説明

歯を白くするストリップ

歯を白くする製品が提供される。歯を白くする製品は、水和可能なポリマー及び可塑剤から形成されたフィルムを包含する。このフィルムは、第一面及び第二面と、そのフィルムの一方の面にコーティングとして塗布された歯を白くする薬剤とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯を白くするためのストリップに関し、より詳細には、歯を白くする薬剤を包含する、歯を白くするためのストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
歯を白くすることは、過去数年にわたって大変人気を呼んでいる。消費者はますます彼らの歯を白くすることを選択している。歯を白くするための選択肢には、練り歯磨き、口内洗浄剤、チューインガム、医院内での漂白、及び最も一般的には、店頭販売又は歯科医のいずれかから入手されるトレイと共に用いられる、歯を白くする溶液が挙げられる。化学的な歯を白くする活性物質と材料のストリップとを組み合わせて用いる歯を白くする製品は、当該技術分野において既知である。例えば、米国特許第6,419,906号(その実質部分を本明細書に参考として組み込む)は、水和可能なポリマーから形成された材料のストリップと、歯を白くする薬剤とを備える歯を白くする製品について記載している。これらの歯を白くする製品は、意図された目的のために機能し得るが、これら歯を白くする製品の効能、安定性及び美観を向上させたいという引き続き存在する要望がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
歯を白くする製品が提供される。1つの歯を白くする製品は、水和可能なポリマーコーティング及び可塑剤から形成されたフィルムを包含する。このフィルムは、第一面及び第二面と、そのフィルムの一方の面にコーティングとして塗布された歯を白くする薬剤とを有する。他の実施形態において、歯を白くする製品は、複数個の繊維から形成されたウェブを包含し、これら繊維は、複数個の空隙を提供するように配置される。歯を白くする薬剤を有する水和可能なポリマーは、ウェブ上に堆積される。他の実施形態において、水和可能なポリマーと歯を白くする薬剤とを含む穿孔フィルムが提供される。更に他の実施形態において、各層に水和可能なポリマーを含み、それら層の少なくとも1つに歯を白くする薬剤を含む多層フィルムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本明細書は、本発明を特定して指摘し及び明白に請求する請求項によってまとめられているが、添付図面と共になされる以下の記述により、本発明は更によく理解されると考えられる。
【0005】
本発明の好ましい実施形態について詳細に述べるが、それらの実施例は添付図面に図解されており、図を通して同種の数字は同じ要素を示し、同じ最後の2桁の数字を有する要素(例えば20及び120)は類似の要素であることを暗示する。本発明は、フィルム又はストリップ形状であって、歯ホワイトング剤と水和可能なポリマーとを含む歯を白くする製品に関する。好ましくは、水和可能なポリマーはまた、少なくとも部分的に水溶性である(即ち、添加したポリマーの一部のみが水に溶解する)。本発明は本明細書においてこれらフィルム又はストリップに関して記載されるが、本発明は、デンタルトレイなどの他の歯を白くする製品と共に使用可能であると考えられる。本発明と共に使用するのに好適な水和可能なポリマーとしては、エチレンオキシドポリマー、ホモポリマー又は約10,000ダルトン〜約10,000,000ダルトン、好ましくは約100,000ダルトン〜約1,500,000ダルトンの範囲の様々な分子量を有するエチレンオキシドポリマーの混合物が挙げられる。かかるエチレンオキシドポリマーは、様々な供給源から商業的に入手可能である。分子量が10,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲のポリエチレンオキシドは、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Company)から「ポリオックス(Polyox)」という商品名で入手可能である。他の水和可能なポリマーとしては、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、カーボポール、ポリビニルアルコール、エチルビニルアセテート、アルギン酸ナトリウム、メチルメタクリレート、キサンガンガム、ペクチン、プルラン、グアーガム、寒天、ポリビニルピロリドン(PVP)、カラギーナン、セルロース類(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロース)及びこれらの混合物が挙げられる。フィルムの厚さは変更してもよいが、以下により十分に記載されるように、フィルムの厚さは、約0.1μm〜約1500μmであってもよい。
