説明

武道で使用する電子スコアリングシステム、方法及び防護具

様々な武道(伝統的様式の武道、総合格闘技、武器ベースの武道、武器ベースの総合格闘技、又は格闘技全般)で使用する電子スコアリングシステム。スコアリングシステムにより、電気武器を必要とせずに競技中に加えられた力、力の位置及び効果を客観的に判断できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、武道、特に武器を中心とした武道のほか、武道又は武道様式全般で使用する電子スコアリングシステム、方法及び防護具に関する。
【背景技術】
【0002】
武道(例:空手、剣道又は武道様式)は、キックボクシング、ブラジリアン柔術、フェンシング、その他の格闘技などの武道様式を含め、多くの文化で長い伝統を有する。武道は、アジアを起源としたものとして広く認識されているかもしれないが、その他多くの文化でも長い歴史を有し、今日の現代文化に及んでいる。
【0003】
武道は、格闘のための訓練の体系化されたしきたり及び伝統のシステムであり、軽〜中程度に接触又は完全に接触する練習試合を伴うことがある。武道では、特別な武器(例:剣道における竹刀[日本の剣])を使用するものもある。各ケースにおいて、攻撃者の体の特定部分(例:手、足、肘又は膝)又は武器の特定部分を使って相手の体の識別された「ターゲット」領域を攻撃した場合にポイントを割り当てるスコアリングシステムが使用され得る。例えば、剣道では、競技でのポイントは、相手の体のターゲット領域に攻撃が加えられた場合、並びに精神、竹刀及び体が一体となって攻撃が加えられた場合にのみ付与される。竹刀はターゲットをしっかり攻撃しなければならず、これには、竹刀の上位3分の1に接触し、竹刀の動きの方向が技術的に正しいことも含まれる。
【0004】
現在、武道の格闘技法の評価は、判定者により視覚的に、又は相手の無能力化により行われる。視覚的判断には、裸眼で攻撃を観察するのが難しいという大きな制約があり、例えば、攻撃の速度が原因で、攻撃による衝撃の位置及び力、又は(ノックアウトや、その他の方法で対戦者に無能力になる傷害を負わせた場合など、物理的手がかりに依拠する場合を除き)実際の衝撃及び損傷があったか否かを正確に評価するのが難しいことがある。審判中の人的なミス及び偏見が、視覚的スコアリングシステムの不利な点である。別の不利な点として、判定者又は審判員が攻撃を近くで観察することには、特に武器を伴う場合に重傷又は死亡事故につながるリスクがある。
【0005】
特に武器を伴う場合に対戦者が負傷する真のリスクがあることから、完全に接触する格闘又は練習試合があまりにも危険である(及び/又は非倫理的である)と考えられる多くの武道は、人気が低下した。そのため、完全接触型の武器ベースの競技は、多くの国で制限又は禁止されている。こうして、一部の武道システムは、かかる武道で安全に競う機会がないことから消えつつある。
【0006】
西洋のフェンシングは、(オリンピックのフェンシングで使用される3種類の剣であるフルーレ、エペ、サーブルなどの)武器の使用を伴う武道様式の例である。スコアリングは、相手のターゲット領域に「打撃」を与えることを伴う。フェンシングで使用される視覚的スコアリングシステムの難題を克服するために使用される方法として、剣に対するインクの使用があり、これにより、相手のジャケットが打撃を受けた場合に着色し、「打撃」の回数をカウントできる。この方法には、対戦者がジャケットに酢を付けてインクが現れないようにし、それにより対戦者が打撃を受けた回数をごまかす可能性があるという不利点があった。
【0007】
上記の問題を克服するため、電子スコアリングシステムが導入されている。例えばフェンシングでは、これは導電性ジャケット(ラメ)及びターゲット(スコアリング)領域を定めたマスク及び刃の先端部(又は圧力に敏感な他の形態の先端)の押しボタンを伴う。ラメと電気武器(フルーレ、エペ又はサーブル)との組み合わせにより、単一の電気回路が形成される。ラメ又はマスクに対する電気武器による有効な「打撃」があると、回路が閉じ、ライトがつく。ジャケット及びマスクはスコアリング装置に電子的に接続されているため、刃の先端部がラメ又はマスクに接触したときに、「打撃」を電子的に記録できる。打撃は、一定の最低水準を満たす力で押しボタンが打たれ、一定の持続時間にわたって完全に押し下げられているときに記録される。
【0008】
フルーレ及びエペを用いるフェンシングでは、刃の先端部による打撃のみがカウントされる。サーブルを用いるフェンシングでは、刃の一部とターゲットの一部との接触はすべてカウントされる。代替的なスコアリングシステムは、通常は閉じた電気回路を伴い、回路が切れることで回路が開き、ライトがつく。
【0009】
この種の電子スコアリングシステムの限界は、いつ接触があったかのみ測定し、攻撃された体の位置又は攻撃力の強さを判断しないことである。これにより、打撃の位置、攻撃の力を電子的にスコアリングすることが有用な他の形態の武道に関して、また、接触があったことを記録するだけよりも、相手に与える潜在的「損害(ダメージ)」を測定する方が好ましい場合もある武器ベースの武道に関しても、有用性が限定される。
【0010】
フェンシングで使用されるような電子スコアリングシステムの他の限界は、以下を含む。
a.(ジャケット、マスク及び電気武器によって形成される)「スコアリング回路」は、特定の武道に固有のものである。例えば、フルーレフェンシングでは、ターゲット領域(ひいてはラメ)は胴体に限定され、エペフェンシングでは、ターゲット領域は体全部を含み、サーブルフェンシングでは、ターゲット領域は「鞍ライン」すなわち、腰の両面及びその上部で、頭部を含むが、手は含まない。「スコアリング回路」は、別の武道ではなく対象武道に関係するターゲット領域に限定され、そのため、対象武道のターゲット領域の範囲外への打撃は、別の武道のターゲット領域の範囲内であっても、記録することができない。
b.スコアが記録される前に武器は相手を攻撃しなければならないため、相手を負傷させるリスクは現実のものであり、その結果、打撃武器による負傷のリスクがあまりにも大きい武器ベースの様々な武道で、その有用性が限定されている。
c.スコアリングの能力は、電気武器による接触に限定されるため、スコアリングが体の一部(例:こぶし、肘、足)又は電気以外の(無修正の、伝統的な)武器による攻撃を伴う武道では、使用が限定される。
【0011】
フェンシングで使用されるシステムのさらなる不利点は、圧力センサが武器自体の上に置かれていることである。武道用武器の形態は様々であり、様々な方法で使用され、スコアリングは、武器が相手に接触したか否かにとどまらない測定を含むため、武器ベースのセンサでは使用が限定される。例えば、武道用武器に基づく格闘では、使用される技法は武器によるものだけではない。こぶし、膝、肘、足、むこうずね、肩、額、指なども使用される。したがって、武器に電気を流すこと、又は武器の上にセンサを置くことは、格闘技法のスコアリングの効果的な手段ではない。さらに、武器は様々な方法で使用することができ、そのためセンサは武器の攻撃領域をすべて網羅することが求められる。武道用武器の例として、大刀、ラ・キャン、バトン・フランセーズ、シャレラバディ、竹竿、ナブート、半棒、杖、短棒、月牙さん、釵、蝶剣、Vettukathi(剣)、クラビ、エペ、フルーレ、サーブル、フックソード、寸鉄、虎のかぎ爪、手甲/熊のかぎ爪、カランビット、トンファー、十手、短杖、曲棒、金棒、タイアハ、ウルミ/チュッタバル/ワイヤーウィップ、チェーンウィップ/連結棒、ロープダート、万力鎖、穀竿、san set sukon 3−PC棒、鎖分銅、鉄線/戦闘用扇、シャンガム/戦闘用矢、投げナイフなどがある。
【0012】
