説明

歪み電力品質指数測定装置および方法

本発明に係る電力品質指数測定方法は、需要家の引込口の全体電流波形と、需要家に設置された1つ以上の負荷それぞれに対する電流波形および電圧波形を測定する段階と、引込口の全体電流波形および各負荷の電流波形を用いて需要家の電気負荷構成率(LC:Load Composition)を算出する段階と、各負荷の電流波形および電圧波形を用いて各負荷の全高調波含有率(THD:Total Harmonic Distortion)を算出する段階と、電気負荷構成率および全高調波含有率を用いて各負荷に対する歪み電力品質指数(DPQI:Distortion Power Quality Index)を算出する段階とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力品質指数測定装置および方法に関し、より詳細には、分散電力システムの需要家の電気負荷構成率(LC:Load Composition)および需要家の各負荷に対する全高調波含有率(THD:Total Harmonic Distortion)を用いて需要家の各非線形負荷によって発生する歪み電力に対する相対的な比率である歪み電力品質指数(DPQI:Distortion Power Quality Index)を算出することで、歪み電力を直接的に測定しなくても、電力品質を悪化させる非線形負荷をより正確に評価できるようにする電力品質指数測定装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力システムの工学的な側面および効率的な電力需給計画の側面において、電力品質は重要な役割を担っており、電力市場の競争化政策の推進によってその重要性が次第に増加している。
【0003】
電子通信技術の発展に伴い、各需要家の非線形負荷の設置が次第に増加している。分散電力システム需要に設置される非線形負荷の増加は、各電気負荷に流れる電流波形に高調波歪みを発生させ、電流波形の歪みを招来するという問題を引き起こす。このような問題は、電力伝達過程において、歪み電力を発生させて電力システムの効率良い運営を妨げ、最終的には低品質の電力が需要家に供給されるようになる原因となる。
【0004】
このような非線形負荷の増加による電力品質の低下を防ぐためには、歪み電力を発生させて電力品質の低下を招来する負荷の選別が何よりも重要となる。このような負荷を選別するためには、需要家の各負荷に対する電力品質指数の測定を先行する必要がある。このとき重要な点は、歪み電力の発生を考慮した電力品質指数の測定である。
【0005】
しかし、従来の電力品質指数の測定では、このような各負荷の歪み電力発生を考慮しないため、電力品質に関する歪み電力との関係が密接でない。例えば、全高調含有率指数の測定は、単に波形歪みの比率のみが考慮されているだけであるため、電力品質と密接な関係を有する歪み電力は殆ど反映されていない。
【0006】
したがって、歪み電力を直接測定しなくても、非線形負荷から発生する高調波による歪み電力発生を定量化した値で示すことができる新しい概念の電力品質指数測定方法の開発が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような従来技術を改善するために案出されたものであって、需要家の電気負荷構成率および需要家の各負荷に対する全高調波含有率を用いて需要家の各非線形負荷によって発生する歪み電力に対する相対的な比率である歪み電力品質指数を算出することで、歪み電力に対して直接的に測定しなくても、歪み電力の発生が反映された電力品質の測定を可能にする電力品質指数測定装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成し、従来技術の問題点を解決するために、本発明に係る電力品質指数測定方法は、需要家の引込口の全体電流波形と、前記需要家に設置された1つ以上の負荷それぞれに対する電流波形および電圧波形を測定する段階と、前記引込口の全体電流波形および前記各負荷の電流波形を用いて前記需要家の電気負荷構成率を算出する段階と、前記各負荷の電流波形および電圧波形を用いて前記各負荷の全高調波含有率を算出する段階と、前記電気負荷構成率および前記全高調波含有率を用いて前記各負荷に対する歪み電力品質指数を算出する段階とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