説明

歩数計

【課題】 歩幅の変化履歴とともに、歩幅と目標歩幅との差の履歴を知ることがきるようにすること。
【解決手段】 既知の距離を走行することによって歩数を計数し、前記計数した歩数と前記既知の走行距離から歩幅を算出する歩幅測定動作を複数回行い、目標歩幅602と、前記歩幅測定動作によって算出した複数の歩幅601との差を表すように、歩幅測定動作を行った走行順に履歴を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩数を測定する歩数計に関し、特に、走行を検出して歩幅の変化を検出する歩数計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用者の腕や腰等の身体に装着して、あるいは、使用者が保持しているバッグに収納した状態等で使用することにより、当該使用者の歩数を計測する歩数計が開発されている。
【0003】
走行において、歩幅は走行能力を決める重要なファクタであり、一般的にある程度の速さまではピッチの増加より、歩幅の増加によってランニングスピードを高められることが知られている。
例えば、特許文献1には、予め一定距離を歩行、または走行する際の自分の歩幅を求め、歩幅と歩数より、どの程度の距離を歩行したか、または走行したかを知る事が出来るようにした歩行距離測定装置が開示されている。また、前記特許文献1には、その距離精度を正確にするために、ある距離を歩いたあと、あらかじめ入力された歩幅と歩数から求められる距離を表示し、その距離を実際の距離となるように補正し、補正された距離と歩数から精度の高い歩幅を求め、これにより、歩行距離の測定精度を高めるようにしている。
【0004】
ところで、走行速度を上げる方法として一般に、ピッチを高める方法と、歩幅を広げる方法とがあるが、後者の方がより確実に実現可能な方法であることが知られている。したがって、歩幅を広げるような方法で走行速度を上げるためには、日々のトレーニングにおいて、自己の歩幅がどのように変化しているのかを知りながらトレーニングした方が、目的意識を持ってトレーニングすることができるため効果的である。
【0005】
また、目標とする距離を目標とする時間で走行しようとした場合、ピッチが決まれば目標となる歩幅が決まるが、この目標歩幅と自己の歩幅にどの程度の差があるのかを知りながらトレーニングするのが効果的である。
しかしながら、前記特許文献1記載の発明では、歩行距離の測定精度を高めることは可能であるが、歩幅がどのように変化しているのかを知ることができないという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開平8−184459号公報(段落[0018]〜[0051]、図1〜図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、歩幅の変化履歴を知ることができるようにすることを課題としている。
また、本発明は、目標歩幅との差の履歴を知ることがきるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、歩幅測定動作を行う際に走行する既知の所定走行距離を設定するための走行距離設定手段と、走行を検出して対応する検出信号を出力する走行検出手段と、
前記検出信号に基づいて前記所定走行距離の走行に要した歩数を算出し、前記所定走行距離と前記歩数に基づいて歩幅を算出する算出手段と、前記所定走行距離と、前記所定走行距離を走行して歩幅測定を行う歩幅測定動作毎に前記算出手段が算出した歩数及び歩幅とを記憶する記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶した複数の前記歩幅測定動作における歩幅を、前記歩幅測定動作を行った順に履歴表示する表示手段とを備えて成ることを特徴とする歩数計が提供される。
表示手段は、記憶手段に記憶した複数の歩幅測定動作における歩幅を、前記歩幅測定動作を行った順に履歴表示する。
【0009】
ここで、前記歩幅測定動作において走行開始からの経過時間を計時する計時手段と、