多くの武道用武器は、スチールバイザー、パッド入りネック、ショルダー及びチェストチュニックからなるカリ/エスクリマ用防護具又は13層の綿からなる防弾用防護具のMyunjebaegabなど、非常に固有な形態の防護具と共に使用される。防具などの防護具一式が剣道の領域では使用され、これは袴及び金属の格子のある面からなり、他の形態の武道用防護具とは大きく異なる。同様に、胴丸は日本の鎧であり、特に固い胸あてや袖がないものである。防護具の胴丸は、体の各部分につけられるのではなく、体を包み込む。世界の多くの地域に実に様々な形態の武道が存在する。そのため、様々な武道に使用できる防護具に適用される、力を検知し力の位置を特定する手段が必要である。
【0013】
テコンドーでは、フォースプラットフォーム(force platform)を組み込んだ胸あてを使用している。胸あては、厚紙や皮革のようなパッドでできていることから、水に対する基本的な保護機能を提供し、そのため、強力な武器に対する十分な保護とはならない。フォースプラットフォームは、接触があったか否かを記録するだけであり、接触力の位置又は度合いを記録しないため、さらに不利である。
【0014】
武器が攻撃を加えたときのその衝撃を測定する他のシステムが提案されている。例えば、米国特許第7,278,290号は、ターゲットをスチールやチタンのような固い丈夫な物質とすることを要求している。硫化亜鉛及びマンガンからなる弾−ルミネセンス(elasto−luminescent)材料の層が、この丈夫な層に固定されている。弾−ルミネセンス材料は、発射体が材料を攻撃したときなど、弾力的にピンと張ったときに光を出すか、ルミネセンスを示すように設計される。
【0015】
発射体が衝撃を与える前、与えている間及び与えた後にターゲットの観察及び記録ができるように、感光センサが戦略的位置に配置される。これらの画像は、衝撃時点のターゲットのルミネセンス及び発射体の衝撃位置をキャプチャする。次いで、画像は従来型の画像処理システムに送信され、画像処理システムは衝撃位置を特定し、光波長及び強度を、システムの初期較正を通じて得られた既知の運動エネルギー値と相関させる。
【0016】
かかるシステムの限界は以下を含む。
1.打撃を記録するため、スチールやチタンなどの固くて丈夫な衝撃プレートがターゲット領域に必要である。
2.ルミネセンスデータの分析は、武道の格闘中に分析するのに十分に動的だとは言えない。
3.武道の競技は、攻撃場面が視界から遮られ、衝撃に対するルミネセンスの持続時間がわずかであり、そのため裸眼でのスコアリングの問題を克服するには不十分かもしれない狭い範囲で生じる。
4.同じ力で同じポジションを繰り返し攻撃することは、弾−ルミネセンス表面に対する再現性のある結果をもたらさない可能性がある。
5.武道用防護具は、様々な形態のものがあり、特定の形状及び型の木、布、スズ、スチールなど伝統的な材料からなることが多い。そのため、弾−ルミネセンス複合材料を有し、それを基礎的材料に対応させることが制約となっている。
【0017】
米国特許第4,761,005号は、圧電信号による衝撃を測定するためにトランスデューサを使用する手段を開示している。具体的には、この特許は、武道における格闘のパフォーマンス及びそのスコアリングを評価する分野に関する。だが、米国特許第4,761,005号で説明されるデバイスは、変形可能な材料の上に置かれる状態、又はその中に挟まれる状態に限定されている。そのため、耐衝撃性のある材料での限定的使用となる。
【0018】
本明細書で述べる特許の各々は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0019】
様々な武道で使用することができ、体の位置(例:胸郭、顎、喉)並びに(例えば、武器、体の一部又は落下により)加えられた力の度合いを測定することができ、力を吸収又は分散し、それにより痛み、傷害又はさらに悪い状態をもたらす有害な攻撃を受けることを相手に要求することなく、武道における電子スコアリングのための手段を提供することによって、(特に武器ベースの武道において)防護具としても機能することができる、武道で使用する電子スコアリングシステムが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、電子武器を使用する必要がなく、試合中に加えられる力、力の位置及び効果を客観的に判断できるようにする様々な武道(伝統的な様式の武道、総合格闘技、又は格闘技全般を含む)で使用する電子スコアリングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の態様により、様々な様式の武道で使用する電子スコアリングシステムが提供され、電子スコアリングシステムは、以下を含む。
(a)衝撃から保護する防護具であって、防護具は、防護具に加えられた1つ又は複数の力から力パラメータデータを検出するための検知手段を含み、前記力パラメータデータは、以下の1つ以上に関するデータを含む。
防護具に加えられた1つ又は複数の力の
i.度合い
ii.位置
iii.持続時間及び
iv.方向
(b)以下を有するスコアリング装置
i.検知手段から力パラメータデータを受信するための通信手段
ii.力パラメータデータを使用して1つ又は複数の結果を計算するための算出手段、及び
iii.1つ又は複数の報告を生成するための報告生成手段
ここでスコアリング装置は、視覚ディスプレイに表示する出力内容を生成することができる。
【0022】
本発明の別の態様により、様々な様式の武道で使用する電子スコアリングシステムが提供され、電子スコアリングシステムは以下を備える。
(a)衝撃から保護する防護具であって、防護具は、それと一体的な部分である少なくとも1つの力検知要素を有し、力検知要素は、各接触の力パラメータデータを検出するためのセンサとして防護具が機能するように構成され、検知要素は、1つ又は複数の検知された接触力に基づく力パラメータデータ信号を生成し、前記力パラメータデータは、以下に関するデータを含む。
力の
i.度合い
ii.位置
iii.持続時間及び
iv.方向
(b)以下を有するスコアリング装置
i.検知手段から力パラメータデータを受信するための通信手段
ii.力パラメータデータを使用して1つ又は複数の結果を計算するための算出手段、及び
iii.1つ又は複数の結果を表示するための出力手段
ここでスコアリング装置は、視覚ディスプレイに表示する出力内容を生成することができる。
【0023】
本発明のさらなる態様により、様々な様式の武道で使用する電子スコアリング方法が提供され、電子スコアリング方法は、以下のステップを含む。
(a)利用者が着用するように構成された防護具に加えられた1つ又は複数の力から力パラメータデータを検出するステップであって、防護具が衝撃から保護する、ステップ
(b)力パラメータデータをスコアリング装置に通信するステップ、及び
(c)以下に関するデータを含む力パラメータデータを使用して、結果を計算するステップ
防護具に加えられた1つ又は複数の力の
i.度合い
ii.位置
iii.持続時間及び
iv.方向
【0024】
このように、本発明は様々な様式の武道で使用する電子スコアリングシステムを提供し、この電子スコアリングシステムは、電気武器を必要とすることなく、防護具に加えられた力(例:攻撃、打撃、投げ)の度合い、位置を測定するための手段を提供することによって、従来技術の電子スコアリングシステムの問題を克服する。
【0025】
本発明を一層理解できるよう、また本発明の実施方法を示すため、ここで添付の図面を参照して、単なる非限定的な例として好ましい実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態による武道で使用する電子スコアリングシステム及び防護具を示す概略図である。
【図2】図1の電子スコアリングシステム及び防護具を使用して、競技中にデータを記録し、データをスコアに変換し、スコアを表示することに関わるステップを示す流れ図である。
【図3】図4に例示されるスコアリンググリッドで記されるような、防護具の対応するセグメントを参照して力の位置を記録できるように、図1の防護具をセグメント化する方法を示す概略図である。