る電力品質指数測定装置は、需要家の引込口の全体電流波形および前記需要家に設置された1つ以上の負荷それぞれに対する電流波形を測定する電流波形測定部と、前記各負荷に対する電圧波形を測定する電圧波形測定部と、前記引込口の全体電流波形および前記各負荷の電流波形を用いて前記需要家の電気負荷構成率を算出する電気負荷構成率算出部と、前記各負荷の電流波形および電圧波形を用いて前記各負荷の全高調波含有率を算出する全高調波含有率算出部と、前記電気負荷構成率および前記全高調波含有率を用いて前記各負荷に対する歪み電力品質指数を算出する歪み電力品質指数算出部とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る電力量計は、需要家の引込口の全体電流波形および前記需要家に設置された1つ以上の負荷それぞれに対する電流波形を測定する電流波形測定部と、前記各負荷に対する電圧波形を測定する電圧波形測定部と、前記引込口の全体電流波形および前記各負荷の電流波形を用いて前記需要家の電気負荷構成率を算出する電気負荷構成率算出部と、前記各負荷の電流波形および電圧波形を用いて前記各負荷の全高調波含有率を算出する全高調波含有率算出部と、前記電気負荷構成率および前記全高調波含有率を用いて前記各負荷に対する歪み電力品質指数を算出する歪み電力品質指数算出部とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電力品質指数測定装置および方法によれば、需要家の電気負荷構成率および需要家の各負荷に対する全高調波含有率を用いて需要家の各非線形負荷によって発生する歪み電力に対する相対的な比率である歪み電力品質指数を算出することで、歪み電力に対して直接的に測定しなくても、歪み電力の発生が反映された電力品質の測定を可能にするという効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電力品質指数測定装置の構成を示した図である。
本発明の一実施形態に係る電力品質指数測定装置100は、電流波形測定部110と、電圧波形測定部120と、電気負荷構成率算出部130と、全高調波含有率算出部140と、歪み電力品質指数算出部150とを含む。
【0013】
電力品質指数測定装置100は、需要家に設置されている電力量計の一部構成として具現されても良いし、電力量計とは別途の独立的な構成として具現されても良い。
電流波形測定部110は、需要家の引込口の全体電流波形および当該需要家に設置された1つ以上の負荷それぞれに対する電流波形を測定する。さらに、電圧波形測定部120は、各負荷に対する電圧波形も測定する。これについては、図2を参照して詳しく説明する。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態に係る需要家の電力分散システムの構成を示したブロック図である。
本発明の一実施形態に係る需要家の電力分散システムは、サブステーション210と、フィーダ220と、1つ以上の負荷231〜234とを含む。さらに、フィーダ220には、第1センサ240が設置されているし、それぞれの負荷231〜234には、第2センサ251〜254がそれぞれ設置されている。
【0015】
電流波形測定部110は、第1センサ240および第2センサ251〜254を含む。すなわち、電流波形測定部は、第1センサ240を介してフィーダ220に流れる全体電流波形を測定し、第2センサ251〜254を介して各負荷231〜234に流れる電流波形を測定する。
【0016】
電圧波形測定部120は、PCC(Point of Common Coupling)に設置されているセンサ260を介して電圧波形を測定する。各負荷231〜234は並列連結しているため、PCCにおける電圧波形測定だけでも各負荷231〜234に対する電圧波形を測定できる。
【0017】
再び図1において、電気負荷構成率算出部130は、全体電流波形および各負荷の電流波形を用いて需要家の電気負荷構成率を算出する。
大部分の実際の需要家環境において、負荷の構成は知られていない。このような状況下において、電気負荷の構成は、個別の負荷要素の知られた電流波形から推論できる。需要家の引込口において全体的な電気的負荷電流が測定され、これに対するフーリエ分析の結果は、数式6のような構成を示すものと仮定できる。
【0018】
【数6】

