歯ブラシ用毛材および歯ブラシ
【課題】歯間や歯の表面に付着した異物の清掃性に優れるとともに、歯茎へのマッサージ効果にも優れた歯ブラシの提供。
【解決手段】複数の単位形状が相互に連結された断面形状を有する異形断面合成樹脂モノフィラメント１に捻り加工を施すことにより、長さ方向に螺旋状の溝を形成した捻りモノフィラメント３のカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材であって、前記異形断面合成樹脂製モノフィラメント１の断面における複数の単位形状の内少なくとも１つが、他の単位形状を構成する合成樹脂とは異なる合成樹脂から構成されていることを特徴とする歯ブラシ用毛材。
【解決手段】複数の単位形状が相互に連結された断面形状を有する異形断面合成樹脂モノフィラメント１に捻り加工を施すことにより、長さ方向に螺旋状の溝を形成した捻りモノフィラメント３のカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材であって、前記異形断面合成樹脂製モノフィラメント１の断面における複数の単位形状の内少なくとも１つが、他の単位形状を構成する合成樹脂とは異なる合成樹脂から構成されていることを特徴とする歯ブラシ用毛材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、合成樹脂製の歯ブラシ用毛材および歯ブラシに関し、従来の合成樹脂製歯ブラシ用毛材に比べて、歯間汚れや歯表面に付着した異物の除去などの清掃効果に優れるばかりか、歯茎に対するマッサージ効果などの使用感にも優れた歯ブラシ用毛材および歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、歯ブラシなどに使用するブラシ用毛材としては、一般には合成樹脂製モノフィラメントが広く用いられている。このブラシ用毛材の材質には、適度な腰を有し弾性回復率に優れたポリアミド系樹脂、特にナイロン６・１０およびナイロン６・１２や、吸湿しにくいため弾性変化が少なく、かつ耐久性にも優れたポリエステル系樹脂、特にポリブチレンテレフタレートなどを材質とするものが用いられている。
【０００３】
また、この合成樹脂製モノフィラメントからなる毛材に捻り加工を施すことにより、繊維軸方向に凹凸面を構成させた毛材（例えば、特許文献１参照）が知られている。このように凹凸面を形成した毛材を歯ブラシに使用した場合には、歯茎に対するマッサージ効果はある程度は改善されるものの、歯と歯の隙間に付着した異物や歯垢を掻きだす清掃性に欠けるばかりか、歯茎に対するマッサージ効果も不十分であるという問題があった。
【０００４】
上記の問題を改善したものとしては、異形断面毛材の先端に先鋭状のテーパー部と、このテーパー部の外周に捻じり形成された螺旋状の溝を形成した毛材（例えば、特許文献２参照）が知られている。この歯ブラシ用毛材によれば、毛材の先端がスクリュー形状となっているため、歯の狭い隙間に付着した異物を効果的に除去することができるものの、やはり毛材の腰が低下することに起因して、歯表面の清掃性や歯茎に対するマッサージ効果がいまだに十分とはいえないものであった。
【０００５】
したがって、歯間や歯表面に付着した異物や歯垢除去などの清掃性と、歯茎に対する優れたマッサージ効果とを兼ね備えた合成樹脂製歯ブラシ用毛材の実現が依然として望まれていた。
【特許文献１】登録実用新案第３０３６１０４号
【特許文献１】特開２００３−１８９９４３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【０００７】
したがって、本発明の目的は、従来の合成樹脂製歯ブラシ用毛材に比べて、歯間汚れや歯に付着した異物の清掃性に優れるとともに、歯茎へのマッサージ効果にも優れた歯ブラシ用毛材および歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するため本発明によれば、複数の単位形状が相互に連結された断面形状を有する異形断面合成樹脂モノフィラメントに捻り加工を施すことにより、長さ方向に螺旋状の溝を形成した捻りモノフィラメントのカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材であって、前記異形断面合成樹脂製モノフィラメントの断面における複数の単位形状の内少なくとも１つが、他の単位形状を構成する合成樹脂とは異なる合成樹脂から構成されていることを特徴とする歯ブラシ用毛材が提供される。
【０００９】
なお、本発明の歯ブラシ用毛材においては、前記カットブリッスルの少なくとも一端に尖鋭状なテーパー部を有することが好ましい条件として挙げられる。
【００１０】
また、本発明の歯ブラシは、前記歯ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、以下に説明するとおり、従来の合成樹脂製歯ブラシ用毛材に比べて歯間や歯の表面に付着した異物の清掃性に優れるとともに、歯茎へのマッサージ効果にも優れた歯ブラシ用毛材および歯ブラシを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下に、本発明の歯ブラシ用毛材および歯ブラシについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【００１３】