【図4】一実施形態による、理論的な対戦者の攻撃位置(すなわち、防護具に加えられた力の位置)を示すスコアリンググリッドの例を表す図である。
【図5】図1の防護具と結び付いた、検知手段を含む様々な構成要素を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、武道(伝統的な様式の武道、総合格闘技、又は格闘技全般を含む)で使用する新規の又は代替的な電子スコアリングシステム(図1のアイテム10参照)及び方法、並びに防護具を提供する。
【0028】
好ましい一実施形態では、防護具は様々な様式の武道で使用する、衝撃から保護する汎用防護具である。防護具20は次の機能を有する。
(a)防護具の上又は中にある力センサのような力検知手段にアクセスできる。
(b)衝撃(例:攻撃、投げ又は対戦者に加えられるその他の力であって、競技場の地面又は支え壁に対戦者が倒れたときの力を含む)による負傷、刺し傷(例えば武器によるもの)若しくはせん断力及び/又は武器、体の一部若しくは対戦者がぶつかる他の物体(例:地面)の衝撃から着用者を保護する刺し傷及び破損への耐性を含め、衝撃から保護する。
(c)スコアリング装置30(コンピュータ又は他の処理デバイスなど)と通信することができ、それによりスコアリング装置は、防護具に加えられた力の力パラメータデータ(例:加えられた力の位置、度合い、持続時間)を電子的に記録し、測定すること(リアルタイム又はリアルタイムに近い形を含み、これに限定されない)ができる。
【0029】
好ましい一実施形態では、電子スコアリングシステムは以下を含む。
(a)力パラメータデータを検出及び測定するための力検知手段にアクセスできる汎用防護具
(b)以下を含む(処理能力を有する)スコアリング装置30
i.スコアリング装置が防護具からの力パラメータデータを受信し、記録し、算出することができるよう、防護具と通信するための通信手段40
ii.力パラメータデータを算出し、1つ又は複数のスコア(例:個々の対戦者のスコア、全体の競技のスコア、スコアの内訳)を計算するための算出手段(不図示)
iii.競技報告(全体の競技のスコア報告、個々の対戦者のスコア、スコアの内訳の報告、個々の対戦者の攻撃データ報告、対戦者の分析報告)を生成するための報告生成手段
iv.力パラメータデータなど、スコアリング装置からのデータ出力内容(競技報告を含む)を表示するための視覚ディスプレイ50。実施形態によっては、視覚ディスプレイは、1つ若しくは複数の対戦者のスコアなど1つ若しくは複数の結果、又は競技のビデオ画像及びコンピュータ生成画像(CGI)を含む、スコアリング装置からの他の出力内容を表示することもできる。
【0030】
図2は、好ましい一実施形態における防護具からスコアリング装置への情報の流れを示している。電子スコアリング方法の好ましい実施形態は、以下のステップを含む。
(a)対戦者が着用する防護具に加えられた1つ又は複数の力から力パラメータデータを検出するステップ(ステップ100)
(b)力パラメータデータをスコアリング装置に通信するステップ(ステップ110)
(c)力パラメータデータを使用して結果を計算するステップ(ステップ120)。一構成では、結果は以下のうちの1つ又は複数を含むスコアである。
i.1つ又は複数のポイントの累積
ii.1つ又は複数のポイントの控除
【0031】
本明細書で説明するように、電子スコアリング方法は、視覚ディスプレイなどに各対戦者のデータ及び/又はスコアを視覚的に表示するステップを含むことができる(ステップ140)。
【0032】
スコアリング装置の例としてコンピュータがあり、これは、コンピュータシステム若しくはネットワーク(LAN、WAN、インターネット若しくはクラウドを含む)又は処理能力及び(リアルタイム若しくはリアルタイムに近い形を含め、これに限定されない)視覚ディスプレイへデータを送信する能力を有するその他のデバイス(例:組み込みハードウェア)を含む。スコアリング装置は、各対戦者と通信することが可能な状態にある。最小限の構成では、スコアリングシステムは、力センサデータを各対戦者からスコアリング装置に通信することを可能にする。スコアリング装置は、スコアリングソフトウェアアプリケーションを利用して、パラメータデータを照合、処理、分析、報告すること、及びスコアなどの1つ又は複数の結果を計算することを含め、電子スコアリング方法を実施し、視覚ディスプレイに表示する出力内容を生成することができる。スコアリングソフトウェアアプリケーションは、コンピュータ、サーバに置かれる場合や、ネットワーク、インターネット又はクラウド対応の場合がある。
【0033】
スコアリングシステムは通常(ただし、必ずではない)、1つ又は複数のスピーカにより(例えば、スコアリング装置又は外部接続ソースからの)オーディオデータ(例:音声)の受信を可能にし、それにより対戦者、コーチ又はチームリーダー、観客のうちの1名又は複数名が(競技場にいるか、遠隔地で競技を見ているかにかかわりなく)聞くことができるようになるオーディオ手段をさらに含む。
【0034】
他の実施形態では、スコアリングシステムは、以下のうちの1つ又は複数をさらに含む。
(a)競技及びゲームプレイのため、並びに検討及び訓練目的による後の分析のため、個々の対戦者のポジションを突き止めて追跡し、スコアリング装置にポジションデータを提供するなどの位置ベースサービスの提供を可能にするポジション検知手段
(b)各種センサ(例:力センサ)によるデータ検出及びスコアリング装置への通信が安全なものとなる(例えば、第三者による干渉から保護される)よう、防護具からの通信を保証するセキュリティ手段
(c)(競技及び関連するCGIの閲覧並びに関連オーディオデータ、例えば解説、コーチ及び対戦者のコミュニケーション、発表、音楽、原稿へのアクセスを含む)通信を保証するセキュリティ手段。これにより、競技及び競技データへのサブスクリプションベースのアクセスが可能となる。
(d)視覚ディスプレイで閲覧可能な超スローモーションビデオ再生手段(例:1秒当たり100フレームの記録を1秒当たり1フレームに減速)
(e)対戦者及び/又は武器(棒、剣、棍棒、盾、飛び道具(例:矢、クロスボウボルト、ペイントボール)、フェンシング用武器、又は武道若しくは格闘技での使用に適したその他の武器の動きの視覚化及び記録が可能な動作検知手段
【0035】
通信手段
最も単純な構成では、スコアリングシステムは、防護具20からの通信を可能にし、それにより(前パラグラフで概説した)スコアリング装置30に対し、防護具の中又は上にある力センサによって検出された力が送信されるようになる単方向通信手段40を含む。
【0036】
別の構成では、通信手段40は多方向である。この構成では、スコアリングシステムにより、スコアリング装置からのデータ(例:累積スコア、又は各々の攻撃、打撃、投げ、落下などに関する力パラメータデータ、又はコーチからの音声データ)を対戦者に返すことができる。
【0037】
通信手段は、好ましい構成により単一チャネル又はマルチチャネルである。マルチチャネル通信は、同時通信の同時送信及び/又は受信を可能にする。
【0038】
例えば、一構成では、防護具は、防護具のヘルメット部分の中又は上にヘッドフォンを含み、それにより対戦者は、1つのチャネルでコーチからの指示を受けることができる。対戦者は、防護具のヘルメット部分の中、上又は近くにあるマイクロフォンを介してコーチに返信することができる。この通信は、第2チャネルで伝えられる。競技(例えばチーム競技)に参加する複数の対戦者が存在する場合には追加のチャネルが含まれ、それにより競技場にいる対戦者のチームは互いにコミュニケーションをとることができる。
【0039】
一実施形態では、通信は安全なチャネルで伝えられるため、通信は安全な環境で受信される(例えば、見られる又は聞かれる)。例えば、観客は、利用料の支払いに基づきコーチ−対戦者の通信などにアクセスできる。コーチ又は対戦者は、利用料を支払っている観客がアクセスできない個人的な通信向けに、異なるチャネルを選択することができる。
【0040】
