用することにより、高い現像性を維持し、かつ長時間使用しても帯電量の低下が生じず、トナー飛散及びかぶりの起こりにくい正帯電二成分現像剤を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明にかかる正帯電二成分現像剤は、トナーと、磁性キャリアと、を含有し、前記トナーが、(a)正帯電処理した酸化亜鉛微粒子と、(b)シリカ微粒子と、によって表面処理されており、(b)シリカ微粒子の帯電量は、ノンコートフェライトキャリアとの混合攪拌物において、前記攪拌混合物中のシリカ微粒子の帯電量として−40〜70μC/gであることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、高い現像性を維持し、長時間使用しても帯電量の低下が生じず、トナー飛散及びかぶりの起こりにくい正帯電二成分現像剤を提供することができる。
【0011】
前記正帯電二成分現像剤において、30分間攪拌後のシリカ微粒子の帯電量と、1分間攪拌後のシリカ微粒子の帯電量との差が−5〜30μC/gであることが好適である。
【0012】
このような構成によれば、正帯電二成分現像剤の長時間使用時における帯電量の低下をさらに抑制できる。
【0013】
また、前記正帯電二成分現像剤において、前記(a)酸化亜鉛微粒子が、カップリング剤によって正帯電処理されたものであることが好適である。
【0014】
このような構成によれば、トナー粒子とキャリアとの非静電的な付着力及びトナー粒子との摩擦帯電特性を、さらに安定的に保持することができる。
【0015】
また、前記正帯電二成分現像剤において、前記カップリング剤の添加量が、酸化亜鉛微粒子100重量%に対して5〜30重量%であることが好適である。
【0016】
このような構成によれば、正帯電性が過剰に強いトナーにならず、トナーの流動性をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、特定範囲の帯電量を有するシリカ微粒子によって表面処理されたトナーを含有させることにより、高い現像性を維持し、長時間使用しても帯電量の低下が生じず、トナー飛散及びかぶりの起こりにくい正帯電二成分現像剤が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかる実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0019】
[トナー]
本発明に用いるトナーは、トナー母粒子に外添剤を外添してなるトナーであり、外添剤によるトナー母粒子の被覆率が特定の範囲にある。トナー母粒子に外添された外添剤は、トナー母粒子の表面に付着する。なお、外添された外添剤の一部は、トナー母粒子に付着せず、遊離の状態でトナーに含まれていてもよい。
【0020】
<トナー母粒子>
前記トナー母粒子は、結着樹脂及び着色剤等を含有し、トナー母粒子として使用可能な形態のものであれば、特に限定されない。また、その粒子径としては、前記トナーの粒子径と同程度であり、具体的には、例えば、体積平均粒子径で、4.5〜9.0μmであることが好ましい。
【0021】
(結着樹脂)
前記結着樹脂としては、従来からトナー母粒子の結着樹脂として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等のポリスチレン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ビニルエーテル系樹脂;N−ビニル系樹脂等が挙げられる。この中でも、ポリエステル系樹脂が、比較的軟化点が低く、低温定着性に優れ、非オフセット温度範囲が広い点から好ましく用いられる。また、前記結着樹脂としては、上記各結着樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合によって得られるもの等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のものが挙げられる。
【0023】
前記アルコール成分としては、ポリエステル系樹脂を合成するためのアルコールとして使用可能なものであれば、特に限定されない。また、前記アルコール成分としては、分子内に水酸基が2個以上のアルコール(2価以上のアルコール)が含まれている必要がある。前記アルコール成分として用いられるもののうち、2価のアルコールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類等が挙げられる。また、前記アルコール成分として用いられるもののうち、3価以上のアルコールとしては、具体的には、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。また、前記アルコール成分としては、上記各成分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
