説明

歯ブラシ

【課題】歯磨き剤の泡立ち性および使用感が共に優れる歯ブラシを提供する。
【解決手段】本発明の歯ブラシ1は、植毛面12に設けられた複数の植毛穴13a,13bに、複数本の用毛を束ねた毛束が植毛されたものであり、植毛面12の中心を含む0.4〜1.0cmの領域であり、植毛密度が40%以上70%以下且つ植毛本数が900〜3000本/cmの高密度植毛領域12aと、高密度植毛領域12aの周囲に配置された、植毛密度が20%以上40%未満の低密度植毛領域12bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシにおいては、その基本性能である清掃性を向上させるために、例えば、植毛密度、用毛の毛丈、用毛の束(毛束)の径などを調整することがある。
例えば、特許文献1には、歯垢除去力を高めつつ柔らかい感触を得るために、植毛面の中央の領域(以下、「中央領域」という。)に植毛された毛束よりも、中央領域よりも外側の領域(以下、「外側領域」という。)に植毛された毛束の束径を小さく且つ毛丈を低くすることが開示されている。
特許文献2には、歯垢除去力とステイン除去性を向上させるために、中央領域の植毛密度を外側領域の植毛密度より高くし、中央領域の毛束の毛丈を外側領域の毛束の毛丈より低くすることが開示されている。
特許文献3には、歯垢除去力と電動駆動により振動させた際の清掃実感を高くするために、中央領域の植毛密度を外側領域の植毛密度より高くし、中央領域の毛束の毛丈を外側領域の毛丈より高くすることが開示されている。
【0003】
通常、歯磨きにおいては、歯磨き剤を使用するが、歯磨き剤の泡立ちが速い程、泡径が小さい程、有効成分の歯肉等への浸透性が高くなる(以下、泡立ちの速さおよび泡径によって評価される泡立ちの程度のことを「泡立ち性」という。)。そのため、歯磨き剤自体の泡立ち性を向上させるだけでなく、歯ブラシに対しても歯磨き剤の泡立ち性を向上させるものが求められている。例えば、特許文献1〜3に記載の歯ブラシでは、歯磨き剤の泡立ち性を充分に高くすることは困難であった。
歯磨き剤の泡立ち性を向上させる歯ブラシとしては、植毛面に設けられた毛束全体の輪郭形状を特定したものが提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献4に記載の歯ブラシは、歯磨き時の使用感(口腔内の隅々まで磨ける刷掃感、歯肉への当たり心地等)が充分ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−353025号公報
【特許文献2】登録実用新案第3146543号公報
【特許文献3】登録実用新案第3148337号公報
【特許文献4】特開2003−250632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、歯磨き剤の泡立ち性および使用感が共に優れる歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]植毛面に設けられた複数の植毛穴に、複数本の用毛を束ねた毛束が植毛された歯ブラシにおいて、植毛面の中心を含む0.4〜1.0cmの領域であり、植毛密度が40%以上70%以下且つ植毛本数が900〜3000本/cmの高密度植毛領域と、該高密度植毛領域の周囲に配置された、植毛密度が20%以上40%未満の低密度植毛領域とを有することを特徴とする歯ブラシ。
[2]前記低密度植毛領域における毛束はテーパー毛を有し、前記高密度植毛領域における毛束はストレート毛を有する、[1]に記載の歯ブラシ。
[3]前記高密度植毛領域における毛束の毛丈Lは前記低密度植毛領域における毛束の毛丈Lよりも長く、その毛丈差(L−L)が0.5〜2.0mmである、[1]または[2]に記載の歯ブラシ。
[4]電気的な駆動により振動する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の歯ブラシ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の歯ブラシは、歯磨き剤の泡立ち性および使用感が共に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の歯ブラシの一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1の歯ブラシを構成するヘッド部の植毛面を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の歯ブラシの一実施形態について説明する。