安全な通信手段は、(例えば、チャネル単位の料金又は閲覧単位の料金又は両者の組み合わせによる)データの1つ又は複数のチャネルを選択的に受信するオプションを含む、利用料の支払いに基づくサブスクリプションベースのアクセスを可能にする。
【0041】
別の実施形態では、本システムは、視覚ディスプレイ上に衝撃の力及び位置を視覚的に描くため、対戦者、武器、競技場、及び/又はかかる攻撃のシミュレーション若しくは再現といった競技の要素のいずれか1つ又は複数を含む、競技の多次元レンダリングを含む力パラメータデータを視覚的に表示するためのCGI手段(例:ソフトウェア)をさらに備える。
【0042】
防護具
防護具は最も単純な構成において、防護具に加えられた力を検出するための力検知手段へのアクセスなど、力検知特性(後述する)を有することから「インテリジェント」である。実施形態によっては、防護具は動作検知特性、内蔵電気回路及び他の構成要素(これについても後述する)も有する。
【0043】
防護具はまた、複数の武道様式及び総合格闘技での使用に適しているという意味で「汎用的」である。
【0044】
一実施形態における防護具は、胴、頭、首及び/又は手足を含め、体の領域の1つ又は複数を保護する。最も単純な構成では、防護具は頭及び首を覆う。一方で他の構成では、防護具は頭、首及び胴又は体全部を覆う。
【0045】
好ましい実施形態では、防護具20は、衝撃保護材料(以下で詳述)であって、衝撃力を吸収及び拡散し、武器による貫通又は変形を防ぐことによって負傷から対戦者(衝撃保護材料の着用者)を保護する働きをする衝撃保護材料で作られている。最も単純な構成では、衝撃保護材料は単純なスチール、炭素繊維又はケブラーである。他の実施形態では、衝撃保護材料は、力を吸収又は分散する特性を有するインテリジェント材料又はコーティングである。
【0046】
好ましい実施形態の防護具20は力検知特性も有し、その結果、防護具は「インテリジェント」なものとなっている。これにより防護具は力センサとして機能することができ、接触力及び特定の接触位置を記録及び測定し、このデータをコンピュータ化されたスコアリングソフトウェアアプリケーション、ハードウェア、システム又はネットワーク(「スコアリング装置」)にリアルタイムで送信することができる。
【0047】
他の実施形態では、防護具は、以下の追加機能のうちの1つ又は複数を含む。
(a)電力を必要とする防護具の構成要素(例:後述する光、カメラ)を駆動する内蔵電気回路。内蔵電気回路は、炭素、シリコンナノチューブ(例:バッキーチューブ)又はナノスフェア(例:バッキーボール)などのナノ材料又は他の同様の導電性ナノ材料によって提供され得る。
(b)対戦者(着用者)がオーディオデータを受信し聞くことを可能にする防護具のヘルメット部分の中又は上にある1つ又は複数のヘッドフォン
(c)対戦者(着用者)から例えばスコアリング装置、又はコーチ、観客、チームのメンバー、又は対戦相手にオーディオデータ(例:話)を送信することを可能にする、防護具のヘルメット部分の中、上又は近くにあるマイクロフォン
(d)対戦者の動きの度合い、方向の検出を可能にする、(1つ又は複数の)加速度計、光ベースの動作キャプチャセンサ、又は熱放射及び熱検知手段又はその他の適切な動作キャプチャ技術を含む動作検知手段
(e)個々の対戦者のポジショニングを記録することを可能にする位置ベースサービス。これは特に、(後述する)チーム競技及び訓練目的による格闘の後の分析に適用される。
(f)様々な視点を記録する防護具の中又は上(例えばヘルメット部分の上)にある1つ又は複数のカメラであって、データは(1つ又は複数の)カメラから、例えばスコアリング装置の視覚ディスプレイに送信され、それにより観客は、例えば対戦者の目からの視界及び/又は対戦者の頭の後ろからの視界(背面図)により競技を見ることができる。
(g)対戦者の目に近い、ヘルメットの内面上にあるか内面に埋め込まれている発光手段。この発光手段は、インテリジェント防護具が特定のしきい値「損害値(ダメージ値)」の1つ又は複数の力を検出したときにトリガーされてフラッシュを生じる。発光手段240は、ヘルメットの内面の上又は中に位置付けられた場合、競技中に圧倒されていること、例えば、受け手の対戦者の視野を一時的にそらすか遮ることによる視覚的影響をシミュレートし、古典的な「セットアップ」により、対戦者が「圧倒されている」間のノックアウト攻撃が可能になる。インテリジェント防護具を着用している対戦者はノックアウトされないが、電子スコアリング方法は連続的攻撃を考慮し、それにより対戦相手をノックアウトするのに十分な力とほぼ同時かその直前にフラッシュをトリガーする攻撃(衝撃力(stun force))が加えられた結果、理論的なノックアウト攻撃を加えた対戦者のスコアにポイントが加算され、又は攻撃を受けた対戦者のスコアからポイントが差し引かれる。
【0048】
検知手段
好ましい実施形態では、防護具20は、防護具又はその一部に加えられた力をスコアリング装置(例:コンピュータ)によりにより検知し、位置決めし、測定することを可能にする力センサのような検知手段200(図5)にアクセスできる。防護具の力検知特性は防護具に埋め込まれた、又は防護具の上に重ねられた、又は防護具の中に並べられた検知手段によってもたらされ、防護具に加えられた攻撃の力及びポジションを確認する。別の実施形態では、検知手段200は伝統的な防護具を覆う皮に埋め込まれている。
【0049】
好ましい実施形態の一構成では、検知手段200は、配列で接続された、防護具の中又は上に固定された複数の力センサ(例:力検知材料、力導電性高分子、形状記憶合金、又はその他の力センサであって、力を間接的に測定する加速度計を含む)である。各配列は通信デバイスに接続され、モジュールを形成する。防護具被膜材料のような混合布(containing fabric)に織り込まれた複数のモジュールがあってもよい。検知手段(センサ、配列及び/又はモジュール)は力パラメータデータをスコアリング装置に通信する。
【0050】
検知手段200は、力センサが衝撃力を検出したときに直接的又は間接的に配列及び/又はモジュールのスイッチを入れることを可能にする切り替えメカニズム210をさらに含む。この動的な切り替えの利点は、すべてのセンサ、配列及び/又はモジュールが常時作動する必要があるわけではないことである。その結果、すべてのセンサ/配列/モジュールを常時監視するのではなく、作動中のセンサ/配列/モジュールからのみ測定することによって、監視頻度を増やすことができる。
【0051】
武道の格闘は極端な速度で、立て続けの動作で実行されるため、配列状、マトリクス状又は複数の検知手段200は重要である。伝統的なスコアリングシステムは主観的であることが多く、せいぜい推定に過ぎない。複数のセンサ(例:力センサ)は、立て続けに加えられた力の検出を可能にし、視覚的に検出するのが難しい同時又はほぼ同時の力の記録を可能にする。また、投げ又は落下による力を記録して対戦者のスコアに算入することも可能にする。スコアリングシステムは、モジュール式の並列制御回路を使用した配列の動的スキャニングを含むことができる。
【0052】
スコアリング装置(例:コンピュータ又は他の処理デバイス)は複数のセンサ200からデータを収集する。センサは配列で構成され、配列はモジュールでさらに構成され、各モジュールは1つ又は複数の他のモジュールに接続することができる。
【0053】
配列状の力センサからの信号は多重化、すなわち、共用媒体(例:スコアリング装置への通信手段)で個別の信号に収束される。多重化信号は、スコアリング装置に到達したとき、別々のセンサからの複数の別々の信号に逆多重化される。これは、最適化される力センサからの信号のサンプリングレート及び解像度を高める。
【0054】
力センサを使用して、機械的衝撃を、スコアリング装置(例:コンピュータ又は処理能力を有するその他のデバイス)の視覚ディスプレイで見ることができる電気信号に変換することができる。追加又は代替として、電気信号は可聴音及び/又は可視光を駆動する。