また、前記カルボン酸成分としては、ポリエステル系樹脂を合成するためのカルボン酸として使用可能なものであれば、特に限定されない。また、前記カルボン酸成分としては、カルボン酸だけではなく、カルボン酸の、酸無水物や低級アルキルエステル等も含まれる。そして、前記カルボン酸成分としては、カルボン酸の分子内に水酸基を2個以上有するカルボン酸(2価以上のカルボン酸)が含まれている必要がある。前記カルボン酸として用いられるもののうち、2価のカルボン酸としては、具体的には、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、アルキルコハク酸、及びアルケニルコハク酸等が挙げられる。アルキルコハク酸としては、例えば、n−ブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等が挙げられ、アルケニルコハク酸としては、例えば、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等が挙げられる。また、前記カルボン酸として用いられるもののうち、3価以上のカルボン酸としては、具体的には、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等が挙げられる。また、前記カルボン酸成分としては、上記各成分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
前記ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体でも、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体でもよい。前記共重合モノマーとしては、p−クロロスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のオレフィン系炭化水素(アルケン);塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル;メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等のN−ビニル化合物等が挙げられる。また、前記共重合モノマーとしては、上記各モノマーを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
前記結着樹脂としては、定着性の観点から、上記のような熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂のみである必要はなく、架橋剤や熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に組み合わせて用いてもよい。このように結着樹脂内に一部架橋構造を導入することにより、トナーの用紙への定着時における定着性の低下を抑制しつつ、耐オフセット性を向上させることができる。
【0027】
前記熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、シアネート樹脂等のシアネート系樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
(着色剤)
前記着色剤としては、トナーとして所望の色になるように、公知の顔料や染料を用いることができる。具体的には、例えば、色に応じて、以下のような着色剤が挙げられる。黒色顔料としては、例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。橙色顔料としては、例えば、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド238等が挙げられる。紫色顔料としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)等が挙げられる。緑色顔料としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等が挙げられる。白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。この中でも、例えば、以下の着色剤が好ましい。ブラックトナーの着色剤としては、カーボンブラックが好ましい。イエロートナーの着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー180が好ましい。シアントナーの着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)が好ましい。そして、マゼンタトナーの着色剤としては、C.I.ピグメントレッド238が好ましい。
