説明

歯ブラシ

ベース表面にわたって均質に分散されるブリッスルを含む歯ブラシを開示する。種々の組み合わせで、ブリッスルを歯ブラシの長手方向軸線に90度未満の開先角度で個々に方向付けすることができ、実質的に全てのブリッスルが少なくとも1本の他のブリッスルと個々に接触することができ、ブリッスルが弓形の円筒形ブリッスル表面を画定することができ、および/またはブリッスルを単一群内にランダムに分散することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、口腔ケアの分野に関し、詳細には、歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歯ブラシは、典型的には、ブリッスル(bristles)(「タフト(tufts)」)の群を歯ブラシのプラスチックヘッドに取り付けることにより製造される。タフトは、多くの方法で接着することができる。公知の方法の1つでは、各タフトは、U形構成に折り曲げた複数の個々のブリッスルで形成される。折り曲げたタフトは、次に、歯ブラシのヘッドに設けられた開口部または空洞に挿入する。各タフトは、製造者のデザインおよび歯ブラシの種類により、2〜60の何れかの数の個々のブリッスルで構成される。例えば、「柔らかい」ブリッスルの歯ブラシは、「普通」ブリッスルの歯ブラシとは異なる長さおよび直径のブリッスルを有することができる。
【0003】
別の製造方法では、各タフトは、複数の個々のブリッスルも含む。各タフトが複数の個々のブリッスルを含む多数のブリッスルタフトを第1の鋳型部材の各穴に挿入し、タフトの長さが鋳型部材の側面から突出してその後ブラシ本体のための鋳型空洞の内側表面を形成することになるようにする。次に、各タフトの突出長さの少なくとも一部を溶融させ、第1の鋳型部材の内側側面の穴より断面が大きな塊にする。次に、第1の鋳型部材を第2の鋳型部材と嵌合させてブラシ本体のための鋳型空洞を定め、鋳造材料を空洞に射出して最終的なブラシ製品を形成する。
【0004】
他の歯ブラシでは、1つまたはそれ以上の群のブリッスルをハンク(hanks)として取り付けることができる。各ハンクは、少なくとも部分的には摩擦により適所に保持された複数のブリッスルを含む。
【0005】
タフトまたはハンクで製造される歯ブラシに伴う可能性がある問題の1つは、各ブリッスルの動きが少なくとも部分的に周囲のブリッスルにより束縛されるため、タフトまたはハンクに組み込まれるブリッスルが独立に自由に曲がったり撓んだりしないことである。従って、ブリッスルは、歯の表面に沿う不規則な外形に独立に従うことができない可能性がある。
【0006】
多くの歯ブラシで可能性のある別の不利な点は、ブリッスルの端部が、ハンクであれタフトであれ、ほぼ平坦な「ブリッスル表面」、即ち、ブリッスルの端部が位置する表面(平坦なブリッスル表面が全体的に平面を定める)を定めることである。このような平坦なブリッスル表面では、タフトまたはハンクの端部により、近接するブリッスルが歯の溝に貫入するのが妨げられる可能性がある。また、密集して詰め込まれたブリッスルタフトまたはハンクの直径が嵩高いことによりブリッスルが隣接歯間に出入りすることが制限される可能性がある。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,003,189号明細書
【特許文献2】米国特許第5,749,381号明細書
【特許文献3】米国特許第6,286,246B1号明細書
【非特許文献1】U.マーグ(U.Maag)、「フロック加工の原理」アドヘッシブス・エイジ(Adhesives Age)23〜28頁第19巻第9号(1975年9月)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、歯ブラシのベース表面にわたって均質に分散する個々のブリッスルを含む歯ブラシを提供する。均質に隔置された個々のブリッスルにより、当技術分野で公知の歯ブラシに用いられるブリッスルのタフトまたはハンクよりも隣接歯間への出入りを良好にすることができる。
【0009】
均質に分散するブリッスルは、植毛台のベース表面にわたってランダムに分散することが好ましい可能性がある。均質で、任意にランダムに分散するブリッスルは、最小植毛密度が5ブリッスル/mmまたはそれ以上および/または上限植毛密度が25ブリッスル/mmまたはそれ未満(何れも、ブリッスルに占有される域にわたって測定した植毛密度の平均に基づく)となるように配列することができる。
