歩行者のためのボンネットエネルギー吸収体
エネルギー吸収システムは、後縁の空洞を画成する内側及び外側パネルを有するボンネットと、空洞内の一対のポリマーエネルギー吸収体とを備える。ボンネット及びエネルギー吸収体は、ボンネットが落ち込んで車両のプレナム部に達する前にエネルギーを吸収するように、衝突中に歩行者の頭部がボンネットと接触するときのHIC値を最小限に抑えるために調整される。エネルギー吸収体は、塗装炉工程又は電着工程を通過することに付随する高温に耐えることが可能である、高温ナイロンのようなポリマー材料から作製されるのが好ましい。例示されるエネルギー吸収体は、ハット形状の断面を有し、衝突時に最適な力−撓み曲線をもたらすように調整される十字交差するフランジを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のボンネットに関し、より詳細には、車両衝突に対する向上した歩行者安全性をもたらすように圧潰可能なエネルギー吸収体を組み込んだボンネットアセンブリに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、「歩行者のためのボンネットエネルギー吸収体(HOOD PEDESTRIAN ENERGY ABSORBER)」と題し且つ2010年3月5日付けで出願された米国仮出願第61/310,883号における米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張する。この出願の内容全体は参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
自動車との衝突時の歩行者の傷害を防止するか又は最低限に抑えるために、歩行者の頭部には、衝突時の頭部傷害基準(HIC)値の低減を受けることが望ましい。実際、その導入が進行中である歩行者衝突のための世界技術規則(GTR)がある。さらに、欧州及び日本の新車アセスメントプログラム(ユーロNCAP)も、このことに関して車両を評価している。
【0004】
しかしながら、向上した衝突時の歩行者安全性のためのいかなる変更によっても、車両の通常動作中及びボンネットが乗員安全性要件を満たさなければならない車両の正面衝突(front end impact)時も含め、ボンネット(すなわち「ボンネットアセンブリ」)の全体性能もボンネットの見た目(aesthetics)も悪影響を受けてはならない。それ故、そのようなHIC値又はGTR要件のいかなるものをも満たす方法に対して相反する要件が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様では、プレナム(plenum)構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のために、エネルギー吸収システムが提供される。このエネルギー吸収システムは、後縁付近に少なくとも1つの空洞を画成するボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルを含むボンネットを備え、さらに、上記少なくとも1つの空洞内に位置付けられ且つ非発泡ポリマー材料から作製される少なくとも1つのエネルギー吸収体を備える。エネルギー吸収体は、間隔をあけて配置された側壁を有し、これら側壁は、ボンネットの外側の層が車両のプレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する(bottom out)前に圧潰しエネルギーを吸収するように構成されている。
【0006】
下位概念の形態では、エネルギー吸収体は、塗装炉工程又は電着工程(e-coat process)を通って送られるときでも形状を維持するように、少なくとも摂氏200度の温度のときでも形状を維持することが可能なポリマー材料から作製される。
【0007】
本発明の別の態様において、ボンネット、プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のためのエネルギー吸収システムがある。ボンネットは、少なくとも1つの空洞を画成するボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルと、上記少なくとも1つの空洞内に位置付けられる少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体とを備え、このポリマーエネルギー吸収体は、歩行者の頭部がボンネットに接触するときのHIC値を、歩行者の頭部が車両のボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する前に歩行者への衝突中のエネルギーを吸収することによって、最小限に抑えるように構成されている。
【0008】
本発明の別の態様では、プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のために、エネルギー吸収システムが提供される。このエネルギー吸収システムは、少なくとも1つの空洞を画成するボンネット外側パネル及びボンネット内側パネルを含むボンネットと、ボンネット外側パネルの下に位置付けられ且つボンネットに取り付けられる少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体とを備え、このエネルギー吸収体は、歩行者と車両との事故時に歩行者の頭部によって生じるような上方よりの衝撃からのエネルギーを吸収するように構成され、ポリマー材料から作製される。
【0009】
本発明の別の態様では、車両のボンネットの頭部傷害基準(HIC)を最適化する方法が提供され、本方法は、間に少なくとも1つの空洞を画成するボンネット外側パネル及びボンネット内側パネルを有するボンネットを設けるステップと、衝撃を受けた時に圧潰しエネルギーを吸収するように構成された壁部を有する非発泡エネルギー吸収体を設けるステップとを含む。本方法はさらに、ボンネットアセンブリを形成するように、非発泡エネルギー吸収体を上記少なくとも1つの空洞内に配置し且つボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルをエネルギー吸収体と共に組み立てるステップと、HIC値に関して上記ボンネットアセンブリの衝突試験を行うステップと、エネルギー吸収体の壁部の1つ以上に弱化部位を形成することによってエネルギー吸収体に変更を加える(customize)ステップと、ボンネットを設けるステップ、エネルギー吸収体を設けるステップ、ボンネットを配置し且つ組み立てるステップ及び衝突試験を行うステップを繰り返すステップとを含む。
【0010】
本発明の別の態様では、車両のボンネットの頭部傷害基準(HIC)を最適化する方法が提供され、本方法は、組み立てられたときに少なくとも1つの空洞を画成すると共に車両のボンネット下硬質構造体を審美的に覆うように構成されるボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルを有するボンネットを設けるステップを含む。本方法はさらに、少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体をボンネットの下の場所でボンネットに取り付けるステップを含み、この場所では、エネルギー吸収体が存在することによって、衝突中に歩行者の頭部がボンネットと接触するときのHIC値が最小限に抑えられ、エネルギー吸収体は、歩行者の頭部が車両のボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する前に衝撃エネルギーを吸収するように構成される。
