説明

歯ブラシケース

【課題】電動歯ブラシや手動歯ブラシの本体部から替えブラシを容易に取り外すための手段を備えた歯ブラシケースを提供する。
【解決手段】電動歯ブラシ1の本体部2とそれに着脱自在に取付けられる替えブラシ3とを横向き姿勢でそれぞれ収納可能な本体収納部11とブラシ収納部12とを有するケース本体13と、ケース本体13に開閉自在に取付けた蓋体14とを備えた歯ブラシケース10であって、替えブラシ3を本体部2から取り外すに際して、替えブラシ3をケース本体13に係止する係止手段15を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動歯ブラシや手動歯ブラシを収納するのに好適な歯ブラシケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動歯ブラシをバッグ等に収納して携帯するための歯ブラシケースとして、開閉自在な蓋を有するケース内に、本体部と替えブラシを収納する凹所を並列状に設けた歯ブラシケースが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2538452号公報
【特許文献2】特開平7−255526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1、2に記載の歯ブラシケースでは、電動歯ブラシを小型に収納するため、本体部から替えブラシを取り外して両者を並列状にケース内に収納しているが、替えブラシは本体部から脱落しないように本体部に対して比較的強固に嵌合されているため、電動歯ブラシの使用後に本体部から替えブラシを取り外すに際して手間取るという問題があった。特に、使用後の替えブラシは水で濡れていることから滑り易く、また替えブラシによっては、回転させた後本体部から引き抜くように構成されていることから、握力の弱い女性や子供やお年寄りにとっては、大変煩雑な作業であった。しかも、替えブラシは口腔内に挿入するものなので、衛生管理に十分に留意する必要があるが、手指で保持して抜き差しするときに、替えブラシに雑菌が付着するという問題もある。
【0005】
なお、特許文献1には、起立時に替えブラシの首部を挟んで保持する切欠部を有するブラシ台が記載されているが、このブラシ台は、単に凹所に対してチューブを装填する際に、チューブ装填用の空間を形成したり、装填した替えブラシの移動を拘束したりするためのものであり、本体部から替えブラシを取り外すときに用いるものではありません。
【0006】
本発明の目的は、電動歯ブラシや手動歯ブラシの本体部から替えブラシを容易に取り外すための手段を備えた歯ブラシケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る歯ブラシケースは、歯ブラシの本体部とそれに着脱自在に取付けられる替えブラシとを横向き姿勢でそれぞれ収納可能な本体収納部とブラシ収納部とを有するケース本体と、該ケース本体に開閉自在に取付けた蓋体とを備えた歯ブラシケースであって、前記替えブラシを本体部から取り外すに際して、前記替えブラシをケース本体に係止する係止手段を設けたものである。
【0008】
この歯ブラシケースでは、電動歯ブラシ又は手動歯ブラシからなる歯ブラシの本体部とそれに着脱自在に取付けられる替えブラシとを、ケース本体の本体収納部とブラシ収納部とにそれぞれ収納して、歯ブラシケースとともに歯ブラシを嵩張らないように携帯することができる。特に、歯ブラシとして電動歯ブラシを収納する場合には、本体部に替えブラシの駆動手段を内装することから、手動歯ブラシのように本体部を中空に構成して、本体部内に替えブラシを装填したりすることができず、手動歯ブラシと比べて大型になるので、本体部から替えブラシを取り外して両者を収納することで、電動歯ブラシを嵩張らないように収納できるので好ましい。
【0009】