【0010】
本発明の実施形態のいくつかでは、歯ブラシには、長手方向軸線およびブリッスルにより定められる平面内で測定される際、長手方向軸線に90度未満の開先角度で個々に方向付けされるブリッスルが含まれる。
【0011】
本発明による歯ブラシの別の任意の特徴は、実質的に全ての個々のブリッスルが、ベース表面の上に露出するブリッスルの長さに沿うある部位で少なくとも1本の他のブリッスルに個々に接触することができることである。
【0012】
本発明の実施形態のいくつかでは、歯ブラシには、弓形の円筒形のブリッスル表面を形成する個々のブリッスルが含まれる。弓形の円筒形ブリッスル表面および個々のブリッスルにより、ブリッスルは隣接するブリッスルに妨げられることなく溝に差し込まれる。このような歯ブラシまたは本発明の他の実施形態では、ブリッスルが長手方向軸線に対してほぼ半径方向に位置合わせされることが好ましい可能性がある。
【0013】
また、実施形態のいくつかでは、歯ブラシは、植毛台ベースに取り外し可能に取り付けられる植毛台を含むことができ、これによって、使用者が、異なる特性、例えば、剛性、ブリッスル長さ、密度等を有する種々の植毛台を選択することができる。
【0014】
本発明によりもたらされる利点には、歯間部分、頚部、窩、及び裂を更に効果的にきれいにする能力がある。
【0015】
態様の1つでは、本発明は、近位端および遠位端と、近位端から遠位端まで延在する長手方向軸線と、歯ブラシの遠位端に近接する植毛台と、を有する歯ブラシであって、植毛台がベース表面に植設された複数のブリッスルを含み、複数のブリッスルがベース表面にわたって均質に分散するとともにベース表面から隔置された弓形円筒形のブリッスル表面を画定し、植毛台上の実質的に全てのブリッスルが、長手方向軸線およびブリッスルにより定められる平面内で測定される際、長手方向軸線に90度未満の開先角度で個々に方向付けされる歯ブラシを提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、近位端および遠位端と、近位端から遠位端まで延在する長手方向軸線と、歯ブラシの遠位端に近接する植毛台と、を有する歯ブラシであって、植毛台がベース表面に植設された複数のブリッスルを含み、複数のブリッスルがベース表面にわたって均質に分散し、この複数のブリッスルの実質的に全てのブリッスルが少なくとも1本の他のブリッスルに個々に接触し、植毛台上の実質的に全てのブリッスルが、長手方向軸線およびブリッスルにより定められる平面内で測定される際、長手方向軸線に90度未満の開先角度で個々に方向付けされる歯ブラシを提供する。
【0017】
別の態様では、本発明は、近位端および遠位端と、近位端から遠位端まで延在する長手方向軸線と、歯ブラシの遠位端に近接する植毛台と、を有する歯ブラシであって、植毛台がベース表面に植設された複数のブリッスルを含み、植毛台上の全てのブリッスルが植毛台上の単一群内のみに配列され、単一群内のブリッスルが単一群内に均質に分散し、複数のブリッスルの各ブリッスルが長手方向軸線に対してほぼ半径方向に位置合わせされ、ベース表面が長手方向軸線に対して180度またはそれ未満の弧を占める歯ブラシを提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、近位端から遠位端まで延在する長手方向軸線を画定する近位端および遠位端と、モータおよびシャフトを含む筐体と、長手方向軸線に対して動くように作動可能にシャフトに連結された植毛台と、を有する電動式歯ブラシを提供する。植毛台は、ベース表面に植設された複数のブリッスルを含み、複数のブリッスルがベース表面にわたって均質に分散され、複数のブリッスルの実質的に全てのブリッスルが少なくとも1本の他のブリッスルに個々に接触する。
【0019】
本発明による歯ブラシのこれらおよび他の特徴および利点は、特許請求の範囲により定義される本発明の種々の例示的実施形態に関して以下に論じることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下の例示的な実施形態の詳細な記載では、その一部を形成する添付の図面を参照しており、本発明を実施することができる説明のための特定の実施形態を示す。他の実施形態を用いることもでき、本発明の範囲から逸脱することなく構造的な変更を行うこともできることは理解されると考える。
【0021】