【0029】
前記着色剤の含有量としては、着色剤の種類によっても異なるが、好適な画像濃度を達成するためにも、例えば、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがより好ましい。
【0030】
(電荷制御剤)
前記トナー母粒子には、トナーの摩擦帯電性等の帯電性を制御するために、電荷制御剤を含有させることが一般的である。そして、トナーの帯電極性等に応じて、正電荷制御剤及び負電荷制御剤が必要に応じて組み合わせて用いられる。また、前記電荷制御剤としては、従来からトナー母粒子の電荷制御剤として用いられているものであれば、特に限定なく用いられる。
【0031】
前記正電荷制御剤としては、具体的には、例えば、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等のアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、ニグロシン誘導体等のニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等のニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウムクロールイド等の4級アンモニウム塩;分子内に4級アンモニウム塩を有する樹脂またはオリゴマー;分子内にカルボン酸塩を有する樹脂またはオリゴマー;分子内にカルボキシル基を有する樹脂またはオリゴマー等が挙げられる。
【0032】
また、前記負電荷制御剤としては、具体的には、例えば、有機金属錯体、その塩、及びキレート化合物等が挙げられる。前記有機金属錯体、及びその塩としては、具体的には、例えば、アセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体、及びこれらの塩が挙げられる。また、前記キレート化合物としては、具体的には、例えば、アルミニウムアセチルアセトナート、鉄(II)アセチルアセトナート、3,5−ジ−ターシヤリーブチルサリチル酸クロム等が挙げられる。
【0033】
また、前記電荷制御剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。前記電荷制御剤の含有量が少なすぎる場合、所定極性にトナーを安定して帯電することが困難となり、形成画像にかぶりが発生しやすくなる傾向がある。また、前記電荷制御剤の含有量が多すぎる場合、トナーがチャージアップし易く画像濃度の低下を招くことがある。
【0034】
(ワックス)
前記トナー母粒子には、定着性やオフセット性等を向上させるために、ワックスを含有させることが一般的である。前記ワックスとしては、従来からトナー母粒子のワックスとして用いられているものであれば特に限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、カルナバワックスやサトウキビワックス、木ワックス等の植物性ワックス;蜜ワックスや昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックスなどの動物性ワックス;フィッシャートロプシュ(以下、「FT」と記すことがある)ワックスやポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックス等が挙げられる。
【0035】
これらの中では、前記結着樹脂中での分散性に優れている点から、FTワックスやポリエチレンワックス等の合成炭化水素系ワックスが好ましく、FTワックスがより好ましい。前記ワックスの添加量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部添加することが好ましい。前記添加量が少なすぎる場合には、ワックスを添加したことによる効果が得られない可能性があり、また、多すぎる場合には、トナーの耐ブロッキング性が低下し、またトナーからワックスの脱離が生じるおそれがある。
【0036】
(製造方法)
前記トナー母粒子の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0037】
まず、上記の、結着樹脂、着色剤及び外添剤等のトナー母粒子を構成する各成分を混合機等で混合する。前記混合機としては、公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル、ハイブリダイゼーションシステム、コスモシステム等が挙げられる。この中でも、ヘンシェルミキサが好ましい。
【0038】
次に、得られた混合物を混練機等で溶融混練する。前記混練機としては、公知のものを使用でき、例えば、2軸押出機等の押出機、三本ロールミル、ラボブラストミル等が挙げられ、押出機が好適に用いられる。また、溶融混練時の温度としては、前記結着樹脂の軟化点以上であって、前記結着樹脂の熱分解温度未満の温度であることが好ましい。