また、この歯ブラシでは、係止手段によりケース本体に対して替えブラシを係止させながら、替えブラシを本体部から取り外すことができるので、替えブラシを手指で保持して本体部から取り外す場合と比較して、容易に替えブラシを取り外すことができる。しかも、替えブラシに対して直接的に手指を触れないで、あるいは多少触れるとしても軽くあてがうだけで、替えブラシを取り外すことができるので、替えブラシに手指の雑菌が付着することを抑制乃至防止できる。なお、本明細書において、電動歯ブラシの本体部とは、替えブラシを駆動する駆動手段や電池等を内装した、手で把持して替えブラシを操作する、替えブラシ以外の電動歯ブラシ本体を意味し、手動歯ブラシにおいて本体部とは、手で把持して替えブラシをブラッシング操作するためのハンドル部を意味する。
【0010】
ここで、前記係止手段として、前記ケース本体のブラシ収納部に、前記替えブラシの首部の両側に配置されて、前記本体部からの替えブラシの抜き方向への操作時に、前記替えブラシの植毛台に係合して替えブラシの抜き方向への移動を係止する1対の係止爪を設けることが好ましい実施の形態である。このように構成すると、替えブラシの首部の両側に係止爪が配置されるように、替えブラシをブラシ収納部に装填し、この状態で本体部から替えブラシを引き操作することで、替えブラシの植毛台に係止爪を係合させて、替えブラシを引き抜くことができ、引き抜いた替えブラシをそのままブラシ収納部に収納できる。この発明は、替えブラシをその軸線方向にのみ操作することで、歯ブラシから替えブラシを抜き取り操作できる歯ブラシに好適である。
【0011】
前記係止爪の先端部に前記替えブラシを保持する保持突部を設けることもできる。係止爪で替えブラシの移動を係止しながら、本体部から替えブラシを取り外す際には、替えブラシに対してケース本体の上方側への力がどうしても作用する。このため、本発明のように、係止爪の先端部に前記替えブラシを保持する保持突部を設け、替えブラシの上方への力を保持突部で受け止めて、替えブラシを係止手段によりケース本体に安定性良く係止することが好ましい。
【0012】
前記1対の係止爪の一方に替えブラシの上側へ延びる押え部を設けることも好ましい実施の形態である。前述のように、本体部から替えブラシを取り外す際には、替えブラシに対してケース本体の上方側への力が作用するので、本発明のように押え部を形成し、替えブラシの上方への力を押え部で受け止めて、替えブラシを係止手段によりケース本体に安定性良く係止することが好ましい。
【0013】
前記ケース本体に、前記替えブラシの植毛台の先端部が相対回転不能に嵌合する嵌合凹部を形成することもできる。このように構成すると、替えブラシをその軸線方向にのみ操作することで、本体部から替えブラシを抜き取り操作できる歯ブラシはいうまでもなく、本体部に対して替えブラシを一定角度回転させた後、軸方向に引き抜き操作することで、本体部から替えブラシを引き抜き操作可能な歯ブラシに対しても本発明を適用できる。
【0014】
前記ケース本体のブラシ収納部に本体部が挿通可能な切欠部を形成し、前記本体部に替えブラシを取付けた状態で、前記替えブラシをブラシ収納部に装填可能となし、前記蓋体に前記切欠部を閉鎖可能な閉鎖片を設けることが好ましい実施の形態である。この場合には、本体部から替えブラシを取り外す際には、替えブラシをケース本体のブラシ収納部に保持させて、替えブラシを取り外すことができ、その後、蓋体を閉じることで、切欠部を閉鎖片で閉鎖することができる。また、替えブラシを本体部に取付ける際には、蓋体を開いて切欠部を開放した状態で、ブラシ収納部に装填されている替えブラシに本体部を係合させて、本体部に替えブラシを取付けることができる。
【0015】
前記ケース本体のブラシ収納部に本体部が挿通可能な切欠部を形成し、前記本体部に替えブラシを取付けた状態で、前記替えブラシをブラシ収納部に装填可能となし、前記蓋体に前記切欠部を閉鎖可能な閉鎖片を開閉自在に設けることも好ましい実施の形態である。この場合には、例えば、本体部から替えブラシを取り外す際には、替えブラシをケース本体のブラシ収納部に保持させて蓋体を閉鎖し、切欠部から本体部をケース本体外へ突出させた状態で、替えブラシを取り外し、その後、蓋体を開いて本体部をケース本体に装填して閉蓋することで、本体部及び替えブラシをケース本体に収納することができる。また、替えブラシを本体部に取付ける際には、蓋体を開いて本体部を取り出し、蓋体を開いた状態或いは閉じた状態で、本体部の先端部を切欠部からケース本体内に挿入して替えブラシに係合させ、本体部に替えブラシを取付けることになる。このように、この発明では、手指を触れることなく替えブラシを本体部に対して着脱できるので、衛生的である。