目標距離及び前記目標距離を走行する目標時間を設定して前記記憶手段に記憶するための目標値設定手段とを有し、前記算出手段は、更に、前記計時手段が計時した経過時間及び前記歩数に基づいて前記各歩幅測定動作毎にピッチを算出すると共に、前記目標距離、目標時間及びピッチに基づいて前記各歩幅測定動作毎に目標歩幅を算出して前記記憶手段に記憶し、前記表示手段は、更に、前記算出した歩幅と目標歩幅との差を表すように、前記歩幅測定動作を行った順に履歴表示するように構成してもよい。
【0010】
また、前記表示手段にスプリット表示を行うように選択するためのスプリット表示選択手段と、走行開始地点からスプリット地点までの既知のスプリット距離を設定するためのスプリット距離設定手段と、前記スプリット地点でスプリット操作を行うためのスプリット操作手段とを有し、前記算出手段は、走行開始から前記スプリット地点までのスプリット歩数を算出し、前記スプリット地点のスプリット距離と前記スプリット歩数に基づいて、前記走行開始地点から前記スプリット地点までのスプリット歩幅を算出し、前記記憶手段は、前記スプリット距離、スプリット歩数及びスプリット歩幅を記憶し、前記表示手段は、前記スプリット表示選択手段によって前記スプリット表示が選択された場合、前記記憶手段に記憶した前記歩幅測定動作におけるスプリット歩幅を履歴表示するように構成してもよい。
【0011】
また、前記目標値設定手段が設定する前記目標距離及び目標時間として、目標スプリット距離及び前記目標スプリット距離を走行する目標スプリット時間が設定され、前記算出手段は、更に、前記計時手段が前記走行開始地点から前記スプリット地点までに計時したスプリット経過時間及び前記スプリット歩数に基づいて、前記走行開始地点から前記スプリット地点におけるスプリットピッチを算出すると共に、前記目標スプリット距離、目標スプリット時間及びスプリットピッチに基づいて、前記走行開始地点からスプリット地点における目標スプリット歩幅を算出して前記記憶手段に記憶し、前記表示手段は、更に、前記記憶手段に記憶した前記歩行測定動作におけるスプリット歩幅と目標スプリット歩幅との差を表すように履歴表示するように構成してもよい。
【0012】
また、前記表示手段にラップ表示を行うように選択するためのラップ表示選択手段と、
ラップ区間の既知のラップ距離を設定するラップ距離設定手段と、前記ラップ区間を指定する地点でラップ操作を行うラップ操作手段とを有し、前記算出手段は、前記ラップ操作が行われたときに該ラップ区間におけるラップ歩数を算出し、前記ラップ距離と前記ラップ歩数に基づいて前記ラップ区間におけるラップ歩幅を算出し、前記記憶手段は、前記ラップ距離、ラップ歩数及びラップ歩幅を記憶し、前記表示手段は、ラップ表示選択手段によってラップ表示が選択された場合、前記記憶手段に記憶した前記歩幅測定動作におけるラップ歩幅を履歴表示するように構成してもよい。
【0013】
また、前記目標値設定手段が設定する前記目標距離及び目標時間として、目標ラップ距離及び前記目標ラップ距離を走行する目標ラップ時間が設定され、前記算出手段は、更に、前記計時手段が計時したラップ経過時間及び前記ラップ歩数に基づいて、前記ラップ区間におけるラップピッチを算出すると共に、前記目標ラップ距離、目標ラップ時間及びピッチに基づいて前記ラップ区間における目標ラップ歩幅を算出して前記記憶手段に記憶し、前記表示手段は、更に、前記記憶手段に記憶した前記ラップ区間におけるラップ歩幅と目標ラップ歩幅との差を表すように履歴表示するよう構成してもよい。
また、前記表示手段は、前記各歩幅の履歴、又は、前記歩幅と目標歩幅との差が解るような内容の履歴をグラフ表示するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る歩数計によれば、歩幅の変化履歴を知ることが可能になる。
また、実測歩幅と目標歩幅との差の履歴を知ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る歩数計のブロック図であり、腕や腰に装着して、あるいは、バッグ等に収納した状態で保持して使用されるように構成された歩数計の例である。