図1および図2に、本実施形態の歯ブラシを示す。本実施形態の歯ブラシ1は、複数の用毛を束ねた毛束11が植毛されたヘッド部10と、ヘッド部10に延設された長尺状のハンドル部20(以下、ヘッド部とハンドル部とを合わせてハンドル体という。)とを備える。
【0010】
ハンドル体は、全体として長尺状に一体成形されたものであり、例えば、樹脂を材料とし射出成形により得られるものである。
ハンドル体の材質としては、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、ポレアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ハンドル体は、把持性を向上させるため、例えばエラストマーなどの柔軟な樹脂が部分的又は全体に被覆されていてもよい。
【0011】
本実施形態においては、図2に示すように、ヘッド部10の楕円形状の植毛面12に、千鳥配列の多数の植毛穴13a,13bが形成され、それら植毛穴13a,13bに毛束が植毛されている。植毛穴13a,13bは開口部が円形状であり、ヘッド部10の長手方向の軸線に対して対称に配列されている。
また、植毛面12は、その中心を含む0.4〜1.0cmの略六角形状の中央領域からなる高密度植毛領域12aと、高密度植毛領域12aの周囲に、植毛面12の縁に沿って配置された環状の低密度植毛領域12bとを有する。
高密度植毛領域12aの面積が前記下限値未満であると、泡立ち性が発揮されないことがあり、前記上限値を超えると、植毛面12に低密度植毛領域12bの場所を確保できなくなる。高密度植毛領域12aの面積は好ましくは0.4〜1.0cm、より好ましくは0.45〜0.8cmである。
また、植毛面12における高密度植毛領域12aの面積割合は40〜70%であることが好ましく、50〜70%であることがより好ましい。高密度植毛領域12aの面積割合が前記下限値以上であれば、泡立ち性がより高くなり、前記上限値以下であれば、使用感がより高くなる。
また、高密度植毛領域12aにおいては、ヘッド部10の長手方向と平行方向の長さが、ヘッド部10の基端から先端に向かう、植毛領域の長さの60〜85%であることが好ましい。また、高密度植毛領域12aにおいては、ヘッド部10の短手方向と平行方向の長さが、植毛領域の幅の35〜50%であることが好ましい。なお、植毛領域は、最外側の各植毛穴13bの穴縁の最外部分を結んだ際に得られる仮想線Tによって囲まれる領域である。
【0012】
高密度植毛領域12aは、植毛密度が40%以上70%以下且つ植毛本数が900〜3000本/cmの領域である。ここで、植毛本数とは、植毛面12から突出している毛の数のことであり、用毛の本数の倍数である。また、高密度植毛領域12aの植毛密度は、[高密度植毛領域12aにおける植毛穴13aの面積の合計/高密度植毛領域12aの面積]×100(%)の式で求められた値である。高密度植毛領域12aの植毛穴13aは、植毛面12の縁に隣接する植毛穴13b以外の植毛穴であり、高密度植毛領域12aの範囲内に中心が配置されているものである。高密度植毛領域12aの面積は、植毛穴13aの各穴縁の最外部分を結んだ際に得られる仮想線Tによって囲まれる領域の面積である。この仮想線Tは隣接する植毛穴13a,13a同士の接線を構成する。
高密度植毛領域12aにおける植毛密度が前記下限値未満であると、泡立ち性が不充分になり、前記上限値を超えると、毛束11が密集しすぎて撓みにくくなるため、使用感が損なわれる。
高密度植毛領域12aにおける植毛本数が前記下限値未満であると、泡立ち性が不充分になり、前記上限値を超えると、その本数に対応できる細さの用毛を作製することが困難になると共に、十分な清掃実感が得られにくくなる。
また、高密度植毛領域12aの植毛密度は40〜70%であることが好ましく、50〜70%であることがより好ましい。高密度植毛領域12aの植毛本数は900〜3000本/cmであることが好ましく、900〜2100本/cmであることがより好ましい。
【0013】
