説明

歩行者用信号機

【課題】歩行者用信号機において、赤色信号点灯前の青色信号点滅開始後、新たに横断を開始しようとする歩行者に対しては、横断開始の禁止が強調的に標示される機能を付加して安全向上を図った歩行者用信号機を提供する。
【解決手段】横断禁止の停止人間図形部Aを赤色表示する横断禁止信号標示部2、及び横断可の歩行人間図形部Bを青色表示する横断可信号標示部3から構成され、発光ダイオードを光源とする歩行者用信号機1において、該停止人間図形部Aに配列された赤色発光ダイオード群2aの間隙に新たに黄色発光ダイオード群2bを追加配置し、青色信号の点滅中は該黄色発光ダイオード群2bも点灯させる機能を当該歩行者用信号機1の切替制御部に付加した構成とする。
これにより、青色信号の点滅開始後、赤色信号へ切り替わるまでは横断禁止の停止人間図形部Aが黄色表示されるため、新たな横断開始の禁止を強調する抑止効果と横断者の安全を高める警告機能が強化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横断可の歩行人間図形を青色表示し、横断禁止の停止人間図形を赤色表示する一対の選択的標示部から構成され、発光ダイオードを光源とする歩行者用信号機において、青色信号点滅時における歩行者の新たな横断開始を抑止する強調的な標示機能を付加した歩行者用信号機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歩行者用信号機は、横断可の歩行人間図形を有する青色表示部と横断禁止の停止人間図形を有する赤色表示部とから構成される。 この内、各々の人間図形部分を各色の発光ダイオードを光源として表示する方式が省電力及び維持管理コスト低減等の利点から普及しつつある。
【0003】
歩行者用信号機では、青色信号から赤色信号に切り替わる前には、青色の点滅信号になり、横断中の歩行者に横断完了を促すと共に、新たに横断を開始しようとする歩行者には横断開始の禁止を指示する。
しかしながら、青色信号の点滅開始後に危険な駆け込み横断をする歩行者もある。 また、比較的幅の広い道路では老人や身体が不自由な歩行者が横断を完了する前に赤信号に切り替わったり、青色信号の点滅時間が短い場合も少なくないが、青色信号の点滅時間を延長する設定によっては前記の駆け込み横断が増加する可能性もある。
【0004】
青色信号の点滅開始後の新たな駆け込み横断の禁止をより強く視覚的に認識させて抑止効果を強化する警告的機能を従来の歩行者用信号機に付加することにより、併せて横断者の安全向上も図れる改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開 2010−026863
【特許文献2】特開 2005−092429
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】警察庁ホームページ「歩行者用信号灯器のLED化に向けた実証実験の実施結果について」 2002年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
歩行者用信号機において、赤色信号点灯前の青色信号点滅開始後、新たに横断を開始しようとする歩行者に対しては、横断開始の禁止が強調的に標示される機能を付加して安全向上を図った歩行者用信号機を提供する。 これにより駆け込み横断も抑止されるため、横断中の歩行者がその途中で青色信号の点滅開始後、赤色信号へ切り替わるまでに安全に横断を完了するために必要な青色信号点滅時間の延長も設定し易くする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
横断禁止の停止人間図形部を赤色表示する横断禁止信号標示部、及び横断可の歩行人間図形部を青色表示する横断可信号標示部から構成され、発光ダイオードを光源とする歩行者用信号機において、該停止人間図形部に配列された赤色発光ダイオード群の間隙に新たに黄色発光ダイオード群を追加配置し、青色信号の点滅中は該黄色発光ダイオード群も点灯させる機能を当該歩行者用信号機の切替制御部に付加した構成とする。
青色信号の点滅開始後、赤色信号へ切り替わるまでは前記の停止人間図形部が黄色表示されることにより、従来の青色点灯・点滅及び赤色点灯の基本的な表示切替え機能と歩行者用信号機の基本構造を変更することなく、青色信号点滅開始後の新たな横断開始の禁止を強調する抑止効果と横断者の安全を高める警告機能を強化する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の歩行者用信号機によれば、赤色信号点灯前の青色信号点滅時には、横断禁止の停止人間図形部を黄色表示することにより、新たに横断を開始しようとする歩行者に対しては赤色信号点灯時に準ずる効力の横断禁止警告を明示できる視覚効果があり、危険な駆け込み横断の抑止力にもなる。 青色信号点滅時に赤色信号を同時点灯させた場合は混乱を招く上、赤色信号の効力を弱める恐れがあるが、黄色表示ではそのような問題を避けることができる。
