説明

死腔負荷装置

【課題】死腔負荷装置の技術においては、定量的な死腔量の設定が難しく、しかもデジタル的な容量設定が難しいために、負荷試験装置として使用しにくいという問題がある。
【解決手段】装置本体内を死腔形成室と吸気取り入れ室とに隔離壁によって分離し、前記死腔形成室の一方には呼吸口を設け、他方には呼気弁を設け、前記吸気取り入れ室の任意個所に吸気弁を設け、前記隔離壁には所定間隔に弁を配置して死腔形成室と吸気取り入れ室とを連通できるようにし、その弁の位置を死腔量が定量的に変わるように配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸機能を検査するために用いることができる装置死腔の負荷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医学的な検査には被検者に種々の負荷をかけて通常の検査ではわからない異常を検出する方法がある。
呼吸機能の負荷検査の方法として、運動負荷試験、高CO2ガス負荷試験、低O2負荷試験等が一般的であるが、その中に死腔負荷試験がある。
死腔とは、呼吸におけるガス交換に寄与しない空間であり、生体内には解剖学的死腔、生理学的死腔と呼ばれる部分があるが、さらに、検査時の測定装置によって生じる装置死腔がある。
【0003】
この装置死腔を図3によって模擬的に説明する。図において、装置の通気道101に呼気と吸気を分離するための吸気弁102と呼気弁103が接続してある。その通気道101に接続する呼吸口104によって被検者が呼吸を行うと、通気道101の吸気弁102と呼気弁103との間の空間(斜線部分)には前回呼出した呼気が残っており、次の吸気の際には、まずその残留呼気を吸ってから新鮮な吸気を吸入することになる。この空間は換気には関与しない部分であるために死腔と呼ばれている。これが装置死腔である。
【0004】
従来の装置死腔の負荷装置は、チューブを用い、その長さを調節することによって死腔量を決めている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平2004−89698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、定量的な死腔量の設定が難しく、死腔負荷試験装置として使用しにくいという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、デジタル的に死腔量の設定を可能にした手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、開放回路式の死腔負荷装置として、装置本体内を死腔形成室と吸気取り入れ室とに隔離壁によって分離し、前記死腔形成室の一方には呼吸口を設け、他方には呼気弁を設け、前記吸気取り入れ室の任意個所に吸気弁を設け、前記隔離壁には所定間隔に弁を配置して死腔形成室と吸気取り入れ室とを連通できるようにし、その弁の位置を死腔量が定量的に変わるように配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、検査目的に応じて行う被検者の肺機能の測定に対して装置死腔量の値を定量的に変化させることができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1、図2は本発明の実施例を示す説明図である。
図において、1は装置死腔装置本体であり、その内部を死腔形成室2と吸気取り入れ室3とに隔離壁4によって分離されている。
前記死腔形成室2の一方には呼吸口5が設けてあり、他方には呼気弁6が設けてある。この呼気弁6に呼吸代謝測定装置等の各種装置が接続される。
【0009】
前記吸気取り入れ室3の任意個所に吸気弁7が設けてある。
前記隔離壁4には複数の弁8を所定間隔に配置して死腔形成室2と吸気取り入れ室3とが連通するようにしてあり、その弁8の位置は、図示する如く死腔量が例えば100ccと一定容量間隔となるように並べてあり、呼吸口5側から例えば200cc、300ccと順次定量的に死腔量が付加するようになっている。
【0010】
前記弁8は電磁弁のような任意に操作できる弁であればどのような弁でもよい。
上記の構成の作用を説明する。
被検者が呼吸口5から呼吸をすると、呼気は呼気弁6を介して接続されている装置に排出される。吸気は開放されている弁8の個所から吸気弁7を介して吸入される。
そこで、呼気弁6に接続されている装置による検査目的に応じて行う被検者の肺機能の測定に対して装置死腔量の値を変化させるために、連続する弁8の中の開放させる弁8の位置を例えば図1から図2に示すように変えることによって、呼吸口5側から例えば200cc、300ccと定量的に装置死腔量を変えて肺機能の検査をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例を示す説明図
【図2】装置死腔量の変化を示す説明図
【図3】装置死腔の説明図
【符号の説明】
【0012】
1 装置死腔装置本体
2 死腔形成室
3 吸気取り入れ室
4 隔離壁
5 呼吸口
6 呼気弁
7 吸気弁
8 弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内を死腔形成室と吸気取り入れ室とに隔離壁によって分離し、前記死腔形成室の一方には呼吸口を設け、他方には呼気弁を設け、前記吸気取り入れ室の任意個所に吸気弁を設け、前記隔離壁には所定間隔に弁を配置して死腔形成室と吸気取り入れ室とを連通できるようにし、それらの弁の位置を死腔量が定量的に変わるように配置したことを特徴とする死腔負荷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−34584(P2006−34584A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218632(P2004−218632)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(597129229)チェスト株式会社 (31)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】