説明

歩行器、及びこれに取り付けられるキャスターユニット

【課題】ブレーキ操作によって車輪の回転軸に直接荷重が作用するのを防止できる歩行器、およびこれに用いられるキャスターユニットを提供する。
【解決手段】一対の前脚11aと、これら一対の前脚を連結する少なくとも1つの連結部材と、一対の後脚と、これら一対の前脚と後脚とをそれぞれ前後方向に連結し、使用者の手で把持可能な一対の把持部材と、一対の前脚、及び一対の後脚の、少なくとも一方の脚に取り付けられるキャスターユニット5と、を備え、キャスターユニットは、脚に取り付けられる押圧部材52と、押圧部材の下方に配置される車輪53と、車輪を回転自在に支持する支持部材56と、脚の下端部と支持部材との間に配置され、上下方向に伸縮する弾性部材57と、を備え、弾性部材の収縮により押圧部材が車輪を押圧可能になる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行器、及びこれに取り付けられるキャスターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、歩行器は、病人が社会復帰するためのリハビリや、老人の歩行補助などに使用されている。このような歩行器としては、種々の形態のものが提案されているが、例えば、特許文献1に記載のものがある。この歩行器は、脚の下端部に車輪を設け、車輪の回転により使用者の歩行を補助するようにしている。ところで、歩行器に車輪を設けると、歩行器が移動し続けることがあるため、使用者が歩行をコントロールし難い場合がある。そこで、特許文献2に記載の歩行器では、車輪の回転軸上にコイルバネを配置し、このコイルバネで脚を上方に向けて付勢するように構成している。この構成において、使用者が歩行器を下方に押圧すると、脚がコイルバネに抗して下方に押し遣られ、床面に当接するようになっている。これにより、脚の下端部と床面との間に摩擦力が生じ、車輪の回転を制動するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−101939号公報
【特許文献2】実開平3−104333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2の歩行器では、コイルバネによる荷重が車輪の回転軸に直接作用するため、強度的に問題があった。すなわち、ブレーキ操作を繰り返し、回転軸に多数回に亘っての荷重が作用すると、回転軸が損傷し、車輪の回転に影響を及ぼすおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ブレーキ操作によって車輪の回転軸に直接荷重が作用するのを防止できる歩行器、およびこれに用いられるキャスターユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明に係る歩行器は、一対の前脚と、前記一対の前脚を連結する少なくとも1つの連結部材と、一対の後脚と、前記一対の前脚と後脚とをそれぞれ前後方向に連結し、使用者の手で把持可能な一対の把持部材と、前記一対の前脚、及び前記一対の後脚の、少なくとも一方の脚に取り付けられるキャスターユニットと、を備え、前記キャスターユニットは、前記脚に取り付けられる押圧部材と、前記押圧部材の下方に配置される車輪と、前記車輪を回転自在に支持する支持部材と、前記脚の下端部と前記支持部材との間に配置され、上下方向に伸縮する弾性部材と、を備え、前記弾性部材の収縮により前記押圧部材が前記車輪を押圧可能に構成されている。
【0007】
この構成によれば、脚に押圧部材が設けられ、その下方に車輪が配置されている。そして、車輪を回転自在に支持する支持部材と、脚の下端部との間に、弾性部材が設けられ、この弾性部材が伸縮することにより、車輪と押圧部材との間の距離が変化するようになっている。そのため、使用者が把持部材を押圧し、脚に対して下向きの荷重を作用させた場合には、押圧部材が、その下方に配置されている車輪の外周面を押圧するため、車輪の回転を制動することができる。このとき、脚に作用した荷重は、脚から弾性部材を経て支持部材に作用するようになっている。したがって、車輪の回転軸に直接荷重が作用するのを防止することができ、脚からの荷重により車輪が直接的に損傷するのを防止することができる。なお、押圧部材は、脚に直接取り付けてもよいし、他の部材を介して脚に取り付けられていてもよい。また、弾性部材は、車輪と押圧部材との間の長さを調整できるものであればよく、例えば、コイルバネのほか、種々のバネを取り付けることができる。また、弾性部材が配置される「脚の下端部」とは、脚の最下端のみならず、その近傍も含まれる。
【0008】
上記歩行器においては、脚の軸線上に、押圧部材、車輪の回転軸が配置されるようにすることができる。こうすることで、脚に荷重が作用した場合、車輪の回転軸に向けて、押圧部材が車輪の外周面に接触するため、荷重を効率よく車輪に作用させることができる。その結果、制動効果を向上することができる。
