説明

歯牙修復材用練和装置

【課題】 歯牙修復材用カプセルの混合区画室内の歯牙修復材料の粉体成分と液体成分とを混合練和するために歯牙修復材用カプセルを収納保持するカプセル収納体をその長手方向を一方向に維持せしめた状態で円運動させる歯牙修復材用練和装置を提供する。
【解決手段】 歯牙修復材用練和装置を、駆動手段2によってその駆動軸2aを中心にして回転せしめられる回転板3と、回転板3の周辺部近傍に装着されていてカプセル収納体5に固定されているカプセル収納体支持軸5aを回転板3の回転方向と反対方向にのみ回転自在に軸支しているカプセル収納体用ベアリング4と、回転板3上に固定されているバランスウェイト6と、カプセル収納体5に実質的に連結されているカプセル収納体方向維持軸5bに回転板3の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸5aの円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯牙修復材用カプセルの混合区画室内の歯牙修復材料の粉体成分と液体成分とを混合練和するために歯牙修復材用カプセルをその長手方向を一方向に維持せしめた状態で円運動させる歯牙修復材用練和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
歯科治療において歯牙の修復のために充填、合着、裏装等の用途に使用される歯牙修復材料は使用直前に粉体成分と液体成分とを混合練和して使用されるため、手を汚すことなく簡単に混合練和できるように予め計量された一定量の粉体成分と液体成分とが隔離された状態で混合区画室内に収納されている歯牙修復材用カプセルが広く利用されている。
【0003】
この歯牙修復材用カプセルでは、使用直前に隔壁等を破断させて歯牙修復材料を構成する粉体成分と液体成分との2成分を混合練和させて使用される。その際、歯牙修復材料は2成分が十分に混合練和されていないと脆くなり、また過度に混合練和されていると直ぐに固化して使い勝手が悪いため、正確な混合練和ができるように歯牙修復材用練和装置が使用される。しかしながら、従来の歯牙修復材用練和装置は歯牙修復材用カプセルを長手方向のような一方向にのみ往復運動させる装置であったため、2成分はその往復運動の方向にのみ力を受けて均等に混合練和されないという問題があった。
【0004】
このような問題に対して、歯牙修復材料を構成する2成分が各方向に力を受けながら均等に混合練和され且つ混合練和物内に気泡が生じないようにするために、歯牙修復材用カプセルを保持するカプセル保持室の長手方向を一定方向に維持せしめた状態でカプセル保持室自体を円運動せしめるカプセル保持室回転手段と、カプセル保持室回転手段を駆動せしめる駆動手段と、カプセル保持室と接続されている真空発生装置とから構成された歯牙修復材用カプセル用練和装置がある(例えば、特許文献1参照。)。この歯牙修復材用カプセル用練和装置ではカプセル保持室が回転自在に軸支されている回転テーブルを固定軸廻りに円運動せしめるために回転テーブルに固定されているプーリの回転角度と同じ回転角度でプーリの回転方向と逆方向にカプセル保持室を回転させるように固定軸とカプセル保持室とがタイミングベルトで連結されているので、回転テーブル上のカプセル保持室は一定方向に維持せしめられた状態で円運動するから、歯牙修復材用カプセル内の歯牙修復材料を構成する2成分が各方向に力を受けながら均等に混合練和されるのである。
【0005】
しかしながら、この歯牙修復材用カプセル用練和装置では、カプセル保持室を回転させるためにタイミングベルトが使用されており、このタイミングベルトは通常のタイミングベルトのように強制回転されるプーリの回転によりプーリ間を高速で回動するものとは異なり、固定軸廻りに回転テーブルが回転することによって固定軸に対して回転テーブルが回転した角度即ちカプセル保持室が回転した角度だけ固定軸を中心にして低速で回動するものであるので、経時劣化によってタイミングベルトが多少でも摩耗したり緩んだりしてくるとその精度を保持できないという問題がある。
【0006】
即ち、この従来の歯牙修復材用カプセル用練和装置では、タイミングベルトは固定軸に対してカプセル保持室が回転した角度だけ固定軸を中心にして正確に回動するものでなければならないため、プーリとタイミングベルトとの歯の噛み合わせ精度が非常に高いものでなければならず、更にゴム等から形成されているタイミングベルトは露出した状態にあるため、薬品等が付着すると急激に劣化したり変形したりする現象が発生するので、歯科治療の現場で使用することはあまり好ましくないのである。
【0007】