【0039】
次に、得られた溶融混練物を冷却して固形物とし、その固形物を粉砕機等で粉砕する。前記粉砕機としては、公知のものを使用でき、例えば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機(ジェットミル)等の気流式粉砕機、ターボミル等の機械式粉砕機や衝撃式粉砕機等が挙げられ、気流式粉砕機が好適に用いられる。
【0040】
最後に、得られた粉砕物を分級機等で分級する。分級することによって、過粉砕物や粗粉を除去することができ、所望のトナー母粒子を得ることができる。前記分級機としては、公知のものを使用でき、例えば、エルボージェット分級機等の旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)等の風力分級機や遠心力分級機等が挙げられ、風力分級機が好適に用いられる。
【0041】
<外添剤>
前記トナーは、前記トナー母粒子に対して、外添剤を外添して得られるものである。すなわち、前記トナー母粒子に外添工程を施すことによって得られるものである。
【0042】
また、本発明の正帯電二成分現像剤のトナーに含まれる外添剤は、(a)正帯電処理した酸化亜鉛微粒子と、(b)シリカ微粒子である。これらについて以下に詳述する。
【0043】
(a)正帯電処理した酸化亜鉛微粒子
本発明に使用する酸化亜鉛微粒子は正帯電性処理を施したことを特徴とするものである。正帯電処理の方法としては、具体的には、酸化亜鉛微粒子と正帯電極性基を有するカップリング剤とを湿式法又は乾式法にて混合分散させ、解砕する方法が挙げられる。
【0044】
正帯電極性基を有するカップリング剤としては、例えば、下式で示されるアミノシランカップリング剤及びそれらの混合物が挙げられる。
【0045】
N(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHNH(CHSi(CH)(OCH、HN(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHNH(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHSi(OCH、及びCNH(CHSi(OCH
【0046】
また、正帯電極性基と同時に疎水性基を導入するのが好ましく、表面処理剤として、アルキルシランカップリング剤を用いることが好ましい。
【0047】
アルキルシランカップリング剤(疎水化剤)としては、例えば、下式で示されるようなシラン系カップリング剤を用いることが好ましい。
【0048】
CHSiCl、(CHSiCl、(CHSiCl、CHSi(OCH、CHSi(OCHCH3)、(CHSi(OCH)、(CHSi(OCH、(CHSi(OCHCH、(CHCHO)Si(OCHCH、(CHO)Si(OCH、CH(H)Si(OCH、CH(H)Si(OCHCH、(CH(H)Si(OCHCH
【0049】
酸化亜鉛微粒子の表面に対する正帯電極性基の導入量は、正帯電極性基を有するカップリング剤(アミノシランカップリング剤)の添加量を、酸化亜鉛微粒子100重量%に対して、5〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましく、15〜25重量%の範囲内にすることがさらに好ましい。
【0050】
また、酸化亜鉛微粒子の表面に対する疎水基の導入量、すなわち疎水性基を有するカップリング剤(アルキルシランカップリング剤)の添加量を、酸化亜鉛微粒子100重量部に対して、10〜30重量部が好ましく、15〜25重量部がより好ましい。
【0051】
酸化亜鉛微粒子の一次粒子径は、流動性を考慮した場合、7〜100nmが好ましく、15〜50nmがより好ましい。
【0052】
(b)シリカ微粒子
まず最初に、二成分現像剤と帯電性との関係について説明する。
【0053】
電子写真などの画像形成に用いられるトナーは、一般に、結着樹脂、着色剤、および帯電制御剤等を含有するトナー母粒子を主成分とし、これにトナーの帯電性や流動性を補助する外添剤が添加された構成である場合が多い。このようなトナーを用いた現像方式としては、トナー単独を現像剤(一成分現像剤)として用いる一成分現像方式と、トナーとキャリアとを混合した現像剤(二成分現像剤)を用いる二成分現像方式とが知られている。
【0054】
二成分現像方式は、キャリアが摩擦帯電によりトナーを帯電させると共に、トナーを搬送する役割を担うため、初期には帯電性および搬送性が比較的安定しやすい。しかし、長期にわたって印刷を行うと、外添剤の一部が遊離してキャリア表面に付着し、トナーの帯電性や流動性が低下することがあった。また、長期にわたる印刷によりキャリア表面に外添剤が蓄積されると、キャリアのトナーに対する帯電付与能力が低下し、現像装置に新たに補給されたトナーを十分に帯電させることが困難となり、トナー飛散やかぶりが生じやすかった。