図1〜図3は、本発明による歯ブラシの実施形態の一例を示す。歯ブラシは、近位端12および近位端12に対向する遠位端14を備える柄10を含む。長手方向軸線16は、近位端12から遠位端14まで延在する。
【0022】
歯ブラシは、当技術分野で公知のあらゆる適切な材料、例えば、ポリマー材料、金属、木材、ガラス繊維等、およびその組み合わせで製造することができる。歯ブラシの柄10は、例えば、長方形、円筒形等のあらゆる適切な形状とすることができる。歯ブラシの柄10は使用者の手に馴染むような形状であることが好ましい可能性がある。
【0023】
更に、歯ブラシの柄10は、ファレイロス(Falleiros)らに付与された「歯ブラシ」と題される(特許文献1)に記載されるような遠位端14に近接する可撓性部材を含むことができる。可撓性部材は、ブラッシングの間に使用者が歯ブラシ柄10の遠位端14に過剰な力をかけると撓むことができる。
【0024】
歯ブラシには、歯ブラシ柄10の遠位端14の近傍に植毛台20が含まれる。植毛台20には複数のブリッスル26が含まれ、これは、当技術分野で公知のあらゆる適切な技術、例えば、接着剤、機械的締結装置、溶着(熱または化学的)等を用いて遠位端14の近傍に取り付けることができる。実施形態の1つでは、植毛台20は、本明細書に更に詳細に記載するように、取り外し可能に柄10に取り付けることができる。植毛台20は柄10に取り付けられる別個の構成単位として設けることもできるが、ブリッスル26を柄10に直接植設することもでき、この場合、植毛台20は柄10と一体的である。
【0025】
植毛台20は、あらゆる適切な形状、例えば、長方形、卵形、円形、平行四辺形等とすることができる。植毛台20は、例えば図1に示すようにほぼ長方形とすることが好ましい可能性がある。更に、植毛台20は、何らかの適切な材料、例えば、ポリマー材料、金属、木材、ガラス繊維等、及びその組み合わせを用いて製造することができる。
【0026】
植毛台20には、図示する実施形態では、弓形の円筒形セグメント(例えば図3参照)を形成するベース表面22が含まれる。図示するベース表面22の弓形の円筒形セグメントは、柄10の長手方向軸線16とほぼ位置合わせすることになる軸線により定められるが、このような配列は必要でないこともある。
【0027】
ベース表面22は、数個の異なる技術を用いて弓形の円筒形セグメントに形成することができる。例えば、歯ブラシ柄10の遠位端14には、取り付けられる植毛台20が遠位端14の表面の外形に一致するように弓形の円筒形セグメントを含むことができる。或いは、植毛台20自身を遠位端14に取り付ける前に弓形の円筒形セグメントに形成することができる。別の実施形態では、植毛台20は、遠位端14の幅より大きい長手方向軸線16を横断する幅とすることができる。すると、遠位端14は、植毛台20がノッチに係合して長手方向軸線16に沿って適所に滑動することになるように構成された溝またはノッチを含むことができ、植毛台20の幅と歯ブラシの遠位端14の幅に差があるため、植毛台20は、弓形の円筒形セグメントを取るようにされる。この構成では、歯ブラシの使用中に植毛台20が僅かに撓むことができるように植毛台20と遠位端14との間に隙間を形成することができる。
【0028】
歯ブラシの植毛台20には、ベース表面22から突出するブリッスル26が含まれる。ブリッスル26は、互いに束になってタフトまたはハンクにならず、代わりに、ベース表面22にわたって均質に分散する。本明細書で用いる場合、「ベース表面にわたって均質に分散する」という用語は、個々のブリッスルが複数のタフト、ハンク、又は束に形成されないように、実質的に全ベース表面にわたってブリッスルが分散することであると定義される。
【0029】
更に、ブリッスル26がベース表面22にわたってランダムに分散する、即ち、ブリッスルがベース表面22上に特定のパターンで配列されないことが好ましい可能性がある。
【0030】
本発明による歯ブラシの実施形態のいくつかでは、実質的に全てのブリッスル26は長手方向軸線16および個々のブリッスル26(例えば、図2参照)により定められる平面内で測定される際、長手方向軸線に90度未満の開先角度θ(シータ)で方向付けすることができる。実質的に全てのブリッスル26が80度またはそれ未満の開先角度で方向付けされることが好ましい可能性がある。実質的に全てのブリッスル26が70度またはそれ未満の開先角度で個々に方向付けされることが好ましい可能性がある。ブリッスル26は、開先角度θ(シータ)が柄10の遠位端14に向かうか離れる方向に向くように方向付けすることができる。