【0055】
格闘での結果を決定する上で重要な力である、せん断力及び曲げ力など格闘中に直面する多くの力があり、そのためすべての次元における弾性は電気信号に変換されなければならない。よって、防護具上の多くの位置における力、圧力及び加速の測定が可能である。
【0056】
力センサは、圧電センサ又はその他の圧力センサ、例えば、柔軟で薄く(通常は0.2ミリメートル未満)、0.1ポンド毎平方インチ(PSI)から2000PSIの範囲の圧力を検知できる(様々な会社が作っている)圧電抵抗力センサを含む。
【0057】
力センサはまた、表面上の圧力分布に関する情報を提供するために複数の方向に伸びることができる材料を貫く複数の並列電極からなる導電性衣服ベースの導電性センサアレイの形態による触覚センサを含む。
【0058】
力センサは更に、電気信号が生成されるよう歪みによって抵抗力が変化する形状記憶合金(SMA)を含んでもよい。SMAは形状を「記憶する」金属合金であり、変形された後にその形状に戻ることができる。形状合金が変形すると、SMAのインピーダンスが変化し、その結果、(力に応じた)変形の測定を特定の位置で監視することができる。
【0059】
SMAは、圧縮、せん断力及び曲げ力を含む様々な力を測定する手段を提供する。
【0060】
好ましい実施形態では、力センサはデータ(力パラメータデータ)を電子スコアリングシステムに送信し、力パラメータのリアルタイムの視覚化を可能にする。データは、生データの形態をとることや、視覚ディスプレイに表示される圧力プロットの形でグラフィカルに表示されることがある。コンピュータのようなスコアリング装置の視覚ディスプレイは、力センサから力パラメータデータを受信し、データを圧力プロット上にリアルタイムで視覚的に表示する。
【0061】
代替実施形態では、視覚ディスプレイはさらに、対戦者の解剖学的構造のCGIレンダリングを示し、力が加えられた場所を示す。例えば、対戦者のレンダリングは、力及び攻撃力の多次元表示によって重畳され、攻撃が生じた場所(例えば、野球のバットによる顎への攻撃など、棒、武器又は他の物体の痕跡(impression))を示す。対戦者が攻撃を加えたことによるポイント、対戦者が攻撃を受けたことによる1つ若しくは複数のポイントの控除又はこれらの組み合わせとして、攻撃の「損害値」も表示できる。一実施形態では、損害値は攻撃の視覚レンダリング、例えば棒又は野球バットによる顎への攻撃の技巧的痕跡としてさらに表示され、対応する圧力プロットが受け手の顎における力の相対分布を示す。損害値はここでも技巧的痕跡のような攻撃の視覚レンダリングとしてさらに表示され得るが、再較正して刃のある武器による攻撃をシミュレートする(例:棒を剣又は槍に仮想的に置き換える)ことができる。
【0062】
力センサはチューニング手段230によってリンク可能である。チューニング手段230は、1つ又は複数の有線センサバイアス回路又はソフトウェア対応手段の形態をとることができる。このチューニング手段230は、各センサの電圧関係に対する力を定義し、それにより力センサの感応度が1つ又は複数の配列を通じて均一となる。これはまた、(信号のバッファリング、補正及び/又は増幅を含む)信号を調整する手段を提供するため、様々なモジュールからの通信リンクは完全に解釈可能である。
【0063】
防護具の衝撃保護特性
防護具は、衝撃保護特性を有する。これは、防護具を作成するために使用される衝撃保護材料、衝撃保護コーティング又は裏地又はこれらの組み合わせによってもたらされ得る。適切な衝撃保護材料(例:スチール、炭素繊維又はケブラー)を防護具に使用することができる。
【0064】
例えば、防護具は、個別的に又は組み合わせで以下のいずれかを含む検知特性を有する衝撃保護材料又は適切な多機能電気活性材料から作成できる。
(a)せん断力又は衝撃に応じて、通常の状況における可撓性材料から剛体材料へ変化させるずり粘稠化又はダイラタント材料若しくは高分子
(b)磁界の適用又は中断の際に可撓性防護具から極度に固い材料に変化させる磁気粘性材料
(c)防護具に埋め込まれた形状記憶合金
(d)(例えば、導電性高分子のような導電性物質を有する)力検知特性を実現するために適切に覆われた、刺し傷への耐性のある複合材料を作成するためシートに接着され、角度のある層になった紡糸超高分子量ポリエチレン(spun ultra high molecular weight polyethylene)のような弾道材料
(e)ナノ材料又はコーティング。これにより、電子回路は布に織り交ぜられて無線通信が可能になるか、電力を提供して他の構成要素(例:カメラ又は発光手段)を駆動できるようになる。
(f)薄いフィルム及び可撓性形式の充電式バッテリーのような電源であって、これは例えば、集積回路カード、ハウジングメモリ記憶(housing memory storage)及びマイクロプロセッサ機能を有する可撓性フィルムバッテリーを含む。
【0065】
防護具の汎用的性質
好ましい実施形態では、防護具は(例えば伝統的なユニフォームの上に着用する)ほぼすべての武道で使用される汎用防護具である。こうした汎用防護具は、全面的に対戦者の保護を継続しつつ、様々な武器を使用した又は武器を使用しない様々な武道様式における力の度合い及び位置の測定を可能にする。
【0066】
好ましい実施形態は汎用防護具を提供することによって、特定の形態の武道にとどまらず、「ケージファイティング」(総合格闘技の競技)及び様々な形態の武道に役に立つ。
【0067】
代替実施形態では、防護具は特定の武道で使用される伝統的なユニフォームの形態をとることができる。よって防護具は、適切な特性を有するインテリジェントな織物から作られる伝統的なユニフォーム、又は衝撃保護、力検知、導電性などの必要な特性を与える適切な材料でコーティングされた伝統的なユニフォームであり得る。
【0068】
力パラメータデータ
任意の構成において、防護具はセグメントに分割され(図3のアイテム60参照)、それにより防護具の各セグメント又は部分は体の各部分に対応する(図3参照)。これにより、防護具に加えられた力の度合い及び位置(力パラメータデータ)を所定の解剖学的領域を参照して記録すること、又は防護具のセグメントに対応するスコアリンググリッド(図3のアイテム70を参照)のグリッド座標に対してマッピングすることができ、これはスコアリング装置の視覚ディスプレイ50に表示できる。
【0069】
フェンシングで使用される従来技術の電子スコアリングとは異なり、好ましい実施形態は、任意の手段(例:伝統的な武器又は体の一部)を使用して加えられた闘争的な力の特定の位置を記録する。これは攻撃の「損害値」を評価するために重要である。例えば、攻撃力は弱くても的を絞ったものであることがあり、それにより血又は空気の供給が(例えば食道がつぶれることによって)妨げられ、その結果、対戦相手は無力になる。反対に、攻撃が極度の力で加えられ、この場合も対戦相手に大きな損害をもたらす(例えば首を破損する)ことがある。
【0070】
武道の格闘における勝利は、特に、対戦相手の頭又は体に十分な力で接触する能力及び自身は負傷することなく損害又は傷害を与える技術に依拠する。従来技術に比べて有利な点は、攻撃の位置並びに(こぶし、膝、肘など)攻撃に対する体の一部の使用のほか武器により加えられた力の差異を詳細に記録できること、また、防護具が武器による複数の反復的攻撃による衝撃に耐え、こうした攻撃からのデータを記録する能力を保持できることである。この理由として、実際の武道の格闘では、ターゲット領域内で攻撃を加えることだけでなく、攻撃を避けること、反撃に備えること、並びに十分な力及び技術で攻撃することが、競技の全部であることが挙げられる。
【0071】
