説明

歩行型農作業機

【課題】
耕耘装置の深さ調節を行なうための尾輪の高さ調節と耕耘装置の後方を覆うリヤカバーと尾輪との間に設けた保護部材を一体的に回動させることで操作性の向上を行なうようにする。
【解決手段】
耕耘装置5を装着した歩行型農作業機において、該耕耘装置5の後方に広幅状のリヤカバー25を前後に揺動自在に垂設すると共に、前記リヤカバー25と耕耘装置5の間に尾輪26を上下動及び回動自在に設けると共に、リヤカバー25の内方にリヤカバー25が尾輪26に接触するのを防止する保護部材40を、尾輪26と一体的に上下動及び回動自在に装着し、また、保護部材40を尾輪26上方で該尾輪26の外周に略沿うように装着し、保護部材40に尾輪26の回動を所定角度に規制する回動規制部を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘装置を装着した歩行型農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に耕耘装置の背後には、泥よけのためゴム垂れカバーが耕耘装置及び尾輪を隠すようにして取付けられている。
【0003】
そのため、耕耘装置を上方へ引き上げて旋回する際に、ゴム垂れカバーが耕耘装置や尾輪に接触して破損してしまうことがある。
【0004】
そこで、耕耘装置のカバーの内側で且つ尾輪の直後方に、耕耘幅にマッチするガードを、尾輪の取付軸の嵌挿筒に上下調節可能に取り付けたものがある。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特許第2903203号公報(図1、図2)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記したロータリにおける巻込み防止装置(特許文献1)では、ゴム垂れカバーがロータリに巻き込まれて破損するのを防止する手段はガードで構成されているが、ロータリの深さ調節をする際には尾輪の高さを上下調節するが、その際に、ガードの高さ位置を別途調節しなければ尾輪がガードと接触する恐れが有り、ガードによって尾輪が回転しなくなってしまうという問題があり、尾輪の高さを上下調節する時にはガードの高さ位置も別途調節しなければならず調整作業が大変面倒であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、耕耘装置を装着した歩行型農作業機において、耕耘装置を装着した歩行型農作業機において、該耕耘装置の後方に広幅状のリヤカバーを前後に揺動自在に垂設すると共に、前記リヤカバーと耕耘装置の間に尾輪を上下動及び回動自在に設けると共に、リヤカバーの内方にリヤカバーが尾輪に接触するのを防止する保護部材を、尾輪と一体的に上下動及び回動自在に装着したことを特徴とする歩行型農作業機を提供せんとするものである。
【0007】
また、保護部材を尾輪上方で該尾輪の外周に略沿うように装着した歩行型農作業機を提供せんとするものである。
【0008】
そして、保護部材に尾輪の回動を所定角度に規制する回動規制部を設けた歩行型農作業機を提供せんとするものである。
【発明の効果】
【0009】
耕耘装置の深さの調節を必要とした場合において、尾輪の高さ調節と保護部材の調節を一度の操作によって行なうことが出来、作業能率が向上した。
【0010】
また、機体を旋回させる際に機体を持ち上げた場合には、尾輪と一緒に保護部材を尾輪上方で該尾輪の外周に略沿うように装着したので、保護部材によって尾輪を保護することが出来た。
【0011】
そして、機体を旋回させる際に機体を持ち上げた場合に、尾輪の必要以上の回動を規制する回動規制部を設けたことによって、尾輪を常に最適な角度に維持することが出来るようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0013】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用される歩行型農作業機である管理機1の側面図であって、管理機1は、機体フレームを構成する側面視で略ヘ字状のミッションケース2が略中央に配設されており、このミッションケース2の前側下部に車軸3を軸架して走行車輪4を取付ける一方、ミッションケース2の後側下部には耕耘装置5の耕耘軸6を横架すると共に、該耕耘軸6の周囲に複数本の耕耘爪7を植設している。
【0014】
また、ミッションケース2の前方に取付けたエンジンフレーム8上にエンジン9が載置されており、このエンジン9の一側に配設したベルトカバー10内に設けられている図示しないプーリー、ベルト等を介して、エンジン9の駆動力をミッションケース2内の変速機構に伝え、該変速機構を介して変速された動力を走行車輪4や耕耘装置5に伝動するように構成してある。
【0015】
50は燃料タンクであり、50aは燃料タンク50の上方に取付けられているキャップを示しており、キャップ50aは、燃料タンク50に燃料を供給する時に燃料タンク50から外した際に図6に示すようにエンジンフレーム8の前方に一段乃至は二段に取付けられたバランスウェイト51a、51bの51bの凹部51cに載置しておくことで、キャップ50aが紛失するのを未然に防止している。
また、バランスウェイト51a、51bのエンジンオイルEの排出口9a側は図6(a)に示すように切欠部Xを設けることで、ウェイト51a、51bにエンジンオイルEがかからないようにしている。
さらに、図7に示すようにエンジンオイルEの排出口9aの下方には、オイルEを誘導案内する通路9bが側方へ向かって伸びているので、オイルEは通路9bを伝わって地面に置かれた容器52に落下するようになっている。
【0016】
また、ミッションケース2の上部には、後方に向けてハンドル11が延出してあり、このハンドル11をオペレータが把持した状態で管理機1を走行させながらロータリ耕耘装置5を回転させることによって、耕耘作業を行なうことができるようになっている。