【0006】
口腔内での唾液による水和可能なポリマーの水和により、ポリマーマトリックスに配合された歯を白くする薬剤が可溶化される。歯を白くする薬剤は、次いで、歯を白くする製品から歯の表面に放出され、この歯の表面に対してフィルムが適用される。本発明の実施に適する歯を白くする薬剤としては、過酸化物、塩素酸金属塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過オキソ酸、過硫酸塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な過酸化物化合物には、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム及びこれらの混合物が挙げられる。好適な亜塩素酸金属塩としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸カリウムが挙げられる。好ましい亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウムである。好ましい過炭酸塩は、過炭酸ナトリウムである。好ましい過硫酸塩はオキソン(oxone)である。
【0007】
任意には、水和可能なポリマーは、可塑剤と混合してもよい。好適な可塑剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、グリセリン及びソルビトールなどの多価アルコール類及びグリセロールトリアセテートなどのグリセロールエステル類が挙げられる。プロピレングリコール又はユニオンカーバイド社(Union Carbide Corporation)から分子量が200ダルトン〜600ダルトンのカーボワックス(Carbowaxes)シリーズとして入手可能であるようなポリエチレングリコールと同様、グリセリンを使用することができる。他の可塑剤としては、セルロースエステル、セバシン酸エステル、ヒマシ油、トリクレジルホスフェート及びフタレートアジペート(pthalate adipate)が挙げられる。
【0008】
本発明の一実施形態において、歯を白くする製品20は、水和可能なポリマーフィルム22と、固体の歯を白くする薬剤とを含み、この固体の歯を白くする薬剤は、図1に示すように、水和可能なポリマーフィルム22の一方の面にコーティング24として塗布されている。固体の歯を白くする薬剤は、フィルムがまだ粘着性である間、又はフィルムが乾燥した後又は硬化した後に塗布することができる。このように歯を白くする薬剤を塗布することにより、フィルムを形成する際に溶媒として使用されたであろう水に対する歯を白くする薬剤の曝露が減少し、また、全体的に歯を白くする薬剤が分散した水和可能なフィルムと比較して、水和可能なポリマーと歯を白くする薬剤との間の接触量が減少する。更に、この実施形態では、歯に塗布される歯を白くする薬剤の歯表面での濃度が増大する。かかるコーティングは、使用中に歯の表面に直接隣接する及び/又は歯の表面と接触するので、歯を白くする薬剤が歯表面に向かって一方向に拡散するのを助けることもできる。水和可能なポリマーフィルムの一方の面に塗布することができる好適な固体の歯を白くする薬剤としては、過酸化カルビミド(carbimide)、過酸化カルシウム、過炭酸塩、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸塩、過硫酸塩、及びこれらの混合物が挙げられる。これら歯を白くする薬剤は、噴霧されるか、グラビア印刷、ミスト研削、ドロップ粉砕及び当該技術分野で既知の他のプロセスにより塗布されることもできる。
【0009】
固体の歯を白くする薬剤のコーティングは、水和可能なポリマーフィルムの全部又は一部を被覆し得る。コーティングの厚さは、約0.001μmよりも大きいか、又は約0.005μmよりも大きいか、又は約0.01μmよりも大きいか、又は約0.05μmよりも大きいか、又は約0.1μmよりも大きいか、又は約1μmよりも大きいか、又は約5μmよりも大きいか及び/若しくは約100μm未満であるか、又は約50μm未満であるか、又は約10μm未満であるか、又は約1μm未満であり得る。歯を白くする薬剤の単位面積当たりの投与量は、少なくとも約0.001mg/cm2であるか、又は少なくとも約0.005mg/cm2であるか、又は少なくとも約0.01mg/cm2であるか、又は少なくとも約0.05mg/cm2であるか、又は少なくとも約0.1mg/cm2であるか、又は少なくとも約1mg/cm2であるか、又は少なくとも約10mg/cm2であるか、又は少なくとも約100mg/cm2であるか及び/若しくは約500mg/cm2未満であるか、又は約250mg/cm2未満であるか、又は約100mg/cm2未満であるか、又は約10mg/cm2未満であり得る。