【0016】
前記本体収納部とブラシ収納部とを並列状に設けることができる。このように構成することで、歯ブラシをコンパクトに収納することができる。
【0017】
前記ブラシ収納部を直列状に2つ設けることも好ましい。この場合には。歯ブラシケースを大型にすることなく、2本の替えブラシをケース本体内に収納することができる。同じ替えブラシを2本収納することもできるが、硬さの異なるフィラメントを植設した2種類の替えブラシや、植毛配列や植毛密度、毛束の個数の異なる2種類の替えブラシを収納して、ブラッシング部位などに応じて替えブラシを取り替えるように構成することもできる。
【0018】
前記ブラシ収納部と直列状に歯磨きチューブを収納するチューブ収納部を設けることもできる。この場合には、歯ブラシケースを大型にすることなく、歯磨きチューブをケース本体に内装でき、歯磨きチューブを別途持ち歩く必要がないので、携帯用の歯ブラシケースとして好適に利用できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る歯ブラシケースによれば、電動歯ブラシ又は手動歯ブラシからなる歯ブラシの本体部とそれに着脱自在に取付けられる替えブラシとを、ケース本体の本体収納部とブラシ収納部とにそれぞれ収納して、歯ブラシケースとともに歯ブラシを嵩張らないように携帯することができる。特に、歯ブラシとして電動歯ブラシを収納する場合には、本体部に替えブラシの駆動手段を内装することから、手動歯ブラシのように本体部を中空に構成して、本体部内に替えブラシを装填したりすることができず、手動歯ブラシと比べて大型になるので、本体部から替えブラシを取り外して両者を収納することで、電動歯ブラシを嵩張らないように収納できるので好ましい。また、係止手段によりケース本体に対して替えブラシを係止させながら、替えブラシを本体部から取り外すことができるので、替えブラシを手指で保持して、本体部から替えブラシを取り外す場合と比較して、容易に替えブラシを取り外すことができる。しかも、替えブラシに対して直接的に手指を触れないで、あるいは多少触れるとしても軽くあてがうだけで、替えブラシを取り外すことができるので、替えブラシに手指の雑菌が付着することを抑制乃至防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】歯ブラシケースの斜視図
【図2】歯ブラシケースの開蓋状態での平面図
【図3】歯ブラシケースの開蓋状態での側面図
【図4】図2のIV-IV線断面図
【図5】図2のV-V線断面図
【図6】替えブラシの取付構造の説明図
【図7】歯ブラシケースの使用方法の説明図
【図8】他の構成の歯ブラシケースの斜視図
【図9】同歯ブラシケースの開蓋状態での平面図
【図10】他の構成の歯ブラシケースの斜視図
【図11】同歯ブラシケースの開蓋状態での平面図
【図12】他の構成の歯ブラシケースの斜視図
【図13】同歯ブラシケースの開蓋状態での平面図
【図14】図13のXIV-XIV線断面図
【図15】他の構成の歯ブラシケースの斜視図
【図16】同歯ブラシケースの開蓋状態での平面図
【図17】同の構成の歯ブラシケースの閉鎖片の開蓋状態での斜視図
【図18】同歯ブラシケースの閉鎖片の開蓋状態での側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態では、電動歯ブラシを歯ブラシケースに対して収納する場合を例に挙げて説明する。
【0022】
図1に示すように、歯ブラシケース10は、電動歯ブラシ1を構成する本体部2とそれに着脱自在に取付けられる替えブラシ3とを横向き姿勢でそれぞれ収納可能な本体収納部11とブラシ収納部12とを有するケース本体13と、ケース本体13に開閉自在に取付けた蓋体14とを備え、替えブラシ3を本体部2から取り外すに際して、替えブラシ3をケース本体13に係止する係止手段15を設けたものである。