図１（Ａ）、（Ｂ）は本発明の歯ブラシ用毛材の第１実施例を示す斜視図、図２（Ａ）、（Ｂ）は同じく第２実施例を示す斜視図、図３は同じく第３実施例を示す斜視図である。
【００１４】
図１および図２において、（Ａ）は歯ブラシ用毛材の構成素材である異形断面モノフィラメント、（Ｂ）はこの異形断面モノフィラメントに捻り加工を施した本発明の歯ブラシ用毛材を示す。
【００１５】
図１に示した第１実施例の異形断面モノフィラメント１（Ａ）は、後述する合成樹脂から構成された単位形状２ａと、単位形状２ａとは異なる合成樹脂から構成された単位形状２ｂを相互に連結した異形断面（アレイ型断面）形状からなり、この異形断面モノフィラメント１に撚り加工を施した後に、熱処理を施し固定したカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材３（Ｂ）には、長さ方向に螺旋状の溝４が形成されている。
【００１６】
また、図２に示した第２実施例の異形断面モノフィラメント１（Ａ）は、単位形状２ｂと２ｃとが同じ樹脂からなり、それらとは異なる樹脂から構成された単位形状２ａを相互に連結した異形断面（クローバ型断面）形状からなり、この異形断面モノフィラメント１に撚り加工を施した後に、熱処理を施し固定したブリッスルからなる歯ブラシ用毛材３（Ｂ）には、第１実施例と同様に、長さ方向に螺旋状の溝４が形成されている。
【００１７】
つまり、本発明の歯ブラシ毛材は、異形断面モノフィラメントの断面を構成する単位形状の内1つが、他の単位形状を構成する合成樹脂とは異なる異形断面からなることが特徴である。
【００１８】
さらに、この異形断面モノフィラメントに捻り加工を施すことにより、繊維の長さ方向に螺旋状の溝４が形成されているため、歯表面や歯茎には摩擦抵抗が異なる単位形状が交互に連続接触して、歯表面や歯間に付着した異物を掻きとる性能が向上して高い清掃性が得られると同時に、歯茎にも新感覚な颯爽感のあるマッサージ効果が得られることになる。
【００１９】
図３に示した第３実施例は、第１実施例で用いたカットブリッスルの先端に、化学的減量法などによりテーパー部ｄを形成することにより、テーパー部ｄと螺旋状の溝４とを併せて形成してなる歯ブラシ用毛材の例である。
【００２０】
つまり、先端がスクリュー形状となり、歯間清掃性をより向上させることができる。この場合には、単位形状のどちらかに剛性の高い合成樹脂を選択することにより、テーパー部ｄの毛腰を補うことができる。
【００２１】
なお、図１、図２および図３に示した各実施例においては、いずれも単位形状を円形断面として示したが、三角形、四角形や楕円形などの円形以外の形状であってもよい。また、単位形状の連結する数は特に限定されないが、２〜４個からなる連結が清掃性やマッサージの効果を得るには好ましい。
【００２２】
ここで、本発明の歯ブラシ用毛材を構成する単位形状の合成樹脂の組み合わせとしては、複数の単位形状の内少なくとも１つが、他の単位形状を構成する合成樹脂とは異なる合成樹脂から構成されていればよく特に限定されない。具体的な合成樹脂の組み合わせとしては、ポリブチレンテレフタレート（以下ＰＢＴと称す）／ポリエチレンテレフタレート（以下ＰＥＴと称す）、ＰＢＴ／ポリエチレンナフタレート、ＰＢＴ／ポリエステルエラストマー、ＰＢＴ／ポリプロピレンテレフタレート（以下ＰＴＴと称す）、ＰＥＴ／ポリエステルエラストマー、ＰＢＴ／ポリアミドエラストマー、ポリアミド６・１０／ポリアミドエラストマー、ポリアミド６・１０／ＰＥＴ、ポリアミド６／ポリアミドエラストマーなどの組み合わせが挙げられ、これらに限定されるものではなく、適宣選定することができるが、なかでもＰＢＴ／ＰＥＴ、ＰＢＴ／ＰＥＮ、ポリアミド６・１０／ＰＥＴなどの組み合わせのように、一方の単位形状に硬い樹脂を選択することが、歯表面や歯間に付着した異物を掻きとる性能が向上して高い清掃性が得られることから好ましい。また、清掃性を維持しつつ歯茎のマッサージ効果をより向上させるには、一方の単位形状に摩擦抵抗の高いエラストマー樹脂を使用することが好ましくこの場合には、ＰＢＴ／ポリエステルエラストマー、ポリアミド６・１０／ポリアミドエラストマー、ＰＥＴ／ポリエステルエラストマー、ＰＢＴ／ポリアミドエラストマーなどの組み合わせが好ましい。そして、歯ブラシの種類や使用目的などに応じて、異形断面の単位形状を構成する合成樹脂の組み合わせは、２種類の他にも３種類などを適宜に選択することができる。
【００２３】
なお、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、その目的に応じて単位形状を構成する合成樹脂に対し、耐熱剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化防止剤、抗菌剤、染料および顔料などの慣用の各種添加剤を任意に含有することができる。
【００２４】
異形断面合成樹脂モノフィラメントに撚り加工を施すことにより形成される螺旋状の溝４の数は、繊維軸方向の長さに対して０．５〜１０個／ｃｍの範囲、特に０．６〜８個／ｃｍの範囲で分布存在していることが好ましく、これらの範囲とすることにより、歯表面や歯間に付着した異物を十分に掻き取る性能が得られると同時に、歯茎には従来にない颯爽感のあるマッサージ効果を与えることができる。