他の材料を固体の歯を白くする薬剤と混合するか、又は固体の歯を白くする薬剤を塗布する前若しくは後に順次塗布することができる。例えば、結合剤、接着剤、デンプン、甘味剤及び風味剤、着色剤(例えば、ストリップの活性面を非活性面から区別するのを助ける)、及び他の口腔ケア活性物質を、塗布工程の一部として塗布することができる。固体の歯を白くする薬剤を、乾燥した形状で塗布することができるが、塗布中、歯を白くする薬剤と共に溶媒を使用できると考えられる。一実施形態において、水和可能なポリマー及び歯を白くする薬剤の両方を可溶化する溶媒は、歯を白くする薬剤を水和可能なフィルムの表面に塗布する時に用いることができる。このプロセスにおいて、歯を白くする薬剤は溶媒中に可溶化され、次いで、水和可能なポリマーの表面に塗布され、それにより、溶媒はフィルムの一部を可溶化することができるので、歯を白くする薬剤はフィルム内の少なくとも一部に分散される。あるいは、溶媒は歯を白くする薬剤を可溶化するのみであってもよく、この場合、溶媒が蒸発するか又は除去された後に、フィルムの一方の面上に別個のコーティングが形成される。好適な溶媒としては、所与の温度で歯を白くする薬剤を可溶化し得るが、その温度では水和可能なポリマーを可溶化しない溶媒を挙げることができる。幾つかの例としては、セロソルブアセテート、アニソール、1,4−ジオキサン、エチルアセテート、エチレンジアミン、ジメチルセロソルブ、セロソルブ溶媒、エタノール、カルビトール溶媒、n−ブタノール、クイル(cuyl)セロソルブ、n−ブチルアセテート、2−プロパノール及びメチルセロソルブが挙げられる。
【0010】
水和可能なポリマーフィルム22は、従来の押出成形、カレンダー、プレス又は溶液流延法を用いて調製することができる。例えば、ポリエチレンオキシドを溶液流延することによってフィルムを調製するには、エチレンオキシドポリマー又はポリマーの混合物を、ポリマーと相溶性である十分な量の溶媒に溶解する。好適な溶媒の例としては、水、アルコール、アセトン、エチルアセテート、又はこれらの混合物が挙げられる。溶液が形成された後、可塑剤を攪拌しながら添加し、透明で均質な溶液が形成されるまで、溶解を助けるべく必要であれば熱を加え、次いで、歯を白くする薬剤と、風味剤などのその他の成分を添加する。溶液は、好適な支持材料上にコーティングされ、乾燥されてフィルムを形成する。支持材料は、2つの基材間に破壊結合を形成するために、浸漬することなく意図された支持材料幅にわたってポリマー溶液を均一に放散させる表面特性を有していなければならない。好適な支持材料の例としては、ガラス、ステンレススチール、テフロン(登録商標)、ポリエチレン含浸クラフト紙が挙げられる。フィルムの乾燥は、乾燥オーブン、乾燥トンネル、真空乾燥機又はその他好適な乾燥機器を用いて高温の空気槽において行われてもよく、その後、歯を白くする薬剤をフィルム上に噴霧することができる。
【0011】
本発明の他の実施形態において、歯を白くする薬剤の効能及び/又は安定性は、水以外の溶媒で水和可能なフィルムを形成することによって増大し得る。それにより、この形成プロセス中、歯を白くする薬剤は水と接触せず、フィルムの製造後に残留水は残らない。本明細書で使用する時、用語「安定性」とは、ある材料が一定の期間にわたって元来の濃度又は構造を維持するという傾向を指すことを意図する。本明細書において、用語「効能」とは、単位時間当たりの歯の歯を白くする量を指すことを意図する。1つのプロセスにおいて、水和可能なポリマー及び歯を白くする薬剤は混合され、次いで押出機に供給され、そのスクリューが、機械的作用により水和可能なポリマーを溶融する。次いで、溶融したポリマーは押出されてフィルムとなり、歯を白くする製品に成形される。
【0012】
また、歯を白くする薬剤の効能は、フィルムを形成する水和可能なポリマーの量を低減することによって増大され得る。1つの実施形態において、水和可能なポリマーフィルムは、水和可能なポリマーの量を低減すべく、水不溶性有機及び/又は無機添加物を更に含み、それにより、使用中、歯を白くする薬剤の可溶化が最大になる。好適な水不溶性有機材料としては、ポリオレフィン類(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン及びこれらのコポリマー)及びポリエステルが挙げられる。好適な水不溶性無機材料としては、リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム及び二酸化チタニウム及びシリカが挙げられる。