低密度植毛領域12bは、植毛密度が20%以上40%未満の領域である。ここで、低密度植毛領域12bの植毛密度は、[低密度植毛領域における植毛穴13bの面積の合計/低密度植毛領域12bの面積]×100(%)の式で求められた値である。低密度植毛領域12bの面積は、仮想線Tと仮想線Tとによって囲まれる領域の面積である。仮想線Tは、植毛面12の縁に隣接する植毛穴13bのうち最外側の各植毛穴13bの穴縁の最外部分を、ジグザグにならないように結んだ際に得られる線である。仮想線Tは、植毛穴13bのうち最内側の各植毛穴13bの穴縁の最内部分を、ジグザグにならないように結んだ際に得られる線である。
低密度植毛領域12bにおける植毛密度が前記下限値未満であっても、前記上限値を超えても、使用感が損なわれる。
また、低密度植毛領域12bの植毛密度は20〜40%であることが好ましく、30〜40%であることがより好ましい。
低密度植毛領域12bにおける植毛本数は500〜2500本/cmであることが好ましく、600〜1500本/cmであることがより好ましい。低密度植毛領域12bにおける植毛本数が前記下限値以上であれば、高密度植毛領域12aで泡立てた泡の保持性が高くなり、前記上限値以下であれば、使用感がより高くなる 。
【0014】
毛束11を構成する用毛としては、毛先に向かって漸次その径が小さくなる用毛(テーパー毛)、毛先の丸め部を除いて外径がほぼ同一である用毛(ストレート毛)、毛先がヘラ状、球状、先割れ状などの形状になっている用毛を用いることができる。
本実施形態の歯ブラシ1においては、泡立ち性と清掃性の向上の点から、高密度植毛領域12aにおける毛束11はストレート毛を有し、低密度植毛領域12bにおける毛束11はテーパー毛を有することが好ましい。
高密度植毛領域12aにおける毛束11中のストレート毛の割合は、泡立ち性がより高くなることから、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
低密度植毛領域12bにおける毛束11中のテーパー毛の割合は、清掃性がより高くなることから、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0015】
用毛の材質としては、例えば、ポリアミド(例:6−12ナイロン、6−10ナイロン)、ポリエステル(例:ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート)、ポリオレフィン(例:ポリプロピレン)、エラストマー(例:オレフィン系、スチレン系)などの合成樹脂材料が挙げられる。これらの樹脂材料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、用毛は、芯部と該芯部の外側に設けられた少なくとも1層以上の鞘部とを有する多重芯構造であってもよい。
【0016】
用毛の横断面形状は円形が好ましいが、円形に必ずしも限定されるものではなく、歯ブラシ1の目的用途に応じて任意の形状とすることができる。例えば、楕円形、多角形(例えば、三角形、四角形、五角形、六角形等。)、異形(例えば、星形、三つ葉のクローバー形、四つ葉のクローバー形等。)等とすることができる。
【0017】
各用毛の太さは、特に限定されず、例えば、横断面が円形の場合、4〜8mil(1mil=1/1000inch=0.025mm)が好ましい。前記下限値以上であれば、自立性が向上して清掃性がより高くなり、前記上限値以下であれば、毛束11の毛腰が適度になり、当たり心地がより良好になる。
毛束11を構成する用毛は、全てが同じ太さであってもよいし、2種以上の異なる太さの用毛が組み合わされてもよい。
【0018】
用毛の毛丈は、大人用で8mm〜13mm、子供用で6mm〜9mmとすることが好ましい。また、口腔内の使用性や使用感の点から、選択された用毛の直径が小さいほど、用毛の毛丈を短くすることが好ましい。また、使用感や、刷掃感、清掃効果、耐久性などの目的に応じて、太さの異なる複数本の用毛を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
