説明

歯科用インスツルメントホルダー

【目的】 治療器具等を保持するためのインスツルメントホルダーの移動に伴い、ホースが床面に接触しない保持装置を提供する。
【構成】 バランスアーム6の上端に治療器具等が係止されるホルダー11が取り付けられるブラケット10を設け、該ホルダー11の後方に、ホース19が挿通するガイドリング18aを有するホースガイド18が、固定板9に軸支されスプリング17で後方へ付勢されている。また、前記ホルダー11が天板3裏面に収納され、且つ前面部に覆い板21を開閉自在に設ける。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、ハンドピース、シリンジなどの歯科用治療器具等を係止するための歯科用インスツルメントホルダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯科治療の際に使用する歯科用治療器具等は医師もしくはアシスタントが使用する器具あるいは器具接続用カプラをそれぞれインスツルメントホルダーに係止して、係止された器具もしくは器具接続用カプラに器具本体を装着して使用している。
その際、従来の歯科用のインスツルメントホルダーは、テーブル又はアームなどにより患者の近傍まで移動させることにより使用している。
図5に従来のアームによる歯科用インスツルメントホルダーが示されている。
【0003】
これに基づいて説明すると、器具が係止されたホルダー25は、バランスアーム24により該ホルダー25の角度を変えることなく、治療位置の適宜位置に位置させることがてきるようになっている。
この場合、ホース26はバランスアーム24が最下位に位置した時は、ホース26は床面に接触することになり、床面を這うようになる。
又治療器具等が係止されるホルダーは使用していない時などは外観に触れ、剥き出しになっている状態がほとんどである。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
上述したように、従来の歯科用インスツルメントホルダーは、バランスアームなどの傾動、これに伴い治療器具等を係止したホルダーの高さが変化することによる床面への接触によって、床面のゴミやほこりが付着したりして衛生的ではなかった。
又ホースが床面に接した状態でのホースの移動によってホースが擦れたりしてホース自体の摩耗が生じていた。
さらには、不使用時に治療器具等が剥き出しになった状態で置かれていたため、患者に対してあまり良い印象を与えない、美観を損なう又衛生面においても埃などが付着するという問題点があった。
【0005】
本考案は、前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、治療器具が係止されバランスアーム等に載置されたホルダーが治療部位近傍に位置させる際に高低が変化しても、ホース自体が床面に接触しないようにし、治療に必要なホースリーチを得ることができ、且つホースなどにゴミやほこりが付着しないように、又床面に接触且つその状態での移動に伴う摩耗などを防ぐようにする。
又治療器具等が使用されていない状態で、治療器具等が係止されるホルダー部が患者の目に触れないようにすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案の歯科用インスツルメントホルダーは、前記目的を達成せんとするもので、その手段としては、バランシングされたバランスアームの先端にブラケットを設け、このブラケットに対してホースが接続された治療器具等を着脱自在に係止するホルダーを有する歯科用インスツルメントホルダーにおいて、先端に前記ホースの中間部を挿通するガイドリングを有するホースガイドを前記バランスアームの先端に回動自在に取り付け、このホースガイドの前記ガイドリング側を後方に付勢するスプリング等の付勢手段を前記ブラケットとの間に張設したものである。
【0007】
また、前記ホースガイドは、前記ブラケットに固定板を介して取り付けられた取付板に対して回動自在に取り付けられ、該取付板より突出しているホースガイドの上端と前記固定板との間にスプリングを張設している。
【0008】
さらには、天板の裏面に取り付けられたバランシングされたバランスアームの先端にブラケットを設け、このブラケットに対してホースが接続された治療器具等を着脱自在に係止するホルダーを有する歯科用インスツルメントホルダーにおいて、先端に前記ホースの中間部を挿通するガイドリングを有するホースガイドを前記バランスアームの先端に回動自在に取り付け、このホースガイドの前記ガイドリング側を後方に付勢するスプリング等の付勢手段を前記ブラケットとの間に張設し、また、前記天板に前記ホルダーの前面を覆う覆い板を開閉自在に取り付けたものである。
【0009】