数式6において、基本周波数は60Hzである。需要家の引込口において、線間電圧は、名目上のsin曲線である480V(ピーク値として使用)である。基本的に、一周期Tの間、数式6において全体的な電気的負荷電流i(t)の波形は、図3の通りとなる。ここで用いられたデータサンプルの数は、16,667である。サンプリング周波数は、基本的な要素だけでなく、他の周波数成分(3、5、7高調波)に関してナイキスト整理を満たすほど十分に高い。
【0019】
i(t)に対して離散高速フーリエ変換(DFFT)を適用した後の周波数領域における応答は、図4の通りとなる。ここで、i(t)は、基本周波数、3高調波、5高調波、7高調波の要素を順に示している。これらの大きさは、数式6で与えられた値と同じである。
【0020】
特定の負荷にsin曲線の電圧が供給される場合に、電流i(t)の典型的な負荷集団は表1の通りとなり、図5のように示される。
【0021】
【表1】

表1において、負荷類型は、白熱灯、蛍光灯、コンピュータ、モータ駆動装置であり、これらはそれぞれ下付き文字I、f、c、mで表示する。
【0022】
電気負荷構成率算出部130は、需要家の電気負荷構成の比率を算出するために、前記測定された電流波形に基づいて負荷の構成をモデリングする。表1の負荷集団とともに、数式6に記載された全体的な電気負荷電流i(t)は、数式7のように示すことができる。
【0023】
【数7】

【0024】
【数8】

数式8は、負荷電流に関する数式7の右辺を左辺に移項し、{(左辺)−(右辺)}2をt=0〜Tまでの1周期間で積分する式である。数式8において積分して計算された最小値において、各負荷係数と関係した関数Jの微分値は、正確に0となる。このような計算によって、4つの負荷係数(k1,k2,k3,k4)に該当する4つの方程式が発生する。このような4つの方程式の解は、負荷係数ベクトルk=[k1,k2,k3,k4]となる。したがって、それぞれの電気負荷サンプルの実質的な負荷量を決めることができる。これによって、実質の電力、皮相電力、電力費などの計算を簡単に実行できるようになる。
【0025】
数式8において、連続時間目的関数Jは、コンピュータシュミレーションのために、数式9のように離散時間関数として再び数式化できる。すなわち、デジタル形式の関数に変換できる。
【0026】
【数9】

数式9において、Nは、基本周波数の一周期Tの間に得られるサンプルの数を意味する。数式9において、目的関数Jを負荷係数ベクトルkに関連して微分を取れば、数式10の通りとなる。
【0027】
【数10】

数式10の方程式は、数式11のようにAx=b形式の線形システム方程式の形態で配列される。結果的に、係数ベクトルkである方程式の解xは、多様な計算アルゴリズムによって直接的あるいは反復的に求められる。
【0028】
【数11】

数式11のように、需要家の電気負荷をモデリングした後、これから負荷係数kを演算するために、数式11の解xは、x=k=A-1b=[k1,k2,k3,k4]=[0.1935,0.1220,0.5433,0.1412]T(normalized)のようにAの逆を取り、ここにベクトルbを掛けることで計算されるようになる。
【0029】
このような本発明の一実施形態によれば、電気負荷構成率算出部130は、電気負荷のモデリングを介して数式11のようなモデリング関数を設定した後、このようなモデリング関数の解に対する演算を介して電気負荷構成を算出できる。
【0030】
この後、電気負荷構成率算出部130は、最適化技法を用いて電気負荷構成率を最適化できる。このような最適化技法としては、当業界で広く用いられている共役勾配法、またはBFGS技法(Broyden Fletcher Goldfarb Shanno method)が適用され得る。
【0031】
また、本発明の他の実施形態によれば、電気負荷構成率算出部130は、前記のようなモデリング関数を設定せずに予測技法を用いることで、電気負荷構成率を算出することもできる。このような予測技法としては、カルマンフィルタアルゴリズムが適用され得る。
【0032】
再び図1において、電気負荷構成算出部130は、図3〜5を用いて説明したように、本発明の一実施形態によって、LC=[k1,k2,k3,k4]=[0.1935,0.1220,0.5434,0.1434]という電気負荷構成率を算出する。
【0033】
また、電気負荷構成率算出部130は、算出された電気負荷構成率を用いて、直接的に実質の電力、皮相電力などを算出することもできる。電気負荷構成率算出部130は、当業界で通常的に用いられている方法を介することで、実質の電力、皮相電力を用いて歪み電力を算出できる。本発明の一実施形態によれば、前記歪み電力は、D=[Di,Df,Dc,Dm]=[0,9.757,18.952,3.204](KW)と算出される。
【0034】
全高調波含有率算出部140は、各負荷の電流波形および電圧波形を用いて、各負荷の全高調波含有率を算出する。
全高調波含有率算出部140は、各負荷に対する電流波形および電圧波形をそれぞれ離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)し、このように離散フーリエ変換された電流波形を用いて各負荷に流れる電流に対する電流全高調波含有率を算出する。また、このように離散フーリエ変換された電圧波形を用いて各負荷にかかる電圧に対する電圧全高調波含有率を算出する。
【0035】
全高調波含有率算出部140は、数式12を用いることで、電流全高調波含有率および電圧全高調波含有率を算出できる。
【0036】
【数12】