【特許文献1】特許第3468367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の問題に鑑み、タイミングベルト等を使用することなく円運動と回転運動とを確実に同調させることができ、また耐久性が高く、薬品等が付着しても劣化し難い歯牙修復材用練和装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、駆動手段によってその駆動軸を中心にして回転せしめられる回転板と、軸支される軸をこの回転板の回転方向と反対方向にのみ回転自在であって回転板の周辺部近傍に装着されているカプセル収納体用ベアリングと、前記駆動手段の駆動軸と平行でカプセル収納体用ベアリングに軸支されているカプセル収納体支持軸に固定されているカプセル収納体と、前記駆動手段の駆動軸を挟んでカプセル収納体と略対向する回転板の所定位置に固定されているバランスウェイトと、前記駆動手段の駆動軸と平行でカプセル収納体に実質的に固定されているカプセル収納体方向維持軸に回転板の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構とから歯牙修復材用練和装置を構成させれば、カプセル収納体に固定されているカプセル収納体支持軸の中心線とカプセル収納体方向維持軸の中心線とを結ぶ線が常に同一方向となるようにカプセル収納体支持軸とカプセル収納体に実質的に固定されているカプセル収納体方向維持軸とが同一方向にそれぞれ中心の異なる同一直径の円運動をするので、歯牙修復材用カプセルが収納されているカプセル収納体を常に一方向に維持せしめた状態で円運動させることができることを究明して本発明を完成させたのである。
【0010】
即ち本発明は、歯牙修復材用カプセルの混合区画室内の歯牙修復材料の粉体成分と液体成分とを混合練和するために歯牙修復材用カプセルを収納保持するカプセル収納体をその長手方向を一方向に維持せしめた状態で円運動させる歯牙修復材用練和装置であって、駆動手段によってその駆動軸を中心にして回転せしめられる回転板と、軸支される軸を回転板の回転方向と反対方向にのみ回転自在であって回転板の周辺部近傍に装着されているカプセル収納体用ベアリングと、駆動手段の駆動軸と平行でカプセル収納体用ベアリングに軸支されているカプセル収納体支持軸に固定されているカプセル収納体と、駆動手段の駆動軸を挟んでカプセル収納体と略対向する回転板の所定位置に固定されているバランスウェイトと、駆動手段の駆動軸と平行でカプセル収納体に実質的に固定されているカプセル収納体方向維持軸に回転板の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構とが設けられていることを特徴とする歯牙修復材用練和装置に関するものである。
【0011】
そしてこの歯牙修復材用練和装置において、カプセル収納体方向維持軸に回転板の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、カプセル収納体方向維持軸がカプセル収納体支持軸から水平方向に長さを持った連結部材に固定されていて、駆動手段と一体になったフレーム上に溝の中心線がカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円となるように形成されたガイド溝に沿って移動するガイド溝用ベアリングにカプセル収納体方向維持軸が軸支されている構成であったり、カプセル収納体方向維持軸に回転板の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、カプセル収納体方向維持軸がカプセル収納体に直接固定されていて、駆動手段と一体になったフレーム上に溝の中心線がカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円となるように形成されたガイド溝に沿って移動するガイド溝用ベアリングにカプセル収納体方向維持軸が軸支されている構成であれば、カプセル収納体方向維持軸がガイド溝用ベアリングを介してガイド溝に沿って円滑に移動するので、装置の稼働中にカプセル収納体方向維持軸が振動したりぶれたりすることがなくカプセル収納体を正確に一方向に維持せしめた状態で円運動させることができて好ましく、またカプセル収納体方向維持軸に回転板の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、カプセル収納体方向維持軸がカプセル収納体に直接固定されていて、駆動手段と一体になったフレームに装着されており軸支される軸を回転板の回転方向と同方向にのみ回転自在な回転方向規制ベアリングに駆動手段の駆動軸と平行で一端が補助回転板に固定されている補助回転板中心軸の他端が軸支されているか、又は駆動手段の駆動軸と平行であり駆動手段と一体になったフレームに一端が固定されている補助回転板中心軸の他端が補助回転板に装着されていて回転板の回転方向と同方向にのみ回転自在な回転方向規制ベアリングに軸支されており、駆動手段の駆動軸とカプセル収納体支持軸との間隔と同じ距離だけ補助回転板中心軸から離れた補助回転板の周辺部近傍に装着されている補助回転板用ベアリングにカプセル収納体方向維持軸が軸支されている構成であれば、補助回転板中心軸を中心として回転する補助回転板の周辺部近傍にカプセル収納体方向維持軸が取り付けられているので、カプセル収納体方向維持軸を正確に円運動させることができて好ましく、更に駆動手段の駆動軸を挟んだカプセル収納体と略対向する補助回転板の所定位置にバランスウェイトが更に固定されていれば、補助回転板はカプセル収納体方向維持軸を介してカプセル収納体に連結されているからカプセル収納体側に傾き易いが、バランスウェイトによって安定した状態で回転させることができて好ましいことも究明したのである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る歯牙修復材用練和装置は、歯牙修復材用カプセルの混合区画室内の歯牙修復材料の粉体成分と液体成分とを混合練和するために歯牙修復材用カプセルを収納保持するカプセル収納体をその長手方向を一方向に維持せしめた状態で円運動させる歯牙修復材用練和装置であって、駆動手段によってその駆動軸を中心にして回転せしめられる回転板と、軸支される軸を回転板の回転方向と反対方向にのみ回転自在であって回転板の周辺部近傍に装着されているカプセル収納体用ベアリングと、駆動手段の駆動軸と平行でカプセル収納体用ベアリングに軸支されているカプセル収納体支持軸に固定されているカプセル収納体と、駆動手段の駆動軸を挟んでカプセル収納体と略対向する回転板の所定位置に固定されているバランスウェイトと、駆動手段の駆動軸と平行でカプセル収納体に実質的に固定されているカプセル収納体方向維持軸に回転板の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構とから構成されており、従来の歯牙修復材用練和装置のようにカプセル収納体支持軸を回転板の回転角度と同じ回転角度で回転板の回転方向と逆方向に強制的に回転させることによってカプセル収納体を回転板に対して回転させるのではなく、回転板を回転させる駆動手段の駆動軸と平行でカプセル収納体に実質的に固定されているカプセル収納体方向維持軸に回転板の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構に加えて、軸支される軸を回転板の回転方向と反対方向にのみ回転自在であって回転板の周辺部近傍に装着されているカプセル収納体用ベアリングにカプセル収納体に固定されているカプセル収納体支持軸を軸支せることによって、歯牙修復材用カプセルが収納されているカプセル収納体を常に一方向に維持せしめた状態で円運動させることができ、またタイミングベルト等を使用していないので耐久性が高く、薬品等が付着しても劣化し難いのである。
【0013】
またこの歯牙修復材用練和装置において、カプセル収納体方向維持軸に回転板の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、カプセル収納体方向維持軸がカプセル収納体支持軸から水平方向に長さを持った連結部材に固定されていて駆動手段と一体になったフレーム上に溝の中心線がカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円となるように形成されたガイド溝に沿って移動するガイド溝用ベアリングにカプセル収納体方向維持軸が軸支されている構成である場合、又はカプセル収納体方向維持軸に回転板の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、カプセル収納体方向維持軸がカプセル収納体に直接固定されていて駆動手段と一体になったフレーム上に溝の中心線がカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円となるように形成されたガイド溝に沿って移動するガイド溝用ベアリングにカプセル収納体方向維持軸が軸支されている構成である場合には、カプセル収納体方向維持軸がガイド溝用ベアリングを介してガイド溝に沿って移動するので装置の稼働中にカプセル収納体方向維持軸が振動したりぶれたりすることがなくカプセル収納体を正確に一方向に維持せしめた状態で円運動させることができて好ましいのである。
【0014】