【0011】
本発明の目的は、ボンネットが車両のプレナム物体又は他の硬質物体に落ち込んで達する前にエネルギーを吸収するようにボンネットの内側及び外側の一方又は両方に取り付けられる、射出成形又は熱成形ポリマーエネルギー吸収体等のエネルギー吸収体を提供することである。
【0012】
本発明の目的は、歩行者の頭部がボンネット又はフェンダーの下にある硬い面又は硬い構造体に落ち込んで達する前に衝突中のエネルギーを吸収することによって、頭部がボンネット又はフェンダーと接触するときのHIC値を最小限に抑えるエネルギー吸収体を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、ボンネットの内側及び外側の間に挟まれた場合に車両のボンネットの頂部に対する衝撃からのエネルギーを吸収するように構成されるエネルギー吸収体を提供することであり、この場合、エネルギー吸収体は、塗装炉工程又は電着工程を通すことに付随する高温に耐えることが可能なポリマー材料から作製される。
【0014】
本発明のこれらの及び他の態様、目的及び特徴は、以下の明細書、特許請求の範囲及び添付の図面を検討すれば当業者によって理解及び認識されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】エンジンフードの後部の一部及び車両フロントガラスの一部を含む、車両の前端部の上面図である。
【図2】破線で示される歩行者の頭部を含む、車両の長さ方向線に沿った図1の側方図である。
【図3】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図4】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図5】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図6】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図7】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図8】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図9】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図10】ボンネットの上面図であり、ボンネットにおいて用いるためのエネルギー吸収体の複数の場所を示し且つ追加して用いられるエネルギー吸収体の複数の場所も示す図である。
【図11】ボンネットの斜視図であり、ボンネットにおいて用いるためのエネルギー吸収体の複数の場所を示し且つ追加して用いられるエネルギー吸収体の複数の場所も示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本装置20(図1〜図3)は、車両のプレナム部25付近(すなわち車両のフロントガラス26のすぐ前)のボンネットの内側パネル23と外側パネル24との間にある空洞30内に位置決めされたエネルギー吸収体22を有する車両ボンネット21を備えている。パネル23及び24は、一般的には、マスチック接着剤23’を用いて且つ/又は機械的手段(例えばボンネットの周縁に沿うヘムフランジ)によって結合され、このとき内側パネル23が美観及び機能のために外側パネル24を補剛する。歩行者の衝突中、歩行者がボンネット上に倒れる/転がると、歩行者の頭部27は、ボンネット21の後部付近でボンネット21に接触(engage)する可能性がある。衝突の力及びストロークは、引き起こされる傷害の程度に関係する。力のスパイク波形(force spike)の最大のものを制限し且つ衝突ストロークの距離及び衝突時間にわたって最適な抵抗のレベルをもたらすことによって、傷害の程度を軽減することができる。
【0017】
図2に示されるように、例示される内側パネル23及び外側パネル24は、ボンネット21の後部付近に右側及び左側の空洞30を画成する。エネルギー吸収体22は、空洞30内に収まるように構成され、そして、エネルギー吸収体22は、車両−歩行者の衝突中における歩行者の頭部からの下向きの衝撃を受ける間に圧潰するとボンネット内側パネル23及びボンネット外側パネル24と係合するように構成されている。なお、例示されるエネルギー吸収体22の断面形状は、このエネルギー吸収体22の上部、底部及び側部が空洞30を形成する隣接した表面及び構造と係合するように、空洞30の断面形状と概ね整合する。可能性として、エネルギー吸収体22の外周フランジは、図2のボンネットの外側部24付近に示されるような空洞30の楔形の縁の内側に部分的に位置付けられることがある。エネルギー吸収体22の側壁は、ボンネットの内側部23と外側部24との間において或る角度を有して、例えばボンネットの外側部24に対して45度〜90度の角度を有して延在する。エネルギー吸収体22、特に側壁は、衝突中、荷重のスパイク波形及び荷重のピークを最小限に抑えながら且つHIC値も最小限に抑えながらも最大限にエネルギーを吸収するようにして、1つ以上の場所でクシャクシャに潰れ且つ曲がるように位置決めされる。エネルギー吸収体22は、様々な材料から作製することができる。好ましい材料はナイロン(又は他の耐熱ポリマー)であり、この材料は、側壁が中実の塊体(solid mass)を有するように、射出成形による非発泡ポリマーである。
【0018】
エネルギー吸収体は、様々な構造を有するように変更が加えられることができ、且つ組み立てられたボンネットにおいて様々な機能、特徴、及び美的外観をもたらすように様々な材料から作製することができるということが、意図されている。例えば、エネルギー吸収体22(図3)は、長手方向の縁部フランジ34及び35と、長手方向の中間フランジ36と、横断方向のU字形をした「架橋(bridge)」フランジ37及び38とを含んでいる。端部に位置するフランジ37が他の架橋フランジ38よりも僅かに大きく作製されてもよいこと、そしてさらに、特定のフランジ34〜38が、特定のエネルギー吸収プロファイル及びエネルギー吸収機能をもたらすように方向が変えられてよいことがわかる。例えば、端部から離れて位置するフランジ38は、それらの端部付近に開口39を有している。エネルギー吸収体は、断面では、ハット(hat)形状の輪郭を画成し、このとき、比較的平坦な上部セクションがボンネット外側パネルに整合し、比較的湾曲した側部セクションが内側パネル及び外側パネルの間の空洞における変化する形状に整合し、外側に向かって延びる比較的平坦な縁部フランジが、内側パネル及び外側パネルが接合する狭まった特徴部に整合する。
【0019】
エネルギー吸収体22A(図4)は、縁部フランジ34A及び35Aと、3つの中間フランジ36Aと、ほぼ2倍の数の架橋フランジ37A及び38Aとを含んでいる。また、端部フランジ37Aは、前述の端部フランジ37よりも幅がかなり小さく、端部フランジ37Aは中間のフランジ38Aと同様の幅である。また、フランジ38Aは開口39Aを含んでいる。