数式12において、hは、基本周波数を除いた高調波を示す。前述した本発明の一実施形態によれば、全高調波含有率算出部140は、数式12を用いてPCC電圧に対する電圧全高調波歪含有率(THDV)を0.0085(%)と算出できる。また、全高調波含有率算出部140は、負荷電流に対する電流全高調波含有率(THDI)をTHDI=[THDIi,THDIf,THDIc,THDIm]=[0.0085,65.6758,28.6020,18.6012](%)と算出できる。
【0037】
歪み電力品質指数算出部150は、電気負荷構成率および全高調波含有率を用いて、各負荷に対する歪み電力品質指数を算出する。
すなわち、歪み電力品質指数算出部150は、各負荷に対して電流全高調波含有率および電圧全高調波含有率の差の絶対値を算出し、各負荷に対して絶対値および電気負荷構成率間の乗積を算出することで、歪み電力品質指数を算出できる。歪み電力品質指数算出部150の歪み電力品質指数算出は、数式13を用いて実行される。
【0038】
【数13】

数式13で、LCは需要家負荷の電気負荷構成率であり、pは需要家負荷の種類を意味する。THDIpは各負荷における電流全高調波含有率であり、THDVpccはPCCにおける電圧全高調波含有率である。
【0039】
前記例において、LC=[k1,k2,k3,k4]=[0.1935,0.1220,0.5434,0.1434]、THDV=0.0085(%)、およびTHDI=[THDIi,THDIf,THDIc,THDIm]=[0.0085,65.6758,28.6020,18.6012](%)であるため、歪み電力品質指数算出部150は、DPQI=[0,8.0112,15.5382,2.6266]として需要家に対する歪み電力品質指数を算出できる。
【0040】
また、歪み電力品質指数算出部150は、各負荷の歪み電力品質指数のランキングを用いて、需要家の各負荷に対する歪み電力発生の程度を比較できる。
【0041】
【表2】