【００２５】
ここで、本発明の歯ブラシ用毛材の異形断面における単位形状３の外径については、特に限定しないが、使用感、硬さなどの点から０．１０〜０．３５ｍｍの範囲であることが好ましく、さらには０．１２〜０．３２ｍｍの範囲であることがより好ましい。
【００２６】
上記の構成からなる本発明の歯ブラシ用毛材は、次のようにして製造することができる。
【００２７】
まず、公知の複合溶融紡糸機により、異形断面の単位形状組み合わせに合わせた合成樹脂を準備し、図１および図２に示した実施例などの断面形状になるように、単位形状を相互に連結した異形断面モノフィラメントを製造して、これをボビンやドラムに一旦巻き取る。
【００２８】
次に、一旦巻き取られた異形断面モノフィラメントを撚糸機に掛けて撚り加工を施すことにより、モノフィラメントの外周に０．５〜１０個／ｃｍの螺旋状溝を付与する。
【００２９】
つまり、異形断面モノフィラメント長手方向には、異なる合成樹脂からなる単位形状が連続することになる。この状態のままでは片撚りのため捻りが戻ろうとするので、次いで所望の熱セット条件での熱処理を施して捻り止めセットを行った後、束にして所望の長さに切断することにより、束状のブリッスル束を作製する。
【００３０】
次いで、束状となったブリッスルを直線状にして紙巻きを施し、これを所望の長さに切断することにより、束状のカットブリッスルとする。
【００３１】
図３に示した第３実施例のように、カットブリッスルの先端にテーパー部を形成する場合には、一定長さに切断されたカットブリッスルを一端または両端に、従来法に準じて化学的減量法や機械研磨法を適用することにより、少なくとも一端に尖鋭状のテーパー部と螺旋状の溝とを併せて形成した歯ブラシ用毛材を得ることができる。
【００３２】
上記の製造方法により得られた歯ブラシ用毛材を使用した本発明の歯ブラシは、公知の方法で製造することができ、製造方法について特に限定されない。例えば所望本数の歯ブラシ用毛材を束ねて、その長さ方向中央部で屈曲させ、この屈曲部分を基台の植毛穴へ植毛し平線で固定する方法で本発明の歯ブラシを製造することができる。
【実施例】
【００３３】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、実施例における毛材の評価は次の方法により行った。
【００３４】
また、以下に記載する評価用歯ブラシは、実施例および比較例で得られた歯ブラシ用毛材を、植毛域９ｍｍ×２２ｍｍに３４箇所の植毛孔を有する歯ブラシ用基台に、２０本／孔、かつ毛丈１０ｍｍとなるように植毛したものである。
【００３５】
［清掃性］
２枚のアクリル版の間に１．０ｍｍの溝状隙間を設けることにより疑似歯モデルを作製し、この疑似歯モデルに予め歯垢染色液（プラークチェック液）を付着させた後、歯ブラシ用毛材から製造した歯ブラシを用いて、歯ブラシ垂直荷重３５０ｇ、振幅３０ｍｍ、スピード１８０ｒｐｍ、水温３７℃滴下で３分間の条件でブラッシングを行い、その後、ブラッシングにより歯垢染色液が除去された部分の面積を測定した。そして、除去された部分の面積をブラッシング前の歯垢染色液付着総面積に対する百分率で表し、この値を除去率（％）として、この除去率が大きいほど清掃性に優れていることを表す。
【００３６】
［歯茎のマッサージ効果］
１５名のモニターに歯ブラシを実際に１０日間使用した場合の、使用感、特に歯茎のマッサージ効果評価を依頼し、回答を得た。評価基準は次のとおりである。
１／毛材の歯肉への当たりでチクチク感があり、歯茎のマッサージ効果もなかった。
２／毛材の歯肉への当たりが良好であるが、歯茎のマッサージ効果は小さかった。
３／毛材の歯肉への当たりが良好で、歯茎のマッサージ効果も優れていた。
４／毛材の歯肉への当たりが極めて良好で、歯茎のマッサージ効果も極めて優れていた。
【００３７】
［実施例１］
異形断面モノフィラメントの断面を構成する各単位形状の合成樹脂として、２ａにＰＢＴ樹脂（東レ（株）製１２００Ｓ）を、２ｂにポリエチレンテレフタレート樹脂（東レ（株）製Ｔ３０１Ｔ）を使用した。
【００３８】
これら合成樹脂を複合紡糸機に供給し、紡糸機内で溶融押し出し後、冷却、延伸を行うことにより、表１に示すような断面形状（アレイ型で単位形状２ａ、２ｂの外形０．２０ｍｍ）を有する異形断面モノフィラメントを得た。続いて、この異形断面モノフィラメントを撚糸機に掛けて捻ることにより異形断面モノフィラメントの外周に４．０回／ｃｍの螺旋状溝を付与して一旦巻き取った。次に１８０℃に加温しながら捻り止めセットを行った後、束にして巻き取った。
【００３９】
そして、得られたモノフィラメントを所望の長さにカットした後、歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作製した。
【００４０】
［実施例２］
実施例１において、螺旋状溝の形成をモノフィラメント外周に２．０回／ｃｍに変更した以外は、実施例１と同じ方法で歯ブラシを作製した。
【００４１】
［実施例３］
実施例１において、単位形状２ｂの合成樹脂をポリエテルエラストマー樹脂（東レ・デュポン（株）製、ハイトレル７２４７）に変更した以外は、実施例１と同じ方法で歯ブラシを作製した。
【００４２】
［実施例４］