【0020】
エネルギー吸収体22B(図5)は、フランジ34B〜38Bの断面サイズ、間隔及びサイズに関してエネルギー吸収体22と同様である。しかしながら、幾つかのフランジ38Bは、それらの上面につながる上側屈曲部付近に追加された開口40Bを有している。これらの開口40Bは、エネルギー吸収体22Bの中央領域付近におけるエネルギー吸収体22Bの衝撃強度を減少させる。
【0021】
エネルギー吸収体22C〜22H(図6〜図11)は、それらの外形及びプロファイルに関してエネルギー吸収体22〜22Bと同様であるが、開口部がより少なくなった側壁を含み、そのため、エネルギー吸収体22C〜22Hは、より大きい質量を有し且つ(以下で説明するように側壁の厚さ及び形状に応じて)より多くのエネルギーを吸収する能力を有している。具体的には、エネルギー吸収体22C(図6)は、ベース(上部)フランジ50Cと、側壁51Cと、底壁52Cとを含んでおり、このとき壁51C及び52Cがクラッシュボックスを形成している。なお、クラッシュボックスでは、壁51Cは、衝撃を受ける間に最適にエネルギー吸収するように多数の曲がり及び折れを伴って、衝撃を受ける間に潰れると共に圧壊し、その一方で、荷重のスパイク波形及び荷重のピークを最小限に抑える。エネルギー吸収体22D(図7)は、エネルギー吸収体22C(図6)と同様であり、同様の構成要素は、文字Dを用いていることを除いて同様に識別される。しかしながら、エネルギー吸収体22Dは、角部61D(すなわち側壁51D同士の接合場所)の上部及び底部に開口60Dを含んでいる。開口60Dを有する理由は、開口がゼロである場合、角部61Dが側壁51D自体を超えて梁強度を増大させ、それ故(歩行者の頭部がボンネットにぶつかる場所によっては)衝撃を受ける間に荷重のスパイク波形を生むことにつながる可能性があるためである。開口60Dを設けることによって、梁強度が減少し、そのため、クラッシュボックス全体が衝撃を受ける場所に関係なくより均一で予期される衝撃強度をもたらす。エネルギー吸収体22E(図8)は、左右の構成要素がストラップ(strap)62Eによって連結された左右の部品を形成していることを除き、エネルギー吸収体22C(図6)と同様であり、そのため、エネルギー吸収体22Eは、単一のユニットとして取り扱われ且つボンネットに組み付けることができる単一の構成要素として成形される。エネルギー吸収体22F(図9)は、エネルギー吸収体22Cの単一のクラッシュボックスと同じスペース内に形成された4つの隣接する(より小さくなった)クラッシュボックス63Fを有することを除き、エネルギー吸収体22Cと同様である。
【0022】
図10及び図11は、ボンネット外側パネルの下において、ボンネット内側パネルの開口部内に概して位置する複数のエネルギー吸収体22F、22G及び22Hを有するボンネット21Fを示している。例えば、エネルギー吸収体22Fは、ボンネット21Fの後縁に沿って(車両のプレナム部領域付近であるが、ボンネット内側パネルの後部付近の開口部内に)位置し、このとき、エネルギー吸収体22Gが、ボンネット外側パネルの下において、ボンネット内側パネルによって画成された下方に向かって開口する三角形の空洞(例えばエンジン又は他のボンネット下の硬質構造体の上方にある)の中に部分的に位置し、且つエネルギー吸収体22Hが、ボンネット21Fの前部において、ボンネット内側パネルの開口部(例えばフードラッチ付近又はラジエータを支持する車両のバルクヘッド構造部の上方にある)の中に位置決めされている。エネルギー吸収体22F、22G及び22Hの周囲のフランジは、エネルギー吸収体をボンネットアセンブリに取り付けられている状態に保つ。当然ながら、エネルギー吸収体のいずれも、ボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルの間の空洞の中に完全に入っていてもよいということも意図されている。
【0023】
例示されるエネルギー吸収体22は、それぞれが約35mm〜40mmの高さ、約92mmの幅、及び約365mmの長さである。エネルギー吸収体22A〜22Jは、これらが対象とする空洞内に収まるように必要に応じて同様にサイズ決めされる。例示されるように、ボンネット21は左右の空洞を形成しているが、自動車横断方向の単一の空洞が存在してもよいこと、及び、単一のエネルギー吸収体が完全に自動車を横断して延在してもよいことが意図されている。その代わりとして、例示される2つのエネルギー吸収体は、1つのユニットとして取り扱うことができるようにストラップ又は繋ぎ止め紐状体(tether)又は他の連結手段によって相互に連結されてもよいということが意図されている。例示されるエネルギー吸収体は、開いており且つ概して直交しない僅かに傾斜した複数の壁部によって形成される断面形状を有している。エネルギー吸収体の断面形状は、エネルギー吸収体が配置される空洞の断面形状に概ね整合するが、このことは機能的な面で必要とされなければ必ずしも必要とはされないということが意図されている。1つのアセンブリとして設計されたボンネット及びエネルギー吸収体は、HIC値を最小限に抑える力−たわみのプロファイルをもたらすように調整される。エネルギー吸収体はポリマー材料から作製されるのが好ましい。エネルギー吸収体が塗装の前にボンネットアセンブリに取り付けられる場合、エネルギー吸収体は、高温ナイロンのような、塗装炉工程又は電着工程を通過することに付随する高温に耐えることが可能であるポリマーから作製されることになる。しかしながら、材料は、金属、又は圧壊中にエネルギーを吸収する他の構造材料であってもよいということが意図されている。また、エネルギー吸収体をボンネットに接続するがエネルギー吸収体をボンネットの層同士の間に挟まないことの利点は、炉を通過する必要がなくなるということである。
【0024】
本発明の概念から逸脱することなく上述の構造に変形及び変更を加えることができるということは理解されるべきであり、さらに、そのような概念は添付の特許請求の範囲においてその文言によって別段に明記されなければ特許請求の範囲によって包含されると意図されていることが理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のボンネットに関し、より詳細には、車両衝突に対する向上した歩行者安全性をもたらすように圧潰可能なエネルギー吸収体を組み込んだボンネットアセンブリに関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、「歩行者のためのボンネットエネルギー吸収体(HOOD PEDESTRIAN ENERGY ABSORBER)」と題し且つ2010年3月5日付けで出願された米国仮出願第61/310,883号における米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張する。この出願の内容全体は参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0003】
