説明

歯ブラシ

【課題】滑りを防止すると共に、使用者の脳の緊張を緩和してリラックスさせるようにした歯ブラシを提供する。
【解決手段】複数本の毛14が植設された植毛面10a1を有するヘッド部10aと、ヘッド部10aに連続して形成される把持部10cとを少なくとも備えた歯ブラシ10において、把持部10cの植毛面10a1に近接する部位10c1とその裏側10c2に複数の突起16aを長手方向に一列に形成し、よって使用者が把持部10cを把持したとき、複数の突起16aのいずれかの間にその指先を位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は歯ブラシに関し、より詳しくは歯磨きと歯肉のマッサージをする歯ブラシ(両用歯ブラシ)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数本の毛が植設されるヘッド部とそれに連続して形成される把持部とを備えると共に、把持部の形状を工夫して滑りなどを防止するようにした歯ブラシが種々提案されており、その一例として特許文献1記載の技術を挙げることができる。
【0003】
特許文献1記載の技術にあっては、把持部が硬質樹脂材料からなる芯材部と、芯材部の周面に被着された軟質樹脂材料からなる被覆部とを具備してなり、被覆部の表面の摩擦係数が1.0以上となるように構成することで、滑り防止やフィット性を向上させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−000202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、人は起床して直ぐなど体がほぐれていないときに何かをしようとすると、習性として脳に緊張を伴うものであり、歯を磨くときも同様に、緊張が生じる。そのため、使用者の脳の緊張を緩和してリラックスさせるような歯ブラシが望まれているが、上記した特許文献1記載の技術は緊張の緩和などについて何等対策するものではなかった。
【0006】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、滑りを防止すると共に、使用者の脳の緊張を緩和してリラックスさせるようにした歯ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を解決するために、請求項1にあっては、複数本の毛が植設された植毛面を有するヘッド部と、前記ヘッド部に連続して形成される把持部とを少なくとも備えた歯ブラシにおいて、前記把持部の前記植毛面に近接する部位とその裏側に複数の突起を長手方向に一列に形成し、よって使用者が前記把持部を把持したとき、前記複数の突起のいずれかの間にその指先を位置させるように構成した。
【0008】
請求項2に係る歯ブラシにあっては、前記把持部において前記一列に形成された複数の突起から離間した位置にさらに少なくとも1個の突起を形成するように構成した。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る歯ブラシにあっては、把持部の植毛面に近接する部位とその裏側に複数の突起を長手方向に一列に形成し、よって使用者が把持部を把持したとき、複数の突起のいずれかの間にその指先を位置させるように構成、即ち、突起(具体的には、一列の突起の頭頂部(先端部))に使用者の指先が接触するように構成したので、反射的に安定感や安全、安心感が瞬時に脳神経に伝わり、脳の緊張を緩和してリラックスさせることができる。さらに、使用者はリラックスすることで自然に手の力が抜けるため、ヘッド部や毛などから歯肉に加わる無理な圧力が緩和され、歯肉などが傷つけられることもない。
【0010】
また、歯ブラシの握り方として把持部を手の平全体で掴む「パームグリップ式」や、鉛筆の握り方のように親指と人差し指と中指で持つ「ペングリップ式」などあるが、いずれの握り方であっても、突起に指先が接触するため、前述した効果を得ることができる。
【0011】
また、複数の突起のいずれかの間に使用者の指先を位置させるように構成したので、使用者は複数の突起の間に指先を引っ掛けた状態で歯を磨くことが可能となる。さらに、把持部の植毛面に近接する部位とその裏側に複数の突起を形成するように構成したので、把持部において突起を除く部位、具体的には、把持部の末端側の部位は突起のない平坦部となり、よって使用者が把持部を把持したとき、その平坦部に使用者の手の平を位置させて密着させることができる。従って、使用者は指先を複数の突起の間に指先を引っ掛けると共に、手の平を平坦部に密着させつつ歯を磨くことができ、よって歯磨き時の滑りを効果的に防止することができる。
【0012】
また、使用者は、複数の突起のいずれかの間に指先を引っ掛けた状態で歯ブラシの毛の部分を歯肉に当てて軽く口を結び、優しく小刻みに左右に動かすことで、安定した歯肉のマッサージをすることができる。このように、歯ブラシを、歯磨きと歯肉のマッサージの二役をバランス良く行うことができる、両用歯ブラシとして使用することができる。
【0013】
また、歯磨きを行っている際、歯磨き粉の泡がヘッド部から把持部付近まで伝わることがあるが、その場合であっても、泡は複数個の突起によって堰き止められるため、泡が使用者の手に付着することはなく、よって滑りをより一層防止できると共に、把持したときの感触が良くなり、握り易くすることができる。
【0014】
さらに、上記のように構成することで、使用者は自然に手の力が抜けて把持部を軽く握ることができるため、舌の掃除を、舌の表面などを傷つけることなく安全に優しく行うことができ、それによって風邪やインフルエンザ予防の一助とすることができる。
【0015】