【0009】
また、上述したように、弾性部材は、脚の下端部に直接設けることができるほか、他の部材を介して脚の下端部に取り付けることもできる。例えば、脚に取り付けられ、当該脚の軸線から径方向外方に突出する突出部を有する固定部材をさらに設けることができ、この固定部材の突出部と支持部材との間に、弾性部材を配置することができる。このようにすると、脚に作用した荷重は、径方向外方に逃された後、弾性部材を介して支持部材に作用するため、荷重が車輪に直接作用するのをさらに確実に防止することができる。
【0010】
このとき、支持部材を、弾性部材の下端部から車輪の回転軸に向けて斜め下方に延ばし、車輪の回転軸を、脚の軸線上に配置することができる。このようにすると、支持部材が車輪の回転軸に対して、斜めに取り付けられているため、支持部材から回転軸に対して作用する力を斜めに逃がすことができ、回転軸への負荷をさらに軽減することができる。また、脚に作用する荷重が車輪の回転軸に向けて、押圧部材が車輪の外周面に接触するため、荷重を効率よく車輪に作用させることができる。その結果、制動効果を向上することができる。
【0011】
また、上記歩行器においては、脚に対して上下動可能に支持される軸部材をさらに設け、この軸部材の下端部を、支持部材に連結し、弾性部材を、軸部材に巻回するコイルバネで構成することができる。この構成により、脚と支持部材とが軸部材によって強固に連結されるため、キャスターユニットの強度が向上し、安定性を増すことができる。なお、軸部材は、脚に対して直接取り付けることもできるし、例えば、上述した固定部材のような他の部材を介して脚に取り付けることもできる。
【0012】
また、第2の本発明は、歩行器の脚に取り付けられるキャスターユニットであって、前記脚の下端部に取り付けられ、当該脚の軸線から径方向外方に突出する突出部を有する固定部材と、前記固定部材に取り付けられ、前記脚の軸線上で下方に突出する押圧部材と、前記押圧部材の下方に配置される車輪と、前記車輪を回転自在に支持する支持部材と、前記固定部材の突出部と支持部材との間に配置され、上下方向に伸縮する弾性部材と、を備え、前記弾性部材の収縮により前記押圧部材が前記車輪を押圧可能に構成されている。
【0013】
この構成によれば、脚に取り付けられる固定部材に、車輪が支持される支持部材、及び弾性部材が取り付けられているため、固定部材を脚に着脱するだけで、キャスターユニットを歩行器に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る歩行器およびキャスターユニットによれば、ブレーキ操作によって車輪の回転軸に直接荷重が作用するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る歩行器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の歩行器の後脚の一部拡大図である。
【図3】図1の歩行器に設けられるキャスターユニットの側面図である。
【図4】図3のキャスターユニットの動作を説明する側面図である。
【図5】図3のキャスターユニットの他の例を示す側面図である。
【図6】図3のキャスターユニットの他の例の示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の歩行器の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る歩行器の斜視図である。なお、以下の説明では、左右対称な部材に対しては、その一方のみの符号を付して説明することがある。すなわち、左右対称な部材には、図面においてa,bを付しているが、以下の説明では、主として符号aが付された一方の部材について説明する。
【0017】
図1に示すように、この歩行器は、左右一対の脚フレーム1a,1bを備えており、これらが水平方向に延びる連結フレーム2,及び伸縮部材3で連結されている。各脚フレーム1a,1bは、逆U字型に形成されており、上下方向に延びる棒状の前脚11a,11bと後脚12a,12bが、これらの上端部で水平に延びる棒状の把持部13a,13bにより連結されることで一体的に形成されている。そして、各前脚11a,11bの下端部には、車輪を含むキャスターユニット5が取り付けられている。また、各把持部13a,13bには、クッション性のある把持グリップ14a,14bが取り付けられており、使用者が把持できるようになっている。さらに、各脚フレーム1a,1bにおいて、前脚11a,11bと後脚12a,12bの中間部は、水平方向に延びる棒状の補助部材15a,15bで連結されている。
【0018】