【0031】
種々の実施形態では、実質的に全てのブリッスル26が同じ方向(遠位端14に向かうか遠位端14から離れる)に方向付けされることもでき、いくつかのブリッスル26が一方向に方向付けされ、他のブリッスル26が反対方向に方向付けされることもできる。実質的に全てのブリッスル26が同方向に方向付けされる実施形態でも、ブリッスル26の一部は反対方向に方向付けされることもありまたはベース表面22に垂直に方向付けされることもある。大部分のブリッスル26が遠位端14に向けて方向付けされるが、ブリッスル26の一部はベース表面22に垂直に方向付けされるものもあり、(遠位端14から離れる)反対方向に方向付けされるものもあるような配列は図2に示される。
【0032】
本発明の特徴とすることができる別の様式では、実質的に全てのブリッスル26が、ブリッスルの長さに沿う1つまたはそれ以上の部位で少なくとも他のブリッスルと個々に接触することが好ましいことがあることである。実質的に全てのブリッスル26が少なくとも1本の他のブリッスルと個々に接触することができるが、実質的に全てのブリッスル26は本明細書に記載するように長手方向軸線に開先角度θ(シータ)を個々に形成することもできる。
【0033】
また、本発明は、そこからブリッスルが突出するベース表面22の植毛密度に関して特徴を示すこともできる。例えば、ブリッスル26は、最低植毛密度が5ブリッスル/mmまたはそれ以上でベース表面22上に配列することができる。植毛密度範囲の上限では、ブリッスル26は、最大植毛密度が25ブリッスル/mmまたはそれ未満で配列することが好ましい可能性がある。本明細書で用いる場合、植毛密度は、ブリッスルが占有する域にわたる平均植毛密度である。
【0034】
各ブリッスル26が柄10の長手方向軸線に対してほぼ半径方向に個々に位置合わせされるように(例えば図3参照)ブリッスル26が配列される場合には、植毛密度は、ベース表面22からの距離が増大するにつれて減少する。このように植毛密度が減少すると、各ブリッスル26が例えば裂、歯間の空間等へ差し込まれる自由または運動範囲が大きくなる可能性があるため有利である可能性がある。ブリッスル26の自由端の近傍での運動の自由と組み合わせて、各ブリッスル26はベース表面22の近傍では隣接ブリッスル26により依然として支持されることができ、これによって個々のブリッスルに十分な剛性を付与することができる。
【0035】
本発明の歯ブラシの別の様式は、ブリッスルが植毛台20上に配列される群の数に関して特徴を示すことができる。例えば、ブリッスル26が植毛台20上の単一群内のみに配列され、単一の群内に均質に分散されることが好ましい可能性がある。更に、ブリッスル26は単一群内にランダムに分散されることが好ましいこともある。
【0036】
ブリッスル26の各ブリッスルは、あらゆる適切な材料、例えば、ポリマー材料、ナイロン等を用いて製造することができる。ブリッスル26には、ブリッスル中に混合されるか、またはブリッスルの外表面をコーティングする付加的な材料、例えば、研磨剤、抗菌剤、白化剤、フロック加工を向上させるコーティング等を含むことができる。
【0037】
各ブリッスル26は、あらゆる適切な形状、例えば、円筒形、円錐形、直線的等とすることができる。各ブリッスル26は、ベース表面から末端にある先細端部を更に含むことができる。別の実施形態では、ブリッスル26の端部に丸みをつけることができる。
【0038】
各ブリッスル26は、同じ長さとすることができる。言い換えると、全てのブリッスル26は、ベース表面22から実質的に同じ距離で終端とすることができる。例えば、各ブリッスル26は、ベース表面からブリッスルの遠位端まで15mmまたはそれ未満、更に好ましくは10mmまたはそれ未満の長さを含むことができる。各ブリッスル26の長さは4mm〜6mmであることが好ましい可能性がある。
【0039】
ブリッスルの直径は、ブリッスルに用いる材料、ブリッスルの長さ等のような種々の因子に基づいて望ましいように変えることができる。ブリッスルの直径に適切な範囲は、例えば、0.05mm〜0.25mmとすることができるが、本発明による歯ブラシには、この範囲外の直径のブリッスルも用いることができる。或いは、本発明による歯ブラシには、2種またはそれ以上の異なる直径のブリッスルを含み、これを直径により選択したパターンに配列するか、植毛台にわたってランダムに配列することができる。