また、前記覆い板は、前記天板の裏面に摺動自在に取り付けられたスライド板の先端に回動自在に取り付け、前記天板を水平状態にして前記スライド板を天板の裏面に沿って移動することにより、前記覆い板を前記天板の裏面に収納できるようにしている。
【0010】
【作用】
前記した如く構成した本考案の歯科用インスツルメントホルダーは、使用する際には治療器具等が係止されるホルダーを治療部位まで引き寄せて使用する。
バランスアームによって、ホースが接続された治療器具等を着脱自在に係止するホルダーは前方に引き寄せられるが、その際、バランスアームの下端は軸支されているため下降傾斜しながら治療位置まで移動する。
この際、ホルダーが下がると同時に治療器具等に取り付けられるホースも追従して下がるが、本考案のものでは、前記したスプリングによって上部後方に付勢されているためホースは保持された状態を維持し、治療に必要なホースリーチが得られるだけでなく、床面に接触して擦るようなことはなく、ゴミや埃が付着することはない。
【0011】
治療器具等をホルダーから外して使用する時は、ホースが保持されるホースガイドは前記取付板に軸支され、適宜な重量で後方へ付勢されているため、治療器具等を自由に前後方向へ移動させることができるようになっている。
また、治療器具等を使用しない時などは、前記ホルダーはバランスアームによって後方へ回動移動させ天板下部に位置させ、天板裏面に収納されている覆い板を前方へ引っ張り出した後、下方へ回動させることにより前記ホルダーを収納することができるため、患者の目に触れることはなくまた美観を損なうこともない。
【0012】
【実施例】
以下、本考案に係る歯科用インスツルメントホルダーの実施例を図1〜図4と共に説明する。
図1はホルダーが収納された状態の断面図を示し、図2はホルダーが引き出された状態の断面図を示す。
図3はホルダーが収納された状態の要部拡大断面図であり、図4はホルダーが引き出された状態の要部拡大断面図を示す。
【0013】
1は床板、2は側板、3は天板であり収容ユニットを形成している。
4は基台、5はバランスアームを支持するための支持台、5aはバランスアーム6の回動支点で、5bは長孔である。
6はバランスアーム、6aはピンであり、バランスアーム6は該長孔5bにガイドされ支点5aで回動するようになっている。
7はリンク、8は支板であり、バランスアーム6は前記リンク7及び支板8により適宜位置にバランスされるようになっている。
【0014】
9は前記支板8に固定された固定板で、該固定板8にはブラケット10が固定されている。
11は治療器具等が接続される接続用カプラ20が係止されるホルダーであり、12はカバー、13は前記カプラ20を押さえるためのアクチュエーターである。
これにより、治療器具等が接続されたカプラが前記ホルダー11に係止された状態でアクチュエーター13により保持されるようになっている。
【0015】
14は取付板、15は前記取付板14に固定される固定板であり、16はホースガイド回転金具であり、16aは取付板14のピン14aに軸支される回転軸であり、16bはピンが設けられている。
17は一端が固定板15に設けられピン15aに係止され、他端は該ホースガイド回転金具16に設けられピン16bに係止されるスプリングである。
【0016】
18は前記ホースガイド回転金具16の下端部に固定されたホースガイドであり、ホースガイド18の先端にはガイドリング18aが形成されている。
19はホース、20は治療器具等が接続されるカプラでありカプラ20はホース19に接続されている。
21は覆い板、21aは回転軸、22はスライド板、23はコロであり、覆い板21は天板裏面に収納されるようになっている。
Aは接続用カプラ20に接続される治療器具本体を示す。
【0017】
以上の如く構成されているため、治療器具等を使用する際は、覆い板21を、回転軸21aを介して回転させ、天板3を後方へスライドもさせることにより、コロ23が設けられたスライド板22が後方へスライドし天板3の裏面に収納され、ホルダー11の前方が解放されてホルダー11を引き出しやすい状態とする。
ホルダー11を引き出すと、バランスアーム6は支持台5に設けられる回動支点5aを中心として前方へ回動移動する。
【0018】
この際、ホルダー11は下降傾斜し、ホルダー11の高さが低くなるが、前方へ付勢されるスプリング17によって、ホースガイド回転金具16に設けられるホースガイド18は回転軸16aを介して後方上部へ付勢され、ホースガイド18の先端に設けられたガイドリング18aに保持されたホース19は床面に接触することなく移動させることができる。
【0019】
また、治療器具等(二点鎖線で示す)を使用する際、使用者からスプリング力より強い力が加わるとホースガイド18は前方へ回動させることができ、前後に自由に動作させるようになっている。