図1において、歩数計は、使用者の走行を検出して該走行毎に対応する検出信号を出力するセンサ101、センサ101からの検出信号を増幅して出力する増幅回路102、増幅回路102からの信号からノイズを除去した検出信号を出力するフィルタ103を備えている。尚、センサ101は、加速度を検出して走行毎に対応する検出信号を出力する加速度センサや、機械的なスイッチによって走行を検出し、走行毎に対応する検出信号を出力する機械式センサ等が使用可能である。
【0016】
また、歩数計は、プログラムを記憶した読み出し専用メモリ(ROM)104、歩数やピッチ等の算出データ及び走行距離等の設定データ等を記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)105、実際に走行する走行距離や目標値の設定等の操作を行う操作部106、液晶表示装置等によって構成された表示部107、所定周波数の信号を発生する発振回路108、発振回路108からの信号を分周して計時動作の基準となる時計信号を出力する分周回路109、中央処理装置(CPU)によって構成された制御部110を備えている。
【0017】
ここで、センサ101は走行を検出する走行検出手段を構成し、ROM104及びRAM105は記憶手段を構成し、表示部107は表示手段を構成している。
操作部106は、歩幅測定動作を行う際に走行する既知の所定走行距離を設定するための走行距離設定手段、目標距離及び前記目標距離を走行する目標時間を設定する目標値設定手段、表示部107にスプリット表示を行うように選択するためのスプリット表示選択手段、走行開始地点からスプリット地点までの既知のスプリット距離を設定するためのスプリット距離設定手段、スプリット地点でスプリット操作を行うためのスプリット操作手段、表示部107にラップ表示を行うように選択するためのラップ表示選択手段、ラップ区間の既知のラップ距離を設定するラップ距離設定手段、ラップ区間を指定する地点でラップ操作を行うラップ操作手段を構成している。
【0018】
また、制御回路110は、ROM104に記憶されたプログラムを実行することによって、歩数、歩幅、ピッチ等を算出する算出手段、歩数計の各構成要素を制御する制御手段を構成している。また、発振回路108、分周回路109及び制御回路110は計時手段を構成している。
【0019】
図2〜図5は、本発明の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートであり、主としてCPU110がROM104に記憶されたプログラムを実行することによって行う処理を示している。
また、図6は、表示部107の表示内容を示す図である。
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る歩数計の動作を説明するが、先ず、概要を説明すると、歩幅測定動作を行う場合、既知の走行距離を走行すると共に前記走行距離を歩数計に設定することにより、所定走行区間を走行したときの平均歩幅(実測歩幅)を算出する。このようにして算出した歩幅を歩幅測定動作毎にRAM105に保存し、前記複数の歩幅測定動作を行い、行った順に表示部107に履歴として表示することで、使用者が自分の歩幅の変化を知ることができるようにしている。
【0021】
また目標とする走行距離と前記走行距離を走行する目標時間を設定し(何kmを何時間何分何秒で走れるようになりたいのかを設定)、その後実際に既知の所定距離を走り、走行中の歩数をカウントする事により、前記同様にして現在の歩幅を求め、同時に目標を達成するために必要な歩幅(目標歩幅)を、今回の歩幅測定動作によって算出したピッチと前記目標距離と目標時間とに基づいて算出し、あとどの程度歩幅を伸ばして走れば、目標を達成できるか(実測歩幅が目標歩幅と等しくなるか)を表示部に表示して、分かりやすく使用者に伝えるようにしている。
【0022】