またカプセル収納体方向維持軸に回転板の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、カプセル収納体方向維持軸がカプセル収納体に直接固定されていて、駆動手段と一体になったフレームに装着されており軸支される軸を回転板の回転方向と同方向にのみ回転自在な回転方向規制ベアリングに駆動手段の駆動軸と平行で一端が補助回転板に固定されている補助回転板中心軸の他端が軸支されているか、又は駆動手段の駆動軸と平行であり駆動手段と一体になったフレームに一端が固定されている補助回転板中心軸の他端が補助回転板に装着されていて回転板の回転方向と同方向にのみ回転自在な回転方向規制ベアリングに軸支されており、駆動手段の駆動軸とカプセル収納体支持軸との間隔と同じ距離だけ補助回転板中心軸から離れた補助回転板の周辺部近傍に装着されている補助回転板用ベアリングにカプセル収納体方向維持軸が軸支されている構成である場合には、補助回転板中心軸を中心として回転する補助回転板の周辺部近傍にカプセル収納体方向維持軸が取り付けられているので、カプセル収納体方向維持軸を正確に円運動させることができて好ましいのである。
【0015】
更に駆動手段の駆動軸を挟んだカプセル収納体と略対向する補助回転板の所定位置にバランスウェイトが更に固定されている場合には、補助回転板はカプセル収納体方向維持軸を介してカプセル収納体に連結されているからカプセル収納体側に傾き易いが、バランスウェイトによって安定した状態で回転させることができて好ましいのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明に係る歯牙修復材用練和装置について詳細に説明する。
図1は本発明に係る歯牙修復材用練和装置の1実施例を示す正面説明図、図2は図1における歯牙修復材用練和装置の平面説明図、図3は図1におけるカプセル収納体を示す拡大正面説明図、図4は本発明に係る歯牙修復材用練和装置の他の実施例を示す正面説明図、図5は本発明に係る歯牙修復材用練和装置の更に他の実施例を示す正面説明図、図6は本発明に係る歯牙修復材用練和装置の更に他の実施例を示す正面説明図、図7は図6における歯牙修復材用練和装置の平面説明図、図8は図4〜図6におけるカプセル収納体の構造を示す拡大正面説明図である。
【0017】
図面中、1はその混合区画室1a内に歯牙修復材料の粉体成分と液体成分とが収納されている歯牙修復材用カプセルである。この歯牙修復材用カプセル1には、歯牙修復材料を構成する予め計量された一定量の粉体成分と液体成分とが隔離された状態で収納されていて、使用直前に隔壁等を破断させて2成分を混合練和させて使用される。
【0018】
2はその駆動軸2aを回転させて駆動力を伝える駆動手段であり、この駆動手段2としては一般的な電動モータ等が使用でき、また正確な混合練和ができるように回転数や稼働時間が制御できる制御部を備えていることが好ましい。
【0019】
3は駆動手段2によってその駆動軸2aを中心にして回転せしめられる回転板であり、この回転板3としては、図2の如き円板状のものや図7の如き略直方体状のものなど様々な形状のものが利用できる。
【0020】
4は軸支されされる軸を回転板3の回転方向と反対方向にのみ回転自在であって回転板3の周辺部近傍に装着されているカプセル収納体用ベアリングであり、このカプセル収納体用ベアリング4は後述するカプセル収納体支持軸5aが回転板3の回転方向と反対方向にのみ回転させることができるように設けられている。
【0021】
5は駆動手段2の駆動軸2aと平行でカプセル収納体用ベアリング4に軸支されているカプセル収納体支持軸5aに固定されているカプセル収納体であり、このカプセル収納体5はその内部に歯牙修復材用カプセル1が収納保持され、その長手方向を一方向に維持せしめた状態で円運動せしめられる。
【0022】
6は駆動手段2の駆動軸2aを挟んでカプセル収納体5と略対向する回転板3の所定位置に固定されているバランスウェイトであり、回転板3はカプセル収納体支持軸5aを介してカプセル収納体5が装着されているからカプセル収納体5側に傾き易いため、このバランスウェイト6によって安定した状態で回転板3ができるように設けられている。また後述する補助回転板9が設けられている場合には、補助回転板9もカプセル収納体方向維持軸5bを介してカプセル収納体5に連結されていてカプセル収納体5側に傾き易いため、補助回転板9にも同様にバランスウェイト6が設けられていると補助回転板9を安定した状態で回転させることができて好ましい。
【0023】
7はカプセル収納体支持軸5aから水平方向に長さを持った連結部材であり、この連結部材7にカプセル収納体方向維持軸5bが固定されているので、カプセル収納体支持軸5aとカプセル収納体方向維持軸5bとは連動した状態で円運動するから、カプセル収納体5の円運動と回転運動とを確実に同調させることができるのである。