また、使用者から力が加わらない状態では、ホース19はスプリング17によって後方へ押し上げられるようになっている。
スプリング17の強さについては、ホース19の荷重に耐え得る強さとするが適宜その強さは変更し得るようになっている。
【0020】
従って、治療器具等を治療部位まで移動させても治療器具等に接続されるホース19は床面に接触しないためホース19の汚染や摩耗などがなくなる。
又、治療器具等を使用しない時などは、前記したように天板3裏面に収納可能に設けられる覆い板21によって、治療器具等が係止されるホルダー11は患者の目に触れることなく又美観を損なうこともない。
尚、前記した実施例にあっては、ホルダー11に接続用カプラのみが係止された状態で示したが、ハンドピースやシリンジ本体が接続された状態でも良い。
【0021】
【考案の効果】
本考案の構成により、バランシングされ治療器具等が装着されるホルダーが支持されたバランスアームを移動させても、治療器具用のホースは上方に付勢され保持されているため、ホース自体が床面に接触して這うことはなく、治療に必要なホースリーチが得られ、且つホースが摩耗や損傷を起こすこともない。
又、ホースが床面に接触しないため、床面に付着したホコリやゴミなどが付着することがなく、衛生面においても清潔に治療ができる状態が得られる。
さらには、使用していない時など、治療器具等の接続用カプラが支持されたホルダーを天板などの裏面に収納し、前面部を覆い板によって覆うことにより患者の目に触れないようにすっきりさせ、美観を損なわないようにしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホルダーが収納された状態の断面図である。
【図2】ホルダーが引き出された状態の断面図である。
【図3】ホルダーが収納された状態の要部拡大断面図である。
【図4】ホルダーが引き出された状態の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
3 天板
4 基台
5 支持台
5a 回動支点
5b 長孔
6 バランスアーム
9 固定板
10 ブラケット
11 ホルダー
14 取付板
15 固定板
16 ホースガイド回転金具
16a 回転軸
16b ピン
17 スプリング
18 ホースガイド
18a ガイドリング
19 ホース
21 覆い板
22 スライド板

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 バランシングされたバランスアームの先端にブラケットを設け、このブラケットに対してホースが接続される治療器具等を着脱自在に係止するホルダーを有する歯科用インスツルメントホルダーにおいて、先端に前記ホースの中間部を挿通するガイドリングを有するホースガイドを前記バランスアームの先端に回動自在に取り付け、このホースガイドの前記ガイドリング側を後方に付勢するスプリング等の付勢手段を前記ブラケットとの間に張設したことを特徴とする歯科用インスツルメントホルダー。
【請求項2】 前記ホースガイドは、前記ブラケットに固定板を介して取り付けられた取付板に対して回動自在に取り付けられ、該取付板より突出しているホースガイドの上端と前記固定板との間にスプリングを張設したことを特徴とする請求項1記載の歯科用インスツルメントホルダー。
【請求項3】 天板の裏面に取り付けられたバランシングされたバランスアームの先端にブラケットを設け、このブラケットに対してホースが接続された治療器具等を着脱自在に係止するホルダーを有する歯科用インスツルメントホルダーにおいて、先端に前記ホースの中間部を挿通するガイドリングを有するホースガイドを前記バランスアームの先端に回動自在に取り付け、このホースガイドの前記ガイドリング側を後方に付勢するスプリング等の付勢手段を前記ブラケットとの間に張設し、また、前記天板に前記ホルダーの前面を覆う覆い板を開閉自在に取り付けたことを特徴とする歯科用インスツルメントホルダー。
【請求項4】 前記覆い板は、前記天板の裏面に摺動自在に取り付けられたスライド板の先端に回動自在に取り付け、前記天板を水平状態にして前記スライド板を天板の裏面に沿って移動することにより、前記覆い板を前記天板の裏面に収納できるようにしたことを特徴とする請求項3記載の歯科用インスツルメントホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【登録番号】第3013494号
【登録日】平成7年(1995)5月10日
【発行日】平成7年(1995)7月18日
【考案の名称】歯科用インスツルメントホルダー
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−13031
【出願日】平成6年(1994)9月14日
【出願人】(000108672)タカラベルモント株式会社 (113)