さらに歩幅測定動作時の走行中に、適度な距離毎にラップ値またはスプリット値をとり、ラップ値またはスプリット値より各ラップ区間やスプリット区間におけるピッチ(ラップピッチ、スプリットピッチ)を算出し、これらのピッチ、ラップ区間の目標距離及び目標時間、スプリット区間の目標距離や目標時間を用いて各ラップ区間やスプリット区間において必要な目標歩幅(目標ラップ歩幅、目標スプリット歩幅)を算出して、実測歩幅と、目標ラップ歩幅あるいは目標スプリット歩幅を同時に表示する事により、あとどの程度で目標達成となるかを分かりやすく使用者に伝えることも可能にしている。
【0023】
以下、図1〜図6を用いて、本発明の実施の形態に係る歩数計の動作を詳細に説明する。
先ず、使用者が操作部106を操作することにより、走行する目標距離及び前記目標距離を走行する時間(目標タイム)を入力する(図2のステップS201)。ここで、目標距離、目標時間は、走行開始地点(スタート地点)から各スピリット地点間(スプリット区間)の目標距離(目標スプリット距離)、スプリット区間毎の目標時間(目標スプリット時間)、ラップ区間毎の目標距離(目標ラップ距離)、ラップ区間毎の目標時間(目標ラップ時間)が含まれている。
【0024】
尚、本実施の形態においては、「スプリット地点」を、走行開始地点と走行終了地点の間におけるスピリット地点のみならず、走行終了地点(ゴール地点)をも含む概念として使用している。
制御回路110は、操作部106から入力された前記目標距離及び目標タイム(目標時間)をRAM105に記憶する(ステップS202)。
【0025】
前記目標値(目標距離、目標時間)の設定後、使用者は、自己の腕などに歩数計を装着して、操作部106を操作することによって計時動作及び走行検出動作を開始させると共に走行開始することによって、歩幅測定動作を開始する。
走行開始すると、センサ101は各走行を検出して対応する検出信号を出力する。増幅回路102は前記検出信号を増幅し、フィルタ103によってノイズが除去された歩行信号が制御部110に入力される。制御回路110は、前記検出信号を検出すると(図3のステップS301)、前記検出信号を計数して随時、歩数として算出し、前記歩数をRAM105に順次記憶する(ステップS302)。
【0026】
使用者は、適宜、走行開始地点から既知の距離の地点(スプリット地点)において、時間と歩数のスプリット値を計測するために操作部106を操作(スプリット操作)する。制御部110は、前記操作部106によるスプリット操作を検出すると(図4のステップS401)、走行開始地点からスプリット操作を行った地点までの歩数(スプリット歩数)及び走行開始時から前記スプリット操作時点までの経過時間をRAM105に記憶する(ステップS402)。
【0027】
使用者は操作部106のスプリット操作を、走行開始地点からの距離が既知の複数のスプリット地点において行うことにより、制御部110は、前記スプリット操作を行った、走行開始地点から既知の複数のスプリット地点までのスプリット歩数及びスプリット時間をRAM105に順次記憶する(ステップS401、S402)。
【0028】
前記走行開始地点から走行終了地点(ゴール地点)までの前記所定の走行距離を走り終わった時、使用者は操作部106を操作することによって計時動作及び走行検出動作を終了させて、歩幅測定動作を終了させる。制御回路110は、操作部106による前記終了操作に応答して、計時動作を終了すると共に走行検出動作を終了して歩幅測定動作を終了する。
歩幅測定動作を終了後、使用者は、操作部106を操作して、走行開始地点から前記各スプリット地点までの距離(スプリット距離;実際に走行する走行距離であり、予め既知の所定走行距離である。)を入力する。
【0029】
制御回路110は、操作部106から各スプリット地点におけるスプリット距離が入力されるとRAM105に記憶し(図5のステップS501)、各スプリット距離毎に、スプリット距離及び前記スプリット距離に対応する歩数(スプリット歩数)に基づいて「スプリット距離/スプリット歩数」を演算して、走行開始地点からスプリット地点までの区間(スプリット区間)の各々における歩幅(スプリット歩幅)1、2、3、・・・nを算出し、RAM105に記憶する(ステップS502)。
【0030】