スコアリングは、対戦者が打撃を与える際の効率性に依拠し、これは衝撃の持続時間全体及び加えられる力によって測定され、力を時間で割ることで、力の測定値が得られる。衝撃の位置及び攻撃の角度、並びに軽い一撃対直撃といったその他の定性指標も重要である。武道では、スキルは力、空間(対戦相手及び衝撃領域からの距離。例えば、この距離はテコンドーの対戦者の間で測定されており、プロでない対戦者が行う蹴りの衝撃において大きな相違につながることが発見されている)及び時間を考慮してアルゴリズム的に測定されている。フェンシングで使用されるような電子スコアリングシステムは、これらの追加要素を考慮することができない。
【0072】
電子スコアリングシステム及び方法
防護具の中又は上にある力センサなどの力検知手段によって記録された力パラメータデータは、コンピュータなどのスコアリング装置によって受信され、スコアリング装置は各対戦者のスコアリンググリッド70に示されたスコア(図4を参照)のような1つ又は複数の結果を計算し、それにより、競技における個々の強さ及び弱さ(例:左上の胸部への攻撃に対する相対的弱さ)を含む各対戦者の実績を追跡する有用な視覚的手段を提供する。このシステムはまた、誰が最初に打ったか、また何が生じたか(さらにどのくらい激しかったか)を記録する。
【0073】
別の構成におけるスコアリング装置も、個々の力(例:攻撃、投げ、落下)の「損害値」の形で1つ又は複数の結果を計算することができる。損害値は「生」であるか、個々の加力要素の物理的特性に従って較正されることがある。重量級の対戦者と格闘するフェザー級の対戦者の場合、同じ武器よって加えられた同じ力の攻撃でも、「損害値」が相対的に大きくなる。これを利用してライト級の対戦者のスコアリングを較正し、その結果、同じ力に対して相対的に大きな損害値(例:1ポイント又はそれより大きいポイントの控除)が生じる。反対に、それを利用して攻撃に重み付けをし、その結果、重量級の対戦者に加えられた同じ攻撃力は、ライト級の対戦者に加えられた場合よりも「損害値」が大きくなる(「ハンディキャップ」形態)。
【0074】
あるいは、較正は、攻撃が棒又は野球バットに対して犀利な武器(例:剣又は槍)で加えられたかのように攻撃結果を解釈し、CGIを使用して技巧的痕跡として結果をレンダリングすることができる。
【0075】
また、加えられた力(例:攻撃又は投げ)の「損害値」は、スコアリングの利点又は不利点に変換することができ、例えば対戦者が攻撃を加えた場合は1ポイント若しくはそれより大きいポイント、又は対戦者が攻撃を受けた場合には1ポイント若しくはそれより大きいポイントの控除、又は両者の組み合わせとすることができる。一実施形態では、損害値は攻撃の視覚レンダリング、例えば、こぶしによる顎への攻撃の技巧的痕跡としてさらに表示され、対応する圧力プロットが受け手の顎における力の相対分布を示す。
【0076】
スコアリング装置30は、スコアリング装置30に(例えば無線通信手段により)電子接続された防護具20から、リアルタイムで力パラメータデータを受信する。力パラメータは、例えば、対戦者の防護具に加えられたすべての力について、加えられた力の位置及び度合い、並びに力が加えられたときのパワー(パワー=力/時間)を含む。これはスコアリング装置によって結果に変換され、例えば、対戦者が攻撃を加えた場合はポイント加算、対戦者が攻撃を受けた場合はポイント控除となる。これによりさらに、格闘による打撃の「損害値」などの結果を(攻撃の力、パワー、位置及びその他の特定のパラメータを考慮したアルゴリズムに基づき)計算することができ、またスコアリングの実績及び累積と共に観客に表示することができる。このアルゴリズムは、ソフトウェア及び/又はハードウェアデバイスによって実現可能である。
【0077】
電子スコアリングシステムは、防護具の様々な部分から力パラメータデータを受信し記録して、データをスコアリング装置に伝えることができる通信手段220を含む。通信手段220は、有線、無線を問わず、任意の適切な形式の通信を含むことができる。通信手段220は、導電性防護具又はその他の手段であり得る。
【0078】
フェンシングで使用される従来技術の電子スコアリングシステムに比べて有利な点は、体の任意の部分によって加えられた攻撃と同様に、無修正の武器を使用して加えられた攻撃の記録及び測定ができることである。対照的に、フェンシングで使用される従来技術の電子スコアリングシステムは、電気武器が導電性防護服に接触したときにスコアを記録できるに過ぎない。そのため、体の一部又は伝統的(電気でない)武器によって加えられた攻撃は、スコアリングシステムにおいてスコア付けされない。
【0079】
従来技術に比べて有利なもう1つの点は、攻撃の特定の位置及び力(及び/又はパワー)を記録できることである。対照的に、フェンシングで使用される従来技術の電子スコアリングシステムは、ターゲット領域のどこかで接触があったことを示すためにトリガーがオンとなるに過ぎない(又はトリガーがしきい値を超えなければ、オフのままとなる)。
【0080】
通信手段は、例えば圧力信号を力センサから受信デバイス(例:スコアリング装置として機能するコンピュータ)に送信する送信機として機能する。同様に、様々な実施形態における他の検知手段(例:動作検知手段、熱検知手段)からのデータは、通信手段を介してスコアリング装置に送信される。
【0081】
好ましい実施形態では、スコアリング装置は、(1つ又は複数の)データ信号を解釈して、スコアリング方式又は他の特定のアルゴリズムに従ってスコア(又は他の情報)を計算する処理手段に接続されているか、かかる処理手段を含む。他の実施形態では、システムはまた、スコアリング装置からデータを受信することができるCGI手段を含み、それにより、CGI手段が競技データを参照、分析及び適用できるようになっている。
【0082】
送信機と受信機との間における伝送の手段は、無線周波数通信のような無線通信若しくは赤外線のような他の通信、ブルートゥース、又は近距離通信若しくはその他の適切な通信プロトコルを介する。
【0083】
センサはインターフェースデバイスに付けられ、防護具からの入力データ(センサ信号)をスコアリング装置(受信デバイス)が解釈できるようになっている。インターフェースは、格闘による攻撃をリアルタイムで動的且つ正確に記録する感応度を有する。これにより、スコアリング装置はセンサデータを取り込み、センサデータをスコアリング方式に適用し、スコアを計算し、スコアを表示することができる。
【0084】
CGI手段
「スコアリング装置」は処理能力を有する。一実施形態では、処理能力は、ビデオを含むコンピュータグラフィックスを処理する能力を含む。一構成では、格闘をリアルタイムで、攻撃データのオーバーレイ、又は攻撃データの他の表示、アクションの再生、並びに対戦者が打撃を受けた場所及び対戦者が各打撃又は打撃全部から受けた損害の値を示す攻撃「損害」のコンピュータ生成グラフィック視覚化と共に見ることができる。CGI手段(例:ソフトウェア)は、場面表示を可能にするグリフ、格闘のターゲット、及び格闘の再生、モデル化又はゲームプレイのためのその他の視覚表示要素を追加的に含むことができる。
【0085】
一実施形態では、スコアリングシステムは、力パラメータデータをグラフィカルに表示するための、また対戦者に関するコンピュータ生成画像の多次元(例:二次元、三次元、四次元)レンダリングのためのCGI手段(例:ソフトウェア)を含む。これは実際の競技及びシミュレートされた競技、並びに実際の競技とシミュレートされた競技との組み合わせに役に立つ。このようにしてシステムは、例えば、対戦者が防護具を着用していなかった場合の攻撃のシミュレートされた度合い又は「損害値」を有する視覚ディスプレイによる競技を見ているときの閲覧者のエクスペリエンスを高める。これは任意の時間枠、例えばリアルタイムで、又は将来への投射(projection)として、又はアクション再生中に生じ得る。それは対戦者のビデオ記録に対するグラフィックオーバーレイとして、又は対戦者のCGIレンダリングとして現れることがある。
【0086】