【0023】
先ず、この歯ブラシケース10に収納する電動歯ブラシ1について説明すると、図6、図7に示すように、電動歯ブラシ1は、本体部2とそれに着脱自在に取付けられる替えブラシ3とを備え、本体部2のケーシング4内には、モータと、モータの回転軸に取り付けた偏心錘とを有する振動発生手段が組み付けられ、偏心錘の回転時における振動を、ケーシング4の先端部に一体的に形成した出力軸5に伝達して、出力軸5に固定した替えブラシ3を振動させるようになした周知の構成のものである。ただし、替えブラシ3の駆動手段として、モータと、モータの回転運動を出力軸5の往復直線運動に変換するクランク機構などの変換手段とをケーシング4に内装し、変換手段の出力軸5に替えブラシ3を着脱自在に取り付けたものや、リニアアクチュエータにより出力軸5を往復振動させるものや、前記変換手段の出力軸5の往復直線運動を清掃ヘッドの反転往復運動に変換する変換機構を替えブラシ3に組み込んだものなどを採用することもできる。尚、反転往復運動とは、正転方向に一定角度回転した後、逆転方向に同じ角度だけ回転するという回転運動を繰り返して行う運動を意味する。
【0024】
本体部2に対する替えブラシ3の取付構造について説明すると、図6に示すように、出力軸5の基部には突起5aが形成され、替えブラシ3の首部6の基端部には出力軸5が着脱自在に嵌合する嵌合孔7が形成され、嵌合孔7内には突起5aが嵌合するL字状の溝8が形成されている。そして、本体部2に対して替えブラシ3を固定するときには、嵌合孔7に出力軸5を嵌合させた後、替えブラシ3を一定角度回転させて、本体部2に対して替えブラシ3を固定し、本体部2から替えブラシ3を取り外すときには、替えブラシ3を一定角度回転させてから、替えブラシ3を軸方向に引き抜くことで、本体部2から替えブラシ3を取り外すことになる。ただし、替えブラシ3の取付構造としては、替えブラシ3の首部6の基端部に出力軸5が着脱自在に嵌合する嵌合孔を形成し、替えブラシ3をその軸線方向にのみ操作することで、本体部2に対して替えブラシ3を着脱自在となした取付構造を採用することもできる。
【0025】
次に、歯ブラシケース10について説明する。
歯ブラシケース10のケース本体13は、左右方向に細長い長方形状の底板13aと、底板13aの外周部に立設した左右方向に細長い枠状の側壁部13bとを有し、合成樹脂材料を用いて射出成形などにより成形されている。歯ブラシケース10の蓋体14は、中央部を緩やかに上側へ膨らませた上板14aと、上板14aの外周部から下方へ延びる側壁部14bとを有し、合成樹脂材料を用いて射出成形などにより成形されている。ケース本体13と蓋体14とは同じ合成樹脂材料で構成することが製作コストを安くする上で好ましいが、異種材料で構成することも可能である。また、本実施の形態では、蓋体14の意匠性を高めるため、蓋体14の上板14aを菱形状の平坦面と三角形状の平坦面の組合せで構成したが、緩やかな湾曲面など、その他の形状に構成することも可能で、蓋体14及びケース本体13の外観形状は、意匠性などを考慮して任意に設定可能である。
【0026】
ケース本体13及び蓋体14は、内装した電動歯ブラシ1を目視できるように透明な合成樹脂材料で構成することもできるが、歯磨き水が内面に付着するなどして汚れる可能性があるので、不透明な合成樹脂材料で構成することが好ましい。なお、符号16は、ケース本体13内に侵入した歯磨き水を排水するための排水孔である。
【0027】