水不溶性添加物は、フィルムの少なくとも約10重量%、又は少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%及び/若しくは約90重量%未満、又は約80重量%未満、又は約70重量%未満、又は約50重量%未満、又は約40重量%未満、又は約30重量%未満を含み得る。これらの実施形態において、水和可能なポリマーの量は、フィルムの少なくとも約5重量%、又は少なくとも約10重量%、又は少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%及び/若しくは約90重量%未満、又は約80重量%未満、又は約70重量%未満である。水不溶性添加物は、フィルムに配合される前に粉砕され得る。1つの実施形態において、水不溶性添加物の平均粒径は、少なくとも約1μm、又は少なくとも約20μm、又は少なくとも約25μm及び/若しくは約100μm未満、又は約50μm未満、又は約25μm未満、又は約10μm未満である。歯を白くする薬剤との反応に利用できる水和可能なポリマーの量を低減することに加えて、歯の表面で利用可能な歯を白くする薬剤の濃度が水和中に増大され得る。その理由は、水和可能なポリマーを水和するか、又は別の方法で可溶化するよりも、歯を白くする薬剤を可溶化する方がより多くの水を利用できるからである。歯を白くする薬剤は、米国特許第6,419,906号に記載されるように水和可能なポリマーと混合されるか、前述のようにフィルム上にコーティングされ得る。
【0013】
本発明の更に別の実施形態において、フィルムの水和を向上すべく、ウェブ、スクリム又はメッシュが歯を白くする製品に組み込まれる。ウェブ、スクリム又はメッシュは、ランダムな又は繰り返しの幾何学的パターンで整列される繊維から形成することができる。図2を参照すると、ウェブ32を具備する歯を白くする製品120が例証される。ウェブ32は、繰り返しの幾何学的パターンで配置される繊維34から形成される。それら繊維は、1つ以上の水和可能なポリマーから形成されることができ、その中に歯を白くする薬剤を配合してもよい。あるいは、それら繊維を水不溶性材料から形成することもでき、この場合、ウェブは、水不溶性材料を配合する前述のフィルムと同様な様式で機能する。繊維は、それら繊維間に空隙36を設けるような様式で配置される。空隙は、ウェブ32の水和を促進し、それ故、歯を白くする薬剤の可溶化を促進することができる。空隙の大きさは様々であるか、又はウェブ全体にわたって実質的に一定の大きさであり得る。例えば、空隙は、所望の水和率に応じて、ある領域ではより小さく、別の領域ではより大きいこともある。繊維34の直径は、少なくとも約1μm、又は少なくとも約5μm、又は少なくとも約10μm、又は少なくとも約20μm、又は少なくとも約50μm及び/若しくは約200μm未満、又は約100μm未満、又は約50μm未満、又は約20μm未満である。繊維間の間隔38は、少なくとも約1μm、又は少なくとも約5μm、又は少なくとも約10μm、又は少なくとも約20μm、又は少なくとも約50μm、又は少なくとも約1mm、又は少なくとも約1.5mm及び/若しくは約5mm未満、又は約2.5mm未満、又は約1.5mm未満、又は約50μm未満である。
【0014】
代替実施形態において、図3に示す歯を白くする製品220は、コーティング又はそれに塗布された層44を有するウェブ32を具備する。ウェブ32は、水和可能なポリマー又は他の材料、例えば他のポリマー(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)及びセルロースから形成することができる。ウェブ32の繊維34は、ランダム又は繰り返しパターンで配置され得る。コーティング44は、水和可能なポリマーと、歯を白くする薬剤とを含む。このコーティングには、可塑剤、水、水不溶性添加物などの他の材料が包含され得る。コーティングは、実質的に固体の層がウェブ32上に形成されるように空隙36をブリッジする(bridge)ことができる。コーティングは、歯を白くする製品320に関して、図3に示すように空隙を完全に充填するか、又は図4に示すように空隙を部分的に充填してもよい。空隙が部分的に充填される時、形成されるポケット50は、ウェブの水和を促進し、故に、歯を白くする薬剤の可溶化及び放出を促進し得る。あるいは、コーティング44は、歯を白くする製品420に関して、図5に示すように空隙を部分的にブリッジするだけの場合もあり得る。更に他の実施形態において、コーティング44は、歯を白くする製品520に関して、図6に例として示すように、ウェブ32の空隙36をブリッジせず、繊維34を単に全体的又は部分的にコーティングするだけである。
【0015】