自動車との衝突時の歩行者の傷害を防止するか又は最低限に抑えるために、歩行者の頭部には、衝突時の頭部傷害基準(HIC)値の低減を受けることが望ましい。実際、その導入が進行中である歩行者衝突のための世界技術規則(GTR)がある。さらに、欧州及び日本の新車アセスメントプログラム(ユーロNCAP)も、このことに関して車両を評価している。
【0004】
しかしながら、向上した衝突時の歩行者安全性のためのいかなる変更によっても、車両の通常動作中及びボンネットが乗員安全性要件を満たさなければならない車両の正面衝突(front end impact)時も含め、ボンネット(すなわち「ボンネットアセンブリ」)の全体性能もボンネットの見た目(aesthetics)も悪影響を受けてはならない。それ故、そのようなHIC値又はGTR要件のいかなるものをも満たす方法に対して相反する要件が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様では、プレナム(plenum)構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のために、エネルギー吸収システムが提供される。このエネルギー吸収システムは、後縁付近に少なくとも1つの空洞を画成するボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルを含むボンネットを備え、さらに、上記少なくとも1つの空洞内に位置付けられ且つ非発泡ポリマー材料から作製される少なくとも1つのエネルギー吸収体を備える。エネルギー吸収体は、間隔をあけて配置された側壁を有し、これら側壁は、ボンネットの外側の層が車両のプレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する(bottom out)前に圧潰しエネルギーを吸収するように構成されている。
【0006】
下位概念の形態では、エネルギー吸収体は、塗装炉工程又は電着工程(e-coat process)を通って送られるときでも形状を維持するように、少なくとも摂氏200度の温度のときでも形状を維持することが可能なポリマー材料から作製される。
【0007】
本発明の別の態様において、ボンネット、プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のためのエネルギー吸収システムがある。ボンネットは、少なくとも1つの空洞を画成するボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルと、上記少なくとも1つの空洞内に位置付けられる少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体とを備え、このポリマーエネルギー吸収体は、歩行者の頭部がボンネットに接触するときのHIC値を、歩行者の頭部が車両のボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する前に歩行者への衝突中のエネルギーを吸収することによって、最小限に抑えるように構成されている。
【0008】
本発明の別の態様では、プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のために、エネルギー吸収システムが提供される。このエネルギー吸収システムは、少なくとも1つの空洞を画成するボンネット外側パネル及びボンネット内側パネルを含むボンネットと、ボンネット外側パネルの下に位置付けられ且つボンネットに取り付けられる少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体とを備え、このエネルギー吸収体は、歩行者と車両との事故時に歩行者の頭部によって生じるような上方よりの衝撃からのエネルギーを吸収するように構成され、ポリマー材料から作製される。
【0009】
本発明の別の態様では、車両のボンネットの頭部傷害基準(HIC)を最適化する方法が提供され、本方法は、間に少なくとも1つの空洞を画成するボンネット外側パネル及びボンネット内側パネルを有するボンネットを設けるステップと、衝撃を受けた時に圧潰しエネルギーを吸収するように構成された壁部を有する非発泡エネルギー吸収体を設けるステップとを含む。本方法はさらに、ボンネットアセンブリを形成するように、非発泡エネルギー吸収体を上記少なくとも1つの空洞内に配置し且つボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルをエネルギー吸収体と共に組み立てるステップと、HIC値に関して上記ボンネットアセンブリの衝突試験を行うステップと、エネルギー吸収体の壁部の1つ以上に弱化部位を形成することによってエネルギー吸収体に変更を加える(customize)ステップと、ボンネットを設けるステップ、エネルギー吸収体を設けるステップ、ボンネットを配置し且つ組み立てるステップ及び衝突試験を行うステップを繰り返すステップとを含む。
【0010】
本発明の別の態様では、車両のボンネットの頭部傷害基準(HIC)を最適化する方法が提供され、本方法は、組み立てられたときに少なくとも1つの空洞を画成すると共に車両のボンネット下硬質構造体を審美的に覆うように構成されるボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルを有するボンネットを設けるステップを含む。本方法はさらに、少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体をボンネットの下の場所でボンネットに取り付けるステップを含み、この場所では、エネルギー吸収体が存在することによって、衝突中に歩行者の頭部がボンネットと接触するときのHIC値が最小限に抑えられ、エネルギー吸収体は、歩行者の頭部が車両のボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する前に衝撃エネルギーを吸収するように構成される。
【0011】
本発明の目的は、ボンネットが車両のプレナム物体又は他の硬質物体に落ち込んで達する前にエネルギーを吸収するようにボンネットの内側及び外側の一方又は両方に取り付けられる、射出成形又は熱成形ポリマーエネルギー吸収体等のエネルギー吸収体を提供することである。
【0012】
本発明の目的は、歩行者の頭部がボンネット又はフェンダーの下にある硬い面又は硬い構造体に落ち込んで達する前に衝突中のエネルギーを吸収することによって、頭部がボンネット又はフェンダーと接触するときのHIC値を最小限に抑えるエネルギー吸収体を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、ボンネットの内側及び外側の間に挟まれた場合に車両のボンネットの頂部に対する衝撃からのエネルギーを吸収するように構成されるエネルギー吸収体を提供することであり、この場合、エネルギー吸収体は、塗装炉工程又は電着工程を通すことに付随する高温に耐えることが可能なポリマー材料から作製される。
【0014】
本発明のこれらの及び他の態様、目的及び特徴は、以下の明細書、特許請求の範囲及び添付の図面を検討すれば当業者によって理解及び認識されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】エンジンフードの後部の一部及び車両フロントガラスの一部を含む、車両の前端部の上面図である。