【0040】
図1〜図3に示す実施形態では、ブリッスル26は、ベース表面22から隔置された弓形の円筒形ブリッスル表面28を画定する。図1〜図3の実施形態では弓形の円筒形ブリッスル表面28のように示すが、ブリッスルは、他の実施形態では、あらゆる適切な形状のブリッスル表面を定めることができる。例えば、いくつかの歯ブラシでは、ブリッスル表面は、平坦(即ち、実質的に平面)とすることができ、他の歯ブラシでは、ブリッスル表面はドーム形(即ち、2つまたはそれ以上の軸線を中心とする曲率を有する)とすることができる。また、多くの他の非平面ブリッスルの表面形状も視野に入れることができる。
【0041】
弓形ブリッスル表面28は、長手方向軸線16に垂直な平面内で測定される際、あらゆる適切な弧とすることができる。例えば、図3は、弓形ブリッスル表面28を角度α(アルファ)により定めることができることを示す。弓形ブリッスル表面28により定められる中心は、図3に見られるように長手方向軸線16と一致することが好ましい可能性があるが、その代わりに、弓形ブリッスル表面28により定められる中心が歯ブラシ10の長手方向軸線16から偏位することもできる。角度α(アルファ)は180度またはそれ未満とすることが好ましい可能性がある。
【0042】
弓形ブリッスル表面28では、例えば、バトラー(Butler)らに付与された「バスブラッシング法を実施するための歯ブラシ」と題される(特許文献2)に記載するようなバスブラッシング法を容易に実施することができる。
【0043】
ブリッスル26の各ブリッスルは、当技術分野で公知のあらゆる適切な技術、例えば、植毛台20上または植毛台20内への溶着、射出成形、穿孔機を通す取り付け、フロック加工等を用いて植毛台20に固定することができる。例えば、ブリッスル26は、フロック加工技術、例えば、レイキャル(Rachal)らに付与された(特許文献3)および(非特許文献1)に記載されるようなものを用いて植毛台20に固定することができる。本発明の開発中に試作品を製造するのに用いた別の技術の1つには、ブリッスルを振動接着剤表面にフロック加工する段階を含んだ。次に、接着剤表面およびフロック加工によりそれに取り付けられたブリッスルを反転し、ブリッスルの自由端が、硬化後には、接着剤表面から分離した後にブリッスルを保持する硬化可能表面に植設された。本明細書で論じるように、硬化可能材料に繊維を植設する前にブリッスルの自由端を横切るようにバーを通過させることによりブリッスルに傾斜または角度を付けた。次に硬化材料(植設されたブリッスルを備える)をトリムして本発明の歯ブラシのための植毛台を作成した。
【0044】
いくつかの実施形態では、使用者が植毛台20を取り外して別の植毛台と取り替えることができるように、植毛台20を歯ブラシの遠位端14に取り外し可能に取り付けることができる。歯ブラシは、当技術分野で公知のあらゆる適切な技術により植毛台20をこのように可換性にするように構成することができる。例えば、歯ブラシ柄10の遠位端14には、植毛台20がチャネルに滑動して入ると植毛台20の縁を受け取るように構成された一対のチャネルを含むことができる。その後、植毛台20は、歯ブラシの遠位端14に取り付けられた端部キャップにより歯ブラシに固定することができる。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態による電動式歯ブラシ100の斜視図である。電動式歯ブラシ100には、近位端112および遠位端114が含まれる。長手方向軸線116は、近位端112から遠位端114を通って延在する。歯ブラシ100には、当技術分野で公知のように、歯ブラシ本体130内に配置されるモータおよび電源を含むことができる。
【0046】
また、歯ブラシ本体130に取り付けられた歯ブラシ100には、シャフト140が含まれる。シャフト140は、歯ブラシ本体130と一体化することができる。或いは、使用者が種々のシャフトから選択することができるか、損耗したシャフトを取り替えることができるように、シャフト140を歯ブラシ本体130から分離可能とすることができる。例えば、歯ブラシ100は、各シャフト140が本明細書に更に記載するような種々の剛性、長さ、色等のブリッスルを含む2つまたはそれ以上のシャフト140を含むキットの一部とすることができる。更に、例えば、1つのシャフト140が中程度の平均剛性を示すブリッスルを有することができ、別のシャフト140が柔らかい平均剛性のブリッスルを有することができる。