次に、制御回路110は、各スプリット時間毎に、各スプリット時間及び前記スプリット時間に対応するスプリット歩数に基づいて「スプリット歩数/スプリット時間」を演算して、各スプリット区間におけるピッチ(スプリットピッチ)1、2、3、・・・nを算出し、RAM105に記憶する(ステップS503)。
【0031】
次に、制御回路110は、前記各スプリットピッチ、目標スプリット距離、目標スプリット時間に基づいて、各スプリット毎に、「目標スプリット距離/(目標スプリット時間×スプリットピッチ)」を演算して、目標値(目標スプリット距離と目標スプリット時間)を達成するのに必要な各スプリット区間1〜nにおける目標歩幅1〜nを算出し、RAM105に記憶する(ステップS504)。
前記同様にして、各ラップ区間1〜n毎に、目標歩幅1〜nを算出してRAM105に記憶する。
【0032】
以上の処理を、複数の歩幅測定動作において行うことにより、制御回路110は、各歩幅測定動作の各スプリット及びラップにおける実測歩幅1〜n及び目標歩幅1〜nを算出し、各値をRAM105に記憶する。
次に、制御回路110は、操作部106によって選択された実測歩幅1〜nの履歴、又は、実測歩幅1〜nと目標歩幅1〜nの差を表すような履歴を表示部107に表示する(ステップS505)。
尚、処理ステップS502〜S505において、nが最大値の場合、スプリット距離n、スプリット歩数n、スプリット歩幅n、目標歩幅nは、走行開始地点から走行終了地点まで走行した場合の値となる。
【0033】
操作部106が選択する表示態様としては、走行開始地点から走行終了地点まで走行した場合の実際の平均歩幅(実測歩幅)の走行毎(歩幅測定動作毎)の履歴表示、各走行毎の同一ラップにおける実測歩幅の履歴表示、各走行毎の同一スプリットにおける実測歩幅の走行毎の履歴表示、走行開始地点から走行終了地点まで走行した場合の実測歩幅と目標歩幅の差が解るような走行毎の履歴表示、同一ラップにおける実測歩幅と目標歩幅の差が解るような走行毎の履歴表示、同一スプリットにおける実測歩幅と目標歩幅の差が解るような走行毎の履歴表示がある。
【0034】
また、他の表示態様として、横軸に同一走行における各ラップを表すと共に縦軸に各ラップにおける実測歩幅を表すことによる、同一走行における各ラップの実測歩幅の履歴表示、横軸に同一走行における各スプリットを表すと共に縦軸に各スプリットにおける実測歩幅を表すことによる、同一走行における各スプリットの実測歩幅の履歴表示、横軸に同一走行における各ラップを表すと共に縦軸に各ラップにおける実測歩幅と目標歩幅の差が解るような、同一走行における各ラップの履歴表示、横軸に同一走行における各スプリットを表すと共に縦軸に各スプリットにおける実測歩幅と目標歩幅の差が解るような、同一走行における各スプリットの履歴表示がある。
【0035】
図6は、処理ステップS505において、走行開始地点から走行終了地点まで走行した場合の実測歩幅と目標歩幅の差が解るように履歴表示するように選択した例である。
図6において、横軸は歩幅測定動作を行った順序である走行順を表し、縦軸は歩幅を表している。斜線四角点601は歩幅測定動作を行ったときの実測歩幅であり、黒四角点602は目標歩幅を表している。図6では、走行開始地点から走行終了地点まで走行した場合の平均歩幅を実測歩幅として表し、前記実測歩幅に対応させて目標とする目標歩幅を縦軸に示している。
【0036】
図6に示すように、1回目〜3回目の走行時(歩幅測定動作時)は、目標歩幅が150cmで、実測歩幅が100cmである。4回目及び5回目の走行時は、目標値が150cmと変わらないのに対して、トレーニング効果が現れて、実測歩幅が105cmに広がっている。6回目〜8回目の走行時は、実測歩幅は105cmと変化しないが、トレーニング効果によってピッチが大きくなったために目標歩幅が145cmと狭くなっている。
【0037】
このようにして、歩幅測定動作回数が増えるにしたがって、トレーニング効果によって実測歩幅が広くなり、その一方で、ピッチが大きくなるため目標歩幅が狭くなって、両歩幅の差が小さくなっていき、使用者はあとどのくらいで目標を達成できるか容易に知ることが可能になる。