表2は、本発明の一実施形態によって、歪み電力品質指数算出部150が需要家の各負荷(白熱灯、蛍光灯、コンピュータ、モータ)に対して算出したDPQI、DPQIランキング、DPランキング、およびTHDランキングを表示している。
【0042】
表2のように、電力品質の順位を考慮するときに、本発明に係る電気負荷構成率を考慮していないTHD指数は、単に波形歪みの比率のみを反映しているため、実際に電力品質に影響を及ぼす歪み電力との関係が大きくない。したがって、THDランキングは、実際の歪み電力に対するDPランキングと同一でない。しかし、本発明の一実施形態によって、電気負荷構成率を考慮して測定したDPQIランキングは、実際の歪み電力に対するDPランキングと同一である。
【0043】
また、歪み電力品質指数算出部150は、各負荷の歪み電力品質指数を各負荷の歪み電力品質指数間の合で割って標準化し、前記ように標準化された各負荷の歪み電力品質指数を用いて、需要家の各負荷に対する歪み電力の発生程度を比較できる。
【0044】
すなわち、電気負荷構成率算出部が測定した歪み電力D=[0,9.757,18.952,3.204](KW)の各要素を需要家に発生する全体歪み電力で割って標準化すれば、DN=[0,0.3057,0.5939,0.1004]と算出される。また、歪み電力品質指数DPQI=[0,8.0112,15.5382,2.6266]の値を各DPQI値の合で割って標準化すれば、DPQIN=[0,0.3061,0.5936,0.1004]となる。したがって、実際の歪み電力を標準化した値であるDNと本発明に係る歪み電力品質指数であるDPQINの値が互いにほぼ一致することを知ることができる。
【0045】
したがって、このような本発明に係る歪み電力品質指数の測定方法は、需要家の各非線形負荷が分散電力システムにどの程度の歪み電力を発生させ、電力品質の悪化にどの程度寄与するのかを正確に判断できる指数として用いられることを検証できる。
【0046】
図6は、本発明の一実施形態に係る電力品質指数測定方法の流れを示したフローチャートである。
本発明の一実施形態に係る電力品質指数測定装置は、需要家の引込口の全体電流波形と、需要家に設置された1つ以上の負荷それぞれに対する電流波形および電圧波形を測定する(段階611)。前記需要家は、PCCおよび1つ以上の非線形負荷を含む。
【0047】
電力品質指数測定装置は、引込口の全体電流波形および各負荷の電流波形を用いて各負荷の構成に対するモデリング関数を算出する(段階612)。電力品質指数測定装置は、前記のように算出されたモデリング関数から最適化技法を用いて各負荷に対する負荷係数を演算して需要家の電気負荷構成率を算出する(段階613)。
【0048】
電力品質指数測定装置は、各負荷に対する電流波形および電圧波形をそれぞれ離散フーリエ変換し、各負荷に流れる電流に対する電流全高調波含有率を算出したり(段階614)、各負荷にかかる電圧に対する電圧全高調波含有率を算出したりする(段階615)。
【0049】
電力品質指数測定装置は、各負荷に対して電流全高調波含有率および電圧全高調波含有率の差の絶対値を算出する(段階616)。
電力品質指数測定装置は、各負荷に対して絶対値および電気負荷構成の間の乗積を算出して、需要家に対する歪み電力品質指数を算出する(段階617)。
【0050】
電力品質指数測定装置は、歪み電力品質指数を用いて需要家に設置された各負荷別の歪み電力の発生程度を比較する(段階618)。
以上のように簡単に説明したが、図6に示された電力品質指数測定方法は、図1〜5を用いて説明した本発明の一実施形態に係る電力品質指数測定装置の電力品質指数測定方法をすべて含んで具現され得ることは、当業者にとって自明であろう。
【0051】
本発明に係る電力品質指数測定方法は、コンピュータにより具現される多様な動作を実行するためのプログラム命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体を含む。前記媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独または組み合わせて含むこともできる。前記媒体およびプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知であり使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスクおよび磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気−光媒体、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。前記媒体は、プログラム命令、データ構造などを保存する信号を送信する搬送波を含む光または金属線、導波管などの送信媒体でもある。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるもののような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。前記したハードウェア要素は、本発明の動作を実行するために一以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成することができ、その逆もできる。
【0052】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る電力品質指数測定装置の構成を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る需要家電力分散システムの構成を示したブロックである。
【図3】本発明の一実施形態によって、基本周波数の一周期Tの間に測定された需要家の引込口における全体電流波形を示したグラフである。
【図4】本発明の一実施形態によって、DFFTを適用した後の周波数成分を示したグラフである。
【図5】本発明の一実施形態によって、基本周波数の一周期Tの間の典型的な各負荷種類別に電流波形を示したグラフである。
【図6】本発明の一実施形態に係る電力品質指数測定方法の流れを示したフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家の引込口の全体電流波形と、前記需要家に設置された1つ以上の負荷それぞれに対する電流波形および電圧波形を測定する段階と、
前記引込口の全体電流波形および前記各負荷の電流波形を用いて前記需要家の電気負荷構成率を算出する段階と、
前記各負荷の電流波形および電圧波形を用いて前記各負荷の全高調波含有率を算出する段階と、
前記電気負荷構成率および前記全高調波含有率を用いて前記各負荷に対する歪み電力品質指数を算出する段階と、
を含むことを特徴とする電力品質指数測定方法。
【請求項2】
前記需要家は、PCCおよび1つ以上の非線形負荷を含むことを特徴とする請求項1に記載の電力品質指数測定方法。
【請求項3】
前記引込口の全体電流波形および前記各負荷の電流波形を用いて前記需要家の電気負荷構成率を算出する段階は、
前記引込口の全体電流波形および前記各負荷の電流波形を用いて前記各負荷の構成に対するモデリング関数を算出する段階と、
前記モデリング関数から最適化技法を用いて前記各負荷に対する負荷係数を演算する段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電力品質指数測定方法。
【請求項4】
前記モデリング関数は、
【数1】

