説明

歯をブラッシングするためのマウスピース

マウスピースは、ユーザの口腔に挿入されるとき、ユーザの上方及び下方の歯の一式を受容するよう構成される部分(12,14)を備えるマウスピース本体(10)を有する。歯洗浄組立体(16)は該受容部分において取り付けられ、歯の洗浄に対するブラシ毛、及び歯を磨いて洗浄するよう歯に対してブラシ毛を動かすためのシステムを有する。洗浄組立体に対する制御要素(22)は、舌、頬、唇、又は顎等であるユーザの口腔の選択された内部又は要素によって始動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的にマウスピースに係り、より具体的には歯の洗浄を達成するマウスピースに係る。
【背景技術】
【0002】
歯の洗浄が関係する口腔衛生は典型的に、ユーザによって口腔へと挿入されて口腔の各場所に案内される手動又は電動の歯ブラシによって達成される。歯ブラシには洗浄に対して様々な成功度があり、電動歯ブラシは一般的に手動よりも有効性がある。しかしながら、全ての歯ブラシの有効性はユーザの技術及び忍耐の程度に大きく依存する。
【0003】
歯の洗浄はまた、口腔内へと挿入され、典型的には口腔の外側に位置付けられる制御部材に対して接続されるマウスピースの使用によって実行され得る。場合によっては、該装置は、マウスピースにおいて接触制御を行なうよう指を口腔へと挿入することによって制御され得るが、これは汚く不快であり得るため不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、マウスピースの制御又は操作に対してユーザの一部の関与又は手動労力を必要とすることなく、典型的には一度で歯を洗浄することができるマウスピースを有することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本願において開示される歯の洗浄に対するマウスピースは、マウスピース本体と、歯洗浄組立体と、制御組立体と、を有する。マウスピース本体は、該マウスピース本体が口腔内に挿入されるときにユーザの歯群の少なくとも一部領域を受容するよう構成される。歯洗浄組立体は、マウスピース本体において位置付けられ、ブラシ毛(bristles)及び歯を洗浄するよう歯に対して該ブラシ毛を動かすためのシステムを有する。制御組立体は、歯洗浄組立体を制御するようユーザの口腔の選択された内部又は要素によって始動される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】複数の異なる制御部材を備える歯洗浄マウスピースの斜視図である。
【図2】歯を洗浄するよう使用されるブラシ毛を図示する、マイクロプロセッサ制御を有する歯洗浄マウスピースの斜視図である。
【図3】図1中のマウスピースに対する1つの歯洗浄組立体の断面図である。
【図4】他の歯洗浄組立体の斜視図である。
【図5】他の歯洗浄組立体の平面図である。
【図6】マウスピースにおいて適所にある図4及び5中の歯洗浄組立体の斜視図である。
【図7】マウスピースに対するフィードバック配置を示す単純化された機械図である。
【図8】他の制御配置を備えるマウスピースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1及び図2は、ユーザの口腔内において概して便利に適合するマウスピース10を示す。図示される実施例におけるマウスピース10は上方歯受容部12及び下方歯受容部14を有し、該上方及び下方歯受容部は夫々、上顎及び下顎における全ての歯を受容するよう構成される。しかしながら、他の実施例は、上顎及び/又は下顎における前方及び隣接する歯のみ等である口腔内の歯の一部のみ又は他の領域を受容する構造を備えてもよい。歯洗浄組立体は、歯受容部内において位置付けられ、全体的に参照符号16で示される従来のブラシ毛の一式を有する。該ブラシ毛は、歯を洗浄するよう効率的である使用可能な多種のブラシ毛のいずれかであり得、例えば歯洗浄マウスピースに対して適切な長さ及び直径を有するナイロンのブラシ毛を有する。故にブラシ毛16は概して、歯の表面の洗浄をもたらすよう配置及び構成される。
【0008】
更に、歯受容部及び該は受容部において位置付けられるブラシ毛は、マウスピースが完全に口腔内に挿入されるときにブラシ毛が歯全体又は歯の選択された一部に接触し、続いて作動中に動かされ、以下において詳述される通り歯において磨き効果をもたらすよう、配置される。ブラシ毛配置は、歯の表面全体を対象とする固定された個別のブラシ毛の一式ブラシ毛の束から、選択されたブラッシング時間にわたって全ての歯に接触するようユーザの制御によってマウスピースにおいて動くことができる小型のブラシ毛ヘッドまで、種類は多岐にわたり得る。
【0009】