【0055】
そこで、トナーの帯電性や流動性を長期にわたり安定して維持し、良好な画像が得られる現像剤として、シリカをトナー母粒子に外添したトナーと、磁性キャリアとからなる二成分現像剤が重用されている。しかし、前記二成分現像剤では、長期にわたって使用を続けるとシリカ微粒子が強いストレスを受けてトナー母粒子中に埋没しやすくなり、その結果、トナーの帯電性が低下したりすることがあった。
【0056】
従って、従来の二成分現像剤トナーにおいては、安定した帯電性を維持させるために、正帯電処理したシリカと負帯電性シリカを配合して併用させることで、帯電性の低下や流動性低下等の問題を解消し、現像性を向上させている。
【0057】
このような従来の二成分現像剤トナーは、印刷初期における現像性の点ではそれほど問題が無いものの、印刷を繰り返した場合に、前記の正帯電処理シリカの帯電性低下が生じてしまい、トナー飛散やかぶりが解消されたものが得られていたとはいい難かった。
【0058】
これらの問題点に鑑み、本発明者らが、正帯電二成分現像剤のトナー外添剤における好適な正帯電量について検討を行ったところ、従来忌避されていた比較的帯電量の高い酸化亜鉛微粒子と、特定の帯電量を有するシリカ微粒子をトナー外添剤に用いたところ、高い現像性を維持し、長時間使用しても帯電量の低下が生じることのない、トナー飛散及びかぶりの起こりにくい正帯電二成分現像剤が得られることが分かった。
【0059】
本発明の正帯電二成分現像剤において、シリカ微粒子の帯電量は、ノンコートフェライトキャリアとの混合攪拌物において、前記攪拌混合物中のシリカ微粒子の帯電量として−40〜70μC/gであることが好ましく、−40〜40μC/gであることがより好ましい。
【0060】
前記シリカ微粒子の帯電量は、具体的に下記試験法1により測定されることが好ましい。
【0061】
(試験法1)
前記正帯電二成分現像剤中に含まれるものと同一種のシリカ微粒子、及びノンコートフェライトキャリアを用い、シリカ微粒子1重量%に対するノンコートフェライトキャリアの重量比を100重量%とし、内容積20mlのプラスチック容器に10.1gのシリカ微粒子とノンコートフェライトキャリアの混合物を入れ、容器の蓋を閉めた状態で小型ボールミルに容器を搭載し、小型ボールミルで回転数100rpmの条件にて攪拌混合して攪拌混合物を得、前記攪拌混合物からq/mメーターにてシリカ微粒子を吸引し、該シリカ微粒子の吸引重量及びq/mメーターに表示された電荷量から算出した値を帯電量(μC/g)とする。
【0062】
上記帯電量について、より具体的には、市販のq/mメーター(例えば、MODEL 210HS:TREK社製)、市販のノンコートフェライトキャリア(FK−150:パウダーテック社)を用いることによって、上記試験法1に規定される測定条件にて、任意のシリカに対する帯電量(μC/g)を測定することができる。
【0063】
なお、上記試験法1におけるシリカ微粒子とノンコートフェライトキャリアとを攪拌した時の帯電量の調整は、例えば、シリカ微粒子に正帯電極性基を有するカップリング剤を処理し、その添加量で調整することができる。具体的な帯電量調整の方法としては、上記の酸化亜鉛微粒子の正帯電処理と同様、シリカ微粒子と正帯電極性基を有するカップリング剤と湿式法又は乾式法にて混合分散させ、解砕する方法が挙げられる。
【0064】
このような正帯電極性基を有するカップリング剤としては、アミノシランカップリング剤、例えば下式で示されるアミノシランカップリング剤及びそれらの混合物が挙げられる。
【0065】
N(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHNH(CHSi(CH)(OCH、HN(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHNH(CHNH(CHSi(OCH、HN(CHSi(OCH、及びCNH(CHSi(OCH
【0066】
また、正帯電極性基と同時に疎水性基を導入するのが好ましく、表面処理剤として、アルキルシランカップリング剤を用いることが好ましい。
【0067】
このようなアルキルシランカップリング剤(疎水化剤)としては、例えば、下式で示されるようなシラン系カップリング剤を用いることが好ましい。
【0068】
CHSiCl、(CHSiCl、(CHSiCl、CHSi(OCH、CHSi(OCHCH、(CHSi(OCH)、(CHSi(OCH、(CHSi(OCHCH、(CHCHO)Si(OCHCH、(CHO)Si(OCH、CH(H)Si(OCH、CH(H)Si(OCHCH、(CH(H)Si(OCHCH
【0069】
