説明

段ボール箱

【課題】外フラップの突き当て部の全長にわたって円滑に粘着テープを引き剥がすことができ、開封作業を効率よく行うことができる段ボール箱を提供する。
【解決手段】一対の内フラップ2,3を折り曲げた後、一対の外フラップ4,5を折り曲げ、外フラップの先端縁同士を突き当てた突き当て部15に沿って紙製粘着テープ16を貼着して段ボール箱を封止する。一方の外フラップ4の角隅部に、粘着テープ16から露出する位置を始端として後端が外フラップ4の先端縁に至る破断可能線20により切除可能とされた切除可能片17を設け、突き当て部15を介して切除可能片17に隣接する他方の外フラップ5の角隅部に、粘着テープ15が非貼着となる切欠部18を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の包装に用いられ、物品を収容してフラップを閉じた後に紙製粘着テープにより封止される段ボール箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、四角筒状の胴部の開放端縁に連設されて互いに対向する一対の内フラップを、該胴部の開放端を覆うように折り曲げ、次いで、胴部の開放端縁に連設されて両内フラップの対向方向に直交して互いに対向する一対の外フラップを、両内フラップの外面を覆うように折り曲げると共に両外フラップの先端縁同士を突き当てて該胴部の開放端を閉塞する段ボール箱においては、両外フラップの先端縁同士を突き当てた突き当て部に沿って所定幅の紙製粘着テープを貼着することにより封止される。
【0003】
この種の段ボール箱においては、粘着テープをカッター等の刃具を用いて破断することにより開封されるが、段ボール箱の内部に収納されている物品が刃具により損傷するおそれがあるため、カッター等の刃具を用いることなく手作業で粘着テープを破断或いは除去することが望ましい。しかし、粘着テープは段ボール箱の外フラップに強固に貼着されているために、手作業による粘着テープの破断や除去は極めて煩わしい。
【0004】
そこで、従来、一方の外フラップの角隅部に、破断可能線により切除可能とされた切除可能片を設け、この切除可能片を摘んで引き上げる等の作業を行うことにより、切除可能片と共に粘着テープを引き剥がせるようにした段ボール箱が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−51958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のものでは、切除可能片の周囲に粘着テープが強固に貼着された状態では、切除可能片を引き上げ操作に粘着テープの剥離を追従させることが困難であり、例えば、切除可能片の切除時に粘着テープの一部が切除可能片と共に切断されてしまい、突き当て部に沿った殆どの部分で粘着テープが残留して段ボール箱の開封が不十分となる場合がある。この場合には、残留した粘着テープを更に手作業で引き剥がす必要があり、かえって開封作業の効率が悪化する不都合があった。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、外フラップの突き当て部の全長にわたって円滑に粘着テープを引き剥がすことができ、開封作業を効率よく行うことができる段ボール箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、四角筒状の胴部の開放端に連設されて互いに対向する一対の内フラップを、該胴部の開放端を覆うように折り曲げ、胴部の開放端に連設されて両内フラップの対向方向に直交して互いに対向する一対の外フラップを、両内フラップの外面を覆うように折り曲げると共に両外フラップの先端縁同士を突き当てて該胴部の開放端を閉塞し、両外フラップの先端縁同士を突き当てた突き当て部に沿って所定幅の紙製粘着テープを貼着することにより封止される段ボール箱において、一方の外フラップの角隅部に、前記突き当て部に沿って貼着された前記粘着テープから露出する位置を始端として後端が外フラップの先端縁に至る破断可能線により切除可能とされた切除可能片を設け、該切除可能片に隣接する他方の外フラップの角隅部に、前記粘着テープが非貼着となる切欠部を設けたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、一方の外フラップの角隅部に設けた前記切除可能片を切除することで、突き当て部の一方の端部からの粘着テープの引き剥がし作業を円滑に開始することができる。
【0010】
更に本発明においては、切除可能片に隣接する他方の外フラップの角隅部に前記切欠部を設けたことにより、切除可能片の引き上げ操作に伴う粘着テープの適度な剥がれ易さが得られる。これにより、切除可能片の引き上げた際の粘着テープの剥離開始が容易に得られ、粘着テープの一部が切除可能片と共に切断される事態も防止でき、切除可能片と粘着テープとの貼着状態を維持して粘着テープの剥離を円滑に行うことができる。