コーティング及び/又は繊維内の歯を白くする薬剤の濃度及び水和可能なポリマーの量は、コーティングが空隙をブリッジする及び/又は繊維をコーティングする程度に応じ、また歯を白くする薬剤の所望の可溶化率に基づいて、これらウェブ実施形態内で変更することができる。理解されるように、一実施形態においては、空隙を完全に充填すること、空隙を部分的に充填すること、空隙を部分的に埋めること、及び繊維をコーティングすることを如何様にも組み合わせて提供することができる。
【0016】
関連実施形態において、図7に示すように、明瞭なウェブ又はスクリムがない穿孔フィルムが提供されてもよい。歯を白くする製品620において、水和可能なポリマーと、歯を白くする薬剤と、可塑剤とを含む単層又は多層フィルムが提供されてもよい。このフィルムは、乾燥又は硬化した後に穿孔され得る。穿孔プロセス中に形成される空隙、孔又は開口630は、フィルムの厚さを完全に貫通することができ、又はフィルムの厚さの一部のみを貫いてもよい。空隙636は、ウェブの空隙について前述したように、同一の直径を有し得る。空隙636は、前述のように、ランダム又は繰り返しパターンで設けられ、その大きさ及び形状を変更することができる。更に、この実施形態は、前述のような歯を白くする薬剤のコーティング又は前述の実施形態の他の機構を包含し得る。
【0017】
本発明の他の実施形態において、歯を白くする製品720は、図8に示すように、積層フィルムの形状で提供される。積層フィルムは、水和可能なポリマーを含む2以上の層を含む。歯に塗布されるべき第一層64は、歯を白くする薬剤を更に含む。水和可能なポリマーは、第一層の少なくとも約1重量%、又は少なくとも約10重量%、又は少なくとも約20重量%及び/若しくは約90重量%未満、又は約70重量%未満、又は約50重量%未満を構成する。歯を白くする薬剤は、第一層の少なくとも約1重量%、又は少なくとも約10重量%、又は少なくとも約15重量%及び/若しくは約70重量%未満、又は約60重量%未満、又は約50重量%未満を構成する。第一層の残余部分は、水、又は前述の水不溶性添加物若しくは可塑剤などの他の材料を含み得る。唇及び/又は頬に使用中に隣接して位置する第二層66は、歯を白くする薬剤を含まないのが好ましい。第二層66の水和可能なポリマーは、第二層の少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%、又は少なくとも約40重量%及び/若しくは約100重量%未満、又は約90重量%未満、又は約80重量%未満を構成する。可塑剤は、第二層の少なくとも約0.1重量%、又は少なくとも約1重量%、又は少なくとも約2重量%及び/又は約40重量%未満、又は約30重量%未満、又は約20重量%未満を構成する。第二層66の残余部分は、水、水不溶性添加物、又は歯を白くする薬剤以外の口腔ケア活性物質などの他の材料を含み得る。本発明と共に使用するのに適する他の口腔ケア添加物の例としては、リン酸塩(例えば、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、及びこれらの混合物)、フッ化物イオン源、抗菌剤、抗炎症剤、栄養素及び酵素が挙げられる。これら口腔ケア活性物質は、米国特許第6,096,328号(及びその中で引用される特許文献)において更に記載されており、その実質部分を本明細書に参考として組み込む。また、これらの口腔ケア活性物質を、単層のみからなり、水和可能なポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド)及び可塑剤から形成されたフィルムに配合することもでき、その基本的な形成は、米国特許第6,419,906号に記載されている。
【0018】
歯を白くする製品720の第一層64及び第二層66の組成は、異なる機能性を付与するように適合され得る。例えば、第一層64は、第二層66よりも少ない水和可能なポリマーを含んでいてもよく、それにより、第一層64は歯を白くする薬剤をより迅速に水和し、それにより歯を白くする薬剤をより迅速且つより効果的に可溶化する(即ち、より高い濃度をより迅速に提供する)。第二層は、水和可能なポリマーを比較的多く含有することができ、それにより第二層は、歯を白くする製品の裏側からの幾らかの水和を許容しつつも、可溶化された歯を白くする薬剤が歯から離れて放散するのを防ぐ障壁層として機能する。また、第二外側層は、より多くの水和可能なポリマーを含むので、第一層64よりも長くフィルム様の状態で残留し、それにより、歯を白くする薬剤はより長い期間歯に作用する。また、第二層が歯を白くする薬剤を含まないと、過酸化物源が唇及び頬の軟組織に直接隣接しないので組織の許容性が向上し得る。歯を白くする製品720は、初めに第一層を成型し、次いで、第一層が乾燥又は硬化する前又はその後に、第二層を第一層の上に成型することによって形成することができる。それらの層は複数個のローラによって共にプレスされることができ、これらのローラはその間に第一層及び第二層が通過する少量の隙間があるように整列されている。第一層及び第二層は、同じ水和可能なポリマー又は別個の水和可能なポリマーを含み得る。