シリカ微粒子の表面に対する正帯電極性基の導入量は正帯電極性基を有するカップリング剤(アミノシランカップリング剤)の添加量を、シリカ微粒子100重量%に対して、2〜15重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
【0070】
また、シリカ微粒子の表面に対する疎水基の導入量、すなわち疎水性基を有するカップリング剤(アルキルシランカップリング剤)の添加量を、シリカ微粉末100重量部に対して、10〜30重量%が好ましく、15〜25重量部がより好ましい。
【0071】
シリカ微粒子の一次粒子径は、流動性を考慮した場合、7〜100nmが好ましく、15〜50nmがより好ましい。
【0072】
また、前記外添剤のトナー母粒子に対する添加量は、前記トナー母粒子100質量部に対して、0.2〜3質量部であることが好ましい。
【0073】
前記外添工程としては、従来公知の外添工程であれば、限定なく用いることができる。具体的には、例えば、前記トナー母粒子に外添剤を添加し、攪拌機等で攪拌させることによって、前記トナー母粒子の表面に外添剤を付着又は固着させる工程である。
【0074】
前記攪拌機としては、従来公知の攪拌機を限定なく使用できる。具体的には、例えば、タービン型攪拌機、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ等の一般的な攪拌機等が挙げられ、ヘンシェルミキサが好適に用いられる。
【0075】
[磁性キャリア]
本発明における磁性キャリアとしては、磁性を有するコア材と前記コア材を被覆するコート樹脂とを含む、いわゆる樹脂コートタイプのキャリアを用いることができる。
【0076】
前記コア材としては、従来から電子写真用現像剤(二成分現像剤)のキャリア用いられているものであれば、特に限定なく用いることができる。具体的には、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の金属、前記金属を含む合金、フェライトやマグネタイト等の鉄系酸化物、及びこれらの混合物等の磁性材料を含有する磁性粒子等が挙げられる。前記磁性粒子としては、例えば、前記磁性材料を、焼結及びアトマイズ等を行うことによって製造した磁性体粒子等が挙げられる。これらの中でも、フェライト及びマグネタイトからなる粒子が好ましい。
【0077】
また、前記コア材の粒子径としては、体積中心径で、20〜50μmであることが好ましく、25〜40μmであることがより好ましい。なお、ここでの体積中心径は、例えば、電子顕微鏡による測定、レーザ回折散乱法等による測定、及び一般的な粒度計等を用いた測定によって、計測することができる。
【0078】
前記コート樹脂としては、キャリアを製造する際に用いられる表面コート剤であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系結着樹脂やシリコーン樹脂等が挙げられる。
【0079】
また、キャリアのコア材に対する前記コート樹脂の被覆量としては、特に限定されない。具体的には、例えば、前記コア材100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましい。前記コート樹脂の被覆量が少なすぎると、コート樹脂によって、帯電安定性や耐久性等を充分に高めることができない可能性がある。また、前記コート樹脂の被覆量が多すぎると、転写不良や定着不良等の不具合が発生しやすくなる可能性がある。よって、前記コート樹脂の被覆量が上記範囲内であることによって、コート樹脂が削れることや剥がれること等を抑制でき、さらに、トナーの帯電安定性を高めることができると考えられ、より高画質な画像を長期間にわたって形成することができる。
【0080】
(製造方法)
また、前記キャリアの製造方法としては、前記コート樹脂が前記コア材に被覆されれば、特に限定されない。具体的には、例えば、液状の前記コート樹脂を、前記コア材に被覆した後に熱処理することによって、前記コート樹脂を固化させる方法等が挙げられる。前記被覆方法としては、例えば、流動コーティング法や浸漬法等が挙げられる。そして、前記熱処理としては、前記コート樹脂の組成等によって異なり、特に限定されない。
【0081】
前記電子写真用現像剤中のトナー濃度は、3〜15%である。
【0082】
本実施形態に係る正帯電二成分現像剤は、トナー母粒子に特定の外添剤によって正帯電処理を施したトナーとキャリアと適切な割合で混合した現像剤であり、例えば、公知の画像形成装置において使用することができる。
【0083】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0084】
[実施例1]
<現像剤の製造>
(外添剤の調整)