【0011】
また、一般に、突き当て部に沿って貼着された粘着テープは、その端部が段ボール箱の胴部に貼着されている。一方、切欠部は、粘着テープの一部を非貼着とすることにより、切欠部における粘着テープが比較的破れ易くなる。これにより、切除可能片を切除する際に、粘着テープと切除可能片との貼着状態を確実に維持しつつ、剥離させる側の粘着テープと段ボール箱の胴部に貼着されている側の粘着テープとを容易に切り離すことができる。
【0012】
以上のように、前記切除可能片だけでなく前記切欠部を設けたことにより、外フラップの突き当て部の全長にわたって円滑に且つ確実に粘着テープを引き剥がすことができ、開封作業を効率よく行うことができる。
【0013】
また、本発明においては、前記切除可能片を備える外フラップにおける該切除可能片に隣接する位置に、前記粘着テープが非貼着となる他の切欠部を設けることが好ましい。他の切欠部を設けることにより、切除可能片が設けられている外フラップ側においても、切除可能片の隣接位置で粘着テープが非貼着とされる。これにより、切除可能片の引き上げ操作に伴って切除可能片の隣接位置の粘着テープを容易に突き当て部から引き離すことができ、粘着テープの引き剥がし途中での切断を確実に防止することがきる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の段ボール箱を示す説明的斜視図。
【図2】本実施形態の段ボール箱の要部を示す説明的平面図。
【図3】本実施形態の段ボール箱の開封作業を示す説明図。
【図4】他の切欠部の変形例を示す説明図。
【図5】切除可能片の他の形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の段ボール箱は、閉塞された底部を有する四角筒状の胴部1を備え、該胴部1の内部に図示しない被包装物を収容した後、一対の内フラップ2,3と一対の外フラップ4,5とにより天部6が閉塞されるものである。
【0016】
即ち、内フラップ2,3は、胴部1の一部を構成して前後方向に対向する各側板7,8の上縁に折り目線9,10を介して連設されており、外フラップ4,5は、胴部1の一部を構成して左右方向に対向する各側板11,12の上縁に折り目線13,14を介して連設されている。
【0017】
天部6を閉塞するときには、先ず、一対の内フラップ2,3を折り目線9,10により互いに内方に折り曲げて水平とする。このとき、両内フラップ2,3の互いに向き合う先端縁の間には間隙が形成される。次いで、一対の外フラップ4,5を折り目線13,14により互いに内方に折り曲げて内フラップ2,3上に重合させる。これにより、両外フラップ4,5の先端縁が互いに突き当てられ(突き当て部15)、天部6が閉塞される。その後、突き当て部15に沿って粘着テープ16(図1において仮想線示する)を貼着し、天部6が封止される。
【0018】
粘着テープ16は、裏面に接着剤が塗布された所定幅の紙製粘着テープであり、カッター等の刃具を用いなくても作業者が破くことができるものとしてクラフトテープ、ガムテープ等の周知のものが用いられる。
【0019】
図1及び図2に示すように、本実施形態の段ボール箱の一方の外フラップ4の角隅部には、切除可能片17が形成されている。また、前記突き当て部15を介して該切除可能片17に隣接する他方の外フラップ5の角隅部には、第1の切欠部18(切欠部)が形成されている。更に、切除可能片17を備える外フラップ4における該切除可能片17に隣接する位置には、第2の切欠部19(他の切欠部)が形成されている。
【0020】
図2に示すように、切除可能片17は、外フラップ4の一側縁の粘着テープ16から露出する位置を始端として後端が外フラップ4の先端縁に至るミシン目による破断可能線20により該外フラップ4から切除可能に設けられている。破断可能線20は、突き当て部15と平行に延びる初期破断部21と、該初期破断部21の終端から屈曲して外フラップ4の先端縁に向かって延びる破断進行部22とで構成されている。
【0021】
第1の切欠部18は、切除可能片17に対応する他方の外フラップ5に形成されていて、突き当て部15に沿った切除可能片17の長さ寸法よりも長い距離にわたって粘着テープ16が非貼着となるように形成されている。即ち、一方の外フラップ4の角隅部においては、粘着テープ16が切除可能片17に貼着された状態となっているが、切除可能片17に対応する他方の外フラップ5の角隅部においては、粘着テープ16が非貼着状態となっている。
【0022】
第2の切欠部19は、切除可能片17に隣接していることにより切除可能片17の近傍において粘着テープ16が非貼着状態とされる。
【0023】