例えば、2人の対戦者間の競技で、第1対戦者が第2対戦者から、第1対戦者をノックアウトするのに十分な力で攻撃される場合を考えたい。第1対戦者は防護具を着用しており、そのため実際にはノックアウトされない。それでも、スコアリングシステムは、「ノックアウト」攻撃がこめかみに例えば1200ポンド毎平方インチ(PSI)の力で加えられたことを記録する。防護されていない競技では、第1対戦者は競技から離脱することになる。
【0087】
スコアリング装置に直接又は間接的に接続された視覚ディスプレイにおいて、第1対戦者の視覚表示は、(例えば防護具を着用していない状態の)対戦者が例えば棒により「ノックアウト」攻撃される状況を示し、対戦者の頭のCGIは攻撃の位置、攻撃時点にこめかみに「痕跡」を作る棒の技巧的レンダリング、(例えば頭蓋に沿った)一定の時間及び/又は距離における様々な力の対応するグラフィカル表示、並びに(例えば、頭が後ろに投げ出され、対戦者が倒れる)攻撃の影響を示す。
【0088】
同様に、スコアリング装置は、攻撃が実際に使用された特定の武器ではなく犀利な武器(例:剣又は槍)で加えられたかのように攻撃結果を解釈し、CGIを使用して技巧的痕跡として結果をレンダリングすることができる。例えば、CGI手段を使用して損害のシミュレーションを提供することができ、それにより観客又は閲覧者は(例えば防護具を着用していない状態の)対戦者、例えば、異なる娯楽エクスペリエンスにおいてスコアリング装置(例:コンピュータ)によって較正された同じ力データに基づき、刃ない武器の代わりに刃のある武器が使用されていた場合に受けたと思われる損害の程度の表示を見ることができる。力の同時攻撃を含む複数の攻撃又は力を記録して視覚ディスプレイで同時に見ること、又は選択的に見ることができる。
【0089】
結果的にCGI手段ではスコアリングシステムにより、双方向型並びに訓練及び/又は娯楽(例:ゲーム)目的を含め、閲覧者のエクスペリエンスを高めることができる。CGI手段はスコアリングシステムと一体の部分であってもよく、又は任意の適切な通信手段を介し、且つ任意の適切な通信プロトコルを使用してスコアリングシステムに接続されてもよい。
【0090】
ポジション検知手段
競技場におけるチームでの武道家の一定の構成は、チームの人数が多くない場合や個々の対戦者が優れていない場合でも、有利なポジショニングを有する。よって、(例えばチェスや軍隊の戦いで使用されるような)戦術的ポジショニングは、(対戦者又は物体の位置を特定する)位置ベースサービスを使用して観客(又はコーチ)に伝えられ、観客(又はコーチ)が認識することができる。スコアリングシステムは、競技場(物理的場所及び当該場所の対応するCGIレンダリングの両方)内の対戦者のポジションの追跡など位置ベースサービスの提供を可能にするポジション検知手段を含む。
【0091】
リアルタイム位置特定システムは、ポジショニングを動的に監視し記録することができ、それによりチーム及び対戦者の相対的ポジショニングが記録され、スコア上の利点に寄与することが可能である。これにより、戦略的利点からターゲットにされ、対戦者及び/又はチームのスコアにカウントされる好ましいポジション又は作戦行動を確保できる。
【0092】
例えば、競技場には相対的に強いポジション、相対的に弱いポジションがあり、そのため例えば、対戦者の脆弱性は相手チームの対戦者に比べて、特定のポジションでは大きくなる。これは、軍事若しくは保安要員の訓練又は戦いの訓練全般において、例えば、ポジション及び作戦行動(作戦行動は、(例えばポジションの)移動及び使用される攻撃の組み合わせである)を操作して、戦略的に防衛するか、重要人物(例:政治家又は君主)を保護し、ターゲット(例:テロ容疑者)を攻撃する上で役に立つ。競技場のCGI表示にグリフを組み込むことで、競技場への脅威又は支援の仮想配置を可能にすることにより、リアルタイムの場合を含め、軍事又は保安要員向けの追加的訓練手段を提供することができる。このようにして、スコアリングシステムは娯楽又はゲームでも役に立つ。
【0093】
動作検知手段
実施形態によっては、スコアリングシステムは動きを検出し、競技に関係する動きに関するデータをスコアリング装置(又は他の処理デバイス)に送信する動作検知手段を含む。
【0094】
以下のうちの1つ又は複数を含む、任意の適切な動作検知手段を使用することができる。
(a)光ベースの動作検知手段(例:レーザー光線、赤外線、紫外線)
(b)熱放射及び/若しくは熱検知手段
(c)加速度計、及び/又は
(d)その他の適切な動作キャプチャ若しくは動作検知技術
【0095】
構成によっては、動作検知手段は、例えば動作検出器を防護具上に含めることによって対戦者の動きを検出するように構成される。これにより、例えば蹴り、体の一部(例:こぶし、肘)による攻撃、投げ又は落下の動きの速度、方向及び経路を記録できる。
【0096】
他の実施形態では、動作検知手段は武器又は武器の一部の動きも検出する。例えば、飛び道具、例えば矢、クロスボウボルト、ペイントボールを伴う競技での格闘では、動作検知手段を使用して、移動する発射物の軌道を検出し追跡する。攻撃物体(例:剣)のような武器を伴う格闘において、物体上の動作検知手段により、各武器の動きの弧のほか、武器の動きの速度、方向及び経路を記録することができる。動作検知手段は、棒、剣、棍棒、盾、飛び道具(例:矢、クロスボウボルト、ペイントボール)、フェンシング用武器、又は武道若しくは格闘技での使用に適したその他の武器若しくは物体(例:野球のバット)に含めることができる。
【0097】
システムに動作検知手段を含めることで、対戦者及び/又は武器の動きパラメータの記録及び(例えばCGIレンダリングによる)視覚化が可能になる。例えば、体の一部、武器又は飛び道具による攻撃の弧、速度及び方向は、競技のビデオ画像に重ねられるか、競技場及び対戦者のCGIレンダリングでの閲覧向けにレンダリングされる。これは、閲覧者エクスペリエンスの娯楽価値を高め、訓練及び競技の戦略目的上の有益な情報を提供する上で有用である。
【0098】
したがって本発明は、痛み、傷害又はさらに悪い状態をもたらす有害な攻撃から対戦相手を保護しつつ、衝撃の潜在的な力、位置を測定するための電子的手段を提供するという点で、従来技術の電子スコアリングシステム、方法及び防護具の問題を克服する、武道、特に武器を中心とした武道で使用するが武道全般にも有用な新規の又は代替的な電子スコアリングシステム、方法及び防護具を提供する。しかし、本発明がこれらの特定の使用分野に限定されないこと、及び本発明が本明細書で説明する特定の実施形態又は適用例に限定されないことが諒解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
様々な様式の武道で使用する電子スコアリングシステムであって、
(a)衝撃から保護する防護具であり、前記防護具が、前記防護具に加えられた1つ又は複数の力から、力パラメータデータを検出するための検知手段を含み、前記力パラメータデータが、前記防護具に加えられた1つ又は複数の力の
i.度合い、
ii.位置、
iii.持続時間、及び
iv.方向
に関するデータを少なくとも1つ含む、防護具と、
(b)i.前記検知手段から前記力パラメータデータを受信するための通信手段と、
ii.前記力パラメータデータを使用して1つ又は複数の結果を計算するための算出手段と、
iii.1つ又は複数の報告を生成するための報告生成手段と
を有するスコアリング装置と
を備え、
前記スコアリング装置が、視覚ディスプレイに表示する出力内容を生成することができる、電子スコアリングシステム。
【請求項2】
前記検知手段が、以下の
a)対戦者、
b)対戦者に結び付いた力センサ、及び
c)武器
のうちの1つ又は複数の動きに関する動きデータを検出する動作検知手段をさらに含み、
前記動作検知手段が、前記動きデータを前記スコアリング装置に通信し、それにより前記システムが競技に関する動きを検出することができるようになる、請求項1に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項3】
前記動きデータが以下の動きの
a)速度、
b)方向、
c)経路