酸化亜鉛100質量部を密閉型ヘンシェルに入れ、正帯電処理剤であるアミノシランカップリング剤(テイカ株式会社製:MZ−300)8質量部と、疎水化処理剤であるアルキルシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製:KBM−603)20質量部を、スプレーで上から均一に塗布し、さらに混合させながら110℃で2時間反応させ、正帯電処理及び疎水化処理した。次にその後、副反応生成物を減圧除去し、200℃で1時間加熱することで、所望の酸化亜鉛微粒子aを得た。各処理剤の処理量を表1に示す。
【0085】
シリカ微粒子(90G:日本アエロジル(株)製(粒子径20nm))100質量部を密閉型ヘンシェルに入れ、正帯電処理剤であるアミノシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製:KBM−603)8質量部と、疎水化処理剤であるアルキルシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製:KBM−13)20質量部を、スプレーで上から均一に塗布し、さらに混合させながら110℃で2時間反応させ、正帯電処理及び疎水化処理した。次にその後、副反応生成物を減圧除去し、200℃で1時間加熱することで、所望のシリカ微粒子Aを得た。
【0086】
得られたシリカ微粒子A1重量部とノンコートフェライトキャリア(FK−150:パウダーテック社)100重量部とを、内容積20mlのプラスチック容器に10.1gとなるようにシリカ微粒子とノンコートフェライトキャリアの混合物を入れ、容器の蓋を閉めた状態で小型ボールミルに容器を搭載し、小型ボールミルで回転数100rpmの条件にて1分間攪拌混合して攪拌混合物を得、攪拌混合物からq/mメーター(MODEL210HS:TREK社製)にてシリカ微粒子Aを吸引し、このシリカ微粒子Aの吸引重量及びq/mメーターに表示された電荷量から帯電量(μC/g)を算出した。
【0087】
また、前記攪拌混合物において、30分間攪拌後のシリカ微粒子の帯電量と、1分間攪拌後のシリカ微粒子の帯電量との差を算出した。
【0088】
以上の帯電量測定、帯電量差の算出結果、及び各処理剤の処理量を表1に示す。
【0089】
また、前記シリカ微粒子A、及び酸化亜鉛微粒子の調整方法を基に、各条件を変更して、表1に示す物性のシリカ微粒子B〜D及び酸化亜鉛微粒子a〜cを調整した。これらの帯電量測定、帯電量差の算出結果、及び各処理剤の処理量についても表1に示す。
【0090】
(トナー及び現像剤の調整)
結着樹脂として、(酸化:5.6mgKOH/g、融点120℃)100重量部、着色剤として、銅フタロシアニンブルー顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)(三菱化学株式会社製のMA−100)4質量部、離型剤としてワックス(カルナバロウWAX)5重量部、及び電荷制御剤(クラリアント社製、「P51」)1重量部をヘンシェルミキサ(三井三池工業社製)にて混合し、押出機(池貝社製、PCM−30)にて混練し、ターボミル(ターボ工業社製)にて粉砕した後、エルボージェット分級機(日鉄鉱業社製)にて分級を行ない、平均粒子6.8μmのトナー母粒子を得た。
【0091】
前記トナー母粒子100質量部に対し、外添剤として前記酸化亜鉛微粒子a1.0質量部と、シリカ微粒子A(日本アエロジル社製、「RA200H」)2.0質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井三池工業社製)にて混合し、トナーを得た。
【0092】
トナーの割合が12.0質量%となるように、トナーと磁性キャリア(京セラミタ製プリンターFS5300DNに用いられているキャリア、平均粒子径:35μm)とをロッキングミキサーにて30分間混合し、正帯電性二成分現像剤を得た。
[実施例2〜6]
表2に示す各外添剤を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー、および現像剤を製造し、各評価を実施した。結果を表2に示す。
[比較例1〜4]
表2に示す各外添剤を用いた以外は、実施例1と同様にしてトナー、および現像剤を製造し、各評価を実施した。結果を表2に示す。
【0093】
【表1】

【0094】
<評価>
得られた二成分現像剤については、以下のような方法で評価した。
【0095】
まず、京セラミタ株式会社製のプリンタ(FS−5300DN)を評価機として用い、得られた各現像剤をスタート現像剤として用い、さらに、上記各トナーを補給用トナーとして用いて、温度20℃、相対湿度65%の、常温常湿環境下で画像形成して、下記の評価を行った。
(画像濃度)