ケース本体13に対して蓋体14を開閉自在に支持するため、次のような構成の枢支構造17が設けられている。この枢支構造17について説明すると、ケース本体13の後側の側壁部13bには左右1対の溝部18が形成され、両溝部18は後方へ向けて開放され、ケース本体13には溝部18内に突出する左右1対の枢支突起19が形成されている。蓋体14の後側の側壁部14bには溝部18内に延びる左右1対のブラケット20が下側へ向けて突出形成され、左右のブラケット20には左右の枢支突起19が嵌合する嵌合凹部21がそれぞれ形成され、蓋体14は、左右の嵌合凹部21に左右の枢支突起19をそれぞれ嵌合させることで、ケース本体13に対して、図3に実線で図示の開蓋位置と、仮想線で図示の閉蓋位置とにわたって、左右の枢支突起19を中心にして回動自在に支持されている。ただし、枢支構造17としては、ケース本体13に対して蓋体14を開閉自在に支持可能なものであれば、前述した以外の構成を採用することも可能である。また、枢支構造17に代えて、一体ヒンジによりケース本体13に対して蓋体14を開閉自在に支持することもできるし、枢支構造17を省略して、ケース本体13に対して蓋体14を着脱自在に嵌合させて、ケース本体13を開閉自在に構成することも可能である。
【0028】
ケース本体13の側壁部13bの上端部の内周側には内嵌合部22が上方へ向けて突出状に形成され、蓋体14は、その側壁部14bの下端部をケース本体13の内嵌合部22に外嵌させて閉蓋位置に保持される。
【0029】
蓋体14を閉蓋位置に係止するため、次のような構成の係止構造25が設けられている。この係止構造25について説明すると、ケース本体13の前側の側壁部13bの左右方向の中央部には鉤爪部26が上方へ突出状に形成され、蓋体14の側壁部14bの左右方向の中央部には鉤爪部26に係合可能な係止凹部27が形成され、蓋体14は、鉤爪部26と係止凹部27との係合により、閉蓋位置に保持される。また、鉤爪部26の素材の弾性に抗して、蓋体14を開蓋方向へ操作することで、鉤爪部26と係止凹部27との係合を解除して、開蓋位置側へ回動できるように構成されている。なお、蓋体14を閉蓋位置に保持する係止構造として、前述した以外の係止構造25を採用することも可能である。
【0030】
次に、替えブラシ3を本体部2に取付けたり、本体部2から取外したりするための、着脱操作を補助するための着脱補助構造30について説明する。
【0031】
着脱補助構造30について説明すると、図1〜図5に示すように、ケース本体13の右側の側壁部13bの前半部には本体部2の先端部が挿通可能な切欠部31が形成され、蓋体14の右側の側壁部14bの前部には切欠部31を閉鎖可能な閉鎖片32が下方へ突出状に形成され、蓋体14を閉蓋位置に回動させたときに閉鎖片32で切欠部31が閉鎖されるように構成されている。
【0032】
ケース本体13には替えブラシ3をケース本体13に係止する係止手段15として、ケース本体13のブラシ収納部12において底板13aには左右方向に細長い前後1対の係止爪33が立設され、替えブラシ3をブラシ収納部12に収納した状態で、首部6の前後両側に係止爪33が配置されるとともに、係止爪33の左端部が植毛台9の右端部に対面配置され、替えブラシ3の前後方向及び右方向への移動が係止爪33で規制されるように構成されている。両係止爪33の上端部には内側へ向けて突出する保持突部34が形成され、保持突部34を乗り越えさせて係止爪33の下部間に替えブラシ3の首部6を装填することで、替えブラシ3をブラシ収納部12に保持できるように構成されている。ただし、この保持突部34は省略することも可能である。
【0033】
ブラシ収納部12の前部の左右方向の中央部において底板13aには当接片35が上方へ突出状に形成され、当接片35には替えブラシ3の植毛台9の先端部が相対回転不能に嵌合する嵌合凹部36が形成されている。替えブラシ3の左方向及び替えブラシの長手方向を中心とした回転方向への移動が当接片35で規制されるように構成されている。
【0034】
この歯ブラシケース10では、使用後の電動歯ブラシ1を歯ブラシケース10内に収納する際には、図7に示すように、替えブラシ3の先端部が嵌合凹部36に嵌合するように、ケース本体13に対して斜め上側から、替えブラシ3をブラシ収納部12に装填し、その後、替えブラシ3の首部6が係止爪33間に配置されるとともに、切欠部31から本体部2がケース本体13外へ突出するように、電動歯ブラシ1をケース本体13の長手方向に配置させ、この状態で本体部2を一定角度回転させてから、右側へ引っ張ることで、替えブラシ3の嵌合孔7から本体部2の出力軸5を引き抜いて、本体部2から替えブラシ3を取り外し、替えブラシ3はそのままブラシ収納部12に収納し、電動歯ブラシ1は本体収納部11に収納して、歯ブラシケース10内に電動歯ブラシ1を収納することになる。