【図2】破線で示される歩行者の頭部を含む、車両の長さ方向線に沿った図1の側方図である。
【図3】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図4】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図5】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図6】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図7】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図8】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図9】歩行者−車両の衝突に対するHICを最適化する様々なボンネットエネルギー吸収体のうちの1つの斜視図である。
【図10】ボンネットの上面図であり、ボンネットにおいて用いるためのエネルギー吸収体の複数の場所を示し且つ追加して用いられるエネルギー吸収体の複数の場所も示す図である。
【図11】ボンネットの斜視図であり、ボンネットにおいて用いるためのエネルギー吸収体の複数の場所を示し且つ追加して用いられるエネルギー吸収体の複数の場所も示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本装置20(図1〜図3)は、車両のプレナム部25付近(すなわち車両のフロントガラス26のすぐ前)のボンネットの内側パネル23と外側パネル24との間にある空洞30内に位置決めされたエネルギー吸収体22を有する車両ボンネット21を備えている。パネル23及び24は、一般的には、マスチック接着剤23’を用いて且つ/又は機械的手段(例えばボンネットの周縁に沿うヘムフランジ)によって結合され、このとき内側パネル23が美観及び機能のために外側パネル24を補剛する。歩行者の衝突中、歩行者がボンネット上に倒れる/転がると、歩行者の頭部27は、ボンネット21の後部付近でボンネット21に接触(engage)する可能性がある。衝突の力及びストロークは、引き起こされる傷害の程度に関係する。力のスパイク波形(force spike)の最大のものを制限し且つ衝突ストロークの距離及び衝突時間にわたって最適な抵抗のレベルをもたらすことによって、傷害の程度を軽減することができる。
【0017】
図2に示されるように、例示される内側パネル23及び外側パネル24は、ボンネット21の後部付近に右側及び左側の空洞30を画成する。エネルギー吸収体22は、空洞30内に収まるように構成され、そして、エネルギー吸収体22は、車両−歩行者の衝突中における歩行者の頭部からの下向きの衝撃を受ける間に圧潰するとボンネット内側パネル23及びボンネット外側パネル24と係合するように構成されている。なお、例示されるエネルギー吸収体22の断面形状は、このエネルギー吸収体22の上部、底部及び側部が空洞30を形成する隣接した表面及び構造と係合するように、空洞30の断面形状と概ね整合する。可能性として、エネルギー吸収体22の外周フランジは、図2のボンネットの外側部24付近に示されるような空洞30の楔形の縁の内側に部分的に位置付けられることがある。エネルギー吸収体22の側壁は、ボンネットの内側部23と外側部24との間において或る角度を有して、例えばボンネットの外側部24に対して45度〜90度の角度を有して延在する。エネルギー吸収体22、特に側壁は、衝突中、荷重のスパイク波形及び荷重のピークを最小限に抑えながら且つHIC値も最小限に抑えながらも最大限にエネルギーを吸収するようにして、1つ以上の場所でクシャクシャに潰れ且つ曲がるように位置決めされる。エネルギー吸収体22は、様々な材料から作製することができる。好ましい材料はナイロン(又は他の耐熱ポリマー)であり、この材料は、側壁が中実の塊体(solid mass)を有するように、射出成形による非発泡ポリマーである。
【0018】
エネルギー吸収体は、様々な構造を有するように変更が加えられることができ、且つ組み立てられたボンネットにおいて様々な機能、特徴、及び美的外観をもたらすように様々な材料から作製することができるということが、意図されている。例えば、エネルギー吸収体22(図3)は、長手方向の縁部フランジ34及び35と、長手方向の中間フランジ36と、横断方向のU字形をした「架橋(bridge)」フランジ37及び38とを含んでいる。端部に位置するフランジ37が他の架橋フランジ38よりも僅かに大きく作製されてもよいこと、そしてさらに、特定のフランジ34〜38が、特定のエネルギー吸収プロファイル及びエネルギー吸収機能をもたらすように方向が変えられてよいことがわかる。例えば、端部から離れて位置するフランジ38は、それらの端部付近に開口39を有している。エネルギー吸収体は、断面では、ハット(hat)形状の輪郭を画成し、このとき、比較的平坦な上部セクションがボンネット外側パネルに整合し、比較的湾曲した側部セクションが内側パネル及び外側パネルの間の空洞における変化する形状に整合し、外側に向かって延びる比較的平坦な縁部フランジが、内側パネル及び外側パネルが接合する狭まった特徴部に整合する。
【0019】
エネルギー吸収体22A(図4)は、縁部フランジ34A及び35Aと、3つの中間フランジ36Aと、ほぼ2倍の数の架橋フランジ37A及び38Aとを含んでいる。また、端部フランジ37Aは、前述の端部フランジ37よりも幅がかなり小さく、端部フランジ37Aは中間のフランジ38Aと同様の幅である。また、フランジ38Aは開口39Aを含んでいる。
【0020】
エネルギー吸収体22B(図5)は、フランジ34B〜38Bの断面サイズ、間隔及びサイズに関してエネルギー吸収体22と同様である。しかしながら、幾つかのフランジ38Bは、それらの上面につながる上側屈曲部付近に追加された開口40Bを有している。これらの開口40Bは、エネルギー吸収体22Bの中央領域付近におけるエネルギー吸収体22Bの衝撃強度を減少させる。
【0021】
エネルギー吸収体22C〜22H(図6〜図11)は、それらの外形及びプロファイルに関してエネルギー吸収体22〜22Bと同様であるが、開口部がより少なくなった側壁を含み、そのため、エネルギー吸収体22C〜22Hは、より大きい質量を有し且つ(以下で説明するように側壁の厚さ及び形状に応じて)より多くのエネルギーを吸収する能力を有している。具体的には、エネルギー吸収体22C(図6)は、ベース(上部)フランジ50Cと、側壁51Cと、底壁52Cとを含んでおり、このとき壁51C及び52Cがクラッシュボックスを形成している。なお、クラッシュボックスでは、壁51Cは、衝撃を受ける間に最適にエネルギー吸収するように多数の曲がり及び折れを伴って、衝撃を受ける間に潰れると共に圧壊し、その一方で、荷重のスパイク波形及び荷重のピークを最小限に抑える。エネルギー吸収体22D(図7)は、エネルギー吸収体22C(図6)と同様であり、同様の構成要素は、文字Dを用いていることを除いて同様に識別される。しかしながら、エネルギー吸収体22Dは、角部61D(すなわち側壁51D同士の接合場所)の上部及び底部に開口60Dを含んでいる。開口60Dを有する理由は、開口がゼロである場合、角部61Dが側壁51D自体を超えて梁強度を増大させ、それ故(歩行者の頭部がボンネットにぶつかる場所によっては)衝撃を受ける間に荷重のスパイク波形を生むことにつながる可能性があるためである。開口60Dを設けることによって、梁強度が減少し、そのため、クラッシュボックス全体が衝撃を受ける場所に関係なくより均一で予期される衝撃強度をもたらす。エネルギー吸収体22E(図8)は、左右の構成要素がストラップ(strap)62Eによって連結された左右の部品を形成していることを除き、エネルギー吸収体22C(図6)と同様であり、そのため、エネルギー吸収体22Eは、単一のユニットとして取り扱われ且つボンネットに組み付けることができる単一の構成要素として成形される。エネルギー吸収体22F(図9)は、エネルギー吸収体22Cの単一のクラッシュボックスと同じスペース内に形成された4つの隣接する(より小さくなった)クラッシュボックス63Fを有することを除き、エネルギー吸収体22Cと同様である。