図1は、マウスピースに対する多種の制御部材を示す。制御特徴は、オン/オフ制御、及びブラシ毛動作の振動数(frequency)又は振幅の制御を有する。1つの制御配置は、マウスピースの内側表面25に対して固定される装着(取付)要素23において位置決めされるボタン22を作動させるユーザの舌によって始動されるよう設計される。舌の先端は非常に器用であり、ボタン22又は類似する要素を作動させるよう前方、後方、上方、下方、及び側方に動くことができる。一方のボタン22はマウスピースのオン/オフ状態を制御することができ、他方のボタン歯ブラシ毛動作の振動数又は振幅規模を制御することができる。舌によってボタンに加えられ得る圧力は、マウスピースがどの程度広く顎を開放させるかに依存する。舌によって加えられる圧力は、顎が閉じられた状態に対して50−80kPaであり、顎が開かれた状態に対して26−44kPaである。このような圧力の範囲に反応するボタンが使用可能である。ボタンに加えて、圧縮スイッチ(compression switches)、タッチセンサ、圧力センサ、トグルスイッチ、又はロッカースイッチが使用され得る。
【0010】
図1を更に参照すると、ユーザの顎は、マウスピースの後方端部26,28において位置決めされるボタン24−24を作動させるよう使用され得る。マウスピース操作の制御はまた、通常はマウスピースの後方端部26,28の近くにおけるマウスピースの側部表面31に沿って位置付けられるボタン30に衝撃を与える頬の動作によって達成され得る。多少の練習によって、頬の運動は従来のボタンを作動させるよう十分であり得る。マウスピースを作動させるには、口腔の上述された部分/要素の使用に加えて、頭部を振ること等の他の運動も使用され得る。頭部を振ることに対しては、加速度計がマウスピースの作動を制御するよう使用され得る。制御部材に応力を加えるには、唇が使用されてもよい。図8は、唇の動作に反応する制御部材71及び72を有するマウスピース70を示す。
【0011】
図3は、マウスピースを有する歯のブラッシングを実際に実行する1つの配置を示す。上方の歯34及び下方の歯36は、ユーザの口腔で作動可能に位置付けられるマウスピースにおいて示される。典型的には耐久性のあるプラスチック材料であるマウスピース構造は、参照符号39において図示される。ベローズ要素40,41は、マウスピースの歯受容部の表面に隣接して位置付けられる。ブラシ毛42は、夫々のベローズ要素40,41に対して取り付けられる。例えばポンプ43によってベローズ要素40,41における圧力を変えることは、歯に向かうベローズの運動及び歯から離れるベローズの運動をもたらす。結果としてブラシ毛42も歯に対して動き、続いて歯から離れるよう動くため、結果としてある種の磨き動作によって歯を洗浄することになる。
【0012】
他の配置は図4乃至図6に示される。かかる配置において、複数の洗浄ヘッド組立体44−44は、マウスピース47の歯受容部において可動に位置付けられる。各洗浄ヘッド組立体44(図4)は、小さなハウジング45及び該ハウジングに対して取り付けられるブラシ毛46を有する。各洗浄ヘッド組立体はまた、歯受容部においてトラック49に沿ってヘッドを動かすことができる一組の回転体(ホイール)50−50(図5)を有する。洗浄ヘッド組立体は、携帯電話において使用される振動体(バイブレータ)に類似する振動体54によって駆動される。歯に対するブラシ毛の振動は、歯の洗浄をもたらす。洗浄ヘッド組立体の位置は、圧電ドライバ又は小型リニアアクチュエータによって制御され得る。舌は、洗浄ヘッドをマウスピースに沿って所望の箇所まで案内するよう制御組立体52に係合し得る。
【0013】
歯の洗浄をもたらすマウスピースにおける特定のブラッシング配置は他にもあり得る、ことは理解されるべきである。
【0014】
上述に加えて、マウスピースはマイクロプロセッサ52(図2)を有し得る。マイクロプロセッサメモリは、特定の洗浄効果を与えるよう、異なる圧力又はブラッシング回数に関する複数の異なるモード又はルーチンを有し得る。マイクロプロセッサはまた、舌操作によって制御され得る。
【0015】
故にマウスピースは、口腔構造自体の要素/部分によって制御されて歯の非常に効果的な洗浄を与えるよう具体的に構成され得るため、マウスピースは、ユーザの手等による手動操作を必要とすることなく口腔内において維持され得る。
【0016】
複数のフィードバック配置(feedback arrangements)はまた、マウスピースの状態における変化又は作動状態をユーザに対して示すよう、マウスピースと共に使用され得る。1つの配置においては、フィードバックは触知性である。即ちユーザは、2つの位置を備えるボタン等である制御ボタンの2つの作動状態の間の差異を感じることができる。他の配置において、マウスピースが始動されるときに点(point)又は同様の要素が上昇する(come up)。更に他の配置においては、図7に示される通り熱が使用される。ボタンスイッチ60が舌又は他の口腔部材を介して作動されるとき、加熱コイル62は始動され、スイッチに対する熱伝導/電気絶縁カバー66を加熱する。ユーザは、スイッチが特定の位置にあるときを示すカバースイッチにおける温度の変化を感知することができる。コイルをスイッチの直下とは異なる箇所に位置付けることも可能である。更に他の配置において、電気信号がフィードバックに対して使用され得る。口腔に接触する導体素子は、ユーザが感知することができる電気信号を与えることができる。