また、高密度植毛領域12aにおける毛束11の毛丈Lは、低密度植毛領域12bにおける毛束11の毛丈Lよりも長いことが好ましく、具体的には、その毛丈差(L−L)が0.5〜2.0mmであることが好ましく、0.5〜1.0mmであることがより好ましい。ここで、毛束11の毛丈とは、植毛面12から毛束先端(最も長い用毛の先端)までの距離のことである。L−Lが前記下限値以上であれば、毛先の可撓性が高くなり、泡立ち性がより高くなる。また、毛丈差の違いにより形成された段差が歯と歯肉との境目に密着しやすく、当たり心地がより良好になり、使用感がより向上する。しかし、L−Lが前記上限値を超えると、歯肉への当たり心地が損なわれる傾向にある。
毛先の毛切り形状(毛先のプロファイル)としては、平切り、ドーム型、凸型、さざ波型のいずれであってもよいが、上記の毛丈差にしやすく、より高い泡立ち効果が望めることから、ドーム型、凸型、さざ波型が好ましい。
【0020】
毛束11の植毛方法としては、平線を打ち込む方法、熱溶着する方法など公知の方法を適用できる。
平線を打ち込む方法では、用毛を複数本束ねて二つ折りにし、その間に平線と呼ばれる抜止め具を挟んで植毛穴13a,13bに打ち込むことによって、毛束11を各植毛穴13a,13bに植毛する。
平線は、植毛穴13a,13bの中心部を通り、且つ、植毛穴13a,13bを跨ぐように植毛穴13a,13bに打設されている。平線の材質としては、例えば、真鍮やステンレスなどの金属を挙げることができ、その他にも硬質プラスチックや生分解性プラスチックなどを挙げることができる。
平線の長さや幅、厚みは、毛束11や植毛穴13a,13bに合わせて任意に調整すればよいが、通常、平線の長さは植毛穴13a,13bの直径よりも大きく、平線の幅は植毛穴13a,13bの深さよりも小さくされる。また、平線の厚みを調節することによって、毛束11を植毛穴13a,13b内に確実に固定して空隙を少なくすることができる。また、平線は、植毛穴13a,13bからの抜けを防ぐため、植毛穴13a,13bの両側からはみ出した部分の長さの合計が0.3〜0.6mmであることが好ましい。
【0021】
植毛穴13a,13bの開口面積は1.6mm2以下であることが好ましく、1.4mm以下であることがより好ましい。植毛穴13a,13bの開口面積が1.6mm2以下であれば、毛束11が細くなるため、撓み性が向上して使用感がより良好になる。
また、植毛穴13a,13bの直径は生産可能な最小径以上であることが好ましく、毛束11の過度な撓みや疎毛感を抑制する点では、1.0mm以上であることがより好ましい。
【0022】
本実施形態の歯ブラシ1は、電気的な駆動により振動する電動歯ブラシであってもよい。電気的な駆動により振動させながら歯ブラシ1を用いて歯磨きした場合には、泡立ちがより速くなると共に泡径がより小さくなり、泡立ち性がより向上する。
【0023】
電動歯ブラシとしては、ハンドル部20の基端側の内部に、電池と、各部の駆動を制御する制御回路とが水密に内蔵され、ハンドル部20のヘッド部10側の内部に、超音波振動や音波振動などの振動を発生させる振動子が内蔵されたものが一例として挙げられる。
電池は、一次電池(例えば、単3又は単4の乾電池)であってもよいし、二次電池(例えば、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池)であってもよい。
制御回路は、電池と接続されて、ハンドル部20に設けられた操作ボタンを使用者が操作した際に、その操作に応じた制御信号を生成し、この制御信号に基づいて後述する振動子への電力供給、並びに振動子の駆動を制御するものである。
振動子は、配線を介して上記ハンドル部20内の制御回路と電気的に接続され、電力が供給された際に振動するものである。
【0024】
なお、電動歯ブラシは、上記制御回路を備えていなくてもよく、例えば、操作ボタンを使用者が操作した際に、電池から振動子へと電力を直接供給し、振動子が駆動するようになってもよい。
【0025】
上記した実施形態の歯ブラシ1においては、低密度植毛領域12bに植毛された毛束11,11同士が接触しにくく、口腔内で撓みやすくなっており、しかも高密度植毛領域12aに高密度に毛束11が植毛されているため、使用感に優れる。また、高密度植毛領域12aにおける植毛密度が高く、植毛本数が多いため、歯磨き剤に空気を混入させやすく、且つ、細かい気泡を形成させやすくなっている。したがって、歯ブラシ1は泡立ち性に優れる。
【0026】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。