【0022】
図10及び図11は、ボンネット外側パネルの下において、ボンネット内側パネルの開口部内に概して位置する複数のエネルギー吸収体22F、22G及び22Hを有するボンネット21Fを示している。例えば、エネルギー吸収体22Fは、ボンネット21Fの後縁に沿って(車両のプレナム部領域付近であるが、ボンネット内側パネルの後部付近の開口部内に)位置し、このとき、エネルギー吸収体22Gが、ボンネット外側パネルの下において、ボンネット内側パネルによって画成された下方に向かって開口する三角形の空洞(例えばエンジン又は他のボンネット下の硬質構造体の上方にある)の中に部分的に位置し、且つエネルギー吸収体22Hが、ボンネット21Fの前部において、ボンネット内側パネルの開口部(例えばフードラッチ付近又はラジエータを支持する車両のバルクヘッド構造部の上方にある)の中に位置決めされている。エネルギー吸収体22F、22G及び22Hの周囲のフランジは、エネルギー吸収体をボンネットアセンブリに取り付けられている状態に保つ。当然ながら、エネルギー吸収体のいずれも、ボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルの間の空洞の中に完全に入っていてもよいということも意図されている。
【0023】
例示されるエネルギー吸収体22は、それぞれが約35mm〜40mmの高さ、約92mmの幅、及び約365mmの長さである。エネルギー吸収体22A〜22Jは、これらが対象とする空洞内に収まるように必要に応じて同様にサイズ決めされる。例示されるように、ボンネット21は左右の空洞を形成しているが、自動車横断方向の単一の空洞が存在してもよいこと、及び、単一のエネルギー吸収体が完全に自動車を横断して延在してもよいことが意図されている。その代わりとして、例示される2つのエネルギー吸収体は、1つのユニットとして取り扱うことができるようにストラップ又は繋ぎ止め紐状体(tether)又は他の連結手段によって相互に連結されてもよいということが意図されている。例示されるエネルギー吸収体は、開いており且つ概して直交しない僅かに傾斜した複数の壁部によって形成される断面形状を有している。エネルギー吸収体の断面形状は、エネルギー吸収体が配置される空洞の断面形状に概ね整合するが、このことは機能的な面で必要とされなければ必ずしも必要とはされないということが意図されている。1つのアセンブリとして設計されたボンネット及びエネルギー吸収体は、HIC値を最小限に抑える力−たわみのプロファイルをもたらすように調整される。エネルギー吸収体はポリマー材料から作製されるのが好ましい。エネルギー吸収体が塗装の前にボンネットアセンブリに取り付けられる場合、エネルギー吸収体は、高温ナイロンのような、塗装炉工程又は電着工程を通過することに付随する高温に耐えることが可能であるポリマーから作製されることになる。しかしながら、材料は、金属、又は圧壊中にエネルギーを吸収する他の構造材料であってもよいということが意図されている。また、エネルギー吸収体をボンネットに接続するがエネルギー吸収体をボンネットの層同士の間に挟まないことの利点は、炉を通過する必要がなくなるということである。
【0024】
本発明の概念から逸脱することなく上述の構造に変形及び変更を加えることができるということは理解されるべきであり、さらに、そのような概念は添付の特許請求の範囲においてその文言によって別段に明記されなければ特許請求の範囲によって包含されると意図されていることが理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のエネルギー吸収システムにおいて、
後縁付近に少なくとも1つの空洞を画成するボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルを含むボンネットと、
前記少なくとも1つの空洞内に位置付けられ且つ非発泡ポリマー材料から作製される少なくとも1つのエネルギー吸収体であって、前記ボンネットの外側の層が前記車両の前記プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する前に圧潰しエネルギーを吸収するように構成されると共に、間隔をあけて配置された側壁を有するエネルギー吸収体と
を備えるエネルギー吸収システム。
【請求項2】
前記エネルギー吸収体は、前記少なくとも1つの空洞の断面の形状をもつ開放断面を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エネルギー吸収体は、前記間隔をあけて配置された側壁と共にハット形状の断面を画成する横断方向壁を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記エネルギー吸収体は、前記ボンネット内側パネル及び前記ボンネット外側パネルの間に部分的にはまる長手方向の縁部フランジを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記エネルギー吸収体は、マトリックスを形成する複数の長手方向フランジと横断方向フランジとを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記エネルギー吸収体は、前記エネルギー吸収体が内部に位置付けられる前記空洞の断面形状に実質的に整合し且つ直交的でない断面形状を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ボンネット及び前記エネルギー吸収体は、HIC値を最小限に抑える力−撓みのプロファイルをもたらすように組み合わさる請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー吸収体は、塗装炉工程又は電着工程を通過するときに形状を維持することができるように、少なくとも摂氏200度の温度のときでも前記形状を維持することが可能なポリマー材料を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ポリマー材料はナイロンポリマーである請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