連結フレーム2は、各脚フレーム1a,1bの前脚11a,11bの外周を覆う筒状の支持部材21a,21bと、両支持部材21a,21bを連結し,水平方向に延びる棒状の2本の連結部材22,23とで構成されている。各支持部材21a,21bは、各前脚11a,11bの周囲を覆っているだけで固定はされていないため、各前脚11a,11bは、支持部材21a,21bに対して軸周りに回転可能となっている。これにより、各脚フレーム1a,1bは、連結フレーム2に対して折り畳み可能となっている。また、各支持部材21a,21bには水平方向に延びる切り欠き部211a,211bが形成されており、この切り欠き部211a,211bには、前脚11a,11bに形成された突起115a,115bが内側から嵌っている。各切り欠き部211a,211bは、支持部材21a,21bの外周面の前側から外回りに約90度に渡って形成されている。これにより,各脚フレーム1a,1bは、連結フレーム2に対し,平面視で90度以上の角度を形成しない範囲で回転可能となっている。後述するように、伸縮部材3は使用時に長さが固定されるため、各脚フレーム1a,1bは、使用時において連結フレーム2及び伸縮部材3に対し90度の角度を維持するようになっている。
【0019】
また、各前脚11a,11bには、軸方向において支持部材21a,21bよりも上方にリング状のストッパ16a,16bが固定されており、上述した支持部材21a,21bは、各前脚11a,11bの軸方向において、補助部材15a,15bとストッパ16a,16bとの間に配置されている。これにより、前脚に対する連結フレームの軸方向の位置が決められている。
【0020】
伸縮部材3は、平面視でU字型に形成されており、その両端が各脚フレーム1a,1bの把持部13a,13bの前端部に取り付けられている。伸縮部材3は、L字型の第1片31と第2片32とが左右方向の中央付近で連結されることで形成されている。第2片32は第1片31の外径よりも大きい筒状に形成されており、第1片31が嵌るようになっている。第1片31の外周面には、バネによって径方向外方に付勢された突出部材34が設けられており、この突出部材34は、第2片32に設けられた貫通孔に係止するようになっている。図1に示す使用状態では、突出部材34が貫通孔に係止しており、これによって、第1片31が第2片32に位置決めされ、伸縮部材3の左右方向の長さが固定される。一方、収納時に突出部材34を押し込んで貫通孔との係止状態を解除すると、第1片31を第2片32の内部に押し込んで伸縮部材3の長さを短くすることができる。また、伸縮部材3の左右の両端には、上下方向に延びる軸部材33が取り付けられており、この軸部材33は、把持部13a,13bの前端部の下面に取り付けられている。これにより、伸縮部材3は、把持部13a,13bに対して、軸部材33周りに回転可能になっている。
【0021】
次に、各脚の構成について説明する。ここでは、後脚を例に、図2も参照しつつ説明する。図2は、後脚の一部拡大図である。図2に示すように、各後脚12aは、棒状の主軸部121aと、その下端部に取り付けられた棒状の調整部122aとを備えている。主軸部121aは、後脚12aのうち、把持部13aから補助部材15aのやや下方まで延びる部分であり、下端部に調整部122aを固定するための固定片123aが取り付けられている。一方、調整部122aは、棒状の基部1221aと、この基部1221aの外周面に嵌る筒状の可動部1222aとで形成されている。基部1221aの外周面には、径方向に突出する突出部材1223aが取り付けられている。突出部材1223aは、バネなどで径方向外方に付勢されており、押し込むと、基部1221aの内部に入り込むようになっている。一方、可動部1222aの外周面には、軸方向に沿って所定間隔をおいて複数の貫通孔1224aが形成されている。そして、可動部1222aが基部1221aに嵌まると、突出部材1223aは、可動部1222aのいずれかの貫通孔1224aに係止するようなっている。これにより、可動部1222aは、基部1221aに対して軸方向に位置決めされる。そして、突出部材1223aを所望の貫通孔1224aに係止させることで、可動部1222aの軸方向の位置を調整することができる。上記のような後脚12a,12bの構成は、前脚11a,11bも同じであり、軸方向に長さを調整することができる。
【0022】