【0035】
一方、歯ブラシケース10に収納した電動歯ブラシ1を使用する際には、蓋体14を開いて電動歯ブラシ1を取り出し、電動歯ブラシ1をケース本体13の長手方向に沿って配置して、切欠部31から電動歯ブラシ1の先端部をケース本体13内に挿入し、本体部2の出力軸5を嵌合凹部36に嵌合挿入してから、本体部2を一定角度回転させて、本体部2に替えブラシ3を取付け、その後、本体部2の基端部を斜め上側へ移動させて、替えブラシ3の先端部を嵌合凹部36から抜き取って、替えブラシ3を歯ブラシケース10から取り出すことになる。
【0036】
このように、この歯ブラシケース10では、係止手段15の係止爪33及び当接片35により替えブラシ3をケース本体13から係合保持させながら、替えブラシ3を本体部2から取り外すことができるので、替えブラシ3を手指で保持して、本体部2から替えブラシ3を取り外す場合と比較して、容易に替えブラシ3を取り外すことができる。しかも、替えブラシ3に対して直接的に手指を触れないで、あるいは多少触れるとしても軽くあてがうだけで、替えブラシ3を取り外すことができるので、替えブラシに手指の雑菌が付着することを抑制乃至防止できる。
【0037】
次に、前記歯ブラシケース10の構成を部分的に変更した他の形態について説明する。なお、前記実施の形態と同一部材には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0038】
(1)図8、図9に示す歯ブラシケース10Aのように、前記ケース本体13に代えて、底板13aの左前部に略L字状の区画壁40を立設したケース本体13Aを用い、区画壁40の内側に歯磨きペーストを充填したミニチューブ41を着脱自在に収納するチューブ収納部42をブラシ収納部12と直列状に形成することができる。この場合には、歯ブラシケース10Aを大型にすることなく、ケース本体13A内にミニチューブ41を収納でき、歯磨きチューブを別途持ち歩く必要がないので好ましい。
【0039】
(2)図10、図11に示す歯ブラシケース10Bのように、前記ケース本体13に代えて、前部右側に着脱補助構造30を設けるとともに、前部左側に着脱補助構造30と鏡面対称に着脱補助構造30Bを設けたケース本体13Bを用いることができる。具体的には、着脱補助構造30Bとして、ケース本体13Bの左側の側壁部13bの前半部に本体部2の先端部が挿通可能な切欠部31Bを形成し、蓋体14に代えて、右側の側壁部14bの前部に切欠部31Bを閉鎖可能な閉鎖片32Bを下方へ突出状に形成した蓋体14を設け、蓋体14Bを閉蓋位置に回動させたときに閉鎖片32Bで切欠部31Bが閉鎖されるように構成する。また、替えブラシ3をケース本体13Bに係止する係止手段15Bとして、ケース本体13Bの前部左側にブラシ収納部12Bを形成し、ブラシ収納部12Bにおいて底板13aに左右方向に細長い前後1対の係止爪33Bを立設し、替えブラシ3をブラシ収納部12Bに収納した状態で、首部6の前後両側に係止爪33Bが配置され、また係止爪33Bの右端部が植毛台9の首部6側の側面に対面配置され、替えブラシ3の左側への移動が係止爪33Bで規制されるように構成することになる。更に、ブラシ収納部12Bの前部の右側において底板13aに当接片35Bを上方へ突出状に形成し、当接片35Bに替えブラシ3の植毛台9の先端部が相対回転不能に嵌合する嵌合凹部36Bを形成することになる。
【0040】
この歯ブラシケース10Bでは、2本の替えブラシ3を歯ブラシケース10Bに収納できるので、植毛配列などの異なる2種類の替えブラシ3を歯ブラシケース10Bに収納して、ブラッシングする部位などに応じて替えブラシ3を交換したりすることができる。
【0041】