【0024】
8は駆動手段2と一体になったフレームであり、このフレーム8は図1のように駆動手段2の駆動軸2aを回転自在に装着する態様や、図6の如く後述する補助回転板9の補助回転板中心軸9aを回転自在に装着する態様がある。
【0025】
9はカプセル収納体方向維持軸5bがカプセル収納体5に直接固定されている場合において、軸支される軸を回転板3の回転方向と同方向にのみ回転自在で駆動手段2と一体になったフレーム8に装着されている回転方向規制ベアリング8cに他端が軸支されており駆動手段2の駆動軸2aと平行な補助回転板中心軸9aの一端が固定されているか、又は駆動手段2と一体になったフレーム8に一端が固定されている駆動手段2の駆動軸2aと平行な補助回転板中心軸9aの他端が軸支されている回転板3の回転方向と同方向にのみ回転自在な回転方向規制ベアリング8cが装着されている補助回転板であり、この補助回転板9としては図7には略直方体状のものを示したが、前記回転板3のように円板状のものなど様々な形状のものが利用できる。
【0026】
また本発明に係る歯牙修復材用練和装置には、カプセル収納体方向維持軸5bに回転板3の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸5aの円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が設けられていて、例えば図1の如くカプセル収納体方向維持軸5bがカプセル収納体支持軸5aから水平方向に長さを持った連結部材7に固定されていて、駆動手段2と一体になったフレーム8上に溝の中心線がカプセル収納体支持軸5aの円運動と中心の異なる同一直径の円となるように形成されたガイド溝8aに沿って移動するガイド溝用ベアリング8bにカプセル収納体方向維持軸5bが軸支されている構成であったり、図4及び図5の如く、カプセル収納体方向維持軸5bに回転板3の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸5aの円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、カプセル収納体方向維持軸5bがカプセル収納体5に直接固定されていて、駆動手段2と一体になったフレーム8上に溝の中心線がカプセル収納体支持軸5aの円運動と中心の異なる同一直径の円となるように形成されたガイド溝8aに沿って移動するガイド溝用ベアリング8bにカプセル収納体方向維持軸5bが軸支されている構成であると、カプセル収納体方向維持軸5bがガイド溝用ベアリング8bを介してガイド溝8aに沿って移動するので装置の稼働中にカプセル収納体方向維持軸5bが振動したりぶれたりすることがなくカプセル収納体5を正確に一方向に維持せしめた状態で円運動させることができる。
【0027】
またこの機構が図6の如く、カプセル収納体方向維持軸5bに回転板3の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸5aの円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、カプセル収納体方向維持軸5bがカプセル収納体5に直接固定されていて、駆動手段2と一体になったフレーム8に装着されており軸支される軸を回転板3の回転方向と同方向にのみ回転自在な回転方向規制ベアリング8cに駆動手段2の駆動軸2aと平行で一端が補助回転板9に固定されている補助回転板中心軸9aの他端が軸支されており、駆動手段2の駆動軸2aとカプセル収納体支持軸5aとの間隔と同じ距離だけ補助回転板中心軸9aから離れた補助回転板9の周辺部近傍に装着されている補助回転板用ベアリング9bにカプセル収納体方向維持軸5bが軸支されている構成である場合には、補助回転板中心軸9aを中心として回転する補助回転板9の周辺部近傍にカプセル収納体方向維持軸5bが取り付けられているので、カプセル収納体方向維持軸5bを正確に円運動させることができる。
また図示していないが、カプセル収納体方向維持軸5bに回転板3の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸5aの円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、カプセル収納体方向維持軸5bがカプセル収納体5に直接固定されていて、駆動手段2の駆動軸2aと平行であり駆動手段2と一体になったフレーム8に一端が固定されている補助回転板中心軸9aの他端が補助回転板9に装着されていて回転板3の回転方向と同方向にのみ回転自在な回転方向規制ベアリング8cに軸支されており、駆動手段2の駆動軸2aとカプセル収納体支持軸5aとの間隔と同じ距離だけ補助回転板中心軸9aから離れた補助回転板9の周辺部近傍に装着されている補助回転板用ベアリング9bにカプセル収納体方向維持軸5bが軸支されている構成である場合にも、補助回転板中心軸9aを中心として回転する補助回転板9の周辺部近傍にカプセル収納体方向維持軸5bが取り付けられているので、カプセル収納体方向維持軸5bを正確に円運動させることができる。