以上の構成による本実施形態の段ボール箱においては、次のようにして粘着テープ16を引き剥がし開封する。粘着テープ16は、突き当て部15に沿って貼着されており、その端部が段ボール箱の前後側板の一部に貼着されている。
【0024】
先ず、段ボール箱の一側の角部側(折目線9の側)から切除可能片17を摘んで切除可能片17を起立させるように引き起こす。これにより、粘着テープ16が突き当て部15の一端で破断される。
【0025】
そして、図3に示すように、更に切除可能片17を引き上げると、第1の切欠部18に対応する位置の粘着テープ16が切除可能片17を引き上げに追従して破れる。一方、切除可能片17と粘着テープ16との貼着状態が維持され、切除可能片17の引き上げ操作により、突き当て部15に沿って粘着テープ16の剥離が進行する。このとき更に、切除可能片17の近傍の第2の切欠部19により、粘着テープ16の剥離が促され、粘着テープ16の剥離が円滑に進行する。
【0026】
このように、切除可能片17の引き上げ切除操作に追従して第1の切欠部18により粘着テープ16が円滑に破断され、且つ、第2の切欠部19により切除可能片17の近傍で非貼着状態の粘着テープ16が容易に剥離する。これにより、切除可能片17の引き上げた際の粘着テープ16の剥離開始が容易に得られ、粘着テープ16の一部が切除可能片17と共に切断される事態も防止でき、切除可能片17と粘着テープ16との貼着状態を維持して、突き当て部15の全長にわたる粘着テープ16の剥離を円滑に行うことができる。
【0027】
なお、本実施例においては、第2の切欠部19を設けることにより、粘着テープ16の円滑な剥離性を向上させているが、外フラップ4の強度保持を考慮する場合には第2の切欠部19を設けなくてもよい。
【0028】
また、本実施例においては、図2に示すように、略矩形状に切り抜かれた形状の第2の切欠部19を有するものを示したが、これに替えて、例えば、図4に示すように、内縁角部が湾曲する形状に切り抜き形成された第2の切欠部23を設けてもよい。このような形状の第2の切欠部23によれば、粘着テープ16を剥離させる際に段ボール製であることによるライナの剥がれを小さくして円滑な剥離を行うことができる。
【0029】
また、本実施例においては、図2に示すように、突き当て部15と平行に延びる初期破断部21と、該初期破断部21の終端から屈曲して外フラップ4の先端縁に向かって延びる破断進行部22とで構成される破断可能線20により該外フラップ4から切除可能とされた切除可能片17を示したが、これに替えて、図5に示すように、外フラップ4の一側端から突き当て部15と平行に延びる切込み24を設け、該切込み24の奥端から外フラップ4の先端縁に向かって延びる破断可能線25により切除可能となる切除可能片26を設けてもよい。この切除可能片26においては、更に、切込み24の奥端と外フラップ4の角部とを繋ぐ折目線27を設けることにより、切除可能片26の摘み上げを容易とすることができる。
【符号の説明】
【0030】
1…胴部、2,3…内フラップ、4,5…外フラップ、15…突き当て部、16…粘着テープ、17,26…切除可能片、20,25…破断可能線、18…第1の切欠部(切欠部)、19,23…第2の切欠部(他の切欠部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角筒状の胴部の開放端に連設されて互いに対向する一対の内フラップを、該胴部の開放端を覆うように折り曲げ、
胴部の開放端に連設されて両内フラップの対向方向に直交して互いに対向する一対の外フラップを、両内フラップの外面を覆うように折り曲げると共に両外フラップの先端縁同士を突き当てて該胴部の開放端を閉塞し、
両外フラップの先端縁同士を突き当てた突き当て部に沿って所定幅の紙製粘着テープを貼着することにより封止される段ボール箱において、
一方の外フラップの角隅部に、前記突き当て部に沿って貼着された前記粘着テープから露出する位置を始端として後端が外フラップの先端縁に至る破断可能線により切除可能とされた切除可能片を設け、
前記突き当て部を介して該切除可能片に隣接する他方の外フラップの角隅部に、前記粘着テープが非貼着となる切欠部を設けたことを特徴とする段ボール箱。
【請求項2】
前記切除可能片を備える外フラップにおける該切除可能片に隣接する位置に、前記粘着テープが非貼着となる他の切欠部を設けたことを特徴とする請求項1記載の段ボール箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−76799(P2012−76799A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224059(P2010−224059)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(390022895)株式会社トーモク (45)
【Fターム(参考)】