実施例１において、単位形状２ｂの合成樹脂をＮ６１０樹脂（東レ（株）製、Ｍ２００１）に変更した以外は、実施例１と同じ方法で歯ブラシを作製した。
【００４３】
［実施例５］
実施例１において、単位形状２ａの合成樹脂をＮ６１０樹脂（東レ（株）製、Ｍ２００１）、２ｂにナイロンエラストマー樹脂（アルケマ社製、ぺバックス４０３３）に変更した以外は、実施例１と同じ方法で歯ブラシを作製した。
【００４４】
［実施例６］
実施例１において、得られたモノフィラメントを所望の長さにカットした後、その一端をアルカリ溶解法で先端が先鋭なテーパー状に加工（テーパー部長さｄが８ｍｍ）したものを歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作製した。
【００４５】
［実施例７］
異形断面モノフィラメントの断面を構成する各単位形状の合成樹脂として、２ａと２ｃにＰＢＴ樹脂（東レ（株）製１２００Ｓ）を、２ｂにポリエチレンテレフタレート樹脂（東レ（株）製Ｔ３０１Ｔ）を使用した。
【００４６】
これら合成樹脂を複合紡糸機に供給し、紡糸機内で溶融押し出し後、冷却、延伸を行うことにより、表１に示すような断面形状（クローバ型で単位形状２ａ、２ｂ、２ｃの外形０．２０ｍｍ）を有する異形断面モノフィラメントを得た。続いて、この異形断面モノフィラメントを撚糸機に掛けて捻ることによりモノフィラメントの外周に４．０回／ｃｍの螺旋状溝を付与して一旦巻き取った。次に１８０℃に加温しながら捻り止めセットを行った後、束にして巻き取った。
【００４７】
そして、得られたモノフィラメントを所望の長さにカットした後、歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作製した。
【００４８】
［比較例１］
実施例１において、モノフィラメント本体部となる各単位形状の合成樹脂として２ａと２ｂに同一樹脂のＰＢＴ樹脂（東レ（株）製１２００Ｓ）を使用した以外は、実施例１と同じ方法で歯ブラシを作製した。
【００４９】
［比較例２］
合成樹脂としてＰＢＴ樹脂（東レ（株）製１２００Ｓ）を紡糸機に供給し、紡糸機内で溶融押し出し後、冷却、延伸を行うことにより、表１に示すような４角断面形状（外形０．２０ｍｍ）を有する異形断面モノフィラメントを得た。続いて、この異形断面モノフィラメントを撚糸機に掛けて捻ることによりモノフィラメントの外周に２．０回／ｃｍの螺旋状溝を付与して一旦巻き取った。次に１８０℃に加温しながら捻り止めセットを行った後、束にして巻き取った。
【００５０】
そして、得られたモノフィラメントを所望の長さにカットした後、その一端をアルカリ溶解法で先端が先鋭なテーパー状に加工（テーパー長８ｍｍ）したものを歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作成した。
【００５１】
［比較例３］
合成樹脂としてＰＢＴ樹脂（東レ（株）製１２００Ｓ）を紡糸機に供給し、紡糸機内で溶融押し出し後、冷却、延伸、熱処理を行うことにより、表１に示すような丸断面形状（外形０．２０ｍｍ）を有するモノフィラメントを得た。そして、得られたモノフィラメントを所望の長さにカットしたものを歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作製した。
【００５２】
上記の実施例および比較例で得られた歯ブラシの評価結果を表１に示す。
【００５３】
【表１】
【００５４】
表１の結果から明らかなように、本発明の歯ブラシ用毛材を植毛してなる歯ブラシは、従来の歯ブラシに比べ、歯間や歯の表面に付着した異物の清掃性に優れるとともに、歯茎へのマッサージ効果にも優れた歯ブラシを得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【００５５】
本発明の歯ブラシ用毛材を植毛してなる歯ブラシは、従来の合成樹脂製歯ブラシ用毛材に比べて、歯間や歯の表面に付着した異物の清掃性に優れるとともに、歯茎へのマッサージ効果にも優れているため、従来にない優れた使用感が期待される。
【図面の簡単な説明】
【００５６】
【図１】異形断面モノフィラメント（Ａ）および歯ブラシ用毛材（Ｂ）の第１実施例を示す斜視図。
【図２】異形断面モノフィラメント（Ａ）および歯ブラシ用毛材（Ｂ）の第２実施例を示す斜視図。
【図３】歯ブラシ用毛材の第３実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
【００５７】
１ 異形断面モノフィラメント
２ａ〜２ｃ 単位形状
３ 捻じりモノフィラメント
４ 溝
ｄ テーパー部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、合成樹脂製の歯ブラシ用毛材および歯ブラシに関し、従来の合成樹脂製歯ブラシ用毛材に比べて、歯間汚れや歯表面に付着した異物の除去などの清掃効果に優れるばかりか、歯茎に対するマッサージ効果などの使用感にも優れた歯ブラシ用毛材および歯ブラシに関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、歯ブラシなどに使用するブラシ用毛材としては、一般には合成樹脂製モノフィラメントが広く用いられている。このブラシ用毛材の材質には、適度な腰を有し弾性回復率に優れたポリアミド系樹脂、特にナイロン６・１０およびナイロン６・１２や、吸湿しにくいため弾性変化が少なく、かつ耐久性にも優れたポリエステル系樹脂、特にポリブチレンテレフタレートなどを材質とするものが用いられている。