植毛穴13a,13bの開口部の形状は特に限定されず、例えば、楕円形、四角形などであってもよい。
植毛穴13a,13bの配列は、千鳥配列である必要はなく、格子配列や非対称な配列、その他どのような配列でもよい。ヘッド部10の長手方向の軸線に対して植毛穴13a,13bの配列が対称である必要もない。
高密度植毛領域12aの形状は、例えば、楕円形状や長方形状であってもよい。
【実施例】
【0027】
(実施例1)
植毛面の植毛穴に毛束を植毛したヘッド部を備える歯ブラシを作製した。植毛穴(内径1.4mm)の配列パターンは表1に示すものとした。
本例では、植毛面の中心を含む略六角形状の中央領域の植毛密度を55%、植毛本数を2098本/cmとして高密度植毛領域とし、用毛を断面円形で4milのストレート毛とした。また、中央領域(高密度植毛領域)は、面積を0.45cmとし、ヘッド部の長手方向と平行方向の長さを15.9mm、短手方向と平行方向の長さを、3.2mmとした。
また、中央領域の外側に配置された外側領域の植毛密度を35%、植毛本数を1424本/cmとして低密度植毛領域とし、用毛を断面円形で4milのストレート毛とした。
また、毛切り形状を平切りとして、中央領域の毛束と外側領域の毛束の毛丈差(L−L)を0mmとした。
【0028】
(実施例2)
中央領域における植毛本数を925本/cmとして高密度植毛領域とし、中央領域および外側領域の用毛を断面星形で6milのストレート毛としたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
【0029】
(実施例3)
中央領域における植毛本数を996本/cmとして高密度植毛領域とし、中央領域および外側領域の用毛を6milのテーパー毛としたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
【0030】
(実施例4)
外側領域の用毛のみを断面星形で6milのストレート毛としたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
【0031】
(実施例5)
毛切り形状をドーム型とし、毛丈差(L−L)を1mmとしたこと以外は実施例4と同様にして歯ブラシを作製した。
【0032】
(実施例6)
毛切り形状を凸型とし、毛丈差(L−L)を1mmとしたこと以外は実施例4と同様にして歯ブラシを作製した。
【0033】
(実施例7)
毛切り形状をさざ波型とし、毛丈差(L−L)を1mmとしたこと以外は実施例4と同様にして歯ブラシを作製した。
【0034】
(実施例8)
中央領域における植毛本数を1351本/cmとして高密度植毛領域とし、中央領域の用毛を断面円形で5milのストレート毛とし、外側領域の用毛を6milのテーパー毛としたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
【0035】
(実施例9)
毛切り形状を凸型とし、毛丈差(L−L)を1mmとしたこと以外は実施例8と同様にして歯ブラシを作製した。
【0036】
(実施例10)
毛切り形状を内側さざ波型とし、毛丈差(L−L)を1mmとしたこと以外は実施例8と同様にして歯ブラシを作製した。
【0037】
(比較例1)
植毛穴の配列パターンを表1に示すものに変更し、中央領域の植毛密度を36%、中央領域の植毛本数を1311本/cmに、中央領域の面積を0.41cmにしたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
【0038】
(比較例2)
植毛穴の配列パターンを表1に示すものに変更し、外側領域の植毛密度を50%にしたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
【0039】
(比較例3)
中央領域の植毛本数を676本/cm、中央領域および外側領域の用毛を断面円形で7milのストレート毛にしたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
【0040】
(比較例4)
中央領域の植毛本数を569本/cm、中央領域および外側領域の用毛を断面星形で8milのストレート毛にしたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