【0017】
故に、口腔内において完全に実行されるよう設計された新しいマウスピースは、歯の効果的な洗浄に対して開示される。多種の洗浄配置並びに舌等である口腔の多種の身体的部位による作動を含む多種の制御配置は使用され得る。
【0018】
本願において本発明の望ましい実施例は例証を目的として開示されているが、多種の変更、修正、及び代替は、添付の請求項によって定義付けられる本発明の趣旨から逸脱することなく実施例において行なわれ得る、ことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯の洗浄に対するマウスピースであって:
マウスピース本体と;
該マウスピース本体において位置付けられる歯洗浄組立体と;
制御組立体と、
を有し、
前記マウスピース本体は、口腔内に挿入されるときにユーザの歯群の少なくとも一部を受容するよう構成され、
前記歯洗浄組立体は、ブラシ毛と、前記歯を洗浄するよう前記歯に対して前記ブラシ毛を動かすためのシステムとを有し、
前記制御組立体は、前記歯洗浄組立体を制御するよう前記ユーザの前記口腔の選択された内部又は要素によって始動される、
マウスピース。
【請求項2】
前記制御組立体は、前記ユーザの舌動作又は唇動作に反応するよう位置付け及び配置される、
請求項1記載のマウスピース。
【請求項3】
前記制御組立体は、前記ユーザの頬の運動に反応するよう位置付け及び配置される、
請求項1記載のマウスピース。
【請求項4】
前記制御組立体は、前記ユーザの顎の運動に反応するよう位置付け及び配置される、
請求項1記載のマウスピース。
【請求項5】
前記制御組立体は、前記マウスピース本体において取り付けられる少なくとも1つのボタンを有する、
請求項1記載のマウスピース。
【請求項6】
前記歯洗浄組立体は、前記ブラシ毛が取り付けられるベローズ部材と、前記歯に対して並びに前記歯から離れて前記ブラシ毛を動かすよう前記ベローズ部材に対して接続されるポンプとを有する、
請求項1記載のマウスピース。
【請求項7】
前記歯洗浄組立体は、前記マウスピース本体に沿って可動である洗浄ヘッドを有し、
該洗浄ヘッドは、ブラシ毛と、前記歯に対して並びに前記歯から離れて前記ブラシ毛を動かすよう制御される振動体とを有する、
請求項1記載のマウスピース。
【請求項8】
マイクロプロセッサを有し、
該マイクロプロセッサは、ブラシ毛の圧力及び作動時間の異なる組合せを含む前記歯洗浄組立体の作動の複数の選択可能なモード又はルーチンを有する、
請求項1記載のマウスピース。
【請求項9】
前記マウスピース本体は、前記ユーザの実質的に全ての歯を受容及び洗浄するよう構成される、
請求項1記載のマウスピース。
【請求項10】
前記制御組立体は、前記歯洗浄組立体の作動状態に関するフィードバック情報を前記ユーザに対して与えるためのシステムを有する、
請求項1記載のマウスピース。
【請求項11】
前記フィードバックは、前記制御組立体の選択された一部又は前記マウスピース本体の選択された一部の温度変化、あるいは前記ユーザの口腔の選択された要素に対して方向付けられる電気信号の形である、
請求項10記載のマウスピース。
【請求項12】
前記フィードバックは、前記制御組立体の1つ又はそれより多くの要素の空間位置の形である、
請求項10記載のマウスピース。
【請求項13】
前記フィードバックは、前記マウスピース本体からの隆起の提示の形である、
請求項10記載のマウスピース。
【請求項14】
前記制御組立体は、前記ユーザの口腔の前記選択された内部又は要素によって接触されるボタンを有する、
請求項1記載のマウスピース。
【請求項15】
前記制御組立体は、前記ユーザの口腔の前記選択された一部又は要素によって接触される、圧縮スイッチ、タッチセンサ、圧力センサ、トグルスイッチ、又はロッカースイッチから選択される接触要素を有する、
請求項1記載のマウスピース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−523879(P2011−523879A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513077(P2011−513077)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052239
【国際公開番号】WO2009/150559
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】