【0028】
そして図1に示す本発明に係る歯牙修復材用練和装置を実際に使用するには、先ず図3の如く、隔壁等を破断させて歯牙修復材料を構成する粉体成分と液体成分との2成分を混合練和させることができる状態とした歯牙修復材用カプセル1をその先端部をカプセル収納体5の貫通穴に挿入しながら上方から載置するようにしてカプセル収納体5に収納し、次に駆動手段2を始動させて駆動軸2aに固定されている回転板3を回転させる。この回転板3の周辺部近傍には、軸支される軸を回転板3の回転方向と反対方向にのみ回転自在なカプセル収納体用ベアリング4が装着されており、更にこのカプセル収納体用ベアリング4に駆動手段2の駆動軸2aと平行なカプセル収納体支持軸5aが軸支されていて、このカプセル収納体支持軸5aの先端にカプセル収納体5が固定されているから、回転板3を回転させると回転板3の周辺部近傍に位置するカプセル収納体5が駆動手段2の駆動軸2aを中心にして円運動するのである。また回転板3はカプセル収納体支持軸5aを介してカプセル収納体5に連結されているからカプセル収納体5側に傾き易いため、安定した状態で回転板3が回転できるようにバランスウェイト6が設けられている。なおこのバランスウェイト6は図1の如くカプセル収納体5の重心と略同じ高さに重心が位置するように設けられていると回転板3の回転がより安定してよいのである。
【0029】
次にカプセル収納体方向維持軸5bは水平方向に長さを持った連結部材7によって回転板3と一体になって円運動するカプセル収納体支持軸5aに連結されているので、カプセル収納体方向維持軸5bはカプセル収納体支持軸5aと連動して動き、またカプセル収納体方向維持軸5bはガイド溝用ベアリング8bを介してガイド溝8aに沿って移動するので、カプセル収納体方向維持軸5bはカプセル収納体支持軸5aと同一方向(回転板3の回転方向)に円運動する。またガイド溝8aはその中心線がカプセル収納体支持軸5aの円運動と中心の異なる同一直径の円となるように形成されているので、カプセル収納体方向維持軸5bはカプセル収納体支持軸5aの円運動と中心の異なる同一直径の円運動をするのである。
【0030】
このようにしてカプセル収納体5に固定されているカプセル収納体支持軸5aとカプセル収納体5に実質的に固定されているカプセル収納体方向維持軸5bとに同一方向(回転板3の回転方向)にそれぞれ中心の異なる同一直径の円運動をさせることによって、カプセル収納体5が駆動手段2の駆動軸2aを中心にして或る角度円運動するとカプセル収納体5自体はその円運動の角度と同じ角度だけ回転するので、歯牙修復材用カプセル1が収納されているカプセル収納体5を常に一方向に維持せしめた状態で円運動させることができ、またタイミングベルト等を使用していないので耐久性が高く、薬品等が付着しても劣化し難いのである。
【0031】
また図4及び図5に示す本発明に係る歯牙修復材用練和装置を使用する際も、先ず図8に示すような分割可能なカプセル収納体5の内部に隔壁等を破断させて歯牙修復材料を構成する粉体成分と液体成分との2成分を混合練和させることができる状態とした歯牙修復材用カプセル1を収納し、駆動手段2を始動させて駆動軸2aに固定されている回転板3を回転させる。この回転板3の周辺部近傍にも、前述の図1に示す本発明に係る歯牙修復材用練和装置と同様に、軸支される軸を回転板3の回転方向と反対方向にのみ回転自在なカプセル収納体用ベアリング4が装着されており、更にこのカプセル収納体用ベアリング4に駆動手段2の駆動軸2aと平行なカプセル収納体支持軸5aが軸支されていて、このカプセル収納体支持軸5aの先端にカプセル収納体5が固定されているから、回転板3を回転させると回転板3の周辺部近傍に位置するカプセル収納体5が駆動手段2の駆動軸2aを中心にして円運動するのである。またカプセル収納体方向維持軸5bはカプセル収納体5によって回転板3と一体になって円運動するカプセル収納体支持軸5aに連結されているので、カプセル収納体方向維持軸5bはカプセル収納体支持軸5aと連動して動き、またカプセル収納体方向維持軸5bはガイド溝用ベアリング8bを介してガイド溝8aに沿って移動するので、カプセル収納体方向維持軸5bはカプセル収納体支持軸5aと同一方向(回転板3の回転方向)に円運動する。またガイド溝8aはその中心線がカプセル収納体支持軸5aの円運動と中心の異なる同一直径の円となるように形成されているので、カプセル収納体方向維持軸5bはカプセル収納体支持軸5aの円運動と中心の異なる同一直径の円運動をするのである。