請求項2に係る歯ブラシにあっては、把持部において一列に形成された複数の突起から離間した位置、即ち、把持部の末端側にさらに少なくとも1個の突起を形成するように構成したので、上記した効果に加え、使用者は前記離間した位置に形成される突起に指先を掛けることで、より軽い力で歯磨きあるいは歯肉のマッサージをすることができ、歯肉などを傷つけることもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施例に係る歯ブラシを示す平面図である。
【図2】図1に示す歯ブラシの側面図である。
【図3】図1に示す歯ブラシの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に即してこの発明に係る歯ブラシを実施するための形態について説明する。
【実施例】
【0018】
図1はこの発明の実施例に係る歯ブラシを示す平面図である。また、図2は図1に示す歯ブラシの側面図であり、図3は図1に示す歯ブラシの背面図である。
【0019】
図1から図3において、符号10は歯ブラシを示す。歯ブラシ10は、ヘッド部10aと、ヘッド部10aに連続して形成される首部10bと、ヘッド部10aに首部10bを介して連続して形成され、使用者P(図2において使用者Pの指先付近のみを想像線で示す)によって把持される(握られる)把持部10cとを備える。
【0020】
歯ブラシ10を構成する、ヘッド部10a、首部10bおよび把持部10cは一体的に形成されると共に、飽和ポリエステル樹脂材(耐熱温度:60℃)から製作される。歯ブラシ10は、長手方向の全体の長さが約180mmに設定され、成人(大人)用として使用される。尚、この明細書において、「長手方向」とは図1に符号Aで示す方向を意味する。また、図1に符号Bで示す方向を「幅方向」といい、図2に符号Cで示す方向を「高さ方向」という。
【0021】
ヘッド部10aは略平板形状を呈すると共に、その一面には、図1,2に良く示すように、適宜な深さの植毛穴12が複数個(例えば27個)穿設される。植毛穴12にはそれぞれ、複数本の毛(刷毛体)14を束ねた毛束が植設される。尚、図1などにおいては簡略化のため、毛束を一本の毛のようにして示すが、実際は複数本の毛14を集合させたものであり、ヘッド部10aに植設される毛14の総本数は例えば約500〜1000本である。
【0022】
毛14は、例えば飽和ポリエステル樹脂材(ポリブチレンテレフタレート)から製作され、その耐熱温度は60℃である。以下、ヘッド部10aにおいて、複数本の毛14が植設された植毛穴12を有する面を「植毛面」といい、符号10a1で示す。
【0023】
首部10bは、ヘッド部10aと同様、略平板形状である共に、平面視略台形状を呈するように形成される。具体的には、首部10bにおいて、ヘッド部10aに近接する部位の幅はヘッド部10aのそれに比して短くされ、ヘッド部10aから離間するにつれて徐々に拡大されて幅広となるように設定される。
【0024】
把持部10cは、ヘッド部10aや首部10bと同様、略平板形状を呈するように形成される。図示の如く、把持部10cの植毛面10a1に近接する部位(詳しくは、把持部10cの表側であって、把持部10cを二等分したときに植毛面10a1側に位置する部位。以下、「表側」ともいう)10c1とその裏側10c2にはそれぞれ、複数の突起16a、具体的には3個の突起16aが長手方向に一列に形成される。
【0025】
より具体的に説明すると、把持部10cの表側10c1と裏側10c2の幅方向における中心(中央)部分であって、首部10bとの境界線10bcから約10mm離間した位置に、3個の突起16aが長手方向に一列に一体的に形成される。それら3個の突起16aは、隣接する突起同士の距離(間隙。図2に符号laで示す)が約7mmの等間隔となるように配置される。
【0026】
突起16aは略円柱状を呈すると共に、その先端部(頭頂部)が丸みを帯びるように形成され、詳しくは底面の直径dが約5mm、高さhが約1.8mmに設定される。また、図2などから分かるように、表面10c1の突起16aと裏面10c2の突起16aは、表裏対称(同一形状)とされる。このように構成することで、図2に示す如く、使用者Pが把持部10cを把持したとき、その指先は複数の突起16aのいずれかの間に位置させられることとなる。
【0027】
把持部10cにおいて一列に形成された複数の突起16aから離間した位置、正確には、複数の突起16aの内、植毛面10a1から最も離れて形成される突起16a1から所定距離lb(例えば44mm)離間した位置には、さらに突起16bが表裏面に1個ずつ形成される。尚、この突起16bの形状や寸法は上記した突起16aと同様である。また、把持部10cにおいて突起16bから末端部10c3までの距離lcは約20mmとされる。
【0028】
把持部10cにおいて突起16bから末端部10c3までの間には、裏面側に向けて湾曲させられて側面視略J字状を呈する湾曲部20が形成される。湾曲部20の末端側、即ち、前記した末端部10c3は、丸みを帯びるように形成される。
【0029】
上記したように、把持部10cの植毛面10a1に近接する部位10c1とその裏側10c2に複数の突起16aを形成すると共に、複数の突起16aから離間した位置に突起16bを形成したので、把持部10cにおいて複数の突起16aと突起16bを除く部位、即ち、突起16aと突起16bの間の部位は、突起のない平坦部10c4となる。このように構成することで、使用者Pが把持部10cを把持したとき、その手の平は平坦部10c3に位置させられて密着させられる。
【0030】