(3)図12〜図14に示す歯ブラシケース10Cのように、係止手段15に代えて、次のような構成の係止手段15Cを有する着脱補助構造30Cを設けることができる。具体的には、替えブラシ3をケース本体13Cに係止する係止手段15Cとして、ケース本体13Cのブラシ収納部12における底板13aに後側を遊端部となした左右方向に細長い倒立略L字状の係止爪33Cを立設するとともに、係止爪33Cの後端部に対応する位置において底板13aに係止突起45を形成し、替えブラシ3をブラシ収納部12に収納した状態で、首部6の前側及び上側に係止爪33Cが配置されるとともに、首部6の後側に係止突起45が配置されて、係止爪33Cの左端部が植毛台9の右端部に対面配置され、替えブラシ3の右方への移動が係止爪33Cで規制されるように構成することができる。
【0042】
この歯ブラシケース10Cでは、本体部2から替えブラシ3を取り外すときにおける、替えブラシ3の上方への移動を係止爪33Cにより係止できるので、安定性良く替えブラシ3を取り外すことができる。つまり、替えブラシ3の取り外し時には、替えブラシ3に対してどうしても上方への力が作用してしまうので、この歯ブラシケース10Cでは係止爪33Cにより替えブラシ3の上方への移動を規制できるので、安定性良く替えブラシ3を取り外すことができる。
【0043】
(4)図15〜図18に示す歯ブラシケース10Dのように、ケース本体13に代えて右壁部を全面的に切欠いた切欠部31Dを有するケース本体13Dを設け、蓋体14に代えて、閉蓋状態で、切欠部31Dを開閉可能な閉鎖片32Dを有する蓋体14Dを設け、着脱補助構造30に代えて、前記実施の形態と同様の構成の係止手段15と切欠部31D及び閉鎖片32Dからなる着脱補助構造30Dを設けることができる。また、蓋体14Dに対する閉鎖片32Dの取付構造としては、例えば蓋体14Dの右側の側壁部14bを切り欠いて、蓋体14Dの右端部に前後1対の固定ブラケット46を形成し、閉鎖片32Dに前後の固定ブラケット46の外側に配置される前後1対の可動ブラケット47を設け、固定ブラケット46と可動ブラケットとに図示外の凹凸嵌合部を形成し、該凹凸嵌合部を中心として閉鎖片32Dを回動自在に支持することができる。ただし、上記以外の取付構造で閉鎖片32Dを蓋体14Dに回動自在に取付けることも可能である。
【0044】
この歯ブラシケース10Dでは、例えば、本体部2から替えブラシ3を取り外す際には、替えブラシ3をケース本体13のブラシ収納部12に保持させて蓋体14Dを閉鎖するとともに閉鎖片32Dを開放し、切欠部31から本体部2をケース本体13外へ突出させた状態で、本体部2を回転させて右側へ引き抜き、替えブラシ3を本体部2から取り外してから、蓋体14Dを開いて本体部2をケース本体13に装填し、本体部2及び替えブラシ3をケース本体13に収納することになる。また、替えブラシ3を本体部2に取付ける際には、蓋体14Dを開いて本体部2を取り出し、蓋体14Dを閉蓋するとともに閉鎖片32を開放して、本体部2の先端部を切欠部31からケース本体13内に挿入して、本体部2の出力軸5を替えブラシ3に嵌合させて、本体部2に替えブラシ3を取付け、その後蓋体14Dを開放して、替えブラシ3を取付けた本体部2をケース本体13から取り出すことになる。このように、この歯ブラシケース10Dでは、手指を触れることなく替えブラシ3を本体部2に対して着脱できるので、衛生的である。なお、蓋体14Dを閉蓋した状態で、替えブラシ3を押える突起を蓋体14Dに設けて、本体部2に対する替えブラシ3の着脱時における替えブラシ3の姿勢の安定性を向上させることも可能である。
【0045】
なお、前記歯ブラシケース10、10A〜10Dの構成は任意に組み合わせることも可能である。例えば、歯ブラシケース10Dにおいて、着脱補助構造30Dを歯ブラシケース10Bのように左右対称に1対設けたり、歯ブラシケース10Dの係止手段15に代えて、歯ブラシケース10Cの係止手段15Cを設けたりすることが可能である。
【0046】
また、本実施の形態では、電動歯ブラシ1を収納する歯ブラシケースについて説明したが、この歯ブラシケースは、ハンドル部からなる本体部とそれに着脱自在に取付けられる替えブラシとを備えた手動歯ブラシの歯ブラシケースとして、そのまま或いは寸法と多少変更することで適用することができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