【０００３】
また、この合成樹脂製モノフィラメントからなる毛材に捻り加工を施すことにより、繊維軸方向に凹凸面を構成させた毛材（例えば、特許文献１参照）が知られている。このように凹凸面を形成した毛材を歯ブラシに使用した場合には、歯茎に対するマッサージ効果はある程度は改善されるものの、歯と歯の隙間に付着した異物や歯垢を掻きだす清掃性に欠けるばかりか、歯茎に対するマッサージ効果も不十分であるという問題があった。
【０００４】
上記の問題を改善したものとしては、異形断面毛材の先端に先鋭状のテーパー部と、このテーパー部の外周に捻じり形成された螺旋状の溝を形成した毛材（例えば、特許文献２参照）が知られている。この歯ブラシ用毛材によれば、毛材の先端がスクリュー形状となっているため、歯の狭い隙間に付着した異物を効果的に除去することができるものの、やはり毛材の腰が低下することに起因して、歯表面の清掃性や歯茎に対するマッサージ効果がいまだに十分とはいえないものであった。
【０００５】
したがって、歯間や歯表面に付着した異物や歯垢除去などの清掃性と、歯茎に対する優れたマッサージ効果とを兼ね備えた合成樹脂製歯ブラシ用毛材の実現が依然として望まれていた。
【特許文献１】登録実用新案第３０３６１０４号
【特許文献１】特開２００３−１８９９４３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【０００７】
したがって、本発明の目的は、従来の合成樹脂製歯ブラシ用毛材に比べて、歯間汚れや歯に付着した異物の清掃性に優れるとともに、歯茎へのマッサージ効果にも優れた歯ブラシ用毛材および歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記目的を達成するため本発明によれば、複数の単位形状が相互に連結された断面形状を有する異形断面合成樹脂モノフィラメントに捻り加工を施すことにより、長さ方向に螺旋状の溝を形成した捻りモノフィラメントのカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材であって、前記異形断面合成樹脂製モノフィラメントの断面における複数の単位形状の内少なくとも１つが、他の単位形状を構成する合成樹脂とは異なる合成樹脂から構成されていることを特徴とする歯ブラシ用毛材が提供される。
【０００９】
なお、本発明の歯ブラシ用毛材においては、前記カットブリッスルの少なくとも一端に尖鋭状なテーパー部を有することが好ましい条件として挙げられる。
【００１０】
また、本発明の歯ブラシは、前記歯ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、以下に説明するとおり、従来の合成樹脂製歯ブラシ用毛材に比べて歯間や歯の表面に付着した異物の清掃性に優れるとともに、歯茎へのマッサージ効果にも優れた歯ブラシ用毛材および歯ブラシを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下に、本発明の歯ブラシ用毛材および歯ブラシについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【００１３】
図１（Ａ）、（Ｂ）は本発明の歯ブラシ用毛材の第１実施例を示す斜視図、図２（Ａ）、（Ｂ）は同じく第２実施例を示す斜視図、図３は同じく第３実施例を示す斜視図である。
【００１４】
図１および図２において、（Ａ）は歯ブラシ用毛材の構成素材である異形断面モノフィラメント、（Ｂ）はこの異形断面モノフィラメントに捻り加工を施した本発明の歯ブラシ用毛材を示す。
【００１５】
図１に示した第１実施例の異形断面モノフィラメント１（Ａ）は、後述する合成樹脂から構成された単位形状２ａと、単位形状２ａとは異なる合成樹脂から構成された単位形状２ｂを相互に連結した異形断面（アレイ型断面）形状からなり、この異形断面モノフィラメント１に撚り加工を施した後に、熱処理を施し固定したカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材３（Ｂ）には、長さ方向に螺旋状の溝４が形成されている。
【００１６】
また、図２に示した第２実施例の異形断面モノフィラメント１（Ａ）は、単位形状２ｂと２ｃとが同じ樹脂からなり、それらとは異なる樹脂から構成された単位形状２ａを相互に連結した異形断面（クローバ型断面）形状からなり、この異形断面モノフィラメント１に撚り加工を施した後に、熱処理を施し固定したブリッスルからなる歯ブラシ用毛材３（Ｂ）には、第１実施例と同様に、長さ方向に螺旋状の溝４が形成されている。
【００１７】
つまり、本発明の歯ブラシ毛材は、異形断面モノフィラメントの断面を構成する単位形状の内1つが、他の単位形状を構成する合成樹脂とは異なる異形断面からなることが特徴である。
【００１８】
さらに、この異形断面モノフィラメントに捻り加工を施すことにより、繊維の長さ方向に螺旋状の溝４が形成されているため、歯表面や歯茎には摩擦抵抗が異なる単位形状が交互に連続接触して、歯表面や歯間に付着した異物を掻きとる性能が向上して高い清掃性が得られると同時に、歯茎にも新感覚な颯爽感のあるマッサージ効果が得られることになる。