ボンネット、プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のエネルギー吸収システムにおいて、
少なくとも1つの空洞を画成するボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルを含む前記ボンネットと、
前記少なくとも1つの空洞内に位置付けられる少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体であって、歩行者の頭部が前記ボンネットに接触するときのHIC値を、前記歩行者の頭部が前記車両の前記ボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する前に前記歩行者への衝突中のエネルギーを吸収することによって、最小限に抑えるように構成されるエネルギー吸収体と
を備えるエネルギー吸収システム。
【請求項11】
前記ポリマーの材料は、前記エネルギー吸収体が塗装炉工程又は電着工程を通過するときでも形状を維持するように、少なくとも摂氏200度の温度においても前記形状を維持することが可能である請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のエネルギー吸収システムにおいて、
少なくとも1つの空洞を画成するボンネット外側パネル及びボンネット内側パネルを含むボンネットと、
前記ボンネット外側パネルの下に位置付けられ且つ前記ボンネットに取り付けられる少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体であって、歩行者と車両との事故時に歩行者の頭部によって生じるような上方よりの衝撃からのエネルギーを吸収するように構成されると共に、ポリマー材料から作製されるエネルギー吸収体と
を備えるエネルギー吸収システム。
【請求項13】
前記エネルギー吸収体は、車両取り付け位置にあるときに実質的に上方に向かって突出する少なくとも1つの中空の圧潰突出部を含む請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
車両のボンネットの頭部傷害基準(HIC)を最適化する方法において、
間に少なくとも1つの空洞を画成するボンネット外側パネル及びボンネット内側パネルを含むボンネットを設けるステップと、
衝撃を受けた時に圧潰しエネルギーを吸収するように構成された壁部を有する非発泡エネルギー吸収体を設けるステップと、
ボンネットアセンブリを形成するように、前記非発泡エネルギー吸収体を前記少なくとも1つの空洞内に配置し且つ前記ボンネット内側パネル及び前記ボンネット外側パネルを前記エネルギー吸収体と共に組み立てるステップと、
HIC値に関して前記ボンネットアセンブリの衝突試験を行うステップと、
前記エネルギー吸収体の前記壁部の1つ以上に弱化部位を形成することによって前記エネルギー吸収体に変更を加えるステップと、
ボンネットを設けるステップ、エネルギー吸収体を設けるステップ、前記ボンネットを配置し且つ組み立てるステップ、及び衝突試験を行うステップを繰り返すステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記弱化部位を形成することによって変更を加えるステップは、前記壁部に開口及びスリットの少なくとも一方を形成することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
車両のボンネットの頭部傷害基準(HIC)を最適化する方法であって、前記車両がボンネット下硬質構造体を含む方法において、
組み立てられたときに少なくとも1つの空洞を画成すると共に前記車両の前記ボンネット下硬質構造体を審美的に覆うように構成されるボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルを含むボンネットを設けるステップと、
少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体を前記ボンネットの下の場所で前記ボンネットに取り付けるステップであって、前記場所では、前記エネルギー吸収体が存在することによって、衝突中に歩行者の頭部が前記ボンネットと接触するときのHIC値が最小限に抑えられ、前記エネルギー吸収体が、前記歩行者の頭部が前記車両の前記ボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する前に衝撃エネルギーを吸収するように構成されるステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記取り付けるステップは、前記ボンネット内側パネルの前記ボンネット外側パネルへの組み付けの際又は組み付け前に行われる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記取り付けるステップは、前記エネルギー吸収体を、前記ボンネット内側パネル及び前記ボンネット外側パネルの間に画成される空洞内に配置することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記取り付けるステップは、前記エネルギー吸収体を、前記エネルギー吸収体が前記ボンネット内側パネルによって覆われない場所に配置することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項1】
プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のエネルギー吸収システムにおいて、
後縁付近に少なくとも1つの空洞を画成するボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルを含むボンネットと、
前記少なくとも1つの空洞内に位置付けられ且つ非発泡ポリマー材料から作製される少なくとも1つのエネルギー吸収体であって、前記ボンネットの外側の層が前記車両の前記プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する前に圧潰しエネルギーを吸収するように構成されると共に、間隔をあけて配置された側壁を有するエネルギー吸収体と
を備えるエネルギー吸収システム。
【請求項2】
前記エネルギー吸収体は、前記少なくとも1つの空洞の断面の形状をもつ開放断面を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エネルギー吸収体は、前記間隔をあけて配置された側壁と共にハット形状の断面を画成する横断方向壁を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記エネルギー吸収体は、前記ボンネット内側パネル及び前記ボンネット外側パネルの間に部分的にはまる長手方向の縁部フランジを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記エネルギー吸収体は、マトリックスを形成する複数の長手方向フランジと横断方向フランジとを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記エネルギー吸収体は、前記エネルギー吸収体が内部に位置付けられる前記空洞の断面形状に実質的に整合し且つ直交的でない断面形状を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ボンネット及び前記エネルギー吸収体は、HIC値を最小限に抑える力−撓みのプロファイルをもたらすように組み合わさる請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー吸収体は、塗装炉工程又は電着工程を通過するときに形状を維持することができるように、少なくとも摂氏200度の温度のときでも前記形状を維持することが可能なポリマー材料を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ポリマー材料はナイロンポリマーである請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