【0041】
(比較例5)
中央領域の植毛本数を3733本/cm、中央領域および外側領域の用毛を断面円形で3milのストレート毛にしたこと以外は実施例1と同様にして歯ブラシを作製した。
【0042】
【表1】

【0043】
実施例1〜10および比較例1〜5の歯ブラシについて、以下に記載する方法により、泡立ち速さ、泡径、使用感を評価した。評価結果を表2に示す。
【0044】
[泡立ち速さ]
歯ブラシの毛先面に1gの歯磨きペーストを載せ、刷掃板(幅20mm、厚さ14mm)の表面を刷掃し、刷掃板から泡が溢れ出して落下するまでの刷掃回数を測定した。刷掃回数が少ない程、泡立ちが速く、泡立ち性に優れる。
評価基準は、刷掃回数が20回以下のものを◎、21〜40回のものを○、41〜60回のものを△、61回以上のものを×とした。
【0045】
[泡径]
歯ブラシの毛先面に1gの歯磨きペーストを載せ、刷掃板(幅20mm、厚さ14mm)の表面を300回刷掃した。そして、泡の直径を、実体顕微鏡を用いて測定した。泡径が小さい程、泡立ち性に優れる。
評価基準は、泡径が200μm以下のものを◎、201〜220μmのものを○、221〜240μmのものを△、241μm以上のものを×とした。
【0046】
[使用感評価]
専門パネラー10名により、「口腔内の隅々まで磨ける刷掃感」と「歯肉への当たり心地」について、官能評価を行った。評価基準は、10人のパネラーのうち9人以上が良いとしたものを◎、6〜8人が良いとしたものを○、3〜5人が良いとしたものを△、2人以下が良いとしたものを×とした。
【0047】
[総合評価]
上記泡立ち性および使用感より判定される総合評価は以下の通りである。
◎:泡立ちがとても良く、使用感もとても良い。
○:泡立ちがかなり良く、使用感もかなり良い。
△:泡立ちはやや良いが、使用感があまり良くない。
×:泡立ちが悪く、使用感もあまり良くない。
【0048】
【表2】

【0049】
中央領域の植毛密度が40%以上70%以下且つ植毛本数が900〜3000本/cmで高密度植毛領域になっていると共に外側領域の植毛密度が20%以上40%未満で低密度植毛領域になっている実施例1〜10の歯ブラシは、泡立ち性および使用感に優れていた。
中央領域の植毛密度が40%未満の比較例1の歯ブラシは、泡立ち性および使用感共に不充分であった。
外側領域の植毛密度が40%を超えていた比較例2の歯ブラシは、使用感が不充分であった。
中央領域における植毛本数が900本/cm未満の比較例3,4の歯ブラシは、泡立ち性および使用感共に不充分であった。
中央領域における植毛本数が3000本/cmを超えていた比較例5の歯ブラシは、使用感が不充分であった。
【符号の説明】
【0050】
1 歯ブラシ
10 ヘッド部
11 毛束
12 植毛面
12a 高密度植毛領域
12b 低密度植毛領域
13a,13b 植毛穴
20 ハンドル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植毛面に設けられた複数の植毛穴に、複数本の用毛を束ねた毛束が植毛された歯ブラシにおいて、
植毛面の中心を含む0.4〜1.0cmの領域であり、植毛密度が40%以上70%以下且つ植毛本数が900〜3000本/cmの高密度植毛領域と、該高密度植毛領域の周囲に配置された、植毛密度が20%以上40%未満の低密度植毛領域とを有することを特徴とする歯ブラシ。
【請求項2】
前記低密度植毛領域における毛束はテーパー毛を有し、前記高密度植毛領域における毛束はストレート毛を有する、請求項1に記載の歯ブラシ。
【請求項3】
前記高密度植毛領域における毛束の毛丈Lは前記低密度植毛領域における毛束の毛丈Lよりも長く、その毛丈差(L−L)が0.5〜2.0mmである、請求項1または2に記載の歯ブラシ。
【請求項4】
電気的な駆動により振動する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−42776(P2013−42776A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180311(P2011−180311)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】