走行回数25回目のときに、実測歩幅が目標歩幅と等しくなっている。この時点で、目標距離を目標時間で走行することが可能になったことを知ることができる。
【0038】
尚、図6の例では、グラフ表示を行うようにしたが、履歴が解るような表示であればよいため、実測歩幅の表示や差が解るような表示は、数値表示等でもよく適宜選定できる。また、実測歩幅と目標歩幅の並記表示や実測歩幅と目標歩幅の差のみの表示等いずれでもよい。また、目標値÷現状の歩幅を演算し、あと何割歩幅を伸ばせば良いかを表示するようにしても良い。
【0039】
以上述べたように本実施の形態によれば、制御部110は、センサ101からの前記検出信号を計数することによって歩数を算出し、前記既知の距離と前記歩数に基づいて実測歩幅を算出し、実測歩幅の履歴、又は、目標歩幅と前記実測歩幅の差を表すような履歴を、各歩幅測定動作毎に表示部107に表示するようにしているため、使用者の歩幅の変化履歴を、歩幅測定動作毎、スプリット毎又はラップ毎に容易に知ることが可能になる。
【0040】
また、目標距離を目標時間で走行するための目標歩幅と現在の自己の歩幅の差の履歴を、歩幅測定動作毎、スプリット毎又はラップ毎に容易に知ることが可能になる。
また、一の歩幅測定動作におけるスプリット区間、ラップ区間の歩幅の変化履歴や目標歩幅との差の履歴を容易に知ることが可能になる。
したがって、トレーニングにおいて、使用者が自己の歩幅及びその変化を知ることができ、目標意識を持ってトレーニングをすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
腕に装着して使用する方式の歩数計、腰に装着して使用する方式の歩数計、バッグ等に収納して保持した状態で使用する方式の歩数計等、各種の歩数計に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態に係る歩数計のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る歩数計の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係る歩数計の表示内容を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
101・・・走行検出手段を構成するセンサ
102・・・増幅回路
103・・・フィルタ
104・・・記憶手段を構成するROM
105・・・記憶手段を構成するRAM
106・・・走行距離設定手段、目標値設定手段、スプリット表示選択手段、スプリット距離設定手段、スプリット操作手段、ラップ表示選択手段、ラップ距離設定手段、ラップ操作手段を構成する操作部
107・・・表示手段を構成する表示部
108・・・計時手段を構成する発振回路
109・・・計時手段を構成する分周回路
110・・・算出手段、制御手段、計時手段を構成する制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩幅測定動作を行う際に走行する既知の所定走行距離を設定するための走行距離設定手段と、
走行を検出して対応する検出信号を出力する走行検出手段と、
前記検出信号に基づいて前記所定走行距離の走行に要した歩数を算出し、前記所定走行距離と前記歩数に基づいて歩幅を算出する算出手段と、
前記所定走行距離と、前記所定走行距離を走行して歩幅測定を行う歩幅測定動作毎に前記算出手段が算出した歩数及び歩幅とを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した複数の前記歩幅測定動作における歩幅を、前記歩幅測定動作を行った順に履歴表示する表示手段とを備えて成ることを特徴とする歩数計。
【請求項2】
前記歩幅測定動作において走行開始からの経過時間を計時する計時手段と、
目標距離及び前記目標距離を走行する目標時間を設定して前記記憶手段に記憶するための目標値設定手段とを有し、
前記算出手段は、更に、前記計時手段が計時した経過時間及び前記歩数に基づいて前記各歩幅測定動作毎にピッチを算出すると共に、前記目標距離、目標時間及びピッチに基づいて前記各歩幅測定動作毎に目標歩幅を算出して前記記憶手段に記憶し、