であり、
前記負荷係数は、k1〜knであることを特徴とする請求項3に記載の電力品質指数測定方法。
【請求項5】
最適化技法を用いて前記電気負荷構成を最適化する段階、
をさらに含み、
前記最適化技法は、共役勾配法またはBFGS技法のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項3に記載の電力品質指数測定方法。
【請求項6】
前記各負荷の電流波形および電圧波形を用いて前記各負荷の全高調波含有率を算出する段階は、
前記各負荷に対する前記電流波形および前記電圧波形をそれぞれ離散フーリエ変換する段階と、
前記離散フーリエ変換された電流波形を用いて前記各負荷に流れる電流に対する電流全高調波含有率を算出する段階と、
前記離散フーリエ変換された電圧波形を用いて前記各負荷にかかる電圧に対する電圧全高調波含有率を算出する段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電力品質指数測定方法。
【請求項7】
前記電流全高調波含有率および前記電圧全高調波含有率は、
【数2】

の式によって算出されることを特徴とする請求項6に記載の電力品質指数測定方法。
【請求項8】
前記電気負荷構成率および前記全高調波含有率を用いて前記各負荷に対する歪み電力品質指数を算出する段階は、
前記各負荷に対して前記電流全高調波含有率および前記電圧全高調波含有率の差の絶対値を算出する段階と、
前記各負荷に対して前記絶対値および前記電気負荷構成間の乗積を算出する段階と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の電力品質指数測定方法。
【請求項9】
前記各負荷の歪み電力品質指数を用いて前記需要家の各負荷に対する歪み電力の発生程度を比較する段階、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電力品質指数測定方法。
【請求項10】
前記各負荷の歪み電力品質指数を前記各負荷の歪み電力品質指数間の合で割って標準化する段階と、
前記標準化された各負荷の歪み電力品質指数を用いて前記需要家の各負荷に対する歪み電力の発生程度を比較する段階と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の電力品質指数測定方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項の方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項12】
需要家の引込口の全体電流波形および前記需要家に設置された1つ以上の負荷それぞれに対する電流波形を測定する電流波形測定部と、
前記各負荷に対する電圧波形を測定する電圧波形測定部と、
前記引込口の全体電流波形および前記各負荷の電流波形を用いて前記需要家の電気負荷構成率を算出する電気負荷構成率算出部と、
前記各負荷の電流波形および電圧波形を用いて前記各負荷の全高調波含有率を算出する全高調波含有率算出部と、
前記電気負荷構成率および前記全高調波含有率を用いて前記各負荷に対する歪み電力品質指数を算出する歪み電力品質指数算出部と、
を含むことを特徴とする電力品質指数測定装置。
【請求項13】
前記需要家は、PCCおよび1つ以上の非線形負荷を含むことを特徴とする請求項12に記載の電力品質指数測定装置。
【請求項14】
前記電気負荷構成率算出部は、前記引込口の全体電流波形および前記各負荷の電流波形を用いて前記各負荷の構成に対するモデリング関数を算出し、前記モデリング関数から最適化技法を用いて前記各負荷に対する負荷係数を演算して前記電気負荷構成率を算出することを特徴とする請求項12に記載の電力品質指数測定装置。
【請求項15】
前記モデリング関数は、
【数3】