これにより、既に横断中の歩行者に対しては、安全な横断完了に必要となる十分な青色信号点滅時間の延長もそれに伴う弊害を防止して設定し易くなる。
以上により、発光ダイオードを使用した従来の歩行者用信号機の基本的な機能と構造を変更することなく、補強的付加機能として安全向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明による歩行者用信号機の概略構成を示す説明図である。
【図2】図2は本発明による歩行者用信号機の作動シーケンスを示す説明図である。 (実施例1)
【図3】図3は本発明による歩行者用信号機の作動シーケンスを示す説明図である。 (実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明による歩行者用信号機1の概略構成を示す。 2は横断禁止信号標示部であり、その停止人間図形部Aが赤色点灯表示される。 3は横断可信号標示部であり、その歩行人間図形部Bが青(緑)色点灯表示または点滅表示される。 それらの光源として、停止人間図形部A及び歩行人間図形部Bの内部拡大模式図に示すように複数の赤色発光ダイオード2a及び青(緑)色発光ダイオード3aが各々の人間図形部の形状に対応して配置されている。
本発明では停止人間図形部Aの赤色発光ダイオード群2aの間隙に黄色発光ダイオード群2bを新たに追加配置し、当該歩行者用信号機1の切替制御部により、青色信号の点滅開始後、赤色信号の点灯までの間、当該黄色発光ダイオード群2bにより停止人間図形部Aが黄色点灯表示される機能を付加した。
【実施例】
【0012】
図2は本発明による歩行者用信号機1の作動シーケンスの実施例を示す。 左から右に時系列的に「横断可信号標示部の青色発光ダイオード群点灯」、「横断可信号標示部の青色発光ダイオード群点滅及び横断禁止信号標示部の黄色発光ダイオード群点灯」、「横断禁止信号標示部の赤色発光ダイオード群点灯」の3段階からなる1サイクルを模式的に示す。 ここで黄色発光ダイオードに係る部分以外は、従来の歩行者用信号機と同様である。
【0013】
図3は本発明による歩行者用信号機1の作動シーケンスの他の実施例を示す。 本実施例では、実施例1における青色信号点滅終了と赤色信号点灯との間に「横断禁止信号標示部の黄色発光ダイオード群点灯」のみの緩衝期間を挿入して4段階からなる1サイクルを設定したものである。 これにより、青色信号点滅終了時点で横断が完了していない横断者への安全確保を向上させる効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
横断可の歩行人間図形を青色表示し、横断禁止の停止人間図形を赤色表示する一対の選択的標示部から構成され、発光ダイオードを光源とする歩行者用信号機の他、同様な基本的機能要求があり、図形形状等を変更した歩行者及び車両共用の信号機等にも適用できる。
【符号の説明】
【0015】
1 歩行者用信号機
2 横断禁止信号標示部
2a 赤色発光ダイオード(群)
2b 黄色発光ダイオード(群)
3 横断可信号標示部
3a 青(緑)色発光ダイオード(群)
A 停止人間図形部
B 歩行人間図形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断禁止の停止人間図形部を赤色表示し、横断可の歩行人間図形部を青色表示する一対の選択的標示部から構成され、発光ダイオードを光源とする歩行者用信号機において、該停止人間図形部に配列された赤色発光ダイオード群の間隙に新たに黄色発光ダイオード群を追加配置し、赤色信号点灯前の青色信号の点滅中は該黄色発光ダイオード群も点灯させる機能を当該歩行者用信号機の切替制御部に付加した構成からなり、
青色信号の点滅開始後、赤色信号へ切り替わるまでは前記停止人間図形部が黄色表示されることにより、従来の青色点灯・点滅及び赤色点灯の基本的な表示切替え機能と歩行者用信号機の基本構造を変更することなく、青色信号点滅開始後の新たな横断開始の禁止を強調する抑止効果と横断者の安全を高める警告機能を強化したことを特徴とする歩行者用信号機。
【請求項2】
青色信号の点滅が終了した後、赤色信号の点灯に切り替わる前に過渡的期間として引き続き前記の停止人間図形部を短時間黄色表示する機能を前記の切替制御部に付加した構成とし、横断中の歩行者の横断完了を最終的に促すと共にさらなる安全向上を図ったことを特徴とする請求項1の歩行者用信号機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−65124(P2013−65124A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202481(P2011−202481)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(711006979)
【Fターム(参考)】