以上の如く、この発明の実施例にあっては、複数本の毛14が植設された植毛面10a1を有するヘッド部10aと、前記ヘッド部10aに連続して形成される把持部10cとを少なくとも備えた歯ブラシ10において、前記把持部10cの前記植毛面10a1に近接する部位10c1とその裏側10c2に複数の突起16aを長手方向に一列に形成し、よって使用者Pが前記把持部10cを把持したとき、前記複数の突起16aのいずれかの間にその指先を位置させるように構成、即ち、突起16a(具体的には、一列の突起16aの頭頂部(先端部))に使用者Pの指先が接触するように構成したので、反射的に安定感や安全、安心感が瞬時に脳神経に伝わり、脳の緊張を緩和してリラックスさせることができる。さらに、使用者Pはリラックスすることで自然に手の力が抜けるため、ヘッド部10aや毛などから歯肉に加わる無理な圧力が緩和され、歯肉などが傷つけられることもない。
【0031】
また、歯ブラシ10の握り方として把持部10cを手の平全体で掴む「パームグリップ式」や、図2に示す如く、鉛筆の握り方のように親指と人差し指と中指で持つ「ペングリップ式」などあるが、いずれの握り方であっても、突起16aに指先が接触するため、前述した効果を得ることができる。
【0032】
また、複数の突起16aのいずれかの間に使用者Pの指先を位置させるように構成したので、使用者Pは複数の突起16aの間に指先を引っ掛けた状態で歯を磨くことが可能となる。さらに、把持部10cの植毛面10a1に近接する部位10c1とその裏側10c2に複数の突起16aを形成するように構成したので、把持部10cにおいて突起16aを除く部位、具体的には、把持部10cの末端側の部位は突起のない平坦部10c4となり、よって使用者Pが把持部10cを把持したとき、その平坦部10c4に使用者Pの手の平を位置させて密着させることができる。従って、使用者Pは指先を複数の突起16aの間に指先を引っ掛けると共に、手の平を平坦部10c4に密着させつつ歯を磨くことができ、よって滑りを効果的に防止することができる。
【0033】
また、使用者Pは、複数の突起16aのいずれかの間に指先を引っ掛けた状態で歯ブラシ10の毛14の部分を歯肉に当てて軽く口を結び、優しく小刻みに左右に動かすことで、安定した歯肉のマッサージをすることができる。このように、歯ブラシ10を、歯磨きと歯肉のマッサージの二役をバランス良く行うことができる、両用歯ブラシとして使用することができる。
【0034】
また、歯磨きを行っている際、歯磨き粉の泡がヘッド部10aから把持部10c付近まで伝わることがあるが、その場合であっても、泡は複数個の突起16aによって堰き止められるため、泡が使用者Pの手に付着することはなく、よって滑りをより一層防止できると共に、把持したときの感触が良くなり、握り易くすることができる。
【0035】
さらに、上記のように構成することで、使用者Pは自然に手の力が抜けて把持部10cを軽く握ることができるため、舌の掃除を、舌の表面などを傷つけることなく安全に優しく行うことができ、それによって風邪やインフルエンザ予防の一助とすることができる。
【0036】
また、把持部10cにおいて一列に形成された複数の突起16aから離間した位置、即ち、把持部10cの末端側にさらに少なくとも1個の突起16bを形成するように構成したので、使用者Pは突起16bに指先を掛けることで、より軽い力で歯磨きあるいは歯肉のマッサージをすることができ、歯肉などを傷つけることもない。
【0037】
また、把持部10cにおいて突起16bから末端部10c3までの間に、湾曲部20を形成すると共に、その末端部10c3を丸みを帯びるように形成したので、例えば歯磨きが終わった後、湾曲部20の末端部10c3を使用者Pの頬などに当てて顔のマッサージをすることができる。そのマッサージによる優しい刺激によって血行を良くし、筋肉の引き締まりなどの効果も期待することができる。
【0038】
尚、上記において、把持部10cや突起16、毛14などの材質は例示であり、それに限定されるものではない。また、突起16の高さや突起16同士の間隔なども具体的な値で示したが、それらは例示であって限定されるものではない。従って、それらの値を縮小すれば、本願構成を子供用の歯ブラシなどにも適用することが可能となり、子供から成人まで歯磨きをスムーズに行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
10 歯ブラシ、10a ヘッド部、10a1 植毛面、10c 把持部、10c1 (植毛面に近接する)部位、10c2 裏側、14 毛、16a,16b 突起、P 使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の毛が植設された植毛面を有するヘッド部と、前記ヘッド部に連続して形成される把持部とを少なくとも備えた歯ブラシにおいて、前記把持部の前記植毛面に近接する部位とその裏側に複数の突起を長手方向に一列に形成し、よって使用者が前記把持部を把持したとき、前記複数の突起のいずれかの間にその指先を位置させるようにしたことを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
前記把持部において前記一列に形成された複数の突起から離間した位置にさらに少なくとも1個の突起を形成したことを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−213985(P2010−213985A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66284(P2009−66284)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(591276008)
【Fターム(参考)】