【0047】
更に、シャフト140は、当技術分野で公知の種々の種類の電動式歯ブラシに取り付けるように構成することができる。シャフト140は、あらゆる適切な材料または各材料、例えば、ポリマー、ゴム、金属等及びその組み合わせで製造することができる。
【0048】
シャフト140は、歯ブラシ100の遠位端114の近傍に植毛台ベース118を含む。植毛台120は、当技術分野で公知のあらゆる適切な技術を用いて植毛台ベース118に取り付けられる。植毛台ベース118には、植毛台120をシャフト140に確実に取り付けられるための表面を設けるように構成される。或いは、植毛台120および植毛台ベース118を組み合わせて単一の一体化構成単位にすることができる。
【0049】
植毛台120は、あらゆる適切な形状、例えば、長方形、卵形等とすることができる。更に、植毛台120は、図1〜図3を参照して本明細書に記載した植毛台20を製造するのに用いる材料と同じまたは類似の材料で製造することができる。
【0050】
歯ブラシ100は、作動されると、植毛台ベース118が長手方向軸線116にほぼ垂直な軸線134の回りを回転するように構成される。或いは、歯ブラシ100は、植毛台ベース118が本体130に関して揺動性、軌道性、拍動性、振動性に動くように構成することもできる。
【0051】
植毛台120には、植毛台120のベース表面122に植設されたブリッスル126が含まれる。ブリッスル126は、図1〜図3の歯ブラシに関して本明細書に記載したブリッスル26に多くの点で類似する。例えば、実施形態の1つでは、ブリッスルは、ベース表面にわたって均質に分散し、実質的に全てのブリッスルがブリッスルの長さに沿う1つまたはそれ以上の部位で少なくとも1本の他のブリッスルと個々に接触することが好ましい可能性がある。
【0052】
他の実施形態では、実質的に全てのブリッスル126は、ブリッスルが植設されたベース表面により画定された平面に90度未満の開先角度で個々に方向付けされる。
【0053】
図5は、本発明の一実施形態による歯ブラシキット200の略図である。キット200には、本明細書に記載の何れの歯ブラシとすることもでき、例えば、図1〜図3の歯ブラシ、および/または図4の電動式歯ブラシとすることができる歯ブラシ210が含まれる。また、キット200には、2つまたはそれ以上の植毛台220が含まれる。歯ブラシ210に対しては、植毛台220を本明細書に記載するように歯ブラシ210の遠位端に取り付けることができる。電動式歯ブラシ210(例えば、電動式歯ブラシ100)に対しては、2つまたはそれ以上の植毛台220を本明細書に記載するようにシャフト(例えばシャフト140)に取り付けることができる。キット200により、使用者は、異なる特性、例えば、異なるブリッスル剛性、植毛密度、又は本明細書に記載のあらゆる他の特性を有する2つまたはそれ以上の植毛台220から植毛台を選択することができる。また、キット200は、練り歯磨き、フロス、又は他の当技術分野で公知の有用な歯科材料の1つまたはそれ以上の容器を含むことができる。
【0054】
本明細書に引用した全ての参照文献および刊行物は、参照により本明細書にそのまま明確に組み込まれる。本発明の例示的な実施形態を論じ、本発明の範囲に含まれる可能な変形形態に言及した。本発明の範囲から逸脱しない本発明のこれらおよび他の変形形態および変更形態は、当業者には明らかであることになり、本発明は、本明細書に記載した例示的な実施形態に限定されないことは当然理解される。従って、本発明は、特許請求の範囲のみにより限定されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による歯ブラシの斜視図である。
【図2】線2〜2に沿って取った図1の歯ブラシの断面図である。
【図3】線3〜3に沿って取った図1の歯ブラシの断面図である
【図4】本発明の一実施形態による電動式歯ブラシの斜視図である。
【図5】本発明の別の実施形態による歯ブラシキットの略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端および遠位端と、
近位端から遠位端まで延在する長手方向軸線と、