次に、前脚11a,11bに取り付けられたキャスターユニット5について、図3も参照しつつ説明する。図3は、前脚下端部のキャスターユニットの側面図である。同図に示すように、各前脚11a,11bの下端部、つまり調整部112a、112bの下端部には、キャスターユニット5が取り付けられている。キャスターユニット5は、前脚11aの下端部に取り付けられ、前脚11aの軸線Xから径方向外方に延びる固定部材51を備えている。固定部材51は、前脚11aの下端に取り付けられる基部511と、この基部511から径方向外方に延びる突出部512とで構成されており、基部511の下面には、前脚11aの軸線Xに沿って下方に延びる押圧部材52が取り付けられている。押圧部材52は、後述するように、車輪53の外周面に接触して制動を行うものであり、耐摩耗性のゴムなどで形成されている。一方、固定部材51の突出部512には貫通孔513が形成されており、この貫通孔513には、下方に延びる軸部材54が上下動可能に挿入されている。軸部材54の上部には、貫通孔513よりも大径の環状のストッパ55が取り付けられており、軸部材54が固定部材51から下方へ脱落するのを防止している。また、軸部材54の下端部には、車輪53を支持する支持部材56が取り付けられている。支持部材56は前脚11aの軸線Xに向かって斜め下方へ延びており、その下端部に車輪53が取り付けられている。車輪53には、前脚11aの軸線X上に位置するように回転軸531が取り付けられており、この回転軸531が軸受けを介して支持部材56の下端部に回転自在に取り付けられている。
【0023】
また、固定部材51の突出部512と支持部材56の上端部との間には、軸部材54の外周面に巻き付けられたコイルバネ57が配置されている。このバネ57は、通常の状態、つまり負荷がかからない状態で歩行器を支えているときには、図3に示すように、押圧部材52と車輪53との間に隙間dを形成するように圧縮されている。一方、使用者が歩行器に対して下向きの荷重を作用させた場合には、コイルバネ57がさらに圧縮し、押圧部材52が車輪53の外周面に接触するようになっている。
【0024】
一方、後脚11aには、キャスターユニットは取り付けられておらず、図2に示すように、ゴムなどで形成された滑り止め126aが取り付けられている。
【0025】
続いて、上記のように構成された歩行器の動作について、図4も参照しつつ説明する。上記のように、通常の使用状態では、図3に示すように、押圧部材52と車輪53との間に隙間dが形成されているため、車輪53は回転可能となっている。この状態で、使用者は両脚フレーム1a,1bの間に入り、把持部13a,13bの把持グリップ14a,14bを握る。そして、歩行器を前方に押せば、車輪53の回転により使用者は歩行器とともに前進する。歩行中、使用者が把持グリップ14a,14bを下方に押圧すれば、その荷重が前脚11a,11bに伝達されるため、キャスターユニット5のコイルバネ57が圧縮され、図4に示すように、押圧部材52が車輪53の外周面に当接し、車輪53の回転を制動する。これにより、歩行器が停止される。
【0026】
続いて、歩行器の収納方法について、説明する。歩行器を収納する場合には、まず、伸縮部材3の突出部材34を押し込み、第1片31と第2片32の固定状態を解除する。これに続いて、右側の脚フレーム1bを連結フレーム2とほぼ平行になるように折り畳む。このとき、脚フレーム1bの前脚11bは、連結フレーム2の支持部材21bの軸周りに回転するので、前脚と一体成形された把持部13b及び後脚12bは、前脚11bとともに旋回する。また、伸縮部材3は、第1片31が第2片32の中に入り込みながら長さが短くなっていく。第2片32は軸部材33周りに脚フレーム1bに対して回転可能であるため、脚フレーム1bは、伸縮部材3の長さが短くなるのに伴って折り畳まれる。右側の脚フレーム1bが折り畳まれると、同様にして、左側の脚フレーム1aも折り畳み、右側の脚フレーム1bに重ねる。こうして、歩行器はコンパクトに折り畳まれ,収納状態となる。
【0027】
以上のように、本実施形態によれば、脚から径方向外方に突出した固定部材51が設けられ、この固定部材51にコイルバネ57及び支持部材56を介して車輪53が設けられている。そのため、使用者が把持部材13a,13bを下方に押圧すると、前脚11a,11bに作用した荷重は、前脚11a,11bから固定部材51を介して径方向外方に逃がされた後、支持部材56を経て車輪53に作用するようになっている。したがって、荷重は支持部材56に作用するため、車輪53の回転軸531に直接荷重が作用するのを防止することができる。その結果、脚からの荷重により車輪53が直接的に損傷するのを防止することができる。
【0028】
また、上記のようなキャスターユニット5は、前脚11a,11bに取り付けられる固定部材51に、車輪53が支持される支持部材56、及びコイルバネ57が取り付けられているため、固定部材51を脚に着脱するだけで、キャスターユニット5を歩行器に取り付けることができる。すなわち、上記のようなキャスターユニット5を単体で準備しておけば、車輪53が設けられていない歩行器に簡単に取り付けることができる。
【0029】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、前脚、把持部、及び後脚を脚フレームとして一体的に形成しているが、これに限定されるものではなく、3つの部材である前脚、把持部材、後脚を組み合わせてもよい。