であり、
前記負荷係数は、k1〜knであることを特徴とする請求項14に記載の電力品質指数測定装置。
【請求項16】
前記電気負荷構成率算出部は、最適化技法を用いて前記電気負荷構成率を最適化し、前記最適化技法は、共役勾配法またはBFGS技法のうちのいずれか1つであることを特徴とする請求項14に記載の電力品質指数測定装置。
【請求項17】
前記全高調波含有率算出部は、前記各負荷に対する前記電流波形および前記電圧波形をそれぞれ離散フーリエ変換し、前記離散フーリエ変換された電流波形を用いて前記各負荷に流れる電流に対する電流全高調波含有率を算出し、前記離散フーリエ変換された電圧波形を用いて前記各負荷にかかる電圧に対する電圧全高調波含有率を算出することを特徴とする請求項12に記載の電力品質指数測定装置。
【請求項18】
前記全高調波歪み率算出部は、
【数4】

の式を用いて前記電流全高調波含有率および前記電圧全高調波含有率を算出することを特徴とする請求項17に記載の電力品質指数測定装置。
【請求項19】
前記歪み電力品質指数算出部は、
【数5】

の式を用いて前記歪み電力品質指数を算出し、
前記式において、LCは前記需要家の電気負荷構成率であり、pは需要家負荷の種類であり、THDIpは各負荷における電流全高調波含有率であり、THDVpccはPCCにおける電圧全高調波含有率であることを特徴とする請求項17に記載の電力品質指数測定装置。
【請求項20】
前記歪み電力品質指数算出部は、前記各負荷の歪み電力品質指数を用いて前記需要家の各負荷に対する歪み電力の発生程度を比較することを特徴とする請求項12に記載の電力品質指数測定装置。
【請求項21】
前記歪み電力品質指数算出部は、前記各負荷の歪み電力品質指数を前記各負荷の歪み電力品質指数間の合で割って標準化し、前記標準化された各負荷の歪み電力品質指数を用いて前記需要家の各負荷に対する歪み電力の発生程度を比較することを特徴とする請求項12に記載の電力品質指数測定装置。
【請求項22】
需要家の引込口の全体電流波形および前記需要家に設置された1つ以上の負荷それぞれに対する電流波形を測定する電流波形測定部と、
前記各負荷に対する電圧波形を測定する電圧波形測定部と、
前記引込口の全体電流波形および前記各負荷の電流波形を用いて前記需要家の電気負荷構成率を算出する電気負荷構成率算出部と、
前記各負荷の電流波形および電圧波形を用いて前記各負荷の全高調波含有率を算出する全高調波含有率算出部と、
前記電気負荷構成率および前記全高調波含有率を用いて前記各負荷に対する歪み電力品質指数を算出する歪み電力品質指数算出部と、
を含むことを特徴とする電力量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−545758(P2009−545758A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530291(P2009−530291)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際出願番号】PCT/KR2007/005628
【国際公開番号】WO2009/028763
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(506157422)インダストリー‐アカデミック・コオペレイション・ファウンデイション,ヨンセイ・ユニバーシティ (8)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRY‐ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION, YONSEI UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】YONSEI UNIVERSITY, 134, SHINCHON‐DONG, SEODAEMUN‐GU, SEOUL 120‐749, KOREA