前記表示手段は、更に、前記算出した歩幅と目標歩幅との差を表すように、前記歩幅測定動作を行った順に履歴表示することを特徴とする請求項1記載の歩数計。
【請求項3】
前記表示手段にスプリット表示を行うように選択するためのスプリット表示選択手段と、
走行開始地点からスプリット地点までの既知のスプリット距離を設定するためのスプリット距離設定手段と、
前記スプリット地点でスプリット操作を行うためのスプリット操作手段とを有し、
前記算出手段は、走行開始から前記スプリット地点までのスプリット歩数を算出し、前記スプリット地点のスプリット距離と前記スプリット歩数に基づいて、前記走行開始地点から前記スプリット地点までのスプリット歩幅を算出し、
前記記憶手段は、前記スプリット距離、スプリット歩数及びスプリット歩幅を記憶し、
前記表示手段は、前記スプリット表示選択手段によって前記スプリット表示が選択された場合、前記記憶手段に記憶した前記歩幅測定動作におけるスプリット歩幅を履歴表示することを特徴とする請求項1又は2記載の歩数計。
【請求項4】
前記目標値設定手段が設定する前記目標距離及び目標時間として、目標スプリット距離及び前記目標スプリット距離を走行する目標スプリット時間が設定され、
前記算出手段は、更に、前記計時手段が前記走行開始地点から前記スプリット地点までに計時したスプリット経過時間及び前記スプリット歩数に基づいて、前記走行開始地点から前記スプリット地点におけるスプリットピッチを算出すると共に、前記目標スプリット距離、目標スプリット時間及びスプリットピッチに基づいて、前記走行開始地点からスプリット地点における目標スプリット歩幅を算出して前記記憶手段に記憶し、
前記表示手段は、更に、前記記憶手段に記憶した前記歩行測定動作におけるスプリット歩幅と目標スプリット歩幅との差を表すように履歴表示することを特徴とする請求項3記載の歩数計。
【請求項5】
前記表示手段にラップ表示を行うように選択するためのラップ表示選択手段と、
ラップ区間の既知のラップ距離を設定するラップ距離設定手段と、
前記ラップ区間を指定する地点でラップ操作を行うラップ操作手段とを有し、
前記算出手段は、前記ラップ操作が行われたときに該ラップ区間におけるラップ歩数を算出し、前記ラップ距離と前記ラップ歩数に基づいて前記ラップ区間におけるラップ歩幅を算出し、
前記記憶手段は、前記ラップ距離、ラップ歩数及びラップ歩幅を記憶し、
前記表示手段は、ラップ表示選択手段によってラップ表示が選択された場合、前記記憶手段に記憶した前記歩幅測定動作におけるラップ歩幅を履歴表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の歩数計。
【請求項6】
前記目標値設定手段が設定する前記目標距離及び目標時間として、目標ラップ距離及び前記目標ラップ距離を走行する目標ラップ時間が設定され、
前記算出手段は、更に、前記計時手段が計時したラップ経過時間及び前記ラップ歩数に基づいて、前記ラップ区間におけるラップピッチを算出すると共に、前記目標ラップ距離、目標ラップ時間及びピッチに基づいて前記ラップ区間における目標ラップ歩幅を算出して前記記憶手段に記憶し、
前記表示手段は、更に、前記記憶手段に記憶した前記ラップ区間におけるラップ歩幅と目標ラップ歩幅との差を表すように履歴表示することを特徴とする請求項5記載の歩数計。
【請求項7】
前記表示手段は、前記各歩幅の履歴、又は、前記歩幅と目標歩幅との差が解るような内容の履歴をグラフ表示することを特徴とする請求項1又は6のいずれか一に記載の歩数計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−191048(P2008−191048A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27012(P2007−27012)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】