【００１９】
図３に示した第３実施例は、第１実施例で用いたカットブリッスルの先端に、化学的減量法などによりテーパー部ｄを形成することにより、テーパー部ｄと螺旋状の溝４とを併せて形成してなる歯ブラシ用毛材の例である。
【００２０】
つまり、先端がスクリュー形状となり、歯間清掃性をより向上させることができる。この場合には、単位形状のどちらかに剛性の高い合成樹脂を選択することにより、テーパー部ｄの毛腰を補うことができる。
【００２１】
なお、図１、図２および図３に示した各実施例においては、いずれも単位形状を円形断面として示したが、三角形、四角形や楕円形などの円形以外の形状であってもよい。また、単位形状の連結する数は特に限定されないが、２〜４個からなる連結が清掃性やマッサージの効果を得るには好ましい。
【００２２】
ここで、本発明の歯ブラシ用毛材を構成する単位形状の合成樹脂の組み合わせとしては、複数の単位形状の内少なくとも１つが、他の単位形状を構成する合成樹脂とは異なる合成樹脂から構成されていればよく特に限定されない。具体的な合成樹脂の組み合わせとしては、ポリブチレンテレフタレート（以下ＰＢＴと称す）／ポリエチレンテレフタレート（以下ＰＥＴと称す）、ＰＢＴ／ポリエチレンナフタレート、ＰＢＴ／ポリエステルエラストマー、ＰＢＴ／ポリプロピレンテレフタレート（以下ＰＴＴと称す）、ＰＥＴ／ポリエステルエラストマー、ＰＢＴ／ポリアミドエラストマー、ポリアミド６・１０／ポリアミドエラストマー、ポリアミド６・１０／ＰＥＴ、ポリアミド６／ポリアミドエラストマーなどの組み合わせが挙げられ、これらに限定されるものではなく、適宣選定することができるが、なかでもＰＢＴ／ＰＥＴ、ＰＢＴ／ＰＥＮ、ポリアミド６・１０／ＰＥＴなどの組み合わせのように、一方の単位形状に硬い樹脂を選択することが、歯表面や歯間に付着した異物を掻きとる性能が向上して高い清掃性が得られることから好ましい。また、清掃性を維持しつつ歯茎のマッサージ効果をより向上させるには、一方の単位形状に摩擦抵抗の高いエラストマー樹脂を使用することが好ましくこの場合には、ＰＢＴ／ポリエステルエラストマー、ポリアミド６・１０／ポリアミドエラストマー、ＰＥＴ／ポリエステルエラストマー、ＰＢＴ／ポリアミドエラストマーなどの組み合わせが好ましい。そして、歯ブラシの種類や使用目的などに応じて、異形断面の単位形状を構成する合成樹脂の組み合わせは、２種類の他にも３種類などを適宜に選択することができる。
【００２３】
なお、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、その目的に応じて単位形状を構成する合成樹脂に対し、耐熱剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化防止剤、抗菌剤、染料および顔料などの慣用の各種添加剤を任意に含有することができる。
【００２４】
異形断面合成樹脂モノフィラメントに撚り加工を施すことにより形成される螺旋状の溝４の数は、繊維軸方向の長さに対して０．５〜１０個／ｃｍの範囲、特に０．６〜８個／ｃｍの範囲で分布存在していることが好ましく、これらの範囲とすることにより、歯表面や歯間に付着した異物を十分に掻き取る性能が得られると同時に、歯茎には従来にない颯爽感のあるマッサージ効果を与えることができる。
【００２５】
ここで、本発明の歯ブラシ用毛材の異形断面における単位形状３の外径については、特に限定しないが、使用感、硬さなどの点から０．１０〜０．３５ｍｍの範囲であることが好ましく、さらには０．１２〜０．３２ｍｍの範囲であることがより好ましい。
【００２６】
上記の構成からなる本発明の歯ブラシ用毛材は、次のようにして製造することができる。
【００２７】
まず、公知の複合溶融紡糸機により、異形断面の単位形状組み合わせに合わせた合成樹脂を準備し、図１および図２に示した実施例などの断面形状になるように、単位形状を相互に連結した異形断面モノフィラメントを製造して、これをボビンやドラムに一旦巻き取る。
【００２８】
次に、一旦巻き取られた異形断面モノフィラメントを撚糸機に掛けて撚り加工を施すことにより、モノフィラメントの外周に０．５〜１０個／ｃｍの螺旋状溝を付与する。
【００２９】
つまり、異形断面モノフィラメント長手方向には、異なる合成樹脂からなる単位形状が連続することになる。この状態のままでは片撚りのため捻りが戻ろうとするので、次いで所望の熱セット条件での熱処理を施して捻り止めセットを行った後、束にして所望の長さに切断することにより、束状のブリッスル束を作製する。
【００３０】
次いで、束状となったブリッスルを直線状にして紙巻きを施し、これを所望の長さに切断することにより、束状のカットブリッスルとする。
【００３１】
図３に示した第３実施例のように、カットブリッスルの先端にテーパー部を形成する場合には、一定長さに切断されたカットブリッスルを一端または両端に、従来法に準じて化学的減量法や機械研磨法を適用することにより、少なくとも一端に尖鋭状のテーパー部と螺旋状の溝とを併せて形成した歯ブラシ用毛材を得ることができる。
【００３２】
上記の製造方法により得られた歯ブラシ用毛材を使用した本発明の歯ブラシは、公知の方法で製造することができ、製造方法について特に限定されない。例えば所望本数の歯ブラシ用毛材を束ねて、その長さ方向中央部で屈曲させ、この屈曲部分を基台の植毛穴へ植毛し平線で固定する方法で本発明の歯ブラシを製造することができる。