1 電動歯ブラシ 2 本体部
3 替えブラシ 4 ケーシング
5 出力軸 5a 突起
6 首部 7 嵌合孔
8 溝 9 植毛台
10 歯ブラシケース 11 本体収納部
12 ブラシ収納部 13 ケース本体
13a 底板 13b 側壁部
14 蓋体 14a 上板
14b 側壁部 15 係止手段
16 排水孔 17 枢支構造
18 溝部 19 枢支突起
20 ブラケット 21 嵌合凹部
22 内嵌合部
25 係止構造 26 鉤爪部
27 係止凹部
30 着脱補助構造 31 切欠部
32 閉鎖片 33 係止爪
34 保持突部 35 当接片
36 嵌合凹部
10A 歯ブラシケース 13A ケース本体
40 区画壁 41 ミニチューブ
42 チューブ収納部
10B 歯ブラシケース 12B ブラシ収納部
13B ケース本体 14B 蓋体
15B 係止手段 30B 着脱補助構造
31B 切欠部 32B 閉鎖片
33B 係止爪 35B 当接片
36B 嵌合凹部
10C 歯ブラシケース 13C ケース本体
15C 係止手段 30C 着脱補助構造
33C 係止爪 45 係止突起
10D 歯ブラシケース 13D ケース本体
14D 蓋体 30D 着脱補助構造
31D 切欠部 32D 閉鎖片
46 固定ブラケット 47 可動ブラケット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシの本体部とそれに着脱自在に取付けられる替えブラシとを横向き姿勢でそれぞれ収納可能な本体収納部とブラシ収納部とを有するケース本体と、該ケース本体に開閉自在に取付けた蓋体とを備えた歯ブラシケースであって、
前記替えブラシを本体部から取り外すに際して、前記替えブラシをケース本体に係止する係止手段を設けた、
ことを特徴とする歯ブラシケース。
【請求項2】
前記係止手段として、前記ケース本体のブラシ収納部に、前記替えブラシの首部の両側に配置されて、前記本体部からの替えブラシの抜き方向への操作時に、前記替えブラシの植毛台に係合して替えブラシの抜き方向への移動を係止する1対の係止爪を設けた請求項1記載の歯ブラシケース。
【請求項3】
前記係止爪の先端部に前記替えブラシを保持する保持突部を設けた請求項2記載の歯ブラシケース。
【請求項4】
前記1対の係止爪の一方に替えブラシの上側へ延びる押え部を設けた請求項2又は3記載の歯ブラシケース。
【請求項5】
前記ケース本体に、前記替えブラシの植毛台の先端部が相対回転不能に嵌合する嵌合凹部を形成した請求項1〜4のいずれか1項記載の歯ブラシケース。
【請求項6】
前記ケース本体のブラシ収納部に本体部が挿通可能な切欠部を形成し、前記本体部に替えブラシを取付けた状態で、前記替えブラシをブラシ収納部に装填可能となし、前記蓋体に前記切欠部を閉鎖可能な閉鎖片を設けた請求項1〜5のいずれか1項記載の歯ブラシケース。
【請求項7】
前記ケース本体のブラシ収納部に本体部が挿通可能な切欠部を形成し、前記本体部に替えブラシを取付けた状態で、前記替えブラシをブラシ収納部に装填可能となし、前記蓋体に前記切欠部を閉鎖可能な閉鎖片を開閉自在に設けた請求項1〜5のいずれか1項記載の歯ブラシケース。
【請求項8】
前記本体収納部とブラシ収納部とを並列状に設けた請求項1〜7のいずれか1項記載の歯ブラシケース。
【請求項9】
前記ブラシ収納部を直列状に2つ設けた請求項1〜8のいずれか1項記載の歯ブラシケース。
【請求項10】
前記ブラシ収納部と直列状に歯磨きチューブを収納するチューブ収納部を設けた請求項1〜8のいずれか1項記載の歯ブラシケース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−115298(P2012−115298A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265031(P2010−265031)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000106324)サンスター株式会社 (200)
【Fターム(参考)】