【0030】
また、上記実施形態では、固定部材51に、押圧部材52及び支持部材56を取り付けているが、図5に示すように、固定部材51を脚11aの外周面に取り付け、脚11aの下端部に押圧部材52を直接取り付けることもできる。また、車輪53は、回転軸531が脚の軸線X上にあるように配置されているが、コイルバネ57が縮んだときに押圧部材52が車輪53に当接し制動可能な位置であれば、特には限定されない。
【0031】
また、図6に示すように、固定部材51を軸体80を介して脚11に回転自在に取り付けることもできる。これにより、キャスターユニット5は、軸線X周りに回転可能に脚に取り付けられるため、歩行器の向きを容易に変更することができる。このような変更は、図5の場合も同じであり、固定部材51を脚の外周面に対して回転可能に取り付けることもできる。
【0032】
また、上記実施形態では、固定部材51を介して脚にコイルバネ57が取り付けられているが、固定部材を用いずに脚にコイルバネ57を直接取り付け、その下端部に支持部材56を取り付けることできる。また、押圧部材52も車輪53を押圧できる形態であれば、特には限定されず、脚の下端部に取り付ける以外に、脚と平行に延びるような形態であってもよい。この点は、軸部材54についても同様であり、脚に対して直接取り付けることもできる。
【0033】
上記実施形態では、前脚11a,11bにキャスターユニット5を設けているが、すべての脚にキャスターユニットを設けることもできる。このとき、図6に示すように、全ての脚に対してキャスターユニット5を回転可能に取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0034】
11a,11b 前脚
12a,12b 後脚
13a,13b 把持部材(把持部)
22,23 連結部材
5 キャスターユニット
51 固定部材
52 押圧部材
53 車輪
531 回転軸
54 軸部材
56 支持部材
57 コイルバネ(弾性部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の前脚と、
前記一対の前脚を連結する少なくとも1つの連結部材と、
一対の後脚と、
前記一対の前脚と後脚とをそれぞれ前後方向に連結し、使用者の手で把持可能な一対の把持部材と、
前記一対の前脚、及び前記一対の後脚の、少なくとも一方の脚に取り付けられるキャスターユニットと、
を備え、
前記キャスターユニットは、
前記脚に取り付けられる押圧部材と、
前記押圧部材の下方に配置される車輪と、
前記車輪を回転自在に支持する支持部材と、
前記脚の下端部と前記支持部材との間に配置され、上下方向に伸縮する弾性部材と、
を備え、
前記弾性部材の収縮により前記押圧部材が前記車輪を押圧可能に構成されている、歩行器。
【請求項2】
前記脚の軸線上に、前記押圧部材、前記車輪の回転軸が配置されている、請求項1に記載の歩行器。
【請求項3】
前記脚に取り付けられ、当該脚の軸線から径方向外方に突出する突出部を有する固定部材をさらに備えており、
前記固定部材の突出部と支持部材との間に、前記弾性部材が配置されている、請求項1または2に記載の歩行器。
【請求項4】
前記支持部材は、弾性部材の下端部から前記車輪の回転軸に向けて斜め下方に延びており、前記車輪の回転軸は、前記脚の軸線上に配置されている、請求項3に記載の歩行器。
【請求項5】
前記脚に対して上下動可能に支持される軸部材をさらに備えており、
前記軸部材の下端部は、前記支持部材に連結され、
前記弾性部材は、前記軸部材に巻回するコイルバネで構成されている、請求項1から4のいずれかに記載の歩行器。
【請求項6】
歩行器の脚に取り付けられるキャスターユニットであって、
前記脚の下端部に取り付けられ、当該脚の軸線から径方向外方に突出する突出部を有する固定部材と、
前記固定部材に取り付けられ、前記脚の軸線上で下方に突出する押圧部材と、
前記押圧部材の下方に配置される車輪と、
前記車輪を回転自在に支持する支持部材と、
前記固定部材の突出部と支持部材との間に配置され、上下方向に伸縮する弾性部材と、
を備え、
前記弾性部材の収縮により前記押圧部材が前記車輪を押圧可能に構成されている、キャスターユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−115437(P2012−115437A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267380(P2010−267380)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(390006921)ナカバヤシ株式会社 (58)