歯ブラシの遠位端の近傍の植毛台と、を含む歯ブラシであって、前記植毛台がベース表面に植設された複数のブリッスルを含み、前記複数のブリッスルが前記ベース表面にわたって均質に分散され、前記複数のブリッスルが前記ベース表面から隔置される弓形の円筒形ブリッスル表面を画定し、前記植毛台上の実質的に全ての前記ブリッスルが前記長手方向軸線および前記ブリッスルにより定められた平面内で測定される際、前記長手方向軸線に90度未満の開先角度で個々に方向付けされる歯ブラシ。
【請求項2】
前記複数のブリッスルが前記ベース表面にわたってランダムに分散する、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記複数のブリッスルが前記植毛台上の単一群内のみに配列され、前記複数のブリッスルが前記単一群内に均質に分散される、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
前記複数のブリッスルが前記単一群内にランダムに分散される、請求項3に記載の歯ブラシ。
【請求項5】
前記植毛台上の実質的に全ての前記ブリッスルが同じ方向に方向付けされる、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項6】
前記ベース表面が弓形の円筒形セグメントの形である、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項7】
前記複数のブリッスルの各ブリッスルが前記長手方向軸線に対してほぼ半径方向に個々に位置合わせされる、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項8】
前記複数のブリッスルが、前記ベース表面近傍に5ブリッスル/mmまたはそれ以上の植毛密度で配列される、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項9】
前記複数のブリッスルが、前記ベース表面の近傍に25ブリッスル/mmまたはそれ未満の植毛密度で配列される、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項10】
前記複数のブリッスルの実質的に全てのブリッスルが、少なくとも1本の他のブリッスルと個々に接触する、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項11】
前記植毛台が前記歯ブラシの前記遠位端に取り外し可能に取り付けられる、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項12】
近位端及び遠位端と、
前記近位端から前記遠位端まで延在する長手方向軸線と、
前記歯ブラシの前記遠位端の近傍の植毛台と、を含む歯ブラシであって、前記植毛台がベース表面に植設された複数のブリッスルを含み、前記複数のブリッスルが前記ベース表面にわたって均質に分散され、前記複数のブリッスルの実質的に全てのブリッスルが少なくとも1本の他のブリッスルと個々に接触し、前記植毛台上の実質的に全ての前記ブリッスルが、前記長手方向軸線および前記ブリッスルにより定められる平面内で測定される際、前記長手方向軸線に90度未満の開先角度で個々に方向付けされる歯ブラシ。
【請求項13】
前記複数のブリッスルが、前記ベース表面の近傍で5ブリッスル/mmまたはそれ以上の植毛密度で配列される、請求項12に記載の歯ブラシ。
【請求項14】
前記複数のブリッスルが、前記ベース表面の近傍で25ブリッスル/mmまたはそれ未満の植毛密度で配列される、請求項12に記載の歯ブラシ。
【請求項15】
前記複数のブリッスルが、前記ベース表面にわたってランダムに分散する、請求項12に記載の歯ブラシ。
【請求項16】
前記複数のブリッスルが前記植毛台上の単一群内のみに配列され、前記複数のブリッスルが、前記単一群内に均質に分散される、請求項12に記載の歯ブラシ。
【請求項17】
前記複数のブリッスルが前記単一群内にランダムに分散される、請求項16に記載の歯ブラシ。
【請求項18】
前記植毛台上の実質的に全ての前記ブリッスルが同じ方向に方向付けされる、請求項12に記載の歯ブラシ。
【請求項19】
前記ベース表面が弓形の円筒形セグメントの形である、請求項12に記載の歯ブラシ。
【請求項20】
前記複数のブリッスルの各ブリッスルが、前記長手方向軸線に対してほぼ半径方向に個々に位置合わせされる、請求項12に記載の歯ブラシ。
【請求項21】
前記植毛台が、前記歯ブラシの前記遠位端に取り外し可能に取り付けられる、請求項12に記載の歯ブラシ。