【実施例】
【００３３】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、実施例における毛材の評価は次の方法により行った。
【００３４】
また、以下に記載する評価用歯ブラシは、実施例および比較例で得られた歯ブラシ用毛材を、植毛域９ｍｍ×２２ｍｍに３４箇所の植毛孔を有する歯ブラシ用基台に、２０本／孔、かつ毛丈１０ｍｍとなるように植毛したものである。
【００３５】
［清掃性］
２枚のアクリル版の間に１．０ｍｍの溝状隙間を設けることにより疑似歯モデルを作製し、この疑似歯モデルに予め歯垢染色液（プラークチェック液）を付着させた後、歯ブラシ用毛材から製造した歯ブラシを用いて、歯ブラシ垂直荷重３５０ｇ、振幅３０ｍｍ、スピード１８０ｒｐｍ、水温３７℃滴下で３分間の条件でブラッシングを行い、その後、ブラッシングにより歯垢染色液が除去された部分の面積を測定した。そして、除去された部分の面積をブラッシング前の歯垢染色液付着総面積に対する百分率で表し、この値を除去率（％）として、この除去率が大きいほど清掃性に優れていることを表す。
【００３６】
［歯茎のマッサージ効果］
１５名のモニターに歯ブラシを実際に１０日間使用した場合の、使用感、特に歯茎のマッサージ効果評価を依頼し、回答を得た。評価基準は次のとおりである。
１／毛材の歯肉への当たりでチクチク感があり、歯茎のマッサージ効果もなかった。
２／毛材の歯肉への当たりが良好であるが、歯茎のマッサージ効果は小さかった。
３／毛材の歯肉への当たりが良好で、歯茎のマッサージ効果も優れていた。
４／毛材の歯肉への当たりが極めて良好で、歯茎のマッサージ効果も極めて優れていた。
【００３７】
［実施例１］
異形断面モノフィラメントの断面を構成する各単位形状の合成樹脂として、２ａにＰＢＴ樹脂（東レ（株）製１２００Ｓ）を、２ｂにポリエチレンテレフタレート樹脂（東レ（株）製Ｔ３０１Ｔ）を使用した。
【００３８】
これら合成樹脂を複合紡糸機に供給し、紡糸機内で溶融押し出し後、冷却、延伸を行うことにより、表１に示すような断面形状（アレイ型で単位形状２ａ、２ｂの外形０．２０ｍｍ）を有する異形断面モノフィラメントを得た。続いて、この異形断面モノフィラメントを撚糸機に掛けて捻ることにより異形断面モノフィラメントの外周に４．０回／ｃｍの螺旋状溝を付与して一旦巻き取った。次に１８０℃に加温しながら捻り止めセットを行った後、束にして巻き取った。
【００３９】
そして、得られたモノフィラメントを所望の長さにカットした後、歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作製した。
【００４０】
［実施例２］
実施例１において、螺旋状溝の形成をモノフィラメント外周に２．０回／ｃｍに変更した以外は、実施例１と同じ方法で歯ブラシを作製した。
【００４１】
［実施例３］
実施例１において、単位形状２ｂの合成樹脂をポリエテルエラストマー樹脂（東レ・デュポン（株）製、ハイトレル７２４７）に変更した以外は、実施例１と同じ方法で歯ブラシを作製した。
【００４２】
［実施例４］
実施例１において、単位形状２ｂの合成樹脂をＮ６１０樹脂（東レ（株）製、Ｍ２００１）に変更した以外は、実施例１と同じ方法で歯ブラシを作製した。
【００４３】
［実施例５］
実施例１において、単位形状２ａの合成樹脂をＮ６１０樹脂（東レ（株）製、Ｍ２００１）、２ｂにナイロンエラストマー樹脂（アルケマ社製、ぺバックス４０３３）に変更した以外は、実施例１と同じ方法で歯ブラシを作製した。
【００４４】
［実施例６］
実施例１において、得られたモノフィラメントを所望の長さにカットした後、その一端をアルカリ溶解法で先端が先鋭なテーパー状に加工（テーパー部長さｄが８ｍｍ）したものを歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作製した。
【００４５】
［実施例７］
異形断面モノフィラメントの断面を構成する各単位形状の合成樹脂として、２ａと２ｃにＰＢＴ樹脂（東レ（株）製１２００Ｓ）を、２ｂにポリエチレンテレフタレート樹脂（東レ（株）製Ｔ３０１Ｔ）を使用した。
【００４６】
これら合成樹脂を複合紡糸機に供給し、紡糸機内で溶融押し出し後、冷却、延伸を行うことにより、表１に示すような断面形状（クローバ型で単位形状２ａ、２ｂ、２ｃの外形０．２０ｍｍ）を有する異形断面モノフィラメントを得た。続いて、この異形断面モノフィラメントを撚糸機に掛けて捻ることによりモノフィラメントの外周に４．０回／ｃｍの螺旋状溝を付与して一旦巻き取った。次に１８０℃に加温しながら捻り止めセットを行った後、束にして巻き取った。
【００４７】
そして、得られたモノフィラメントを所望の長さにカットした後、歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作製した。
【００４８】
［比較例１］
実施例１において、モノフィラメント本体部となる各単位形状の合成樹脂として２ａと２ｂに同一樹脂のＰＢＴ樹脂（東レ（株）製１２００Ｓ）を使用した以外は、実施例１と同じ方法で歯ブラシを作製した。
【００４９】
［比較例２］