【0032】
更に図6に示す本発明に係る歯牙修復材用練和装置を使用する際も、先ず図8に示すような分割可能なカプセル収納体5の内部に隔壁等を破断させて歯牙修復材料を構成する粉体成分と液体成分との2成分を混合練和させることができる状態とした歯牙修復材用カプセル1を収納し、駆動手段2を始動させて駆動軸2aに固定されている回転板3を回転させる。この回転板3の周辺部近傍には、軸支される軸を回転板3の回転方向と反対方向にのみ回転自在なカプセル収納体用ベアリング4が装着されており、更にこのカプセル収納体用ベアリング4に駆動手段2の駆動軸2aと平行なカプセル収納体支持軸5aが軸支されていて、このカプセル収納体支持軸5aの先端にカプセル収納体5が固定されているから、この回転板3を回転させれば回転板3の周辺部近傍に位置するカプセル収納体5が駆動手段2の駆動軸2aを中心にして円運動するのである。
【0033】
またフレーム8に駆動手段2の駆動軸2aと平行に補助回転板中心軸9aが装着されていて、この補助回転板中心軸9aに補助回転板9が固定されており、補助回転板中心軸9aはフレーム8又は補助回転板9に装着されている回転板3の回転方向と同方向にのみ回転自在な回転方向規制ベアリング8cに軸支されているので、カプセル収納体方向維持軸5bは補助回転板中心軸9aを中心としてカプセル収納体支持軸5aと同一方向(回転板3の回転方向)に円運動する。また駆動手段2の駆動軸2aとカプセル収納体支持軸5aとの間隔と、補助回転板中心軸9aとカプセル収納体方向維持軸5bとの間隔とが同じであるから、カプセル収納体方向維持軸5bはカプセル収納体支持軸5aと同一直径の円運動をするのである。なおこの補助回転板9もカプセル収納体方向維持軸5bを介してカプセル収納体5に連結されているからカプセル収納体5側に傾き易いため、バランスウェイト6が設けられていると好ましい。なお補助回転板9に固定するバランスウェイト6は、回転板3に固定されているバランスウェイト6の位置を考慮して、例えば図6に示すように、補助回転板9と回転板3とに固定された2つのバランスウェイト6の重心がカプセル収納体5の重心と略同じ高さになるように固定されていると、装置全体に振動等が起こり難くてより良いのである。
【0034】
このようにカプセル収納体5に固定されているカプセル収納体支持軸5aとカプセル収納体5に連結されているカプセル収納体方向維持軸5bとを同一方向(回転板3の回転方向)にそれぞれ中心の異なる同一直径の円運動をさせることによって、カプセル収納体5が駆動手段2の駆動軸2aを中心にして或る角度円運動するとカプセル収納体5自体はその円運動の角度と同じ角度だけ回転するので、歯牙修復材用カプセル1が収納されているカプセル収納体5を常に一方向に維持せしめた状態で円運動させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る歯牙修復材用練和装置の1実施例を示す正面説明図である。
【図2】図1における歯牙修復材用練和装置の平面説明図である。
【図3】図1におけるカプセル収納体を示す拡大正面説明図である。
【図4】本発明に係る歯牙修復材用練和装置の他の実施例を示す正面説明図である。
【図5】本発明に係る歯牙修復材用練和装置の更に他の実施例を示す正面説明図である。
【図6】本発明に係る歯牙修復材用練和装置の更に他の実施例を示す正面説明図である。
【図7】図6における歯牙修復材用練和装置の平面説明図である。
【図8】図4〜図6におけるカプセル収納体の構造を示す拡大正面説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 歯牙修復材用カプセル
1a 混合区画室
2 駆動手段
2a 駆動軸
3 回転板
4 カプセル収納体用ベアリング
5 カプセル収納体
5a カプセル収納体支持軸
5b カプセル収納体方向維持軸
6 バランスウェイト
7 連結部材
8 フレーム
8a ガイド溝
8b ガイド溝用ベアリング
8c 回転方向規制ベアリング
9 補助回転板
9a 補助回転板中心軸
9b 補助回転板用ベアリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯牙修復材用カプセル(1)の混合区画室(1a)内の歯牙修復材料の粉体成分と液体成分とを混合練和するために該歯牙修復材用カプセル(1)を収納保持するカプセル収納体(5)をその長手方向を一方向に維持せしめた状態で円運動させる歯牙修復材用練和装置であって、