ボンネット、プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のエネルギー吸収システムにおいて、
少なくとも1つの空洞を画成するボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルを含む前記ボンネットと、
前記少なくとも1つの空洞内に位置付けられる少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体であって、歩行者の頭部が前記ボンネットに接触するときのHIC値を、前記歩行者の頭部が前記車両の前記ボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する前に前記歩行者への衝突中のエネルギーを吸収することによって、最小限に抑えるように構成されるエネルギー吸収体と
を備えるエネルギー吸収システム。
【請求項11】
前記ポリマーの材料は、前記エネルギー吸収体が塗装炉工程又は電着工程を通過するときでも形状を維持するように、少なくとも摂氏200度の温度においても前記形状を維持することが可能である請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
プレナム構造体又は他のボンネット下硬質構造体を有する車両のエネルギー吸収システムにおいて、
少なくとも1つの空洞を画成するボンネット外側パネル及びボンネット内側パネルを含むボンネットと、
前記ボンネット外側パネルの下に位置付けられ且つ前記ボンネットに取り付けられる少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体であって、歩行者と車両との事故時に歩行者の頭部によって生じるような上方よりの衝撃からのエネルギーを吸収するように構成されると共に、ポリマー材料から作製されるエネルギー吸収体と
を備えるエネルギー吸収システム。
【請求項13】
前記エネルギー吸収体は、車両取り付け位置にあるときに実質的に上方に向かって突出する少なくとも1つの中空の圧潰突出部を含む請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
車両のボンネットの頭部傷害基準(HIC)を最適化する方法において、
間に少なくとも1つの空洞を画成するボンネット外側パネル及びボンネット内側パネルを含むボンネットを設けるステップと、
衝撃を受けた時に圧潰しエネルギーを吸収するように構成された壁部を有する非発泡エネルギー吸収体を設けるステップと、
ボンネットアセンブリを形成するように、前記非発泡エネルギー吸収体を前記少なくとも1つの空洞内に配置し且つ前記ボンネット内側パネル及び前記ボンネット外側パネルを前記エネルギー吸収体と共に組み立てるステップと、
HIC値に関して前記ボンネットアセンブリの衝突試験を行うステップと、
前記エネルギー吸収体の前記壁部の1つ以上に弱化部位を形成することによって前記エネルギー吸収体に変更を加えるステップと、
ボンネットを設けるステップ、エネルギー吸収体を設けるステップ、前記ボンネットを配置し且つ組み立てるステップ、及び衝突試験を行うステップを繰り返すステップと
を含む方法。
【請求項15】
前記弱化部位を形成することによって変更を加えるステップは、前記壁部に開口及びスリットの少なくとも一方を形成することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
車両のボンネットの頭部傷害基準(HIC)を最適化する方法であって、前記車両がボンネット下硬質構造体を含む方法において、
組み立てられたときに少なくとも1つの空洞を画成すると共に前記車両の前記ボンネット下硬質構造体を審美的に覆うように構成されるボンネット内側パネル及びボンネット外側パネルを含むボンネットを設けるステップと、
少なくとも1つのポリマーエネルギー吸収体を前記ボンネットの下の場所で前記ボンネットに取り付けるステップであって、前記場所では、前記エネルギー吸収体が存在することによって、衝突中に歩行者の頭部が前記ボンネットと接触するときのHIC値が最小限に抑えられ、前記エネルギー吸収体が、前記歩行者の頭部が前記車両の前記ボンネット下硬質構造体に落ち込んで達する前に衝撃エネルギーを吸収するように構成されるステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記取り付けるステップは、前記ボンネット内側パネルの前記ボンネット外側パネルへの組み付けの際又は組み付け前に行われる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記取り付けるステップは、前記エネルギー吸収体を、前記ボンネット内側パネル及び前記ボンネット外側パネルの間に画成される空洞内に配置することを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記取り付けるステップは、前記エネルギー吸収体を、前記エネルギー吸収体が前記ボンネット内側パネルによって覆われない場所に配置することを含む請求項17に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−521194(P2013−521194A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−557125(P2012−557125)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/027208
【国際公開番号】WO2011/109718
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(591187162)シェイプ・コープ (25)
【氏名又は名称原語表記】SHAPE CORP.
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/027208
【国際公開番号】WO2011/109718
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(591187162)シェイプ・コープ (25)
【氏名又は名称原語表記】SHAPE CORP.
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