前記スタート現像剤を、前記評価機にセットし、前記評価機の電源を入れて安定させた。その後、画像を出力させた。なお、この画像を初期画像(1枚目)とした。次に、補給用トナーを補給しながら、印字率1%の画像を5000枚印字した。なお、5000枚目に評価用のサンプル画像を出力し、この画像を低濃度印刷画像とした。その後、補給用トナーを補給しながら、印字率30%の画像を1000枚印字した。なお、1000枚目(初期画像から6000枚目)に評価用のサンプル画像を出力し、この画像を高濃度印刷画像とした。
【0096】
前記初期画像、前記低濃度印刷画像、及び前記高濃度印刷画像の各画像には、2×2cmのソリッド画像が、用紙の搬送方向左側端部近傍の位置、中央部、及び右側端部近傍の位置の3箇所に形成されている。
【0097】
形成された画像の各ソリッド画像について、反射濃度計(Gretag Macbeth社製のRD−19A:SpectroEyeLT)を用いて反射濃度を測定した。そして、その平均値を得られた画像の画像濃度とした。
【0098】
測定した画像濃度の下限値が1.4以上であれば、「○」と評価し、1.2以上1.4未満であれば、「△」と評価し、1.2未満であれば、「×」と評価した。
【0099】
(かぶり)
得られた画像において、前記反射濃度計で測定した白紙相当部の画像濃度の値から、ベースペーパー(すなわち、画像出力前の白紙)の画像濃度の値を引いた値をかぶり濃度とした。そして、かぶり濃度を所定枚数毎に測定し、その最大値でかぶりを評価した。
【0100】
前記かぶり濃度の最大値が、0.003以下であれば、「◎」と評価し、0.003を超え0.007以下であれば、「○」と評価し、0.007を超え0.010以下であれば、「△」と評価し、0.010を超えるのであれば、「×」と評価した。
【0101】
(トナー飛散)
各現像剤を前記評価機にセットし、現像機を2時間空回しした後、トナー3.5gを現像機に強制補給した。その後、5分間空回しを行い、その間に現像機の下部に設置したトレーに滞留したトナー(飛散トナー)を回収し、その量(飛散量)を計測した。判定は、飛散量が50mg以下のものを「○」、50mgを超え200mg以下のものを「△」、200mgを超えたものを「×」と評価した。
【0102】
(帯電量)
前記初期画像、前記低濃度印刷画像、及び前記高濃度印刷画像を印字した直後の現像剤を取り出し、得られた各現像剤を、吸引式帯電量測定装置(MODEL 210HS:TREK社製)を用いて、各帯電量を測定した。
【0103】
各評価結果は、表2に示す。
【0104】
【表2】

【0105】
表1及び表2の結果から、実施例1〜4の正帯電二成分現像剤は、ノンコートフェライトキャリアとの混合攪拌した際のシリカ微粒子の帯電量が−40〜70μC/gであることから、長期間に渡って使用しても画像濃度の低下、かぶり、トナー飛散が生じにくいことが分かった。さらに、実施例1,2,4の正帯電性二成分現像剤は、シリカ微粒子帯電量測定の際に、30分攪拌後の帯電量と1分攪拌後の帯電量との差が−5〜25μC/gの場合、特にかぶりの生じにくい正帯電二成分現像剤が得られることが分かった。
【0106】
一方で、比較例1,3の二成分現像剤は、正帯電処理を行っていないシリカ微粒子を用いた結果、ノンコートフェライトキャリアとの混合攪拌した際のシリカ微粒子の帯電量が−40〜70μC/gの範囲にないことから、30分攪拌後の帯電量と1分攪拌後の帯電量との差が−5〜25μC/gの範囲内であるにも関わらず、かぶりとトナー飛散が生じた。引例2の二成分現像剤は、ノンコートフェライトキャリアとの混合攪拌した際のシリカ微粒子の帯電量が−40〜70μC/gの範囲になく、30分攪拌後の帯電量と1分攪拌後の帯電量との差についても−5〜25μC/gの範囲内にないため、かぶりとトナー飛散が生じた。また、比較例4は、外添剤として正帯電量の大きい酸化亜鉛微粒子のみを用いたため、帯電量の低下は生じなかったが画像濃度に劣る結果となった。比較例5は、正帯電処理を行っていない酸化亜鉛微粒子を用いたため、帯電量が低く、トナー飛散が生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーと、
磁性キャリアと、
からなり、
前記トナーが、
(a)正帯電処理した酸化亜鉛微粒子と、
(b)シリカ微粒子と、
を含む外添剤によって表面処理されており、
(b)シリカ微粒子の帯電量は、ノンコートフェライトキャリアとの混合攪拌物において、前記攪拌混合物中のシリカ微粒子の帯電量として−40〜70μC/gである
ことを特徴とする正帯電二成分現像剤。
【請求項2】
30分間混合攪拌後のシリカ微粒子の帯電量と、1分間混合攪拌後のシリカ微粒子の帯電量との差が−5〜30μC/gであることを特徴とする請求項1に記載の正帯電二成分現像剤。
【請求項3】
前記(a)酸化亜鉛微粒子が、カップリング剤によって正帯電処理された請求項1又は請求項2に記載の正帯電二成分現像剤。
【請求項4】
前記カップリング剤の添加量が、酸化亜鉛微粒子100重量%に対して5〜30重量%である請求項3に記載の正帯電二成分現像剤。