合成樹脂としてＰＢＴ樹脂（東レ（株）製１２００Ｓ）を紡糸機に供給し、紡糸機内で溶融押し出し後、冷却、延伸を行うことにより、表１に示すような４角断面形状（外形０．２０ｍｍ）を有する異形断面モノフィラメントを得た。続いて、この異形断面モノフィラメントを撚糸機に掛けて捻ることによりモノフィラメントの外周に２．０回／ｃｍの螺旋状溝を付与して一旦巻き取った。次に１８０℃に加温しながら捻り止めセットを行った後、束にして巻き取った。
【００５０】
そして、得られたモノフィラメントを所望の長さにカットした後、その一端をアルカリ溶解法で先端が先鋭なテーパー状に加工（テーパー長８ｍｍ）したものを歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作成した。
【００５１】
［比較例３］
合成樹脂としてＰＢＴ樹脂（東レ（株）製１２００Ｓ）を紡糸機に供給し、紡糸機内で溶融押し出し後、冷却、延伸、熱処理を行うことにより、表１に示すような丸断面形状（外形０．２０ｍｍ）を有するモノフィラメントを得た。そして、得られたモノフィラメントを所望の長さにカットしたものを歯ブラシ用毛材として使用し、歯ブラシを作製した。
【００５２】
上記の実施例および比較例で得られた歯ブラシの評価結果を表１に示す。
【００５３】
【表１】
【００５４】
表１の結果から明らかなように、本発明の歯ブラシ用毛材を植毛してなる歯ブラシは、従来の歯ブラシに比べ、歯間や歯の表面に付着した異物の清掃性に優れるとともに、歯茎へのマッサージ効果にも優れた歯ブラシを得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【００５５】
本発明の歯ブラシ用毛材を植毛してなる歯ブラシは、従来の合成樹脂製歯ブラシ用毛材に比べて、歯間や歯の表面に付着した異物の清掃性に優れるとともに、歯茎へのマッサージ効果にも優れているため、従来にない優れた使用感が期待される。
【図面の簡単な説明】
【００５６】
【図１】異形断面モノフィラメント（Ａ）および歯ブラシ用毛材（Ｂ）の第１実施例を示す斜視図。
【図２】異形断面モノフィラメント（Ａ）および歯ブラシ用毛材（Ｂ）の第２実施例を示す斜視図。
【図３】歯ブラシ用毛材の第３実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
【００５７】
１ 異形断面モノフィラメント
２ａ〜２ｃ 単位形状
３ 捻じりモノフィラメント
４ 溝
ｄ テーパー部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数の単位形状が相互に連結された断面形状を有する異形断面合成樹脂モノフィラメントに捻り加工を施すことにより、長さ方向に螺旋状の溝を形成した捻りモノフィラメントのカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材であって、前記異形断面合成樹脂製モノフィラメントの断面における複数の単位形状の内少なくとも１つが、他の単位形状を構成する合成樹脂とは異なる合成樹脂から構成されていることを特徴とする歯ブラシ用毛材。
【請求項２】
前記カットブリッスルの少なくとも一端に尖鋭状なテーパー部を有することを特徴とする請求項１に記載の歯ブラシ用毛材。
【請求項３】
請求項１または２に記載の歯ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とする歯ブラシ。
【請求項１】
複数の単位形状が相互に連結された断面形状を有する異形断面合成樹脂モノフィラメントに捻り加工を施すことにより、長さ方向に螺旋状の溝を形成した捻りモノフィラメントのカットブリッスルからなる歯ブラシ用毛材であって、前記異形断面合成樹脂製モノフィラメントの断面における複数の単位形状の内少なくとも１つが、他の単位形状を構成する合成樹脂とは異なる合成樹脂から構成されていることを特徴とする歯ブラシ用毛材。
【請求項２】
前記カットブリッスルの少なくとも一端に尖鋭状なテーパー部を有することを特徴とする請求項１に記載の歯ブラシ用毛材。
【請求項３】
請求項１または２に記載の歯ブラシ用毛材を毛材の少なくとも一部に使用したことを特徴とする歯ブラシ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２０１０−１２５０４６（Ｐ２０１０−１２５０４６Ａ）
【公開日】平成２２年６月１０日（２０１０．６．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−３０２６７８（Ｐ２００８−３０２６７８）
【出願日】平成２０年１１月２７日（２００８．１１．２７）
【出願人】（０００２１９２８８）東レ・モノフィラメント株式会社 (239)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年６月１０日（２０１０．６．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１１月２７日（２００８．１１．２７）
【出願人】（０００２１９２８８）東レ・モノフィラメント株式会社 (239)
【Ｆターム（参考）】
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