尚、ハンドル11には、操作具としてメインクラッチレバー12が設けてあり、このメインクラッチレバー12を操作することによって、エンジン11とミッションケース2との間に介設した図示しないテンションクラッチ機構を介して、エンジン11とミッションケース3間の動力の断接がなされる。
尚、サイドクラッチレバー11bから離れた位置で補助ループハンドル11aの中央付近にはハンドル上下調節レバー13が取付けられており、該レバー13を操作することによってワイヤ13aが引っ張られてアウタ13bが操作されてハンドル11が上下方向に回動自在に構成されている。
従って、サイドクラッチレバー11bとハンドル上下調節レバー13とが双方に離れているので互いに間違えて操作することがなくなる。
【0017】
そして、耕耘装置5の上方を覆うロータリカバー21は側面視で湾曲状に形成されると共に、このロータリカバー21の中央に一体的に固着したロータリフレーム22を介してミッションケース2に螺設してある。また、ロータリカバー21の左右両側には、サイドカバー23を付設すると共に、ロータリカバー21の前後には、耕耘装置5から放擲される耕耘土壌の飛散を防止する硬質製ゴムの飛散防止カバーであるフロントカバー24と広幅状のリヤカバー25を取付けている。リヤカバー25は、固着具であるボルト25aによって前後揺動自在にロータリカバー21に取付けられている。尚、ロータリフレーム22の後端で耕耘装置5とリヤカバー25の間には、深浅調節用の尾輪26を設けている。
【0018】
また、ロータリフレーム22の後端に設けられている尾輪26は、図4、図5に示すように、ハンドル27の回転操作により高さ調節できるようになっており、その高さ調節機構は、ハンドル27に設けた昇降螺子28に尾輪26を軸支する螺子筒29を螺挿すると共に、この螺子筒29を上下に内嵌させた支持筒30等から構成されている。
そして、尾輪26は、図5(b)に示すように尾輪26の回転中心から上方に向かって逆U字状に形成された取付ブラケット26aを有すると共に、取付ブラケット26aに尾輪26が軸26bを中心に回転するよう取付けられている。
該ブラケット26aの上方の軸26cには外周に凹部26dが形成され、螺子筒29の下端に押ボルト26eによって螺子筒29に対して所定範囲で回動自在に取付けられていると共に、尾輪26を有する取付ブラケット26aの螺子筒29から脱落するのを防止している。
【0019】
また、取付ブラケット26aには、図4(a)、図5(a)に示すように平面視U字状で端部40a(回動規制部)が上方へ折り曲げられた棒状部材40(保護部材)が尾輪26上方で該尾輪26の外周に略沿うように取付けられており、取付ブラケット26aの上方には棒状部材40が固着されて取付けられており、尾輪26の取付ブラケット26aが昇降及び回動するのに合わせて、棒状部材40も一緒に昇降及び回動するように構成されている。
そして、図4(b)に示すように、棒状部材40の後方にはリヤカバー25が位置しており、棒状部材40によってリヤカバー25が尾輪26に接触して巻き込まれるのを防止している。
次に、図5(b)に示すように、機体を旋回させるべくハンドル11を若干持ち上げると尾輪26が旋回方向を向くように回動するが、その時にも、棒状部材40も一体的に回動はするが、その時、リヤカバー25は耕耘装置5や尾輪26に接触しないように構成されている。
また、螺子筒29の下端外周の一部分には突状部材41が設けられており、上述した尾輪26が取付ブラケット26aと一体的に回動した際に、棒状部材40も一緒に回動して約90°回動すると図5の状態に示すように突状部材41に棒状部材40の端部40aが接当して尾輪26のそれ以上の回動を規制するように構成している。
尚、本実施例では保護部材40を棒状部材で構成しているが、棒状部材に限らず板状部材でも何ら構わないものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る耕耘装置付き管理機の側面図である。
【図2】本発明に係る耕耘装置付き管理機の平面図である。
【図3】(a)はハンドルの平面図である。 (b)はハンドルの側面図である。
【図4】(a)は尾輪が進行方向を向いた状態を示す要部側面図である。 (b)は(a)の矢印Aより見た尾輪部分の概略平面図である。
【図5】(a)は尾輪が進行方向に対して直角方向を向いた状態を示す要部側面図である。 (b)は(a)の矢印Bより見た尾輪部分の概略平面図である。
【図6】(a)はエンジン廻りを示す平面図である。 (b)はエンジン廻りを示す側面図である。
【図7】エンジンからエンジンオイルを抜き取る状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 管理機
5 耕耘装置
25 リヤカバー
26 尾輪
40 棒状部材(保護部材)
40a 端部(回動規制部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘装置を装着した歩行型農作業機において、該耕耘装置の後方に広幅状のリヤカバーを前後に揺動自在に垂設すると共に、前記リヤカバーと耕耘装置の間に尾輪を上下動及び回動自在に設けると共に、リヤカバーの内方にリヤカバーが尾輪に接触するのを防止する保護部材を、尾輪と一体的に上下動及び回動自在に装着したことを特徴とする歩行型農作業機。
【請求項2】
保護部材を尾輪上方で該尾輪の外周に略沿うように装着したことを特徴とする請求項1記載の歩行型農作業機。
【請求項3】
保護部材に尾輪の回動を所定角度に規制する回動規制部を設けたことを特徴とする請求項1乃至2記載の歩行型農作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−81417(P2006−81417A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267369(P2004−267369)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】