【請求項22】
近位端及び遠位端と、
前記近位端から前記遠位端まで延在する長手方向軸線と、
前記歯ブラシの前記遠位端の近傍の植毛台と、を含む歯ブラシであって、前記植毛台がベース表面に植設された複数のブリッスルを含み、前記植毛台上の全ての前記ブリッスルが前記植毛台上の単一群内のみに配列され、前記単一群内の前記ブリッスルが前記単一群内に均質に分散され、前記複数のブリッスルの各ブリッスルが前記長手方向軸線に対してほぼ半径方向に位置合わせされ、前記ベース表面が前記長手方向軸線に対して180度またはそれ未満の弧を占める歯ブラシ。
【請求項23】
前記植毛台上の実質的に全ての前記ブリッスルが、前記長手方向軸線および前記ブリッスルにより定められる平面内で測定される際、前記長手方向軸線に90度未満の開先角度で個々に方向付けされる、請求項22に記載の歯ブラシ。
【請求項24】
前記植毛台上の実質的に全ての前記ブリッスルが同じ方向に方向付けされる、請求項23に記載の歯ブラシ。
【請求項25】
前記単一群内の前記ブリッスルが前記単一群内でランダムに分散される、請求項22に記載の歯ブラシ。
【請求項26】
前記ベース表面が弓形の円筒形セグメントの形である、請求項22に記載の歯ブラシ。
【請求項27】
前記複数のブリッスルが、前記ベース表面の近傍で5ブリッスル/mmまたはそれ以上の植毛密度に配列される、請求項22に記載の歯ブラシ。
【請求項28】
前記複数のブリッスルが、前記ベース表面の近傍で25ブリッスル/mmまたはそれ未満の植毛密度で配列される、請求項22に記載の歯ブラシ。
【請求項29】
前記複数のブリッスルの実質的に全てのブリッスルが、少なくとも1本の他のブリッスルと個々に接触する、請求項22に記載の歯ブラシ。
【請求項30】
前記植毛台が前記歯ブラシの前記遠位端に取り外し可能に取り付けられる、請求項22に記載の歯ブラシ。
【請求項31】
近位端から遠位端まで延在する長手方向軸線を画定する近位端および遠位端と、
モータおよびシャフトを含む筐体と、
前記長手方向軸線に対して動くように前記シャフトに作動可能に連結された植毛台と、を含む電動式歯ブラシであって、
前記植毛台がベース表面に植設された複数のブリッスルを含み、前記複数のブリッスルが前記ベース表面にわたって均質に分散され、前記複数のブリッスルの実質的に全てのブリッスルが少なくとも1本の他のブリッスルと個々に接触する電動式歯ブラシ。
【請求項32】
前記複数のブリッスルが、前記ベース表面の近傍で5ブリッスル/mmまたはそれ以上の植毛密度で配列される、請求項31に記載の電動式歯ブラシ。
【請求項33】
前記複数のブリッスルが、前記ベース表面の近傍で25ブリッスル/mmまたはそれ未満の植毛密度で配列される、請求項31に記載の電動式歯ブラシ。
【請求項34】
前記複数のブリッスルが、前記ベース表面にわたってランダムに分散される、請求項31に記載の電動式歯ブラシ。
【請求項35】
前記複数のブリッスルが前記植毛台上の単一群内のみに配列され、前記複数のブリッスルが前記単一群内に均質に分散される、請求項31に記載の電動式歯ブラシ。
【請求項36】
前記複数のブリッスルが前記単一群内にランダムに分散される、請求項35に記載の電動式歯ブラシ。
【請求項37】
前記植毛台上の実質的に全ての前記ブリッスルが、前記ベース表面により画定される平面に90度未満の開先角度で個々に方向付けされる、請求項31に記載の電動式歯ブラシ。
【請求項38】
前記植毛台上の実質的に全ての前記ブリッスルが同じ方向に方向付けされる、請求項37に記載の電動式歯ブラシ。
【請求項39】
前記シャフトが前記筐体に取り外し可能に取り付けられる、請求項31に記載の電動式歯ブラシ。
【請求項40】
前記植毛台が前記シャフトに取り外し可能に取り付けられる、請求項31に記載の電動式歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−511294(P2006−511294A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564887(P2004−564887)
【出願日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2003/035604
【国際公開番号】WO2004/060108
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】