駆動手段(2)によってその駆動軸(2a)を中心にして回転せしめられる回転板(3)と、軸支される軸を該回転板(3)の回転方向と反対方向にのみ回転自在であって該回転板(3)の周辺部近傍に装着されているカプセル収納体用ベアリング(4)と、該駆動手段(2)の駆動軸(2a)と平行で該カプセル収納体用ベアリング(4)に軸支されているカプセル収納体支持軸(5a)に固定されているカプセル収納体(5)と、該駆動手段(2)の駆動軸(2a)を挟んで該カプセル収納体(5)と略対向する該回転板(3)の所定位置に固定されているバランスウェイト(6)と、該駆動手段(2)の駆動軸(2a)と平行で該カプセル収納体(5)に実質的に固定されているカプセル収納体方向維持軸(5b)に該回転板(3)の回転方向と同方向に該カプセル収納体支持軸(5a)の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構とが設けられていることを特徴とする歯牙修復材用練和装置。
【請求項2】
カプセル収納体方向維持軸(5b)に回転板(3)の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸(5a)の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、該カプセル収納体方向維持軸(5b)が該カプセル収納体支持軸(5a)から水平方向に長さを持った連結部材(7)に固定されていて、駆動手段(2)と一体になったフレーム(8)上に溝の中心線が該カプセル収納体支持軸(5a)の円運動と中心の異なる同一直径の円となるように形成されたガイド溝(8a)に沿って移動するガイド溝用ベアリング(8b)に該カプセル収納体方向維持軸(5b)が軸支されている構成である請求項1に記載の歯牙修復材用練和装置。
【請求項3】
カプセル収納体方向維持軸(5b)に回転板(3)の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸(5a)の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、該カプセル収納体方向維持軸(5b)がカプセル収納体(5)に直接固定されていて、駆動手段(2)と一体になったフレーム(8)上に溝の中心線が該カプセル収納体支持軸(5a)の円運動と中心の異なる同一直径の円となるように形成されたガイド溝(8a)に沿って移動するガイド溝用ベアリング(8b)に該カプセル収納体方向維持軸(5b)が軸支されている構成である請求項1に記載の歯牙修復材用練和装置。
【請求項4】
カプセル収納体方向維持軸(5b)に回転板(3)の回転方向と同方向にカプセル収納体支持軸(5a)の円運動と中心の異なる同一直径の円運動をさせる機構が、該カプセル収納体方向維持軸(5b)がカプセル収納体(5)に直接固定されていて、駆動手段(2)と一体になったフレーム(8)に装着されており軸支される軸を該回転板(3)の回転方向と同方向にのみ回転自在な回転方向規制ベアリング(8c)に該駆動手段(2)の駆動軸(2a)と平行で一端が補助回転板(9)に固定されている補助回転板中心軸(9a)の他端が軸支されているか、又は該駆動手段(2)の駆動軸(2a)と平行であり該駆動手段(2)と一体になったフレーム(8)に一端が固定されている補助回転板中心軸(9a)の他端が補助回転板(9)に装着されていて該回転板(3)の回転方向と同方向にのみ回転自在な回転方向規制ベアリング(8c)に軸支されており、該駆動手段(2)の駆動軸(2a)と該カプセル収納体支持軸(5a)との間隔と同じ距離だけ該補助回転板中心軸(9a)から離れた該補助回転板(9)の周辺部近傍に装着されている補助回転板用ベアリング(9b)に該カプセル収納体方向維持軸(5b)が軸支されている構成である請求項1に記載の歯牙修復材用練和装置。
【請求項5】
駆動手段(2)の駆動軸(2a)を挟んだカプセル収納体(5)と略対向する補助回転板(9)の所定位置にバランスウェイト(6)が更に固定されている請求項4に記載の歯牙修復材用練和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−6372(P2006−6372A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183555(P2004−183555)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000181217)株式会社ジーシー (279)
【Fターム(参考)】