【0019】
本発明の別の局面において、水和可能なポリマーと、歯を白くする薬剤とを含むフィルムは、薄い形状で、歯を白くする薬剤の濃度が高められて提供される。フィルムの厚さは、少なくとも約1μm、又は少なくとも約5μm、又は少なくとも約10μm、又は少なくとも約15μm及び/若しくは約2mm未満、又は約1mm未満、又は約0.5mm未満、又は約0.25mm未満、又は約0.1mm未満、又は約20μm未満、又は約15μm未満である。歯を白くする薬剤の濃度は、少なくとも約1%、又は少なくとも約10%、又は少なくとも約15%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約25%及び/若しくは約70%未満、又は約60%未満、又は約50%未満、又は約40%未満、又は約30%未満である。驚くべきことに、歯を白くする薬剤のこれら高い濃度レベルは、扱いにくいゴム製のダム又は他の人工的な軟組織障壁を必要とすることなく、許容できる軟組織許容性を維持しつつも使用することができる。本明細書で使用する時、語句「人工的障壁」とは、歯を白くする薬剤が歯に隣接する軟組織上に、漂白作用の間に移動することを防止する又は防止することを目的とするあらゆる物理的手段を指すことを意図する。その他の人工的障壁には、光重合型樹脂を挙げることができる。本明細書で使用する時、語句「軟組織の許容性」とは、ユーザが焼けるような若しくは刺すような痛みとして頻繁に表される知覚を感じる程度、又は歯肉組織の刺激を感じる程度を指すことを意図する。この知覚は、軽度から重度までの範囲であり得る。更に、歯を白くする薬剤を含まないのが好ましい1つ以上の層を、歯を白くする薬剤を含有する前述の層に隣接して設けることができる。
【0020】
本発明の前述の実施形態は、更に、10ナノメートル(nm)〜500ミクロン(μm)の厚さを有する薄い保護コーティング層などの他の層と組み合わせることができる。コーティング材料は、フィルムの柔軟性を妨害せず、歯を白くするストリップを歯の列の配置に一致させるのに十分な程薄い層で塗布される。コーティング材料は、高分子量(即ち、分子量は1,000,000ダルトンよりも大きい)の1つ又はその組み合わせであり、エチルセルロース、プロピルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロース、t−ブチルセルロース、セルロースアセテート、及びポリビニルアセテート及びセラックなどのポリビニルアルコールの誘導体などが挙げられる。
【0021】
フィルムの個々のストリップ又はロールがテープ状のディスペンサー内に設けられ得る時、本発明の歯を白くする製品は小袋に包装され得、ここで、個々のストリップは、口腔内で使用するためにロールから切断され得るか、又はフィルムは、所定の長さのストリップをフィルムのロールから分離させることを許容する穿孔若しくは他の脆弱性機構を備え得る。任意には、本発明の歯を白くする製品は更に剥離ライナーを包含し得る。剥離ライナーは、フィルム及び/又はウェブがそれ自体に対して呈するより、少ない親和性をフィルム及び/又はウェブに対して呈するあらゆる材料から形成することができる。剥離ライナーは、ポリマーフィルム、紙、ホイル、織布、不織布、及び当該技術分野で既知のその他好適な材料から形成することができる。任意には、剥離ライナーは、ろう、シリコーン、テフロン(登録商標)、フルオロポリマーなどのコーティングを含み得る。本発明のフィルムは、剥離ライナー上に直接形成することができる。剥離ライナーは、フィルムをその上に形成する前又は形成した後のいずれかで所望の大きさに切断することができる。本発明の歯を白くする製品はまた、米国特許第5,098,303号(この実質部分を本明細書に参考として組み込む)に記載されたもののようなデンタルトレイ用ライナーとしても提供され得、ストリップは、デンタルトレイのトラフに組み込まれる。
【0022】
本発明の歯を白くする製品を使用するにあたってフィルムは、口腔内にて唾液により水和されるか、又はストリップを水に浸漬することによって事前に濡らされて歯の表面に塗布する時、適当な様式で歯に適用されることになる。この点に関して、歯を白くする製品は、歯の列(上列又は下列)を被覆するのに適する幅寸法を有するように形成される。故に、歯を白くする製品を、歯の上列又は歯の下列に対して、別々に又は同時に塗布してもよい。歯を白くする製品の長さ寸法は、所望の被覆量により決定される。この点に関して、白くすることが望ましい歯の数が、製品の寸法を決定する。例えば、他人から最も見え易い前歯を白くすることのみが所望されることもある。従って、この場合の歯を白くする製品の長さは、全ての歯を白くすることが所望される場合と比べて、短くすることができる。製品を歯に塗布する期間は、外因性又は内因性の汚れの種類及び強度と同様、歯を白くする薬剤の種類及び濃度に左右される。