のうちの1つ又は複数に関するデータを含む、請求項2に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項4】
前記検知手段が、該力センサが力を検出したときに直接的又は間接的に1つ又は複数の検知手段要素(センサ)のスイッチを入れることを可能にする切り替えメカニズムをさらに含み、それにより前記検出手段がすべてのセンサを常時監視するのではなく、作動中のセンサからのみ記録する、請求項1に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項5】
前記防護具が複数のセグメントに分割され、前記防護具の各セグメントがスコアリンググリッド上の異なるグリッド座標に対応し、それにより前記スコアリング装置が前記対応するグリッド座標を参照して前記防護具に加えられた力の特定の位置を記録することが可能になる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項6】
応答シミュレーション手段をさらに含み、
前記検知手段が特定のしきい値の損害値の力を検出したときに前記応答シミュレーション手段が作動し、
前記損害値が、以下の、前記防護具に加えられた1つ又は複数の力の
a)度合い、
b)位置、
c)持続時間、及び
d)方向
のうちの2つ以上の組み合わせに基づくものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項7】
前記防護具のヘルメットの形態である前記防護具に結合された発光手段をさらに含み、
前記ヘルメットと関連される前記検知手段が特定のしきい値の力を検出したときに前記発光手段が発光するように作動し、
前記検知手段が特定のしきい値の損害値の力を検出したときに前記応答シミュレーション手段が作動し、
前記損害値が、以下の、前記防護具に加えられた1つ又は複数の力の
a)度合い、
b)位置、
c)持続時間、及び
d)方向
のうちの2つ以上の組み合わせに基づくものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項8】
前記応答シミュレーション手段が以下の
a)発光手段
b)電気ショック発生手段
のうちの1つ又は複数である、請求項7に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項9】
前記検知手段が複数の配列で接続された複数のセンサを備え、各配列が前記通信手段に接続され、それにより前記スコアリング装置と通信するモジュールを形成する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項10】
当該電子スコアリングシステムが複数のモジュールを含み、前記複数のモジュールが以下の
a)防護具被膜材料に織り込まれたもの、
b)前記防護具と統合されたもの
のうちの1つ又は複数である、請求項9に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項11】
前記モジュールの各々が、1つ又は複数の他のモジュールと接触するように構成され、力センサからの力パメータデータを呈する信号が多重化され、前記スコアリング装置が前記多重化信号を受信して前記信号を別々のセンサからの複数の別々の信号に逆変換するように構成され、前記信号が以下の
a)力パラメータデータ、及び
b)動きデータ
のうちの1つ又は複数を表す、請求項9又は10に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項12】
前記力センサが、圧電センサ、加速度計、触覚センサ及び形状記憶合金(SMA)センサからなる群から選択される、請求項9〜11のいずれか一項に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項13】
前記力センサがチューニング手段によってリンクされ、前記チューニング手段が各センサの電圧関係に対する力を定義し、それにより前記力センサの感応度が1つ又は複数の配列を通じて均一となる、請求項9〜12のいずれか一項に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項14】
前記検知手段が前記防護具に力が加えられた各々別々の位置を検出するように構成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項15】
前記スコアリング装置が、個々の力の損害値の形態の少なくとも1つの結果を計算するように構成され、前記損害値が、個々の対戦者の物理的特性に従って計算されうる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項16】
加えられた力の損害値が、スコアリングの利点又は不利点に変換され、該損害値が、攻撃の視覚レンダリングによる視覚表示を与え、この視覚レンダリングが全ての領域における力の相対分布を示す、請求項15に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項17】
前記検知手段が伝統的な防護具を覆う皮に埋め込まれている、請求項1〜16のいずれか一項に記載の電子スコアリングシステム。
【請求項18】
様々な様式の武道で使用する電子スコアリングシステムであって、
(a)前記防護具が、それと一体的な部分である少なくとも1つの力検知手段を有し、この力検知要素は、前記防護具が力センサとして機能するように構成されるとともに、各接触の力パラメータデータを記録しかつ測定し、前記力検知要素が、1つ又は複数の検知された接触力に基づく力パラメータデータ信号を生成し、前記力パラメータデータが、以下の、力の
i.度合い、
ii.位置、
iii.持続時間、及び
iv.方向
に関するデータを含む、防護具と、
(b)i.前記力検知要素から前記力パラメータデータ信号を受信するための通信手段と、
ii.前記力パラメータデータを使用して1つ又は複数の結果を計算するための計算手段と、
iii.1つ又は複数の結果を表示するための出力手段と
を有するスコアリング装置と
を備える、電子スコアリングシステム。
【請求項19】
様々な様式の武道で使用する電子スコアリング方法であって、
(a)利用者が着用するように構成された防護具に加えられた1つ又は複数の力から力パラメータデータを検出するステップであり、前記防護具が衝撃から保護する、ステップと、
(b)スコアリング装置に前記力パラメータデータを通信するステップと、
(c)前記力パラメータデータを使用して結果を計算するステップと
を含み、
前記力パラメータデータが前記防護具に加えられた1つ又は複数の力の
i.度合い、
ii.位置、
iii.持続時間、及び
iv.方向
に関するデータを含む、方法。
【請求項20】
前記防護具をセグメントに分割するステップであって、前記防護具の各セグメントがスコアリンググリッド上の異なるグリッド座標に対応し、それにより前記スコアリング装置が前記対応するグリッド座標を参照して前記防護具に加えられた力の特定の位置を記録することが可能になる、ステップをさらに含む、請求項19に記載の電子スコアリング方法。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−508037(P2013−508037A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534492(P2012−534492)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001321
【国際公開番号】WO2011/047410
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(512065742)ザタラ ノミニーズ ピーティーワイ リミテッド (1)
【出願人】(512065753)ネドシプ ノミニーズ ピーティーワイ リミテッド (1)