【0023】
本明細書に記載の実施形態は、本発明の原理及びその実際的応用の最良の説明を提供し、それによって当業者が本発明を様々な実施形態で、また企図される特定の用途に適するように様々な修正を行って利用できるようにするために、選択され説明された。このような全ての修正及び変形は、適正に、法的に、公正に権利を与えられる範囲に従って解釈される時、添付の請求項によって決定されるように本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に従って作成された歯を白くする製品の側部断面図であり、歯を白くする薬剤のコーティングがフィルムに塗布されている。
【図2】本発明の歯を白くする製品の別の実施形態の斜視図であり、歯を白くする製品は、ウェブと、ウェブの空隙を完全にブリッジするコーティングとを具備し、その下の機構を明らかにすべく、コーティングの一部が取り除かれている。
【図3】図2の歯を白くする製品の側部断面図であり、空隙は部分的に充填されたものとして示されている。
【図4】図2の歯を白くする製品の側部断面図であり、空隙は完全に充填されたものとして示されている。
【図5】本発明の歯を白くする製品の別の実施形態の斜視図であり、歯を白くする製品は、ウェブと、ウェブの空隙を部分的にブリッジするコーティングとを具備する。
【図6】本発明の歯を白くする製品の別の実施形態の斜視図であり、歯を白くする製品は、ウェブと、ウェブの空隙をブリッジしないコーティングとを具備する。
【図7】穿孔フィルムを具備する本発明の歯を白くする製品の他の実施形態の側部断面図。
【図8】第一層と、第二層とを具備する本発明の歯を白くする製品の他の実施形態の斜視図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の繊維から形成され、前記繊維が複数個の空隙を提供するように配置されたウェブと、
前記ウェブ上に堆積され、歯を白くする薬剤を含む水和可能なポリマーコーティングと
を備える歯を白くする製品。
【請求項2】
前記複数個の繊維の1つ以上は、前記水和可能なポリマーを含む請求項1に記載の歯を白くする製品。
【請求項3】
前記コーティングは、前記複数個の空隙の1つ以上を完全にブリッジする請求項1又は2に記載の歯を白くする製品。
【請求項4】
前記コーティングは、前記複数個の空隙の1つ以上を部分的にブリッジする請求項1又は2に記載の歯を白くする製品。
【請求項5】
前記コーティングは、前記複数個の繊維の1つ以上をコーティングするが、前記複数個の空隙の1つ以上をブリッジしない請求項1又は2に記載の歯を白くする製品。
【請求項6】
前記水和可能なポリマーコーティングは、更に1以上の水不溶性添加物を含み、
前記水不溶性添加物の量は、前記水和可能なポリマーコーティングの重量の少なくとも約30%である請求項1〜5のいずれか一項に記載の歯を白くする製品。
【請求項7】
前記水不溶性添加物の平均粒径は、約1μm〜約100μmである請求項8又は9に記載の歯を白くする製品。
【請求項8】
第一面及び第二面を有するフィルムに形成された水和可能なポリマー及び可塑剤と、
前記フィルムの一方の面にコーティングとして塗布された歯を白くする薬剤と
を含む歯を白くする製品。
【請求項9】
前記歯を白くする薬剤は、固体として適用される請求項8に記載の歯を白くする製品。
【請求項10】
前記歯を白くする薬剤は、前記フィルムの形成後に、溶媒と組み合わせて前記フィルムに塗布される請求項8又は9に記載の歯を白くする製品。
【請求項11】
前記フィルムの前記水和可能なポリマーとは別個の第二の水和可能なポリマーから形成された前記フィルムに隣接して配置された層を更に備える請求項8〜10のいずれか一項に記載の歯を白くする製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−508923(P2006−508923A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536166(P2004−536166)
【出願日】平成15年9月11日(2003.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2003/028612
【国際公開番号】WO2004/024104
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】